【最新】AI・人工知能について学ぶためのおすすめ本 – 基礎知識からビジネスでの活用まで

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AIとはどういうもの?どのように活用できる?

AIとはArtificial Intelligenceの略で、人工知能のことを指します。現在、様々な産業領域でAIを活用したモノやサービスなどが普及しています。AI技術は2010年代から急速に発展しており、今後さらにその活用が拡大していくと考えられます。そこで今回は、AIの入門から実際の活用事例まで幅広く学べる本をご紹介します。

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出典:出版社HP

図解入門 最新人工知能がよ~くわかる本 (How-nual図解入門Visual Guide Book)

人工知能を支える技術と基礎知識を学ぶ

現在の「人工知能」は、ある特定の作業に特化した能力を持っています。本書では、その人工知能を飛躍的に発展させた技術である、機械学習やニューラルネットワークのしくみ、専門用語、活用事例などの新しい情報をわかりやすく解説しています。人工知能の仕組みについて興味がある方向けの本です。

神崎 洋治 (著)
出版社 : 秀和システム (2016/7/5)、出典:出版社HP

はじめに

人間のような知能を持ったコンピュータ、「人工知能」はまだ存在していません。これは汎用型人工知能と呼ばれ、脳科学や神経科学、電子工学など様々な分野から研究が行われていますが、人工知能の誕生までには、まだまだ遠い道のりがあります。
では、新聞やニュースで「○×に人工知能を導入」と書かれているのは、どういうことでしょうか。汎用型人工知能を実現するためには様々な能力をコンピュータで実現し、精度を高めていく必要があります。例えば、人間と会話する能力、人間の言葉で書かれた文章を読解する能力、ものを判別する能力、情報を探す能力、見つけた情報から何かを判断する能力、推論を立てる能力などです。それらの能力のいずれか、またはいくつかの能力がビジネスに活用できるレベルに進化したため、一気に導入が加速しているのです。
進化のきっかけとなったのは「機械学習」、人間の脳の構造を模倣した「ニューラルネットワーク」、深層学習「ディープラーニング」です。この本を手に取った読者の方であれば、どれも聞いたことがあるキーワードばかりだと思います。

人間は、身近にいる猫の存在をいつの間にか理解するようになりますが、今やコンピュータもYouTubeにある膨大な画像データを与えることで、自律的に猫の存在を理解するようになりました。更にパックマンやブロック崩しなど、撃明期にヒットしたテレビゲームなら、人間がルールを教えなくてもコンピュータはプレイしながらやりかたを理解して、上級者よりも高得点をマークするようになります。コンピュータが自分でどんどん学習するところには、凄さと同時にどことなく恐ろしさを感じます。
機械学習やニューラルネットワークによってパターン認識や分析の能力が飛躍的に向上しました。GoogleやAppleだけでなく、FacebookやAmazon、Microsoftも次々に、これらの技術を製品やサービスに導入しています。先行しているIBM Watsonは、がん研究や新薬の開発等、医療分野で成果を上げるなど、既に海外では実績を積み重ねる段階に移行しています。インターネットは情報の宝庫と言われますが、その80%以上は、人間が理解できるもののコンピュータには理解できない「非構造化データ」です。Watsonは、非構造化データを読解して知識として活用する能力に秀でています。これは、人間の言葉を理解し、会話する技術にも通じます。先に挙げたGoogleやAppleなどのIT業界の巨人たちも、人間と会話するコンピュータ技術「会話エンジン」の開発を競っています。これは、会話エンジンが人工知能の開発、スマートフォンやパソコン、ロボット、自動車など、様々なインタフェースに応用できると考えているからです。トヨタ自動車は人工知能技術の研究・開発を行う新会社「Toyota Research Institute」を設立し、スタンフォード大学およびマサチューセッツ工科大学(MIT)と連携して研究することを発表しました。まさにAIとロボットの著名人が名前を連ねたドリームチームで、その予算は5年で約1200億円です。AI開発競争が加速しています。

本書は人工知能の関連技術、特に機械学習やニューラルネットワークのしくみや専門用語、ビジネス活用事例等にフォーカスして、最前線の情報をできるだけわかりやすくまとめました。後半にはIBMやMicrosoft、Googleなど、AI技術の研究を進めるトッププレイヤーたちの状況をまとめ、巻末の「おわりに」では、ディープラーニングの現状の課題にも触れています。人工知能関連技術の理解やビジネス利用を検討する参考になれば幸いです。

執筆にあたっては、日本アイ・ビー・エム、ソフトバンク、日本マイクロソフト、シーエイトラボ、全脳アーキテクチャ・イニシアティブほか、たくさんの人工知能関連企業や団体の方々に資料提供や取材等でご協力頂きましたことに御礼申し上げます。また編集部の皆様にも御礼申し上げます。
なお、本書の内容の一部は、著者がインターネットで連載しているコラム「ロボットの衝撃!」(ロボスタ)で執筆したり、インタービューしたりした記事を引用・再編集して掲載しています。連載コラムではPepperをはじめとしてコミュニケーションロボットやIBM Watson、自動運転車等を中心に最新情報を紹介していますので、興味がある人はそちらも参照してみてください。

神崎洋治の「ロボットの衝撃!」(ロボスタ)
http://robotstart.info/author/kozaki

では、人工知能やニューラルネットワーク等の概要と最前線から解説をはじめます。

2016年6月 神崎洋治

神崎 洋治 (著)
出版社 : 秀和システム (2016/7/5)、出典:出版社HP

図解入門 最新 人工知能がよ~くわかる本
CONTENTS

はじめに

第1章 AI関連技術の最前線~過去から未来までの系譜
1-1 囲碁の勝負で人間を破った人工知能「アルファ碁」
1-2 予想以上に早く進化を遂げた囲碁用Al
1-3 エキスパートシステム
1-4 「IBM Deep Blue」と人間の頭脳戦
1-5 ディープラーニングの導入
1-6 AlphaGoが強力な囲碁AIになるまで
1-7 人工知能ブームとGoogleの猫
1-8 画像認識コンテスト「ILSVRC」でディープラーニングが圧勝
1-9 DeepMindとゲーム用自律学習型汎用AI
1-10 パターンマッチングと識別AI
1-11 強いAIと弱いAI
1-12 チューリングテスト
コラム 中国語の部屋
1-13 シンギュラリティ(技術的特異点)
1-14 トランジスタが人間の脳を超えるとき
1-15 感情を持ったロボットの登場
1-16 知識と知恵の違い、そして知能へ

第2章 AI技術のビジネス活用
2-1 人間と自然に会話するコンピュータ
コラム Amazon EchoとAlexa
2-2 コールセンターのオペレータ支援
2-3 オンラインショッピングサイトでの顧客対応
2-4 コンシェルジュを支援するAIアシスタント
2-5 チャットボットと会話AI
2-6 チャットボット・会話AIの事例
2-7 チャットボットの技術と種類
2-8 人工知能を搭載した会話アプリ
2-9 ロボットのディープラーニング活用法
2-10 フィンテックとAI活用
2-11 犯罪予測システムを市警が導入
2-12 自動運転車の現状と未来
コラム BMWが無人自動駐車機能を搭載
2-13 ヒットを予測するAIシステム
2-14 芸術の領域に進出するAI
2-15 医療分野で活躍するIBM Watson
2-16 IoTとビッグデータ
2-17 未来を委ねる若者たち

第3章 超入門かんたん解説AI関連技術と専門用語
3-1 機械学習と特徴量
3-2 ニューラルネットワークと分類問題
3-3 ニューラルネットワークのしくみ
3-4 ディープラーニング(深層学習)
3-5 教師あり学習と教師なし学習
3-6 強化学習
コラム AlphaGoと強化学習
3-7 バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)
3-8 ニューラルネットワークをもっと深く知る
3-9 TensorFlowで会話AIを作ってみた
コラム これから注目の機械学習技術

第4章 AIを牽引する主要プレイヤー
4-1 IBM
4-2 Microsoft
4-3 Google
4-4 Facebook
4-5 Amazon
4-6 Apple
4-7 トヨタ自動車
4-8 NTTグループ
4-9 ソフトバンクグループ
4-10 日本勢の動向

おわりに
索引

神崎 洋治 (著)
出版社 : 秀和システム (2016/7/5)、出典:出版社HP

エンジニアなら知っておきたいAIのキホン 機械学習・統計学・アルゴリズムをやさしく解説

AIの情報をキャッチアップする

人工知能(AI)は急速に発展しており,様々な産業での活用が期待されています。しかし、AIを正しく理解していない人が意外に多いことも事実です。そこで、本書は、AIのことをあまり知らない方に向けて、人工知能を支える技術を理解し,大まかな全体像を把握できるように書かれています。

