【最新】廃棄物管理を学ぶおすすめ本 – 入門解説から実務まで

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廃棄物管理の知識も実務も学ぼう

環境の側面からもビジネスの側面からも(産業)廃棄物の処理の知識はより重要になってきています。また資格等でも廃棄物処理での実務的な側面も求められます。今回は一般的な(産業)廃棄物の知識から処理の方法、更には最新のビジネスではどのようなトレンドがあるのか確認できる書籍をリストアップしております。

 

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出典:出版社HP

 

コンサルが教える廃棄物管理のルールと実務

Q&Aで学ぶ廃棄物管理

複雑でわかりにくい法律である廃棄物処理法をQ&A形式で記載することで、自分の知りたいテーマに合わせて学ことができることが本書の特徴です。また、一問完結型になっているので、廃棄物処理担当ではない方への説明をする際にも役立つ一冊となっています。

イーバリュー環境コンサルティング事業部 (著)
出版社: 産業環境管理協会 (2018/10/1)、出典:出版社HP

まえがき

「もっと多くの人が廃棄物処理法を理解してくれたら……」
「廃棄物管理に必要な人もコストも足りない……」
「どうして会社は廃棄物管理のリスクをわかってくれないのだろう?」
廃棄物管理の担当者である皆さまはこのように思われたことはありませんか?
廃棄物処理法はとても複雑で難しい法律です。読者の皆さまはこうした書籍を手にとっているという時点で、そのことをある程度理解していると思います。しかし担当者個人が理解していても、組織全体のリスク管理はなかなかうまくいきません。
本書はこうした廃棄物管理の担当者共通の課題に対するひとつの解決策を提示したものです。これらの内容は、月刊「環境管理」の連載記事(2016年4月~ 2018年9月現在連載継続中)や、イーバリュー株式会社のホームページ上に掲載しているコラムを再構築したものです。これらの記事やコラムは、環境コンサルティング企業として実際にクライアントから現場で受けた相談内容が元になっています。
本書は、廃棄物管理に関する「疑問」とそれに対する「答え」というQ&A形式で構成されています。Q&A形式なので最初から順番に読み進める必要はありません。
順番にこだわらず、目次から気になるテーマを選びその疑問の解消に役立てていただければ結構です。
また、本書はそれぞれのQ&Aで極力完結するように構成されています。つまり、重要な条文や通知の内容はさまざまなテーマにまたがって何度も登場します。この「一問完結型」の形式は、廃棄物管理担当者以外の方に対して特に真価を発揮します。
例えば、「廃棄物管理に関して現状ではリスクが高いので、もう少しコストをかけて管理体制を強化したい」とご自身の会社で提案したとします。具体的には「マニフェストの記載に不備が多いので管理ソフトを導入したい」といった内容です。
すると上司や役員の方たちから「そんな細かなミスで罰則が出た事例がどれだけあるのか?」と問われることになります。
こうした疑問が生まれるのは「不法投棄に巻き込まれた際に、委託契約書やマニフェストなどの法定書類を適切に管理していなかっただけで排出事業者が厳しく追及される」という排出事業者責任の大前提を十分に理解されていないことが原因です。しかし、その理解を得るにはマニフェストの内容だけでなく、排出事業者責任、罰則規定や行政処分の要件なども、必要が生じることになります。経営層に廃棄物のリスクについて正しい理解を得ることは容易ではありません。こうしたギャップが生まれる状況下において「一問完結型」が効果を発揮します。
例えば本書のQ6では「細かなミスは行政に注意されてから直せばいいの?」と、いう疑問に対し、実際に罰則が適用されるリスクはもちろん、不法投棄に巻き込まれた場合のリスクや最近になって取り締まりが強化されている現状も解説しています。この解説を読むことで、細かなミスが引き起こし得るリスクに関するひと通りの理解が得られます。もし実際に上記のようなケースに直面した場合には、該当ページを参考にして上司や経営層の方たちを説得する稟議書を作成することもできると思います。
このように、本書は廃棄物管理担当者自身の知識強化のためだけでなく、社内関係者や経営層を巻き込むための強力な武器となります。ぜひ本書を手に、さまざまな廃棄物管理の改善活動に取り組んでいただきたいと思います。

2018年10月
イーバリュー株式会社 環境コンサルティング事業部

イーバリュー環境コンサルティング事業部 (著)
出版社: 産業環境管理協会 (2018/10/1)、出典:出版社HP

CONTENTS 目次

まえがき
《廃棄物処理法の基礎知識》廃棄物管理の基本

第1章 | 廃棄物管理を取り巻く情勢と動向 | 廃棄物処理法と排出事業者責任
Q01 廃棄物処理業者はプロだから法律を守って適正処理をしてくれるの?
Q02 廃棄物の管理は管理会社に任せておけば安心なの?
Q03 分社化したグループ会社の廃棄物もまとめて処理していいの?
Q04 企業はゼロエミッションを目指さなければならないの?
Q05 法律ではNGだけど罰則事例がない規制はあまり気にしなくてもいいの?
Q06 廃棄物管理上の細かなミスは行政に注意されてから直せばいいの?
Q07 建設工事に伴う廃棄物の排出事業者は元請業者だから発注者には責任がないの?
Q08 建設業の許可をもたない設備工事業者も
元請なら排出事業者としての責任があるの?
Q09 事業者が廃棄物を自ら処理するなら面倒な規制はかからないの?
Q10 梱包材が廃棄物になった場合、排出事業者は誰になるの?
Q11 清掃業者に清掃を委託しましたが、
清掃を行った後に発生する廃棄物の排出事業者は誰になるの?
Q12 法令に関する用語をよく耳にしますが、
廃棄物処理法、施行令、施行規則、通知どう違うの?

第2章 | 廃棄物の定義・区分・管理 | 廃棄物・有価物・専ら物などの判断
Q13 古紙、くず鉄、あきびん類、古繊維は「専ら物」だから
廃棄物処理法は関係ないの?
Q14 廃棄物処理法には専ら物のような特例制度はほかにもあるの?
Q15 有価物化プロジェクトでコスト改善を図っていますが、
有価で買い取ってくれれば廃棄物ではないの?
Q16 食料品メーカーの倉庫で保管していた賞味期限切れの
食料品を廃棄する場合、これは産業廃棄物? 一般廃棄物?
Q17 リサイクル目的で以前は有価売却していましたが、景気の影響で輸送費を
逆に支払うことになりました。どんな対応をすればいいの?
Q18 水銀廃棄物に関する法改正がありましたが、
蛍光ランプや水銀電池などはどのような処理業者に出せばいいの?
Q19 健康影響のリスクが高いことから規制対象になったRCFって何?
Q20 保管場所以外に仮置きすることが多いのですが、
何日くらいまでなら廃棄物の仮置きは許されるの?
Q21 法改正で新たに規制されることになった「有害使用済機器」って何?

第3章 | 処理委託先の選定 | コストに限らない多くの判断要素,
Q22 処理委託をする前に処理業者の信頼性を図るポイントは何?
Q23 処理業者の実地確認においてもっとも重要なチェックポイントは何?
Q24 実地確認の確認事項として参考になるチェックシートはあるの?
Q25 廃棄物を処理委託する場合、処理費は安ければ安いほどいいの?
Q26 処理業者から処理困難通知を受け取りました。
どんな対応をしなければならないの?
Q27 廃棄物管理において災害が起きた場合に備えておくことはあるの?

第4章 | 実務で取り扱う書類 | 排出事業者責任を全うする書類作成
Q28 委託契約書やマニフェストは処理業者が作成してもいいの?
Q29 委託契約書は一般的に出回っているひな形を使っていれば問題ないの?
Q30 委託契約書に「別紙見積のとおり」「許可証のとおり」と記載しても大丈夫なの?
Q31 WDSはすべての委託契約書に添付しなければいけないの?
Q32 許可証の有効期限が過ぎていたので処理業者から取り寄せようとしたら
更新申請中とのことでした。この場合はどうしたらいいの?
Q33 マニフェストを交付したら後は戻ってくるのを待っているだけでいいの?
Q34 電子マニフェスト登録の3日ルールはどのように変わったの?
Q35 社内でマニフェストを電子化すると工数が増えるといわれてしまいました。
電子マニフェストは手間がかかるの?
Q36 電子マニフェストでは複数品目の登録や有価物・到着時有価物の管理もできるの?
Q37 委託契約書や覚書に貼る収入印紙代はどのように決めたらいいの?

第5章 | 行政に提出する書類 | 年度末に集中する行政報告を忘れずに!
Q38 マニフェスト交付等状況報告書はどうやってつくればいいの?
Q39 マニフェスト交付等状況報告書の排出量が1,000t未満でしたが、
多量排出事業者に該当するの?
Q40 PCB廃棄物の保管等の届出に関する改正がありましたが、
いったい何が変わったの?
Q41 法律で定められている届出や報告以外にも
都道府県知事等に提出する書類はあるの?

第6章 | 番外編 | 異例の事態への対応や規制動向
Q42 敷地内の土地に埋まっていた廃棄物を掘り起こしてしまったらどうしたらいいの? …
Q43 平成29年改正を経て廃棄物処理法は今後どのような方向に向かうの?・・

索引

推薦のことば
推薦のコメント

廃棄物処理法の基礎知識
廃棄物管理の基本

ここでは、具体的なテーマを解説する前に、Q&Aを読み解いていく上で最低限必要な廃棄物処理法の基礎知識について説明します。これらは排出事業者にとって廃棄物管理の基本的な事項です。

廃棄物とは
廃棄物処理法(正式名称:廃棄物の処理及び清掃に関する法律)はその名のとおり、廃棄物に関する規制について定められています。廃棄物は法律で次のように定義されています。

この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう。
(法第2条第1項)

つまり、固形状、液状の不要物全般が廃棄物となっているわけです。しかしこれでもまだ曖昧なので、次のように通知で補足がされています。

廃棄物とは、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不安になったものをいい、これらに該当するか否かは、占有者の意思、その性状等を総合的に調べるべきものであつて、排出された時点で客観的に廃棄物として観念できるものではないこと
(廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部改正について(通知)/昭和52年3月26日・環計第37号)

廃棄物を一言で定義するのは困難ですが、あえていえば、持ち主にとって利用価値がなく、お金を出して買ってくれる人もいないものが廃棄物ということです。
さらに2013(平成25)年3月の通知では、廃棄物に該当するかどうかは、
①物の性状(品質や有害性など)
②排出の状況(計画性など)
③通常の取扱い形態(市場性など)
④取引価値の有無(経済合理性など)
⑤占有者の意思
などを総合的に勘案して判断することと明記されています。一般にこれを「総合判断説」と呼びます。

廃棄物の区分
次に廃棄物の中での区分があります。大きくは産業廃棄物と一般廃棄物とに分けられます。
産業廃棄物とは、廃棄物の中でも事業活動に伴って生じたもので、法令で定める20種類に該当するものをいいます(表1)。
また、一般廃棄物は法律では次のように定義されています。

この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
(法第2条第2項)

つまり産業廃棄物を具体的に定め、それ以外の廃棄物を「一般廃棄物」としています。

業種指定品目
さらにこの中で、木くずや紙くずなど(表1の13 ~ 19)は「建設業に係るもの」などのように、その廃棄物を排出する業種が限定されています。これを業種指定品目といい、業種指定品目にあたる廃棄物は、たとえ事業活動に伴って排出された廃棄物でも、特定の業種の事業活動から発生したもの以外は事業系一般廃棄物として取り扱います。「廃棄物の区分を判別する流れを図1に示します。

図1/廃棄物の区分を判別する流れ

委託基準と保管基準
産業廃棄物に該当する廃棄物は、事業者が自ら処理をするか、委託基準を守って許可業者に委託する必要があります。委託基準とは、書面による委託契約の締結などについて定められています。具体的には主に次のような項目があります。

①許可業者への委託
②委託する業務が許可内容の範囲に含まれていること
③契約書などの書類の保存
④収集運搬・処分を委託する場合は、それぞれの業者と直接契約すること

また、廃棄物の処理を委託するまでの間、生活環境保全上の支障がないように保管基準を守ることも排出事業者に義務付けられています。

特別管理産業廃棄物
産業廃棄物の中には、有害物質が含有する等の基準に該当する廃棄物という区分があります。特別管理産業廃棄物の委託先は、特別管理産業廃棄物収集運搬業・処分業の許可が必要です。排出事業者は特別管理産業廃棄物の種類、性状、取り扱い上の注意事項などを委託先に対してあらかじめ書面で通知します。また、事業場ごとに特別管理産業廃棄物管理責任者の設置が必要になるなど、より厳しい管理が必要とされます。特別管理産業廃棄物の種類などを表2に示します。

委託後の流れ
廃棄物の処理を委託する場合、マニフェスト(正式名称:産業廃棄物管理票) によって処理の流れを管理することになります。マニフェストは7枚綴りの複写伝票で、排出事業者が交付します。交付後、運搬終了、中間処理終了、再生もしくは最終処分終了のタイミングでそれぞれ控え伝票の返送があります。
返送は、収集運搬、中間処理は90日(特別管理産業廃棄物の場合は60日)、 最終処分は180日以内に排出事業者の手元に届いていなければなりません。 また、処理業者は、収集運搬や中間処理が終わってから(最終処分は最終処分が終了した通知を受けてから)10日(電子マニフェストでは3日)以内に排出事 業者に返送しなければならないこととなっています。 「返送期限の90日、180日というのは、マニフェスト交付から各処理が終了したことを確認する排出事業者側の期限です。10日というのは、各処理が終 了してから返送するまでの処理業者側の期限です。
すべての処理終了報告をマニフェストの返送で確認できたら、最後まで処理が行われたことを意味します。マニフェストには、紙で運用する従来の紙マニ フェストのほかに、情報をインターネット上でやり取りをする電子マニフェス トがあります。
紙マニフェストは1年間の交付実績を集計し、マニフェスト交付等状況報告書(正式名称:産業廃棄物管理票交付等状況報告書)として管轄する自治体に報告する必要がありますが、電子マニフェストは環境大臣が指定した情報処理セ ンターに情報を登録するため、改めて集計して報告する必要はありません。
違反に対する罰則
このほかにも廃棄物処理法にはさまざまな規制があり、さらに地方自治体が個別に定める条例等も含めるとその内容は非常に複雑です。しかし法律ですから当然「知らなかった」は通用しません。違反行為に対しては厳しい罰則も科せられます(表3)。
以降の各Q&Aでは、特に疑問が多い内容について順序立てて解説をしていきます。

表3/排出事業者の主要罰則
廃棄物処理法においては、違反行為をした法人の代表者、代理人、使用人その他の従業員が刑事処分(罰則)の対象になります。

イーバリュー環境コンサルティング事業部 (著)
出版社: 産業環境管理協会 (2018/10/1)、出典:出版社HP

産業廃棄物革命 ~IoT化でさらに進む産業廃棄物の世界

IoTを使った廃棄物処理についてわかる

繰り返されるミスや不正を、人が介在しないIoTを活用したトレーサビリティシステムによって改善している著者の思いのこもった内容です。廃棄物とIoTの相性の良さを取り上げたところがおもしろく、廃棄物の理解を深める本としてもおすすめです。

石井 美也紀 (著)
出版社: ダイヤモンド社 (2019/12/5)、出典:出版社HP

はじめに

人はミスやごまかしをする生き物である
近年、廃棄物を巡る事件が注目されています。一九九九(平成一一)年の青森・岩手県境不法投棄事件、二〇一二(平成二四)年の利根川水系ホルムアルデヒド水質事故、二〇一六(平成二八)年のCoCo壱番屋が廃棄処分したビーフカツの不正転売事件、二〇一七(平成二九)年の森友学園問題などが記憶に新しいところです。
また、データの改竄問題も増えています。自動車メーカーや素材メーカー、建築会社、揚げ句の果ては厚生労働省までが勤労統計のデータに細工を施していました。
つくづく人間とは嘘をつく生き物だ、との思いを強くされた方も多いでしょう。これらの法的にも倫理的にも問題となる行為を防ぐことは、果たして不可能なのでしょうか?
それを考察することが、本書執筆の動機です。
私はコンピューターの仕事に長く携わってきましたが、その主題は、現場で働く人たちが
コンピューターを意識しなくても、コンピューターによってミスを防ぐことができるようにすることでした。
その背景として、コンピューターのダウンサイジング(小型化)が進みターネットが普及し、誰もがスマートフォンを使って時と場所に縛られずにネットワークに繋がることができる時代が到来したことが挙げられます。
また、日本は長いデフレからの脱却の目処が立たず、世界経済も行き詰まりを見せる中、様々な産業がAI(Artificial Intelligence : 人工知能)やIoT(Internet of Things :モノのインターネット)などのテクノロジーに活路を見いだそうとしています。しかし、これらのテクノロジー、特にIoTについてその可能性を正しく理解できている人はまだ多くありません。
そこで僭越ながら、IoTによるトレーサビリティ(追跡能力)によって人的ミスや不正を防ぐ仕組みの開発に携わってきた私には、IoTの可能性をお伝えすることができるのではないかと考えたのです。
ちなみにトレーサビリティとは、トレース(Trace:追跡)とアビリティ(Ability:能力)を組み合わせた造語です。

