【最新】SDGsを知る学ぶおすすめ本 – ビジネス、学生にも独学最適!

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SDGsを知り、実践しよう!(ランキングもチェック)

2001年に策定されたミレニアム開発目標(MDGs)から採択された持続可能な開発のための2030アジェンダにて記載された国際目標となります。17のゴール・169のターゲットを具体的に示して、国や国家間だけでなく多くの自治体や企業が、その目標に即して考え、動き出すという現象を生み出している点が必要になります。

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出典:出版社HP

 

SDGs経営-“社会課題解決”が企業を成長させる-

SDGs経営の成功ポイントが学べる!

SDGsのメリット、取り組み方を説明したいと考えているSDGs推進者の為の参考書です。経営を長続きさせるには事例をまとめながら、自分なりの整理をすることが重要です。この本では参考になる事例が多く挙げられています。また、とても読みやすくまとめられている為、参考にするにはもってこいの一冊です。

松木 喬 (著), 日刊工業新聞社 (編集)
出版社: 日刊工業新聞社 (2019/3/19)、出典:出版社HP

はじめに

自分は何ができるのだろうか—。会議室にいるのは中学校や高校の先生たち。総勢50人以上だったと記憶している。日刊工業新聞の記者である私には場違いで“完全アウェー”だ。ここで4人ずつのグループをつくって「教育とSDGs」を議論する。慣れない空気に飲み込まれている。しかも、教育問題への知識がない自分が参加して会話はかみ合うのだろうか、不安でいっぱいだった。

しかし、始まってみると違った。「企業のSDGsの取り組みを取材しています」。そう自己紹介すると先生たちが食いついてくる。どんどん質問してくる。知っている企業、身近な商品がSDGsにつながると分かると、先生たちも関心を持ってくれる。

先生の話にも興味が湧いた。「授業でどうやってSDGsを教えたらいいのか、悩んでいます」。これはどの先生も共通の課題だった。「SDGsを英語の授業の教材にしたらどうですか」「動画があるといい」と、アイデアが飛び交う。そして「企業の事例、いいですね」と感想をもらえた。門外漢な私でも多少は役に立ったようだ。

SDGsがテーマなら学校の先生も、産業紙の記者も同じテーブルに着ける。先生たちとの会話から、SDGsには所属の壁を取り払う力があると実感した。SDGsの吸引力によって普段とは違う業種の方と出会い、ビジネスのヒントを得られることもあるだろう。

このイベントは2018年夏のある日の夜、有志が集まって都内で開かれた。東京・表参道にある「ESD活動支援センター」の柴尾智子さんが私を誘ってくれた。ESDは「持続可能な開発のための教育」のこと。センターは年齢や立場を超え、地域ぐるみで社会課題を考えるESDを推進している。

柴尾さんは取材の時、「SDGsには何かをしたいと思わせるものがある」と教えてくれた。これもSDGsの力の1つだ。

フジテレビは2018年夏、SDGsのレギュラー番組「フューチャーランナーズ~17の未来~」を放送した(関東ローカル)。社会課題解決に向けて奮闘する市民の姿を追い、視聴者にSDGsを知ってもらう内容だ。編成局の野崎理さんに制作のきっかけを取材した。社内のCSRチームからの番組提案は初めてだったが「SDGsを広めるのがメディアの役割」と異論は出ず、営業、編成が連動したという。「SDGsには何かをしたいとものがある」の言葉通りだ。

同じように「社内で何かしたい」と思っている企業人が多い。行政にもSDGsに取り組みたいと考えている職員は少なくない。しかし「何から始めたらいいのか分からない」という声もよく聞く。

自分を振りかえると、社会課題解決に取り組む企業を取材し、記事を書いて世間に発信することが自身のSDGsだと思えるようになった。新開であるので目標達成に直接的な貢献はできないが、伝えることでSDGsの認知度向上に役立つと信じている。情報発信によって取材に協力いただいた企業の社会的評価が高まり、その企業のSDGsへの取り組みが加速されるのであれば、それも私たち日刊工業新聞社のSDGsだ。多くの社会人も、直接、間接はあってもSDGsに関われる。SDGsは社会に貢献する企業として評価される機会を与えてくれる。自社とは関係ないと思わず、本業とSDGsの関係を確認して欲しい。

日刊工業新聞は国際連合総会でSDGsが採択された2015年9月25日、1ページを使ってSDGsを報道した。これが「日本初のSDGs特集」と思っている。それ以来、事業活動やイノベーションの視点からSDGsの取材、報道を続けている。2018年9月には国際連合がSDGsを啓発する世界の報道機関を組織化した「SDGメディア・コンパクト」のメンバーにもなった。
早くから取材した蓄積を生かし、本書はSDGsの取り組み事例を中心にまとめた。企業事例の数は、他のSDGs書籍よりも多いと思っている。2人の社長にもインタビューし、経営者がSDGsをどのように活用しているのか直撃した。

私はコンサルタントではないので「こうすべきだ」と指摘する資格はない。ただ、事例をまとめながら「社会に貢献しているならSDGsを活用して発信した方がいい」と、自分なりの整理ができた。社会からの評価が高まると取引先からの信頼や人材確保につながり、経営は長続きするはずだ。

職場でSDGsへの取り組みを始める際、「SDGsにはこんなメリットがあります」「こんな取り組み方があります」と説明したいと考えている方も多いと思う。本書が、そうしたSDGs推進者の参考になれば幸いだ。
(本文の一部は日刊工業新聞に掲載した記事を加筆した。肩書きは原則、取材当時のもの)

2019年2月 日刊工業新聞社 松木 喬

松木 喬 (著), 日刊工業新聞社 (編集)
出版社: 日刊工業新聞社 (2019/3/19)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1 章 SDGsを経営に活用する手法
Step1 SDGsを知る
Step2 SDGsがビジネスに役立つ理由
Step3 SDGsを活用しよう
Interview 国際連合大学上級副学長 沖大幹氏

第2章 社会に必要とされる事業を考える
Case1 株式会社大川印刷
SDGsで新規受注「印刷の仕事をしたいならCSRをやりなさい」
Case2 株式会社TBM
脱プラ時代の申し子、社会課題解決の思いに共感する大企業が支援
Case3 WASSHA株式会社
未電化地域でランタン貸し出し。本当の課題解決に
Case4 株式会社イトーキ
オフィスチェアの購入でインドネシアの環境・住民生活貢献できる仕組みを提供
Case5 パナソニック株式会社
他社からも引き合い。未電化地域の解消で教育、医療、観光、経済にも貢献する電源システム
Case6 ユニ・チャーム株式会社
紙おむつリサイクルを開発。将来リスク「大量廃棄」を回避
Case7 セイコーエプソン株式会社
TOP Interview 代表取締役社長 碓井 稔氏
SDGsがプリンター業界のビジネスモデルを変える“チカラ” となる
Case8 楽天株式会社
地域課題解決を目指し創業。大企業になっても継続する取り組み
Case9 長野県×関東経済産業局
地域ぐるみで中小企業のSDGs支援
Case10 株式会社滋賀銀行
県内全域への発信力とけん引する力を併せもつ
Case11 株式会社LIXIL
途上国へのトイレ普及でユニセフと連携。マーケット創出の援軍
Case12 三菱電機株式会社
商品1つで低所得者と富裕層のニーズを満たす工夫
Case13 コニカミノルタ株式会社
2030年を目指し「バングラデシュでの健康診断制度の定着」を目標設定
Case14 富士ゼロックス株式会社
コピー機メーカーの業態を超えた取り組み。社内ノウハウを地域のSDGsに活用
Case15 SOMPOホールディングス株式会社
社内からSDGsを広めて、そして社外へ発信
Case16 住友化学株式会社
社員全員参加のSDGS。活動を投稿し、1人1人が自分ごと化
Case17 メタウォーター株式会社
TOP Interview 代表取締役社長 中村氏
SDGSがもつ、社員のモチベーション、リクルート、投資家への訴求効果とは

column1 取引先の業界のSDGsを知ろう
column2 FSC
column3 脱プラスチック
column4 パリ協定
column5 サーキュラー・エコノミー
column6 中小企業のSDGs認知度
column7 ESG投資

松木 喬 (著), 日刊工業新聞社 (編集)
出版社: 日刊工業新聞社 (2019/3/19)、出典:出版社HP

SDGsが生み出す未来のビジネス (できるビジネス)

SDGs×ビジネスの事例がよくわかる

SDGのISSUEとされる17のコンセプトについての具体的な数字、目標、事例を掲載しているので、非常にわかりやすく、説得力があります。また、SDGsのビジネスを始める為のアイデアのヒントとなるアドバイスが多く掲載されている点もこの本の魅力です。環境に配慮しながらの事業拡大、ビジネスに役立ちます。

雅弘 水野 (著)
出版社: インプレス (2020/6/19)、出典:出版社HP

SDGsとは?

持続可能な社会を実現するための17のゴール
2015年9月、ニューヨークの国連本部で『国連・持続可能な開発サミット』 が開催され、193の国連加盟国により採択された合意文書「私たちの世界を 転換する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」。SDGsはその中に示さ れた「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals) です。世界 中に山積する社会課題をあらゆる角度から解決するため、17 のゴールと、そこにひもづけられた169のターゲットが設けられました。「誰ひとり取り残さない」 理念のもと、先進国も発展途上国も、行政機関も自治体も、企業もNGO/ NPOも教育機関も、そして個人にも共通する、全人類の共通目標なのです。

SDGs 17のゴール

SDGsの17のゴールは、第2章で1つずつ紹介しています。先にSDGsの各 ゴールを知りたい場合は、下のページを開けば具体的なイメージがつかめます。

1
SDGs ゴール1は、あらゆる形態の貧困を終わらせるための目標で す。気候変動や紛争、食料不安といった新たな脅威によって、貧 困層の割合増加が予想される中で、誰もが基本的な資源やサービ スを確保できる活動を推進します。

2
SDGsゴール2は、あらゆる形態の飢餓と栄養不良をなくすことが 目標です。社会的弱者を含むすべての人にいつでも栄養ある食事 が届くよう、食料の安定確保と栄養状態の改善を達成すると共に、 持続可能な農業を推進します。

3
SDGsゴール3は、すべての人が健康的な生活を確保するための 目標です。深刻な感染症の蔓延を食い止めるためにも医療を完全 に普及させ、誰もが安全で効果的な医薬品とワクチンを利用できる ようにすることも大切です。

4
SDGs ゴール4は、すべての人に公平な初等・中等教育を提供し、 生涯学習も促進することが目標です。持続可能な開発のためには 教育が最も有効な手段との考えからです。達成に向けては、性差 と貧富による格差の解消も重要です。

5
SDGsゴール5は、女性と女児に対するあらゆる形態の差別を終 わらせることが目的です。ジェンダー平等は基本的人権です。また 女性が発言力とリーダーシップを高めることは、持続的な開発を進めるうえで欠かせない要素です。

6
地球温暖化が進むにつれ、水不足はますます深刻化すると予想されています。SDGs ゴール6は、すべての人が安全で手ごろな飲み水を持続的に確保できることが目標です。そのための水質改善、 衛生状態の改善を推進します。

7
SDGsゴール7は、すべての人が安価で近代的かつ持続可能なエ ネルギーを使えることが目標です。化石燃料に依存してきた経済 活動が危機的な気候変動をもたらしていることを踏まえ、クリーン なエネルギー源の開発を推進します。

8
SDGsゴール8は、持続的な経済成長の促進がねらいです。その 実現に向けて経済格差をなくすことも重要であることから、すべて の人の完全かつ生産的な雇用と、働きがいのある人間らしい労働 の達成を目標としています。

9
SDGsゴール9は経済成長と開発に向けた、インフラ整備による持 続可能な産業化の推進と、技術革新の拡大が目標です。達成の ためにはデジタル格差を解消し、すべての人が平等に情報と知識 を得られる機会の創出も重要です。

10
SDGsゴール10は、国内および国家間の格差を是正するための目 標です。経済発展と共に高まっている所得格差は、世界共通の問 題です。金融の流れの改善と同時に、必要な地域への開発援助 や外国直接投資も推進します。

11
世界人口の半分以上が都市部で暮らしていますが、その割合は今 後も増す見込みです。SDGsゴール11は、都市と人間の居住地を 安全で強靭かつ持続可能にするための目標です。交通機関や緑地 の整備を含む管理体制の改善が必須です。

12
SDGsゴール 12は、持続可能な生産と消費の方法を実現するため の目標です。経済成長と持続可能な開発を達成するには、天然資 源の管理方法と有害廃棄物などの処理方法を改善し、人間活動 が環境に与える負荷を削減する必要があります。

13
地球温暖化は全世界で気候システムに影響を与えています。 SDGsゴール 13は、気候変動とその影響に対する緊急対策をとる ことが目標です。国の政策に盛り込むなど、世界が団結して早急 に気候対策に取り組む必要があります。

14
人類の生命と生活にとって、海の存在は不可欠です。しかし排水 やプラスチックごみなどにより、海洋汚染や生態系の破壊が急激に 進んでいます。SDGsゴール14は海洋と海洋資源を保全し、持続 可能な形で利用するための目標です。

15
世界の干ばつや砂漠化は急激に進み、農地が消失しています。生 態系の変化により、陸上の動物種の22%が絶滅の危機に瀕しています。SDGsゴール 15は、陸上の生態系を保全・回復し、生物多 様性を保護するための目標です。

16
SDGsゴール16は、すべての人にとって平和な社会を推進するための目標です。達成に向けては、あらゆる形態の暴力削減、すべての人が法によって守られる権利を得られること、そのための効果 的な制度構築も重要です。

17
SDGsゴール17は、持続可能な開発に向けた実施手段を強化し、 国境を越えたパートナーシップを活性化するための目標です。必要 な場所への支援と同時に、技術革新の土台となる技術や知識の共 有も重要としています。

SDGsは、3年もの年月をかけてできあがった目標です。世界中のさまざま な立場の人が協議を重ねただけでなく、1,000万人もの一般生活者の声にも 耳を傾けて成立しました。そのような手間のかかるプロセスを経たのには理由 があります。国連や各国の行政機関だけでなく、企業やNGO / NPOなどの 組織から個人まで、誰もが取り組むことのできる目標となっているのです。つま り、日々刻々と深化する環境破壊、未知の感染症による脅威、経済格差の広 がり、終わらない紛争……、そうした課題を解決し持続可能な世界を実現するのはあなた自身、ということでもあるのです。

雅弘 水野 (著)
出版社: インプレス (2020/6/19)、出典:出版社HP

はじめに

「このままの生活水準で地球資源を使い続けたら、2030年には地球が2つ必要になる」
といわれています。
私たちはこの課題をビジネスやマーケティングでいかに解決できるでしょうか?
あなたはいつ、アクションを起こしますか?
ビジネスやマーケティングは、儲けるための手段に過ぎないと思っている人 もいるかもしれません。地球環境や社会問題とビジネスは両立しないと考えて いる人もいることでしょう。

しかし、本書で公開する新しいマーケティングのフレームワークや、本書で 取り上げている事例――ビジネスで社会課題を解決しようする試みを知れ ば、そうした考えが180度変わるはずです。そしてきっと、こんな思いがわきあがってくることでしょう。

ビジネスやマーケティングにイノベーションを起こしたい
ビジネスと自分の住む地球の両方を大切にしたいし、 自分の従事しているビジネスでもよりよい社会の創造に貢献したい
SDGsをビジネスでも活用できるなら、ぜひ検討してみたい
特に変化が著しい若年層の価値観に対応できるように マーケティングを変革したい
ポスト・コロナ時代におけるビジネスやマーケティングのあり方を考えたい

地球ひとつでは足りない

私たちの便利で豊かな暮らしは、大量生産から大量消費、そして大量廃妻 の中で、地球上の資源が無限であるかのように使ってきました。その結果、地 球システムは限界を迎えようとしています。気候変動を一因とする自然災害が 世界中で同時多発的に起こり、それを報じるニュースの情報を通して、一般 市民も肌で危機感を感じるようになってきました。産業革命以降の急速なグ ローバル経済発展は、豊かさと同時に、多くの負の連鎖を生み出しました。児 童労働や不法取引などもその一端です。経済格差や不平等の社会で起きている痛ましい現実は、決してメディアの中だけの出来事ではないのです。
前述のとおり「このままの生活水準で地球資源を使い続けたら、2030年に は地球が2つ必要になる」とする分析結果があります。これは環境保護団体、 世界自然保護基金 (World Wide Fund for Nature:WWF) が、2010年に発行 した報告書「生きている地球」(Living Planet)の中に示されているデータです。 そうした状況の中で、地球を持続可能にするために生まれた世界共通の行動 目標が、2015年9月に国連が発表したアジェンダ2030に掲げる「持続可能 な開発目標」、すなわち「SDGs」です。

筆者は、1990年代初頭からビジネス、特にマーケティング領域に関わって きました。つまり顧客の消費活動を促進することで、企業の成長を支援してき たわけです。地球が限界を迎えようとしている今いえることは、筆者のビジネ ス活動は、経済的豊かさを生み出すと同時に、資源の無駄使いに加担してきた ということです。自戒の念も込め、近年はビジネス、とりわけマーケティングの あり方を変えたいとの思いで活動しています。筆者のパーパス―存在意義は、 「ビジネス/マーケティングの変革で社会課題の解決を達成し、持続可能な 社会を創造し、心豊かで平和な社会を共創、維持すること」です。より多くの 方とこうした活動を共創したいという思いが強まり、本書を書くに至りました。
本書は、SDGsを学ぶための本ではありません。SDGsを使うための本です。 SDGsを活用して、持続可能なビジネスを、そしてビジネスの力から持続可能 な地球環境を、創造するためのアイデアブックです。SDGsは、世界が直面 する複雑に絡み合った環境社会問題をビジネスで解決し、新たな経済成長の 源泉とすることもできると、筆者は考えています。

これからのビジネスのための新しいフレームワーク

筆者は、決して倫理的な道徳観や環境問題などに関する危機感のみを理由に、主張しているわけではありません。このような環境と時代の中で、消費者 の価値観も大きく変わってきているのです。そしてそのことが、企業の持続可 能性にも深く関わっているからなのです。

「モノ」から「コト」へと、時代の流れが変わっています。所有ではなく共有 (シェアリング)する消費者が増えている今を、ビジネスにとって厳しい時代ととらえている企業も少なくないことでしょう。しかし顧客である消費者のニーズが 変わっているのだから、大量消費時代とは違った新しい価値観を提供する必 要があるのです。言い換えると、社会課題の解決につながる新しい価値観は、 これからのビジネスの糸口となり得るのです。つまり新しいビジネスを創造する チャンスの到来、と考えることもできるのです。
「地球の持続可能性、そして消費者の変化、その両方からいえることは、今こそ根本からビジネスのあり方を見直し、ビジネスをアップデートする絶好の タイミングだということです。そこで筆者は、SDGsを活用し、マーケティング の手法を通してビジネスをアップデートする試みに挑戦しました。その結果、 非常にシンプルでわかりやすく、それゆえ誰にでも使いやすい、新しいフレー ムワークが誕生しました。それが本書の中で紹介している「SDGs Marketing Matrix」(SDGs マーケティングマトリクス)です。

Imagine——想像してほしいのです

私たちが手にする、安く便利な生活用品や衣類、食品、デジタル家電の奥で、どんな犠牲が払われているのでしょうか?安い賃金で働く強制労働者や児童労働、不法な取引や資源争奪の中で生まれる紛争や難民、貧困層、そして 多くの自然破壊から絶滅の危機に瀕する動物種までを、生み出しているのではないでしょうか。
しかし、今を生きる私たちの行動によって、希望あふれる未来は必ず訪れると筆者は信じています。そのために重要なのは現実を見据え、これまでの消費社会から持続可能な社会へと、大きく舵を切ることです。ビジネスには、それをリードする役割があるのです。
新しい経済社会における消費の世界はきっと、資源を無駄使いするこれまでの消費社会の概念にはなかった、資源が循環する世界です。脱プラスティックの流れに代表されるように、破壊的創造の社会へと世界は動き始めています。

SDGs が記載されている国連の合意文書「2030アジェンダ」の前文には、 こんな一文があります。
「Transforming our World」(私たちの世界を変革する!)
ビジネスに関わるすべての人は、この世界の変革を担う一員なのです。ビジネスを、マーケティングを、SDGsでアップデートして、さまざまな社会課題 解決と新しい市場創造を同時に実現しましょう。そのためにも、ビジネスのクリエイティブマインドを高めましょう。希望あふれる未来を、さあ、イマジンしてみましょう。

雅弘 水野 (著)
出版社: インプレス (2020/6/19)、出典:出版社HP

目次

SDGsとは?
はじめに
Chapter01 身近なことからSDGsを考える
SDGsが導く社会とビジネス
SDGs 17のゴールと169の ターゲット相関図
2030アジェンダと「5つのP」
17の目標と169のターゲット
SDGsは球体の世界
SDGsと無関係の人は誰もいない
SDGsからビジネスを見つめ直す
Coffee Break 01
「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」
美味しく楽しく食品ロスを解決