はじめに

ここ数年の人工知能(Artificial Intelligence)の進化と活用はすさまじく、今、AIを理解して活用しようと踏み出さないことは、3年後、5年後のビジネスにおいて大きなリスクと言えるでしょう。
ここらで一度、本気でAIについて理解し、積極的に関わってみませんか。え、「今さら遅いよ」ですって? いやいや、まだ大丈夫です。AIの進化は著しく、昨日までの知識は瞬く間に古くなってしまうので、今からでも十分にキャッチアップできます。
急速な発展を遂げつつある分、AIの情報は断片的に散らばっており、かつ同じような内容があちこちで流用されています。また、数式の説明に終始して、一般の人たちがAIを理解・活用するには役立たない情報も氾濫しています(それが悪いわけではないのですが、あくまでも一般の人には無用な情報です)。
セミナーに参加したり本を読んだりしても、AIが本質的にどういうものなのか、AIの得意なこと苦手なこと、ビジネスに活かすイメージなど、一番重要なところまでの説明がありません。結果、AIは難しいものと尻込みしたり、逆になんでもできそうだと過度に期待したり、AIの進化をむやみに恐れたり、AIでないものもAIと呼んだりと、かなりごちゃごちゃになっています。

本書は「AIのことをなんとなくしか知らなかった人が、パッと全体像を把握できて、ベースとなっている技術も一通り理解して、今何が起きていて、これからどうなりそうかイメージできる」ことを目指して書いています。
分かりやすく「ドクターX」ライクでお伝えすると次のような感じです。

第1次ブームからのAIの歴史についての物語を語る…「いたしません!」
AIの仕組みについて数式や統計学を徹底的に解説する…「いたしません!」
AIライブラリの仕組みや使い方を解説する…「いたしません!」
ベンダ発信のデータを元に、どちらが優れているか比較する…「いたしません!」
AIが人間の仕事を奪って不幸をもたらすかの道義的論争…「いたしません!」

でも、こうなると「じゃあ、何を書くんだよ!」と言われてしまいそうですね。本書で取り上げる主な内容は、次のようなことがらです。

・近年のディープラーニングの劇的発展から現在までの状況を把握する
・現在提供されているAIサービスを知ることで、今後の進化を思い描く
・機械学習アルゴリズムとディープラーニングの本質的な違いを理解する
・最新のAI技術を知り、今後の社会における活用イメージを持つ
・AI技術が3~5年後のビジネスでどのように活用されるかを想像する

本書は、基本的には「これからAIに取り組むエンジニア」もしくは「既にAIに取り組んでいるエンジニア」向けに、AI技術の基礎知識を理解し、AIを大局的に捉えられるように書いていますが、もっと幅広く「一般の方でもAIについて理解できるように」という思いから、全体を3部構成としました。
第1部では人工知能の基礎を理解します。第2部で技術的なところを少し掘り下げ、第3部でビジネスに活用するためのAIを学びます。数式を使って局所的な技術を説明するのは避け、難しいところは例え話で解説しています。

なお、AI(人工知能)に機械学習が含まれ、機械学習の一部が深層学習(ディープラーニング)なのですが、これらの言葉の一般的な定義の説明は省いています。その代わりに言葉の持つ本当の意味や違いに関して掘り下げて書いていますので、どうか上っ面ではなく本質的なところを理解してください。

また、せっかくなので楽しく学んでいただきたいと思い、麻里ちゃんというキャラクターにも登場してもらいました。麻里ちゃんが、だんだんAIについて詳しくなってゆくのに負けないように、みなさんも頑張ってください。みなさんのAIに関する理解が深まることに役立っていただければとても嬉しく思います。

2018年12月
梅田弘之

contents

はじめに

第1部 人工知能の基礎を理解する
第1章 人工知能の全体像
人工知能の全体像(Overview)/ディープラーニングの歩み
[麻里ちゃんのAI奮闘記] AIやるのに、高等数学や統計学の勉強はMustか?

第2章 AIチップとライブラリー
ムーアの法則の終焉/AIチップ/エッジコンピューティング/機械学習ライブラリ/オープンソースライセンス(OSS)/主な機械学習ライブラリ
[麻里ちゃんのAI奮闘記] 量子コンピュータってどんな状況なの?

第3章 AIプラットフォーム
AIプラットフォームとは/Google Cloud Machine LearningとMicrosoft Cognitive Services [麻里ちゃんのAI奮闘記] りんな

第4章 機械学習とディープラーニングの違い
機械学習とは/ミニバッチ学習法/ホールドアウト法/正解率と再現率と精度/過学習と汎化誤差/バリアンスとバイアス/アクティブラーニング/機械学習とディープラーニングの違い/ニューラルネットワークとは/シグモイドニューロン/シグモイドニューロンの階層/誤差逆伝搬(Back propagation)/機械学習アルゴリズムとディープラーニングの違い
[麻里ちゃんのAI奮闘記] ニューラルネットワークは階層構造

第5章 機械学習の学習データー
学習データはどれくらいの量が必要か/データクレンジング/データクレンジングの自動化/学習データを用意する方法/ImageNetとILSVRC/学習済みモデル(Pre-trained models)
[麻里ちゃんのAI奮闘記] 学習データの品質とは?

第6章 転移学習と過学習
少ないデータで学習する方法/水増し(Data Augmentation)/水増しの注意点/転移学習(Transfer learning)/転移学習の方法/過学習を防ぐ技術/正則化(Regularization)/ドロップアウト(Dropout)/K分割交差検証/(K-fold cross-validation)
[麻里ちゃんのAI奮闘記] 正則化と回帰の違い

第2部 機械学習のアルゴリズムを学ぶ
第7章 機械学習のアルゴリズム
機械学習法と統計学/3つの学習方法/回帰(Regression)/分類(Classification)/クラスタリング(Clustering)/強化学習/バンディットアルゴリズムとABテスト/Optimism in face of uncertainty/モンテカルロ法
[麻里ちゃんのAI奮闘記] 分類とクラスター分析の違い

第8章 Q-Learning
Q-LearningのQとは/P値(P-Value)とは/多重検定とFWER/FDR/Benjamini-Hochberg(BH法)/Q値(Q-Value)とは/Q-Learningと海戦ゲーム/Q-Learningとは/Qボードへの情報書込みルール/エピソード1/エピソード2/エピソード2の続き/エピソードn/強化学習の構成/強化学習のアルゴリズム/状態行動空間の爆発
[麻里ちゃんのAI奮闘記] 強化学習は試行錯誤

第9章 教師あり学習(回帰と分類)
統計学とアルゴリズム/回帰(Regression)/分類(Classification)
[麻里ちゃんのAI奮闘記] 尤度とシグモイド

第10章 教師なし学習(クラスタリング)
クラスタリング(Clustering)/次元の呪い/次元削減/主成分分析(PCA: Principal Component Analysis)
[麻里ちゃんのAI奮闘記] 次元の呪いと上野の麻辣大学のゴマ団子

第11章 畳み込みニューラルネットワーク(CNN)
畳み込みニューラルネットワーク(CNN)とは/入力層(Input Layer)/畳み込み層(Convolutional layer)/プーリング層(Pooling layer)/全結合層(Fully Connected layer)/出力層(Output layer)
[麻里ちゃんのAI奮闘記] 畳み込みってなに?