本書は産業廃棄物に関係していない人にも読んでほしい
本書は、産業廃棄物のトレーサビリティがテーマなので、第一の読者としては排出事業者の廃棄物処理ご担当者、あるいは廃棄物処理業の現場の方々、そして環境問題に取り組んでいる方々などを想定しています。しかし、産業廃棄物のトレーサビリティはIoTの性質を最も活かした活用例でもあるため、関係者以外でも、IoTに興味のある方であれば、本書を読まれることで必ず何かしらのヒントを得ることができるのではないかと考えています。
また、AIも含めてシステム開発に関わっている方々が本書を読まれれば、コンピューターを意識せずにシステムを利用するとはどのようなことかを考えるきっかけとなるはずです。
さらに、モバイルコンピューティングの開発や利用に関わっている方々にとっても、何かしらのアイデアを得ていただけるに違いありません。
なぜならば、産業廃棄物こそ、最もアウトドアでシステムを利用する現場であるからです。

グローバルスタンダードとは自立すること
さらに、本書をお読みいただくことで、何事も人任せという姿勢ではいけない、ということに気付かれることでしょう。つまり、自立することの大切さへの気付きです。
日本人は、自立が苦手な国民性と指摘されてきました。しかしながら、グローバル化が進む中で、世界に通用する考え方を身に付けるためには、まずは自立しなければなりません。と同時に、欧米のような博愛的な考え方も必要になってきます。

私は世間でグローバルスタンダードという言葉が流行りだしたときに、「ああ、日本人が苦手な考え方だな」と感じたものです。なぜなら、自立がままならないのは古来、時の為政者や政府など、何事も「お上」に頼る癖を持ち続けてきたからです。戦争ですら、最終的には神頼みでした。神風が吹かないだろうかと。
そのような国民性なので、悪いことをしても「皆がやっている」となれば自分だけじゃない、と自分を正当化してしまいがちです。
ごみ問題も同様です。自立していれば、誰もが「他人はどうであれ、自分はちゃんとするぞ」と考えることができます。一方、自立していない人々は、「皆やっているから、構わないだろう」という行動を取ってしまいます。
確かに日本は、廃棄物を処理する技術は進んでいます。しかし、廃棄物に対する考え方は幼いと言わざるを得ません。
その点、対照的なのはドイツです。技術的には日本より遅れている面もありますが、廃棄物に対する考え方は遥かに進んでいます。彼らは、別に環境のためにといった綺麗事を考えているのではなく、そもそも無駄なことをしたくない、という合理的な行動基準なのです。
例えば自動販売機で売っているコカ・コーラは三ユーロするので、彼らは買いません。買うのは観光客ばかりです。ペットボトルも、四つ回収すれば一ユーロを得られるため、無駄に捨てることがありません(購入時にデポジットを支払っていて、容器を返品すればデポジット代が戻るシステム。対象外のペットボトルもある)。ドイツのベルリンでは、観光客が捨てたペットボトルを移民が集めてお金に換えている光景をよく目にします。
また、彼らは電車の中でも昼間から瓶ビールを飲んでいますが、誰もが瓶しか手にしていません。缶よりも瓶のほうがリユース(再使用)できるからです。環境がどうのといったことではなく、無駄が嫌いなのです。
彼らの無駄嫌いは、コンビニエンスストアがないことにも象徴されます。日本人は今や、コンビニエンスストアがなければ、生活が成り立たないほど「コンビニ依存」が進んでいます。
合理的に物事を考えて行動するドイツの人々からすれば、日本人は自立していないということになるでしょう。

ごみ問題はIoTとSDGsを考えるきっかけになる
本書で産業廃棄物のトレーサビリティについて知ることは、IoTと共に注目されているSDGs、サーキュラーエコノミーについて知ることにも繋がります。
サーキュラーエコノミーについては本文で取り上げますが、SDGsについてはご存知ない方もおられるかと思うので、ここで簡単に説明しておきます。
SDGsは「エスディージーズ」と読み、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略です。
二〇一五年九月に国連サミットで採択され、加盟国一九三カ国が二〇一六年から二〇三〇年までの一五年間で達成すべき一七の目標と、それらを達成するための一六九のターゲットで構成されています。一七の目標とは次の通りです。
①貧困をなくそう
②飢餓をゼロに
③すべての人に健康と福祉を
④質の高い教育をみんなに
⑤ジェンダー平等を実現しよう
⑥安全な水とトイレを世界中に
⑦エネルギーをみんなにそしてクリーンに
⑧働きがいも経済成長も
⑨産業と技術革新の基盤をつくろう
⑩人や国の不平等をなくそう
⑪住み続けられるまちづくりを
⑫つくる責任つかう責任
⑬気候変動に具体的な対策を
⑭海の豊かさを守ろう
⑮陸の豊かさも守ろう
⑯平和と公正をすべての人に
⑰パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsを理解できるということは、社会性を理解できるということです。
そして、社会性の理解とはキリスト教やユダヤ教の博愛主義を意味します。
しかし、日本にはそうした博愛主義の伝統がないため、自分さえよければいいという考えに走りやすいのです。そのようなことはないという方もおられるでしょうけれども、日本人が気にするのは他人の目ではないでしょうか?一方、博愛主義は唯一絶対神との契約に基づいています。『旧約聖書』や『新約聖書』の“約”は神との契約ということです。
その根底には、人は愚かで過ちを犯すものだという前提があり、契約を破った信者は神に見捨てられて永遠に救いはないとされるのです。
ところが、伝統的に多神教の日本では「捨てる神あれば、拾う神あり」とのことわざがあるように、神との関係性は厳格どころか、おおらかで曖昧です。その結果、日本人の社会性への理解は他人の目を気にするというレベルにとどまっていると言うべきでしょう。
ここに、日本人がグローバルスタンダードを理解しにくい原因があるように思えてなりません。このことは、コーポレートガバナンスへの取り組みにも当てはまると思われます。言い換えれば、他人が見えていなければ平気でごまかしをし、発覚すると嘘をついて平然としていられるということです。つまり、罪悪感が希薄なのです。
ここに、博愛主義に基づくグローバルスタンダードを、日本人が真に理解しにくい原因があるように思えてなりません。
では、どうすべきか?
それは、見えないものを可視化することに尽きます。ごまかしも嘘も、見えない(証拠がない)ことで生まれるからです。
そのように考えると、産業廃棄物のトレーサビリティをテーマにした本書は、ごみ問題に止まらず社会性に関わる問題解決への糸口になるであろうという予感がします。
読者諸氏のご賢察を期するところです。

二〇一九年一一月 石井美也紀

石井 美也紀 (著)
出版社: ダイヤモンド社 (2019/12/5)、出典:出版社HP

目次

はじめに
人はミスやごまかしをする生き物である
本書は産業廃棄物に関係していない人にも読んでほしい
グローバルスタンダードとは自立すること
ごみ問題はIoTとSDGsを考えるきっかけになる

第一章 適切な処理を行なったはず?!なのに、なぜ?
~直近の事件から何が問題だったのかを考える

政治がらみのごみ事件
平成の大騒動、ごみを巡って国会が荒れた~森友学園ごみ問題~
森友問題をごみ問題として捉えてみる
豊かな時代に育った心の貧しさ
ごみのエビデンスとは?
廃棄物処理にトレーサビリティを取り入れる

CoCo壱番屋の廃棄物処理に関しての事件
電子マニフェストの安全神話が揺らいだ~CoCo壱番屋の廃棄事件~
CoCo壱番屋には排出事業者の監視責任がある
マニフェストでは不正を防げない
人が確認している限り不正はなくならない
ルール破りは人の常

事業者は、産廃についての意識が低い
ごみは法律までをも動かす日本最大の不法投棄事件~青森・岩手県境不法投棄事件~
廃棄物処理に対する考え方の転機になった
青森・岩手県境不法投棄事件が社会に与えた影響
ごみ問題への姿勢で企業が評価される時代
廃棄物処理に対する意識が低い日本の排出事業者
廃棄ビジネスの問題点を探る

廃プラスチック問題とは何か
海洋に蓄積されるマイクロプラスチック
外国で広がる廃プラの輸入規制
廃プラが一般廃棄物と産業廃棄物の垣根を崩す?

第二章 産業廃棄物のコストパフォーマンスを上げるにはシステムが鍵
電子マニフェストとマニフェストの違い
「マニフェスト=完璧な廃棄処理ができる」は間違い
紙マニフェストがなくならない理由

多くの企業がマニフェストに頼っている現状
トレーサビリティの重要性と危険性~医療廃棄物の観点から考える~

排出事業者になぜトレーサビリティを強調するのか
どうやってコスト削減を行なう?~動脈と静脈の流れが効率化とコスト削減を生み出す~

ごみの量を減らすことがコスト削減ではない
なぜ不法投棄は減らないのか?意識の低さが招く問題

一般社団法人医療廃棄物適正処理推進機構(ADAMOS)とは
コーポレートガバナンスは透明性を高めることから始まる

第三章 ソリューションとしてのIoT
エビデンスを残す仕組みとは
タイムラインによる記録
廃棄物処理の本音と建前
スマートフォンの登場は、トレーサビリティシステムの利便性にも一役買った
IoTがあぶり出す行政の縦割り
震災がきっかけで、どこにいても何をしているかわかる監視の仕組みが出来上がった
低コストでビッグデータやIoTが利用できることで何が変わるのか
IoT革命は見えないけれども進んでいる
廃棄物処理を適正に行なっても情報セキュリティは守られない機密文書の安心・安全な溶解処理を実現する「SMARTISLNET」

第四章 トレーサビリティシステムを利用した各業種の事例
トレーサビリティシステムが構築する未来社会のあり方
一般社団法人医療廃棄物適正処理推進機構 理事長田島知行 氏
コストよりも不法投棄をなくしたい
トレーサビリティシステムで得られる安心感
廃棄物処理を値切ってはいけない
トレーサビリティの先にあるもの

トレーサビリティシステムが廃棄物処理業界の明日を拓く
公益社団法人神奈川県産業資源循環協会 常任理事 伊丹重貴 氏、専務理事 朝日富士子 氏
神奈川方式にトレーサビリティシステムを採用した経緯
AIとIoTの可能性
廃棄物処理業界の社会的評価を高める

トレーサビリティシステムが医療廃棄物の現場を変える
帝京大学医学部附属溝口病院 管財課課長 北村睦夫 氏、管財課 梁瀬英明 氏、総務課課長韮塚克巳 氏
医療機関がトレーサビリティシステムを導入した背景
トレーサビリティシステムがコストを下げる
医療機関の廃棄物には個人情報が含まれている
医療廃棄物を削減するためにできること

建設系廃棄物こそトレーサビリティシステムの導入が不可欠
合同会社リバースシステム研究所 代表 上川路宏 氏
多くの割合を占める建廃の現状
廃棄物処理の法律の変遷
現場視点で開発されたシンプルなシステム
現場に事務処理をさせないQRコード
差し迫る太陽光パネルの廃棄処理問題
建廃は排出事業者側の意識の差が問題
善良な人たちを守るシステム

持続可能な循環型社会の枠組みをどうつくっていくのか –
早稲田大学大学院 環境・エネルギー研究科 教授 小野田弘士 氏
オープン化が難しい日本の風土
廃プラから考える循環型社会の枠組み
循環型社会の枠組みをどのように持続可能にしていくのかが問われている

第五章 今後どうなるのか、どうするのか
IoTの業務改革
トレーサビリティを保証するのは誰か
トレーサビリティはコストアップなのかダウンなのか
正しい廃棄物処理にはお金がかかると認識する
AIとIoTなどのテクノロジーが社会にもたらすこと
在宅医療で生じるごみは感染性廃棄物ではないのか
WCM (Work Chain Management)という考え方
AIやロボット化が日本人の自立を促す
AIとロボット化が進む時代にこそ求められる能力とは
テクノロジーの進化とグローバル社会におけるリスクへの「心構え」
AIやロボットを脅威と感じるか、便利と感じるか
イーシスの取り組み

おわりに
年齢相応の社会貢献を
廃棄物処理を通して社会を見る
AIとIoT、ロボット化がより人間らしい仕事をもたらす

石井 美也紀 (著)
出版社: ダイヤモンド社 (2019/12/5)、出典:出版社HP

産廃処理が一番わかる (しくみ図解)

産廃処理についてよくわかる良書

産廃に携わることになった方はもとより、長年携わった方も総合的に知識を整理するのにも役立つ一冊です。著者が長年の実務で得た知識を僅か数時間で得られる上に、最後までストレスなく読むことのできる良書で、処分業許可内容を参照するために、座右の資料として欠かせない本です。

上川路 宏 (著)
出版社: 技術評論社 (2015/2/5)、出典:出版社HP

はじめに

日常の生活や企業活動において、廃棄物の処理は個人・法人を問わずすべての人に関係する根本的な社会要素のひとつです。
通常の商取引では、良質な商品やサービスにはそれなりの対価を支払うインセンティブが購入者に生じますが、廃棄物の処理では、目の前から廃棄物がなくなってしまえばそれで済んでしまうため、通常の商取引のようなインセンティブが働きにくく、処理費用は安ければ安いほどよいとされがちな現実があります。そして、その行き着く先には不法投棄が待ち受けているのです。廃棄物の不法投棄や不適切な処理は、環境や社会に極めて大きな影響を及ぼすだけでなく、解決のために長期にわたる多大な労力と費用負「担を強いる結果を招くこととなります。
このような背景から、廃棄物の適正処理を推進するためには、厳格な規制が必要であるとの考えが主流となりました。その結果、廃棄物処理法は数多の改正が重ねられ、規「制と罰則の強化が図られてきました。
廃棄物の処理という、私たちにとって身近な行為を規制する法律ですが、実はその内
容についてはあまり知られていません。ひとつの理由としてよく挙げられるのが、内容が難しく理解しづらいとされることです。多い年には1年間で6回も改正が行われるなど、改正数の多さにも一因があるのかもしれません。筆者は排出事業者の立場で20年を超える廃棄物処理の実務を担ってきました。本書はその経験を活かして、「廃棄物に興味のある学生や社会人になって日の浅い、廃棄物の学習を始めようと思った人たち」のための入門書として、また、廃棄物処理の実務を担う人にとっての参考書となるよう、平易かつ深みのある内容でまとめたものです。座右の書として、読者の皆様のお役に立てることができると幸いです。

2014年12月
著者 上川路宏

上川路 宏 (著)
出版社: 技術評論社 (2015/2/5)、出典:出版社HP

しくみ図解
産廃処理が一番わかる
廃棄物の種類や処理の流れ 法制度を実務に即して解説

目次

はじめに

第1章 処理の基礎知識
1 廃棄物処理法の概要
2 廃棄物の種類
3 産業廃棄物とは
4 日本の産業廃棄物処理の現状
5 廃棄物処理法で使われる用語
6 排出事業者責任とは
7 許可制度
8 廃棄物の処理委託

第2章 産業廃棄物処理の流れ
1 処理の基本的な流れと分別・保管
2 収集・運搬(1) 業の許可と車両表示規定
3 収集・運搬(2) 運搬用車両
4 収集・運搬(3) 積替保管施設
5 中間処理の概要
6 具体的な処理方法(1) 選別/破砕
7 具体的な処理方法(2) 圧縮/溶融
8具体的な処理方法(3) 焼却
9 その他の中間処理の方法
10 再生
11 最終処分

第3章 廃棄物種類別の中間処理施設
1 汚泥処理施設
2 堆肥化施設
3 がれき類の処理施設
4 金属くず、木くず、廃プラスチック類
5 焼却施設
6 総合中間処理施設(1) 建設系の総合中間処理施設
7 総合中間処理施設(2) 事業系の総合中間処理施設
8 RPF・RDF、廃液等の総合的な処理
9 特別管理廃棄物の処理(1) 石渡関連の廃棄物
10 特別管理廃棄物の処理(2) PCB廃棄物
11 特別管理廃棄物の処理(3) 感染性廃棄物

