最新版 アスリートのためのスポーツ栄養学: 栄養の基本と食事計画 (GAKKEN SPORTS BOOKS)

【最新 スポーツ学について学ぶためのおすすめ本 – スポーツ生理学・栄養学の基本理論から実践メソッドまで】も確認する

パフォーマンス向上のための知識

アスリートが強い体づくりや試合に勝つために実践している食事方法について、ジュニアから成人の方に向けた内容が紹介されています。栄養の基本から、パフォーマンス向上のための食事計画まで、目的別の食事方法がわかります。すぐに活用できるので、スポーツに関わる全ての方におすすめの1冊です。

最新版
アスリートのためのスポーツ栄養学
栄養の基本と食事計画
相模女子大学栄養科学部健康栄養学科准教授
柳沢香絵監修

はじめに

スポーツと栄養には、切っても切り離せない関係がある。
プロのアスリートたちには、各競技の目的に合わせ、からだを強くするための食事や、試合に向けてコンディションを整えるための食事を管理や指導する専門の栄養士がいます。昨今、アマチュアのアスリートでも市民大会などの試合に参加するような方々は、食事や栄養に興味を持っていることでしょう。現在、スポーツ栄養に関する情報はさまざまな形で発信されています。しかし、スポーツ栄養の十分な知識がないままに、その情報を自分の都合のよい部分だけ活用してしまったことで逆にコンディションを崩してしまう人もいるようです。
アスリートが栄養士ほどの知識を持つ必要はありません。でも、栄養について知らずにいるのはもったいないことです。専門家の言葉や知識を上手に利用して、正しい食事を意識していきましょう。栄養学を学べば、必然と食事について考えるようになります。食べ物に含まれる栄養が、からだをつくり、強くしてくれるからです。そして、からだを効率よく強化させるために必要なのは食事計画を立てることです。
ただ、アスリートひとりひとりの年齢や性別、競技別によって摂取する栄養の種類や量は違います。そこで本書では、世代別や競技別、目的別に分けて食事計画を紹介しています。
まずは、基本的な栄養素の種類とその役割について知っていきましょう。アスリートにとっての栄養とは何か、どのように働くのかという点に着目していきます。その後、試合に向けたコンディションの整え方を解説していきます。さらに、ハイパワー、ボールゲーム、ローパワーに区分けした競技別の食事方法も紹介します。また、ジュニア期や高校生、シニア期による食事や、体調不良やケガによるアクシデント時における食事のとり方などについても紹介しています。
日ごろのトレーニングの効果を最大限に引き出すことのできる、競技力の向上とからだづくりのために必要な食事は何か、それを知ることから始めましょう。
本書を読むことで、自分の競技生活にふさわしい食事をしっかりと見極め、栄養素をバランスよく摂取できる食事生活の確立に役立つことができれば幸いです。
また、少しでも多くの人たちが、食事とスポーツとの関連性について意識や関心を持つようになることを願っています。
柳沢香絵

ウォームアップ
自分の食生活と向き合うために競技別セルフチェック!
アスリートとしてよい食事がとれているか?
からだを動かすためにはエネルギーが必要となり、消費されたエネルギーの補給として食事があります。これはどんな人にでも当てはまる事実ですが、アスリートは普段の生活に加え、通常体を動かさない人たちに比べて約2倍のエネルギーが必要となります。
ですから、一般の人たちと同じ食事法では補給が追いつかなくなります。だからといって、やみくもに食事量を増やせばよいわけではありません。競技によって消費されるエネルギー量は変わっていきます。そのため、摂取すべき栄養素の割合も異なります。
本書では、競技のタイプを運動時のエネルギー供給によって「ハイパワー」「ボールゲーム」「ローパワー」の3つに区分し、それぞれの競技に適した食事法を紹介していきます。また、ウェイトコントロールが必要な競技については、減量時と増量時に気をつけたいポイントを取り上げています。まず最初に、自分の競技タイプに合った食事がとれているか、チェックしてみましょう。

目次

はじめに
チェックリスト
自分の食生活と向き合うために、競技別セルフチェック!