第12章 リカレントニューラルネットワーク(RNNとLSTM)
畳み込みニューラルネットワークのおさらい/リカレントニューラルネットワーク/リカレントニューラルネットワークの展開図/リカレントニューラルネットワークが使われる技術分野/長・短期記憶ユニット(LSTM)/単純RNNの長期依存性問題/RNNの構造/LSTMの構造
[麻里ちゃんのAI奮闘記] 人生はリカレントでない方がいい場合もある

第13章 敵対的生成ネットワーク(GAN)
GANとは/GANの現在の実力/潜在変数とノイズ/DCGAN/GANの学習/アップサンプリング/GANの用途
[麻里ちゃんのAI奮闘記] GANの学習は切磋琢磨

第14章 半教師あり学習とオートエンコーダー
半教師あり学習とは/半教師あり学習のモデル/分類器に基づく手法…ブートストラップ法(Bootstrapping)/データに基づく手法…グラフベースアルゴリズム/オートエンコーダー(Auto Encoder)/オートエンコーダーの利用例/VAE(Variational Autoencoder)/半教師ありVAE/Conditional GAN CENGAN)VAEGA
[麻里ちゃんのAI奮闘記] 生成モデルと識別モデルの違い

第3部 ビジネスに活用するための人工知能を学ぶ
第15章 AIをビジネスに活用する際に押えておくべきポイント
非構造化データ(Unstructured data)を処理する目的/人工知能に何を期待するか/人工知能の得意なことと活用分野/ビジネスにAIを活用する分野と脅かされる職業
[麻里ちゃんのAI奮闘記] ERPを取り巻くAI活用

第16章 AIのビジネス活用を業界別に状況把握する
産業別の人工知能活用状況/慈善事業(For Good)/農業(Agriculture)/法曹界(Legal)/ガス・石油業界(Oil&Gas)/医療・ヘルスケア(Medical/Healthcare)/製造業(Manufacture)/EC・小売業(Retail/Commerce)/B to Bセールス&マーケティング(B2B Sales&Marketing)
[麻里ちゃんのAI奮闘記] スマホがビッグデータの鍵となる時代

第17章 RPA(Robotic Process Automation)
RPAの仕組み/RPAに必要な機能/RPAの利用用途/RPAの3つのクラス/RPAの弱点/RPA製品の違い/RPAの今後
[麻里ちゃんのAI奮闘記] RPA導入で失敗するケース

ビジネスパーソンのための人工知能入門

人工知能を大ざっぱに知る

本書は、ビジネスマン向けの人工知能について解説した本です。人工知能とは何か、何のために人工知能をつくるのか、という素朴な疑問から始め、人工知能の種類や知能を得るための手法に関する解説、機械学習の概要と大まかな流れといった、人工知能の基本的な内容をまとめています。

巣籠 悠輔 (著)
出版社 : マイナビ出版 (2018/5/24)、出典:出版社HP

イントロダクション

「ちょっとさ、人工知能を使ってなんかプロジェクトやってみてよ。」
こんな一声が、目の前に座っている上司からあなたに投げかけられたとしましょう。毎日のように人工知能(AI)に関する話題がニュースで取り上げられていますし、社内でこうした発言が出てくるのは、ごく自然な流れと言えます。では、いざこの言葉を目の前にしたとき、あなたならどういった反応をするでしょうか?
もしかすると、これは大きなチャンスだ、と思う方もいらっしゃるかもしれません。しかし、おそらくこの文章を目にしている多くの方が、こう思うのではないでしょうか。
「これは大ピンチだぞ」と。
あなたは素晴らしいビジネスマンでしょうから、そんな内心の焦りは露ほども表面には出さず、「任せてください」と返事をするでしょう。でも、ここからが大変です。この局面を打開するには、いったいどうすればいいでしょうか。
この本の目的は、こうした、ビジネスの現場で起こり得るであろうピンチな状況を、チャンスに変えることです(あるいは、もしあなたが上司の立場だったら、知らず知らずのうちにピンチな状況をつくり出してしまわないようにすることです)。世の中で氾濫してしまっている「人工知能」という言葉に惑わされないようにするためには、人工知能についての正しい知識を身につけ、理解することが必要です。
では、そもそも人工知能とは何でしょうか? そのまま文字通りに見れば「人工的な知能」あるいは「人工的につくられた知能」と読むことができます。一方で、世の中を見渡すと、何か「人間を超える知能をもった存在」がイメージされている場合が多いようにも思えます(そうすると、今度は「知能とは何か」あるいはもっと突き進むと「人間とは何か」と言った、哲学的な問いについつい頭が向いてしまいますが、それは脇に置いておきましょう)。
本書では、人類を滅ぼしてしまうような恐ろしいロボットも、あるいは、「助けて!」と叫ぶと、未来の道具で何でも願いを叶えてくれる青いロボットも出てきません。もっと、きちんと地に足の着いた人工知能の話をしていきます。人工知能は、1950年代から現在にいたるまで最も盛んに研究されてきた分野のひとつであり、学問としても非常に体系的にまとまっています。今世の中を賑わせているのは、その研究の成果と言えるでしょう。
一方、「人間を超える知能をもった存在」がすでにできているかと言うと、ご存じのとおりそれにはまだまだいたっていない、というのが現状です。しかし、それを実現すべく、たくさんの研究がなされ、たくさんの技術が確立されてきました。この確立されてきた技術が、今の人工知能ということになります。
その中でも、特に大きく人工知能分野の発展に貢献したのが、機械学習そして深層学習(あるいはディープラーニング)と呼ばれる技術になります。名前だけは聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。ですので、「人工知能でなんかプロジェクト」と言われたときには「機械学習・深層学習でどうビジネス課題を解決すればよいか」と置き換えて考えればよいケースがほとんどです。
では、これらの人工知能技術の中身は何かと言うと、その大部分は数学によって支えられています。数式によって人間の知能は記述され、機械に組み込まれている、すなわちプログラミングされているわけです。
さて、数学、と聞いてこの本を閉じたくなった方もいるかもしれませんが、安心してください。本書はあくまでもビジネスで人工知能を活用するために知っておくべきことをまとめたものですから、難しい数式は一切出てきません(もちろん、プログラミングも)。それよりも、機械学習・深層学習がどういった考えに基づいてできた技術なのか、そしてどういったシーンでその技術が活かされるのかについて、多くのページを使って説明していきます。
機械学習・深層学習という言葉は聞いたことはあるけれど、実際にそれがどういったものなのかよく分からない、どういう風にビジネスに適用できるのかよく分からない、どういう風に評価すればよいのかよく分からないといった方にとって、本書は役に立つはずです。
ここで、あらかじめお断りをしておきます。この本はあくまでもビジネスマンの方に向けたものですので、厳密さを追求するというよりかは、ビジネスを進めるうえで知っておくべきことをまとめたものになります。ですので、人工知能の研究をしている方、あるいは技術者の方にとっては、もしかすると「ここは説明が足りないのでは」と思われる箇所があるかもしれません。そういった方は、一歩引いて、「でも確かにこの本の内容くらいの理解がある人とだと、一緒に仕事がしやすくなりそうだ」くらいに思ってもらえれば幸いです。それが、この本の目的でもあります。
人工知能は万能ではありません。ビジネス上における課題は千差万別ですが、人工知能に向いているもの、向いていないものは当然あります。本書が目指すのは、そうした課題が目の前にやってきたときに、それがそもそも人工知能で解決できるものなのかを判断できること、そしてもし解決できるならば、人工知能のどの技術を使えばよいのかまで分かるようになることです。
私は職業柄、人工知能を使ってこういうことがしたい、こんなことはできるのか、といった相談をいただくことがよくあります。その内容は抽象的なものから具体的なものまでさまざまですが、そこからたくさん会話を重ねるうちに、実は意外と多くの方が、同じような箇所で悩みや疑問を抱えているということを知りました。本書は、そうした共通の疑問になるべく多くお答えできるような内容にまとめたつもりです。

「ちょっとさ、人工知能を使ってなんかプロジェクトやってみてよ。」
こんな一声がやってきたときに、内心ニヤリとしながら、そんなことは露ほども表面には出さず、
「これは大チャンスだぞ」
と思えるようになる。そして、実際にチャンスをものにする。これが、私の心からの願いです。

2018年4月
巣籠悠輔

巣籠 悠輔 (著)
出版社 : マイナビ出版 (2018/5/24)、出典:出版社HP

Contents

イントロダクション

1 知識編 人工知能とは
1.1 そもそも人工知能をつくる目的は?
「面倒くさい」が技術を進歩させる
ビジネスも「効率化」するのではなく「楽」をする
1.2 その人工知能「どの」人工知能?
強い人工知能と弱い人工知能
「弱さ」にも種類がある
1.3 知能を得るには知識が必要
思考が早い人工知能―第1次ブーム
何を思考すればいい?
博識な人工知能―第2次ブーム
あいまいな知識は人間だけのもの
知識だけで知能はできない
1.4 人間が頑張るから機械が学習するへ
学習とは、パターンに分けること
パターンに分けるとは、知識を身につけること
学習する人工知能―第3次ブーム

2 実用編 機械学習:問題を整理し解決する
2.1 問題を整理する
課題のパターンを整理する
課題設定を整理する
2.2 問題へのアプローチ
人間も機械も、知らないものは知らない
アプローチのときは、三角関係を意識する
2.3 学習を評価する
評価のために未知をつくりだす
評価の落とし穴に注意
数値が悪くても「いい」場合がある
評価のインパクトは%になる
2.4 推薦問題を考える

3 発展編 深層学習というブレイクスルー
3.1 深層学習は「どこが」すごいのか?
特徴を捉えないと予測はできない
脳みそをモデル化する
テクノロジーの進化は単独では成し得ない
3.2 深層学習は「どこで」すごいのか?

