会計超入門! 知識ゼロでも2時間で決算書が読めるようになる! 改訂版

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決算書を人の身体に例える

会計・決算書の本では抽象的な概念の話が多いため、何度読んでも理解できないという悩みを抱えている人は少なくないでしょう。本書では、抽象的な説明を避けるために「決算書を人の身体にたとえる」という方法で決算書について解説していきます。決算書の数字を読み解き、普段のビジネスに役立てたい人におすすめです。

佐伯 良隆 (著)
出版社 : 高橋書店 (2018/1/19)、出典:出版社HP

はじめに

改訂版の発刊にあたり

この本では、会計や決算書の知識がまったくない方でもストレスなく理解でき、実際に使える知識が身に付くよう、読者の「わかりやすい!」を徹底的に追及しました。
そしてたどり着いたのが、「決算書を人の身体にたとえる」という方法。当時は他に類を見ない試みでしたが、嬉しいことに多くの方から「決算書が読めるようになった」との感想をいただき、おかげさまで初版は10万部を超えるベストセラーになりました。

内容は何年経っても陳腐化しないよう工夫しているため、今回改訂では一部財務データの更新や、企業例の部分的な入れ替えを行うのみに留めています。より新しい情報を参考に、決算書の理解を深めていただければ幸いです。

わかりやすさへの挑戦

私はビジネススクールやセミナーなどで、会計や金融にかんする講師をしていますが、受講生からしばしば「この分野の本を何冊か読んだが、いまだによくわからない」という声を聞きます。
なぜでしょう。
それは、たいていの会計本が、細かい定義や決まりごとの解説が中心だからです。その結果、読者が「木を見て、森を見ず」に陥っているのです。つまり、“決算書を読みこなしてビジネスで使いたい”という読者の求めに、本が応えきれていないのです。

多くの会計・決算書関連の本は、会計士や税理士、学者らさまざまなプロによって書かれています。いずれも会計のルールに沿って詳しく書かれています。
しかし彼らは、どちらかと言えば決算書の作り手であり、使い手ではありません。会計のルールを正確に伝えようとするがために、解説が教科書っぽくなってしまい、焦点をつかみにくくさせているのです。

本書は、経理にたずさわる人向けというより、あくまで決算書の数字を読み解き、ふだんのビジネスに役立てる人向け。決算書の、作成者ではなく利用者の立場で書かれた本です。

会社と人の意外な共通点

会計や決算書の話は、細かいことにこだわりだせば膨大なページになってしまいます。しかし数字を読む立場からすれば、知っておくべき視点は、案外限られているのです。
だからこそ本書では、予備知識のない人が数字を読み解くにあたり、必要十分な情報だけに絞りました。その方針から、思い切って省略した箇所もあります。その分、どうしたら誰もが直感的にわかるかを徹底的にこだわりました。
会計・決算書の話をしようとすると、抽象的な概念の話を避けてとおれません。これが、わかりにくさの主な原因です。そこで本書では、その悪因を断つために、目に見える日常生活の物事に置き換えた比喩表現で説くよう努めました。
そこから生まれたアイデアが人の身体にたとえて説明する方法です。難解な決算書を人の身体にたとえられたら、イメージしやすいですよね。たとえば「会社の資産とは企業に帰属し、貨幣による評価が可能で、将来収益を期待できる…」より「会社の資産は、筋肉と脂肪のようなもの。とくに脂肪には悪玉と善玉コレステロールがあり…」のほうが、イメージとしてつかめませんか。このように、誰でもよく知っている身体にたとえれば、決算書の本質について「あぁ、そうだったのか!」と簡単にわかるのです。

本書では、決算書のイメージをわかりやすく伝えるにとどめていません。前半の基礎編で必要不可欠な知識を紹介したうえで、後半の分析編で、実在の会社の決算書を使い「会社はどう成長するのか」「なぜ倒産するのか」などのテーマに切り込みます。読み進めるうちに、いつの間にか深い話へ入り込んでいるでしょう。

決算書を利用する側の視点

私はかつて政府系の銀行で融資の仕事をし、その後投資会社のファンドマネジャー(投資責任者)として、さまざまな会社の決算書を分析してきました。まさに決算書を利用する立場だったのです。
一方で、ビジネススクールなどでの講師を務めることで、会計をわかりやすく伝える技術も磨いてきました。
私自身、銀行での研修や海外MBA留学を通じて、会計や決算書についての知識は十分持っていたつもりでした。
しかし、いざ仕事でその知識を使うにつれ「こういうことだったのか!」と気づくことがたびたびあったのです。決算書の利用者として私が培ってきた視点を生かし、みなさんには少しでも「近道」をしていただきたい、そんな思いで書きました。
本書は、流行りのテーマを追いかけていません。すぐには色あせない、重要な基本を押さえています。読み終えたあとでも、困ったときに手に取れる、そんな本になればと思っています。