第4章 製造施設を使った処理とリサイクル
1 熱利用を前提とした製造施設
2 鉱さい、燃え殻、ばいじんの処理
3 有価物、専ら物と廃棄物の関係.
4 パソコン・事務機器
5 廃家電品などの回収
6 リサイクルへの対応

第5章 契約書とマニフェスト運用の実際
1 管理体制の整備
2 適切な委託業者の選定
3 適正性判断基準の詳細
4 処理委託契約書
5 標準的な契約書式の例(1) 連合会ひな形
6 標準的な契約書式の例(2) 東京都ひな形
7 標準的な契約書式の例(3) 建設系ひな形
8 標準的な契約書式の例(4) 住団連ひな形
9 産業廃棄物管理票「マニフェスト」
10 いろいろなマニフェスト書式
11 マニフェストの運用
12 マニフェストの記入方法

第6章 不法投棄と罰則規定
1 不法投棄の現状
2 日本の大規模な不法投棄事案
3 廃棄物処理法の罰則規定
4 両罰規定と秩序罰
5 行政処分と行政報告
6 処理困難通知と措置内容等報告書

第7章 環境法の概要と廃棄物処理の今後
1 環境法制の世界的な流れ
2 環境法の体系
3 廃棄物処理の今後(1) ゼロエミッション
4 廃棄物処理の今後(2) 中間処理業のふたつの側面
5 規制強化と規制緩和
6 望まれる法制度

Column
廃棄物の定義
事業者について
「おから裁判」
優良産廃処理業者認定制度について
古物と古物営業法について
野焼きについて
直接罰と間接罰
予防原則について
資源有効利用促進法について
ゼロエミッションについて
モーダルシフト
拡大生産者責任について

巻末資料
参考文献
用語索引

上川路 宏 (著)
出版社: 技術評論社 (2015/2/5)、出典:出版社HP

廃棄物処理法の重要通知と法令対応

処理業者、排出事業者など実務者必見の1冊

通知が発出された背景から取り上げていて、そもそも通知の存在を知らない方にも伝わるようまとめられています。この本をきっかけに国や自治体が発出する通知に注目するようになります。通知の重要性がわかる一冊です。

長岡 文明 (著), 尾上 雅典 (著), 日報ビジネス (編集)
出版社: 株式会社クリエイト日報; B5版 (2019/7/8)、出典:出版社HP

はじめに

この本は、環境省からの廃棄物処理法に関する通知の背景と内容の解説を主なテーマとして、ともに山形県、兵庫県と地方自治体の産廃行政で実務経験がある、BUNさんこと長岡文明と尾上雅典の共著でお届けするものです。
「通知」は、グレーな廃棄物処理法を詳細に定めていたりする、かなり重要な存在なのですが、読みづらく、そもそも通知の存在を知らない 方も意外と多く見受けられます。また、その通知が発出された背景を知らないと、まったくもって何のことなのかも理解できないものも存在します。そのようなところを、取り上げていければと思っています。
本書を読まれる方は「通知は重要なものだ」と思っていますか?
それとも、「通知は法律や政省令と比べて重視するほどのものでもない」と思っていますか?
根本は「法令」にあると思います。法令に根拠を置かない「通知」はやがて歪みが出てきて長続きしません。しかし、その「法令」をどのように「運用」したらいいのか、というレベルになると、途端に「通知」が威力を発揮します。
また、通知を実際に運用するのは現場を預かる自治体です。自治体が納得しない通知は、幾ら国が発出しても、大きな動きにはなりません。法律はそう度々改正する訳にはいきません。小回りが利いて、不都合が 起きないように、現状に合わせた運用が大切です。
本書を読まれる方は、これを機会に国や自治体が発出する通知に、注目していただければ幸いです。

長岡 文明 (著), 尾上 雅典 (著), 日報ビジネス (編集)
出版社: 株式会社クリエイト日報; B5版 (2019/7/8)、出典:出版社HP

目次

はじめに
序章 通知とは何か
1 そもそも<通知>とは? …
2 通知の取扱いに関する通知…….

第1章 重要通知! ピックアップ解説
1 「0円回収通知」買い取りでも廃棄物処理法を適用
2 「手元マイナス通知」逆有償でも廃棄物処理法の適用除外事例……
3 「手ばらし疑義」 分別・未処理でも処理済みの法運用
4 個別事案の疑義照会通知の読み方 汚泥への草木混入の事例等
5 規制改革通知その1 規制改革重点通知の概要…
6 規制改革通知その2 通知利用の背景と「コンテナ保管」「分社化の取り扱い」
7 規制改革通知その3 先行許可証、書類の統一
8 規制改革通知その4「実験・実証」

第2章 建設廃棄物に関する元請と下請の注意点
1 平成22年改正で排出事業者の保管届出、建廃処理で元請責任……
2 建設工事の排出事業者は下請の例外規定を除き元請
3 建設現場での保管は下請事業者も排出事業者とみなす…
4 代金500万円以下の維持修繕工事等で下請事業者が排出事業者…
5 元請と下請の排出事業者責任の法運用の整理……
6 建設廃棄物保管場所の届出義務

第3章 廃棄物処理法に規定されていない下取り回収の運用法
1 一廃に言及しない下取りの収運許可不要の法運用
2 業許可不要な下取り行為が成立する要件・・
3 持ち帰った廃棄物の排出事業者は誰なのか?….
4 ケースごとの考察………

著者略歴・奥付

(おことわり)
本書の長岡文明氏の執筆文につきましては、株式会社リヴァックス社のウェブサイトであるメールマガジンに連載したものを加筆、修正したものです。

序章 1

そもそも〈通知〉とは?
通知は「お知らせ」だが、世の中は「通知どおり」に動く
まず最初に、そもそも「通知」というものについて、確認してみたいと思います。
私たち国民は、国からの「通知」というものに、どの程度従わなければならないものでしょうか?
「通知」は、いくら国の偉い役職の人が発出したものであっても、制度上は大臣告示として官報に載った訳でもないし、閣議決定された訳でも、ましてや国会で決議されたわけでもありません。その制度に携わっている単なる一公務員が「こんなふうにやってね」とお手紙を出したっていう程度の位置付けです。したがって、国の公式な制度として認められている訳ではなく、極めて「脆弱な制度」と言えるでしょう。
では、その程度の「お知らせ」なのに、どうして世の中全体がその「通知」のとおりに動くのでしょうか?
筆者は、次のように考えています。
役所の「通知」は、役所の中では「それなりに」偉い人が発出します。民間会社でも社員は社長の言うことに従いますね。社長の指示に従わなかったら、お給料ももらえないし、へたすりゃクビにされてしまいます。
ということは、理屈としては部下の方は部長の言うことも、課長のいうことも、従うことになります。時々は無視することもあるかもしれませんが、少なくとも建て前としては「上司の言うこと」には従います。
それは、単に「偉い」ということだけではなく、組織としての意志であったり、経験が豊富な先輩の言葉として、その指示に従った方が間違いは少ないという捉え方もあるからだと思います。国をはじめとする役所の「通知」も、それと似たようなものと思えば、ある程度理解できます。
広く国民全体に対しては、強制力はないとしても、上司の出した通知には「部下」は従わなければいけません。役所の偉い人の通知なら、その人より下の人は、その通知に従う。役所は法律を動かすところです。実際にその法律を運用する第一線の行政マンが、上司から「こういうふうに運用しなさい」と指示が出されていれば、普通はそのとおりに法律を運用します。ここが、民間の一企業の「通知」と、役所の「通知」の違いと言えるかもしれません。
つまり、一企業の通知は、その企業の社員にしか強制力がありませんが、役所の「通知」は「役所の内部にしか強制力がない」ものであっても、その通知に従って行政指導されれば、一般的に国民はそれに従うということになってしまいます。
現在、いろんな法令分野で登場する「マニュアル」「ガイドライン」「指針」なども、たいていは「通知」という形で、行政のかなり上の役職の人の名前で発出されます。もちろん、法律ではないのですから、通知どおりに取り組まないからと言って「法律違反」ということにはなりません。
しかし、実際には、こういった「マニュアル」「ガイドライン」「指針」などは、法律そのものを作った人が、その法律をうまく動かせるように、分かりやすく書かれています。ですから、前述の「先輩、経験者からのアドバイス」と同じように、尊重した方が何かと便利で不都合がないということがほとんどでしょう。では、そういった通知に従わないとどうなるのでしょうか?
前述の通り、普通は、行政は「偉い人」の方針通りにやらせる方が、(やってもらう方が)何かとトラブルも少なくうまくいきます。だから、「そういうふうにやってくれませんか」と行政指導を行います。
昔は「強力な行政指導」を行った分野もありましたが、最近は行政手続法の規定も整備されてきたので、同意を得られない行政指導はあまりやらなくなりました。その上で、争議になれば裁判で決着付けようという時代になったということです。
たいていの人は裁判まではやりたくありませんから、無難な道を選択したい。何も苦労して茨の道を進みたくありません。結局、たいていの場合は、「通知」どおりに世の中が動いていくことになります。
仮に「通知」が間違った方向なら困りますが、国や役所が出している「通知」は、「よかれ」と判断して発出しているものですから、いいものと捉えるべきでしょう。
繰り返しになりますが、「通知」は、制度上は国民の総意である「法律」ではありませんし、「告示」でもありません。

政省令・通知は法令を受けて規定、実態として強い拘束力
折角の機会なので、政令と省令についても触れておきます。
皆さんは、どうして法律に従うのですか?
従わないと罰せられるから? 従っていると褒められるから…?
それもあるかもしれませんが、そもそも法律とは、みんなで決めた「ルール」な訳です。 たとえば、「1+1=2」のような宇宙の真理とも言うようなルールは、特段、人間が決めなくても、一向に構いません。ところが、「右側を歩くか?、左側を歩くか?」は、本来であれば、どっちでもいいことです。しかし、狭い道で、みんなが好き勝手に「俺は右を歩く、私は左を歩く」とやりだしたら、衝突が起きたり、歩くのが困難になります。
そこで、宇宙の真理ではないけれど、お互い同士の「ルール」として、「右側を歩きましょう」とルールを決める訳です。
このルールはみんなで決めたルールですよね。
じゃ、ルールに従わなけれどうなりますか?
そうです。自分も不便だし、他の人たちにも迷惑をかける。そして最後には「あいつはみんなで決めたルールに従わないのだから、私たちの仲間には入れないようにしよう」となってしまう訳です。つまり、「みんなで決めたことはみんなで守ろう」。これが、ルールであり、それを守れない人は「仲間」から仕打ちを受けたり、「仲間はずれ」にされてしまうことになります。
国民みんなのルールが「法律」と言うわけです。ですから、法律は国民の代表である国会でなければ制定することはできません。そして、そのルールに従わなかった時の「制裁」も国民の総意である「法律」でなければ原則的に制定できない訳です。(ここが、民主主差の日本のいいところで、「罪刑法定主義」の社会です。)ですから、罰則は法律でないと規定されません。
ちなみに、政令とは「閣議決定」する「ルール」で「特に法律の委任がある場合を除いては罰則を設けることができない。(憲法第73条第6号ただし書)」「法律の委任がなければ、義務を課し、又は権利を制限する規定を設けることができない(内閣法第11条)」という規定があります。
省令とは各所管大臣の命令であり、その大臣の決裁で制定することができます。「省令には、法律の委任がなければ、罰則を設け、又は義務を課し、若しくは国民の権利を制限する規定を設けることができない(国家行政組織法第12条第3項)。」という規定があります。
このように政令や省令は法律ではありませんから、罰則をかけることはできないというこ とになります。
こうなると、不心得者などは「どうせ、こんなルール守らなくても罰則は無いんでしょ」と思ってしまいます。そこで、たいていの政省令(政令と省令をあわせて表現する文言)では、「法第○条第△項に規定する○○については、次のとおりとする」のように規定するんですね。つまり、政省令に罰則は無いけれど、その規定を守らないってことは、法律の「第○条第△項」に違反していることになる、と規定する訳です。これで間接的に「政省令違反は法律違反」となるように作るわけです。
さて、今回のテーマの「通知」も、ほとんどの場合、政省令と回しような「作り」にしています。すなわち、「このガイドラインは廃棄物処理法第○条第△項第◎号で規定する○○基準について示すものである」のようにして発出されています。
また、法令は様々な制限があり、わかりにくい文章表現しか取れない場合もあります。
例えば、法令の中に挿絵が入ったのを見たことがある人はいませんよね。昔から、「百聞は一見にしかず」という諺がある位なので、何百文字の文章より、たった一つの絵の方が判りやすい場合は多々あります。最終処分場基準省令を読まれた方も大勢いらっしゃると思いますが、あれを文章で読んだだけで理解できる人物はおそらく世の中に存在しないと言えるでしょう。でも、通知や「維持管理マニュアル」に登場する挿絵やフロー図を見れば、概略を理解することができます。
ここまでの確認と復習をしてみましょう。

①そもそも「通知」とは、国や自治体の「偉い役職の人」が組織内の部下に対して発出した文書である。
②だから、組織内の人間には強制力、支配力はあるが、組織外の人間には強制力はない
③行政組織で発出された「通知」は、行政担当者には支配力があるから、行政担当者は「通知」に従って、行政指導を行う。
④行政指導を受ける民間も、自ずと、その方向で行動する。
⑤結果として、「通知」は広く世の中で、「そのとおり」に運用される。
⑥そもそも「通知」は、その多くは制度を作った立場の人が、法令ではわかりにくい表現、箇所を解説したものが多いから、多くの場合、「通知」に従った方が民間も得になる。
⑦政省令とは、法律とは違って、国会が決めたものではない。よって、罰則は規定できない。
⑧しかし、たいていの政省令は、法律を受けた形で制定されていて、政省令に違反する行為は、間接的に法律に違反すると判断される場合が多い。

法律はもちろん、政省令や通知も安易に発出しているものではありません。自分だけの目先の事柄だけを見て判断するのではなく、その政省令が出された、通知が発出された背景や経緯なども考えて、上手くお付き合いしていくことが大切だと思います。

長岡 文明 (著), 尾上 雅典 (著), 日報ビジネス (編集)
出版社: 株式会社クリエイト日報; B5版 (2019/7/8)、出典:出版社HP

序章 2

通知の取扱いに関する通知
本格的な尾上先生の講義に移る前に、この本のテーマであるである「通知」そのものに関する「通知」を紹介しておきましょう。それが、次の平成12年の通知です
この通知の内容は、次のようなことです。
「これからは地方分権の時代だ。廃棄物処理法をはじめとする法定受託事務は地方自治体にお任せしたのだから、その解釈、運用もお任せする。ついては、今まで国が示してきた「疑義応答」などの通知は廃止する。具体的に廃止する通知は、次の22の通知である」。(下図参照)

通知の取扱いについて
平成一二年一二月二八日生衛発第一九〇四号各都道府県・各政令市宛環境省
地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律等の施行に伴う通知の取扱いについては、(中略)その事務の運営にあたってよろしく配慮願いたい。

1 「地方分権の推進を…法定受託事務とされた廃棄物の処理及び清掃に関する法律(中略)に期定する事務に係る通知等については、地方分権一括法による改正後の地方自治法に規定する技術的な助言及び勧告並びに資料の提出の要求の趣旨となるものであること。(中略)
4 次の通知を廃止する。
⑴昭和四十七年一月十日付け環第二号厚生省環境衛生局環境整備課長通知「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について」
(2)昭和五十年四月九日付け環整第三六号厚生省環境衛生局環境整備課長通知「廃棄物の定義について」
(3)昭和五十二年十一月五日付け環産第五十九号厚生省環境衛生局水道環境部参事官通知「廃棄物の 処理及び清掃に関する法律の疑義について! (中略)
(22)平成十年十一月十三日付け衛産第五一号厚生省生活衛生局水道環境部環境整備課産業廃棄物対策 室長通知「廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部改正について」

