公共政策
 

イギリス公共政策大学院ランキング一覧(MPA, MPP, Public Policy等での修士大学院プログラム)

公共政策大学院の意義と役割

公共政策大学院は、公共政策の立案や実施に必要な知識やスキルを持つ専門家を育成するための教育機関です。政策課題は多岐にわたり、社会の経済的不均衡、環境問題、地域活性化など、多方面にわたる複雑な問題が含まれます。これらの課題を解決するためには、データ分析法制度の理解、リーダーシップ、コミュニケーション能力といった幅広いスキルが必要です。

公共政策大学院では、理論と実践の両面からの学習を通じて、政策の効果的な設計と実行ができる人材の育成を目指します。また、学生間や実務家とのネットワーキングを通じて、国内外の政策に対する洞察を深め、グローバルな視野での政策形成に貢献できるリーダーを輩出しています。

 

 

イギリスの公共政策大学院の特徴

各大学のプログラムの一部を紹介します。

 

オックスフォード/MPP

オックスフォード大学のブラバトニク公共政策大学院(Blavatnik School of Government)の「公共政策修士課程(MPP)」は、次世代のリーダーを育成するための1年間の集中プログラムです。以下が主な特徴です。

 

・学際的かつ実践的なアプローチ: MPPは経済学、哲学、法学、政治学など多分野の知識を融合し、政策決定に必要な幅広い視点を提供します。また、ケーススタディを用いた実践的な教育法により、実際の政策課題を分析・解決するスキルを養います​。

・多様性と協調的な学び: 毎年、世界中から多様なバックグラウンドの学生が集まり、学び合うことができます。このような国際色豊かな環境は、政策課題を異なる視点から考え、協力して解決策を見出すことを促します。また、協調を重視する姿勢がプログラム全体で推奨されており、競争ではなく協力が重視されています​

・リーダーシップとプロフェッショナルスキルの育成: 学生はプログラムを通して、プレゼンテーションや説得力のある文章作成、戦略的リーダーシップなどのスキルを向上させるワークショップやコーチングに参加します。また、政府やNGOのリーダーが招かれ、政策経験について話す機会もあります​。

・サマープロジェクト: 学年末には6~8週間のサマープロジェクトを行い、政府機関や国際NGOなどで実際の政策課題に取り組むことが求められます。これにより、教室で学んだ知識を実社会で実践する機会が提供されます​。

・強力なネットワークと豊富なオックスフォードのリソース: 卒業後はMPPの国際的な卒業生ネットワークに加わり、世界中で政策に携わる卒業生とつながることができます。また、オックスフォードの豊富なリソースや歴史ある図書館、ディスカッションの場であるオックスフォード・ユニオンへのアクセスも、学生生活をより豊かにします。

 

 

LSE/MPA

LSEの公共管理修士課程(Master of Public Administration, MPA)は、政策分野でのリーダーシップを目指す学生に必要な分析スキルと実践力を提供する2年間のプログラムです。

・学際的なアプローチと実践的応用: MPAは、経済学や政治学、定量的な政策分析の基礎を強化し、政策課題に実践的に取り組むスキルを養成します。2年目には、実際の組織と連携して政策課題に取り組む「Capstoneプロジェクト」を通じ、理論の応用力を鍛えます。

・専門分野の選択: MPAでは、一般的な公共管理の学位に加え、「経済政策」「国際開発」「貧困と不平等」「社会的インパクト」「国際政治経済」といった専門分野を選択して学ぶことができます。選択した分野に基づいた課程を修了すると、学位に専門分野の名称が追加されます。

・グローバルな学習機会: LSEは複数の大学と提携し、MPAのデュアルディグリープログラムを提供しています。1年目をLSEで、2年目を他のパートナー大学(ベルリンのヘルティスクール、シンガポールのリー・クアンユー公共政策学院、東京大学)で学ぶことで、国際的な視点から公共政策を理解し、多様な文化的背景の中での政策立案と実践を学ぶ機会を得られます。

・選択科目の自由度と専門研究: 2年目には、オプションとしてディスカッションを深めるための選択科目や、政策レポートまたは論文の執筆も可能です。学生は自身の興味に応じて、LSE内外の選択科目を取り入れ、柔軟にカリキュラムを構築できます。

・優れたネットワークとリーダーシップ育成: LSEは、ロンドンの中心に位置し、政治やビジネス、政策分野の専門家が集う場所としても知られ、学生は講演会やネットワーキングを通じて実務に近い学びの場を得られます。また、卒業後も広範な校友ネットワークが利用可能です。

 

UCL / MSc Public Policy, MPA

MSc Public Policy

・UCLの「MSc Public Policy」プログラムは、政策立案者や政策アナリストの育成を目指し、1年間のフルタイムまたは2年間のパートタイムで提供される修士課程です。このプログラムの特徴は、政治学、経済学、法学、公共管理、そして公衆衛生など、さまざまな分野を融合し、現代の政策課題への対応を重視している点です。学生は政策形成から実施、評価までの過程を理論的かつ実務的に学びます​。

