最前線 – eスポーツを知るこの5冊

「eスポーツ」は、これまでゲーム界でのホームソフトウェア、モバイルゲームなどのハードウェアに続く、これまで以上の新しいゲーム市場です。 大規模なイベントの数も増加し、市場規模が急速に拡大しました。そして、eスポーツを楽しみたい、また、これから職業としてこれからeスポーツ選手になりたい人、eスポーツを仕事にしたい人に向けて活躍したいという人に向けた現在のeスポーツを知ることができる最前線の内容を含んだ5冊を紹介します。

 

1億3000万人のためのeスポーツ入門

但木一真 (著, 編集) , 謎部えむ (著), live (著), 西谷麗 (著), 佐々木まりな (著), 松本祐輝 (著), 高木智宏 (著)
出版社: NTT出版 (2019/6/3)、出典:出版社HP

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テレビや新聞、雑誌など各メディアで「eスポーツ」という言葉を見かける機会は激増しています。そして、eスポーツについて興味関心を持ち、詳しく調べようと思った時、その難しさに直面する人も多いのではないでしょうか。まだeスポーツに関する書籍は充実しておらず、インターネット上にも断片的な情報が散在しています。筆者が言うには「ウェブという情報の海は中に入ろうとする者を手荒くもてなす。目的地へと導く道標も存在しない。」。

本書は、eスポーツについて調べる上で前提知識として知っておくべきことを4部構成でまとめています。第1部ではeスポーツの基礎知識について、第2部ではeスポーツシーンの最前線としてプレイヤー、チーム経営について、第3部ではeスポーツシーンの裏方として、テレビとの関係、法律上の問題点について、第4部ではeスポーツの未来についての座談会の内容が書かれています。本書の内容を頭の片隅に入れておけば、eスポーツについてより深く理解することができます。そして、本書は多種多様なバックグラウンドを持つ執筆者が寄稿しており、多角的な視点からeスポーツについて知り、考えることができます。ウェブ上に溢れかえる情報のうち、必要最低限の知識の要点をまとめた、まさに「道標」といえる1冊といえるでしょう。

プロゲーマー、業界のしくみからお金の話まで eスポーツのすべてがわかる本

黒川 文雄 (著) , 加藤 賢治 (編集), 染谷 昌利 (編集)
出版社: 日本実業出版社 (2019/6/20)、出典:出版社HP

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「eスポーツ」という言葉を聞いたことのある人は多いのではないでしょうか。しかし、言葉は聞いたことがあるけれど、eスポーツが一体どういうもので、プロの世界や大会などについて詳しくわからないという人も多いと思います。そんな疑問に答えるのが本書といえます。本書は、「eスポーツとは何か」から、その仕組み、プロゲーマー、お金のことをはじめ、eスポーツの世界について解説しています。

「eスポーツとは何か」の項目では、eスポーツがどのような競技なのか、そもそも「スポーツ」なのか、eスポーツに関わる仕事にはどのようなものがあるのかなど、eスポーツについて概観していきます。そして、eスポーツの大会やプロゲーマーの世界についてさらに掘り下げてみていきます。さらには、eスポーツの急発展から派生する周辺ビジネスについての説明もなされています。最後に、本書では、客観的な視点から、eスポーツが社会にもたらす良い影響、悪い影響の両面についても言及されており、eスポーツの発展について考える一助となりうるものとなっています。

みんなが知りたかった 最新eスポーツの教科書

岡安 学 (著)
出版社: 秀和システム (2019/8/24)、出典:出版社HP

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2018年から急速に知名度が拡大し、一大ムーブメントになりつつあるeスポーツですが、世界規模で見れば定着してきているといえるのに対し、日本ではまだ定着しているとはいえません。ほとんどの人がeスポーツという言葉を聞いたことがあってもそれがどういうものかわかっていないのが現状です。そこで、eスポーツについて取材してきた筆者がeスポーツを知ってもらうべく「eスポーツの教科書」として書いたのが本書です。

第1章ではeスポーツの全体像をつかむべく、現在の日本におけるeスポーツ環境について概観していきます。第2章ではeスポーツのプロについて、第3章では「観るeスポーツ」としてeスポーツ大会の観戦について、第4章ではアマチュアのeスポーツの広がり、国体やプロ野球、Jリーグとの関わりについて説明します。第5章ではeスポーツの未来について考えます。本書全体として、比較的簡潔な記述にまとめられており、読みやすい構成となっています。eスポーツについてある程度のことは知っているという方には物足りない内容かもしれませんが、eスポーツの詳細をほとんど知らないという方にとっては、eスポーツについて知る最初の1冊としておすすめできるといえます。

eスポーツ論 ゲームが体育競技になる日

筧 誠一郎 (著)
出版社: ゴマブックス (2018/8/1)、出典:出版社HP

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本書は、長年ゲーム事業に携わり、10年以上前からeスポーツに関する活動を行ってきた筆者が書いたeスポーツの解説書です。筆者は“「eスポーツは陸上競技という言葉とニアリーイコール」だ”と言います。“陸上競技と同様に、電子上でおこなわれるさまざまなジャンルの競技を総称してエレクトロニック・スポーツ=eスポーツと呼んでいると理解してもらうとわかりやすいと思います。”これは、「eスポーツ」という言葉を的確に捉えた説明といえます。また、筆者は、“今、日本のeスポーツ界は世界から7年取り残されている”と言います。

その理由や背景について、eスポーツの歴史や日本のゲーム業界の歴史などに触れながら説明しています。ほかにも、プロゲーマーについて、eスポーツに関わる組織や大会について書かれており、本書の最後にはeスポーツがオリンピックの正式種目になる可能性について述べられています。日本でeスポーツが認知されるよりずっと前からeスポーツに関わってきた筆者の経験にもとづく知識が多く盛り込まれており、全体の分量はそれほど多くないにもかかわらず読み応えが十分ある1冊となっています

勝ち続ける意志力

梅原 大吾 (著)
出版社: 小学館 (2012/4/2)、出典:出版社HP

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筆者は日本人初のプロ格闘ゲーマーで、「世界で最も長く賞金を稼いでいるプロ・ゲーマー」としてギネスにも認定された、梅原大吾氏。本書は、ゲームの世界でトップレベルで活躍し続ける筆者の勝負哲学のエッセンスが凝縮された1冊です。本書を通じたテーマとして、「勝ち続ける」ための考え方が挙げられます。第2章のタイトルは「99.9%の人は勝ち続けられない」というショッキングなものですが、本書を読み進めていくうちに、自分は筆者ほどの努力ができているのか、努力をし続けるための精神力があるのかなど、自問自答を繰り返していき、第2章の上記タイトルが実感に変わります。

筆者はゲームの世界で一流を極めた方ですが、その考え方はあらゆる物事に通じるものと思います。勝ち負けのあることはもちろん、何かを作り出す作業であったり、自分自身との戦いなどにおいても、筆者の考え方は役に立つといえます。“全盛期はいま、そして未来”“新しいものから素直に学ぶ姿勢を忘れないこと”“人は、過去の栄光にすがると弱くなる”“勝ち続ける人間は、運が悪くても勝てる道を追求し続けている人間だ”など、筆者の名言も多く登場し、筆者の考え方を理解し、自分の生き方にも参考にできる1冊です。