NHK出版 なるほど! の本 ミニマリストの持ちもの帖―家族5人 これだけで暮らしています (NHK出版なるほど!の本)

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何が本当に必要なのかがわかる

ミニマリストとその家族の、シンプルかつ快適に暮らす極意が紹介されています。暮らしに関する思い込みを手放すことで、生活がもっと自由になります。ミニマリストの送る生活を覗くことで、より豊かに暮らすヒントが見えてくるでしょう。

はじめに

我が家はこれだけで 暮らしています。
結婚して20年。私は、夫と3人の息子たちと暮らしています。多くのものを、多大な労力で得て、そして多くの労力で管理することに限界を感じ、多くは持たない暮らしをしています。一年を通して6着の服と、4足の靴で過ごしています。一昨年には、大きな家から小さな家に移り住みました。そしてその結果、以前より支出は減り、家事が楽になり、暮らしがうまく回り、人生がより充実するようになったと感じています。それは、私がミニマリズム(最小限主義)という「道具」を手に入れたから。

先人が長い間かけて発明、発見してきた道具や 事象は、知恵の賜物です。そして、技術の進歩によって大量生産が可能となり、道具は安く大量に出回り、暮らしは豊かになりました。ところが今は、それが飽和状態。高度成長期以前の世代は、暮らしを豊かに導いてきたものたちを惜しんで手放すことができず、高度成長期以降の世代は、生まれたときから便利な道具があるのは当たり前で知恵の使いどころを知りません。「もっと、もっと」と求め続け、便利なはずの道具が、持ちすぎることで、私たちの暮らしに不利益をもたらすこともあります。それを解消するのが、ミニマリズムという道具であると考えます。 「ミニマリズムというツールを得て、私は以前よりも、持ちものを機能的、効率的に活かせるようになり、より愛着を持てるようになりました。
本書は、その残した大切な持ちものを紹介した本です。とある家族持ちのミニマリストというひとつの暮らしの形として、興味本位で楽しんでいただきつつ、あなたの「必要十分」を見つめるきっかけとなれば、この上ない喜びです。

尾崎友吏子

我が家のキッチンツール一式。包丁は、切る順番を考えればいちいち洗わずにすむので、2本で十分時短可能。

夫の祖母から譲り受けた足踏みミシン。メンテナンス をきちんとほどこし、今でもしっかり現役。最新の電 子ミシンよりも私にとっては使いやすいと感じます。

我が家のひとり分の食器、カトラリー一式。成長期の男の子3人のおなかを毎日しっかり満たすためには、これだけの食器が必要です。

家族5人分の食器はこれだけなので、シンクの上の吊り戸棚に収まります。よく使うものを取り出しやすい下段に収納。

息子たちはおなかが空くと機嫌が悪くなります。平日は仕事から帰って、いかに手早く食事を提供できるかがポイント。週末まとめて作り置きをする「手間貯金」をするため、保存容器は大活躍。

私の春の服は、撮影時に着ていたものを含めてこのとき全8着。自分のスタイルを決めたら、毎日着るものに悩 む時間と管理の手間から解放されました。

家族5人の衣服が収納されたファミリークローゼット。Yシャツなどはアルミハンガーに干して、たたまずそのまま収納。

消耗品ストックはこのカゴに入る分だけ。洗剤類は種類を減らせばグッと管理が楽になります。

感染症予防のために、フェイスタオルを家族各々2~3枚ずつ使っています。家族5人で16枚。

洗面も家族の歯ブラシとドライヤーだけでスッキリ。石鹸置きは、写真のようなマグネットでくっつくタイプ。

私が、ミニマリズムというツールで得た暮らしのメリットは、次の4つ

1 日々の暮らしが楽になる
スムーズに回る暮らし=管理するものが少ない。買うものも少ない。家事が能率的に早く終わる。主婦としてこの恩恵は大きいと感じます。
2 持ちものを工夫する楽しみ
「これは絶対必要」という思い込みが、「今あるこれで代用できる」と柔軟な発想に変わり、ちょっとした知恵や工夫で情報に振り回されすぎずに暮らせます。新しい使い方を発見したり、大好きなものを使い尽くしたときの喜びがあります。
3 人生で大切なものに集中できる
暮らしをそぎ落とす過程では、「これは自分にとって必要?不必要?」という選択を繰り返します。何を捨てるかよりも、何を残すかを考えていきます。その過程で、「自分が人生で何を大切にしたいか」輪郭が浮かび上がります。残したものは自分の暮らしに大切なものばかり。もの選びは生き方を選ぶこと、暮らしを選び取ること。重要でないことからエネルギーを奪われずに、大切なことに集中できるようになります。
4 変化に対応しやすい
必要なものが少ない暮らしは、加速度を増して変化する社会や、自分の暮らしの変化に柔軟に適応できます。