これにはびっくりしました。廃棄物処理法を勉強されている読者の皆さんならわかってい ただけると思うのですが、法令の規定なんて、日本語か?と思うほどの難解な書きぶりがあり、結局、実際の運用は通知に従って動いていることがたくさんあります。
別の言い方をすれば、「通知」をルール、基本として判断、行動してきたのに、そのルールを取り払われるという混乱を招き兼ねない事態に陥った訳です。そもそも、「法定受託事務だ」「地方分権の時代だ」と言ってみたところで、法律を作るのは国です。自分たちで作っておいて、その後の運用だけを自治体が勝手にやっていいよ、と言われたところで、どうやっていいものか運用に困ります。日本はアメリカやロシアと違って、国土がそう広いわけではありません。言語も一つ、歴史や文化もそんなに違いはありません。ましてや、産業廃棄物の処理は一つの自治体で処理が完結するものでもありません。筆者は今でも、少なくとも産業廃棄物に関するルールは、「中央集権で十分」と感じています。
国からこのような通知が出され、今まで根拠としていた「通知」、しかも、廃棄物処理法 を運用していく上で、最も問題となることについて解説していた「法律の疑義について」という通知が、ほとんど廃止されてしまいました。
自治体によっては、その後独自に解釈通知を発出したところもあるようですが、ほとんどの自治体で改めての通知は発出せずに、それまで国 (具体的には旧厚生省)から発出されていた「廃止通知」を前例踏襲の形で、「そのまま」運用してきているのが、実態です。
本来であれば廃止された通知は、いろんな文献からは削除されるのが通例ですが、こういう実態にあることから、(一財)日本環境衛生センター刊行の「廃棄物処理法の解説」には、「廃止通知」も掲載しています。 以下に抜粋して紹介しましょう。

廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について
昭和47年1月10日 環整第2号

廃止:平成12年12月28日(なお、以下の通知の廃止日も前述の通り、全てこの日です)
問1 処分の用語の定義を明示されたい。
答 中間処理及び最終処分の意である。なお、中間処理には、焼却、脱水、破砕、圧縮等があり、最終処分には、埋立処分と海洋投入処分がある。
問2 一般廃棄物及び産業廃棄物の最終処分の方法は、埋立処分と海洋投入処分に限るものと解してよいか。
答 そのとおりである。なお、放流方式による下水道、又は公共の水域への排出は、最終処分の一方法と考えられるが、それぞれ下水道法又は水質汚濁防止法の定めるところにより行なわれるものである。
問16 第一条第二号に規定する輸入木材の卸売業に係る木くずとは、輸入木材の輸入を業務の一部又は全部として行なっている総合商社、貿易商社等の輸入業務活動に伴って生ずる木くずをいうものであると解してよいか。
答 責見のとおり解して差し支えない。

昭和52年11月5日 環産第59号
間12 産業廃棄物の処理に関し、廃棄物処理法第七条第六項に規定する事項を記載した伝票を綴じて保存している場合は、同項にいう帳簿を備えたこととなるか。
答 当該伝票が領の一部として使用することを予定されているものであれば、伝票を綴じて保存していることによって帳簿を備えたものと解する。
問19 廃棄物処理法施行令第七条第一号から第八号までに掲げる産業廃棄物処理施設の一日当たり処理能力とは、何を意味するか。
答 当該施設が一日24時間稼動の場合にあつては、24時間の定格標準能力を意味する。それ外の場合は、実稼動時間における定格標準能力を意味する。ただし、実稼働時間が、1日当たり8時間に達しない場合には、稼動時間を8時間とした場合の定格標準能力とすること。

昭和54年11月26日 環整第128号・環産第42号
問1 10%の銅を含むレンガくずを有償で売買しているが、レンガくずだけを廃棄物と考えられるか。
答 総体としてレンガくずは有価物である。
問2 水力発電所のダムの管理に当たり、不要として排出された流木は一般廃棄物と解して良いか。
答 お見込みのとおり。
問3 野犬狩りの後保健所がその死体を焼却した際の残灰は、一般廃棄物と解してよいか。 答 お見込みのとおり。
問4 個人家屋を自ら解体する場合の廃木材はどのように扱うべきか。
答 個人家屋を自ら解体する場合の廃木材は当該住民の排出する一般廃棄物である。
問10 事業活動に伴って排出された使用済みの活性炭は産業廃棄物のどの種類に該当するか。
答 不純物が混在すること等によりでい状で排出されるものは汚でいに、固型状で排出されるものは燃えがらに該当する。
問11 コンクリート・ミキサー車のミキサーから生ずる生コンの残りかすであつて、不要とされた時点ででい状を呈しているものは法第二条第三項に規定する汚でいと解してよいか。
答 お見込みのとおり。
問15 事業活動に伴って排出される、①液状の廃合成塗料、②塗料以外の不純物が混合して、でい状となっている廃合成塗料、③溶剤が揮発し、固型状(粉状のものを含む)となつている廃合成塗料はそれぞれ産業廃棄物のどの種類に該当するか。
答 ①は廃油と廃プラスチック類の混合物に、②は汚でい(油分を五%以上含んでいる場合にあつては汚でいと廃油の混合物)に、③は廃プラスチック類に該当する。
問21 金属の研磨工程から排出される研磨かすは産業廃棄物のどの種類に該当するか。
答 金属くずに該当する。ただし、粉末状又はでい状を呈し、金属としてとらえることが困難な場合には汚でいに該当する。
問28 動物霊園事業として愛がん動物の死体を処理する場合廃棄物処理業の許可を要するか。
答 愛がん動物の死体の埋葬、供養等を行う場合、当該死体は廃棄物には該当せず、したがって廃棄物処理業の許可を要しない。
問29 いわゆる下取り行為には収集運搬業の許可が必要か。
答 新しい製品を販売する際に商慣習として同種の製品で使用済のものを無償で引取り、収集 運搬する下取り行為については、収集運搬業の許可は不要である。

昭和57年6月14日 環産第21号
(地下工作物の埋め殺し)
問11 地下工作物が老朽化したのでこれを埋め殺すという計画を有している事業者がいる。この計画のままでは生活環境の保全上の支障が想定されるが、いつの時点から法を適用していけばよいか。
答 地下工作物を埋め殺そうとする時点から当該工作物は廃棄物となり法の適用を受ける。(墓の廃棄)
問12 古い墓を除去して廃棄しようとする場合、廃棄物として取り扱ってよいか。
答 墓は祖先の霊を埋葬、供養等してきた宗教的感情の対象であるので、宗教行為の一部として基を除去し廃棄する場合、廃棄物として取り扱うことは適当でない。

(清掃後の産業廃棄物)
問14 清掃業者が事業場の清掃を行った後に生ずる産業廃棄物について、その排出者は清掃業者であると解してよいか。
答 当該産業廃棄物の排出者は事業場の設置者又は管理者である。清掃業者は清掃する前から事業場に発生していた産業廃棄物を一定の場所に集中させる行為をしたにすぎず、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではない。

今回、この「廃止通知の通知」をなぜ紹介したかというと、現時点でも、とても需要が高いからです。とても、30年前、40年前の疑義応答とは思えないような、今日現在セミナーをやれば、常連のように提出される質問ばかりです。
しかも、簡潔明瞭でわかりやすいですね。これが廃止されたのは、正直痛かったです。
大阪府はじめ幾つかの自治体では、府民・県民の要望 にお応えして、かつてあった疑義応答を、(多少、時代変化に合わせて、バージョンアップして)ホームページに掲載しているところもあるので参考にしてみて下さい。なお、これらの疑義応答のうち幾つかはピックアップして、改めて取り上げたいと思います。

長岡 文明 (著), 尾上 雅典 (著), 日報ビジネス (編集)
出版社: 株式会社クリエイト日報; B5版 (2019/7/8)、出典:出版社HP

かゆいところに手が届く 廃棄物処理法 虎の巻 2017年改訂版

廃棄物処理法への対応がよくわかる

とっつきにくい法律ですが、この本を読むことで廃棄物処理法への理解を深めることができます。適正な管理と日常業務を円滑に進めるための一助となるでしょう。今後の廃棄物関連法制度のあり方を考えるきっかけとなる一冊です。

堀口 昌澄 (著)
出版社: 日経BP; 2017年改訂版 (2017/11/3)、出典:出版社HP

はじめに

法律は守らなければなりません。そのためにも、その法律がなにを定めているのかがわかり やすいものでなければ困ります。特に、その法律を守らなければならない人が多ければ多いほど、 わかりやすさに配慮した法律にしなければなりません。
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃棄物処理法)」は、廃棄物を出す人すべてにかかわ ります。生きていれば多かれ少なかれ廃棄物を出すのですから、社会生活を営んでいる日本人 全員に関係するものです。特に、事務作業も含めてなんらかの仕事に就いている方は無意識の うちに、多少なりとも、産業廃棄物を出しているはずです。したがって、少なくともその仕事場 の誰かが廃棄物処理法をしっかりと理解していなければなりません。ところが、廃棄物処理法 は難解な法律として有名で、独学では概略を理解するだけでも難しく、正しい理解を得るため には現場と法の規定の両方を理解している人のアドバイスが欠かせません。専門的知識があ るはずの処理業者、ISO審査員ですら間違った理解をしていることもあるので、注意が必要です。
廃棄物処理法を十分に理解していないと、悪意がなくても知らず知らずのうちに違法行為を 行ってしまう危険性があります。過去にも廃棄物処理法違反の結果、責任者が懲役刑や罰金 刑を受けたり、委託業者の不法投棄の責任を取らされたり、行政処分を受けて事業の遂行に支 障をきたす事態に発展してしまった事例があります。マスコミなどに取り上げられて、会社の イメージの悪化につながる恐れもあります。逆に、解釈がバラバラであるために、やらなくても よいことをやっていたり、現場に混乱が生じてしまうこともあります。
廃棄物処理法の解説書はこれまでに何冊も発行されていますが、概要を説明した一般向け の基本的なものと、条文を解説した専門家向けのものに二極化されています。前者は全体像を 理解するためには有用ですが、現場でぶつかる具体的な課題に対応するためには不十分です。 後者は課題への対処方法ではなく条文解説が中心で、それを現場にどのようにあてはめるべき かがすぐにはわかりません。特に、廃棄物を出す際に直面する応用問題にどう対処したらよい かを網羅的に取り扱った本がまだないのです。
日経BP社の「日経エコロジー」誌で私が連載してきた「廃棄物処理法Q&A」は、上記でい うところの応用問題への対処方法を解説するコラムです。1ページの読み切りで、廃棄物に直 接関係がない方でも比較的読みやすい内容です。読者からの支持が高く、異例の長期連載となっ ているのですが、誌面の関係で十分に説明しきれない、あまり細かい問題までは扱えない、一 定のボリュームがあるテーマしか取り上げられない、といった制約がありました。そこで、これ らの制約がないところで単行本の形でまとめたいと思ったのが、この本を書くことになったきっ かけです。
この本をどのような人が、どのように活用してくださるのか想像しながら原稿を書いてきま した。例えば、排出事業場の廃棄物管理担当の方が机上に載せて必要なときにすぐに手に取っ ていただける、法務部の本棚に六法と一緒に並んでいる、監査する側もされる側も参考書とし て持参している、処理業者の営業の方がカバンに忍ばせている、などなど。そんなふうにみな さまに使っていただけるのであれば、この本の目標の一つである「読者のみなさまの廃棄物処 理法への理解を深め、適正な管理と日常業務を円滑に進めるための一助となる」は果たせたことになると思います。
実はこの本を書くにあたって、もう一つ狙っていたことがあります。廃棄物処理法の無駄や 矛盾をあぶり出すという効果です。この法律には、ほとんど効果がないと思われる規制や、今 となっては無意味な規定が数多く残っています。不適正処理の原因になっているわけではあり ませんが、資源循環を阻害していたり、無駄な業務が発生したりしています。廃棄物処理法の 改正案やあるべき姿を検討することが本書の目的ではありませんが、読者のみなさまに少しだ けでも「今後の廃棄物関連法制度のあり方」を考えていただければと思います。

<本書の内容>
私がこれまでにセミナーやコンサルティングの現場でいただいた質問をまとめていますので、 実務に直接役立つ内容になっているはずです。基本的には排出事業者を対象としていますので、 処理業者だけにしか関係しないテーマは扱っていません。
また、廃棄物処理法の基本的理解があることを前提に構成しています。初心者の方はあらか じめ基礎的内容を扱ったセミナーへ参加するか、既存の入門書をお読みください。

<想定読者> 廃棄物管理にかかわりを持つ以下のような方たちを、この本の読者として想定しています。
●排出事業者の実務担当者
●処理業者の管理職
●排出事業者の管理担当者
●内部監査員
●排出事業者の本社の担当者
●ISO14001の審査員
●処理業者の事務管理担当者
●自治体など行政の担当者
●処理業者の営業担当者
主に廃棄物管理の現場の業務、管理、指導をされている方々にとって、業務のベースとなる 参考資料として使っていただければと思います。本書では足りない部分、疑義がある部分もあ るかと思いますが、みなさまからのご意見やご叱責をたまわり、今後の改善につなげていきた。 いと思います。
本書が、読者のみなさまの廃棄物処理法の理解を深め、適正な管理と日常業務を円滑に進 めるための一助となれば幸いです。
<ご注意>
本書では、法律の規定、通知、一般に普及している解釈を中心に、具体的な課題への対応方 法を提示しています。しかし、過去にいただいた質問を一般化しているものですので、個別の 事例についてそのまま適用することができないケースもあると思われます。本書は判断材料の 一つを提示すものです。実務では、管轄自治体や専門家、社内関係者と相談した上で、最終的 には読者のみなさまの責任で判断しなければならないことにご留意ください。

堀口 昌澄

堀口 昌澄 (著)
出版社: 日経BP; 2017年改訂版 (2017/11/3)、出典:出版社HP

CONTENTS

はじめに

第1章 これはなんていう廃棄物?いや、そもそも廃棄物?
1-1 廃棄物とは
ガスは廃棄物ではない
土砂は廃棄物?
製造工程で発生した廃液を処理したら?
総合判断説をどう使うのか
無料で引き取りに来てくれる場合は?
運賃が購入代金より高い場合は?
1-2 産業廃棄物と一般廃棄物の区分
事業活動ってなに?
産業廃棄物の20種類に該当するか
業種限定で産業廃棄物から外れる
どの産業廃棄物に該当するのか
1-3 混合物をどのように扱うか
種類はどう書くかつ複数の名前を書く
種類はどう書くかの名称を書く
埋設廃棄物と汚染土壌と土壌の混合物
容器は廃棄物?
混合していない場合は?

第2章 用語の定義がどこにあるのかわからない
2-1 排出事業者とは
条文中には出てこない
2-2 処理と処分
「最終処分=埋立」ではない
中間処理業者
処理には処分も含まれる
中間処理業者が行う最終処分
中間処理産業廃棄物
処理業者が守る「産業廃棄物処理基準」
2-3 廃棄物処理施設
一般廃棄物処理施設(ごみ処理施設)
産業廃棄物処理施設
特定処理施設
2-4 そのほかの用語
災害療棄物
産業廃棄物管理票
管理票交付者
交付担当者
石棉含有産業廃棄物

第3章 実は悩ましい保管基準
いろいろな保管基準
一般廃棄物と産業廃棄物の保管場所を分けるべきか
どこからが保管場所か 囲いとは?
積み上げ高さについて
廃パレットの積み上げ高さについて
見やすくなくてはいけないのです
廃棄物の種類ごとに掲示板は必要なのか

第4章 委託基準の本当の話
4-1委託基準とは
排出事業者にとって最も大切な基準
誰が罰則を受けるのか
一般廃棄物の委託基準
4-2 それぞれ委託
2者契約と3者契約
積替え保管をする際の注意点
4-3委託契約のいろいろ
テナントからの廃棄物
マニフェストの交付などの事務をビル管理会社に依頼する
代理人を介した契約
連名での契約
覚書でもOKか

第5章 契約書の記載事項の注意点
5-1 法定記載事項
どこに法定記載事項が書かれているのか
空欄が埋まっているだけでは不十分
処理費が0円の場合はどうしたらよいか
最終処分を直接委託する場合の記載方法
売却先は記載しなければならないのか
2次中間処理は記載するのか
委託業務終了報告は何票が正解?
5-2 書き方のポイント
ひな形に注意
伝達方法とは?
排出事業者の損害賠償責任
「未処理の産業廃棄物の扱い」が記載されていない
契約内容と実態が違う
昔の契約書に法定記載事項が抜けていたら?
間違っていた契約書の変更・修正
吸収合併や社名変更の場合
法定記載事項以外の項目について
第6章 委託基準の応用編
6-1 専ら物
専ら物の委託
契約書と許可証
扱うことができる業者の範囲
専ら物の範囲
6-2 特別管理産業廃棄物
特別管理産業廃棄物の範囲は意外に狭い
特別管理産業廃棄物の委託基準
6-3 委託基準に関する現場の悩み
いわゆる実車テストには契約は必要なのか
事前協議ってなに?
窓口業者経由での料金の支払い
再委託の承諾書は大切に
あわせ産廃
広域認定制度を利用する場合
家電リサイクル法の場合
小型家電リサイクル法の場合
6-4 印紙の節約方法
委託契約書の印紙
目からうろこの節税方法
契約書の製本の手間を省く