・プログラムの構成は、講義やセミナー、ケーススタディでの学習を中心に、筆記試験や長文エッセイ、ディスカッション、最終的な研究プロジェクトによる評価が行われます。また、公共政策の哲学や経済的アプローチの理解を深めることで、政策課題に対する分析力と批判的思考を育成します​。

・卒業生は、中央政府や地方自治体、シンクタンク、NGO、コンサルティング企業など、国内外のさまざまな分野で活躍しており、大学でのさらなる研究にも進むことができます。UCLのロンドンという立地と豊富なネットワーキングの機会も、このプログラムの魅力となっています。

 

MPA

・公共管理とリーダーシップ: このプログラムは、政策立案や公共サービス管理、リーダーシップスキルの向上を目的としています。必修科目として「ガバナンスと公共管理」「政策データ分析」「リーダーシップと組織行動」などを履修し、最終プロジェクトではディスカッションやリサーチを通じて理論の応用力を高めます。学生は、実務者や政策立案者と交流できるセミナーシリーズや、業界イベントへの参加機会もあり、公共政策の現場で必要とされるネットワーキングスキルを身につけます​。

・革新と公共価値(Innovation, Public Policy, and Public Value): この分野は、政策の革新、デジタルトランスフォーメーション、持続可能な経済成長といった「目的駆動型組織」を志向する政策立案者を育成することを目的としています。学生は「ミッション指向のイノベーション」や「公共サービスの戦略デザイン」を学び、さまざまな国際的な政策機関でのインターンシップやプロジェクトに参加する機会もあります。このコースの卒業生は、政府機関や国際機関で政策課題に取り組むリーダーとして活躍しています。

 

 

 

 

イギリス公共政策大学院ランキング

 

 

大学(英語) 大学(日本語)
1 Oxford University オックスフォード大学
2 London School of Economics (LSE) ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス
3 University College London (UCL) ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン
4 University of Warwick ウォーリック大学
5 University of Cambridge ケンブリッジ大学
6 University of Nottingham ノッティンガム大学
7 University of York ヨーク大学
8 University of Manchester マンチェスター大学
9 University of Sussex サセックス大学
10 University of Glasgow グラスゴー大学
11 Queen Mary University of London クイーン・メアリー大学
12 University of Essex エセックス大学
13 University of Edinburgh エディンバラ大学
14 University of Birmingham バーミンガム大学
15 University of Bristol ブリストル大学
16 University of Surrey サリー大学
17 University of Exeter エクセター大学
18 Lancaster University ランカスター大学
19 Cardiff University カーディフ大学
20 Durham University ダラム大学
21 Leicester University レスター大学
22 University of Kent ケント大学
23 King’s College London キングス・カレッジ・ロンドン
24 University of Sheffield シェフィールド大学

 

様々な政策関連のプログラム

各大学院ではプログラムを大学院につき、1つだけのプログラムがあるという訳ではなく、多くの政策関連プログラムが準備されています。また各大学院でMPAやMPPとあったりしますが、この辺りはカリキュラムや大学院によって言い方がまちまちです。同大学院でMPAとMPPがあったら取る授業を確認するのが一番良いでしょう。またMPAやMPPの学位以外でもPolicy関連のプログラムは多数あります。

例えばLSEではPolicy関連として

・  L2UN Master of Public Administration (MPA)
・  M1DS MPA Data Science for Public Policy
・  L4UT Master of Public Policy (MPP)
・  M1T3 MSc Public Policy and Administration
・  L9U5 MSc Economic Policy for International Development
・  F9UG MSc Environmental Policy and Regulation
・  L4UO MSc Global Health Policy
・ L1S5 MSc Innovation Policy
・  L4UH MSc International Health Policy
・  L2UK MSc International Migration and Public Policy
・ L4UR MSc International Social and Public Policy

などがあります。

これらはさまざまな政策分野に対応するために設計されており、学生はそれぞれの専門的な政策分野において深い知識とスキルを習得することができます。プログラムは、公共政策、環境政策、経済政策、健康政策、移民政策、イノベーション政策など多岐にわたり、異なる視点から社会問題の解決を目指すための理論と実践が組み込まれています。最近だとよりデータサイエンスに比重がおいたMPAもできました。

各プログラムは、特定の政策課題に焦点を当てたカリキュラムを提供し、学生は政策分析のスキルやデータサイエンス、国際開発、法制度、管理運営の知識を実際のケーススタディやプロジェクトを通じて学ぶことが可能です。

各大学院のプログラムを探すときは、大学名+graduate programs listやmaster  programs listなどで検索すると一覧がでてきますので、それぞれの希望の大学院を見てみましょう。