Chapter2
ビジネスから見たSDGs
貧困をなくそう
TOPICS 買い物で食事を支援 飢餓をゼロに
TOPICS持続可能な農園から紅茶をすべての人に健康と福祉を
TOPICS 石鹸を通じて世界に健康を 質の高い教育をみんなに
TOPICS 3社が協力して学習教材を出版 ジェンダー平等を実現しよう
TOPICS 男女の垣根ないファッション 安全な水とトイレを世界中に
TOPICS 世界のみんなにトイレをエネルギーをみんなにそしてクリーンに
TOPICS 自然エネルギー100%の世界を 10働きがいも経済成長も
TOPICS 有給社会貢献休暇でSDGs達成を目指す
産業と技術革新の基盤をつくろう
TOPICS情報と自動車が共創する交通改革
人や国の不平等をなくそう
TOPICS ビジネスもエシカルな化粧品
住み続けられるまちづくりを
TOPICS CO2排出ゼロ住宅で持続可能なまちに つくる責任つかう責任
TOPICS リサイクルコットンのTシャツ
気候変動に具体的な対策を
TOPICS ユーグレナで飛行機が飛ぶ!?
海の豊かさを守ろう
TOPICS 安心な魚を次世代の食卓まで陸の豊かさも守ろう
TOPICS 生まれ変わるダウンジャケット
平和と公正をすべての人に
TOPICS 再生ポリエステルで紛争を解決
パートナーシップで目標を達成しよう
TOPICS チームで世界のランウェイへ
Coffee Break 02 エシカルな名刺で爽やかにビジネスを

Chapter3
ビジネスを後押しするSDGs
キーワードは「パーパス」
SDGsから見えてくるビジネスニーズ
チャンスとリスクー
パーパス経営とパーパスマーケティング
サプライチェーンの変革
消費者はもう気づいている 生活を豊かにする新たなマーケット
自分たちのパーパスを探そう クリエイティビティーに立ち戻ろう
地域課題とビジネス
ビジネスパートナーはNPO、NGO
ビジネスをリードするマーケティング
Coffee Break 03 心豊かなライフスタイルの道しるべ

Chapter4
SDGsをマーケティングの 4Pに当てはめる
繁栄をもたらしたマーケティング4P
時代と共に変わるマーケティング
マーケティングでよりよい世の中を共創する
マーケティングをアップデートしよう
SDGs Marketing Matrix
新しいマーケティングフレームワーク
4Pマーケティング理論をSDGsからとらえ直す
新しいフレームワークはこう使う
人を犠牲にしない製品づくり
事例 作り手と使い手が健康的に結ばれたものづくり
SALASUSU 資源に配慮した製品づくり
事例人にも地球にも豊かな「食」の創出
パタゴニアの『パタゴニアプロビジョンズ」
平和を実現する製品づくり
事例 暴力と闘う腕時計 トリワの「TRIWA X HUMANIUM METAL』
心豊かな製品づくり
事例 CO2排出量がわかるカード DoconomyAB.の「DO」
パートナーと共創する製品づくり
事例 服から服をつくる日本環境設計の「BRING Material」
平等な権利を守る価格設定
事例 援助ではなく取引で生産者に笑顔を
THE BODY SHOPの自然派化粧品
地球環境に負荷をかけない価格設定
事例 海洋プラスチックがファッショナブルに変身アディダスの「PRIMEBLUE」
平和を促進するための価格設定
事例紛争レアメタルを使わないスマートフォン
FAIRPHONE 豊かさに貢献する価格設定
事例 透明な価格で豊かさを創出
Everlane パートナーも共に公正な対価を得る価格設定
事例適正価格で職人の手による「本物」を提供
ライフスタイルアクセントの『Factelier」
人に負担のない流通の仕組みづくり
事例常識を覆す発想のコンビニ
セコマグループの「セイコーマート」 環境に負荷をかけない流通の仕組みづくり
事例 サプライヤーと気候変動対策を共創するスーパー
ウォルマートの「Project Gigaton」
地域の文化を尊重する流通の仕組みづくり
事例 紛争地域の復興に力を与える香水 The 7 Virtues Beautyの「平和のパフューム」
パートナーの豊かな生活を生み出す流通の仕組み
事例 女性の自立支援でビジネスも成功 ユニリーバの「Shakti」
パートナーと共創できる流通の仕組みづくり
事例 世界的ファストフード店も太鼓判を押す「肉」?
ビヨンド・ミートの「ベジミート」
共感性の高いコミュニケーションの創造
事例 ルーツを知る旅に出よう! モモンドの「The DNA Journey」
地球にやさしいコミュニケーションの創造
事例世界最小のマクドナルド
マクドナルド・スウェーデンの「McHive」
差別や争いのないコミュニケーションの創造
事例広告は、まやかしの幸福を描くべからず
ベネトンの広告エディトリアル
心豊かなコミュニケーションの創造
事例 顧客と一緒に東北、そして日本の若者を応援
スターバックスの「ハミングバードプログラム」
パートナーと共創するコミュニケーションの創造
事例 顧客と一緒に地域を応援
アメリカン・エキスプレスの「Small Business Saturday」
Coffee Break 04 排出したCO2を取り戻すには?

Chapter5
事例に学ぶSDGs×ビジネス
SDGs×ビジネスの取り組みを知ろう
共感、共創を生み出すECANAX株式会社
サステナビリティーを極めたゲストハウス Earthship MIMA
羽毛に100年の命を贈るサステナブルな仕組み 一般社団法人 Green Down Project
花と緑で雇用のダイバーシティーを創造 株式会社LORANS
パンダにも人にも地域にも優しいテーマパーク株式会社アワーズ
地方農家と共創して安心できる食材を家庭にオイシックス・ラ・大地株式会社
エコファーで高野山のふもとから世界へ 株式会社 岡田織物
持続可能性の強化でさらに美味しい紅茶をキリンホールディングス株式会社
電気料金の1%を自然エネルギーを増やすために投資 自然電力株式会社
パーパスと情熱を店内POPで表現するローカルスーパー 株式会社東武
まちづくりの概念を超えたチャレンジ トヨタ自動車株式会社
日本初のAI酪農で働き方にもイノベーションが 有限会社中山農場
平和のファッションとしてよみがえる不要な衣服 日本環境設計株式会社
起業家を増やすことで「いい社会」をつくり出す。株式会社ボーダレス・ジャパン
顧客と社会の安心・安全を共創株式会社みずほ銀行
タッチ決済で社会課題を一緒に解決三井住友カード株式会社
笑顔とメガネで誰もとり残さない社会をメガネの田中チェーン株式会社
エネルギーの力で資源循環型社会を実現横河電機株式会社 × 北海道下川町
倫理観から生まれるカラフルで楽しいコスメ株式会社ラッシュジャパン
ローカルグッドを実現するソーシャルグッド事業株式会社良品計画
おわりに
参考文献

雅弘 水野 (著)
出版社: インプレス (2020/6/19)、出典:出版社HP

基礎知識とビジネスチャンスにつなげた成功事例が丸わかり! SDGs見るだけノート

SDGsがビジュアルで理解できる

「見るだけノート」と言うだけあって、ビジュアルで頭にスッと入るようにできています。経営視点も入れてあり、基礎がしっかり盛り込まれています。イラストや図の使い方が上手く、かなりイメージがしやすくなっています。初学者の方が初めて触れるには最適の一冊です。

はじめに

SDGs先進国・日本を目指す

「SDGs」(エス・ディー・ジーズ)という言葉を新聞などで見ない日はなくなりました。
SDGsは、「サスティナブル・デベロップメント・ゴールズ」の略語で、「持続可能な開発目標」と訳されています。
「持続可能性」とは、「世のため、人のため、自分のため、そして子孫のため」というイメージです。この「子孫のため」という世代を超えた軸が入っていることが非常に重要です。
SDGsは、自主的取り組みが基本です。やれる人がやれるところからすぐにでも着手しようというルールです。そうしなければ、もはや地球規模の課題の対処に間に合わないという危機感が背景にあります。
このルールは怖いです。どんどん差がつくからです。「ぼーっと」していれば置いていかれます。日本が欧米に置いていかれる。日本の中でもSDGs仲間の埒外に置かれる—。
ルールが変わったのです。横並び思考から一刻も早く抜け出して、すぐにでも自社は何をすべきか、自分は何ができるかを、SDGsをヒントに考えなければいけません。今ならまだぎりぎり間に合うでしょう。
SDGsが2015年の9月に採択されてから、すでに4年以上経ちました。目標としている2030年まで、あと10年です。残念ながら、欧米に比べ日本は出遅れています。
SDGsは突き詰めると文明論ではないでしょうか。SDGsの取り組み方も国の文明によって異なると、つくづく思います。例えば、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんへの反応などにもお国柄が表れます。ミレニアル世代とか、それより若いポストミレニアル世代のほうが、SDGsに高い関心を寄せる比率が非常に高いです。
日本には、和の精神や「三方良し」(自分良し・相手良し・世間良し)のような商習慣があり、SDGsを加速させるポテンシャルは極めて高いのです。
ところが、これが「くせ者」です。このため、「わざわざ外来のSDGsなどいらない」との議論になりやすいのです。ここが運命の分かれ目になります。
このような思い込みと横文字への苦手意識もあって、SDGsを「スルー」してしまうのです(筆者はこれを「SDGsスルー」と呼んでいます)。
三方良しはよいのですが、今のところ世界には通用しません。それは陰徳の美を良しとして、あえて自分から発信しないことが多かったためです。
そこで筆者は、「発信型三方良し」を提唱してきました。「三方良し」の「世間」の課題が、今はSDGsだと考えればよいのです。つまり「発信型三方良し」を「SDGs化」していけば世界に通用するのです。これが現代版「三方良し経営」です。
SDGsは、要約すれば、地球規模の課題を考え、「持続可能な未来の発展」について語るための世界の共通言語であり、世界に通用する「羅針盤」です。私は、農林水産省や外務省・環境省で勤務し、清涼飲料水メーカーの「伊藤園」では取締役などでSDGsに関わってきました。今は千葉商科大学・教授として、教壇に立っています。結果、「産官学」(産業・官界・大学)のすべてを経験し、この羅針盤の重要性がわかりました。
SDGsは、幅広く、経済・環境・社会の課題をカバーし、企業経営や地方創生に直結します。そして、2021年に延期になりましたが、東京オリンピック・パラリンピックは、SDGsで調達や運営のルールができています。続いて、2025年開催予定の日本国際博覧会、通称「大阪・関西万博」のテーマもSDGsです。ぜひオールジャパンで、目標達成を目指しましょう!
SDGsは、企業、自治体、団体のビジネスパーソンをはじめ、学生にも必須の「新常識」となりました。
本書、『SDGs見るだけノート』は、ビジュアルで頭にすっと入るようにできています。一方、SDGsについて、経営視点も入れて、必須の基礎はしっかり盛り込まれています。
すべての人にとっての、SDGsについての早わかりのための入門書として最適です。
本書が、これからSDGsを学ぼう、実践しようと考えている皆さんの一助になることを願っています。
千華商科大学・基盤教育機構・教授 SDGsコンサルタント
笹谷秀光

いま世界が直面している問題

世界には様々な問題や課題があり、それらを解決しないと人類や地球の繁栄は続きません。

もう3日も食べてない…
しかも飢餓人口の3分の2がサハラ以南アフリカと南アジア地域に集中している
→世界で約7億人(約10%)が極度の貧困の中で暮らしている
→世界で約8億人(約10%)以上が栄養不良に陥っている

紛争で故郷が破壊された…
紛争や内戦、テロ、暴動など様々な問題が難民を生み出しています
→世界には7000万人以上もの難民がいる

学校で勉強がしたい…
世界の6~14歳の子どもたちのうち、5人に1人が学校に通えていません
→世界には電力を利用できない人が約8億4000万人いる
→世界では約7億8000万人(約10%)が安全な水を確保できていない
→約7億5000万人(約10%)の人々(成人)は文字の読み書きができない

出典:数値等は国際連合広報センター「SDGS報告2019」、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)報告書「グローバル・トレンズ」を基本にした。以下の本文では、これ以外の各種資料も適宜援用する。

世界人口は、約77億人
※2019年時点

日本の技術力を生かそう…
5Gなどの通信技術、医療技術などが期待されている
→複雑な課題解決には、企業の本業力をつかった創造性とイノベーションが必要だ

日本
→経済・環境・社会の面で深くつながっており、世界の課題は日本の課題でもある

防災のために何をすれば…
日本でも洪水や豪雨、高潮などへの対策が喫緊の課題になっています。
→地球温暖化が原因で世界で自然災害の発生頻度が増加し続けている。


→今のまま2050年まで海洋汚染が続けば、海には生物よりゴミのほうが多くなるといわれている

病院さえあれば…
そのうち約半数は、生後1カ月未満の新生児です
→世界では年間約540万人もの子どもたちが5歳未満で命を落としている

いま企業がSDGsに取り組むメリット

大企業か中小企業かを問わず、SDGsに取り組むことは企業に様々なメリットをもたらします

ビジネスチャンスの獲得
SDGsの達成により、2030年までに世界で年間12兆ドルの経済価値が生まれると予測されており、将来的にはSDGsに関わる巨大なビジネスチャンスが期待できます。
12兆ドルということは…日本円で約1300兆円!
※1ドル=約108円で換算

資金調達が有利に
環境、社会、企業統治に配慮する企業を重視して行なわれるESG投資(▶︎P.82)の対象となることにより、資金調達のうえで有利になります。
地球環境のためにもSDGsに取り組んでいない会社には投資せん!

コミュニケーション・ツール
SDGsは全世界共通の枠組みであることから、社会的課題に取り組む企業を、他企業や自治体、NPO団体などの組織と結び付けるきっかけとなります。また、国内外の組織と認識を共有し、相互理解をはかるためのツールとしても有効です。
SDGsがきっかけで新しい分野の仕事もゲットできそうだ
SDGs共通認識となって取引先とのパートナーシップも強まった

生存戦略として有効
今後は、SDCSへの対応がビジネスにおける取引条件となる可能性もあります。その際、SDGsへの取り組みは持続可能な経営を行なうための生存戦略となります。
ブーン。僕らの未来のためにもSDGsは必要だなぁ

新規事業の創出
SDGsに取り組むことで、新たな事業領域や取引先、事業パートナーなどを獲得する機会が増え、今までになかったイノベーションを生む可能性も広がります。
なんだか最近、この街はきれいになったかも
SDGsを軸に考えたらこれまでになかったアイデアが生まれたぞ

人材不足の解消
人間らしい職場環境をつくることで離職率が減り、企業イメージの向上によって「この会社で働いてみたい」という人も増えます。
将来は隣の会社で働きたいなあ
ご苦労さまですいつもありがとう
この会社で社会貢献できる仕事を続けよう

企業への信用度の向上
SDGsへの取り組みを通して、多くのステークホルダーに「この会社は信用できる」という印象を与えることができます。
環境保護のためにもあの会社の製品を購入することにしよう

地域での信頼獲得
事業や雇用の創出、地域課題の解決や防災協力などで社会や地域に本業で貢献することが、地域での信頼獲得にもつながります。
今後、SDGsに取り組んでいない企業は、取り組むことで得られるチャンスや利益を逃してしまう可能性も

Contents

はじめに

いま世界が直面している問題

いま企業がSDGsに取り組むメリット

Chapter1 そもそも「SDGs」って何?
01 そもそもSDGsって何?
SDGs、17の目標(ゴール)
02 なぜ、SDGSができたの?
MDGsとの違い
03 SDGsが達成できなかったら世界はどうなる?
持続可能な発展
04 SDGs達成のために、どうすればいい?
個人の意識改革
05 SDGsが理解しやすくなる5つの「P」
5つの「P」
06 232のグローバル指標
グローバル指標
07 世界の国々のSDGs達成状況
SDGs達成度ランキング
08日本のSDGs達成度は「世界15位」
グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書

Column No.01—–エシカル消費とSDGs
Chapter 01 ———用語解説

Chapter2 最初に押さえておきたいSDGSの17目標
01 目標1
貧困をなくそう
国際貧困ライン、多次元貧困指数、相対的貧困
02 目標2
飢餓をゼロに
飢餓、栄養改善、持続可能な農業
03 目標3
すべての人に健康と福祉を
世界的感染症、医療格差、交通事故死
04 目標4
質の高い教育をみんなに
持続可能な開発のための教育、学べる環境を整える

05 目標5
ジェンダー平等を実現しよう
グローバル・ジェンダー・ギャップ指数、女性活躍
06 目標6
安全な水とトイレを世界中に
安全な水、トイレの整備、治山治水
07 目標7
エネルギーをみんなにそしてクリーンに
化石燃料、クリーンエネルギー
08 目標8
働きがいも経済成長も
働き方改革、ディーセント・ワーク、児童労働
09 目標9
産業と技術革新の基盤をつくろう
技術革新、レジリエントなインフラ
10 目標10
人や国の不平等をなくそう
格差是正、グローバル・タックス
11 目標11
住み続けられるまちづくりを
スラム化、地方創生、スマートシティ
12 目標12
つくる責任つかう責任
食品ロス、エコロジカル・フットプリント
13 目標13
気候変動に具体的な対策を
地球温暖化
14 目標14
海の豊かさを守ろう
廃プラスチック、海のエコラベル、海洋温暖化
15 目標15
陸の豊かさも守ろう
生物多様性、砂漠化
16 目標16
平和と公正をすべての人に
コンプライアンス、情報セキュリティ
17 目標17
パートナーシップで目標を達成しよう
グローバル・パートナーシップ、官民協働

Column No.02 —-利益至上主義の弊害とサプライチェーンの問題点
Chapter 02 ——–用語解説

Chapter3 企業とSDGsの関係
01 企業がSDGsに取り組むメリットは?
環境問題、社会問題
02 SDGsの経済効果
ビジネスと持続可能な開発委員会
03 ステークホルダーとSDGs
ステークホルダー、認証ラベル
04 企業の社会的責任とは?
TBL、CSR、CSV
05 SDGsがもたらすビジネスチャンス
経済価値の創出
06 ESG投資って何?
ESG投資、責任投資原則(PRI)
07 ESG投資の7つの手法
ネガティブ・スクリーニング

Column No.03—-ESG投資が変える地球の未来
Chapter 03 ——-用語解説

Chapter4 「SDGsビジネス」のつくり方
01 SDGsコンパスって何?
国連グローバル・コンパクト、SDGコンパス
02 SDGsコンパス ステップ1 SDGsを理解する
ビジネスモデル
03 SDGsコンバス ステップ2 優先課題を決定する
バリューチェーン、ロジックモデル
04 SDGsコンバス ステップ3 目標を設定する
KPI、コミットメント
05 SDGsコンパス ステップ4経営へ統合する
リーダーシップ
06 SDGsコンパス ステップ5 報告とコミュニケーションを行なう
4つのC
07 PDCAサイクルでSDGsを考える
PDCAサイクル
08 SDGsを企業戦略に落とし込むには?
ロジックモデル
09 パックキャスティングで考えよう
フォアキャスティング、バックキャスティング
10 トップコミットメントが重要
トップコミットメント
11 持続可能なサプライチェーンとは?
サプライチェーン
12 バリューチェーンからのアプローチ
バリューチェーン・マッピング、バリューチェーン
13 SDGs推進のためには連携も大切
他者との連携
14 非上場企業にSDGsは関係ない?
SDGsに取り組むメリット
Column No.04——SDGsウォッシュの落とし穴
Chapter 04 ——用語解説

Chapter 5 「自治体SDGs」が私たちの生活を変える
01 地方自治体と持続可能なまちづくり
地方自治体
02 SDGs未来都市」とは?
SDGs未来都市、自治体SDGsモデル事業
03「産官学金労言」が協働で地域活性化
まち・ひと・しごと創生法
04 国際的なイベントとSDGs
オリンピック・パラリンピック、大阪・関西万博

Column No.05——「持続可能性に配慮した調達コード」とは?
Chapter 05 ——–用語解説

Chapter6 SDGs国内外の先進事例に学ぼう
01 【海外企業】ユニリーバー
02 【日本企業】日本フードエコロジーセンター
03 【海外企業】BASF(脱化石燃料)
04 【日本企業】日本リユースシステム(古着deワクチン)
05 【海外企業】ネスレ
06 【日本企業】イオン九州・味の素 九州事業所など
07 【海外企業】インテル
08 【地方自治体】北海道下川町
09 【地方自治体】鹿児島県大崎町
10 【その他】魚町商店街振興組合

Column No.06——地方創生ビジネスと「SDGs未来都市」

SDGs(持続可能な開発目標)
17の目標と169のターゲット

巻末付録「ナマケモノにもできるアクションガイド」とは?

掲載用語索引

おわりに

SDGs 国連 世界の未来を変えるための17の目標 2030年までのゴール

SDGsの入門書として最適

国連がSDGsの目標策定に至った経緯がとても分かりやすく、この本を読むことで2030年のゴールの意義が理解できるようになります。子供や教育者だけでなく、ビジネスパーソンにとっても最適な入門書です。コンパクトにまとめられているのでわかりやすく、理解もしやすいです。

日能研教務部 (編集)
出版社: みくに出版 (2017/8/10)、出典:出版社HP

SDGsという17のゴールがあります。
国際連合加盟国である日本に住んでいる私たち一人ひとりが、この17のゴールを達成することを担っている、ことになっているのです。
あなたがこのゴールを担っていることが、どこで、どのように決定したのでしょう。
このゴールに向かっていくと、どんな未来を創ることになるのでしょう。
どうやら、子どもも大人も一緒になって、一人ひとりが“今の私にできること”を始めることが、未来創造につながるようです。

17のゴールが自分自身のゴールになることにチャレンジしていきましょう。

もくじ

第1章 17のゴールを使って身のまわりの出来事をとらえる
出来事をとらえる前に
17のゴールを使って身のまわりの出来事を探っていこう① ゴミ
17のゴールを使って身のまわりの出来事を探っていこう② 買う
我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ
SDGsを採択した国際連合って、どんな組織?