第7章
マニフェストの記載方法
7-1 マニフェストの基礎
誰の罰則になるのか
勧告・命令もある
返送されたマニフェストの記載ミスと期限切れ
違反が見つかった場合の対処方法
7-2 マニフェスト記入演習
実際にマニフェストを書いてみましょう(電子化率100%の方も是非)
A票の法定記載事項
一般廃棄物や有価物の管理にマニフェストを使えるか

第8章 マニフェストの応用編
8-1 マニフェストの流れ
まずフローを確認する
返送されてくるマニフェストに書かれているべきこと
E票と契約書が違う場合(電子マニフェストでも同様の問題に注意!!)
8-2 困ったときの対処法
マニフェストをなくした
期限が過ぎているのにマニフェストが返送されない
措置内容等報告書は本当に出すべきか
保存義務があるマニフェスト
誰にどのマニフェストが最終的に残るのか
特別管理産業廃棄物のマニフェストの返送期限
毎月の請求書に同封されて返送されている場合
返送先はどこにすべきか
マニフェストの管理事務委託
マニフェスト交付等状況報告書について
積み込み時の立会いは義務か
間違った運用を見抜く方法
電子マニフェストで特に気をつける点
マニフェストの様式について
運搬だけ、処分だけを委託する際のマニフェスト
マニフェストの各票と条文について

第9章 これは誰のごみだ!
メンテナンス廃棄物
下取りについて
梱包材の排出事業者は誰か
倉庫廃棄物の排出事業者は誰か
返品、回収品はどこから廃棄物になるのか
OEMなどの製造委託先からの廃棄物は?
リース物件の排出事業者は誰か

第10章 不法投棄されてしまったら
行政処分 (措置命令)の可能性
どんな場合に措置命令を受けるのか
罰則を受ける可能性
社会的責任を問われる可能性

第11章 排出事業者の疑問に答える
特別管理産業廃棄物管理責任者の兼務は可能か
特別管理産業廃棄物管理責任者の資格
一般廃棄物の越境移動は可能か
分別についての考え方
怖い怖い欠格要件の話
加工委託とは?
有価物扱いになっているが
積替え保管場所での有価物の抜き取りについて
販売価格より運賃が高いために逆有償となる場合

第12章 ISO審査員の「おかしな指摘」集
指摘1 排出事業者とは廃棄物の所有者のこと
指摘2 マニフェストに押印がない
指摘3 最終処分業者とも契約を
指摘4 処理業者は有価物を扱えない
指摘5 マニフェストの伝票番号がおかしい
指摘6 マニフェストは排出場所ごとに交付しなさい
指摘7 廃棄物置場に有価物を保管してはならない
指摘8 一般廃棄物保管場所という表示をしてはいけない

第13章 「2010年改正」を徹底解説
13-1 影響が大きいと思われる改正
土地所有者の通報努力義務
自社処理帳簿
建設廃棄物の場外保管の届出
実地確認
A票保存の義務化
処理困難通知と通知を受けた際の措置
収集運搬業の許可制度改革
優良産廃処理業者のメリット付与
処理施設の定期検査
事故時の措置
建設廃棄物の排出事業者の明確化
元請業者に対する措置命令要件の拡大
多量排出事業者制度の改正
13-2 影響が限定的と思われる改正
欠格要件の無限連鎖の廃止
マニフェストの交付を受ける義務
認定熱回収施設の新設
広域認定のDFEの促進
廃棄物の輸入申請条件の緩和
不法投棄罰則の強化

第14章 スクラップも廃棄物に?「2017年改正」のポイント
14-1 不正転売を防ぐための法改正
不正転売を見抜く現場の確認方法
優良産廃処理業者認定制度の情報公開
マニフェストの罰則強化
電子マニフェストのシステム改善
電子マニフェストの一部義務化
14-2 雑品火災対策の法改正
有価物全般に目を光らせる
要注意の有価物
リユースでも注意
現地確認
専ら物との違い
なぜ火災が起こるのか?
14-3 親子会社での自社処理
14-4 水銀廃棄物
水銀に関連する廃棄物を整理
契約書やマニフェストに明記

コラム
総体産廃、総体一廃
通知に従わなくてはならないのか?
逮捕されるのは誰か?会社への影響は?
マニフェストの虚偽記載なんてわからない!
いろいろな「捨てる」の方言
許可取消にかかる制度の整備(改正法第19の10など)

堀口 昌澄 (著)
出版社: 日経BP; 2017年改訂版 (2017/11/3)、出典:出版社HP

図解明解 廃棄物処理の正しいルールと実務がわかる本 排出事業者責任に問われないためのリスクマネジメント

廃棄物処理のマニュアル

この分野の本は、難しく頭に入りにくいものが多いですが、この本は図解やフローチャートを多用し、重要な論点に絞って大きな文字で書かれているので、短時間でその内容を理解できます。非常に丁寧に書かれているので、初心者にもおすすめの一冊です。

はじめに

筆者が廃棄物処理業専門の行政書士となってから、本書執筆時点で 18年が 過ぎ、前職である埼玉県職員時代を含めると、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下、廃棄物処理法)と 20 年以上付き合ってきたことになります。
埼玉県職員時代、はじめて廃棄物処理法に関係する部署に異動した当時は、まだまだ廃棄物処理に関する世間の認識が甘く、不適正処理が横行していまし た。パトロールに出掛けるとあちこちで野焼きの煙が上がり、週に1度は不法投棄の通報が入るような状況でした。
当時は廃棄物処理業に対する世間のイメージも悪く、3Kプラス 1K(こわい) といわれているような状況で、真面目に将来のことを考え、法律をしっかり守って適正処理を推進していこうとする廃棄物処理業者が、世間のイメージと未成 熟な法の中でもがき苦しんでいた時代であったと思います。
廃棄物処理法と付き合うようになってからは、多くの廃棄物処理業者や排出 事業者の方々と一緒に不適正処理をなくすための方法を考える勉強会を行って きました。しかし、平成 28年の年明けに発覚した食品廃棄物不正転売事件は、 報道によって状況が明らかになるにつれ、残念ながら、20年前とあまり変わらない排出事業者責任に対する意識の低さを感じました。
筆者は、廃棄物の処理責任は排出事業者にあり、排出事業者と処理業者が車 の両輪のごとくお互いの義務をしっかり果たしていくことが、不適正処理をなくす近道であると思っています。
排出事業者の方が本書をお読みになり、真に優良な処理業者を選定し、不適 正処理業者が淘汰され、世の中から不適正処理をなくすことができたら、これ ほど幸せなことはありません。 「最後に、我が儘なお願いにもかかわらず推薦文をお書きいただいた北村喜宣 先生、佐藤泉先生、長岡文明先生、ご協力いただいた廃棄物処理業界の皆様、そして執筆する機会をいただいた共著者の石下貴大先生に感謝申し上げます。
行政書士法人高橋環境事務所 代表 高橋利行

推薦文
彼を知り己を知れば、百戦危うからず。
廃棄物処理業者はもとより、行政や弁護士に聞いても、廃棄物処理法は相当 に手ごわい法律です。単に手ごわいだけならおつきあいをしなければよいので すが、そうなると自分のビジネスが進みません。それどころか、適当にしかつきあわないと、おそろしく痛い目にあうのです。
事業者の皆様。廃棄物を出さずに仕事をするのは不可能です。他人ごとではありません。処理責任は、廃棄物処理業者ではなく、皆様にあります。「持って 行って適当に捨てておいて」という姿勢では、皆様ご自身がマーケットから捨 てられます。ご自身が廃棄物処理法違反をしたことのツケは、ときには数億円 の支出を伴います。排出事業者は、廃棄物処理というサービスを買っています。その内容に関心を持ちましょう。
排出事業者には、廃棄物を排出するための許可は不要です。だから何もしなくてよいというわけではありません。皆様は、能力のある処理業者を選択しなければなりません。そして、その廃棄物処理業者と二人三脚で、廃棄物の処理をするのが社会的責任なのです。
廃棄物処理法の解説書は、多く出版されています。よい解説書の条件は、「読み手の立場に立っているかどうか」です。著者の高橋利行さんは、長年、行政 にあって廃棄物行政に従事し、行政書士となってからは、その経験を活かして、排出事業者や廃棄物処理業者の方々へのサポートをしてこられました。廃棄物 処理法を真剣に考えて議論をしてきたその成果が、この一冊に凝縮されていま す。わかりやすい記述のなかにも、要点は確実におさえられています。リアリティあふれる解説は、自分が現場にいるような臨場感を感じさせます。
行政を知り、排出事業者や廃棄物処理業者を知る著者であるがゆえに可能に なった本書。足元をすくわれないために、排出事業者の皆様には、一読をお勧めいたします。「知らなかった」ではすまされません。知っているのと知らない のでは、ビジネスにおける法的リスクが格段に違ってきます。
上智大学法科大学院教授 北村喜宣

推薦文
高橋利行先生は、行政書士として法律の専門家の立場にあり、事業の安定性、継続性の観点から、許認可の申請やコンサルティングを実践されていらっしゃいます。本著は、このような高橋先生の豊富な経験を集大成した、貴重な成果だと思います。
廃棄物処理法は、昭和45年に制定されて以来、多くの改正を重ねてきました。 その背景には、多くの不法投棄・不適正処理事案、地域住民の処理施設建設反 対運動、最終処分残余量の逼迫などの事実がありました。処理委託基準の強化、 マニフェスト制度の普及により、排出事業者の責任は重くなり、不法投棄事件は減少の方向にありますが、新たな課題も浮き彫りになっています。
本著は、近年問題となっている事例を丁寧に取り上げながら、その背景を浮き彫りにし、排出事業者のあるべきコンプライアンスの姿を明らかにしている点で、画期的な本だと思います。また、廃棄物の定義、産業廃棄物と一般廃棄物の違い、特別管理産業廃棄物、処理方法等、廃棄物処理法を理解するうえで 基礎となる項目を、実務に即してわかりやすく解説しています。具体的な事例や写真、図などが豊富に取り入れられているため、廃棄物処理について初歩の 方からベテランの方まで、楽しく、また実践的に学べる本です。
また本著では、積替え保管、廃棄物処理施設の内容、許可証の記載事項、優良産廃処理業者認定制度等についても、実務的で、詳細な説明があります。これは、廃棄物を排出する会社において廃棄物処理を担当する方にとって、大変 重要な情報です。排出事業者の法的義務を確実に履行するためには、その前提として、委託する処理業者の許可の内容を理解することが必要だからです。
私も、この本を通じて、改めて廃棄物処理法の全体像を振り返り、多くの示唆を受けました。是非多くの方に、この本をお読みいただき、廃棄物の適正処 理への理解を深めていただきたいと思っています。
弁護士 佐藤泉

推薦文
行政書士法人高橋環境事務所 髙橋利行代表より、この度「図解明解 廃棄物 処理の正しいルールと実務がわかる本」を出版するにあたり、推薦文の依頼が あった。原稿の段階で一読し、とても親切な名著であると感じた。
これは著者が、行政の立場も経験し、そしてその後長年に亘り行政書士として、廃棄物処理業者、排出事業者、処理施設設置者とともに歩んでこられたが故の、 経験をもとにした知識が活かされた賜物と思う。
本書は、排出事業者の立場から書かれたものであろうと思うが、もちろん、 廃棄物の受け手側となる許可業者にとっても、それを指導する行政担当者にとっても大いに参考になる書である。 「特に、実例を通しての解説は、「我が社でも起きうるのではないか」という危機感を持たせ、読者を真剣に文章に誘い込む。 また、随所に挿入されている挿絵は実にわかりやすい。 特に、排出事業者が実務として悩みが多い、委託契約書、マニフェスト、そして平成 22 年の法改正により条文化された現地確認の推奨については、いろいろな角度から詳細に解説している。
現実の事案では、法律の規定通りには運用できず、また、グレーゾーンや解 釈の違いも生じる廃棄物処理法ではあるが、本書は、法令、通知等の解釈は、 常に安全側に記載されていて、安心して読むことができる。「世の中には、「どうやったら法律の網をくぐり抜けられるか」というようなきわどい本や、「何を根拠にこんなことがいえるのか」と思われるような本も時折 見受けるが、本書は、根拠となる法令をベースに、時には「そこまで用心しなくてもよいのではないか」と思われるほどの安全側を推奨している本である。では、そのことは余計なことか、やりすぎか、杞憂かといえば、決してそうではない。
廃棄物処理法は現在までに何回も改正が行われてきて、30年前、20年前に は想像もできなかったほどの厳しい規定になってきている。その意味では、本 書は未来を見据えた先取りをしている本ともいえるのではないか。5年先、10 年先、30年先までも手元に置いて参考にしていただきたい本である。
BUN環境課題研修事務所 長岡文明

目次

はじめに
推薦文

第1章 あなたの会社のゴミが事件を起こす
■1-1 廃棄物処理、近年問題になっている事例・事件について1
排出事業者責任を問われた食品廃棄物不正転売事件
廃棄物処理の原則とは
排出事業者が負う責任を再認識する
■1-2 廃棄物処理、近年問題になっている事例・事件について2
排出事業者が委託基準違反で逮捕された事件
■1-3 廃棄物処理、近年問題になっている事例・事件について3
廃棄物処理業者との連携が重要! マニフェスト偽造事件
排出事業者として何が欠けていたのか
あなたの会社のゴミの行方について、最後まで見届ける
■1-4 過去の違反事例から考える排出事業者の意識
橋より高い廃棄物不法投棄事件
排出事業者の意識の欠如
■1-5 廃棄物処理にかかるコストの内訳は?
処理費の原価の中身
■1-6 問題事例・事件の背景にはコスト削減あり
コスト削減が不適正処理を招く
■1-7廃棄物処理業界の特殊性を理解する
お金とものが同一方向に流れる特殊性
ものを「なくす」という特殊性
「1社完結が難しい」という特殊性
■1-8 不適正処理をなくすには
一番の方法は「自ら処理」する
優良排出事業者が、優良な廃棄物処理業者を育てる
■1-9 不適正処理の兆候を見付けるポイント
漫然と現場を見るだけでは、何もわからない
現地確認でのポイント1:保管状況の確認
現地確認でのポイント2:処理施設の稼働状況の確認
■1-10不適正処理の兆候を見付けたら
排出事業者として取るべき措置
常に予備の処理委託先を確保しておこう
■1-11 絶対受け取りたくない「ギブアップ通知」
処理困難通知とは
18条報告書とは
■1-12 廃棄物処理、近年問題になっている事例・事件について1・補足
食品廃棄物不正転売事件の続き
どちらにしても残るのは認識の甘さと後味の悪さ

第2章 廃棄物と廃棄物処理法
■2-1 廃棄物処理法の大要
生きていく上で「ゴミ」とは離れられない
廃棄物処理法の成り立ち
■2-2 廃棄物とは
自分の出すゴミを知ることから始めよう
廃棄物の定義
廃棄物かどうかの判断
■2-3 廃棄物の種類:産業廃棄物と一般廃棄物の違い1
会社や工場から出るゴミの種類
産業廃棄物とは
■2-4 廃棄物の種類:産業廃棄物と一般廃棄物の違い2
事業活動に伴うものとは
一般廃棄物とは
特定業種と特定行程
事業系一般廃棄物とは
■2-5 特別管理産業廃棄物とは
危険性の高いもの=特別管理廃棄物
特別管理産業廃棄物の運搬・処分は別許可が必要
■2-6 一般廃棄物と産業廃棄物で異なる処理方法
事業系一般廃棄物の場合の処理方法
産業廃棄物の場合の処理方法
■2-7 産業廃棄物の運搬方法
産業廃棄物を自社で運搬する場合
産業廃棄物を委託して運搬する場合
■2-8 産業廃棄物の中間処理とは
産業廃棄物の処理の流れ
中間処理とは
■2-9 産業廃棄物の中間処理:破砕・圧縮編
破砕処理とは
圧縮梱包処理とは
■2-10産業廃棄物の中間処理:焼却編
焼却施設とは
性状にあった焼却施設を選定
■2-11 産業廃棄物の中間処理:発酵(肥料化)編
発酵(肥料化)処理とは
悪臭対策が重要
■2-12産業廃棄物の最終処分とは
最終処分と廃棄物からの卒業
最終処分場の種類
■2-13 一般事務所関係の適正処理フロー
一般事務所関係の場合
排出が想定される廃棄物1:紙くず
排出が想定される廃棄物2:廃プラスチック類
排出が想定される廃棄物3:混合物
排出が想定される廃棄物4:蛍光灯、LED灯
排出が想定される廃棄物5:乾電池
排出が想定される廃棄物6:個人が飲食した残さ物
■2-14建設業の適正処理フロー
建設業の場合
排出が想定される廃棄物
■2-15 食品関連業の適正処理フロー
食品関連業の場合
排出が想定される廃棄物