Part1
アスリートが知っておきたい栄養素の基本
戦うからだをつくるためにアスリートが考えておくべき食事
アスリートのエネルギー源である糖質がなくては始まらない
アスリートのからだづくりの基礎はたんぱく質が重要となる
役割と性質を理解すれば、脂質はアスリートの味方
アスリートのからだの機能をキープするビタミン
アスリートに必要なさまざまな栄養成分を含むミネラル
アスリートに不可欠な「水」という栄養素について考える
COLUMN
日本の食事と食品のよさを語れるアスリートを目指す

「強いからだ」をつくる食事の基礎知識

Part2
アスリートの食事の基本は栄養のバランスを整えること
ジュニア期は「食べる」訓練をする時期だと考える
体脂肪との付き合い方を考える女性アスリートの食事
サプリメントは栄養補助として条件を守って摂取しよう
運動機能に大きく貢献!知られざるビタミンDのパワー
運動後に牛乳が効果的?進化する水分補給を知る
筋肥大を促進させるために高たんぱく食が有効とは限らない
COLUMN
「真のアスリート」を目指すために食事マナーについて考える

Part3
試合に向けた食事計画~ベストコンディションを目指す~

備えあれば憂いなし!試合に向けた準備期の過ごし方
準備期の体重管理はバランスよく全体量を調整すること
試合前に慌てないために、生活と食事のリズムをつくる
エネルギー源のグリコーゲンをいかに効率よく蓄えるか
実力を発揮するために、当日朝までに準備しておくこと
間食をとってエネルギーを補給!食品のGI値に着目。
グリコーゲンの貯蔵は、タイミングで変わると覚えよう。
試合前コンディションをチェック!
試合後コンディションをチェック!
オフ期は次シーズンのための準備期間。体重の増加に注意
食べたいものは必要なもの。からだの声に耳をすませて
糖質をいかに効率よく摂取するかを意識しよう
決して悪者ではない!エネルギー源としての脂質の立場
アミノ酸スコアで、必要摂取量と良質たんぱく質を見分ける
アスリートにとってのビタミンとその働きを理解しよう
渇きに合わせた水分補給がいつでもできる環境をつくることが大切
COLUMN
ドーピングへの意識を高めた自己管理の確立

Part4
競技力向上のための食事計画~競技別/世代別~

筋力と瞬発力が勝負!ハイパワー系競技の特性を知る
ハイパワー系競技のテーマは最大筋力の向上!
力を発揮するためには、たんぱく質以外の栄養素にも目を向けよう
パワー、スタミナ、技術が試される、ボールゲーム系の特性
ボールゲーム系競技の決め手はスピードとスタミナ!
高度なテクニックを維持するためのビタミンB群の役割
最大限の能力を引き出し、集中力を高く保つ!
カルシウムで競技中のせり合いに負けないからだづくりを目指す
試されるのは持久力!ローパワー系競技の特徴
過酷な練習に耐えられるエネルギー源を確保しておくために
エネルギー源である糖質が底をつかないように注意
貧血対策も忘れずに。鉄分の補給は念入りにしておこう
疲労骨折を防ぐため、カルシウムで骨の強化をする
ジュニア期である小中学生に必要な食事について考える
本格的なトレーニング開始。高校生は食生活の乱れに注意
練習と生活の両立を目指す大学生のための食事計画
本格的なアスリート集団である実業団のための食事計画
からだへの自覚が重要!シニアのための食事計画
COLUMN
GI値は食品の組み合わせ次第で変化する3

Part5
強くなるための目的別食事計画
たんぱく質、ビタミンC。ブラスアルファで風邪に勝つ!
下痢や便秘の際に、どのような食事をとるかを知る
ケガの回復を早める栄養素の働き
栄養素を組み合わせスポーツ貧血からからだを守る。
アスリートの減量はいわゆるダイエットではない
コツをつかんで乗り越える!意外に難しいアスリートの増量
環境の変化に負けない!合宿・遠征先での食事の注意点
アスリートにとって「効果的な間食」は存在する
自分のからだを客観的に見つめることで勝利につながる
食事をチェックして、必要なもの不必要なものを明確に
COLUMN
熱中症を自覚するために知っておきたいこと。

Part6
データでわかるからだをつくる食品の栄養素

栄養バランスが整った食事の基本型
主食
主菜
副菜
果物・種実類
乳製品