第2章 SDGsの道標一つひとつに目を向けていこう

第3章 私学とSDGsを重ねていこう
SDGsを私学の入試問題と重ねて見る
2017年に出題されたSDGsと関わる中学入試問題
2018年に出題されたSDGsと関わる中学入試問題
SDGsの眼鏡で見る、私学の取り組み―その1
SDGsの眼鏡で見る、私学の取り組みーその2
●関東学院中学校高等学校
●恵泉女学園中学・高等学校
●中村中学校・高等学校
●桜美林中学校・高等学校
●立正大学付属立正中学校・高等学校
●相模女子大学中学部・高等部
●成蹊中学・高等学校
●渋谷教育学園渋谷中学高等学校
●捜真女学校中学部・高等学部
●湘南学園中学校・高等学校
●桐蔭学園
●八雲学園中学校・高等学校
おわりははじまり

※学校名はアルファベット順に掲載しています。

第1章 17のゴールを使って身のまわりの出来事をとらえる

出来事をとらえる前に……
世界のリーダーたちが2015年9月の国連サミットで採択した、SDGs(17のゴール)が定められたプロセスに目を向けていきましょう。

17のゴールは、「誰一人取り残さない(No one will be left behind)」という考え方にもとづいて定められました。言い換えれば、今から創っていく未来で生きていく、すべての時代のすべての人のための目標ということです。
SDGsのゴールを設定するときのポイントになった点は次の3つです。

1. 貧困の根絶(経済・社会開発)と持続可能な社会(環境保全)の両立
2. 不平等(格差)の是正
3. 開発途上国だけでなくすべての国に適応される

SDGs17のゴールを支える要素

持続可能な開発目標(SDGs)に示された17のゴールと169のターゲットはどれも、人間、豊かさ、地球、平和、パートナーシップという5つの要素のいずれか一つ以上に関わりを持っています。あなたは、これら5つの要素がどのように関連し合っていると思いますか。この5つの要素を大切にすることで、私たちの生活にどのような変化が起こるのかを想像してみましょう。

17のゴールを使って身のまわりの出来事を探っていこう① ゴミ

これはゴミ? ゴミじゃない?
「ゴミ」ときいたときに思いつくものはたくさんあります。自分と関係があることとして結び付きをつくれるものを、どこまで広げられるかな?自分の事としてとらえられる範囲はどれくらい広がるかな?

あなたがそれを”ゴミ”だと判断したときに、自分の中で何が起こっていたかな?
マップにしてつなげていこう!
あなたが知っていること、なかまが知っていることをどんどんつなげて!

マップをかいたら、つながっている17のゴールの番号をかき入れてみてね。

視点を広げよう・視点を重ねよう

「ゴミ」に目を向け、視点を広げたり重ねたりする手がかりのいくつかが書かれています。
あなたが知っていることがらと結び付けて、世界を変えるために行動していきましょう。

Development(ディベロップメント)の意味に着目していこう。
-Sustainable Development(サステナブル ディベロップメント)という言葉を掘り下げる!-

ある私学の校長先生と、SDGsを子ども達にわかりやすい言葉で伝えるための話し合いをしていたときのことです。「もし、子ども達のために伝えるとするならば英語だけじゃなく、フランス語の原文も見てみたいわ。いくつかの言葉で見ることで、何を伝えたいのかがわかりやすくなることもあるから。」と校長先生が言いました。

翻訳をするということは、ある言語で表現されている文を、他の言語に直して表現することです。ですから、同じ文でも訳す人によってさまざまな表現を用いることになるのです。日本では現在、Sustainable Developmentは「持続可能な開発」と翻訳されています。
このコラムでは、ディベロップメントという言葉を探っていきましょう。

17のゴール・169のターゲットからなる持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals : SDGs)は、オリジナルの文章が英語で作られ、国連が使っている他の5つの公用語に翻訳されています。(国連が使っている公用語は、中国語・英語・フランス語・ロシア語・スペイン語・アラビア語です)

オリジナルである英語の「Development」が持っている意味を複数の辞書で調べてみると、次のようないくつかの意味をもっていることがわかりました。
・生物の発達や成長
・身体の発育
・事業などの発展
・事態の進展
・発達した状態
・発展の所産
・土地や住宅の開発、改造
・写真の現像
・製図における展開図
・ソフトウェアの開発・製造

ディベロップメントという言葉に着目すれば、日本政府が訳した「持続奇能な”開発”」は、「持続可能な”発展”」や「持続可能な”発達”」とも言うことができたのですね。2000年に採択されたMDGsでは、主に途上国に焦点が当てられた8つの目標が立てられました。そのときには、ディベロップメントを「開発」という言葉にすることで伝わることが多くあったでしょう。SDGsでは、途上国にも先進国にも焦点が当たっています。途上国におけるディベロップメントと、先進国におけるディベロップメントは同じなのでしょうか。それともちがうのでしょうか。また、国ごとに背負っている文化が異なる中で採択されたSDGsは、公用語である6つの言語で読んだときに解釈に違いが出てくるのでしょうか。
国ごとにSDGSがどのように展開されていくのか、その展開を日本語にするときにはどのような言葉がふさわしいのか、2030年までの動きを見ながら探っていってはどうでしょう。

17のゴールを使って身のまわりの出来事を探っていこう② 買う

買い物をすると、誰とつながる?
「買う」ことで、消費者である“私”はだれかとの結び付きをつくっている。
たとえば、コンビニエンスストアで買い物をしている“私”に目を向けてみよう。
どんな人との結びつきをつくっているかな?どこまで広げられる?自分の事だと思える範囲はどこまでかな?

マップにしてつなげていこう!

自分との”つながり”をつくっているもの、何だろう?
お金、電波、情報、人、物 あなたは何によって、どのくらいの広さで世界とつながっているんだろう。つながっている社会の大きさ、広さは人それぞれ。近代社会では、社会とつながる広さと深さは、その人が担う役割と関係しているのかもしれないね。一人が担っている役割にも目を向けていこう。

あなたがつながっていると思う人、なかまがつながっていると思った人をマップでつなげていこう。
すべての人がSDGsを推進するアクティブメンバー。マップをかいたら、その人とつながっている17のゴールにはどんなものがあるのかも書き入れてみてね。あなたは、その人と一緒にどんな未来を創る?17のゴールはどのようにつながっている?

あなた自身は自分がどんな役割を担っていると思う?
両親の”子ども”、弟や妹の”お兄さん、お姉さん”、小学校に通う”児童”、サッカーチームの“キャプテン”、コンビニエンスストアの”お客さん”、雑誌の”読者”、スマホの”利用者”、電車の”乗客”……あなたの担っている役割、まだまだいっぱいありそうだね。

日能研教務部 (編集)
出版社: みくに出版 (2017/8/10)、出典:出版社HP

SDGsビジネス戦略-企業と社会が共発展を遂げるための指南書-

SDGsビジネスがよくわかる

最後まで読むことでSDGsの全体的な理解を深めることができます。読み終わった後は、コラムや対談記事の有識者の鋭い視点を参考に、自分の考えを深めることができます。会社の取り組みがどこまでSDGsなのかチェックできるページもあり、これがとても便利です。

ピーター D. ピーダーセン (著), 竹林 征雄 (著)
出版社: 日刊工業新聞社 (2019/3/1)、出典:出版社HP

まえがき:本書の使い方

「人間は、自然との闘いに勝ったと思うその瞬間に、自らが負けた側に立っていることに気付くだろう」。このように指摘したのは、異端の経済学者で「スモール・イズ・ビューティフル」を著した、英国のE.F.シューマッハーである。
20世紀後半は、この事実に人類が気づかされたのと同時に、社会面においても貧困を撲滅し、公平で公正な社会を実現しない限り、未来が危うくなることを、強く感じるようになった。
そのため、人類の大きな共同作業として、国際連合を中心に、2000年にMDGs(ミレニアム開発目標—目標年度:2015年)、2015年に、その後継となったSDGs(持続可能な開発目標一目標年度:2030年)が打ち出され、共通の目標と共通言語として、世界を突き動かしている。
本書は、SDGsをどのようにして企業の戦略に落とし込み、「健全な価値創造」を実現できるかに関する多面的かつ実用的な内容を提供すべく、発刊する運びとなった。
2016年いっぱいまで、日本におけるSDGsの認知度はまだ低かったが、2017年から2018年にかけて、理解が急速に広まった。そして2019年以降は、いよいよ行動に移るべき時期が訪れている。その行動において、基礎となる着眼点や哲学と、企業の現場で具体的なアクションを起こすためのヒントとツールが、本書に多数含まれている。

本書は、例えば次のようにご活用いただける。

・最初から最後まで読み、全体的な理解を得る
・SDGsの背景(序章、第1章)、関心の強い個別目標(第3章)、SDGs戦略への落とし込みについて(第2章)、ニーズに合わせて読む
・コラムや対談記事などで、有識者の鋭い視点を参考に、自分の考えを深める。
・戦略に落とし込むための各種フレームワークやツール(第2章)を、社内外の必要な場面で活用する
・具体的な企業事例(第4章)からインスピレーションを得て、次の一手を考える

第2章で紹介する「7つの経営ツール」は、いずれも下記URLから、無料にてダウンロードすることができる。ぜひ、現場を刺激し、企業価値と社会価値が同軸に乗る経営の実現に向け、本書をご活用いただきたい。

「スモール・イズ・ビューティフル」、E.F.シューマッハー、講談社(2010)。原書は、1973年発刊

目次

まえがき:本書の使い方

序章 企業と社会—共存と共発展を模索するその歴史的変遷
株式会社の進化を俯瞰する
株式会社の進化における第一幕:重商主義の時代
株式会社の進化における第二幕:産業資本主義の時代
株式会社の進化における第三幕:持続可能経済の時代
1980年代以降の企業と社会の関係性―3つのステージ
2015年以降にさらに鮮明になった「社会の変革ドライバー」
環境・社会イノベーションは「第5の競争軸」
いまこそ「リフレーミング」が必要

第1章 世界共通言語SDGsとは
はじめに
SDGsに到る系譜
具体的にSDGsとは何か
日本におけるSDGs活動
SDGsの世界的な2つの動向
SDGsとビジネス・企業
SDGsを経営に取り込むにあたり、従来と異なった思考方法が必要である

第2章 SDGs経営実践のための「ツール・ボックス」
共発展のキーワードは「トレード・オン」
SDGs戦略の実践に向けての「基本姿勢」とは
基本姿勢、その1:
CSR的とらえ方から脱却する
基本姿勢、その2:
SDGsを「イノベーション・ドライバー」として活用する
基本姿勢、その3:
パートナーシップと協働の重要性を認識する
SDGs経営—理解のフェーズ
SDGs経営の実力測定
SDGs経営実力測定—6つの側面
SDGs経営—行動のフェーズ
SDGs経営—表現のフェーズ
SDGs経営実践のための「ツール・ボックス」ワーク編

第3章 企業が取り組むべきSDGs
企業活動で特に重要な12の目標
目標2 飢餓をゼロに
国連WFP日本事務所
目標3 すべての人に健康と福祉を
公益財団法人 未来工学研究所 22世紀ライフェンスセンター 主任研究員 小野直哉
目標6 安全な水とトイレを世界中に
グローバルウォーター・ジャパン 代表 吉村和就
目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
日本サステイナブルコミュニティ協会 竹林征雄
目標8 働きがいも経済成長も
合同会社 地球村研究室 代表社員、東北大学名誉教授 石田秀輝
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
長岡技術科学大学 理事・副学長 三上喜貴
目標11 住み続けられるまちづくりを
関西大学社会連携部・名誉教授、大阪大学名誉教授 盛岡通
目標12 つくる責任 つかう責任
アミタ株式会社 代表取締役 佐藤博之
目標13 気候変動に具体的な対策を
国立環境研究所 増井利彦
目標14 海の豊かさを守ろう
公益財団法人世界自然保護基金ジャパン (WWFジャパン) 自然保護室 山内愛子
目標15 陸の豊かさも守ろう
株式会社レスポンスアビリティ 代表取締役 足立直樹
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう
一般財団法人CSOネットワーク 事務局長・理事 黒田かをり

第4章 企業のSDGsの取組事例
SDGsの目的と、達成に向けた2種のアプローチ
アミタホールディングス株式会社
資源インフラで持続可能社会の一翼を担う
株式会社エンビプロ・ホールディングス
「再エネ100%」の住宅・建築・街づくり
大和ハウス工業株式会社
再エネが地球と地域を救う
シン・エナジー株式会社

特別寄稿 ビジネスの世界が担う持続的未来とSDGs
東京都市大学・特別教授 涌井史郎 (雅之)

特別対談 「SDGsと地域循環共生圏」
熊野英介 アミタホールディングス株式会社代表取締役
中井徳太郎 環境省総合環境政策統括官

あとがき
巻末付録 SDGs17目標 169ターゲット一覧
執筆者紹介

ピーター D. ピーダーセン (著), 竹林 征雄 (著)
出版社: 日刊工業新聞社 (2019/3/1)、出典:出版社HP

序章 企業と社会―共存と共発展を模索するその歴史的変遷

ピーター D. ピーダーセン

株式会社の進化を俯瞰する

1600年12月31日、英国王室の許可を得て、世界で最も有名な貿易会社となった英国東インド会社が株式会社として産声をあげた。そのはるか前の1288年6月、スウェーデン生まれの鉱山企業ストゥーラ・コッパルベリ(文字通り「大銅山」)は、羊皮にて世界最古の「株券」を発行したとされている。また、英国とロシア間(当時モスクワ大公国)の貿易を担ったモスクワ会社も、既に1555年に英国の女王メアリー1世の勅許によって、株式会社として活動を始めていた。

日本においても株式会社ではなかったにせよ、聖徳太子の命によって578年に設立され、現代まで操業を続けてきた金剛組という、世界最古とされる企業が存在している。これらの企業たちの歴史自体も栄枯盛衰の道のりであり、随所にドラマに満ちているが、ここでは、1600年の東インド会社設立を節目として、社会と企業の関係性を大きな歴史的観点から俯瞰してみたい。

このような探求はなぜ意味を成すのかと、読者は思うかもしれない。その答えは、読み続けていただくうちに明らかになるはずだが、まずは結論から述べることにしよう。株式会社に代表される近代的な「企業」は、1600年あたりから現代、いや、未来にいたるまでいくつかの大きな歴史的な進化の段階を経て発展、変貌を続けている。それぞれの時代において、企業が担ってきた役割、鍵となる利害関係者、そして企業の操業原理が大きく変容している。
詳細は後述するとして、我々は現在、その進化の歴史における「第三幕」に突入していると言える。この第三幕において、国連のSDGs(持続可能な開発目標)に代表されるように、企業は社会的課題への革新的かつ主体的な役割が社会から強く期待されている。

それは、ただ単に富を増やすことや、豊かな消費社会を実現するといった意味合いでの「社会課題」ではなく、この地球上での生命維持と、人類の将来的な発展を可能にするにあたって避けて通れない「社会課題」なのである。企業の操業と、社会や自然環境のトレード・オフを乗り越え、その双方が健全に発展できる「トレード・オン」の関係性を築くことが必要不可欠となっている。言い換えれば、「トレード・オン」とは、企業と社会の共発展をも意味し、その共発展を可能にする経営が、実は企業という生き物の進化における「ネクスト・ステージ」である。

この挑戦は壮大なものであると同時に、企業側からみるとその組織の規模、形態、営業内容に関わりなく、非常にエキサイティングな新しいイノベーション・フロンティアとみるべきである。まずは、その背景にある、400年の「進化の物語」を簡単に振り返ってみることにしよう。

株式会社の進化における第一幕:重商主義の時代

1600年の英国東インド会社の設立を受け、欧州各国に東インド会社が次々に設立されたことは、有名すぎる話と言えるだろう。1602年、オランダ東インド会社は、現代語でいうIPO(株式公開)を世界で初めて実現し、株式を市場で、一般の人々も参加できる形で取引する最初の会社となった。そして、英国、スペイン、ポルトガルと常に覇権争いを繰り広げていたオランダのアムステルダムでは、1611年に世界初となる株式取引所が完成した。是初の10年は、たった一社—オランダ東インド会社—の株式の取引のを行う場所として賑わっていた。1600年より少し前から、1800年を少し過ぎるあたりまでの欧州の経済社会は「重商主義」の時代と言われているが、それは一体どんな経済発展のエデルだったのだろうか。世界の多くの地域で植民地をつくり、貿易によって安い原料を調達し、自国で加工し、付加価値をつけて、なるべく他国に金や銀を得るために輸出するといった経済のパラダイムだった。一方、輸入をなるべく制限しようと、高い関税を設けるなどといった保護主義的な政策も特徴の1つだった。

この中で、株式会社に操業許可を与えるキーとなるステークホルダーは、最初は君子、その後は資本を有する貴族を中心とした社会の富裕層であった。資本を集めた株式会社に期待された役割は、きれいごとで言えば探検と貿易、言い換えれば搾取と略奪であった。実際、英国東インド会社は、英国そのものを超える規模の軍隊を有し、インドや香港などの植民地化を主導する存在だった。CSR(企業の社会的責任)とはほど遠い、かなり恐ろしい企業像といっても過言ではなかろう。操業原理は、安く原料を調達できるアフリカやアジア諸国などの征服・制圧と、最大限可能な形での人と自然界の搾取だったと言える。そのいかがわしい基礎の上に、産業革命以前の英国など、欧州各国の富と権力が築かれていった。

株式会社の進化における第二幕:産業資本主義の時代

重商主義が経済発展のパラダイムとして徐々に力をなくしていった歴史をひも解くのは、本書の範疇を超えるため割愛するが、18世紀後半の蒸気機関の発明と普及によって、新しい経済社会が姿を現し始めたことは、周知の事実である。1700年代の終盤から、産業革命が(東インド会社と同じく)英国から広まっていくにつれ、経済発展のパラダイムも、次第に産業資本主義へと転換したのである。大英帝国の広大な植民地から得た富がその原動力になったことは否めないが、企業としての主役は「貿易会社」から、産業化の牽引役となった「製造会社」へと次第に移行していった。

農業や職人業から、高度に機械化された産業経済へと社会構造そのものも大きな転換期を迎えた。蒸気機関の機織り機を導入することで、綿紡績(綿の原料を糸として紡いでいく工程)の一人の労働者の生産性は、約500倍になったと言われている。つまり、一人の労働者は、機械の力を借りて、それまで500人が必要だった仕事をこなすことが可能となった。まさに革命的なスケールとスピードの変化だった。

この時代における株式会社のキーとなるステークホルダーは、土地、製造設備、労働力の確保に資金を投じた資本家となった。そして、企業に期待された役割は、一言で言えば、「豊かな消費社会の実現」だったのではないだろうか。操業原理はと言えば、生産の機械化と労働者の最大限可能な搾取によって、生産量の拡大を図るといったところになろう。

21世紀初頭においてもなお、私たちはこの産業資本主義の延長線上に生きていると言える。水力・蒸気機関、電気、ITによるこれまでの3つの革命を経て、現在はAI、ロボティクス、3Dプリンティングなどがもたらす「第4の産業革命」が進行中と言われている。しかし、世界全体を見渡すと、産業化による経済の発展モデルから抜け出しているとは言えない。

産業資本主義が大きな成功をおさめ、農業の工業化をも後押しし、20世紀は莫大な人口増加が起きた。1900年に、人類誕生からの二百数十万年で15億人にまで増えたヒトの頭数は、その後、たった100年でその4倍強の61.3億人にまで急増した(2000年)。そして、現在も一日約210,000人の純増が続いている。皮肉なことに、私たちは種として成功し過ぎたとさえ言えるのかもしれない。20世紀後半、人類は、産業資本主義の目覚ましい発展の予期せぬ副産物に直面することになる。日本の水俣病に代表される公害問題公害問題、1980年代にクローズアップされ始めた地球温暖化、1990年代から特に注目される生態系の劣化、サプライチェーンにおける児童労働など、新たな社会課題と環境問題が多発するようになった。200年続いた産業資本主義の発展パラダイムが、人口密度が急激に上昇した地球社会において通用しなくなっていることは、20世紀後半に進むにつれて鮮明になっていった。そして、その経済の牽引役を務めてきた企業も当然、役割が本質的に問われ始めた。企業の存在意義、これから取り組むべき社会課題、そして、誰が企業にとっての重要なステークホルダーなのか、そのすべてが総点検の時期に差し掛かっている。

株式会社の進化における第三幕:持続可能経済の時代

環境経営、CSR経営、サステナビリティ経営、CSV、ESG、そして本書のテーマであるSDGs(国連の持続可能な開発目標)——これらは特に1980年代以降に台頭した新しい概念であるが、その背景にはこれまでの経済発展モデルの機能不全が潜んでいる。人口密度の高い地球社会において、どのようにして人類の生命を支えられる地球環境と健全な社会とを維持しつつ、必要不可欠である経済力を発揮するか——いまは、その大いなる「問い直しの
時代」に入ったと言ってよいだろう。

筆者は、この一連の動きが企業と社会の関係性における「第三幕の幕開け」に匹敵する出来事であるとみている。小手先では答えが出ない、壮大かつ創造的なトランスフォメーション(変容)の真っただ中に企業が置かれていると考えるべきだろう。株式会社は、ここではその代表格として取り上げているが、地域企業、ベンチャー、中小企業にも、この大転換の一旦を担う責任と可能性があると考える。

第三幕の「何が違うか」を理解するために、一旦、日本における産業社会の代表的な一社、松下電器産業(現パナソニック)に思いを馳せてみよう。1932年、創業者松下幸之助は大阪のある会合で、後に「水道哲学」と称されるようになった自分なりの経営哲学を語った。

「産業人の使命は貧乏の克服である。その為には、物資の生産に次ぐ生産を以って、富を増大しなければならない。水道の水は価有る物であるが、乞食が公園の水道水を飲んでも誰にも咎められない。それは量が「多く、価格が余りにも安いからである。産業人の使命も、水道の水の如く、物資を無尽蔵にたらしめ、無代に等しい価格で提供する事にある。それによって、人生に幸福を齎し、この世に極楽楽土を建設する事が出「来るのである。松下電器の真使命も亦その点に在る。」!