4 実践編 ビジネスでAIを展開する
4.1 中を育てるのか外に頼むのか
データサイエンティストなのか 機械学習エンジニアなのか
ブーム最大の貢献は環境が整ったこと
4.2 機械学習に必要なものを知る
(再び)ブーム最大の貢献は環境が整ったこと
4.3 機械学習なのか統計なのか

エピローグ
索引

巣籠 悠輔 (著)
出版社 : マイナビ出版 (2018/5/24)、出典:出版社HP

坂本真樹先生が教える 人工知能がほぼほぼわかる本

人工知能について楽しくわかりやすく

本書は、人工知能を全く知らなくても楽しく読めることを目標としている本です。著者は、人工知能の専門家であり,一般の方にもわかりやすく楽しい内容にまとめています。人工知能の基本的な内容や人工知能をつくるためのディープラーニングの解説、人工知能の実用例などが学べます。

坂本 真樹 (著)
出版社 : オーム社 (2017/4/26)、出典:出版社HP

はじめに

ここ数年、人工知能関連の本がたくさん出版されています。売り上げも上々なようで、かなり世の中に普及しているようです。なので、いまさら人工知能の本を書いても遅いのではないかと思い、自分から積極的に人工知能についての一般書を書こうとは考えていませんでした。そんな折、別の企画で本を書かせていただいたオーム社さんから、「人工知能学会の学会誌の編集委員をしているなら、坂本先生ならではの人工知能の本を書いてみては?」というご提案をいただきました。頼まれると嫌と言えない性格で(もちろん物理的に不可能な時などはお断りしますが、きっと神様がくださったチャンスなのだと思い込む癖もあり、有り難くお引き受けしました。

「私ならではの人工知能の本」と言うことで、最初に思いついたのは2014年度人工知能学会論文賞をいただいた「オノマトペごとの微細な印象を推定するシステム」(人工知能学会論文誌29巻1号)や「ユーザの感性的印象に適合したオノマトペを生成するシステム」(人工知能学会論文誌30巻1号)を基にした本でしたが、マニアックすぎるということで、マニアック路線から入門書路線へ方向転換をしてみました。

人工知能の専門書は読んでいたのですが、この機会に、世の中にどんな入門書が出ているのか調査し、入門書を勉強してみました。その結果、「わかりやすいはずの入門書は、一般の人が読むには結構難しいのではないか」という印象を持ちました。実際、一般の人は、人工知能について「難しい」という印象を持っているようで、わかろうとする気持ちにもならない、といった声を耳にしてきました。そこで、とにかく楽しくわかりやすい本を、という思いで、本書を書きました。

本書は、人工知能を全く知らない方でも楽しく読めることを目指した内容です。高校生などこれから進路を考えている人、文系に進んだけど人工知能のことが気になる人、理工系の大学でこれから情報系の研究を始める人、人工知能の存在を無視できない企業の人、人工知能社会を生きていく子供の将来が気になる人、生涯現役でいたい高齢の人、老若男女のみなさんに読んでいただきたいです。

わかりやすく楽しい人工知能の本を目指して書き始めたのですが、やはりディープラーニングの話などの技術的な話を避けられず、3章がどうしても難しくなってしまいました。この部分は、どの入門書でも最も難しくなってしまう部分で、入門書の著者泣かせなところです。泣く泣くオーム社さんに原稿をお送りしたところ、わかりやすいイラストのおかげで、とても楽しい印象になって戻ってきました。とてもありがたかったです。

校正の段階で、今年度、研究室でディープラーニングを使った卒業研究を担当した川嶋卓也君に読んでいただき、わかりにくいところや疑問点など、気づいたところについて意見をもらいました。卒業論文も終わり、卒業間際でどこかに飛んでいきたいような時期に、丁寧に読んでくれて本当に感謝しています。
最後に、短時間で企画を推進してくださったオーム社書籍編集局の皆様、素敵なイラスト描いてくださったオフィスsawaの澤田様には大変お世話になり、ありがとうございました。

本書を通して、人工知能に関心をもってくださる方が一人でも増えるよう祈りつつ。

2017年3月
坂本 真樹

坂本 真樹 (著)
出版社 : オーム社 (2017/4/26)、出典:出版社HP

目次

Chapter 1 人工知能ってなに?
1.1 人工知能っていつ生まれたの?
●人の知能? 人工知能?
●どっちが人間? チューリングテスト
●寂しそうな、人工知能!?
●人と人工知能の違い
●コンピュータの性能とともに
●AIの歴史<ダートマス会議>
●AIの歴史<第1次AIブーム>
●AIの歴史<第2次AIブーム>
●そして現在、第3次AIブーム!
1.2 これって人工知能?
●人工知能とロボットの違い
●ロボット研究? 人工知能研究?
●人工知能に身体は必要?不必要?
●レベル1の人工知能
●レベル2の人工知能
●レベル3の人工知能
●レベル4の人工知能、特化型人工知能
●レベル5の人工知能、汎用人工知能
1.3 人工知能は人を超えるの?
●シンギュラリティとは?
●怖い? 怖くない? シンギュラリティ
●汎用人工知能を作るには?
●AIによる、人類滅亡の可能性は…..?
●AIで私たちの未来はどう変わるのか?
●将来、なくなってしまう仕事!?
●将来、残っている仕事!?

Chapter 2 人工知能に入れやすいものと入れにくいもの
2.1 人工知能に入れやすいもの
●Webにある情報は、何でも入れられる
●0と1のデジタルデータ
●色々なデータ(言語、動画像、音声)
●視覚情報をコンピュータに入れる
●デジタルカメラの進化
●画素数が上がって、人間を超える!?
●世界中で使われる同じデータ
●画像認識のコンペ、ILSVRC
●聴覚情報をコンピュータに入れる
●2つのマイクを使った音声認識
●複数のマイク「マルチマイク」
●音声を文字に変換するには?
●音響モデル、言語モデル
2.2 人工知能に入れにくいもの
●意味を理解するのは難しい…..
●意味ネットワークとは?
●意味を理解しなくても、答えられる!?
●潜在的意味解析とは?
●東ロボ君があきらめた理由
●賢くなるには、五感すべてが必要!?
●人工知能の味覚とは?
●人工知能の嗅覚とは?
●匂いはこれからどうなるのか?
●人工知能の触覚とは?
●触覚を実現するのは大変!

Chapter 3 人工知能は情報からどのようにして学ぶの?
3.1 機械学習って何だろう?
●機械(コンピュータ)に学習させたい!
●教師あり学習とは?
●分類問題<スパムメールを判断する>
●回帰問題<数値を予測する>
●びったりの線(関数)を見つけよう!
●過学習に注意しましょう!
●教師なし学習とは?
●グループ分けをしてみよう!
●k-meansという分類方法
●強化学習は、アメとムチ
3.2 ニューラルネットワークってどんなもの?
●脳はニューロンでできている
●人工ニューロンのしくみ
●重みは、重要度や信頼度
●ヘップの学習則
●パーセプトロンとは?
●1本の線(線形)では、分けられない!
●バックプロパゲーション(誤差逆伝播法)
●誤差が小さくなるように、重みで調整!
●層を増やすと…届かない!?
●サポートペクターマシンの長所とは
●過学習と汎化は、トレードオフ
3.3 ディープラーニングは何がすごいの?
●ディープラーニングが有名になった日
●自分で特徴量を抽出するのがすごい!
●ディープラーニングは4層以上
●自己符号化器は、入力と出力が同じ!?
●入力と出力を同じものにする意味
●人間に近い、かもしれない…?
●ディープラーニングの手法
3.4 AI御三家「遺伝的アルゴニズム」って何?
●AI御三家の面々
●ダーウィンの進化論をもとに
●遺伝的アルゴリズムの使い方

Chapter 4 人工知能ってなに?
4.1 人工知能の進化がわかる「ゲーム」での実用例
●ゲームAIの進化の歴史
●人間 vs Al ~チェス編~
●人間 vs AI ~将棋編~
●人間 vs AI ~囲基編~
4.2 第3次AIブームの火付け役「画像」での実用例
●Googleの猫
●画像認識の進化
●医療への応用(庄野研究室)
●医療への応用(メラノーマの判別)
●医療への応用(がんの検出)
●診断の精度向上のために
4.3 何かと話題の「自動運転AI」の実用
●どこまで自動に?
●自動運転を実現するためには
●自動運転の訓練の手順
●位置や状況の把握のために
●事故の場合、原因究明は…?
4.4 「会話AI」の実用例
●コンピュータと対話するためには
●「知識がある」会話AI
●「知識がない」会話AI
●会話を作る、3種類の技術
●自然な会話をするためには
4.5 遺伝的アルゴリズムの「オノマトペ」への実用例
●人の心に寄り添うオノマトペ
●オノマトペを生むシステム
●オノマトペを生成する手順
●最適化の過程で行われること
●オノマトペ生成システムのしくみ
●できあがったオノマトペ
4.6 AIの「芸術」での実践例
●AIの芸術への挑戦 ~小説編~
●AI小説のプロジェクト
●AIの芸術への挑戦 ~絵画編~
●AIの芸術への挑戦 ~作曲編~

