FOOTBALL INTELLIGENCE フットボール・インテリジェンス 相手を見てサッカーをする

サッカー元日本代表の岩政大樹氏のサッカー本です。国立大学である東京学芸大学に一般入試で合格し、数学の教員免許も取得している著者。両親がともに教員で、著者自身も教員を志望していた過去があります。それだけに、さすが、INTELLIGENCEな本の内容となっています。

本の内容としては、大きく3つに分けられます。

1つは「ポジショニング」です。11人で行われるサッカーは、11人がおのおの好き勝手に動くのではなく、ある程度の役割(ポジション)があります。そのポジションを1つ1つ項目に分けて解説してくれています。読めばすぐわかりますが、サッカーの知識がゼロの方にとっては理解に苦しむ内容です。逆に、サッカーが好きでよくテレビで見ている方、もしくは、高校生年代以上まで実際にサッカーをプレーしてきた方にとっては、新たな発見がある内容です。(※中学校年代までのプレーヤーにとっては難しい内容かもしれません。)特に、「相手」を意識したポジショニング解説となっているため、ご自身の運動神経や技術に頼ってサッカーをしてきた方にとっては、“頭を使って”サッカーをすることの大切さや面白さを感じさせてくれるでしょう。サッカーの指導者がこの本を手にとれば、指導へのアプローチ方法が変わるかもしれません。各ポジション別に“良いポジショニングとは?”の解説がされているため、指導者はこの本を熟読し、選手に向けて講義をすると良いかもしれません。

次に書かれている内容は「システム」です。もうここまでくると、サッカー好きや、経験者・指導者でないと話についてこれません。4-4-2、4-2-3-1など、この数字の羅列を理解できますでしょうか。この数字は、DF(デイフェンダー)、MF(ミッドフィルダー)、FW(フォワード)の数になります。サッカーにはシステム(フォーメーション)があり、プレーヤーの特徴や、相手チームの特徴によってシステムを変更します。そのシステムの問題点や、急所を岩政氏が解説しています。2022年カタールW杯を目指す日本代表は、4-4-2のシステムと、3-4-2-1のシステムを併用しています。(※2019年6月5日のトリニダード・トバゴ戦にて初めて3-4-2-1のシステムを採用した。)システムを理解すると、サッカー観戦の仕方に深みが増すことが期待できるかもしれません。

最後に書かれている内容は「駆け引き」です。岩政氏は「相手を見てサッカーをする」ことの大切さを再三伝えられてきました。サッカーは「自分たちのサッカー」をすることが目的なのではなく、勝つために試合をしているのですから、目的は“勝つこと”です。だからこそ、相手の立場に立ち、相手のポジションから見た景色を想像し、“勝つ”ヒントを得ることが大切と訴えています。第3章で書かれている「駆け引き」は岩政氏の現役時代の具体的経験を踏まえた「相手の心理を想像する」ことが書かれている為、学びの多い章と言えるでしょう。

以上を踏まえ、この本について改めて考えると、お勧めの読者ターゲットは、コアなサッカーファンか、指導者やプレーヤーになってくるでしょう。サッカーファミリーの皆さんがこの本を手に取り、サッカーがうまくなることを期待しています。

∑また下記にて岩政大樹氏の他の書籍も消化しております。

サッカーを理解するための岩政大樹この3冊