産業資本主義そのものの「使命」を的確に表現していると同時に、当時の社会課題=貧乏の克服と消費社会の実現に焦点を当てた、名演説である。しかし、21世紀半ばに向かおうとしている今日においても、果たして通用するアプローチなのだろうか。廉価な工業製品を地球すべての人々に提供しようとするなら、それはエネルギー、気候変動、資源枯渇などといった制約条件からみると、破綻の道になりかねないのである。この世に極楽楽土を実現「するどころか、将来世代にとっては地獄への入口にすらなるかもしれない。「水道哲学は、1930年代には素晴らしく適していたと言えるし、いまなお、地球社会全体では安全な水(21億人)や電気(10億人)にアクセスできない人々が多数暮らしていることも事実である。しかし、産業資本主義の経済発展モデルやこの時代の企業経営の操業原理では、問題解決ができないだけでなく、むしろ悪化させかねない。言ってみれば、水道哲学には新しい前提条件が必要となっている。それこそが、本書の主たるテーマである「長期にわたる自然環境と社会の持続可能性=サステナビリティ」と言える。

企業の歴史は、社会との新しい関係性と共発展の在り方を模索する「第三幕」に突入している。その台本の新しい展開を「脅威」とみるか、それとも「機会」と捉えるかは、企業人の世界観と力量にかかっているが、一企業が仮にその動きに抵抗しようとしても、それは無駄な努力にしかならない。歴史の新たな波に乗るか、それとも過去の遺物として、いずれ姿を消すかがわれているのだ。未来を選択する時代と言い換えてもよいだろう。
第三幕において問われていることは、「誰が企業の本当に大切な利害関係者なのか、「企業は何の役割を社会において担えばよいか」、そして、地球上で生命維持が可能となるための「企業の新たな操業原理とは、一体どんなものなのか」といった、非常に根本的なものである。現在も続いているその「問い直し」がどのように進んできたかをもう少し具体的に理解し、SDGsとの接点を明らかにするためにも、次に、400年の歴史の俯瞰から、ここ三十数年の変化にズームインしてみることにしよう。

ピーター D. ピーダーセン (著), 竹林 征雄 (著)
出版社: 日刊工業新聞社 (2019/3/1)、出典:出版社HP

1980年代以降の企業と社会の関係性—3つのステージ

20世紀後半に、特に公害や地球環境問題が次第にクローズアップされるようになるにつれ、社会が企業に求めることも顕著に変わり始めた。個人的には、1980年代以降のその変化を、3つのステージに分けて捉えている。この3つのステージを体系的に理解することで、ここ30年強の環境・CSR・サステナビリティ経営の進化を的確に押さえ、今後にも続く企業経営の潮流を読むことができると考えている。

第一ステージ 1980年代後半まで:【法順守、リスク管理、メセナ活動の時代】

1980年代後半まで、企業は法律を守り、適切なリスク管理を行い、若干のメセナ活動を実施していれば、「よき企業市民」としてステークホルダーに認められる時代が長く続いていた。ビジネスと社会の関係性は比較的わかりやすく、経営側にとっても取るべく対応が明確だったと言える。
興味深いことに、この第一のステージが大きく変わるきっかけとなった年を正確に特定することが可能なのだ。1987年が、その節目の一年となった。3年間の委員会活動を終えた国連の「環境と開発に関する世界委員会」(通称:ブルントラント委員会)は、1987年に報告書「我ら共有の未来』のなかで、初めて国際的に「持続可能な発展」の概念を打ち出した。それ以降の企業経営や国家運営などに、これほど大きな影響を及ぼすコンセプトはなかったのではないかと思うほどのインパクトをもたらしている。

わかりやすく言い換えれば、現代においてもまだまだ貧しい人たちがたくさん存在し、彼らのニーズを満たすための経済や社会の発展は必要だが、その「やり方」を改めないと、将来世代の可能性を奪いかねないということになる。特に、「いま生きている私たちに、世代を超えた責任がある」ということが、この定義の1つの大きな特徴と言える。
持続可能な発展の概念は、1992年6月、ブラジルのリオ・デ・ジャネイロで開催された「地球サミット」(正式名:「環境と開発に関する国連会議」)へとつながり、この国際会議のバックボーンを成す考え方となった。その少し前から、産業界は既に新たな時代の到来を予感し、自ら経営を次のステージに転換し始めていた。

第二ステージ 1990年代~2005年頃:【積極管理、情報開示、CSR経営の時代】

地球サミットの約3か月前の1992年3月、英国のBSI(英国規格協会)は世界で初めての本格的な環境マネジメント規格を公表した。企業が法を超えて、積極的に環境課題を管理するというそのアプローチは、最終的に1996年から取得が可能となったISO14001へと統合されるに至っているが、この動きのなかに第二ステージの特徴の1つが見え隠れする。企業は、「法律に縛られるより自主的な対応を」という精神に基づき、環境や、後には社会的な課題もプロアクティブに、言い換えれば「積極的に」管理するようになった。
1990年代半ばになると、環境報告書、そのあとCSRやサステナビリティ報告書が世界各国で発行され始める。積極管理が社会から求められたのに加え、法を超えた情報開示や幅広い説明責任もステークホルダーから当然視されるようになっていく時代である。
個人的にも接点を持たせていただいた経営者、今は亡き米国のカーペットメーカー、インターフェース社のレイ・アンダーソン会長の経験が、第一ステージから第二ステージへの移行を分かりやすく表している。アンダーソン会長には、自らが1970年代に創業者したカーペットメーカーが、環境関連法を順守し、納税も適切に行っていたため、優良な企業市民であるとの自負があった。しかし、1994年に、ある大手顧客から「御社の環境ビジョンを教えてください」と問われると、一種のショックを受けたという。自分たちには環境ビジョンに該当するものがなく、それまで必要とも思っていなかったそうだ。しかし、いざ世界の現状を見渡し、さまざまな有識者の本を読み始めると、企業が自ら、積極的に持続可能な未来を築く重要性を深く認識し、同社は、「2020年までに世界初の持続可能なメーカーになる」という長期ビジョンを掲げ、経営を抜本的に変え始めた。目標年度がだいぶ近づいて「きたが、その挑戦はいまも一貫して続けている。
ここまでドラスチックに舵を切った従来型の企業は少ないが、1990年代は間違いなく持続可能な発展の概念を出発点として、企業経営の在り方や、社会との接し方が大きく進化する10年となった。積極管理、情報開示や説明責任を中心とする「CSR経営」のステージである。

第三ステージ:2005年頃から:【課題解決型の革新、ステークホルダーとの共創】

現在もCSR経営を、第二のステージの特徴を中心に、粛々と続けている企業は少なくない。しかし、社会を代弁するステークホルダーから、「それではもはや不十分」だという、発展的な挑戦状を突き付けられている次なるステージは、既に2005年頃始まっている。そして、この第三ステージの集大成の1つが、2015年9月に採択されたSDGsと言っても過言ではなかろう。第二から第三ステージの間に何が変わったのか、そして、いま企業に求められる新たな経営スキルとはどのようなものなのか。

地球社会が直面している環境・社会課題は、国家、国際機関、NGOだけではどうにも解決できない。グローバル資本主義の広まりとともに、強大な力を手に入れた企業の主体的な行動なくして、人類は持続可能な未来を迎えることができない——そんな認識がミレニアム前後に強まり、第三ステージへとつながっている。

いまの時代において「よき企業市民」と認めてもらうためには、第一や第二ステージの経営スキルに加え、一歩進んだかたちで、環境・社会課題を解決するためのイノベーションが求められている。そのイノベーションを、自社の研究開発や事業部門だけで実現できないことも多いため、社会の広い層のステークホルダーとの真剣な共創が必要であるとされている。NGOに寄付するといった社会貢献というよりは(あるいは、それに限定せず)、国際機関、NGO、地域社会、投資機関などと知恵を出し合い、課題への新しい解を協働によって生み出すことが求められている。

なぜ、この第三ステージが2005年頃始まったと言えるか。第一から第二ステージのように、正確に年号を特定することはできないが、2005~2006年あたりは、企業のCSR・サステナビリティ経営に決定的に重要な変化がいくつも起きている。
現在のESG投資(環境=E、社会=S、ガバナンス=G)の流れを生んだ国連の責任投資原則PRIが制定されたのは2006年だが、その前年に、食品世界最大手ネスレは、マイケル・ポーターが提唱するCSV経営(CSV=共通価値の創造)を大々的に掲げ始めた。同年、世界最大手のスーパーマーケット、ウォルマートの経営者は、ハリケーン、カトリーナの破壊力を目の
当りにし、それまで考えらないほど積極的な3つの環境目標を世に打ち出した。同じく2005年秋に、米国を代表するコングロマリット、GEは、エネルギー効率や再生可能エネルギーの商品群を増やす経営戦略「エコマジネーション」を始動させ、一気に環境先進企業へと舵を切り始めた。どれも、自社の事業を通じて、課題解決型のイノベーションを強力に進めるといったメッセージを、産業界全体に送る出来事であった。

第三ステージは、現在も進行中である。持続可能な地球社会を実現することが、史上最大級のビジネスチャンスでもあると、多くの企業が目覚めているかのようにみえる。これは大いに歓迎すべきことだと思うが、この「目覚め」は常に社会とのキャッチボールの中で起きていることを忘れてはならい。そのキャッチボールは、特に2015年頃を境目に、さらに活発に行われるようになっている。社会の変革ドライバーが、企業にさらなる脱皮脱皮とイノベーションの加速を促していると言い換えることもできよう。

2015年以降にさらに鮮明になった「社会の変革ドライバー」

2015年9月の国連総会にて、SDGsが採択された。正確に言えば、採択されたのは「持続可能な開発のための2030アジェンダ」だったが、その「アジェンダ=議題」は、まさに、世界が共通して取り組む17の持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)に集約されている。

SDGSが採択されたわずか3か月後、フランスの首都パリでは、大方の予想を覆して、「パリ協定」が満場一致で採択された。人類活動の脱炭素化に向けた道筋を示すパリ協定の詳細は割愛するが、企業にさらなる課題解決型イノベーションとステークホルダーとの共創を求めている強力な要因であることは、言うまでもなかろう。
ESG投資が2010年代半ばを経て、もはや完全に主流化しつつあるのも見落とせない変革ドライバーだ。ハーバードビジネスレビューが毎年公表している「最もパフォーマンスの高いCEOランキング」(Best Performing CEOs in the World)には、2015年秋、初めてESG的な評価項目も採用され、収益力だけでなく、社会的対応能力で経営者を評価する試みを開始した。その結果、それまで1位の座にあったアマゾンの創業者、ジェフ・ベゾス氏は、一気に87位に転落した。
世界最大の年金基金である日本のGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)も、同じく2015年に上で触れた国連の責任投資原則PRIに署名し、そして、2017年7月には、資産運用において3つのESG指標を採用すると発表した。ESG投資——つまり、環境、社会、ガバナンスの観点から投資銘柄を選定する資産運用——は2019年現在、世界の全運用資産の3割弱に達しており、欧州など一部の市場では既に50%超の割合となっている。
最後に触れるべき変革ドライバーは、顧客の価値観の変化である。B2CとB2Bの世界では異なる形で体現されるが、いずれの市場においても顧客は環境と社会的配慮を以前よりはるかに求めるようになっている。B2Cでは、1981年以降に生まれたミレニアル世代後の生活者がサステナビリティを志向した消費に意欲を示している。B2Bの世界においては、多くの場合は取引条件の中に盛り込まれ、商売を行う上での基礎的な条件にまでなっている。

このように、2010年以降だけをとっても、SDGs、パリ協定、ESG投資、そして顧客の価値観の変化が大きな影響力を及ぼすようになっている。これらの動きは、いずれも「長期ベクトル」に基づいていることが重要なポイントだ。3年や5年で消える変革ドライバーではないのだ。むしろ、2030年や2050年にむけた企業経営そのものの変容が余儀なくされているとみるべき大潮流である。そう簡単にぶれない長期ベクトルが社会によって設定されていることをポジティブに受け止め、自社としての本質的な戦略刷新や事業革新に結び付けて初めて、21世紀半ばの市場にふさわしい企業力や競争力を獲得することが可能となる。

環境・社会イノベーションは「第5の競争軸」

企業は、常に競争にさらされる存在である。そして、時代とともに、競争力を左右する「軸」が変化するのも事実である。戦後、日本が焼け野原から立ち上がり、大きな自己変革力をもとに、最初は価格で勝負し、その後、世界市場に出てマーケットシェアを獲得し、そして、1960年代になると、次第に品質経営で世界における確固たる地位を確立していった。この4つの要因——「ビジネスモデルを進化しつづける自己変革力」、「マーケットシェア」、「値付け」、そして「プロセスと製品の品質」——は、まさに20世紀後半まで、決定的に重要だった「競争軸」と言える。つまり、それらをマスターするか否かが企業の生存可能性に直接影響を与えていた。
これら4つの競争軸は現在も大きな意味をもっているが、昨今は、SDGsを筆頭とする社会の「変革ドライバー」を受け、第5の競争軸が台頭している。その第5の競争軸を一言で表現すれば「サステナビリティ・イノベーション」になろう。つまり、自社の特性や強みを生かしたかたちで、いかにして持続可能な社会や持続可能な未来の実現に貢献するかが、競争力を左右する時代に入ったという見方である。念のために確認したいが、その「貢献」とは「社会貢献」とイコールでもなければ、「社会貢献」を軽視しているものでもない。事業においては事業そのものを通じて、オペレーションにおいてはその特性や課題をふまえ、そして必要な時には社会貢献をも通じて、主体的かつ新たな価値創出につながる行動が求められていることに他ならない。

いまこそ「リフレーミング」が必要

本章では、最初に企業と社会の関係性を400年の大きな歴史的な観点から捉え、その後、ここ30年強を3つのステージに分けてみてきた。企業が、誰によって操業・発展の許可を獲得し、何を社会に提供する存在であるかの非常にエキサイティングかつ創造的な「問い直しの時代」と捉えている。このような時代において、旧態依然のマインドセットや物事の解釈では、当然、求められる新しい解はみえてこない。

米国の言語学者、カリフォルニア大学教授のジョージ・ラコフ氏はかつて、Reframing is social changeという名言を発したが、彼が指摘しているのは、メンタルモデルやマインドセットを抜本的に変えた瞬間に(すなわちリフレーミングが起きたその時から)変化・変革・イノベーションへの扉が開くということである。SDGsをはじめとした社会の変革ドライバーを的確に理解し、イノベーションに結び付けるためには、次ページの図が示すようなリフレーミングが必須となろう。リフレーミングができなければ、第三のステージで求められる「課題解決型イノベーション」を起こすための意思思定や、社内プレイヤーのベクトル合わせは困難を極めるだろう。ここで、いまなお喘いでいる企業も少なくないのではないだろうか。近年、日本において「CSR部」から「サステナビリティ部」への衣替えが続いていることは、リフレーミングの一環とみることができるが、当然、その取組内容のアップグレードもセットで必要になる。

本書の目的は、SDGsと企業の経営・事業戦略の接点を探るところにある。これまでのCSR経営は、ややもすると企業価値の創出に直結していなかった、あるいはその関係性がみえていなかった。SDGsは企業価値創出へのリンクを強める1つの好材料とみることができる。社会と共発展できる企業こそ、ステーホルダーから積極的かつ優先的に選ばれ、長期にわたる発展・成長の許可を手に入れる——そんな時代に、私たちは一歩ずつ、紆余曲折の道を経ながら進んでいるのである。

ピーター D. ピーダーセン (著), 竹林 征雄 (著)
出版社: 日刊工業新聞社 (2019/3/1)、出典:出版社HP

未来を変える目標 SDGsアイデアブック

大人から子供までSDGsについて学べる!

入門編としてSDGsの雰囲気をつかむのに最適です。SDGsが掲げる17の目標を各目標ごとに大変にわかりやすく説明しています。また、アイデアブックと言うだけあって、アイデアがぎっしり詰め込まれています。この本で紹介されている豊富な事例から学べることも多いはずです。

Think the Earth (著), 蟹江憲史(慶應義塾大学大学院 教授) (監修), ロビン西(マンガ) (イラスト)
出版社: 紀伊國屋書店 (2018/5/8)、出典:出版社HP

未来を変える目標 SDGsアイデアブック
編著 = 一般社団法人 Think the Earth
監修=蟹江憲史 マンガ=ロビン西

未来を変える目標

SDGs(エス・ディー・ジーズ)という言葉を聞いたことがありますか?

Sustainable Development Goals = 持続可能な開発目標

2030年までに、先進国も新興国も途上国も、国も企業もNPOも個 人も、あらゆる垣根を越えて協力し、より良い未来をつくろうと国連で 決まった17個の目標のことです。

SDGsは、今よりもっと良い世界にしたいと想った世界中のたくさ んの人たちが力を合わせてつくりあげた「未来を変える目標」です。そ して、世界には新しい未来を信じて、ユニークなアイデアと情熱ですで に行動を始めている人がたくさんいます。この本に載っている素敵なア イデアにぜひ触れてみてください。同じ時代に、同じ星で生まれた地球 「人として「私も新しい未来づくりに参加してみたい!」と思えてくるの ではないでしょうか。

この本は国連、企業、NPO、教育者、専門家、クリエイターなどジ ヤンルを超えた多数の方々の協力があって完成することができました。 でも本の完成は通過点に過ぎません。これからは「未来を変える目標」 の実現のために行動する人が、ひとりでも多く巣立っていける学びの環 境をつくっていきたいと思っています。ここまでご一緒いただいたみな
さまに心からの感謝を申し上げます。そしてこれから出会うみなさんと ご一緒できることを心から楽しみにしています。

上田壮一
SDGs for School 実行委員
一般社団法人 Think the Earth

Think the Earth (著), 蟹江憲史(慶應義塾大学大学院 教授) (監修), ロビン西(マンガ) (イラスト)
出版社: 紀伊國屋書店 (2018/5/8)、出典:出版社HP

Contents

序文
SDGs解説
根本かおる SDGsを自分ごとにしよう
蟹江憲史 2030年の経済・社会・環境を考えよう。
すべての目標はつながっている
ロビン西SDGs部物語
山藤旅聞/山本崇雄ともに学び、ともに行動しよう
中高生と考えた「未来への問い」
マンガ
未来の教室より
17個の目標と 「未来を変えたアイデア」
貧困をなくそう
●グラミンバンク
●おてらおやつクラブ
飢餓をゼロに
●テーブル・フォー・ツー
●学校給食プロジェクト
すべての人に健康と福祉を
●母子健康手帳
●ジップライン
質の高い教育をみんなに
●みんなの学校プロジェクト
●グリーンスクール
ジェンダー平等を実現しよう
●シャクティ舞踊団
●ルーミネイト
安全な水とトイレを世界中に
●ハンディポッド
●ワルカウォーター
エネルギーをみんなに そしてクリーンに
●アフリカン・クリーンエネルギー
●ソーラールーフ・タイル
働きがいも 経済成長も
●タラブックス
●スモールビジネスサタデー
産業と技術革新の 基盤をつくろう
●留職プログラム
●クライシスマッピング
人や国の不平等をなくそう
●ファッションレボリューション
●ラクチンきれいシューズ
住み続けられるまちづくりを
●インクレディブル・エディブル
●シェア金沢
つくる責任つかう責任
●サステナブル・ラベル
●テラサイクル
気候変動に具体的な対策を
●トランジション・タウン
●ダイベストメント
海の豊かさを守ろう
●オーシャン・クリーンアップ
●南三陸戸倉っこかき
陸の豊かさも守ろう
●生物多様性ホットスポット
●熱帯林監視システム
平和と公正をすべての人に
●武装解除広告
●ユネスコ MGIEP
パートナーシップで 目標を達成しよう
●ESG投資
●国連と吉本興業

コラムDSDGsを読み解く視点
1途上国と先進国
2教育の未来
3ダイバーシティ社会
4まちづくり
5エシカル消費
6テクノロジーの未来
7生物と生態系
8企業の役割
9金融の役割
10 平和と非暴力
●稲場雅紀
●北村友人
●須藤シンジ
●紫牟田伸子
●末吉里花
●村井 純
●足立直樹
●田瀬和夫
●河口真理子
●小山淑子
もっと学びたい人へ
SDGs for School/SDGs.TV
おすすめの本、ウェブサイト

17個の目標と「未来を変えたアイデア」の構成

それぞれの目標は、インフォグラフィックとテキストで概略を説明したページと、2つの代表的なアイデア事例を紹介したページで構成されています。
(概説ページ)
17個の目標の下には、さらに細かい169個のターゲットと、成果測定のための232個の指標が定められています。このQRコードを使 えば、目標ごとのターゲットと指標、また事例のリンクが掲載されたサイトにアクセスできます。
http://www.thinktheearth.net/sdgs/

ほかの目標との関連性や、対象と なる課題から派生する問いを示しました。SDGsを複眼的にとらえるヒントとしてお使いください。
目標に関連するたくさんのデータがある中で、代表的なデータをインフォグラフィックで表現しています。最新の数値やほかのデータは、自分で調べてみましょう。

(事例ページ)
目標どうしのつながりを可視化するため、関連する目標をハイライトしています。
※目標17は、国連や各国政府と協働の場合
目標に関連するキーワードの解説や、ちょっとした豆知識が得られるクイズを掲載しました。
個々の活動内容について詳しく知りたい人はぜひアクセスしてみよう!