おわりに
参考文献
索引

坂本 真樹 (著)
出版社 : オーム社 (2017/4/26)、出典:出版社HP

最新 図解で早わかり 人工知能がまるごとわかる本

AIの理解をよりはっきりさせる

本書は、AIの歴史、基礎知識、活用事例から技術など幅広い内容についてまとめています。人工知能に対する過剰な期待や過度な不安が沸き起こる原因である、理解のあいまいさを具体的な知識で解消しようとしています。AIについて知らない方でも理解できる内容となっています。

田口和裕 (著), 森嶋良子 (著)
出版社 : ソーテック社 (2017/10/7)、出典:出版社HP

はじめに

ここ数年、人工知能(Artificial Intelligence; AI)という言葉がテレビや新聞、ウェブなどのニュースで頻繁に登場するようになりました。囲碁に勝ったとか小説を書いたとか、はたまた人間の仕事を奪ったり、近い未来に人類を超えるなんていう話まで飛び出す一方、単なるブームにすぎないという意見もあり、期待と不安と混乱が社会に渦巻いているように思えます。
過剰な期待や不安は、その実態がつかめないことから生まれます。確かにAIはその定義からして曖昧なうえ、関連技術も難解で、全体を把握するのは困難です。そこで、この本では、AIの歴史から基礎知識、活用事例から技術までを網羅し、幅広い知識がひと通り得られるような内容を目指しました。

この本の構成は次の通りです。
第1章 AIの最新動向と基礎知識 : Googleの猫やAlphaGoの解説、AIが引き起こす社会問題、シンギュラリティまで、AIを取り巻く全体像や基礎知識をまとめました。
第2章 生活に浸透する身近なAI : チャットボットや家電、金融や製造など、私たちの生活に入り込んできているAIを紹介しています。
第3章 企業の取り組みと活用事例 : AIに関わる代表的な企業の動向を紹介しています。
第4章 AIを支える技術と仕組み:ディープラーニングや機械学習など、AIの技術について解説しています。
各項目は独立しているので、順番に読まなくても構いません。興味がある部分から読んでみてください。初めてAIに触れる人でもすんなりと頭に入るように、難しい用語や数式はできるだけ避け、具体的にイメージしやすい事例を多く取り上げています。
本書を読み終えた頃には、ぼんやりしていたAIの姿が少しはっきりと見えてくるはずです。そして、広く深いAIの世界に足を踏み入れるきっかけとなれば幸いです。

2017年9月 森嶋良子

田口和裕 (著), 森嶋良子 (著)
出版社 : ソーテック社 (2017/10/7)、出典:出版社HP

Contents

はじめに

第1章 AIの最新動向と基礎知識
1-1 AIブームの正体
1-2 AI進化の歴史と「賢さ」の変化
Column AIの「人間らしさ」を測るチューリングテスト
Column AIが賢くなると人間も賢くなる!?
1-3 “人間 vs. AI” ゲーム対戦の歴史
Column カスパロフ敗北その後
Column 将棋界も制したAI
1-4 強いAIと弱いAI
Column 人間の脳の完全再現をめざす
1-5 なくなる仕事と生まれる仕事
Column AIで楽になる仕事
1-6 AIに創作はできるのか?
1-7 AIを今すぐ試せるウェブサービスやプログラム
1-8 産業・法律・倫理・哲学 AIが変える社会とは
1-9 SFは現実になるのだろうか?
Column ドラえもんの実現性
Column シンボルグラウンディング問題
1-10 人類の知能をAIが超越 シンギュラリティとは

第2章 生活に浸透する身近なAI
2-1 音声アシスタントとチャットボット
2-2 「おすすめ!」と言ってくれるAI
Column AIを使ったレコメンドエンジンの利用
2-3 部屋が自動で掃除され、好みの料理が出てくる「スマート家電」
2-4 家庭内情報機器の司令塔「スマートスピーカー」
2-5 人のために働く「サービスロボット」
2-6 クルマ・タクシー・バスの「自動運転システム」
Column ドライブの楽しみをサポートしてくれるAI
2-7 医療分野で活躍する「AIドクター」
Column ロボットドクター
2-8 スポーツ界におけるAI活用
2-9 AIの導入が着々と進む「フィンテック」
2-10 AIが実現する第四次産業革命「インダストリー4.0」
2-11 AIが変える広告の姿
2-12 AIが作る安全で快適な生活「社会インフラ」
Column 横浜市のゴミ選別対応チャットボット

第3章 企業の取り組みと活用事例
3-1 世界のAI研究をリードするGoogle
Column 分社化された自動運転車
Column 囲碁の次にチャレンジするゲームは?
3-2 ユーザープライバシーを考慮したAppleの取り組み
3-3 巨人IBMを牽引するWatson
Column Watsonの学習方法
Column WatsonはAIではない?
3-4 着実に基礎研究を重ねるMicrosoft
Column Cortanaの名前の由来
Column Microsoft Azureで公開されている主なAPI
3-5 膨大なユーザーデータをAIに活かすFacebook
Column 頭で考えるだけで文字を入力できる夢のデバイス
3-6 ボイスファーストを標榜するAmazon
column ベゾスの檄
3-7 天才起業家イーロン・マスク AIに対する独自の視点に注目
Column マスクのAI脅威論は「単なるマーケティング」との指摘も
3-8 中国のAI分野をリードするBaidu(百度)
3-9 AIプラットフォームClovaで勝負をかけるLINE
3-10 日本でトップクラスの実績を誇る富士通
Column 実証実験から実稼働に進めるための条件
Column ディープラーニング専用AIプロセッサ「DLU」
3-11 世界一の音声認識技術を活かすNTTグループ
3-12 AI事業に注力するソフトバンクグループ
3-13 将来を見据えた独自の研究を進めるドワンゴ
Column AIがアニメーターになる未来
3-14 AIを用いたAPIを無料提供するリクルートテクノロジーズ
3-15 プロセッサーメーカーNVIDIAとインテルの戦略
Column Googleもチップを開発
3-16 群雄割拠するAIスタートアップ

第4章 AIを支える技術と仕組み
4-1 そもそもAIとはどのような技術なのか?
4-2 チャットボットの仕組み
4-3 AIを支える「機械学習」とは
4-4 教師あり学習と教師なし学習
4-5 強化学習
4-6 ニューラルネットワーク
4-7 ディープラーニング
Column Al、機械学習、ディープラーニング
4-8 パックプロパゲーションと過学習
4-9 ディープラーニングを実現するハードウェア
Column AIの最新情報を入手するには

主な参考資料・出典リスト
索引
あとがき

田口和裕 (著), 森嶋良子 (著)
出版社 : ソーテック社 (2017/10/7)、出典:出版社HP

世界一カンタンで実戦的な文系のための人工知能の教科書

AIの今と未来がよくわかる

AI時代の今、AIに関する知識は教養として身につけておくことが求められます。本書は、第一線で活躍しているAIの研究者が人工知能にまつわる素朴な疑問や知っておくべきことなどを丁寧に解説していきます。専門用語や数学・プログラミングの知識が無くてもわかる、一問一答方式の構成になっています。

福馬 智生 (著), 加藤 浩一 (著)
出版社 : ソシム (2020/4/2)、出典:出版社HP

はじめに

筆者は、AIの研究者です。AIの基礎研究を行いながら、AIを導入したいという企業の支援活動も行っています。
日々いろいろな方とお話させていただく中で、「人工知能(AI)は、謎につつまれている」と不安を感じられている方が多いことを気にしています。
確かに、ここ数年は「AIであなたの仕事はなくなる!」「AIが人を支配し始める」というような書籍が多く出版されました。恐怖を煽るものや、また技術的にこの先の数年間では実現できないSFの世界を、明日のことのように描いているものもあります。
AIは、大きな技術革新であり、人の営みに直接影響を与えるために、誰もが期待よりも先に不安を感じるのは、ある意味必然なのかも知れません。また、AIが様々な科学や数学の組合せでできているため、エンジニアではない人にとって、その中身を理解するのが容易ではないということも、AIが謎めいてみえる理由の一つと思います。
そのためでしょうか、ここ数年、AIについて単に技術的なことだけではなく、次のようなリクエストを受けることが多くなっています。

・AIは既に身近にあるもので、個人でも仕事でも使わないといけない。素人向けのAI本は、概念が書かれているだけで具体的ことがわからない。その一方で、AIの中身を知ろうと思うと、数式やプログラミングのコードが書かれている本ばかりで、それこそ意味がわからない。技術者ではない自分がAIを理解するにはどうしたら良いだろうか?
・上司からAIを使って事業を始めたいといわれた。何から始めれば良いのだろう?
・部下からAIを利用したいと提案があったが、その投資が妥当なのかわからない?
・AIの仕組みがわかっていないので、AIが導く答えを信頼できない?AIをどこまで信じてよいのだろう?
・AIの中身を知りたいけれど、数式で説明されても分からないし、プログラミングをしたいわけでもない。
・AIは、誰がどのように研究しているのだろう?AIはこの先にどうなるのだろう?
・AIを使って何かする(投資)なら、いつがベストなタイミング?