第3章 排出事業者責任とは
■3-1 事業者にはもれなく排出事業者責任が付いてくる
そもそも排出事業者とは誰なのか
排出事業者責任とは何なのか
■3-2 処理の最終責任は排出事業者にある
どこまで責任を負えばよいのか?
廃棄物処理、理不尽でもやらなければならない理不尽さ
■3-3 排出事業者としてやるべきこと
委託業者の選定は許可の状況確認から
現地確認には必ず事前準備を
現地確認はしっかりと
委託先として選定したら、必ず契約の締結を
廃棄物引き渡しの際は必ずマニフェストを交付
■3-4 契約書取り交わしのパターン
契約書は誰と取り交わすのか
運搬は自社で、処分だけ委託する場合
運搬と処分をそれぞれ別業者に委託する場合
運搬と処分を同じ業者に委託する場合
運搬を区間委託する場合
■3-5 処理困難通知が届いたら
処理困難通知が出されるときとは
排出事業者が取るべき対応
管轄自治体への報告
■3-6 排出事業者にかかわる廃棄物処理法の罰則
排出事業者が犯しやすい罪とは
委託基準違反(無許可業者への委託)
委託基準違反(委託契約書に関する違反)
マニフェストに関する違反
■3-7 措置命令より怖いもの~最も深刻なのは社会罰~
措置命令って何?
排出事業者に措置命令が発せられた最近の事例
措置命令が出されると

第4章 廃棄物を運ぶ・処分するのに必要な許可
■4-1 許可のない業者に委託してはいけない
廃棄物に関する許可の種類
産業廃棄物処理業の許可とは
■4-2 積替え保管とは
積替え保管は収集運搬業の一形態
循環型社会で見直される積替え保管の意義
■4-3 廃棄物処理施設と廃棄物処理業施設の違い
産業廃棄物処理施設は法律で列挙された施設のみ
その他必要な許可
■4-4 適切な委託業者の選定方法と許可証の確認事項
委託業者の選定に伴う排出事業者側のリスク
委託業者の選定方法と選定ポイント
許可証の記載はここに注意
■4-5 優良産廃処理業者認定制度について
優良産廃処理業者認定制度とは
優良事業者認定のメリットとは
選定の際は評価制度だけに頼らない
東京都における優良性基準適合認定制度とは

第5章 排出事業者責任に問われないために
■5-1 廃棄物を適正処理するための基本ルール
適正な処理のために
産業廃棄物の委託基準とは
産業廃棄物の保管基準とは
特別管理産業廃棄物の保管基準とは
収集運搬における積替え保管の基準とは
中間処理における保管基準とは
■5-2 適正処理フローの4つのポイント
産業廃棄物の適正処理フロー
社内体制の整備
■5-3 現地確認の4つのポイント
処理状況の現地確認を行う意味
重要なのは信頼関係の構築
廃棄物引渡し時の立ち会いは必要か
■5-4 委託契約書に書く内容は決められている
委託契約書とは 委託契約書に記載すべき内容
記載事項について
委託契約書に添付すべき書面
■5-5 委託契約書に関する基本ルールと罰則、印紙税
委託基準違反は甘くない
再委託の禁止
個別契約書と基本契約書
原則は二者契約
産業廃棄物処理委託契約書と印紙税について
■5-6 電子契約書について
廃棄物処理法に定める委託契約書の電子化について
電子契約書のメリット
■5-7 委託契約書のモデル記載例(収集運搬)
■5-8 委託契約書のモデル記載例(処分)
■5-9 マニフェストって何だ? 導入の背景とその効果
マニフェストとは
マニフェスト制度の経緯
電子マニフェストについて
■5-10 マニフェストの適切な運用方法
マニフェストの流れ マニフェストに関する罰則

第6章 廃棄物削減への取組・事例紹介
■6-1 株式会社アイル・クリーンテック
■6-2 東金属株式会社
■6-3 株式会社金谷興油
■6-4 株式会社共和
■6-5 株式会社ぐんま東庄
■6-6 株式会社サニタリーセンター
■6-7 株式会社総合整備
■6-8 株式会社トモノ
■6-9 株式会社ミダック
■6-10 株式会社リネス
■6-11 株式会社浜田
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図解入門ビジネス 最新 産廃処理の基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版]

産廃処理を委託する側・受託する側の両方に役立つ

産廃処理の基本と仕組みが学べます。一般と産廃の違いから法規制まで、事細かく網羅されており、項目的にも辞書的に使える、用語の説明が平易である、図表がふんだんでわかりやすい、他人に説明しやすいといった点でとても優秀な一冊です。

はじめに

最近、廃棄物の不法投棄などが発覚した際、その廃棄物の処理を業者に委託 した、排出事業者自身の責任が問われるケースが増えています。常識的な感覚としては、「行政から許可を受けた処理業者に廃棄物を渡しているのに、なぜさ らに責任を負わなくてはいけないのか?」と考えたくなりますが、「廃棄物処理法」では、「廃棄物の処理責任は、排出事業者にある」と定められていますので、排出事業者は処理責任から免れることはできません。
近年は、環境問題や企業のCSRにも、大きな社会的関心が寄せられていますので、委託した産業廃棄物が不法投棄されてしまうと、「不法投棄に関与した会社」というイメージを持たれてしまい、企業活動にとって大きなマイナスとなっています。
このようにお話しすると、排出事業者の責任というものは、途方もなく大きく、 重いものに思えるかもしれません。しかし、やるべきことをやり、やってはいけないことはしないようにすれば、排出事業者の責任の重さをそれほど恐れる 必要はありません。
本書は、2008年1月に初版が出版されました。その後、2010年の廃棄物処理法改正を受け、2011年2月に第2版に改訂しました。そして、2017年に 廃棄物処理法が再度改正されましたので、新たに増補改訂を行い、第3版を出版する運びとなりました。2017年改正では、「電子マニフェストの運用義務付け対象」の他、「同一企業グループによる産業廃棄物処理の特例」等、排出事業 者にとっては規制の強化と緩和の両方が行われました。それらの新たな法令改 正については第5章にまとめていますので、ご参照いただければ幸いです。
本書は、産業廃棄物の基礎知識や、処理業者の選定方法、委託契約書や産業 廃棄物管理票(マニフェスト)の運用方法など、産業廃棄物を処理する上で、理 解しておくことが不可欠な内容を網羅していますので、本書に書かれている内 容を実践していただければ、廃棄物の処理や委託に伴う不安の多くを解消する ことが可能です。
本書を、産業廃棄物の処理に初めて携わる方の入門書として、あるいは、実務で何か問題があったときに参照しなおす座右の書として、幅広い読者の方に 利用していただければ幸いに思います。
2018年7月
尾上雅典

図解入門ビジネス
最新 産廃処理の基本と仕組みがよ~くわかる本[第3版]

CONTENTS

はじめに

第1章 産業廃棄物とは
1-1 産業廃棄物ってどんなもの?
1-2 産業廃棄物にはどんな種類があるか
1-3 特別管理産業廃棄物とは
1-4 どのくらいの産業廃棄物が排出されているか
1-5 どのくらいの産業廃棄物が再生利用されているか
コラム 信頼できる処理業者を教えて欲しい

第2章 産業廃棄物処理の流れをみてみよう
2-1 産業廃棄物処理の流れ
2-2 収集運搬
2-3 収集運搬に使われる車両
2-4 収集運搬に使われる容器
2-5 破砕施設
2-6 汚泥の脱水施設
2-7 焼却炉
2-8 選別機
2-9 油水分離施設
2-10 固化施設
2-11 溶融施設
2-12 最終処分施設
2-13 安定型最終処分場
2-14 遮断型最終処分場
2-15 管理型最終処分場
コラム 行政が立入検査に来たら

第3章 産業廃棄物はどう処理されているか
3-1 燃え殻とばいじんの処理方法
3-2 汚泥の処理方法
3-3 廃油の処理方法
3-4 廃酸・廃アルカリの処理方法
3-5 廃プラスチック類の処理方法
3-6 紙くずの処理方法
3-7 木くずの処理方法
3-8 繊維くずの処理方法
3-9 動植物性残さの処理方法
3-10 金属くずの処理方法
3-11 ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くずの処理方法
3-12 鉱さいの処理方法
3-13 がれき類の処理方法
3-14 感染性廃棄物の処理方法
3-15 アスベストの処理方法
3-16 PCB廃棄物の処理方法
コラム 産業廃棄物処理施設で事故が起こった!

第4章 産業廃棄物を適正処理するには
4-1 産業廃棄物の処理を委託するには
4-2 産業廃棄物の処理を委託するときのルール【委託基準】
4-3 処理業者と委託契約書を結ぶ
4-4 委託契約書にはどんなことを書くのか
4-5 排出事業者が行うべき情報提供
4-6 やってはいけない委託契約書の記載ミス
4-7 毎月処理費が変動する場合の委託契約書
4-8 再委託は禁止されている
4-9 委託契約の締結後に注意すること
4-10 適正処理のためにマニフェストを使う
4-11 なぜ、マニフェスト制度が導入されたのか
4-12 マニフェストにはどんなことを記入するのか
4-13 マニフェストの使い方1
4-14 マニフェストの使い方2
4-15 やってはいけないマニフェストの運用ミス
4-16 マニフェストを紛失したときの対応
4-17 電子マニフェストの仕組み
4-18 紙と電子のどちらがよいか!?
4-19 産業廃棄物処理業者がつける帳簿
4-20 産業廃棄物処理業者の帳簿の記載事項
4-21 排出事業者に帳簿が必要な場合もある
4-22 2010年度廃棄物処理法改正の概要
4-23 建設廃棄物の取り扱い
4-24 廃棄物保管場所の事前届出
4-25 マニフェスト交付後の注意点
コラム 廃棄物処理法違反が発覚したら

第5章 2017年度廃棄物処理法改正のポイント
5-1 2017年改正法の概要
5-2 電子マニフェストに関する法律改正
5-3 雑品スクラップの保管に関する規制
5-4 同一グループの企業に認められた特例
5-5 水銀廃棄物に関する法令改正の概要
5-6 水銀廃棄物管理の実務

第6章 処理業者選定のポイント
6-1 委託先処理業者の現地確認が義務となった
6-2 適切な処理業者を選定するためには
6-3 許可内容を確認しよう
6-4 行政処分歴の有無を確認しよう
6-5 処理フローは明確になっているか
6-6 事業場の様子をチェックしよう
6-7 情報公開の姿勢はどうか
6-8 処理業者の経営状況を分析しよう
6-9 近隣住民から評判を聞こう
6-10 優良産廃処理業者認定制度を利用しよう
6-11 委託先処理業者の危険な兆候とそれを見抜くための着眼点
コラム リサイクル偽装に注意!

第7章 不法投棄の実態
7-1 不法投棄の現状はどうなっているか
7-2 どんな廃棄物が不法投棄されているか
7-3 不適正処理の実行者は誰か
7-4 不法投棄された廃棄物はどのように撤去されるのか
7-5 不法投棄された廃棄物はどのくらい残っているか
7-6 過去の大規模不法投棄事件をみる
7-7 どうして不法投棄が行われるのか
7-8 不法投棄を防ぐさまざまな手立て
コラム 罰則をどう考えるか

第8章 数字でみる産業廃棄物処理業界
8-1 産業廃棄物処理業の許可件数は減少傾向
8-2 許可取り消し件数の推移
8-3 他産業に比べて高い労働災害の発生率
8-4 最終処分量の減少で残存年数は改善

これは廃棄物?だれが事業者?お答えします! 廃棄物処理(改訂増補版)

事例が豊富!画期的な実務書

産廃物処理学習者が疑問を抱きやすいポイントを網羅的に扱っており、この本のおかげでやっと理解できることも多いです。実務目線で纏めてあるため、初学者の方でも大変分かり易く学ぶことができます。廃棄物関係の学習をする上で必携の一冊です。

龍野浩一 (著)
出版社: 第一法規株式会社; 改訂増補版 (2018/1/19)、出典:出版社HP

本書について

「通知行政」と揶揄される「廃棄物処理法」(以下、「法」といいます)の運用上の性格を踏 まえ、本書出版元の主催によるセミナー「通知で見る廃棄物処理法」等を数回にわたり実施し たのは、平成20年2月から平成21年10月にかけてのことです。その後、平成22年5月 19日に法が、12月22日に同施行令(以下、「令」といいます)が、平成23年1月28 日に同施行規則(以下、「則」といいます)がそれぞれ改正され、主要な通知の発出や廃止と ガイドラインマニュアル等の制改定を経て、4月1日に全面施行されました。
これらの改正等により、従来、解釈が困難とされてきた疑義は多少なりとも明確になった・・・ わけはなく、以降の改正等と相まって、その難解さは高まるばかりです。そして、それを反映 するかのごとく、連日のように寄せられる筆者への質問の内容も複雑化の一途を辿っています。 今や1件の相談で2、3時間を費やすことはそう珍しくもなくなり、むしろ、きわめて日常的 なものとなってしまいました。相談を受ける機会は以上にとどまらず、たとえば平成18年度 から事業化している「廃棄物管理士講習会」等においても、実務者にしか持ちえない多種多様 な質問に回答してきました。その結果、筆者には多くの指導・助言事例が蓄積されています。
このようにして蓄積された事例を眠らせたまま有効に活用しないのはもったいない、また筆 者や筆者の所属する団体が質・量ともにそれだけの相談を受け、指導・助言し、廃棄物の適正 処理を推進している実情を広く世間に知っていただきたいという思いから、とりわけ解釈が困 難とされている基幹分野を中心に厳選・集約して本書を執筆することとしました。ただし個 別・具体な相談の主体や状況等が特定されやすくなることを避けるため、質問の内容は、1年 あたりの平均的な照会頻度を添え、一般化しています。照会頻度の見方は、次のとおりです。
照会頻度の見方
★★★・・・年間平均で20件以上あった同類の質問
★★☆・・・年間平均で10件以上20件未満あった同類の質問
★☆☆・・・年間平均で10件未満あった同類の質問
回答は法令・告示・通知や判例等を踏まえたものを原則とし、簡素で平易な解説を心がけ、 あえて持論は展開していません。また実務的な理解には直接不要と思われる背景・経緯等につ いて、過剰な言及や補足も差し控えています。なお通知は法令・告示の解釈や運用を助ける有 効な手段となりえますが、あくまで環境省(主務官庁)による「技術的な助言」であり、根底 には「自治事務」と「法定受託事務」があります。都道府県等によっては「上乗せ」や「横出し」をはじめとする条例・規則・細則、さらには要綱・指針等を制定しているところもありま す。したがって、月並みな締括りになってしまいますが、最終的な判断は必ず最寄りの所管課 等に確認を取ってからにしてください。
平成27年7月
公益社団法人大阪府産業廃棄物協会事務局にて
筆者

改訂増補にあたって

初版の刊行から2年が経過しました。
この間、本書に対する評価の声を数多くいただく一方で、廃棄物処理に係る筆者への相談が 減る兆しは一向にありません。反対に、本書の刊行を契機として増えているのではないかと感 じるほどです。初版で取り扱わなかった内容や以降に改正された法令事項等を含め、それまで 以上の広範多岐にわたる質問が、引き続き筆者のもとに寄せられています。廃棄物管理担当者 が抱える「悩み」は尽きないというわけです。事実、彼らが経験を積み、理解を重ね、本質に 迫ろうとするほど、新たな疑義や矛盾に気づかされ、混乱に陥ってしまうことになるのが、こ の分野の厄介な点といえます。
本書の改訂増補に踏み切ったのは、以上の事情に対し、それでも誠実かつ熱心に向き合って 試行錯誤されている実務者の方々から「第2弾」を求める打診を幾度となくいただいたためで す。加筆にあたっては、既述のとおり受けた相談のうち最近で特に目立ったものを中心に選び、 目次においてNEWを添えています。また初版から登載されているものについても、必要に応 じ、さらに踏み込んだ解説や資料等を追加して内容の強化に努めました。 改訂増補が施された本書を、どうぞ存分に活用してください。
平成29年10月
公益社団法人大阪府産業廃棄物協会事務局にて
筆者

龍野浩一 (著)
出版社: 第一法規株式会社; 改訂増補版 (2018/1/19)、出典:出版社HP

目次

これは廃棄物 なのか?
廃棄物の定義 編
事例1 廃棄物該当性の判断について
Q001 廃棄物の定義
Q002 廃棄物に該当しないもの
Q003 土砂と汚泥の判断
Q004 油分が5%未満の土砂の取扱い
Q005 有価物と専ら物
Q006 再生の定義
Q007 輸送費の取扱い
Q008 廃棄物の疑いがある有価物の自ら利用又は自ら保管
Q009廃棄物と有価物の判断
Q010 不用品の回収
NEW Q011 処分期間を経過した高濃度PCB使用製品
Q012 災害廃棄物由来の再生資材
Q013 主務官庁による廃棄物該当性の判断