序文:SDGsを自分ごとにしよう

「持続可能な開発目標(SDGs)」は、2015年9月に国連で採択されましたが、その決定プロセス自体がとてもユニークなものでした。3年を かけて世界中で政府・国連・市民社会・企業・研究者・女性・若者などのさまざまな立場の人たちが協議を重ね、世界から1,000万人もの人々がオ ンライン調査を通じて声を届けることで成立した「みんなのための・みんなで支える」目標なのです。ですから、SDGsは政府・国連に加えて、 企業・自治体・個人など誰もが参加できる枠組みになっています。つまり、 世界中の一人ひとりが主役なのです。
今世紀に入って気候変動が猛烈なスピードで深刻化して人々の暮らし を直撃し、貧富の格差が広がり、紛争の数が増え、難民・避難民の数が 第2次世界大戦以降、最高の水準になっています。このままではこの美 しい地球を子・孫・ひ孫の代につないでいけない、という強い危機感のも と生まれたSDGsは、すべての国連加盟国が約束した、経済・社会・環 境の側面を包括的に推し進めながら、2030年までにあらゆる形態の貧 困に終止符を打つという非常に野心的な「世界レベルの社会契約」です。 目指すべき到達点から逆算して、あらゆるレベルのアクターが行動を起 こさなければ、とても達成できるものではありません。私がいろいろな 機会をとらえて「SDGsを自分ごとに」と強調しているのは、このよう な背景があるからです。

SDGsの実践には、「ザ・正解」というものはありません。しかし、 SDGsに向きあうと、課題同士、担い手同士のつながりへの意識が深まり、ものごとを有機的につなげながら統合的に思考する力や、想いとリ ソースをもった人を業界の垣根を越えて結びつけてより良い方向を目指すプロデュース力が鍛えられます。

さらに先進国から途上国まで、すべての国が普遍的に取り組むSDGs は、いわば世界共通の物差しです。ゴール達成に向けたすべての活動が、 この物差しに沿って評価され、優良事例や教訓を世界に向かって発信し、 共有しあえる仕組みになっています。また、SDGsには民間部門や地方 自治体が世界レベルの議論に直接つながることのできる「入り口」の役 割もあり、やる気のある団体を巻き込んでいく推進力があります。もちろん子どもだって参加できます。教科書に載っているから、試験に出る から学ぶのではなく、自分自身がアクターになって未来をつくるために 学ぶことで、学びの面白さがグンと増すのではないでしょうか。

難民・避難民の権利の保護に長く携わってきた私にとって、人権に根 差した「誰も置き去りにしない」というSDGsの考え方は難民をはじめとする取り残されがちな人々を包摂しようというもので、ぜひ強調したいポイントです。
未来の子どもたちが歴史を振り返ったときに、SDGsをポジティブな 遺産として感じてもらえるよう、将来世代の芽を摘むことなく多様な 人々が自分らしく暮らしていける社会を、ぜひご一緒に実現していこう ではありませんか!」

国連広報センター 所長
根本かおる

SDGs解説1

2030年の経済・社会・環境を考えよう

蟹江憲史●慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科 教授
みなさんが大人になったとき、自分の住んでいるまちや日本の社会 そして世界の様子がどうなっているか、想像したことはありますか?
おそらく、考えている以上に、これからの世の中は今とは違った世の 中になっていることでしょう。車はガソリン車よりも電気自動車が多く なり、自動運転も進化していることでしょう。もしかしたら、車は家ごとにもつのではなく、共同で「シェア」してもつ人がますます増えているかもしれません。太陽光発電や風力発電も、今よりもずっと普及し、 自然の力でエネルギーをつくることが当たり前になっているように思い ます。会社に行かなくとも、仕事は自宅からコンピュータ経由で行える ようになり、その結果電車の混雑も緩和されることでしょう。そもそも、 インターネット社会の進化や人工知能の発達で、仕事の種類も変わっていることでしょう。

そんな世の中で、みなさんが何をして、どんな社会を目指せば良いか、 その「道しるべ」となるのがSDGsです。
SDGsとは、2030年の世界の姿をあらわした目標の集まりです。なんとすごいことに、国連のすべての加盟国がこの目標に合意しています。 そして、あらゆる分野の目標がカバーされています。

あらゆる、といっ ても、大きく言えば3つの種類に分けることができます。
ひとつ目は、経済に関すること。どうやって経済を成長させるか、ど のように産業や技術を革新していけば良いか、仕事の仕方はどうすれば 良いか、といったことがここには含まれます。

2つ目は、社会に関すること。貧しい人や飢餓に苦しんでいる人をなくし、健康な人を増やしていく。教育がいき渡り、生活しやすいまちや都市をつくる。男女の差をなくして、みんなで協力して平和な社会をつくっていく。差別や格差をなくしていくという考えが基本にあります。

3つ目は、環境に関することです。環境と言うと、海や陸地の環境が 真っ先に思い浮かぶかもしれませんが、それだけではありません。気候 変動のような地球環境問題は、エネルギーの使い方や、私たちが日ごろ から口にする食べ物や水といった資源のつくり方や使い方、そして処理 の仕方に大きくかかわってきます。
こういった課題をすべて集め、17個の目標にまとめあげたのが、 SDGsなのです。17個の各目標の下には「ターゲット」といわれる、 より具体的な目標が掲げられており、その数は全部で169個に及びます。 17の目標と169のターゲット。これが、2015年9月の国連総会で採択 されたSDGsなのです。

「測る」ことが生み出す効果

国際的に決められた、と言うと、規則や規制など、法的な枠組みを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、SDGsに関しては、それは当たりません。SDGsは法的な義務をもつ取り決めではなく、自主的な取り 組みを促すための目標なのです。したがって、やり方は十人十色であり、 国や企業、老人や子どもなど、それぞれに合わせたやり方に委ねられて います。その唯一の仕組みは、「測る」ことです。2017年夏には、 SDGsの進捗を世界全体で測るための232個の指標が決まりました。 もちろんこれだけですべて測れるわけではないので、指標は今後も進化 し続けますが、まずは測るためのスタート地点が決まったことになります。 「測る」ということは、「比べる」こともできるということです。比べ られると、より良い成績を収めようという競争心も出てきます。これが、 SDGsの狙っていることです。自由な競争の中で、より良い成績を残す。

そのための競争が始まったと言えるでしょう。 ではなぜ競争をしたがるのでしょうか? それは、目指すべき方向性 に、みんなが納得しているからです。SDGsは2年間の国際交渉を経て つくられましたが、その間、国連史上で最大の意見聴取が行われました いろいろな立場の人や国の意見が、直接、あるいはインターネットを高じて届けられ、交渉にもそうした人が意見を出しました。現場の声が反 映された目標だからこそ、みんなが納得し、できるだけ早くそこに到達 したいと思うわけです。

「もうひとつ、競争をしたがる理由は、世界が向かうべき方向をSDGs が示しているからです。今、世界は「持続可能でない」ところから「持 続可能な」ところへと変化しようとしています。これを早く実現すれば、 その先にある「持続可能な」世界で、いち早く自分たちの立場を確立で きるのです。次なる世界のリーダーを目指す競いあいが始まった、と言い換えることもできます。

誰も置き去りにしない世界

SDGsの魅力のひとつは、その理念にもあります。「誰も置き去りに しない」世界をつくること、これがSDGsの目指す世界です。
SDGsの前には、「ミレニアム開発目標(MDGs)」という国際目標が ありました。これは、おもに開発途上国の経済及び社会面での開発を視 野に入れたもので、8個の目標からできていました。2015年を目標年 として2000年につくられたMDGsは、1日1.25ドル未満で生活する といわれる、いわゆる「絶対的貧困」の半減や、初等教育の普及といった目標を掲げ、一定レベルの成功を収めました。しかし、2015年の世 界のふたを開けてみると、アフリカの一部地域で「置き去りにされて」 しまったところがあったり、先進国の中でも「相対的貧困」という、格 差社会の中で貧困に陥ってしまった人々も増えたことがわかりました。
脅威となっているテロの主な原因も、元をたどれば、貧困や格差にたどり着くこともわかってきました。
こうしたことから、「誰も置き去りにしない」世界の確立こそが重要 だということになっていったのです。

未来の目線で今を見る

SDGsが2030年の世界の姿を示しているとすれば、我々がしなければならないのは、未来の姿の立場に立って、今の世界を見ることです。「今から未来の世界を見ていくと、SDGsが描く世界に近づくことは難 しそうに見えることもあります。例えば、目標12の下にある12.3と いうターゲットは、「2030年までにひとり当たりの食品廃棄物を半減 する」と言っています。食品廃棄物には、食べ残したものだけではなく、 食べ物がつくられるときに捨てられるものや、形が悪くて選別されてしまう食べ物なども含まれます。さらには、売れ残りの食べ物や賞味期限 切れの食べ物などにも及びます。しかし、これらの食料が捨てられていることにも理由があり、例えば、捨てないと食品業者の儲けがなくなる といった、今の経済の論理が働いているのです。

ではどうすればいいのか? 未来の立場に立って問題を見てみる、と いうのがSDGs的解決方法です。上の例に立ってみれば、「ひとり当たりの食品廃棄物が2015年から半減された」世界から考えることです。 そうすれば、売れないものを捨てないと成り立たない経済の仕組みが間 違っていることや、形を見て味や栄養を見ない選別の仕方が間違っていることに気づいてくるでしょう。
未来の目線で今を見る。そのための新しい方法がSDGsです。柔軟 な頭こそ、SDGsの世界を実現する原動力となるでしょう。

Think the Earth (著), 蟹江憲史(慶應義塾大学大学院 教授) (監修), ロビン西(マンガ) (イラスト)
出版社: 紀伊國屋書店 (2018/5/8)、出典:出版社HP

SDGsの基礎

SDGsの必要性がよくわかる

本書は、企業におけるSDGsの基本的な考えや取り組むべきことを1冊にまとめることを狙いとしています。また、企業がSDGsに取り組む意義の整理、社内へのSDGsの浸透の進め方、景絵の統合やビジョンへの連動などの課題に対して解決策を示しています。SDGsを理解して事業に活かしたい人におすすめです。

事業構想大学院大学 出版部 (著)
販売: Amazon Services International, Inc.、出典:出版社HP

SDGsの背景と理念

巻頭言 「持続可能な社会の実現に向けて変わる企業 の役割と可能性

2015年9月にニューヨークの国連本部において、「国連持続 可能な開発サミット」が開催され、「我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択されました。 この目標が17のゴールと169のターゲットからなる、持続可能 な開発目標(SDGs)です。

SDGsは「誰一人取り残さない」という考えのもと、世界の課 題を網羅的にとりあげています。策定のプロセスには、政府、 民間企業、研究者、市民など、多くの関係者が議論に参画した こともあり、立場の異なる者同士の間をとりもつ、「共通言 語」としての特徴を持ち合わせています。
このような特徴から、国際機関や政府主導という側面だけで はなく、企業への期待や可能性は大きいように思われます。野 心的な目標を掲げており、経済活動や、企業におけるイノベー ションの創発に期待されているためです。

企業における社会課題への取り組みは、事業活動で得た収益 を基にした寄付や奉仕活動などを中心に、社会的責任(CSR) の視点から進んできました。その後、経営戦略論の大家であるマイケル・ポーター教授が「共有価値の創造(CSV)」を提唱 し、企業活動の中に「世の中をいかに良くするか」という視点 を組み込みました。これにより、企業活動は、経済的価値を生 み出すと同時に、社会的価値も生み出すという考え方が広まり ました。

SDGsは、CSVの考え方を発展させたと捉えることができます。CSVはあくまで経営課題が中心ですが、SDGsは社会課題が 中心にあり、持続可能な社会の実現という、大きな社会価値を 生み出すことが求められています。

「三方よし」日本発の展開に期待

日本における経営哲学の代表例として、近江商人の「三方よ し」は広く知られています。「買い手が満足し、売り手が満足 するというのは、商売として当然のこと。世間(社会)に満 足、つまり、貢献できてこそよい商売」という、自らの利益の みを追求することをよしとせず、社会の幸せを願う「三方よ し」の精神は、多くの企業にとって経営理念の根幹になっています。

SDGsは、「三方よし」の理念を時間的にも、空間的にも広げたものといえます。たとえば、売り手と買い手だけではなくサ プライチェーン全体が満足することや、地球環境全体、さらに は、未来の社会を担う将来世代の満足までを視野に入れるということです。そのため、多くの企業にとって、日本における伝統的な経営観を捉えなおすことで、SDGsを大きく推進していけると感じます。

すでに、日本におけるSDGsは、日本経済団体連合会(経団 連)がSDGsを柱にする旨を行動憲章に明記するなど、大手企業 を中心に、認知と活動が進みつつあります。前述のように新た な事業開発や企業価値の向上、ステークホルダーとの関係強化 といったことにも期待されています。

●新事業の開発
気候変動、健康、教育、食料など、地球規模で広範な社会課題に対し、自社の経営資源を活用した解決策を考えることで、新たな事業の構想に役立ちます。
●企業価値の向上
ESG投資にみられるように、金融や投資の側面でも、企業が 環境や社会の課題にどう対応しているかが重視されるようになっています。SDGsに取り組むことで、企業価値の向上に結びつきます。
●ステークホルダーとの関係強化
SDGsと経営上の優先課題を統合させる企業は、顧客・従業員・その他ステークホルダーとの協働を強化できます。

『人間会議』『環境会議』の20年を通して思うこと

私どもは、『人間会議』『環境会議」という雑誌を、1999年 に創刊しました。それぞれ、「哲学を生活に生かし、人間力を 磨く」「環境知性を暮らしと仕事に生かす」をコンセプトに、 時代の空気を先取りし、本質を考えるためのコミュニケーション・プラットフォームを提案しました。ちょうど、地球温暖化 を防止するための京都議定書が採択され、社会全体がこれから 「環境の時代に」という風潮でした。

環境問題に対する関心が大きな動きになるためには、その前 提として我々がどのような社会にしていきたいのか 、どのよう な未来を創っていきたいのかという理念や哲学が必要不可欠だ と考えています。理念があって初めて、どうすべきか、その方 向性や行動、方策、施策が出てくるためです。

個々の企業ではなく、社会全体として、持続可能な社会の実 現を目指すSDGsは、望ましい未来を創ろうという考えそのもの であり、これが社会や企業で共有されることで、大きな動きに なることでしょう。

しかしながら、SDGsが採択されてからこれまでの間、企業の 関心は主に、基本的な理解と、自社の事業とSDGsはどのように かかわるのか、といったことに集中し、SDGsが持つ未来像を見 据えた、新たな価値創造にまでは十分に至っていないように思われます。

SDGsの達成に貢献する新たな事業の開発 SDGS総研の創設

今世の中に最も必要とされていることは、時代の変化を先読 みし、知財を活かし、未来をつくり出すことと感じています。 そこで、私どもでは、2012年4月に、学校法人先端教育機構・ 事業構想大学院大学という新分野の大学院大学を開学しまし た。院生たちは、理想とする事業構想を考え、実現するための 構想(理想)計画を研究しています。現在は大阪・福岡にも開設し、私自身は、これから47都道府県に事業構想を広げていく 構想を温めています。さらに、2017年には、戦略的な広報と情 報発信を実践研究する社会情報大学院大学を開学しました。高い志、使命感、専門性の追求によって社会の一翼を担う人材の 教育と研究に力を注いでいます。

このたび、先端教育機構の研究所としてSDGs総研を創設しました。SDGsには、持続可能な社会という未来を見据えた構想が 必要であると考えたためです。2030年持続可能な社会の実現に 向けて、企業の発展と、社会課題の解決の同時達成に向けた実 践研究ならびに、SDGsを力強く推進する人材教育を推進してまいります。
本書では、企業におけるSDGsの基本的な考えや取り組むべき ことを1冊にまとめることを狙いとし、下記のような課題に対し解決策を示すことを目指しました。

●企業がSDGsに取り組む意義を整理したい。
●環境やCSRに関するセクション以外への理解度を高めたい。
●社内へのSDGsの浸透を進めたい。
●経営への統合、経営計画やビジョンへの連動を進めた

本書が皆様にとって、SDGsを理解し、事業に活かす一助になれば幸いです。

学校法人 先端教育機構
理事長 東 英弥

事業構想大学院大学 出版部 (著)
販売: Amazon Services International, Inc.、出典:出版社HP

目次

巻頭言 持続可能な社会の実現に向けて変わる企業の役割と可能性 (東英弥)
第1章 持続可能な開発目標と日本政府・環境省の取組(環境省)
はじめに
1. SDGsの成り立ち
2. SDGsの特徴と環境との関わり
3. 政府の取組
4. 環境省の取組

第2章 企業におけるSDGsの役割(吉田哲郎・小野田真二)
はじめに―SDGsの「本業化」の必要性
1. グローバル企業によるSDGs実施の動向
2. 日本企業によるSDGsの取組みの動向
3. SDGsを企業内部に根付かせていくための視点
4. 企業活動を通じてSDGsに貢献していくための視点
おわりに――「組織」と「企業活動」の両面で戦略的に取組み実施を

第3章 企業におけるSDGs戦略(笹谷秀光)
はじめに――事例でSDGsを理解する
1. 企業経営に、なぜSDGsが必要か
2. SDGs導入の準備——CSR、CSV、ESGを整理する
3. SDGsの導入と実践 SDGコンパスの活用
4. 優良事例に学ぶSDGs実践の方向性
第4章 マルチステークホルダー・パートナーシップで進めるSDGs(佐藤真久)
はじめに
1. 今日の時代認識——世界に見られる大きな変化
2. MDGsとSDGs―異なる社会背景と異なる前提
3. リレートーク*SDGsとパートナーシップ”における論点
4. マルチステークホルダー・パートナーシップで進めるSDGS
5. “ソーシャル・プロジェクト”成功の鍵とは
おわりに

第5章 持続可能な公共調達から考える(黒田かをり)
1. SDGsと「持続可能な消費と生産」
2. SCPに関する10年枠組み(10YFP)とSDG12
3. 政府・自治体の取り組み―持続可能な公共調達(SPP)
4. 日本の取り組み
おわりに

第6章2030年のSDGs達成とBeyond SDGsへ向けて(沖大幹)
1. 2030年にSDGsは達成されるのか
2. Beyond SDGs – 「SDGsのその先」を見据える
3. なぜ企業はSDGsに取り組むのか
おわりに

[付録] SDGsの17の目標と169ターゲットの個別解説
執筆者一覧

第1章 持続可能な開発目標と日本政府・環境省の取組
環境省

事業構想大学院大学 出版部 (著)
販売: Amazon Services International, Inc.、出典:出版社HP

60分でわかる! SDGs 超入門

ビジネスにおけるSDGs入門書

SDGsとは最近注目され始めた国連が策定した持続可能な社会の実現のための開発目標のことです。本書は、SDGsに取り組むときに企業はどのようなことをすれば良いのか、ビジネスとSDGsを両立させている具体例などを紹介しています。読み進めていくと、SDGsを取り入れた事業プロセスが見えてくるでしょう。

バウンド (著), 佐藤 寛 (監修), 功能 聡子 (監修)
出版社: 技術評論社 (2019/11/16)、出典:出版社HP

Contents

・SDGsXバリューチェーン・マップ

Part 1 世界全体で達成を目指す17の目標
なぜSDGsは 注目されるのか?
001 SDGs(持続可能な開発目標)とは
002 目標とともに設定された169の「ターゲット」とは?
003 そもそも「持続可能な開発」とはどういうこと?
004 SDGsの元になったMDGs(ミレニアム開発目標)とは?
005 SDGsとMDGsの違いとは? 006 なぜSDGsに取り組まなければいけないのか
007 SDGsが達成できなかったら世界がどうなるかイメージしよう
008 SDGsはさまざまな問題を同時に解決することを目指す
009 5つの「P」で考えるとSDGsはよりわかりやすくなる
010「環境保護」の重要性を示したSDGsウェディングケーキモデル
011 世界全体でSDGsの取り組みはどれくらい進歩しているのか
012 世界の国々のSDGsの達成状況を知る
013 SDGs達成度は「世界15位」日本国内の達成状況を知る
014 誰でもSDGsの達成に貢献できる
Column SDGs先進国デンマークの「ヒュッゲ」とは?

Part 2 取り組めばメリット、取り組まなければリスクになる!
企業がSDGsに 取り組むべき理由
015 社会の変化で変わってきた企業に求められること
016 「SDGs」と「CSR」「CSV」はいったい何が違うのか?
017年間12兆ドルの経済価値を生むとされるSDGsの経済効果
018 SDGsとビジネスチャンスが連動する60の領域
019 大企業だけではない! 中小企業こそ取り組むべき理由
020 企業がSDGsの活用を進める4つのメリット
021 日本企業は、欧州企業に比べて「ビジネス機会」という意識が低い
022 できること、できそうなことからSDGsに取り組む
023 SDGsへの取り組みを消費者や投資家に伝える重要性
024 嘘をつかずに、誠実にSDGsに取り組むことが大事
025 SDGsにペナルティがなくても企業が取り組むべき理由
Column SDGs先進国スウェーデンの「高い環境意識」

Part3 企業が連携すれば、一社ではできないことができる!
「サプライチェーン」から やるべきことが見えてくる
026 利益至上主義は地球を危機的状況に追い込んだ
027 企業のサプライチェーンに対する認識を変えるきっかけになった事故
028「エシカル消費」の高まりは世界的な潮流
029 エシカル消費市場の後進国「ニッポン」の現状
030 「サプライチェーン」と「バリューチェーン」とは?
031 サプライチェーンにはさまざまな問題が隠れている
032 持続可能なサプライチェーン構築は「リスクマネジメント」につながる
033 サプライチェーンをめぐる持続可能な調達に関する動き
034 SDGsに消極的ならサプライチェーンから淘汰される
035 バリューチェーン・マッピングから自社のインパクトを知る
036 一企業だけではSDGsへのインパクトは大きくできない
037 より幅広いパートナーと連携するには?
Column デンマークのエコ・ビレッジ「UN17ビレッジ」

Part 4 正しくお金を使えば、世の中をよりよい方向へ導ける!
SDGs達成のカギを握る ESG投資とは?
038 責任投資原則(PRI)を理解する
039 世界の投資家から注目を集める「ESG投資」とは?
040 ESG投資とSRI(社会的責任投資)の違い
041 世界の投資残高は30兆ドル超! 急拡大するESG投資の現在
042 世界最大の年金基金GPIFも始めたESG投資
043 ESG投資には7つの投資手法がある
044 ESG投資の事例を知る1 第一生命保険のケース
045 ESG投資の事例を知る2 ARUNのケース
046 ESG投資の拡大がさまざまな分野で好循環をもたらす
Column フランスが導入した「国際連帯税」とは?