これらは、AIを利用する人のみならず、AIを用いて仕事を改善したい、もしくは新しい事業を創造したい人にとって切実な問題です。筆者が本書を執筆するきっかけは、まさにここにあります。
本書は、AI研究者の立場から、AIの真実をお伝えするために執筆しました。対象を文科系の方とし、数学の知識がなくても理解できるように工夫しています。もちろんプログラミングの知識も不要です。

10年後に何が最先端になるかを予見するということ
昨今のAI技術の進歩は目を見張るものがあります。それは間違いありません。しかし技術の移り変わりというのは激しく、今はやりのディープラーニング技術(追って本書の3章で解説します)も10年前は“過去”のものでした。AIブームは、去っては訪れを繰り返しています。10年後に何が最先端になるかを予見するのは容易ではありません。
ある日、筆者が何気なく見ていたお笑い番組に「さらば青春の光」というコンビが出演されていたのですが、彼らのネタを見たとき、何か恐ろしいものを感じました。

ある博士はタイムマシンの研究をしています。ある日新しいタイムマシン理論を自信満々に発表しました。この理論によって大きなブレイクスルーが起き、タイムマシンは多くの研究者によってすぐにも完成するはずだと信じて。
そして博士が部屋に戻った直後、博士の目の前に突然青年が現れます。青年はなんと未来からタイムマシンでやって来たといいます。
「やった!タイムマシンは実現したんだ!」その事実に博士は大きく喜びます。その青年に「いつの時代から来たのか?」と訪ねたところ「52万年後」と答えるではありませんか。
そこから青年は畳み掛けます。「未来のタイムマシンは博士の考えているものとは、仕組みが全然違います。それどころか、教授が発表した論文のせいで、世界中の研究者が一気にそっちに向いてしまい、完成が48万年も遅れてしまいました。」

昨今のAI開発の流れが、これと同じとは思いませんが、とても心に刺さります。これからのAI技術の発展はどうなるか本当にわかりません。この本を執筆している間にも、すごいスピードで技術革新が起きています。
今のブームは、もしかしたら未来のAIの発展を、ある面で阻害している可能性もゼロではありません。そのことを考えますと、このAI時代に生きていくために大事なことは、きっと次のようなことです。

・常に新しいこと吸収する姿勢
・周りに流されず、AIを良い点でも悪い点でも多面的に捉える目線
・技術を無条件に信じないこと

AI研究において、情報の価値は劣化する速度がとても速いです。常に何が起きているのかを把握しておく必要があります。
そして多面的な目線も重要です。新しい技術によって何ができるようになったのか、そのリスクはなんなのか、それによって社会はどのような方向へ進むのか。
それらの視点から本書では、次のような内容を扱います。

そもそもAIとは何か?
AIはとかくブラックボックスにみえます。本書ではAIを正しく活用していただくために、まずAIの基本的な仕組みを解説します。AIの持つ神秘性の謎も解明します。

AIが学習するとはどういうことか?
AIが答えを出すということは、AIの中で何らかの学習と判断が行われていることになります。AIが行う学習は、いったいどのように行われているのでしょうか?それは人がする学習と同じでしょうか?その仕組みを知れば、AIが導く結果をどのぐらい信用できるかがわかります。

AIはこの先、どう進化するか?
AIの近未来を予見するために、これまでAIの進化の過程を解説します。この数年でAIの学習レベルは急速に進化しています。AIがAIを作りだし、AIがAIの正しさを監視するなど新しい仕組みが開発されています。

AIは間違える
AIは万能ではありません。設計者が想定しなかった間違えをしてしまうことは、実のところ良くあります。なぜAIは間違えるのでしょうか?AIが導く答えは偶然の産物という人もいます。その理由とAIを信頼できるものにするための方法を解説します。

AIの中に芽生えた悪意や差別意識
AIの学習過程が高度に自動化したために、AIが人を欺くような動作をするようなことが起きています。AIが導く結果に悪意や差別意識が含まれるようにもなり、またAIによってフェイクニュースやフェイク動画を簡単に作れるようになってしまいました。それらの仕組みと対策について解説します。

AIの研究最前線
AIは世界中の研究者により日々改良が進んでいます。その実態を知ることは近未来のAI像をイメージするのに重要です。世界のいったい誰がAI研究をリードしているのか?AI研究は、どのようなモチベーションで行われているのか?AI研究のプログラムはなぜオープンソースとして無料で公開されることが多いのか?AI研究は華やかに見えるなかで、間も存在しています。世界のAI研究と研究者の実像に迫ります。

AIを使いこなすには?
AIは複合的な技術です。AIを使いこなすことは料理に例えることができます。良い食材があっても、それだけでは料理になりません。レシピがあり調理道具が揃い、そこに料理人がいてようやく料理ができあがります。AIの世界も同様で、何か一つのプログラムがあれば、システムが完成して良い答えが導けるということはありません。

AIに投資すべきタイミングは?
AIを実際に使う際に、もしくは会社でAIを用いた事業に投資する際に、早ければ早いほど良い場合もありますが、思い立ったら吉日ではない場合もあります。AIには、いくつもの種類があり、それぞれ得意不得意があります。本書では、ビジネスモデルとAIの精度との関係から、AI投資を成功させる要素について考えます。またAIを適用するにあたり、技術だけでは解決できないことがあるのも大きな課題です。例えば自動運転AIの「ある人を助けるために他の人を犠牲にするのは許されるか?」というトロッコ問題は有名です。倫理面や法律面の整備が求められる点についても考慮が必要です。

本書では、企業や大学のAI研究者が見ている世界観を、俯瞰的に読者と共有することを目指しています。必要な理論は、抽象的にし過ぎると逆に分かりにくくなりますので、できるだけ正面から取り上げます。
本書をお読みいただくことで、「AI内部の仕組み」はもちろん、「AIの研究者が考えているAIの未来や価値観」そして「AIの正しい利用法や適切な投資のタイミング」などを知ることができます。AIをビジネスで活用する場合には、いわゆる「データサイエンティスト」や「AIエンジニア」と呼ばれる技術系の人たちと、同じ目線で会話ができるようにもなるようことを目指しました。
本書が読者のみなさんのお役に立てば幸いです。

2020年3月
東京大学大学院博士課程/株式会社TDAI Lab代表 福馬智生
早稲田情報技術研究所代表 加藤浩一

福馬 智生 (著), 加藤 浩一 (著)
出版社 : ソシム (2020/4/2)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 「AIってスゴイ!」と思ってしまう理由
1-1 なぜ人は「AIってスゴイ!」と思ってしまうのですか?

第2章 AIの正体
2-1 何ができたらAIと呼べるのですか?
2-2 AIが考える合理的とはどういうことですか?
2-3 AIはどうやって最高の一手を選ぶのですか?
2-4 AIはどうやって失敗から学ぶのですか?
2-5 どうしてAIには大量のデータが必要なのですか?

第3章 AIはどのように進化してきたのか?
3-1 なぜ、いまAIが注目されているのですか?
3-2 AI研究が急拡大しているという根拠はなんですか?
3-3 昔のAIってどんなものだったのですか?
3-4 昔のAIと今のAIのちがいは何ですか?
3-5 機械学習って何ですか?

第4章 AIはどこまで人に近づけるのか?
4-1 AIは人の気持ちを理解できますか?
4-2 AIが書いた文章に知性を感じるのはなぜですか?
4-3 AIが賢くなるのに人の知識は役立ちますか?

第5章 AIは間違える
5-1 どんなときにAIは間違うのですか?(その1)
5-2 どんなときにAIは間違うのですか?(その2)
5-3 どんなときにAIは間違うのですか?(その3)
5-4 どんなときにAIは間違うのですか?(その4)
5-5 AIが出した答えは信用してよいのでしょうか?

