会社のことよくわからないまま社会人になった人へ【第3版】

会社とは何でしょうか?会社は生き物と同じように生まれ、成長し、やがて成熟します。そして最期を迎えるのですが、生き延びる会社もあります。生き延びる会社とはどういったものなのでしょうか。また、「会社で働く」とはどういうことなのでしょうか。現在テレビでも活躍されている池上彰氏が私達に正しい会社の見方をわかりやすく教えてくれます。また、「働く」とは何かを考えさせてくれる一冊です。

本書は一章から五章まであり、会社の仕組みについてから働く意味についてまで書かれています。主な変更は章立てでは特段ありませんが、2019年から始まる「働き方改革」などの新項目はホットトピックなのでこれからこの辺りを知ってほしい新社会人、新就活生にはまず確認してみることがよいでしょう。

第1章 「会社の正体」
そもそも会社とはどういう存在なのか。会社の社会的役割とは何があるのか。
ずばり、会社は一人では実現できない大きな利益を上げ、お金を儲けるために存在しています。そして、お金を儲けるためには会社が社会に役に立つかどうかが問われます。一般的に「良い会社」「悪い会社」とは社会に役に立っているかが基準になります。
この章では、今ある大企業がどのように発展していったのか、また、「株式会社」「有限会社」の違いについても教えてくれます。

第2章 「会社の組織」
会社はどのような組織の元に成り立っているのか。会社には社長、会長などたくさんの役職があります。しかし、その中で一番偉い人、影響力を持つ人は誰なのでしょうか。
その正解は株主です。なぜなら株主が資金を出すことで株式会社が存在できるからです。
建前上株主が株主総会で取締役たちを選び、この取締役たちが社長を決めるのです。
この章では株の買収について、取締役会について書かれています。

第3章「会社の経営」
日本経済が不況に入り、会社の経営が厳しくなってくるとこれまでの日本的経営である終身雇用や、年功序列に変わり、成果主義を導入する企業が増えていきました。しかし、その成果主義もうまく機能せず、現在見直されつつあります。
この章では成果主義がなぜうまくいかなかったのか、また優れた指導者とはどんな人なのかについて書かれています。

第4章 「雇用」
近年プラック企業が問題になる一方で「ブラック企業」という言葉が安易に使われすぎているのが現状です。では何をもってブラック企業と呼ぶのか、昔はブラック企業がなかったのでしょうか。まず自分の勤める会社がブラックかどうかを判定する前に自分の将来も含めてその会社で未来を描けるかどうか考える必要があります。
この章では、様々な雇用形態について、労働組合の存在意義について書かれています。

第5章 「会社員を目指す人へ」
今後間違いなく発展する会社を見極める方法はあるのか。よく言われるのは「東大卒を大量に採用するようになると、その会社はもう発展しない」と言うものです。人気が出て高学歴の社員が増えた会社は実は会社としての成熟期をすでに迎えていると言うことになります。
この章では「会社で働く」とはどういうことか、また、会社を辞めたくなった時に考えるべき事について書かれています。

これから就職を考えている学生にとっては会社選びの参考に、すでに社会人になっている方にとっては自分の会社と自分自身を見直す良い機会を与えてくれる本ですので、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。

【筆者】本書の著者はテレビでも度々活躍されているフリージャーナリストの池上彰氏である。慶應義塾大学経済学部卒業後、NHKに記者として入局。科学文化部記者を経て、NHK報道局記者主幹に。11年にわたり放送された「週刊こどもニュース」にてわかりやすく丁寧な解説が人気を得る。2005年3月にNHKを退職。これまでに多くの著書を執筆している。