Part 5 SDGsを経営にうまく取り込むための方法論
企業は経営とSDGsを どうリンクさせるのか?
047 SDGsは「バックキャスティング」で考える.
048 「インサイド・アウト」ではなく「アウトサイド・イン」で考える
049 SDGsを経営戦略と整合させる「SDG Compass」
050 SDG Compassの日本企業の進捗状況は?
051 SDG Compassの【ステップ 11 SDGsを理解する
052 SDG Compassの【ステップ2】 優先課題を決定する
053 SDG Compassの【ステップ31 目標を設定する
054 SDG Compassの【ステップ4】 経営へ統合する
055 SDG Compassの【ステップ5】 報告とコミュニケーションを行う
056 トップの積極的な関与がイノベーションを促すカギになる
Column ガーナ産カカオを使ったチョコと「児童労働」

Part 6 自分の会社が、どうSDGsに取り組むべきかが見えてくる!
ビジネスとSDGsを両立させる 企業の取り組みから学ぶ
057 事例1日本フードエコロジーセンター/循環型社会の仕組みを構築
058 事例2UCC上島珈琲×JICA/森林保護と地域住民の収入増を実現
059 事例3会宝産業/知名度アップで採用活動にメリット
060 事例の大川印刷/SDGsで従業員の士気高揚を実現
061 事例5滋賀銀行/融資で地域創生と環境保護に貢献
062 事例 OIKEUCHI ORGANIC/SDGsで商品を高付加価値化
063 事例1虎屋本舗×地域/事業メリットと地域活性化を同時実現
064 事例2 イオン/取引行動規範でサプライチェーン強化
Column タイの前国王が提唱した「足るを知る経済」

・付録 SDGsの17の目標/ターゲットと課題、目標達成すべき理由
・索引

■『ご注意』ご購入・ご利用の前に必ずお読みください
本書に記載された内容は、情報の提供のみを目的としています。したがって、本書を参考にした運用は、必ずご自身の責任と判断において行ってください。本書の情報に基づいた運用の結果、想定した通りの成果が得られなかったり、 損害が発生しても弊社および著者、監修者はいかなる責任 も負いません。
本書は、著作権法上の保護を受けています。本書の一部 あるいは全部について、いかなる方法においても無断で複 写、複製することは禁じられています。
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バウンド (著), 佐藤 寛 (監修), 功能 聡子 (監修)
出版社: 技術評論社 (2019/11/16)、出典:出版社HP

SDGsの実践 ~自治体・地域活性化編~

地域でSDGsに取り組むための実践書

本書は、現在直面している課題や目指すべき目標が異なる地域での持続可能性の実現を目的として、自治体や地域におけるSDGs実践の導入方法、政策、事例についてまとめています。SDGsの理念を地域課題の解決に活かしたい人におすすめの一冊です。

事業構想大学院大学 出版部 (著, 編集), 村上周三 (著), 遠藤健太郎 (著), 藤野純一 (著), 佐藤真久 (著), 馬奈木俊介 (著)
出版社: 宣伝会議 (2019/4/25)、出典:出版社HP

巻頭言 | 持続可能な地域社会の実現に向けて

SDGsを踏まえた地方創生と未来の姿

国連サミットにおいて、「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、17のゴールと169のターゲットからなるSDGs(持続可能な開発目標)が策定されて3年あまりが経過しました。SDGsは、国家戦略として位置づけられるなど、政府の積極的な取り組みが強化され、日本経済団体連合会(経団連)による行動憲章改定やESG投資の流れを受けて、大手企業を中心に急速な浸透がみられます。同時に、地域および中堅規模の組織やスタートアップ企業も、自らが成長を果たすための考え方・方針としてこれを重視し、情報を収集しながら検討を重ねています。

SDGsを達成するには、理想とする全体像を構想し、必要とされる要件やツール、サービスを生み出すイノベーションが必要不可欠 であると思われます。自らの経営資源を見極め、それを活かして目標に向かうことが大切であり、そのうえで、企業や自治体が単独で取り組むことにとどまらず、社会全体が目指す共通の理想に向けて、それぞれの資源や強みを活かし、連携を意識した行動をとることで、理想の未来は近づきます。理想を共有するためには情報が不可欠です。その重要性を認識し、私ども学校法人先端教育機構事業構想大学院大学出版部では、雑誌および書籍を通して最先端の研究の成果を、社会の知として広げ深めていきたいと考えています。

SDGsの理念を地域課題の解決に活かす

少子高齢化をはじめ、生産年齢人口が急減している地域社会においては、地域の経済基盤となる地域企業の維持や、医療・介護サービスの担い手確保、交通システムの維持や老朽化するインフラへの対応など、課題が山積しています。課題先進国といわれる日本ですが、SDGsを取り入れ、未来を構想し、行動することで、持続可能な地域社会を構築する可能性が現実のものとなります。

すでに多くの自治体が積極的に活動し、「SDGs未来都市」や 「ジャパンSDGsアワード」のように課題解決に向けて、好循環を生み出している地域もみられます。先進的な取り組みを実践している地域はベストプラクティスの成果とその背景にある知見を他者に伝え、さらなる成長を志向することが求められます。有効な情報を 循環させ、裾野が広がることで、あらゆる地域での取り組みが加速することが期待されます。

社会の一翼を担い、地域を創る人材

SDGsについて考え、その活かし方を考え、実行する担い手は、理念を理解する人材です。学校法人先端教育機構は、文部科学大臣 の認可を得て2012年に事業構想大学院大学を、2017年に社会情報大学院大学を開学し、高い志、使命感、専門性の追究によって社会の一翼を担う人材の教育と研究に力を注いでいます。地域の活性化 には「産官学金言労士」の力と協業が欠かせませんが、あらゆる人 が自らの役割に気づき、価値を高めるために、教育と研究は地域に根ざす視点がより大切な時代を迎えているように思います。事業構 想大学院大学は、現在、東京、名古屋、大阪、福岡に展開をしていますが、各自治体、大学をはじめとする高等教育機関、地元産業界 の皆様方と連携し、SDGsの動きを加速することができればと願っています。

2017年に創設したSDGs総研では、持続可能な社会の実現に向けた教育と研究を目的として、さまざまな業種業界の経営者や新事業開発担当の方々とともに、SDGsの理解を深めながら、新たな事業 の開発を目指しています。

2025年に開催される大阪万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン」、すなわち「SDGs万博」との方針が打ち出されています。未来社会のショーケースのみならず、あらゆる地域、企業、組織、 人々が、理想の社会を考えるきっかけになるような企画とアイデア が集まり、展開されるためにも、自らの経営資源を活かした特色ある活動と同時に、迅速な情報共有が問われてきます。

構想と構想計画でイノベーションの実現へ

本書は、直面している課題や目指すべき将来像が異なるそれぞれ の地域での持続可能性の実現を目的として、自治体・地域における SDGs実践の導入手法・政策・事例についてまとめています。

新たな時代に向かう日本社会は、有望な要素を多く包含し、かつ 未来への布石が打てる素晴らしい時を迎えています。この時期に、多くの読者の皆様がそれぞれの持ち場でSDGsについて考え、実践 することにより、持続可能な社会の実現が達成され、よりよい未来 を拓くことにつながると確信しています。

学校法人 先端教育機構
理事長 東英

事業構想大学院大学 出版部 (著, 編集), 村上周三 (著), 遠藤健太郎 (著), 藤野純一 (著), 佐藤真久 (著), 馬奈木俊介 (著)
出版社: 宣伝会議 (2019/4/25)、出典:出版社HP

目次

巻頭言 持続可能な地域社会の実現に向けて (東 英弥)

序章 地域におけるSDGs
―なぜ地域・自治体がグローバル目標 に取り組むのか(村上周三)
はじめに
1. 地域・自治体が直面する課題
2. SDGsの枠組みと日本社会の取り組み
3. 自治体/企業等がSDGsを導入することの必要性とメリット

第1章 地方創生と自治体SDGs
―グローバル目標の実践(村上周三)
1.自治体の行政ツールとしてのSDGS
2.自治体へのSDGS導入の方法
3. パートナーシップと官民連携
まとめ

第2章 地方創生に向けたSDGsの推進(遠藤健太郎)
1. SDGsの特徴と政府の取組
2. 地方創生に向けたSDGsの推進
3. 地域におけるSDGsの取組のモデル事例の創出と普及促進
4. 地域の社会的課題の解決に向けたSDGsを活用した官民連携の促進
5. 「SDGsモデル」の海外発信と都市間連携

第3章 地方自治体におけるSDGsの実践事例
(藤野純一) 【執筆代表者] 1. 世界の中での地方自治体におけるSDGsの展開
2. 実践事例1 福岡県北九州市
3. 実践事例2 富山県富山市
4. 実践事例3 北海道下川町

第4章 パートナーシップで進める
“地域のSDGs”(佐藤真久)
はじめに
1.複雑化する日本の地域課題と求められる
“地域の課題対応力”
2. “複雑な問題”をシステムとして解決する
3. “地域のSDGs”協働取組事例
4.参加・協働の仕組みとプロセスを活かして、多様な主体を包摂し協働をする
5. “持続可能で包容的な地域づくり”における“協働の段階”
6. “持続可能で包容的な地域づくり”に向けて

第5章 SDGs推進における評価指標と政策立案
(馬奈木俊介)[執筆代表者] 1. SDGs推進に向けた政策立案の動向
2. SDGs推進に向けた評価軸の重要度:日本国内のアンケート調査
3. これまで評価されにくかった「環境」「社会」「教育」
4. 新国富指標という考え方と活用

[付録1] 自治体 SDGSチェックリスト
[付録2]自治体SDGs 一進捗管理のための指標リスト
執筆者一覧

序章 地域におけるSDGs
なぜ地域・自治体が グローバル目標に取り組むのか
村上 周三

事業構想大学院大学 出版部 (著, 編集), 村上周三 (著), 遠藤健太郎 (著), 藤野純一 (著), 佐藤真久 (著), 馬奈木俊介 (著)
出版社: 宣伝会議 (2019/4/25)、出典:出版社HP

はじめに

SDGsはグローバルスケールの社会変革に向けた高邁な理想を掲げたもので、持続可能な社会構築のための目標として多くのゴール、ターゲットが掲げられている。しかしこれらは既存の自治体に 政にとって馴染みやすいものではない。SDGs自体は目標を並べたもので、そこに地方創生のシナリオが示されているわけではない。自治体関係者から、SDGsの重要性は理解できてもその導入の具体的方法がわからない、という声を聞くことが多いのはこのためである。

しかしながら持続可能社会構築のための新たな行動規範としての SDGsの理念・枠組みを自治体行政に導入することができれば、活性化に向けた自治体行政のパラダイムシフトをもたらすことになる。大きな波及効果を考慮すれば、チャレンジに値する取り組みで ある。このような状況を踏まえて、本章ではSDGsの多くのゴール、ターゲットに基づいて自治体活性化のシナリオを描くための方法について解説し、SDGS導入の意義を明らかにする。自治体における SDGs導入、実践の取り組み全般をここでは自治体 SDGsと呼ぶ。自治体SDGsのシナリオを具体的に描くのは自治体の役目である。

1. 地域・自治体が直面する課題
1-1 全国自治体の多様性
全国約1,730の基礎自治体の経済性能、社会性能、環境性能を評 価した結果を図0-1に示す。


図0-1:全国自治体の経済・社会・環境性能の評価事例(2010年):
評価ツール「CASBEE-都市」による

これは、CASBEE-都市という自治体の評価ツールを用いて分析 したものである。この都市性能評価ツールは、内閣府の環境未来都 市のプログラムで利用されてきた。
日本地図における細かい濃淡は自治体の性能の良し悪しに対応する。濃い部分が高い評価を得た自治体、白い部分が低い評価を得た 自治体を示す。この図から、濃淡が複雑で全国の自治体は経済、社 会、環境性能においてきわめて多様であることがわかる。例えば、 90-1の経済性能と環境性能は、濃淡の全国分布において全く逆の 傾向を示している。

本図に示されるように全国自治体がきわめて多様な経済、社会、 環境性能を示すならば、自治体が対応すべき課題、目指すべき将来 像なども当然自治体毎に異なる。この日本地図から得られる示唆 は、本稿の主題であるSDGsの実践において、各自治体が自身の立地条件の特徴を踏まえた独自性の高い導入計画の策定が必須である ということである。CASBEEツールの詳細については参考文献iを参照されたい。

1-2 自治体が直面する課題
都道府県別の人口の増減の予測を図0-2に示す。2015年を基準に して2045年を予測した結果である。東京都と沖縄県を除いてすべて顕著な減少傾向を示し、特に地方の小規模な県において著しい。 このような人口減少は、今後の自治体運営に深刻な影響を与える。 それらの課題をまとめて図0-3に示す。ここに示されるように、多


図0-2:2045年に向けた人口増減の予測(都道府県単位)

図0-3:人口減少から発生が懸念されるまちづくりの課題(事例)

図0-4:「まち・ひと・しごと創生法」とSDGs

くの自治体は今後、地域インフラの維持や住民サービスの提供が困難な状況に直面する危険にさらされている。
このような状況の下で、政府は地方創生を最も重要な政策課題のひとつと位置づけ、「まち・ひと・しごと創生法」をはじめ多様な地方活性化政策を展開している。この政策の趣旨とSDGsの取り組みとの関連をモデル化して図0-4に示す。
多くの自治体は今後直面する難局を予想しており、そのために従 来とは異なる切り口を求めている。先導的な自治体では、そのため の新たなツールとしてSDGsの利用に関心が高まっている。

2. SDGsの枠組みと日本社会の取り組み
2-1 国連主導の2030アジェンダと中核文書としてのSDGs
2030アジェンダーすべての国、地域の賛成の下に国連総会で 採択された2030アジェンダ(2015年9月)のタイトルは「我々の世界を変革する」というものである。社会変革に向けて高邁な理想 を掲げたグローバルスケールの行動規範といえる。その内容を特徴づけるものとして、「新たな人権宣言」、「新たな社会契約」等の理 念が国連の主要文書等に示されている。その優れた理念は下に示すようなキーワードで表現される。
1. 包摂性(誰一人取り残されない)
2. 普遍性(途上国も先進国も)
3. 多様性(国、自治体、企業、コミュニティまで)
4. 統合性(経済・社会・環境の統合性)
5. 行動性(進捗管理の徹底)


図0-5:2030 アジェンダ(SDGs)の枠組み

一方、以下の点が問題点として指摘されている。
1. 多すぎる目標
2. 理解が容易でない、導入方法がわからない
3.法的拘束力がない
4. 指標のためのデータの未整備
これらの問題点の多くは主としてその実行段階における障害として出てくるもので第1章1節において詳しく述べる。しかし問題点は長所の裏返しという側面もあり、2030アジェンダの理念としての価値の高さを損なうものではない。
SDGS SDGsは2030アジェンダの中核文書をなすもので、その枠組みを図0-5に示す。 17のゴール(意欲目標)の下には169のターゲット(行動目標)


図0-6: SDGs ウェディングケーキ:3レイヤーによる整理

と232のインディケーター(評価指標)が設定されている。貧困、飢餓、経済成長から平和までをその活動目標とする広範なものであ る。最後のゴール17がパートナーシップであり、自治体、企業、 NGO/CSOなど幅広いステークホルダーの参加の重要性を強調している。 SDGs ウェディングケーキ SDGsの17のゴール群は、それ自 体ではシナリオを持たない。これがSDGsの理解を難しくしている ことのひとつの原因である。2030アジェンダでは地球環境時代の 行動規範を目指して、経済・社会・環境のトリプルボトムラインが 理念構成の柱とされている。17のゴール群を、トリプルボトムラ インの観点からシナリオ構成し、並べ替えたものが図0-6に示す SDGsウェディングケーキ”である。ゴール群を編集してわかりやすく示した先導的事例である。


図0-7: ゴール、ターゲット、インディケーターの3層構造

このような並べ替えにより、17のゴール群の位置づけは理解し やすくなる。ただしこれはあくまでもひとつの見方であり、17の ゴール群の解釈は多様であるべきでこれに限定されるものではない。 3層構造と実行性SDGsの特筆すべき長所のひとつは、ゴール、ターゲット等の目標に対してインディケーターを定めて達成度 を測り、進捗管理のガバナンスを徹底させている点である。これを 3層構造にして図0-7に示す。この3層構造の提示により、取り組み実行の手段としてはやや抽象的であったSDGsの枠組みがより具 体的になる。
SDGsの枠組みを3層構造として実行性に留意したものとして受け止めると、SDGsが行政支援ツールとして利用しやすいものであることがより理解しやすくなる。このような理解により、2030 アジェンダの理想主義的な理念やSDGsの多くのゴール、ターゲットを、自治体行政活性化のためのさまざまなノウハウに翻訳するため の方向が見えてくる。
ローカライズ SDGsは基本的に国レベルを単位として、グロ


図0-8: 「SDGsアクションプラン 2019」における3つの柱(概要)

ーバルスケールの課題解決のための枠組みとして企画、提案された ものである。SDGsを自治体レベルの課題解決に活用しようとする 場合、そのままでは利用しにくい状況が多々発生する。そのため、 SDGsの枠組みを地域レベルの課題解決に適用するための翻訳の作 業が必要となる。これをローカライズと呼ぶ。ローカライズに際し ては、前述した自治体の多様性に留意した独自性のあるSDGsの取り組み、すなわちSDGsの独自化が求められる。

2-2 日本政府、地方政府の取り組み
実施指針とアクションプラン 国連の動きに対応して、日本政 府もSDGsを重要政策課題と位置づけ、2016年6月に推進本部を発 足させた。推進本部は日本政府としての実施指針”を策定し(2016 年12月)、日本として特に推進すべき目標として8つの優先課題を 発表している(2016年12月)。さらに政府は「SDGsアクションプラン 2018」(2017年12月)、「同2019』(2018年12月)を策定し、

(3) ステークホルダーとの連携(実施指針8頁)
(地方自治体) SDGsを全国的に実施するためには、広く全国の地方自治体及びその地 域で活動するステークホルダーによる、積極的な取組を推進することが 不可欠である。この観点から、 各地方自治体に、各種計画や戦略、方針の策定や改定に当たってはSDGs の要素を最大限反映することを奨励しつつ、関係府省庁の施策等も通じ、 関係するステークホルダーとの連携の強化等、SDGs達成に向けた取組を促進する。
図0-9: 日本政府が掲げる実施指針:地方自治体に関係する部分(2016.12)

取り組みの具体化を急いでいる。2019年度のアクションプランの概要を図0-8に示す。このアクションプランの柱は、企業、自治体、 若者・女性の3者である。
地方自治体への働きかけとSDGs未来都市 政府の実施指針においては、SDGsに対する自治体の参加が強く要請されている。 その部分を抜粋して図0-9に示す。
政府は地方創生政策の枠組みの下で、自治体へのSDGs導入を促進する施策を推進している。その一環として、2017年度に「SDGs 未来都市」のプロジェクトを発足させている。その取り組みの概 要を図0-10に示す。このプロジェクトに沿って2018年度には 「SDGs未来都市」の優良自治体を公募し、図0-11に示すように29 自治体を選定、表彰している。 自治体におけるSDGsの取り組み 「SDGs未来都市をはじめと する地方自治体活性化に向けた政府の取り組みの効果で、自治体におけるSDGsへの関心は急速に高まってきた。自治体におけるSDGs


図0-10:「SDGs未来都市」推進の枠組み

図0-11:選定されたSDGS未来都市


図0-12:SDGsの認知度の調査(全国自治体に対するアンケート)


図0-13: SDGsの取り組み状況の調査(全国自治体に対するアンケート)

の認知度に関する調査結果を図0-12に示す。同じく取り組み状況に関する調査結果を図0-13に示す。これらの調査”は、内閣府に より 2017年度と2018年度の2年にわたって実施されたものである。 図0-12において、「存在を知らない」と答えた自治体は52%から5%に急減している。図0-13の取り組み度の調査において、「今後 推進していく予定がない」と答えた自治体は64%から49%に減少 している。自治体におけるSDGsの取り組みは始まったばかりである。これらの調査結果からは多くの自治体の意欲的な姿勢の向上が読み取れ、今後のSDGsの普及に関して明るい見通しを持つことができる。

2-3 産業界の取り組み
国連で提案されたSDGsには、企画段階から産業界が積極的に参 画してきたという経緯がある。産業界はSDGsの取り組みにおける最も主要なプレイヤーの一人である。図0-8に示した日本政府の 「アクションプラン 2019」においても、産業界が3つの柱のひとつ と位置づけられている。
日本経済団体連合会(経団連)は企業行動憲章を改定して、 SDGsに積極的に取り組む方向を明確にしている。かねて提言して きたSociety 5.0の実現を、SDGsの枠組みとの連携の下に実現するとして、「Society 5.0 for SDGs」を発表している。これを図0-14に示す。
これを受けて、産業各分野においてもSDGsの取り組みは急速に 進展している。例えば、(一般財団法人)日本建築センターは、『建築産業にとってのSDGs 一導入のためのガイドラインー』~を作成し、刊行している(2019年2月)。

