ラグビーをもっと知ろう – ラグビーがよく分かる5冊を紹介

ラグビーのルールは実はシンプルで、奥が深いです。テレビでは解説者がルールを解説する場面が多々あり、それとともに1つ1つ覚えている方もいらっしゃるのではないのでしょうか。

また、ラグビーがこれまで体と体がぶつかり合って力だけの競技かと思われがちですが、そこには沢山の戦術が詰まっています。そこで今回は戦術/ルールがわかれば更に試合の味わいが一変する5冊をご紹介します。

観戦&プレーで役に立つ! ラグビーのルール[改訂新版]

公益財団法人 日本ラグビーフットボール協会 (監修)
実業之日本社、出典:出版社HP

【詳細 / 目次 / はじめに】を確認する

今、日本ではラグビーへの関心が高まっており、盛り上がりを見せています。W杯の開催も伴い、連日テレビニュースではラグビーの特集が組まれ、その熱は増すばかりです。

本書は、日本ラグビーフットボール協会の監修のもと、ラグビーのルールについてはもちろんのこと、試合の進め方の大まかな流れや、各ポジションの役割、さらには7人制ラグビーやジュニアラグビーについてなど細かいことまで書かれており、また、自分がプレーする上で押さえておきたいことといった、ラグビーを自分でやってみたい人にも是非おすすめしたい1冊となっています。

本書は全部で6章の構成になっています。1章では基礎知識について紹介されており、グラウンドのサイズから試合の終了後についてまで詳しくまとめられています。2章では、基本的な競技方法について紹介されており、プレーの原則や、キックの種類、スクラムのことが書かれています。よく耳にするけれども詳しくはわからない。そんな悩みを解決することができるでしょう。3章では反則とプレー再開方法について取り上げられており、主な反則を一つ一つ名称と照らし合わせながら確認できるようになっています。4章ではマッチオフィシャルについてとなっています。

マッチオフィシャルとは、1人のレフェリーと2人のアシスタントレフェリーのことを指す言葉です。この章ではレフェリーが必要とする服装や道具の解説がされており、さらにはレフェリーの心得まで書かれています。5章ではセブンズ(7人制)のルールについて書かれています。私たちが普段見ている15人制のラグビーとどういった違いがあるのか、7人制ならではの魅力について知ることができます。6章では、ジュニア(U−15)ラグビーのルールを取り上げて解説されています。一般のラグビーとプレースタイルは同じなのか、反則については厳しくなっていないのか、意外と知られていないジュニアラグビーについて掘り下げられています。

また、本書は章ごとに項目、解説、チェックポイント、豆知識というまとまり書かれていて、非常に読みやすくなっています。また、写真や図も多く挿入されていて、イメージしやすい構成になっています。ラグビー初心者の方にはもちろん、もっと深く知りたい人、ラグビーに携わりたい人にも手にとって読んでもらいたい1冊です。

はじめてでもよく分かるラグビー観戦入門

斉藤 健仁 (著)
海竜社、出典:出版社HP

【詳細 / 目次 / はじめに】を確認する

ラグビーは世界中のスポーツファンを現在も魅了し続けています。ラグビーにはパスやキックといったボールゲームの要素と、タックル、スクラムなどの格闘技の要素を兼ね備えているという点が大きな魅力になっています。また、練習でも試合でも相手を称えてプレーしなければならず、選手のみならずファンも良いプレーがあれば敵でも味方でも拍手を送ります。

本書ではラグビーの試合を見てみたいという人に焦点を当てて、試合の流れやプレーの特徴を丁寧に解説しています。また、第5章ではラグビーにまつわる素朴な疑問に答えていて、ラグビーを考案した人物についての話であったり、ラグビーボールの形の秘密、国際試合前に選手たちが見せてくれるパフォーマンスとは何かといった試合以外の気になることにも言及しています。

ラグビーには大事な考え方があり、国際統括機関『ワールドラグビー』は、2009年に「ラグビー憲章」を発表し、品位、情熱、結束、規律、尊重という5つの核となる価値観(コアバリュー)を定めました。日本でも結束や規律に関わる教育的価値が評価されていたものの、この5つの価値観こそラグビーが持つ伝統的で普遍的な側面を映し出しており、これらを踏まえてラグビーを見るとまた違う一面が見えるかもしれません。

ラグビーに興味があるけど、今更初歩的なことは聞けないと思っている方や、覚えるものが多すぎてどこから手をつけたら良いかわからないという方には是非読んでもらいたい一冊となっています。ラグビー本来の価値、魅力を知り、ラグビーを見るきっかけになります。

ラグビーは3つのルールで熱狂できる

大西 将太郎 (著)
ワニブックス、出典:出版社HP

【詳細 / 目次 / はじめに】を確認する

日本でラグビーが注目され始めたのは、2015年にイングランドで行われたW杯において、日本が格上である南アフリカに勝利したことです。そのまま日本はサモア、アメリカ合衆国戦にも勝利を納め、あと一歩のところで、決勝トーナメント進出は逃したものの、注目の的となりました。また、「五郎丸ポーズ」が流行し、ラグビーをよく知らない人でもポーズができたほどの人気でした。ですが、五郎丸ブームも去り、一部ではラグビーへの関心が薄れてきているのも確かです。