事例2 一般廃棄物と産業廃棄物の区分について
Q014 事業活動の範囲
NEW Q015 事業活動の一環として行う付随的活動
Q016 事業系一般廃棄物
Q017あわせ産廃
Q018 一般廃棄物の判断例
NEW Q019 製造と卸売・小売の双方を行う事業場から排出された食品廃棄物
Q020 一般廃棄物を産業廃棄物として取り扱うこと
NEW Q021 発生場所と異なる市町村での一般廃棄物の処理
Q022 木くずの判断例
Q023 がれき類の判断例
Q024 ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くずの判断例と取扱い
Q025 繊維くず・廃プラスチック類の判断例
Q026 排出事業種の特定
Q027 金属くず・鉱さいの判断例と取扱い
Q028 石綿含有産業廃棄物の定義
NEW Q029 熱しゃく減量が5%を超える安定型産業廃棄物の取扱い
Q030 公共の水域の範囲
Q031 燃え殻・ばいじんの判断例、13号廃棄物の定義
Q032 不要な飲食料品、泥状・液状物
Q033 不要な施設関連複合物等
NEW Q034 水銀使用製品産業廃棄物の定義
NEW Q035 水銀含有ばいじん等の定義

事例3 特別管理廃棄物の種類と取扱いについて
Q036 引火性廃油
NEW Q037腐食性廃酸・腐食性廃アルカリの判断例
Q038 感染性廃棄物の定義
Q039 感染性廃棄物の判断例
Q040 感染性一般廃棄物と感染性産業廃棄物の混合物
Q041 微量PCB廃棄物と低濃度PCB廃棄物
Q042 コンクリートで固めたPCB廃棄物
NEW Q043 PCB汚染物を分解・解体した後のPCBが封入されていない部分
Q044 PCB汚染物を洗浄処理した後の使用済みの洗浄溶剤
Q045 廃石綿等の判断例
NEW Q046廃水銀等・廃水銀等を処分するために処理したものの判断
Q047 金属等を含む特定有害産業廃棄物の判断例

だれが事業者 なのか?
事業者の特定編
事例4 事業者の特定について
Q048 建設廃棄物の事業者と発注者の責務
Q049 下請業者による自ら保管と処理委託、自ら運搬
NEW Q050浄化槽汚泥の事業者
Q051 他人が所有する付帯設備の管理に伴って生じた産業廃棄物の事業者
Q052 清掃廃棄物の事業者
Q053 下取り行為等
Q054 不要な寄託品・余剰品の事業者
Q055 不要なリース物品の事業者
Q056 不要な梱包材・容器の事業者
Q057 中間処理産業廃棄物の事業者
NEW Q058 くず化された容器(ガスボンベ)の事業者
Q059 同一敷地内の企業群が排出した産業廃棄物の事業者と処理委託契約書
Q060 法人格の有無等を踏まえた事業者の特定
Q061集荷場所が提供される産業廃棄物の事業者とマニフェストの交付
Q062 自ら処理の運用例
Q063 埋設廃棄物の事業者
Q064 最終処分場の掘削工事に伴って生じた産業廃棄物の事業者
Q065 船内廃棄物の事業者と国外廃棄物の事業者

事例5 処理責任から見た事業者の範囲について
Q066 事業場内外での自ら保管
Q067 事業系一般廃棄物の自ら処理
Q068 産業廃棄物処理施設を使用した自ら処分
Q069 産業廃棄物処理施設設置の許可に係る基準等
Q070 廃棄物処理施設の維持管理に関する情報の公表方法
Q071 産業廃棄物処理施設を一般廃棄物処理施設として使用する手続き
Q072 事故時の措置
NEW Q073 運搬容器の表示・構造
Q074 帳簿の備えつけ
Q075 立入検査の事前連絡
NEW Q076 報告の徴収・立入検査の対象
Q077 産業廃棄物処理業許可証の確認
Q078 一般廃棄物収集運搬業や一般廃棄物処分業の許可に基づく特別管理一般廃棄物の処理委託
Q079 産業廃棄物処理業者以外に処理委託できる者
Q080 産業廃棄物処理業者への処理委託と事業者の処理責任
NEW Q081 一般廃棄物収集運搬業や一般廃棄物処分業の許可要件
NEW Q082 規制権限の及ばない第三者による斡旋・仲介・代理等
Q083 現地確認の根拠
Q084 適正な対価の範囲
NEW Q085 不法投棄や不法焼却の未遂等
Q086 焼却禁止の例外
Q087 原状回復の範囲
Q088 処理委託の契約
Q089 マニフェストの運用
Q090 電子マニフェスト
Q091 更新許可が下りてくるまでの間の措置
Q092混入等防止措置を講じなければならない者
NEW Q093 中間処理業者による中間処理産業廃棄物の輸出

事例6 受託者の留意点について
Q094 積替保管を含む収集運搬の範囲
Q095フェリーによる海上輸送
Q096 積卸しを行わない都道府県等を通過する収集運搬
Q097 運搬を伴わない積替保管のみの受託
NEW Q098 海洋投入処分のための収集運搬
Q099 宅配便を利用した配送
Q100 複数の廃棄物の相積み
NEW Q101 フロン類が充填された産業廃棄物の収集運搬の受託
NEW Q102 電子マニフェストを使用する場合の運搬車に備えつける書面
Q103 分別又は圧縮の受託
Q104 中間処理施設に投入しない有価物の拾集
Q105 産業廃棄物の性状が変わらない中間処理の受託
NEW Q106 運搬容器を含む廃棄物の中間処理の受託
Q107 再生利用を目的とした加工のための引取り
Q108試験研究のための引取り
Q109 一般廃棄物の収集運搬の受託
NEW Q110 無許可営業と受託禁止違反、名義貸し禁止違反
Q111 変更届の可否等
Q112 変更許可の申請と変更届
Q113 優良産廃処理業者認定制度
Q114 合併・分割等に伴う許可の取扱い
Q115 申請者の能力
Q116 許可の取消し

付録 廃棄物処理のためのガイドライン・マニュアル等一覧
文献
索引

龍野浩一 (著)
出版社: 第一法規株式会社; 改訂増補版 (2018/1/19)、出典:出版社HP

図解超入門!はじめての廃棄物管理ガイド―これだけは押さえておきたい知識と実務

初心者から上級者までおすすめ

イラストや実例に沿った解説などもあって、取っ付きやすく、初心者にも親切なつくりになっています。とにかく理解しやすい構成となっている点がこの本の良いところで、知識の整理にも便利です。この一冊で一通りのことを学ぶことができ、理解が難しいポイントもビジュアルで直感的に理解できます。

坂本 裕尚 (著)
出版社: 産業環境管理協会; 改訂版 (2018/6/1)、出典:出版社HP

まえがき

この本は、排出事業者が知らなければいけない廃棄物管理のイロハから実務のポイントまでを、できるだけわかりやすく、そして網羅的にまとめたものです。基本的な本書の構成として、左ページには解説文、右ページにはそれを具体的にイメージできるようなイラストや図表を載せています。はじめて廃棄物管理の仕事をする読者は当然ながら、さらに理解を深めたい実務経験者の読者にも役立つような内容になっています。
本書では、はじめに廃棄物管理の仕事が内包するリスクについて紹介しています。廃棄物を取り扱うことは、常にリスクと隣り合わせにあるということです。最近はちょっとした廃棄物処理法の違反でも簡単にニュースになります。たとえば、収集運搬業者 が許可されていない種類の廃棄物を運搬するのは違反ですが、その廃棄物を委託した 排出事業者も無許可業者への委託となり、それがニュースに取り上げられることがあります。このようなリスクをまず認識してもらうために、実際に起きた事例などを紹介しています。リスクを踏まえることで、廃棄物管理の業務を隈なく理解することの必要性が 認識できると思います。
筆者は産業廃棄物処理業を行う会社の法務部として、処理業者の実態を数多く目に してきましたので、処理業者が陥りやすい不適正事例を認識しているつもりです。また、 数多くの排出事業者から廃棄物管理に関する困りごとの相談を受けてきました。本書で はそれらの経験を活かし、排出事業者の目線から、廃棄物管理の実務をわかりやすく、体 系的に解説することに努めました。
この本の主人公は、はじめて廃棄物管理を学ぶ「五味丸学くん」です。ページが進むにつれて成長する彼の姿を追うことで、読者も一緒に廃棄物管理についての理解を深めていって欲しいと思います。また、章末の彼と上司との会話のやりとりは、復習や 業界話の紹介を兼ねていますので、ぜひそちらも息抜きとしてご覧ください。
平成30年4月、廃棄物処理法の改正が施行されました。本書の改訂にあたり、第7章でその法改正のポイント解説を追加し、全体の内容も法改正に沿って更新しました。また、その他のさまざまな情報も最新のものに更新してあります。
末筆ながら、本書が皆様の廃棄物管理にとって役に立つものとなり、少しでも企業の リスク最小化につながることをお祈りしています。
2018年6月
坂本 裕尚
お断り
本書では、廃棄物の中でも排出事業者に関係の深い「産業廃棄物」の法的なルール等を
主に解説しています。一般廃棄物の解説は一部に留めていることをご了承ください。

坂本 裕尚 (著)
出版社: 産業環境管理協会; 改訂版 (2018/6/1)、出典:出版社HP

CONTENTS 目次

まえがき
本書の読み方
みどりさんの新人研修

第1章 業務の前に知っておくべきこと
1 廃棄物管理は法を遵守する業務
2 排出事業者責任は最終処分終了まで
3 法令違反をしたらどうなるのか?
4 あとを絶たない法令違反
5 廃棄物処理法違反での検挙状況
6 刑事罰と行政処分はどう違うのか?
7 そもそも処理業者は信用できるのか?
コラム1 排出事業者責任が問われた事例

第2章 廃棄物管理業務の5つのポイント
1 知らないではすまされない
2 処理委託せざるを得ない.
3 “四位一体”での管理
4 国と自治体の役割
5 社内内部監査の活用と処理業者の監査
コラム2 許可権限をもつ自治体
コラム3 法律・条例の基礎知識
コラム4 自治体の廃棄物対策課

第3章 廃棄物の基礎知識
1 廃棄物とは?
2 排出事業者は誰か?
3 廃棄物の流れ
コラム5 事業系一般廃棄物
コラム6 家電4品目の廃棄
コラム7 総合判断説
コラム8 廃棄物処理法の関連法令(フロン、アスベスト)
コラム9 専ら物等の再生利用
コラム10 特別管理産業廃棄物管理責任者
コラム11 誰が排出事業者になるか?

第4章 廃棄物管理の実務(法的義務編)
1 処理業者への処理委託手順
2 実務に関する5つのポイント
3 許可証
4 委託契約書
5 マニフェスト
6 廃棄物の保管
コラム12 優良な産廃処理業者を認定する制度
コラム13 国許可証の違反と対策
コラム14 有価物の売買契約書
コラム15 廃棄物のテスト搬入・処理
コラム16 マニフェストの紛失対応
コラム17 電子マニフェストのよくある間違い
コラム18 “報告不要”の電子マニフェスト

第5章 処理業者への実地確認(努力義務編)
1 監査の方法
2 収集運搬業者への監査
3 処分業者への監査
コラム19 横流し等の予防措置
コラム20 本音を引き出す監査

第6章 廃棄物管理の継続的維持
1 正しい情報を得る
2 廃棄物管理のルールブック
3 継続的な教育
4 内部監査で遵法性を確認
5 処理業者とのコミュニケーション

第7章 水銀改正・平成29年改正
1 水銀に関する改正
2 電子マニフェストに関する改正
3 親子会社による一体的処理の特例
4 許可取消し等に伴う処理困難通知等の義務づけ
5 有害使用済機器の適正な保管等の義務づけ

資料編 自治体独自のルール

本書の読み方

はじめて廃棄物管理の担当者になった初心者は、廃棄物管理の仕事がなぜ重要かを知るために第1章から読みましょう。もう基礎は分かっていて実務のポイント を知りたい中級者は、第4章から読むことをおすすめします。

第1章 業務の前に知っておくべきこと
廃棄物の業務はリスクと隣り合わせです。この音では不適正事例から廃棄物を扱うリスクを認識し、処理業者の実態を紹介します。

第2章 廃棄物管理業務の5つのポイント
適正な廃棄物管理には“四位一体”での管理が必要です。内部監査などを活用 することも有効です。

第3章 廃棄物の基礎知識
実務を学ぶ前に廃棄物の基礎知識を理 解しておきましょう。廃棄物とは、排出事 業者は誰なのか、廃棄物の処理の流れなどを解説します。

第4章 廃棄物管理の実務(法的義務編)
処理業者への委託手順を確認し、許可 証、委託契約書、マニフェスト、廃棄物の 保管など、排出事業者の実務について詳 しく解説します。

第5章 処理業者への実地確認(努力義務編)
リスク最小化のために監査はとても有 効です。社内ルールから事前準備、処理 業者ごとの確認ポイントを見ていきます。

第6章 廃棄物管理の継続的維持
廃棄物の適正な管理は担当者が代わっても維持されなければなりません。最後 の章では、維持していくための手法をいくつか紹介します。

第7章 水銀改正・平成29年改正
適正な廃棄物管理のためには法改正へ の対応も不可欠です。水銀に関する法改 正、平成29年の法改正のポイントを解説 します。

坂本 裕尚 (著)
出版社: 産業環境管理協会; 改訂版 (2018/6/1)、出典:出版社HP

各章の対象レベル

登場人物紹介
五味丸 学(ごみまるまなぶ)くん
大手食品メーカーに勤務する入社3年目のエネルギッシュボーイ。このたび品質管理部 門から環境部門に配属され、はじめて廃棄物管理の業務をすることに。長所は何でも吸収し ようとする前向きなところ。
江子野みどり(えこの)さん
長年環境部門に在籍する廃棄物管理のエキスパート。学くんに廃棄物管理の何たるかを 教えてくれる頼もしい上司であり、学くんの成長を楽しみにし ている。

みどりさんの新人研修
研修生 五味丸 学くん
指導員 江子野 みどりさん
廃棄物の管理にあたって 守るべき法律は何ですか?
それはね、 廃棄物処理法よ!
会社から出たこれらのゴミはすべて産業廃棄物なんですか?
廃棄物の区分は大きく「産業廃棄物」と「一般廃棄物」に分かれ るのよ。産業廃棄物は事業活動に伴って排出されるもので、汚泥 や廃プラスチック類など20種類が法令で定められているわ。それ以外のものは一般廃棄物になるのよ。
なるほど。ところで、産業廃棄物と一般廃棄物って何が違うんですか?
いろいろあるけど簡単にいえば、産業廃棄物は排出事業者に処理 の責任があり、一般廃棄物は市町村に処理の責任があるところね。
えっ? 排出事業者に責任があるってどういうことですか?
それは「排出事業者責任」と呼ばれているけど、つまり一番大事 なことは、排出事業者は産業廃棄物を最後まで適正に処理する責 任があるということね。
自分の会社で産業廃棄物を処理できないときは、廃棄物を処理する業者に処理を頼みますよね?そのときに「委託基準」というも のを守らないといけないと聞いたんですが、それは何ですか?
いい質問ね。委託基準を要約すると、・委託する廃棄物を処理できる許可をもっていること・委託する前に委託契約を締結することマニフェストを交付することが主に挙げられるわ。
廃棄物を処理する業者のことを「処理業者」というそうですが、そもそも処理業者とはどのような業者なんですか?
まずは廃棄物を運搬する「収集運搬業者」、その廃棄物を焼却や破砕などを行う「中間処理業者」、その中間処理業者の処理後の 廃棄物、例えば焼却後の燃え殻を埋立処分する「最終処分業者」 に大きく分かれるわね。
では廃棄物の収集運搬を委託する場合、収集運搬の許可をもって いる業者であればいいんですね?
いや、許可をもっていればいいということではなく、その業者の許 可証を確認して、委託する廃棄物の種類などが扱える業者かどうかを判断しないといけないわね。
なるほど。許可さえもっていればよいのでは ないのですね。普通免許では大型車の運転 はできないようなものですかね。じゃあ、運 転免許証みたいに有効期限があるんですか?
いいところに気づいたわね。そのとおりよ。「許可証」の有効期 限切れが原因で無許可業者への処理委託になることもあるのよ。
委託基準の中で許可業者への処理委託 のほかに、契約とマニフェストがありまし たが、マニフェストって何ですか?
マニフェストとは、「委託する廃棄物が適正に処理されているか」 が確認できる伝票のことよ。排出事業者は処理業者に処理を委託 するときには必ずマニフェストを交付しなければならないのよ。それに交付したらそれで終わりではなく、処理業者から処理終了のたびにB2票、D票、E票などが返送されてくるから控え伝票と の照合確認が必要になるのよ。
なるほど。そのマニフェストで最終処分終了の確認をすることに よって、排出事業者責任を果たすということですね。
そうね。でもマニフェストの確認だけでは足りないこともあるのよ。実際、マニフェストE票で最終処分終了を確認していても処理委 託した食品廃棄物が横流しされた事件もあったしね。 だから排出 事業者責任を果たすためには、処理業者への実地確認(監査)が 重要になるのよ。
マニフェスト
そうなんですね。でも中には悪い業者もいるかもしれないけど、処理業者の多くは問題ないんじゃないですか?それにもし処理業 者が何か不祥事を起こしたとしても、それはその業者の責任です よね?
もう一度、排出事業者責任という言葉を思い出して!もし処理業 者が不適正処理を行った場合でも、その責任は排出事業者にもあるのよ。
そうか…。じゃあ処理業者が不適正な処理をするかどうかをどう やって見極めればいいんでしょう?
そのあたりを一言でいうのは難しいから、あとでじっくり説明する わ。でも廃棄物に関する排出事業者のリスクは思った以上に大きいということは理解しておいてね。じゃあ、まずは排出事業者のリスクから見ていきましょう!