2-4 金融界の取り組み
今後SDGsの取り組みを広く展開するためには、投資・金融面からの支援が不可欠である。投資・金融分野では近年、ESG投資が


図0-14:経団連によるSociety 5.0 for SDGsx

図0-15:ESG投資とSDGsの関係:GPIFの事例

主流化している。ESGは国連が主導する PRI(責任投資原則、2006 年)の具体的取り組みの一環として実施されているもので、環境、 社会、事業ガバナンスの課題に対して長期的視点からの投資を促す 運動である。SDGsとESGは表裏一体の関係にあり、SDGsの社会 的課題にかかわる多様な取り組みを投資・金融を通じて支援するの がESG投資と考えることができる。ESG投資とSDGsの関係を、 GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の取り組みを事例にして図0-15に示す。
この事例のようにSDGsを支援する動きが金融面で活発化していることは、SDGsの展開にとって大変心強いことである。自治体に 対しては、投資・金融分野の賛同が得られるよう、経済合理性に優れたビジネススキームに基づく事業計画の立案が求められる。その 意味で、自治体に対するSDGsの導入においては、産業界との連携の一層の強化が求められる。

3. 自治体/企業等がSDGsを導入することの必要性とメリット
3-1 SDGs導入の背景
自治体/企業等がSDGsを導入する背景、意義として、以下の点を指摘することができる。これらの指摘はSDGsに取り組むことの 必要性、メリットにそのまま通じるものである。 1) 自治体/企業が直面する経済・社会・環境面での多くの課題
冒頭で指摘したとおり、人口減少、高齢化をはじめとして、自治体は取り組むべき多くの課題を抱えている。地域企業もこれらの課 題を共有する立場にある。これを克服するために新たな切り口が求められており、そのための手段としてSDGsの利用が提案される。 SDGsは課題解決だけでなく、課題発掘の手段としても活用することができる。
2) SDGsの主流化
自治体や企業をはじめ、内外のさまざまな組織、団体において SDGsの導入、推進が主流化される傾向にあり、SDGsは世界の共 通言語となりつつある。その結果自治体行政や企業経営に関して、 SDGsにかかわる情報が世界の舞台で蓄積されている。SDGsに参加してこのような情報にアクセスすることは自身の自治体運営や企 業運営に対して貴重な指針を与えることになる。逆にSDGsに参加しないことは、情報の遮断という意味のリスクを抱えることになる。
3) CSR(企業の社会的責任)、CSV(社会的共有価値)等の新
たな社会軌範の主流化 近年企業の行動パターンに対して、価値の共有等を通して社会貢 献を求める声が強くなり、企業も社会的責任としてこれに積極的に 対応する姿勢を見せている。SDGsの理念はこのような動きと軌を一にする取り組みである。このような社会的責任は自治体行政においても十分に認識して追求されるべきものであり、これにより自治 体と企業の一層の連携を期待することができる。
4) 投資・金融面でのパラダイムシフト
前述のように、国連が主導する PRI(責任投資原則)の枠組みに基づいたESG投資の運動が盛んである。ESG投資の活動における社会・環境面に対する非財務的価値重視の傾向は、SDGSの理念と よく対応するもので、投資・金融面でもSDGsの考え方の主流化が 進展している。
5) 多様なステークホルダーの社会参画自治体行政においては、市民をはじめとして、産官学金言労といった多様なステークホルダーの参画が必須である。SDGsでは パートナーシップを基盤的理念のひとつとして掲げており、多くの 主体の参加を促す構造を有している。SDGsの導入は、企業をはじめとする多様なステークホルダーの自治体活動への参加をより具体 化し、地方行政の一層の活性化に資するものである。

3-2 SDGs導入のメリット
SDGsの取り組みは世界のビジネス界に巨大な経済効果をもたらすと予想されており、企業活動の活性化が期待されている。 WBCSD(世界経済人会議)による、SDGsに関連するビジネス


図0-16 SDGsに関連するビジネスチャンスと市場規模(WBCSD による)

チャンスと市場規模増加の予測を図0-16に示す。ビジネス分野における企業の活性化は当然、自治体の活性化につながる。自治体 SDGsの企画、運営においてはこの点に留意し、企業との連携を通じた活性化を積極的に図るべきである。第1章3節で述べる官民連 携のプラットフォームはこの点をねらったものである。
上記のビジネスチャンスの予測事例が示すように、SDGsの導入は多様な分野に大きなメリットをもたらすと予想される。自治体に とってのメリットを図0-17に、企業にとってのメリットを図0-18 に示す。

1. 地域活性化
⇒SDGsにおける経済、社会、環境面の統合的取り組みの効果
2. 世界の共通言語への参画
⇒ 自治体行政にかかわるSDGsの取り組みにおいて、国際的に広く蓄積される優れたノウハウへのアクセス
3. ローカルアイデンティティの確立
⇒独自性のあるSDGsの取り組みの結果として
4. 国際的パートナーシップの推進
⇒SDGsに取り組む内外のステークホルダーとの連携

図0-17 自治体がSDGsに取り組むことのメリット

1. 将来のビジネスチャンスの見極め
⇒地球規模の課題に対する新たな市場開拓の機会
2. 持続可能な開発への貢献による企業価値の向上
⇒ブランド力の強化、ガバナンスの向上、リスク回避
3. ステークホルダーとの関係の強化
⇒多様な経営戦略の展開
4. 社会と市場の安定化
⇒SDGs達成のための投資が全体として市場の安定/活性化をもたらす
5. 世界の共通言語への参加
⇒世界のSDGsの取り組みが生み出す巨大な知的資産へのアクセス
⇒SDGsに参加しないリスクの回避
図0-18 企業がSDGsに取り組むことのメリット

(参考文献)
i 一般財団法人建築環境・省エネルギー機構:CASBEE-都市
(http://www.ibec.or.jp/CASBEE/cas_city/casbee_city2013.htm)
ii 国連: 2030アジェンダ
(http://www.un.org/ga/search/view_doc.asp?symbol=A/70/L.1)
iii SDGsウェディングケーキ
(http://www.stockholmresilience.org/research/research-news/2016-06-14-how-food
connects-all-the-sdgs.html)
iv 首相官邸:持続可能な開発目標(SDGs)実施指針
(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/dai2/siryoul.pdf)
v SDGs 推進本部 : SDGsアクションプラン2018
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/dai4/siryoul.pdf)
vii SDGs 推進本部 : SDGsアクションプラン2019
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/sdgs/pdf/actionplan 2019.pdf)
vii SDGs未来都市
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kankyo/teian/pdf/result01.pdf)
viii SDGs認知度アンケート調査
(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kankyo/kaigi/dail0/sdgs_hyoka10_
shiryo2-4.pdf)
ix一般社団法人日本経済団体連合会: 企業行動憲章
(http://www.keidanren.or.jp/policy/cgcb/charter2017.html)
x一般社団法人日本経済団体連合会:Society5.0
(http://www.keidanren.or.jp/policy/cgcb/charter2017.html)
xi 日本建築センター: 建築産業にとってのSDGs一般導入のためのガイドライン
(https://www.bcj.or.jp/publication/detail/111/)
xii GPIF: ESG投資とSDGsのつながり
(https://www.gpif.go.jp/investment/esg/)
xiii WBCSD:ビジネスチャンス
(https://docs.wbcsd.org/2017/03/CEO_Guide_to_the_SDGs/Japanese.pdf)

事業構想大学院大学 出版部 (著, 編集), 村上周三 (著), 遠藤健太郎 (著), 藤野純一 (著), 佐藤真久 (著), 馬奈木俊介 (著)
出版社: 宣伝会議 (2019/4/25)、出典:出版社HP

SDGs入門 (日経文庫)

導入からわかりやすいSDGs入門書

2015年の国連サミットで決められた大きな市場と雇用を生み出す可能性があると言われるSDGsの入門書です。本書の著者2人は、多くのセミナーや講演を担当しているSDGsのスペシャリストです。そのセミナーや講演でよく質問を受ける箇所に重点を置いて書かれています。SDGsの概要について理解したい人におすすめです。]

村上 芽 (著), 渡辺珠子 (著)
出版社: 日本経済新聞出版 (2019/6/15)、出典:出版社HP

はじめに

_2015年9月に国連総会でSDGs(持続可能な開発目標)が採択されて以降、政府や自治体、企業、非営利団体や大学などで、SDGsに関する様々な取り組みが展開されています。この本を手に取った皆さんも、おそらく新聞記事やニュースなどを通じてSDGsという単語を一度ならず目にしたり耳にしたことがあると思います。

その上でSDGsって何? 具体的に何をすればいいの? 絶対に取り組まなければいけ ないの?など、様々な疑問を持っているかもしれません。
著者は普段、企業や自治体向けのSDGsについての講演や、SDGsに貢献する取り組 みを検討するワークショップの講師などを担当しています。
参加された企業や自治体の方々にSDGsに対する印象や、取り組む上での疑問や悩みを 聞いてみると、「SDGsについて従業員に理解してもらうためのよい方法はないだろう か」「すでに環境対策や働き方改革はやっているけれど、それだけではだめなのか」「発展途 上国への支援をしなければ、SDGsに取り組んでいるとは言えないのか」「いったい何から始めたらよいのか」「日々の業務で手一杯で、SDGsのような新しい取り組みまで手が 回らない」など、様々な回答が返ってきます。

SDGsの1の目標をよく見てみると、あなたの子どもや孫、ひ孫世代が安心して住むことのできる世界を、どうやってつくっていくか、そのために私たちが今取り組むべきことは 何かについて書かれているということに気が付きます。すでに取り組んでいることが含まれ ていることにも気が付くでしょう。

多くの企業が世の中をよくするための製品・サービスを提供していますし、従業員が健康 でいきいきと働くための取り組みや、節電やごみの削減など地球環境の保全につながる取り 組みも積極的に行っています。自治体では行政として当然広く関わっています。

だから、今の取り組みでもSDGsの目標達成に貢献していると言える組織は多いはずなのです。しかし、もっと工夫できることがあるはずだ、ということをSDGsは私たちに投げかけています。

著者の講演やワークショップでも、現在の取り組みをSDGsの観点から見直すだけでな く、世界のお困りごとを解決するためにリソース(人材、技術、製品・サービス、その他の 様々な資産)を活用して何ができるかといったことを考える時間を設けています。

先日、ワークショップに参加したあるエンジニアの方から「(参加したものの)当初は SDGsにはそれほど興味はなかったんです。だから自分の仕事に関係のある情報ばかりに 目が向いていたんだけど、最近は新聞やテレビのニュースを見てSDGsのどの目標に関係 するか、自分の仕事を通じてできることは何かな、と考えることが増えました」という感想 をいただきました。 _SDGsは世界全体の目標なので、一見すると自分にはあまり関係しそうもないような目 標に見えるかもしれません。しかしSDGsの達成に向けて、「あなた自身や身の回りのこと」にいかに引き付けて考えられるかが大切だと思います。

この本は、これからSDGsに取り組む方の参考になるように、SDGsの基本的な内容 はもちろんのこと、SDGsの観点から見ると、企業の取り組みがどのように見えるのか、 そしてこれから取り組むにあたっての第一歩をどう踏み出すかについて触れています。 特に企業経営の視点で書いていますが、自治体経営にも役立てていただけると思います。 SDGsの取り組み支援の一端に携わるものとして、この本が皆さんの第一歩を踏み出す ヒントになることを願ってやみません。

村上 芽 (著), 渡辺珠子 (著)
出版社: 日本経済新聞出版 (2019/6/15)、出典:出版社HP

目次

はじめに
第1章 まずはSDGsを理解しよう
1 SDGsとは持続可能な世界のための7の目標
SDGsの目標にはどんな種類があるのか
SDGsを世界共通の成長戦略と捉える
ゴール本文を読んでみよう
16のターゲットこそ宝の山
2 SDGsが達成できないと、世界はどうなるのか
人間活動から生じた課題を解決しよう
途上国・新興国にとっての持続可能な開発
3 ミレニアム開発目標(MDGs)からSDGsへ
MDGsとSDGsは何が違うのか
キーワードはサステナビリティ
持続可能なパーム油とは何か
世代間の公平を考える
立場を変えて問題を見てみる
4 SDGs達成を誰が進めていくか?
SDGsを「自分ごと」として捉える ?
「ジャパンSDGsアワード」で進む企業の取り組み

第2章 SDGsとビジネスはどう結び付いているのか
1 企業とSDGsの関係
経営者が感じるSDGsの3つの魅力
SDGsウォッシュには常に注意
新規事業開発・事業拡大のヒントとして。
「やること」リストも「やらないこと」リストも作れる
2 若い人はなぜ SDGsに関心があるのか
人材獲得につながるSDGs
「未来への共感」でミレニアル世代とZ世代に寄り添う
コミュニケーションツールとしてのSDGs
3 ESGとSDGsはなぜ一緒に語られるのか
ESGとSDGsの違い
明文化や可視化することが価値になる
ESGはプロセス、SDGsはゴール
4 非上場企業にも広がるESG
イノベーションと持続可能性の関係

第3章 SDGsに取り組むときのヒント
1 まずは国連や、政府が提供しているツールを知る
「SDGコンパス」とは何か
「PLAN」の段階でSDGsと紐付けて考える
自分にあったやり方を選ぶ
トップのコミットメントが推進を加速させる
トップに関心を持たせる
個人の生活レベルから始める
2 会社の経営理念を確認しよう
理念の方向性を考える
世代間ギャップを埋める
まずは自分から行動しよう
自分でやるために、自分にあった「外圧」を学びに変える
部署がなければグループで始めよう

第4章 SDGsにビジネスで貢献する
1 今ある取り組みからできることを考える
まずは興味関心から始めよう
もっと広げるための「ロジックモデル」
あなたの「わくわく」は、顧客をどう動かしているか
顧客の反応から、SDGsのゴールにたどり着く
2 提案営業にSDGsを取り入れてみる
ロジックモデルの右側に来るターゲットは1つとは限らない
SDGsを営業資料に使ってみる
逆転の発想でSDGsに貢献する
社会のお困りごとの解決にこだわる
社外のリソースを活用しよう
バックキャスティングモデルを描く
迷ったときは、SDGsの精神に立ち返る
3 なぜSDGsでは「誰一人取り残さない」のか?
フランスで起きた「黄色いベスト運動」
ロジックモデルからKPIを見つける
開発援助や、寄付活動の評価も参考にする
デジタル技術を使って「見える化」を進める
パートナー探しにもつなげる

第5章 SDGsの取り組みテーマを選ぼう
1 複数のターゲットを組み合わせ、革新的な取り組みアイデアを生み出す
日本で注目される9つのテーマ
2 女性がますます活躍する社会をつくるには
なぜ「女性活躍」に注目が集まったのか
「なでしこ銘柄」に6年連続で選出されたカルビー
従業員が働きやすい組織づくり
バックオフィスで再就職を支援する
フリーランスが変える企業の未来
3 教育と職業訓練で、チャンスを掴み取る
所得を向上させ、貧困から抜け出す
「スタディサプリ」が変える教育環境格差
スウェーデンの住宅企業の取り組み
4 ますます重要になる働く人の健康促進
介護はSDGsに関係ないのか
働きながら介護もできる柔軟な働き方を考える
従業員の健康管理や維持・促進
健康経営の優良企業、SCSKの取り組み
全額企業負担となった禁煙治療の費用
途上国の医薬品入手状況を改善するグラクソ・スミスクライン
ジェネリック版の製造・販売を促進する
5 誰もが住みやすいまちをつくる
増加傾向にあるスラムで生活する人々
「誰もが暮らしたいまち」とは何か
世界で評価される塩尻市のまちづくり
6 エネルギー利用に伴う環境負荷に取り組む
エネルギー利用や二酸化炭素の削減
効果を数値化しやすい二酸化炭素の削減
114社で4・7億トンから大胆に削減
再生可能エネルギーの利用にシフトするアマゾン
ターゲット7・aに貢献するSBエナジーの投資
7 持続可能な消費を探る
消費を「持続可能にする」とはどういうことだろう
紙の消費を持続可能にするセイコーエプソン
毎年3億トンもの食料が捨てられている
日本人は一人当たり年間約6gの食品ロスを削減しなくてはいけない
消費期限を長くするための取り組み
捨てられる部分をおいしく食べる工夫
8 海洋プラスチックごみは削減できるのか
海に流出する年間約800万トンのプラスチックごみ
対策を始める国際社会
意外に進んでいる日本のプラスチックのリサイクル
投資を通じた海洋プラスチックごみ対策
森林や生態系を気候変動から守る
自然界の秩序を維持する
金融の仕組みでターゲット15・2に貢献する森林信託
精密林業計測に出資した三井住友信託銀行
10 科学技術・イノベーションの創出
世界が強く期待する「新しい市場」 「技術促進メカニズム」とは何か
東南アジアの農家を支援する天候インデックス保険
自然の技術を活かすネイチャーテクノロジー
どうやって取り組みテーマを考えるか
おわりに
参考資料的

村上 芽 (著), 渡辺珠子 (著)
出版社: 日本経済新聞出版 (2019/6/15)、出典:出版社HP

SDGsが問いかける経営の未来

産業・経営革命に同時に向き合う1冊

世界では2030年までにSDGsを達成するために、世界各国が総力をあげて社会課題の解決を目指しています。本書は、その2030年に向けて企業の経営目標のあり方、経営戦略、事業戦略のあり方を検証してどのように経営モデルのイノベーションを起こすことができるかを考えていきます。

モニターデロイト (編集)
出版社: 日経BP (2018/12/19)、出典:出版社HP

はじめに

“2030”の世界を切り開くために
持続可能な開発目標(SDGs: Sustainable Development Goals)が期限として掲げ る「2030年」という時間軸は、日本企業にとって特別な意味を持つ。東京オリ ンピックがある 2020年の先、いわゆる“ポスト 2020”の経営環境の不確実性 に対する危機感が、経営者の間でも根強いからだ。

2030年に向けて、ディスラプション(Disruption:破壊的イノベーション)が、 グローバルな産業構造の変革と経済成長の大きな核の1つとなることに疑いの 余地はない。この変化の主軸となるのは、Technology(特にデジタルテクノロジー の進化)と、Society(シェアリングに代表される社会的な価値観の変化)である。

自社に影響を与えうるマクロ経営環境を包括的に分析する、伝統的フレーム ワークであるPEST (P = Politics(政治)、E=Economy(経済)、S = Society (社会)、T = Technology(技術))に照らせば、人口動態の観点から 2030 年に 向けたアジア諸国における中間層増加に起因するアジア経済の成長(E(経済)) は蓋然性の高い予測の1つであり、手を打つ余地はまだある。一方で、S(社 会)とT(技術)の掛け算で起こるディスラプションのトレンドは予測がしにくく、不確実性も高い。P(政治)に至っては、市場とは異なる政治的文脈で、S・ Tのトレンドを加速したり足を引っ張る最も厄介な代物だ(Pに対する打ち手と してのアドボカシーについては本編で触れる)。

「産業革命」というほどのインパクトある構造的変化がこのSとTの掛け算 で起こる結果として、自社をとりまく産業構造がどのように変化するかについて確かな予測をすることは極めて困難である。加えて日本企業は、足元に高齢化・人口減少という世界に先駆けた社会課題を抱えている。2030年に自社が置 かれる市場環境・産業構造がどうなっているかが不透明な中で、どのような手 を打ち、どのように“2030”の世界を切り開いていけばよいのか――。

本書で取り扱う SDGsは、「2030年」に向けて世界各国の総力をあげて解くべき深刻な社会課題と具体的な達成目標を国際社会と共有している点で、この 不確実な経営環境において数少ない、Sに関する「蓋然性の高い未来」を示している。加えて、Tの起点となる、シリコンバレーやイスラエルで、イノベーションの種の中には、これら SDGs が示す世界の深刻な社へ “的”にして創出されているものも少なくない。

カイスラエルで続々と起こる世界の深刻な社会課題をSDGsは、一見して CSR やコンプライアンスに関するテーマととらうとであるが、2030 年に向けた不確実な経営環境のドライバーたるSとTに 唆をもたらす羅針盤ととらえれば、その経営戦略上の重要性の一端が見えるだろう。
SDGs は単なるスローガンではない 「世界 193 カ国で構成される国際連合(以下、国連)において、2030 年までに 達成すべき社会課題解決の目標として定められた SDGs は、2015 年の採択後、 瞬く間に世界に広まった。大きな特徴の1つは、SDGs がトライセクター(Trisector:3つのセクター)にまたがって広く波及している点だ。

2000年の国連ミレニアム・サミットで採択された「ミレニアム宣言」を基 に、2001年に合意された MDGs(Millennium Development Goals: ミレニアム開発 目標)は SDGsの前身と位置付けられるが、基本的に途上国の貧困削減が主眼 であったこともあり、推進する主体は、政府機関/自治体等で構成される「パ ブリックセクター」とNGO が属する「ソーシャルセクター」の2者に限られ ていた。一方で SDGs は、先進国の社会課題もカバーし、かつ企業とのパート ナーシップを重視して策定されていることもあり、営利企業群である「プライ ベートセクター(ビジネスセクター)」も共感しうる内容となっている。これに より SDGs は、トライセクターが絡み合う形で、MDGs とは異なって、よりイ ンパクトある広がりを見せているのだ。

日本においても、2018年時点ですでにSDGsは広く浸透しつつある。資本市 場で同時期に注目され始めた ESG 投資(ESG:Environment, Social, Governance) とも絡み合い、経営者からの注目も高い。SDGsの17種類のカラフルなアイコンを自社の Web サイトで掲げる企業はすでに目新しくなく、SDGsに対する取 組みをスローガンとして掲げる企業が増えている。