第6章 AIの内部に潜む悪意とは?
6-1 AIを騙せるって本当ですか?
6-2 AIが人を差別するって本当ですか?
6-3 AIの予測や決定を信じてもらうには何が必要ですか?
6-4 AIはどのように予測や決定の根拠を説明してくれるのですか?
6-5 AIの予測や決定を信じてもらうために説明以外の方法はありますか?

第7章 これからのAIはどうなる?
7-1 AIが感情を持つようになるって本当ですか?
7-2 AIがAIを作るってどういうことですか?
7-3 囲碁AI同士が対局したらどうなるのですか?
7-4 AIはどのようにリアルなフェイク画像を作るのですか?
7-5 AIはどのように不良品を見つけるのですか?

第8章 AI研究の最前線
8-1 AIの研究が急速に進んでいる理由を教えてください
8-2 世界でAI研究をリードしているのはどこの国ですか?
8-3 最先端のAI研究に触れるにはどうすれば良いですか?
8-4 AI研究の成果はどのように評価されているのですか?
8-5 AI研究のいまの課題はなんですか?

第9章 AIを使いこなすには?
9-1 AIプロジェクトに取り組むときの注意事項を教えてください
9-2 AIプロジェクトで差をつけやすいポイントを教えてください

第10章 AI投資を成功させるには?
10-1 どんな領域のAIに投資すれば良いですか?
10-2 AIビジネスにチャレンジする際の注意事項を教えてください

第11章 近未来のAIはどうなるか?

おわりに
図版出典
参考文献

福馬 智生 (著), 加藤 浩一 (著)
出版社 : ソシム (2020/4/2)、出典:出版社HP

学校では教えてくれない大切なこと(29)AIって何だろう?-人工知能が拓く世界-

AIのきほんをマンガで学ぶ

本書は、AI(人工知能)について、楽しくマンガで学べる本です。AIは、様々なメディアで取り上げられ、誰もが何度となく聞いたことがある言葉ですが、そもそもAIとは何でしょうか。本書では、AIの性質やAIができること、機械学習の概要や活用方法、人間との関わりなど、AIにまつわる項目を網羅しています。

はじめに

テストで100点を取ったらうれしいですね。先生も家族もほめてくれます。でも、世の中のできごとは学校でのテストとは違って、正解が1つではなかったり、何が正解なのかが決められないことが多いのです。
「私はプレゼントには花が良いと思う」「ぼくは本が良いと思う」。どちらが正解ですか。どちらも正解。そして、どちらも不正解という場合もありますね。

山登りで仲間がケガをして動けない。こんなときは「動ける自分が方位磁石にしたがって下りてみる」「自分もこのまま動かずに救助を待つ」。どちらが正解でしょう。状況によって正解は変わります。命に関わることですから慎重に判断しなくてはなりません。

このように、100点にもなり0点にもなりえる問題が日々あふれているのが世の中です。そこで自信をもって生きていくには、自分でとことん考え、そのときの自分にとっての正解が何かを判断していく力が必要になります。

本シリーズでは、自分のことや相手のことを知る大切さと、世の中のさまざまな仕組みがマンガで楽しく描かれています。読み終わったときには「考えるって楽しい!」「わかるってうれしい!」と思えるようになっているでしょう。

本書のテーマは「AIって何だろう?」です。みなさんの中には、「AI」や「人工知能」という言葉をニュースや新聞で見かけたことのある人もいるかもしれません。「AI〔人工知能〕」は、すでに身の回りに存在しているものもあり、私たちの生活をより便利にしてくれることが期待されています。AIがさらに発達、普及した未来を想像しながら、みなさんも、本書でAIの基本について学んでみましょう!

旺文社

もくじ

はじめに
この本に登場する仲間たち
プロローグ

1章 AIってこんなもの!
AIってよく聞くけど何?
AIってなんのためにあるの?
インターネットにつながるAI
AIにもいろいろな種類がある
AIってどういうしくみ?
AIとプログラミング

2章 AIができること
AIは目を持っている?
AIの歴史
AIは言葉がわかる?
音声をちゃんと聞き取れなくてもAIは言葉を選び出す!
AIにも得意・苦手がある!
弱いAI、強いAI

3章 AIはどのようにして学ぶのか
AIはどうやって学ぶの?
AIは強化学習で成功と失敗を学ぶ!
AIも自分で学ぶ?
ディープラーニングを可能にするニューラルネットワーク

4章 AIの活用事例
AIが店員さん?
AIは診察もできる!
AIが車を運転する
芸術家にもなれるAI
AIにも気持ちがわかる?
これがAIランド島だ!
AIはゲームでも大活やく!
ミラクル波動の使い道
AIの進化と仕事の変化

5章 人間とAIの共生
Alってこわいの?
AI開発にもルールがある!
プロローグの少し前の話
ほかにもある! AI開発のルール
ゴリさんのおなやみ解決
AIかどうかはどうやって決める?
人間対AI、勝つのはどっち?
ゴリズム体そう
ゴリさん誕生の物語
知っておきたいAI用語

エピローグ

スタッフ
●編集 廣瀨由衣
●編集協力 有限会社マイプラン
●装丁・本文デザイン 木下春圭 菅野祥恵(株式会社ウエイド)
●装丁・本文イラスト 関和之(株式会社ウエイド)
●校閲 石澤清華
●校正 株式会社ぷれす
●写真協力 アフロ 時事通信フォト

本書に記載されている内容は、本書刊行時点の情報に基づくものであり、その後変更されている場合があります。

この本に登場する仲間たち

内野じん子
●活発で好奇心おう盛な小学3年生。
●家はミラクル波動の教室。
●意外とあがり症。

ALD7号
●愛称はなっちゃん。
●テレビ番組「恋してAIランド!」の出演者。
●料理や裁ほうが得意。

ファジ井先輩
●テレビ番組「恋してAIランド!」の3代目司会者。
●さわやかなルックスだが,泣き虫で優柔不断。

イーアルゴリズム
●愛称はゴリさん。
●テレビ番組「恋してAIランド!」の番組マスコット。
●ファジ井先輩のことが大好きで、すぐにやきもちを焼く。

足須端人
●テレビ番組「恋してAIランド!」のアシスタントディレクター。
●いつか自分の番組を持つことを夢見ている。

出井レク太
●テレビ番組「恋してAIランド!」のディレクター。
●番組制作に関しては厳しいが、なみだもろい一面がある。

誤解だらけの人工知能 ディープラーニングの限界と可能性 (光文社新書)

人工知能について具体的にわかりやすく学ぶ

本書は、人工知能の専門家が、わかりやすく説明することを目標としている本です。著者は、人工知能の専門家とデータサイエンティストの2名で、本書では、2人が対談形式で、話を進めていきます。誤解をされている人工知能の実際の特徴や性質について、いろいろな角度から解説しています。

田中潤 (著), 松本健太郎 (著)
出版社 : 光文社 (2018/2/15)、出典:出版社HP

はじめに

本書は、人工知能って結局何なの?と疑問に感じている人のために、人工知能の専門家である田中潤とデータサイエンティストである松本健太郎の2人が、人工知能について分かりやすく、具体的に理解できることを目指して書いた1冊です。
はじめまして、松本健太郎と申します。本書の著者の1人です。
普段は大阪でデータサイエンスの研究およびビジネスデータ分析の仕事に就いています。研究の一環で人工知能の開発にも携わっていますが、その技術力は田中さんには遠く及ばず、専門家ですと言うと田中さんに「松本さんが人工知能の専門家ですか?」と笑われそうなので、あえて専門家とは名乗りません。
本書は、私が田中さんに1日ぶっ通しで行ったインタビューを、体系立ててまとめています。午前11時前から始まったインタビューは、途中で何度か休憩を挟みつつ、陽は沈み、私のお腹がグーと鳴ってようやく終了しました。
その後もSkypeやメールなどを通じて何度も内容を練り直し、ようやく完成に至りました。実に内容の濃い1冊に仕上がりました。
本文を読んでいただければ伝わると思うのですが、田中さんのキャラは「濃い」の一言に尽きます。シンプルにクセが凄い。
なぜなら、人工知能開発者としての経験や知識職だけでなく、経営者として2011年から人工知能ビジネスを推進する恐眼、そのどれを取っても人並み以上のパワーなのです。クセが凄くて当然です。
これまで人工知能に関する書籍を読んできた方ほど、本書を読まれて「本当かよ!」「そんな話は今まで聞いたことがない!」と思わず声に出してしまうでしょう。少なくとも、僕は出しました。
したがって途中で何度も田中さんから「そんなことも知らないのですか」と叱責を受けましたが、それ以上に「これ知っていますか?」「こういう話もあります!」と、知識を出し惜しむことなくインタビューに答えてくださいました。
本書は、人工知能とは何か、人工知能が産業をどのように変えていくのか、私たちはどのように対応するべきか、大きく分けてこの3章から構成されています。
今すぐにでも田中さんの話を読みたいと思われた方は、このまま興味のある箇所に進んでください。
ところで、なぜデータサイエンティストである私が田中さんと一緒に人工知能に関する本を出すのか、そもそも田中さんって何者だ、と思われた方は、少しだけ私の話に付き合っていただければと思います。