現代のビジネスパーソンに求められる能力に「IT」「英語」、そして「会計」を三種の神器としてあげる人がいます。私も同感です。しかし、多くの人が会計についての知識を持っていません。
これからの厳しい世の中を生き抜くうえで、経済のことが見えなくては進んでいけません。その経済を築いているのが会社です。そして私たちの多くが何らかのかたちで会社とかかわっています。つまり会社の状態を数字から読み解く知識が本当は必要なのです。日本経済が不透明さを増し、大企業でも倒産するいま、その重要度は高まっています。

みなさんが、本書を読んで「なんだ、会社の数字って、こうすれば簡単に理解できるのか!」と感じていただければ、最上の喜びです。

佐伯 良隆 (著)
出版社 : 高橋書店 (2018/1/19)、出典:出版社HP

もくじ

はじめに
本書の構成について

これが実際の決算書!
損益計算書(P/L)
貸借対照表(B/S)
キャッシュフロー計算書(C/S)

1章 基礎の基礎! 決算書超入門
1-1 そもそも決算書って何?
1年の「成果」と今の「体調」がわかるもの
1-2 なんで決算書が必要?
会社にも健康・不健康がある
1-3 決算書は誰がなんのために読む?
会社と利害関係のある人たち
Check! 1章のまとめ

2章 超ざっくり! 決算書全体と会計の話
2-1 これが決算書の中身!
イメージで決算書をとらえる! / 会社の運動成果がわかる損益計算書 / 会社の健康状態がわかる貸借対照表 / 会社の血流がわかるキャッシュフロー計算書
2-2 そもそも会計って何?
4つの基本ルールさえ知っていればOK! /ルール1 会計では永遠を切り取る! / ルール2 会計では現金を追わない! /ルール3 会計では収益と費用を結びつける! / ルール4 会計では会社を2つの目で見る!
Check! 2章のまとめ

3章 ゼロから! 損益計算書の話
3-1 損益計算書で何がわかる?
会社のムダがどこにあるのかわかる!
3-2 損益計算書のしくみ
利益はひとつだけではない! / ①商品を作った段階の利益を表す「売上総利益」/ ②本業での儲けがわかる「営業利益」/③ふだんの経営での儲けがわかる「経常利益」/④予想外のできごとがわかる「税引前当期純利益」 / ⑤1年の最終的な儲けがわかる「当期純利益」/なんで利益はいくつもあるの?
はみ出しコラム:売上原価の求め方
:なぜビールのCMはなくならない?
3-3 損益計算書は、費用で見る!
費用は売上についてまわる影法師?/人件費は給料だけじゃない!?【ヒトにかかる費用]】/ 電気をつけるだけで費用が!?【モノにかかる費用】/カネにもお金がかかる【カネにかかる費用】/「直接費と間接費」というもうひとつの視点
はみ出しコラム:やわらか〜い「変動費」、かたい「固定費」
Check! 3章のまとめ

4章 ゼロから! 貸借対照表の話
4-1 貸借対照表で何がわかる?
貸借対照表は会社の健診データ
4-2 貸借対照表のしくみ
左側は会社の財産、右側はそのお金の出どころ/左右の合計金額が一致する!/ 資産と負債は、流動性の高い順に上から並んでいる/会社にも筋 肉と脂肪がある!?/人も会社も「身体が資本」?
はみ出しコラム:人も会社も、脂肪はいらない?
:貸借対照表 俯瞰図!
4-3 3つの部 ①資産の部
すぐ現金にできる流動資産 / すぐにはお金に換えられない、固定資産
4-4 3つの部 ➁負債の部
集めたお金のうち、返済義務があるのが負債/返済期限が1年以内の流動負債/1年を超えたあとに返せばいい固定負債
はみ出しコラム:なんで、流動と固定に分けるの?
4-5 3つの部 ③純資産の部
大切なのは、株主資本!
Check! 4章のまとめ

5章 ゼロから! キャッシュフロー計算書の話
5-1 キャッシュフロー計算書で何がわかる?
なんでキャッシュフロー計算書が必要なの?
5-2 C/Sでしかわからないこと
どうやって現金が増減したかがわかる!ズレ① 思いのほか手元に現金がない!? / ズレ② 思いのほか手元にお金があった!
5-3 キャッシュフロー計算書のしくみ
血流チェックには“3つの視点”がある!/事業から現金を得ているかを調べる「営業CF」/どれだけ投資しているかを見る「投資CF」/ お金の貸し借りのようすを見る「財務C F」
Check! 5章のまとめ

