思考の整理学 – 時代を超えたバイブル

現代に必要な考えるとは

思考の整理学は240万部を突破したベストセラーで、東京大学・京都大学の学生にいちばん読まれた本です。考えるというのはどういうことなのか。思うのとどう違い、知るとの関係はどうなのか、いかなる手順をふんで考えているのであろうか。このように、ものを考えるとはどういうことか、を考えようとする人のためになるような本です。また、本書は6ページほどの短い節に分かれていてとても読みやすい本となっています。すぐ切りの良いところまで読むことができるので、5分や10分の隙間時間に少しずつ読み進めることもできます。

現代の教育は自分で学ぼうとする力を養うことができない方法で行われています。学校の生徒は先生と教科書に引っ張られて勉強します。自学自習という言葉はありますが、自分の力で知識をつけるのではありません。そしてそのような環境の中でいう優等生とは、引っ張られることがうまい生徒なのです。優等生ほど、自分の力で自分の好きなことを研究しろ、というようなことが苦手なのだそうです。すぐどうすれば良いか、面倒見の良い先生のところに聞きに行き、助言を受け、また引っ張られて出来上がった研究になります。学校はこのような優等生は量産できますが、自力で考えられる人間を育てることが難しいです。指導者がいて目標がはっきりしているところでは優等生が重宝されます。しかし、コンピューターという望まれた通りになんでも正確にできる便利な機械があらわれたので、自力で考えられないものはコンピューターに仕事が奪われてしまいます。

本書のあとがきには、自分はどういう考え方をしているのかということを意識するには、他の人の型に触れるのが有効である、とあります。本書は技術や方法を教えるものではなく、自分の考え方を認識することを後押しする本となっております。本書は1983年の初版という昭和にでたものですが、その内容自体は未来につながる普遍的な真実を書いています。 

外山滋比古 (著)
出版社: 筑摩書房 (1986/4/24)、出典:amazon.co.jp