【レビュー】みんなが知りたかった 最新eスポーツの教科書

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みんなが知りたかった 最新 eスポーツの教科書 目次

はじめに

第1章eスポーツとは? ――全体像をつかむ
・2018年はなぜ「eスポーツ元年」と呼ばれたのか?
・賞金総額9億円の海外大会も 日本でも稼げるようになった
・ゲームを視聴する「オーディエンス」の誕生

日本のポジションを知る
プレイヤー人口の差
プラットフォームの違い
日本独自のeスポーツ
プレイ人口が多い方が優位 売り切りゲームの問題点
『ぷよぷよ』と「ウイニングイレブン」の違い

eスポーツとコミュニティ .
日本のeスポーツ環境
「eスポーツ」という呼び方
そもそも「スポーツ」とは?

性差・年齢差のないスポーツ ・
eスポーツチームのダイバーシティ eスポーツの平等性

第2章 プロとeスポーツ
eスポーツ大会と賞金
JeSUの発足と「プロゲーマー」の登場
JeSUの仕事 自主規制 消費者庁の判断
年齢制限?火種は残る
参加費の問題
風俗営業法
反復継続性の禁止
個人やチームのスポンサー
イベントのスポンサー
モンストグランプリのスポンサー
ゲームとは関係の薄いスポンサーの参入
カップヌードルの参入 実体験による広告効果

JeSUとプロライセンス
公認タイトル
選定基準
海外のタイトル
日本の非公認タイトル
プロライセンスの必要性
オリンピック
時期尚早か?
JOCの見解と立場
オリンピック種目に選ばれる意義

第3章 参加するeスポーツと観るeスポーツ
「参加者 = 観客」から「観る専」へ
「オーディエンス」の登場
ネット経由の「観る専」とTwitch
著作権に抵触しないゲーム動画の配信
ストリーマーの登場
オフラインイベントの増加
オフラインイベントの意義

「観客ありき」の興行 ・
eスポーツイベントの「興行性」とは?

eスポーツの施設について
eスポーツ施設の不足
タイトルごとの拠点も必要
安定収入への道としてのグッズ販売
グッズを販売する施設の例

ライブ配信によるマネタイズ
Twitchの「ビッツ」と「チアー」システム
ユーチューブのスパチャ
あめみやたいよう選手の例
ファンが選手を支える仕組み
ストリーマーとプロゲーマーの違い

第4章eスポーツの裾野を広げる
アマチュアのeスポーツ
高校生向け大会の発足
茨城県立大洗高校にeスポーツ部が発足
ショップも支援
広がる門戸高校生のeスポーツと通信制
大学生のeスポーツ
地方での展開
有馬温泉にeスポーツ
実は eスポーツが盛んな富山県
地方密着型 eスポーツ
JeSU地方支部
NTT東日本による通信環境の整備
eスポーツイベントのパッケージを支援
双方向通信の恩恵は大きい

国レベルの大会とプロスポーツリーグによる大会運営
国レベルの大会――アジア競技大会 国体
日本プロ野球機構(NPB)による運営
Jリーグによる運営
NPBによる『スプラトゥーン2』の大会運営
Jリーグによる「サッカー以外のタイトル」の運営
ゲームとリアルスポーツのつながり

第5章eスポーツの未来
マネタイズのエコシステム構築が必要
IPホルダーの主催
コミュニティによる運営の観戦によるマネタイズ
常設アリーナが必要
他のスポーツに見る常設アリーナ
常設アリーナのメリット
2個別タイトルや選手のファン化によるマネタイズ
賞金制の難しさ
安定のリーグ戦
兼業という選択肢
第三の道―実業団
デジタルハーツの「実業団」システム
社会人プレイヤーのメリット

eスポーツ選手のセカンドキャリア問題
アマチュアeスポーツにデメリットはない
安定か一攫千金か
企業にとっての「社会人化のメリット」
プロとアマチュアの垣根は曖昧
eスポーツだけの問題ではない

eスポーツ選手の育成
チームで戦う
一騎打ちゲームでもコーチングが有効
セカンドキャリアとしてのコーチ

eスポーツの今後
ブームではない
エンターテイメントとしてのeスポーツ
隆盛? 斜陽?