坂本 裕尚 (著)
出版社: 産業環境管理協会; 改訂版 (2018/6/1)、出典:出版社HP

三訂版 廃棄物処理早わかり帖

廃棄物処理の理解はこの1冊から

廃棄物処理法を中心とした、初級者向けの内容となっています。廃棄物を十分に理解できていない人でも理解できるように構成された解説書です。文字だけでなく、図や表を用いてビジュアルでも伝わるように解説されている為、初学者の方でも理解しやすいものとなっています。

英保 次郎 (著)
出版社: 東京法令出版; 3版 (2015/12/11)、出典:出版社HP

はじめに

廃棄物の処理は、地球温暖化と並んで、最も注目されている問題です。
これまで、最終処分場の確保、処理施設建設に伴う地元とのトラブル、ダイオキシン問題、岩手、豊島、青森などの不法投棄など廃棄物に関わる様々な課題が次から次へと起こり、廃棄物問題はひっ迫しています。
この事態を打開するため、廃棄物の処理の範疇からより広い概念でとらえ、「循環」という観点で問題を解決しようという方向の流れがあります。
ところが、廃棄物発生過程をはじめその処理・再生においても複雑で多岐にわたっており、全体像をなかなか理解し難い上に、廃棄物処理法がその時点での問題解決のため、何度も改正がなされ、環境諸法の中でも最も理解しにくい内容となっています。
一方、企業、自治体においては、環境・廃棄物についてよく内容を理解している人材が大量退職し、それぞれの職場がますます手薄 となってきています。
このため、廃棄物処理法を中心として、廃棄物を十分理解できていない人でも理解できるように、初級向けの解説書を作成しました。また、今回の改訂に当たって、平成28年9月現在の内容としました。
都道府県や市町村の担当者、廃棄物処理業者、排出企業、技術管理者などの幅広い分野の方々にご活用いただき、廃棄物の適正な処理に資することを切に希望しています。

平成28年11月
英保次郎

英保 次郎 (著)
出版社: 東京法令出版; 3版 (2015/12/11)、出典:出版社HP

目次

1 廃棄物とは
2 産業廃棄物と一般廃棄物
3 特別管理廃棄物
4 感染性廃棄物
5 廃石綿・石綿含有廃棄物
6 PCB廃棄物
7 ダイオキシン類
8 関係者の責務
9 廃棄物処理責任
10 廃棄物処理計画
11 廃棄物処理基準
12 特別管理性状をなくす方法
13 廃棄物の委託
14 廃棄物処理業
15 産業廃棄物収集運搬業の合理化
16 再委託の禁止
17 産業廃棄物処理業の許可の取消し等
18 優良産業廃棄物処理業者認定制度
19 産業廃棄物管理票(マニフェスト)
20 廃棄物処理施設
20の2 非常災害に係る一般廃棄物処理施設の設置の特 例
21 産業廃棄物処理施設の設置者に係る一般廃棄物処理 施設の設置についての特例
22 廃棄物処理施設の許可の取消し
23 維持管理積立金
24 技術管理者
25 特別管理産業廃棄物管理責任者
26 産業廃棄物処理責任者
27 廃棄物が地下にある場合の土地形質変更
28 再生利用に係る特例
29 広域再生利用に係る特例
30 不法投棄
31 不法焼却
32 指定有害廃棄物の処理の禁止
33 改善命令・措置命令・支障の除去
34 罰則
35 循環型社会の形成
36 リサイクル法
◆一般廃棄物処理基準
◆特別管理一般廃棄物処理基準
◆産業廃棄物処理基準
◆特別管理産業廃棄物処理基準
◆一般廃棄物処理施設の技術上の基準
◆一般廃棄物処理施設の維持管理の技術上の基準
◆産業廃棄物処理施設の技術上の基準
◆産業廃棄物最終処分場の技術上の基準
◆産業廃棄物処理施設の維持管理の技術上の基準
◆産業廃棄物最終処分場の維持管理の技術上の基準
◆添付 別表1~3 特別管理産業廃棄物排出源一覧表

略語一覧

【法令名略語】
法…廃棄物の処理及び清掃に関する法律
政令…廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令
省令…廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則
最終処分基準省令…一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令
Dx法…ダイオキシン類対策特別措置法
資源有効利用促進法…資源の有効な利用の促進に関する法律
容器包装リサイクル法…容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律
家電リサイクル法…特定家庭用機器再商品化法
建設リサイクル法…建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
食品リサイクル法…食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律
自動車リサイクル法…使用済自動車の再資源化等に関する法律
小型家電リサイクル法…使用済小型電子機器等の再資源化の促進に関する法

用語略語

一廃…一般廃棄物
産廃…産業廃棄物
特管…特別管理
特管一廃…特別管理一般廃棄物
特管産廃…特別管理産業廃棄物
保管一応…保管一般廃棄物
保管産廃…保管産業廃棄物
感染性一廃…感染性一般廃棄物
感染性産廃…感染性産業廃棄物
感染性特廃…感染性特別廃棄物

英保 次郎 (著)
出版社: 東京法令出版; 3版 (2015/12/11)、出典:出版社HP

最新版 図解 産業廃棄物処理がわかる本

産業廃棄物処理の必要な知識が身につく

産業廃棄物の知識や法律、それを取り巻く状況を噛み砕いて説明してあります。また、項目ごとに分かれている為、全てを読まなくても必要な項目だけ読むこともできるようになっています。辞書のような使い方ができる構成となっているので、初学者から一通り学び終えた方まで幅広く活用できる一冊です。

株式会社ユニバース (著)
出版社: 日本実業出版社; 最新3版 (2018/10/4)、出典:出版社HP

はじめに

この本は、2006年に初版を発行し、これまで2011年4月1日に施行された改正法の内容に対応するための改訂をはじめとして版を重ねてまいりましたが、このたび2017年10月1日及び2018年4月1日に施行された改正法の内容に対応するため、改訂版として新たに出版いたしました。

2011年4月1日の改正法では、それまでの廃掃法で曖昧だった「排出事業者とは誰か」という定義について、建設工事に伴う産業廃棄物の場合に限られますが、排出事業者が誰かについて具体的に定めた項目が追加されるなどしました。

2017年10月1日からは、水銀を使用した製品が産業廃棄物になった際の規制が強化されました。蛍光灯など、私たちの身近にはまだ数多くの水銀を使用した製品があります。これら製品の廃棄を行なう際は、これまでとは異なるルールに従う必要があります。

また、2018年4月1日からは「有害使用済機器」という「廃棄物ではないもの」に対して規制を行なうという点で、これまでとは異なる新たな規制の方向性が示されています。
産業廃棄物のルールは、排出事業者にすべての処理責任があることを前提にしています。今、不法投棄の現場からあなたの会社が出したゴミ(産業廃棄物)が見つかったとしましょう。

その場合、たとえ産廃処理事業者にお金を払って廃棄物を引き取ってもらい、適正処理をしたつもりでも、適正に処理されなかった責任はあくまでもあなたの会社にあり、不法投棄された現場を元の環境に戻す「原状回復」を行なう責任を負うことになります。そして、原状回復に必要なコストを負担すると同時に、環境に対する意識の低い企業であるという烙印を押されてしまうのです。最悪の場合には、刑事処分もまぬがれません。
ところが、まだこの現実に気がついていない企業関係者が多いことに驚かされます。

この本では、産業廃棄物の知識や法律、それを取り巻く状況をできるだけ噛み砕いて解説してあります。さらに、理解しやすいように多くの図を挿入しました。
また、序章を読むだけで、産業廃棄物に関する知識がひととおりわかる構成になっています。専門的な言葉には説明も付け加えました。

最初から順を追って読まなくても、疑問に感じた時にその項目を読むことで、短時間で知識を吸収し、何に気をつけなければならないか、何をしなければならないかがわかるようになっています。産業廃棄物について疑問点があれば、対応する項目を探し読み返す、辞書のようにも使ってください。また、最新情報の入手法についても掲載してありますので、大いに参考にしてください。

この本が、産業廃棄物に対する読者の方々の意識を変えるひとつのきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。

2018年9月吉日
著者を代表して
子安伸幸
(本書の内容は2018年4月1日現在の法令等に基づいています)

株式会社ユニバース (著)
出版社: 日本実業出版社; 最新3版 (2018/10/4)、出典:出版社HP

もくじ

はじめに
序章●最終責任は排出事業者にあり!
1産業廃棄物処理の最終責任は?
あなたの会社がゴミの最終責任を負う!
2産業廃棄物の定義
あるときは一般廃棄物、あるときは産業廃棄物?
3産業廃棄物の処分
リサイクル重視の中間処理が必要
4不法投棄
不法投棄はなぜ後を絶たないのか
5適正処理をするために
委託契約書とマニフェスト
6産廃に関する法律
産業廃棄物に関する法律にはどんなものがあるのか
7産業廃棄物と環境
環境に鈍感な企業は生きていけない
Column 産廃処理業のビジネスモデルが不適正処理を生む?

1章●産業廃棄物って何だ?
1廃棄物の定義と区分
価値のない、誰も買わないモノが廃棄物
2産業廃棄物の区分
事業活動に伴って発生する廃棄物のうち20品目が産業廃棄物
3特別管理産業廃棄物
厳重な管理が必要な「特別管理産業廃棄物」
4間違えやすい廃棄物
産業廃棄物? それとも一般廃棄物?
5建設系の産業廃棄物
家を一軒建てると、どのくらい産業廃棄物が出るか
6産業廃棄物排出量の特徴
日本全国における総排出量はおよそ4億トン
7廃棄物と有価物の区別
不要物でも廃棄物にならないものがある
Column 昨日までは一般廃棄物だった木製パレット

2章●産業廃棄物はどう処理されているのか
1日本の資源
日本の資源はどのように使われているのだろう
2産業廃棄物の処理過程
中間処理はどうして必要なのか
3中間処理の仕事
さまざまな中間処理
4中間処理の例
中間処理の流れを見てみよう
●これが中間処理工場だ!
5選別と圧縮
中間処理の判断が分かれる選別・圧縮
6リサイクル
さまざまなリサイクル
7最終処分場
最終処分場には3つの種類がある
8循環型社会に向けて
リサイクル製品のこれからを考える
Column さまざまな環境ラベル

3章●これが適正処理の流れだ
1 適正処理フロー
適正処理で押さえておくべき3つのポイント
2契約書
契約書は誰と交わせばいいのか
3許可証
許可証は廃棄物を運搬・処分するすべての事業者に必要
4収集運搬業の許可
収集運搬業許可の注意点
5契約書のチェック
契約書で押さえておきたい項目
6産業廃棄物の運搬
産業廃棄物の運搬には書類を携帯・表示する
7産業廃棄物管理票(マニフェスト)①
マニフェストの流れを理解しよう
8産業廃棄物管理票(マニフェスト)②
排出から最終処分までを管理するマニフェスト
9産業廃棄物管理票(マニフェスト)③
実際にマニフェストを記入してみよう
●収集運搬チェックシート
●中間処理チェックシート
10産業廃棄物管理票(マニフェスト)④
電子マニフェストのしくみを知っておこう
11産業廃棄物管理票(マニフェスト)⑤
電子マニフェスト運用の注意点
12産業廃棄物管理票(マニフェスト)⑥
マニフェストが必要なケース、必要でないケース
13産業廃棄物管理票(マニフェスト)⑦
マニフェストの交付状況報告義務
14排出事業者の範囲
子会社やグループ会社を1つの排出事業者にできるか

4章●知っておきたい「産業廃棄物処理」の事情
1産廃処理委託の具体的事例①
収集運搬事業者を利用し、中間処理事業者に委託するケース
2産廃処理委託の具体的事例②
産業廃棄物の運搬と処分を同じ事業者に委託するケース
3産廃処理委託の具体的事例③
廃棄物を自社で運搬し、処分のみを中間処理事業者に委託するケース
4産廃処理委託の具体的事例④
各現場と事務所から運搬を委託するケースの注意点
5産廃処理委託の具体的事例⑤
積替保管施設を経由した運搬の委託
6産廃処理委託の具体的事例⑥
建設工事における排出事業者の定義
7産業廃棄物処理のコスト①
コスト削減が不法投棄の温床に
8産業廃棄物処理のコスト②
産廃処理にはどのくらいの費用がかかるのだろう
9産業廃棄物処理のコスト③
量を減らすか、質を上げるか
10処理事業者選択のチェックポイント
信頼できる事業者を選ぶには「施設の見学」が一番
11処理事業者の認定制度の中身
「認定制度」はあくまでひとつの基準にすぎない
12多量排出事業者
年間1000トン以上の産廃排出事業者が対象に
13処理困難通知制度
処理困難通知制度と通知への対応方法
14広域認定制度
「拡大生産者責任」によるリサイクルの促進
15PCB廃棄物
地球全体を巻き込んだ環境問題に発展
16アスペスト①
適正な処理を行なうには、まず正しい知識から
17アスベスト②
レベル3のアスベストの処分方法は限定されている
18水銀廃棄物
強化された水銀に関する廃棄物の規制
Column 契約書は電子化してもよい?

5章●不法投棄はなぜ起きる?
1 不法投棄の現状①
不法投棄が起きる原因を探ってみよう
2不法投棄の現状②
不法投棄の推移を見てみよう
3不法投棄の現状③
不法投棄はどのように行なわれるのか
4処理事業者簡易チェックシート
あなたの委託事業者は大丈夫?処理事業者をチェックしよう
5不法投棄の現場
実際に不法投棄の現場を見てみよう
6不法投棄の展望
不法投棄をなくすにはどうすればいいのだろう

6章●知っておきたい「法律・条例」早わかり
1環境に関わる法律の「根っこ」と「幹」
「環境基本法」と「循環型社会形成推進基本法」
2廃掃法のねらいとしくみ
なぜ廃掃法は毎年のように改正されるのか
3【個別法】容器包装リサイクル法
循環型社会の第一歩は家庭から
4【個別法】家電リサイクル法
消費者料金負担への根強い抵抗感
5【個別法】食品リサイクル法
残った食品をどのようにリサイクルするか
6【個別法】建設リサイクル法
排出量の多い廃棄物を対象に現場分別とリサイクルが柱
7グリーン調達・グリーン購入
価格・品質・納期に加え、環境に配慮されたものを選ぼう
8京都議定書からパリ協定へ
地球温暖化を阻止するために私たちができることは?
9WEEE指令 & RoHS指令
電気・電子機器に含まれる特定有害物質の使用制限令
10産業廃棄物税
地方自治体による産業廃棄物税導入の背景
11罰則の適用例
適正処理のフローのどれが欠けても即処罰の対象に
12取締まりの現状
排出事業者の意識改革が急務
13最新情報の入手法
常に最新情報をチェックし、対応策を講じる
Column 廃棄物処理に関わる企業の責任は法的責任だけではない
●選別3つのパターン
おわりに
索引

カバーデザイン・齋藤稔
本文DTP・ダーツ

株式会社ユニバース (著)
出版社: 日本実業出版社; 最新3版 (2018/10/4)、出典:出版社HP