本書は、そうした2015年にラグビーにハマったものの、そのあとが続かなかったという福田氏に、かつてラグビー日本代表として最前線で戦い、当時日本が更新し続けていた連敗記録を止めたとされる大西将太郎氏が改めてラグビーの魅力や観戦術を伝え、現在行われているW杯を応援しようという内容になっています。とりあえずは3つの基本ルールを押さえれば楽しめるということや、こういう状況では点が動きやすいというような、なるべく専門的な知識がなくても理解できるようになっています。また、天候や気温の違いごとの観戦のコツや、テレビで観戦するときの注目すべき点など、どのような状況でも最適な観戦方法を教えてくれます。

また、本書は先ほど述べた福田氏と大西氏の対談という形で構成されています。会話の内容がそのまま文字化され、書かれているため非常に読みやすくなっています。また、期間限定ではありますが、本書の中のQRコードから動画をみることができるため、すぐに飽きることはないはずです。

大西氏が実際に体感した世界のラグビーについての声を聞きながら、W杯の観戦準備もしっかりできる、そんな一冊になっています。少しでも興味がある方、楽しく試合観戦をしたい方におすすめしたいです。

序列を超えて。 ラグビーワールドカップ全史 1987-2015

【詳細 / 目次 / はじめに】を確認する

日本でラグビーが認知され始めたのはここ5年ほどのことであり、どのくらいの民度で親しまれているかと言われると、野球ほどではいかないものの、少しずつマイナーと呼ばれるジャンルから抜けようとしているのは間違いないかと思います。

日本では2015年のW杯が認知度を高める大きなきっかけでしたが、その前までについてはあまり触れられていません。第1回W杯の優勝国はどこだか知っていますか?開催地はどこであったか知っていますか?日本で有名なスポーツではなかったため、ほとんど知る機会はありませんでしたが、世界に目を向けると、毎回優勝争いは白熱したものであり、大会期間中も数々のドラマがありました。本書では早稲田大学でラグビー部に所属し、卒業後には早稲田大学ラグビー部のコーチを務めた経験がある藤島大氏によって書かれています。

本書は各章が大会ごとに区切られており、1987年の第1回大会から2015年の第8回大会まで、チームの背景や試合の様子について細かく書かれています。当時の藤島氏が書いた新聞記事を引用していることもあり、より臨場感を感じやすくなっています。また、長年勝利できずにもがき苦しんでいる日本代表の様子や、世界との違いを述べていたりと、ラグビーの専門的な知識を持ち合わせながら、第三者として冷静に物事が分析されていて、非常に内容が濃いです。

W杯での出来事について細かく書かれていて、まさにラグビーW杯の歴史を詰め込んだ全史と呼ぶにふさわしい内容となっています。今までのラグビーの歴史を知りたい方にはもちろんのこと、日本以外の強豪国についてだったり、当時の試合の状況についてまで、ラグビーについてもっと深く学びたい方にもおすすめできる一冊になっています。

ラグビー語辞典:ラグビーにまつわる言葉をイラストと豆知識を使いノーサイドの精神で読み解く

斉藤 健仁 (著) フルカワ マモる (イラスト)
誠文堂新光社、出典:出版社HP

【詳細 / 目次 / はじめに】を確認する

ラグビーについて知らないことがたくさんある人は現時点でも一定数見られ、一方ではラグビーブームを経てラグビーについての知識が非常に身についている人がいながらも、もう一方ではアメリカンフットボールとの違いがわからない人がいたりと様々です。

本書は、ラグビーに馴染みがなく、初めてでも、ある程度知識があっても楽しめることができるラグビーの語句辞典となっています。始めに日本にラグビーが伝わるまでの歴史や基本となる知識について軽く触れられており、その後に50音順に語句が記されています。

一般的なラグビー語句辞典と違う点は、ラグビーにまつわる言葉であれば、ジャンル問わず記載されているということです。例えば、ラグビーのルールや反則以外にも、戦術の名称やラグビー部に所属している芸能人、ラグビーについての本や映画、さらにはW杯のテーマソングの詳細についてまで、幅広く記載されています。この本を読めばラグビー経験者よりも知識をもつこと間違いありません。

また、本書ではほぼ全てのページに語句を捕捉するためのイラストが挿入されており、カラフルでとても見やすくなっています。また、途中には選手へのインタビューをしているページやラグビーの公式マスコットについて、さらにはラグビーのすごい記録といった豆知識が含まれています。巻末にはラグビーでは有名なニュージーランド代表のオールブラックスが試合前に行うパフォーマンスである『ハカ』の振り付けや、歌詞があり、読者を飽きさせないような工夫がいたるところに施されています。

ラグビーについてわからない言葉があれば、この本さえあれば十分、そんな一冊になっています。ラグビーの知識を毎日コツコツ増やそうと思っている方、調べようと思っても文字ばかりでなかなか頭に入ってこないと感じている方にオススメです。試合を見ながら読んだり、気になった言葉をすぐに調べたりしながらよりラグビーを身近なものになるでしょう。