一方で、SDGs が世界に対して投げかけている根本的な“問い”については、 実は十分に理解・浸透が進んでいない。SDGsは、単なる外部規範ではない。 単なる資本市場からの要請でもない。あるいは、単なる新規事業やイノベーションの種でもない。SDGs は、過去数十年にわたりグローバル資本主義の中 で脈々と構築されてきた現代の企業経営モデルの根幹を揺るがす変化(進化)を 要請しているものだ。この経営モデルの進化こそが本書の主テーマである。

経営モデル自体にイノベーションが求められている

このような経営モデルの進化については、2008年の金融危機以降、“ポスト 資本主義”あるいは“資本主義 2.0” のアジェンダとして議論が盛んになりつつある。SDGs が発表されるより数年前の2011年に広く提唱された CSV (Creating Shared Value:共通価値の創造)というキーワードが、この議論の中心 だ。
CSVは、競争戦略論・国際競争力研究で著名なハーバード大学のマイケル E.ポーター(Michael E. Porter)教授らが中心となって提唱する、「経済価値を 創造しながら社会的ニーズに対応することで社会価値を“も”創造する」とい う、新しい企業価値創造アプローチだ。

この CSV 型経営モデルの根幹には、“社会価値”や“共通善”があり、経済 価値を追求する伝統的な資本主義型の経営モデルとは抜本的に異なる。CSRに 関する過去の歴史的経緯や、CSR と CSVとの対比論から、CSV は CSR の延 長線上にある概念としてとらえられてしまう傾向にもあるが、それでは CSVの 本質を見誤る。CSV 経営の先進事例として挙げられる、大手消費財メーカーの ユニリーバ (Unilever)、米国大手製造業ゼネラル・エレクトリック(GE:General Electric)、米国小売大手のウォルマート(Walmart)などのグローバル企業は、 社会価値創出を、CSRとしてでなく、「市場での競争優位の構築や新たな事業 創造に向けたイノベーション活動」と位置づけ、すでに10年以上にわたり取 り組んできている。

日本企業の経営者の間でも、2014 年頃を境として、CSVへの関心が高まってきた。その後 SDGs が登場し、加えて時を同じくしてESG投資への注目が 集まり始めたことにより、CSVで語られている社会価値と経済価値の両立に対 して、より本質的な理解が進み始めた。CSV経営への進化が、いよいよ重要な 経営課題の1つとなってきたのだ。

この問題意識の高まりは、2018年に世界経済フォーラムで発表したデロイト グローバル インクルーシブグロース調査(Deloitte Global Inclusive Growth Survey) 2018の結果からも見て取れる。世界の経営者の実に65%がルーシブ・グロース(inclusive growth、包摂的な成長) / サステナビリティ・・・ を経営上の重要課題に挙げたのだ。これは、77%と最も高い関心を20%と最も高い関心を集めた、第4次産業革命に向けた「テクノロジーと競争力の進展の把握」に次いるので に高い課題認識であり、「顧客/消費者の信頼」や「従業員の採用・維持」よりも高位にある。一方で、「株主価値」を経営上の重要課題と答えも安心。 は、わずか 22%に留まった。まさに“ポスト資本主義時代”を象徴する結果と も言える。

経営者は、従来よりも包括的な視野で、経済成長のインパクトをとらえる必 要に迫られている。この認識の高まりは、売上-コスト=利益という会計上の 数式で測る経済的利益の意味を大きく変えていく。経営上の基本的なものの考え方を抜本的に変える、まさに経営モデル自体のイノベーションが起ころうと しているのだ。

本書の構成

本書は SDGsの解説本ではない。国際社会の共有ビジョンたる SDGsを楯に コンプライアンスを提唱する本でもない。ESG投資と絡めて資本市場での企業 評価を高めるための情報開示のあり方を指南する本でもない。

社会価値創出が経済価値創出と同等に企業活動において重要な時代が、SDGs を旗頭にいよいよ幕開けしたいま、企業の経営目標のあり方、経営戦略・事業 戦略のあり方、事業創造のあり方を根本から検証し、不確実性高まる 2030年 に向けて、経営者はどのように経営モデルのイノベーションを起こし、この大いなる変化を生き抜くべきか、問いかけることを企図した書である。

第1部(第1章~第3章)では、SDGsが打ち出された背景にある中長期的な サステナビリティに関する潮流と、その潮流の中で重要性が高まり続ける CSV 経営の動向を解説し、2030年に向けた経営上の大きな変化とそこから想起される新たな経営モデルのあり方について包括的に紹介する。
続く第2部(第4章~第5章)においては、SDGsに関する歴史的経緯や 17 リ 目の背景にある問いかけなどについて明らかにする。第3部(第6章~第9草) では、SDGsを契機に加速する、企業をとりまくステークホルダー(政府、京 市場、NGO、消費者)の変化について説明する。

第4部(第10章~第15章)では第1部から第3部までの変化の潮流を前提に、 新たな経営モデルに向けて実際に企業がどのように経営変革をしていくべきか、 筆者が携わってきた経営変革の現場経験も踏まえた有効な方法論やアプローチ を参考事例を交えて解説している。

なお、SDGs が問いかける経営の未来と具体的な経営変革の進め方を中心に 理解したい読者は、第1部の後に第4部を読み進めていただく方法もある。第 2部および第3部は SDGs自体への理解を深めたい場合や、実際に経営変革の ヒントになりうる潮流を具体的に把握したい場合には有用である。

本書は、SDGs、ESG、CSV、サステナビリティといったキーワードの根源 となる、本質的な“ポスト資本主義時代”の経営のあり方を模索している日本 企業のトップマネジメントや経営企画・経営戦略担当者に是非ご一読いただき たい。また、経営トップの期待を超えるような骨太な新事業を産み出せずに苦 労しているR&D・新事業開発担当者、CSRを戦略的な取組みに昇華させたい CSR担当者、サステナビリティをブランディングに活かしたいブランド・コ ミュニケーション担当者にも十分参考になる内容になっていると考える。

また、本書が、NGO等のソーシャルセクター関係者や、政府・自治体等のパ ブリックセクター関係者、あるいはこれから社会に出ようとされている学生と 学術関係者の参考にもなれば幸いである。

モニターデロイトとは
本書は、デロイトトゥシュトーマツ リミテッド(本編ではデロイトと表記)の 戦略コンサルティング部門であるモニター デロイト(Monitor Deloitte) がグロー バルに有する、幅広い知見・ネットワークおよび先進事例をもとに産まれたものである。

モニター デロイトは、世界最大のプロフェッショナルファームとしての豊富 な企業変革実績と世界有数の企業、NGO、政府機関等との幅広いネットワーク を有するデロイトと、本書の主テーマたる CSV の第一人者でもあるマイケル E.ポーター教授に代表されるハーバードビジネススクールの教授陣によって設立されたモニターグループとの間で効果的なシナジーが実現し、グローバルで は 2013年より先進性・専門性・独自性の高い戦略コンサルティングを世界で 提供しているファームである。モニターグループは、2017年に Thinkers50 に よって世界No.1 経営思想家に選ばれたロジャー・マーティンを輩出していることでも知られている。

モニターデロイトは、特に SDGsやCSV、サステナビリティを経学部 えた戦略コンサルティングに、これまで数多く取り組んでおり、日本では、 は CSV/サステナビリティ戦略やイノベーション戦略に専門特化したチームを擁する。またグループには、デロイト サステナビリティ(Deloitte Sustainaki14)の日本統括組織として有限責任監査法人トーマツ ESG/統合報告アドバイドザリー事業ユニットがあり、様々な領域で共同プロジェクトを組成することで デロイトトーマツグループとしての高い総合力の源となっている。

本書は、モニターデトロイトがこれまで取り組んで得た知見と、新たな経営モデルへの企業変革事例を集約している。

モニターデロイト (編集)
出版社: 日経BP (2018/12/19)、出典:出版社HP

目次

はじめに
“2030”の世界を切り開くために
SDGs は単なるスローガンではない
経営モデル自体にイノベーションが求められている
本書の構成

第1部 SDGs時代の新たな経営モデルの潮流
第1章 SDGsをもたらした 世界のサステナビリティ底流
「貴社の社会的目的は?」 ―世界最大の機関投資家からの根源的問い
ダボス会議の基本認識「社会課題≒経済リスク」
短期価値の追求が長期価値を毀損するジレンマ
SDGs は経済・社会・環境間のバランスの再構築を目指す人類史的挑戦
SDGs は長期経営戦略の土台

第2章 新たな経営モデルの軸となるCSV
SDGs の登場で求められる
CSV2.0 26 そもそも CSVとは
CSV 先進企業が見せた新たな勝ちパターンの公式
CSV2.0を体現する企業事例
「三方よし」の落とし穴

第3章 SDGs時代の新たな経営モデルの変化の方向性
何が大きな経営変革のドライバーとなるか
見えてきた新たな経営モデルの輪郭

第2部 企業から見たSDGsの読み解き方
第4章 17ゴールを眺めるだけでは見えない SDGsの本質
SDGs の基本構造:17 のゴールと 169のターゲット
SDGs は先進国にとっても自分事
国連の2大潮流が統合された SDGs
コロンビアが提唱した包括的枠組みとインクルーシブな交渉プロセス
SDGsの本質は「SDGs の外」に込められている
企業が SDGs の当事者とされる理由58

第5章 SDGsの背景にある「問いかけ」を理解し、 ビジネス言語へ「翻訳」せよ
SDG1 貧困をなくそう
SDG2飢餓をゼロに
SDG3 すべての人に健康と福祉を
SDG4 質の高い教育をみんなに
SDG5 ジェンダー平等を実現しよう
SDG6 安全な水とトイレを世界中に
SDG7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
SDG8 働きがいも経済成長も
SDG 9 産業と技術革新の基盤をつくろう
SDG10 人や国の不平等をなくそう
SDG11 住み続けられるまちづくりを
SDG12 つくる責任つかう責任
SDG13 気候変動に具体的な対策を
SDG14 海の豊かさを守ろう
SDG15 陸の豊かさも守ろう
SDG16 平和と公正をすべての人に
SDG17 パートナーシップで目標を達成しよう

第3部 SDGsが加速させる企業を取り巻くステークホルダーの変化
第6章 企業をサステナビリティ方向に誘う政府規制
SDGs の司令塔を設置し国家
SDGs 戦略を策定
国家戦略への統合を進めるEU、民間主導のアメリカ
見落としてはならない領域別政策
バックキャスティング力が欲しい日本政府の SDGs 戦略

第7章 資本市場におけるESG投資の拡大加速
拡大する ESG投資
ESGと企業価値との相関関係
投資家が SDGs への取組みを評価する

第8章 SDGs 採択により、 威力を増す NGOのアドボカシー
アドボカシー型 NGO に耳を傾けよ
多様な NGO のアドボカシー戦術

第9章「ビリーフ・ドリブン」度合いを強める消費者
企業の社会的姿勢が消費者の購買行動を左右する
消費者はときに政治さえ動かす
ミレニアル世代が企業に向ける「冷めた視線」

第4部 SDGsが照らす新たな 経営モデルへのシフトに向けた戦略
第10章 抜本的な変革に立ち向かうための道筋 –
では、どのように変革していくか
経営変革は「義務」ではない、「戦略」である
5つの「選択」の統合で経営変革に向けた道筋を見いだす

第11章 何を目指して変革を進めるか-What Is Our Winning Aspiration ?
骨太な「大義」が戦略実行に向けた“熱狂”を産み出す
パーパス(Purpose:存在意義)起点で大義を掲げよ
熱狂を産み出すための ABCルール

第12章 どこで戦うか―Where Will We Play?
どの社会課題に向き合うか、戦略的選択の重要性
「つまみ食い」したマテリアリティ・マトリックスでは戦略の軸にならない
自社の強み・弱みをサステナビリティの観点から再定義する
社会課題を新規事業機会に読み替える

第13章 どう勝ち抜くか―How Will We Win?
社会課題と競争戦略をつなぐメカニズムの解明
差別化戦略を組み立てていくための3つの着眼点
SDGS ×自社らしさ×スタートアップで革新的な新規事業を発掘せよ
トライセクターでのオープンイノベーションが必要
リーン・スタートアップで“高速”に新しい価値を創る

第14章新たにどんな能力を備えるか-What Capabilities Must We Have ? –
1司令塔としてのサステナビリティに関する
インテリジェンス機能の確保
突然降りかかるサステナビリティの変化
日本国内の「サステナビリティ議論の空洞化問題」
まずは、先端的な動向を示す NGO の動きから捕捉せよ
SDGs 時代に必須能力としてインテリジェンス機能を強化していく必要性
2 事業基盤として必須のサステナブルな サプライチェーンー
問われる責任の広がり
求められる水準の高さ
リニア エコノミーからサーキュラーエコノミーへの視点の転換
デジタルサプライチェーンの整備は待ったなしに
3 エコシステム形成を後押しする
ブランディング力の重要性
ブランディングにおいて重要性を増すサステナビリティ
サステナビリティを軸とした企業ブランディングの要諦
社会から問われていることに応えるとは
「SDG ウォッシング」と見なされることのリスク
4 市場を変えるアドボカシー能力
トレードオフを認識し、乗り越える
日本でも動き始めた、サステナブル・ビジネスの環境構築
なぜ欧州発のルールがグローバル・スタンダードになるのか
SDGs 時代の経営を左右するアドボカシー機能
第15章 新たにどんなマネジメントシステムが必要か What Management Systems Do We Need ? —
経済価値と社会価値の統合を果たす
新たなマネジメントシステムのあり方
新たなマネジメントシステムに向けた3段階の推進組織・機能モデル
根本的に具備すべきなのは「イノベーションマネジメント」

おわりに
SDGs がない世界こそ、SDGs が目指す世界
「産業革命」と「経営革命」に同時に向き合う
新たな経営モデルで日本企業が世界をいま一度リードできるか

図表目次
巻末注
参照情報
SDGsのターゲット一覧

モニターデロイト (編集)
出版社: 日経BP (2018/12/19)、出典:出版社HP

図解ポケット SDGsがよくわかる本

17の目標を徹底的に解説

本書はSDGsについて、その目標内容と日本の進捗状況を解説したものです。SDGsは自治体や小中高生を対象とした取り組みによって日本では2018年ごろから徐々に認知度が高まってきています。SDGsを理解し、SDGsの達成に向けて前進するためにビジネスパーソンを対象として書かれている本です。

松原 恭司郎 (著)
出版社: 秀和システム (2019/12/12)、出典:出版社HP

はじめに

本書は、SDGs(持続可能な開発目標)について、ビジネスパースンを対象に、その本質や、17の目標の内容と、日本の進捗状況などを解説したものです。

(1) SDGsの広まり

国連で2015年に採択された「2030アジェンダ」とその一部であるSDGsは、
・日本政府や自治体による政策への取り込み
・小中高校生を対象としたESD(持続可能な開発のための教育)の広まり
・経団連の企業行動憲章の改訂版への反映 ・GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)をはじめとする機関投資家のESG投資へのシフト などから、日本でも2018年頃から認知度が徐々に高まっています。

(2)本書のターゲットと特徴

本書はビジネスパースンをはじめとする企業のステークホルダーを読者対象とし、次のような特徴を持っています。
①17の目標を様々な視点から網羅的に概説。
②17の目標の中身 (ターゲット・レベル) まで踏み込んだ解説で、理解の促進と実践を支援。
・17目標の背景にある事実を確認
・169のターゲットをMapで見える化
・日本の取組状況とビジネスとの接点
③SDGsを戦略に組み込むアプローチを紹介。
本書の全般を通じて、解説と図表のセットによる見開き形式を採用し、徹底したわかりやすさを追求しています。
さあ、このアグレッシブな2030ゴールに向けて、SDGsをクリアに理解し、イノベーションを生み見出し、SDGsの達成に向け て前進していきましょう。

2019年11月 松原恭司郎

松原 恭司郎 (著)
出版社: 秀和システム (2019/12/12)、出典:出版社HP

CONTENTS

はじめに:
①企業はなぜSDGsを戦略に取り込むべきなのか
1 SDGsってなに 混同からのスタート
2 MDGsからSDGsへ
3 SDGsを後押しするムーブメント1
(ステークホルダーの眼)
4 SDGsを後押しするムーブメント2(ルール編)
5 SDGsとESG投資の関係
6 SDGsの達成を支えるビジネス・コンセプト
7 SDGsの取組に有効な思考法
コラム1  SDGSウオッシュに注意

②SDGsの17の目標を 複数の視点から分析する
1 アイコンは馴染みやすいのにハードルが高いSDGs.
2 2030アジェンダとSDGsの構造を確認しよう
3 SDGsの5つの重要領域 (5つのP)
4 SDGsは三層構造で目標を明確に示す
5 MDGsとの比較から見えてくるもの
6 国連他発行のフレームワークを積極活用しよう
7 SDGs達成状況のモニタリングからビジネスチャンスをつかめ
8 日本政府の「SDGs実施指針」
9 ビジネスは何を重要目標と見ているか
10 SDGsの7の目標の不可分性
コラム2  SDGsを通して世界を知ろう:

③SDGsの7の目標をターゲット・レベルで深堀する
1 貧困についての事実と数字 (目標1:貧困をなくそう①)
2 ターゲットMap(目標1:貧困をなくそう②)
3 日本とビジネス (目標1:貧困をなくそう③)
4 飢餓についての事実と数字 (目標2:飢餓をゼロに①)
5 ターゲットMap (目標2:飢餓をゼロに②)
6 日本とビジネス (目標2:飢餓をゼロに③)
7 健康と福祉についての事実と数字(目標3:すべての人に健康と福祉を①)
8 ターゲットMap(目標3:すべての人に健康と福祉を②)
9 日本とビジネス(目標3:すべての人に健康と福祉を③)
10 教育についての事実と数字(目標4:質の高い教育をみんなに①)
11 ターゲットMap(目標4:質の高い教育をみんなに②)
12 日本とビジネス (目標4:質の高い教育をみんなに③)
13 ジェンダー平等についての事実と数字(目標5:ジェンダー平等を実現しよう①)
14 ターゲットMap_(目標5:ジェンダー平等を実現しよう②)
15 日本とビジネス(目標5:ジェンダー平等を実現しよう③)
16 安全な水とトイレについての事実と数字(目標6:安全な水とトイレを世界中に①)
17 ターゲットMap(目標6:安全な水とトイレを世界中に②)
18 日本とビジネス(目標6:安全な水とトイレを世界中に③).
19 エネルギーについての事実と数字(目標7: エネルギーをみんなにそしてクリーンに①)
20 ターゲットMap(目標7 : エネルギーをみんなにそしてクリーンに②)
21 日本とビジネス(目標7: エネルギーをみんなにそしてクリーンに③)
22 働きがいと経済成長についての事実と数字(目標8:働きがいも経済成長も①)
23 ターゲットMap(目標8:働きがいも経済成長も②)
24 日本とビジネス(目標8:働きがいも経済成長も③):
25 産業と技術革新についての事実と数字(目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう①)
26 ターゲットMap(目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう②)
27 日本とビジネス(目標9:産業と技術革新の基盤をつくろう③)
28 人や国の不平等についての事実と数字(目標10:人や国の不平等をなくそう①)
29ターゲットMap(目標10:人や国の不平等をなくそう②)
30 日本とビジネス(目標10:人や国の不平等をなくそう③)
31 まちづくりについての事実と数字(目標11 : 住み続けられるまちづくりを①)
32 ターゲットMap(目標11 : 住み続けられるまちづくりを②)
33 日本とビジネス (目標11:住み続けられるまちづくりを③)
34 つくる責任つかう責任についての事実と数字(目標12:つくる責任つかう責任①)
35 ターゲットMap(目標12:つくる責任つかう責任②)
35 日本とビジネス(目標12:つくる責任つかう責任③)
37 気候変動についての事実と数字(目標13:気候変動に具体的な対策を①)
38 ターゲットMap(目標13:気候変動に具体的な対策を②)
39 日本とビジネス(目標13 :気候変動に具体的な対策を③)
40 海の豊かさについての事実と数字(目標14 : 海の豊かさを守ろう①)
41 ターゲットMap(目標14 : 海の豊かさを守ろう②)
42 日本とビジネス(目標14:海の豊かさを守ろう③)
43 陸の豊かさについての事実と数字 (目標15:陸の豊かさも守ろう①)
44 ターゲットMap(目標15:陸の豊かさも守ろう②)
45 日本とビジネス(目標15:陸の豊かさも守ろう③)
46 平和と公正についての事実と数字 (目標16:平和と公正をすべての人に①)
47 ターゲットMap (目標16:平和と公正をすべての人に②)
48 日本とビジネス (目標16:平和と公正をすべての人に③)
49 パートナーシップについての事実と数字(目標17:パートナーシップで目標を達成しよう①)
50 ターゲットMap(目標17:パートナーシップで目標を達成しよう②)
51 日本とビジネス(目標17:パートナーシップで目標を達成しよう③)
コラム3  個人とビジネスのSDGs対応

④SDGsを戦略に取り込むアプローチとツール
1 CSVの視点を取込む …価値創造の3つのレベル
2 戦略へのSDGsの組み込み
3 SDGSインパクト領域の棚卸し…バリューチェーン・マッピング
4 SDGsと指標の選定 …ロジックモデル
5 SDGsにおける優先順位の特定…マテリアリティ・マトリックス
6 SDGs対応の戦略ストーリーの見える化…戦略マップ
7 製品/サービスの開発で共通価値を創造する
8 バリューチェーンの改善・改革で共通価値を創造する
9 地域エコシステムの支援で共通価値を創造する
10 SDGsのコミュニケーション …統合報告書
コラム4 おすすめサイト

卷末資料
資料1 SDGs目標別ターゲット・指標一覧
資料2 MDGs目標とターゲツト一覧
参考文献
索引

松原 恭司郎 (著)
出版社: 秀和システム (2019/12/12)、出典:出版社HP