6章 分析! 収益性の話~儲ける会社は、ココが違う!~
6-1 決算書の分析でアレもコレもわかる!
分析のための3つの視点/分析に必要な3Dメガネをかけよう/分析で使うのはこの4つだけ!
6-2 収益性 まずはココを見る!
そもそも収益性って何?/喫茶店と雑貨店、どっちが儲かる?/大切なのは営業利益率! / 売上のカラクリ
はみ出しコラム:営業利益率はどれくらいあればいいの?
6-3 投資のプロはココを見ている!
資産を上手に使えたかを見る「総資産利益率」/自己資本の使い方を見る「自己資本利益率」/「総資産回転率」で資産の効率活用度をチェック!/ 総資産利益率は万能選手!
6-4 なぜうちの会社の給与は低い?
決算書を通して給与を見る/付加価値の高い仕事、してますか?/ 付加価値の高い仕事が報われない? / 同業者、給与対決!
6-5 喫茶店と雑貨店、利益はどっちが安定してる?
なぜ利益は売上以上に変動する? / 固定費が大きいとハイリスク・ハイリターンに!/トヨタが59年ぶりの赤字になった理由/販管費はすぐには減らしにくい
Check! 6章のまとめ

7章 分析! 安全性の話~危ない会社は、ココがヤバイ!~
7-1 なんで会社は倒産するの?
会社は大きいほど安全か? / 健康な会社と不健康な会社の違い/安全性分析はまさに健康診断!/会社が倒産する理由
7-2 安全性はココを見る!
たった2ステップでわかる安全性!/貸借対照表のバランスを見る~上下編~ / 貸借対照表のバランスを見る ~左右編~/貸借対照表に異変があればキャッシュフローをチェック/キャッシュフローでわかる不健康な会社のパターン
7-3 借金は、ないほうがいい?
「借金=悪」はホント? / 借入金は装着ロボット!?/「リスク=危険」ではない!
はみ出しコラム:銀行が貸したいのはこんな会社
7-4 “倒産直前!?”の危ない決算書に迫る!
こんな会社は瀕死の重体 / あの巨大企業はなぜ倒産した!? / 破綻寸前のキャッシュフロー
7-5 「利益は意見、現金は事実」のしくみ
1年後の1億円より今すぐ欲しい1000万円/ケース① 資産を増やしすぎてつぶれた会社/恐怖!巨額な棚卸資産に潜む闇/ケース② 粉飾決算で窮地に追い込まれた会社 / 利益はつくれてもキャッシュはつくれない/無理な化粧は危機を招く
Check! 7章のまとめ

8章 分析! 成長性の話~伸びる会社は、ココが違う!~
8-1 会社の成長ってどういうこと?
会社の成長と人の成長はソックリ!
8-2 成長性はココを見る!
成長性分析の3ステップ!
8-3 図解!会社が大きくなるしくみ
会社が大きくなる=貸借対照表が大きくなる/会社は負債で成長速度を上げられる!/他人を吸収して成長するパターン
8-4 超重要!成長した“理由”
数字より大切!?「成長の原因」を探れ! / ソニーは薄型テレビで、なぜ出遅れた? / 前年比150%のダメな会社、90%のいい会社?
8-5 あの企業の“成長期”の決算書に迫る!
ユニクロ、縮む市場で成長できた理由/ FR社に見る「健全な成長パターン」 / ソフトバンク、身の丈超えの巨大成長 / 急成長の裏にあった巨大負債
Check! 8章のまとめ

9章 決算書から会社のホントの姿を見る!
9-1 会社の真の姿に迫る!
決算書ににじみ出る会社のホントの姿/ケース① 家電? 金融? ソニーはいったい何屋さん?/ケース② 真似して儲ける沢井製薬/ケース③ 真似せず儲ける2つの会社/ケース④ 資生堂は何を売っている?

特集 IFRS(国際会計基準)超入門!~知っておきたい3つの変更点~
おわりに
さくいん

カバーデザイン / ISSHIKI
カバーイラスト / 内藤あや
デザイン・DTP / ISSHIKI
本文イラスト / ハヤシフミカ、内藤あや
編集協力 /ノマディック
校正 / 新山耕作

佐伯 良隆 (著)
出版社 : 高橋書店 (2018/1/19)、出典:出版社HP