岡安 学 (著)
出版社: 秀和システム (2019/8/24)、出典:出版社HP

第1章 – eスポーツとは? ー全体像をつかむ

2018年はなぜ 「eスポーツ元年」と呼ばれたのか?
2018年はeスポーツ元年と呼ばれ、日本でeスポーツが一気に知れ渡った一年でした。
ユーキャン新語・流行語大賞にも「eスポーツ」がランキングされました。
一般社団法人日本eスポーツ連合(JeSU)が発足し、プロライセンスの 発行や国際大会への参加の窓口となるなど、eスポーツ界隈での大きな動きが ありました。

他にも、『モンスターストライク』のプロチームのみが参加できるプロツアー「モン スターストライク プロフェッショナルズ 2018」 『ぷよぷよ』のプロリーグ「ぷよぷよチャンピオンシップ」 『クラッシュ・ロワイヤル』の国際プロリーグ「クラロワリーグ」などの大会やリーグなども始まっています。

第18回アジア競技大会(2018/ジャカルタ・パレンバン)では、eスポー ツがデモンストレーションながら競技となりました。
日本は、『ウイニングイレブン』と『ハースストーン』部門で予選大会を突破し、 本戦出場を果たしています。それどころか『ウイニングイレブン』では、相原 翼選手と杉村直紀選手のペアが優勝し、金メダルに輝いています。
2018年1月にはアメリカの対戦格闘ゲームイベント「Evolution (EVO)」 の日本版「EVO Japan」が開催され、5000人を超える参加者が集まりました。

そして年末には「クラロワリーグ」の世界大会が幕張メッセで開催され、日 本プロ野球機構(NPB) 主催の『実況パワフルプロ野球』を使った「eBaseball プロリーグ」も開催されています。毎日新聞社とサードウェーブの共催による 「全国高校 eスポーツ選手権」も行われました。

賞金総額26億円の海外大会も
このように、2018年はまさに日本におけるeスポーツ元年と言える年で した。
ただ、2018年に急にeスポーツが拡大したかというと、そうではなく、 日本では数年前から、海外では10数年前から徐々に拡大してきました。

徐々に拡大してきた eスポーツが注目されるきっかけとなったのは、海外の 大会での高額賞金です。『DOTA2 』(ドータ・ツー)が賞金総額3億円の大会を開催したことにより、一気に注目度があがり、プロゲーマーという存在 も知れ渡りました。

日本でも稼げるようになった
日本でもゲーム大会自体はそれこそ20数年前から開催されていましたが、ほとんどがコミュニティ主催のもので、賞金などが発生しない大会でした。メー カー公式の大会もありましたが、これも賞金を出したり、プロ選手としての活 動の後押しをするというよりは、ファンへの還元の意味が強いイベントでした。 また、プロゲーマー自体は日本にも存在し、海外で賞金が発生する大会へ出場し、賞金を稼ぎ、スポンサーを得て、生計を立てています。
2018年がeスポーツ元年となったと言われる所以として、プロゲーマーが日本でも稼げるようになりはじめたという側面もあるわけです。

ゲームを視聴する「オーディエンス」の誕生
同時に、動画配信サイトによるゲーム動画の著作権に関するIP ホルダー (著作権保有者)のスタンスが変化しはじめました。

ソニーのプレイステーション4はワンボタンで動画やスクリーンショットを 投稿できる「シェア」ボタンを搭載し、動画配信サイトへの配信を推奨しています。任天堂も、個人のゲーム実況動画の収益化を認めガイドラインを策定しました。
これにより、他人がゲームをプレイする動画を視聴するという新たな文化が 定着したわけです。ゲームを視聴する文化は、より高度なプレイをするプロゲー マーのプレイを観るというスタイルにも転換され、eスポーツを観る層ができ、 それがeスポーツを後押しする要因ともなりました。

「ゲーム大会」と「eスポーツ」の違いは基本的にはないのですが、それでも 差別化する必要があるとすれば、オーディエンス (観客) の存在ではないでしょうか。
ゲーム大会でも試合をしている人の周りには人だかりができていますが、これの多くは参加者であり、純粋なオーディエンスとは言い難かったわけです。

岡安 学 (著)
出版社: 秀和システム (2019/8/24)、出典:出版社HP