玄関には靴箱がひとつだけ。この中に家族5人分の靴(全部で19足)が収まっています。装飾も靴箱の上に小さな額に入ったポストカードのみでスッキリと。

目次

はじめに 我が家はこれだけで暮らしています

1章 台所用品

和洋中なんでもこい
プレート小/プレート大/小鉢

用途に合ったもの
どんぶり/深皿/汁椀/ガラスのコップ/コースター 耐熱カップ/ガラスの急須

我が家の台所用品で数が多いもの第1位は「水筒」
水筒

なんにでも使えるオールラウンダー
ガラスマグ/ボウル/プレート中

ほかの用途でも使ってみる
重箱/ティーウォーマー/ナイフ

「子ども用」はいる?いらない?
茶硬/I/フォーク/小さいすり鉢すりこ木/子ども用包丁/保冷しない水筒

なしでやってみる
カセットコンロ/ざる/ボウル/レシビホルダー/缶切り、栓抜き、包丁研ぎ/鍋帽子/取っ手が外せる入れ子鍋

いっぱいあることで時短に
耐熱ガラスの保存容器/菜箸/お盆

一役よりも多用途のもの
まな板/琺瑯保存容器

特別な道具はいらない
泡立て器/千切り用スライサー/ケトル

ていねいに手入れして使う
包丁/鉄のフライパン/アクリルたわし/台拭き

column001 手入れがかんたんなものを選ぶと長く気持ちよく使える
お弁当の色は食材でつける
曲げわっぱ/お弁当用カップ、つまようじ一式
収納しやすい形
箸置き/コーヒーバネット/スケール

Column002 家庭料理で必要な道具はそれほど多くない

2章 住用品

長く愛用できる
ダイニングテーブル/ダイニングチェア/天然素材のカゴ

必要なタイミングで買えばいい
ライティングビューロー/学習机

「循環する」素材
無垢材のシステムキッチン

使い道や形の自由度が高いもの
衣装ケース/引き戸のキャビネット/パイン材ボックス/布製ボックス/スチールラック/ファイルボックス

「小さい」「軽い」「折りたためる」
座いす/折りたたみ座卓/扇風機/湯たんぽ

とことん妥協しない
裸電球/キッチン用ごみ箱

飾らなくてもいい
額、ポストカード/クリスマスグッズ一式/おひなさま

column003 手放して後悔した唯一のもの

3章 衣類

今着る服しか持たない
フレンチリネンブラウス/スカート/キュロット

フル活用して使い切る
ワンピース/前開きのシャツ/セットアップ/カーディガン

真夏・真冬ものは少なめに
ウールのトレンチコート/カシミヤのケープ/レッグウォーマー

肌が喜ぶ素材を選ぶ
スリーパー、ガウン、パジャマ/メリノウールアンダーウェア/プラ、キャミソール、ショーツ

毎日使うものからミニマムに
ハンカチ/靴下/ウールのホームカバー

バッグは用途 × 大中小の5個
トートバッグ/レザー2wayバッグ大/布袋バッグ/ レザー2wayバッグ中/レザー2wayバッグ小

ポーチの中身は?
家族全員で靴は19足
ブーツ/ストラップシューズ/サンダル

衣服もローリングストックで管理
寝具をたくさん持たずにすむ工夫
敷き布団/掛け布団

大好きな布を使い切る

column004 「もの」も「こと」も増える「憧れ症候群」

4章 家族のもの

非常時の備えはふだん使うもの、食べるもので
飲料、食材/手元ライト/手のひらサイズのLEDライト/カセットコンロ/外付けHD/ティーキャンドル

一人ひとつずつ非常用持ち出しバッグを用意
非常用持ち出しバッグ

防災用品は3か所に分けて保管
手元に置いておく?どんどん手放す?
本や雑誌

思い出も少数精鋭で
思い出ボックス/写真

子どもが必要なものは子どもが選ぶ
子どもの作品/絵本/おもちゃ

column005 「ミニマリズム」と「家族」は共存できる?

5章 その他

ものを大切にする意味を教えてくれるもの
足踏みミシン/裁縫道具

ハンガーが100以上ある理由
アルミハンガー/アルミハンガージャケット用/ スラックス用ハンガー/洋服ブラシ

化粧品もミニマムに
ごま油/コスメグッズ

石鹸でなんでも洗う
固形石鹸/炭酸ソーダ/液体石鹸/酸素系漂白剤/酢

消耗品ストックは箱ひとつ分
レジ袋ストック

掃除グッズはすぐ手に取れる場所に
キッチンブラシ/ミニほうきとちりとり/無印の掃除グッズ

尾崎家の全持ちものリスト

おわりに 「これだけあれば十分」で、暮らしはもっと自由になる