なぜ「人工知能って結局何なの?」に答える本は少ないのか

世間を賑わせている人工知能を紹介する書籍は、書店に山のように積まれています。ビジネス誌でも人工知能特集を組めばものすごく売れるそうですし、ネット媒体でも人工知能コンテンツは多くのPVを集めているようです。
おそらく「人工知能」自体の存在を知らない人はいないでしょう。誰もが人工知能について知ろうと情報を求めています。
しかし人工知能って結局何なの? という疑問が解消されたという声はあまり聞きません。いまだに多くの人にとって人工知能は謎の存在であり、私たちの仕事を奪うかもしれない脅威か、私たちの日常を豊かにしてくれる福音のように見ています。
簡単に言うと、人工知能とは良いやつなのか悪いやつなのか、敵なのか味方なのか、結局のところよく分からない、というのが皆さんの感想ではないでしょうか。
これほど人工知能を紹介する書籍、雑誌、テレビ、ウェブなどのコンテンツが日本中に溢れていながら、多くの人が「人工知能って結局何なの?」と疑問を抱くのには、理由があると私は考えています。
それは、人工知能を紹介するコンテンツの作り手の経験値不足か、経験を語る表現力不足が原因です。つまり、コンテンツの作り手がこの2パターンのどちらかに偏っているので、皆さんは分かったようで分からないモヤモヤが続いているのではないでしょうか。
2パターンのうち1つ目は、人工知能のプログラミング経験が全く無い、人工知能の専門家以外が作ったコンテンツです。コンサルティングを主業とする方たちが作られている場合が多いでしょう。
私も現状を整理するために、そうした方たちが書かれた書籍を買います。非常に読みやすいし分かりやすくまとめられています。おそらく文章を書き慣れているからでしょう。
しかし、いかんせん人工知能を作った経験が無いからか、「10年以内に人工知能が仕事を奪う」「自我を持った人工知能が人間と会話をする」といった実現可能性の薄い話を、さも人工知能時代の到来であるかのように紹介されている場合があります。
専門家とは言えない私ですら「どうやって実現すんねん!」と突っ込んだことが何度もありました。
実際に人工知能を作る側になれば、10年以内に仕事を奪うような人工知能が生まれるなんて夢物語に過ぎないし、こんなプログラムの羅列からどうやって自我が生まれるだろうかと小首を傾げるのですが、作ったことが無い分だけ想像が膨らんでしまうのかもしれません。
百聞は一見に如かず、と言いますが、そうした方たちは見ていない分だけ、抽象論になってしまいがちなのでしょう。
結局のところ、どうやって実現するのか、具体的な時期はいつなのかが分からない抽象論に終始してしまうと、読者の側は分かったようで分からないモヤモヤが心の奥底に残り、消化不良を起こしてしまいます。だからこそ多くの人が「人工知能って結局何なの?」と疑問が氷解しないままなのだと私は考えています。
2パターンのうち2つ目は、実際に人工知能を開発している専門家が書いたコンテンツです。大学教授や、どこかの企業で研究職に従事している方たちが作られている場合が多いでしょう。
しかし、そうした書籍の多くは同じ専門家のために書かれている場合が多く、難しい数式が並ぶか、聞いたこともない専門用語が羅列しているだけの技術書なのです。プログラミングができない人からすれば、具体的ですが難解で、出だしの数ページで挫折して読み進めるのをやめてしまうでしょう。
知らない人に1から説明するのは意外と難しく、どうしても2、3あたりから話を始めてしまいがちです。
実際に私も田中さんから「そんなことも知らないのか?」と言われた側の人間です。自分が知っていることを、どこまで他人が知らないのかを線引きするのは意外と難しいもので、今回のインタビューを通じて田中さんはかなり苦労されたと思います。
田中さんからすれば分かりやすく解説しているつもりが、私からすれば意味不明だった場合は、容赦なく「言っている意味が全く分かりません」「それって、要はこういうことですか?」と質問しました。説明のための言葉にすら説明を必要としたからです。一方で田中さんは言葉をひねり出すのに相当苦労されていました。
結局のところ、人工知能について一番詳しい専門家が分かりやすく解説できればいいのですが、意外と「分かりやすく」が難しく、説明しきれないまま、専門家か一部の「飲み込みの早い人」にしか知識が共有されていないのです。だからこそ多くの人が「人工知能って結局何なの?」という疑問が氷解しないままなのだと私は考えています。
この2つのパターンは、ざっくり図0のような四象限にまとめることができます。

図0 人工知能の開発経験が豊富な専門家による分かりやすい書籍は意外に少ない

実は、この図を見ていただければお分かりの通り、人工知能開発の経験が十二分にあって、かつその経験や知識を簡単に説明できれば、読者のモヤモヤも晴れるはずなのです。しかしながら、この2つの条件を満たしているコンテンツは意外と少ないのが現状です。それはつまり、両方の能力を兼ね備えている人物が非常に少ないことを表しているとも言えます。
こうした状況を踏まえて、田中さんと私に声がかかりました。田中さんは「専門家」として、そして私は簡単に説明できる「翻訳者」として。
人工知能について分かりやすく、具体的に理解できるように書かれた1冊。冒頭でも述べましたが、本書はそれを目指しています。

専門家の田中さんと翻訳者の松本

ここまで読み進めた読者なら、ふと疑問に思うでしょう。じゃあ、田中さんはどこまで人工知能の専門家なのか、と。
そこで、私から田中さんの紹介をさせていただきます。
田中さんは数学科出身で、長らく純粋数学の研究をされていました。アメリカ数学会という数学の学会でも数学論文を発表されています。
博士課程の研究課題が、金融領域で使われている量子力学の理論手法である「経路積分」だったこともあり、リーマンショック前は米国で金融系企業の手伝いをされていました。すでにその頃はディープラーニングの基礎が完成していて、「次はこの分野が来るな」と肌感覚で分かっていたそうです。それはまさに、第3次人工知能ブームの幕開けでした。田中さんはそれを本場の米国にいて肌で感じていたのです。
リーマンショック後、米国人の友達が「次は人工知能が来るぞ」とアドバイスをくれたのをキッカケに、米国での経験から「これは間違いない技術だ」と確信して、2011年にカリフォルニア大学リバーサイド校博士課程在籍中にShannon Lab株式会社を立ち上げられました。
田中さんの現在の注力テーマの1つが音声マイクです。スマートスピーカーの音声認識部分を指していると考えればいいでしょう。私も一度、田中さんの開発した音声マイクに触れた経験があるのですが、周囲の騒音を拾わず、真正面の声だけを拾ってくれる優れものでした。
通常、スマートスピーカーや人工知能アシスタントは、周囲の雑音にまで反応してしまうものですが、田中さんの開発された高性能な音声マイクは、雑音に全く反応しません。すでに研究を始めて5年経っているそうで、その成果に私はただ驚くばかりでした。
田中さんがマイクを開発された理由は、人工知能との人間らしい自然な対話を実現するには、自然言語処理などを活用して精度を上げるだけでなく、マイク自体の精度を上げなければビジネスとしての拡張性に欠けると考えたからです。要は、人工知能と対話しようにも声を拾えなければ意味が無く、マイクの精度が上がらない限りはビジネスには使えないと判断したのです。
人工知能との対話という大目標を掲げ、まずはマイクの精度を上げるために、音声認識の研究から始める。極めて遠回りのように見えますが、田中さんの歩んでこられた道のりは実は最短距離だったのかもしれません。
なぜなら2017年には、AmazonやGoogleなど人工知能を扱う巨大企業が、スマートスピーカーの開発に本腰を入れているのですから。
現在は音声認識、自然言語処理、対話アプリなどを主軸にビジネスの現場で活躍されています。人工知能のプログラミングもできて、会社の経営もされていて、米国の第3次人工知能ブーム勃興期も知っておられる、まさに専門家と呼ぶに相応しい方だと私は思っています。

加えて、私(松本健太郎)自身の紹介です。
私は現在、マーケティングと人工知能の研究を行う研究所の所長を務めています。主に人工知能やデータサイエンスに関する情報発信、ビジネスデータ分析の業務に就いています。
なんだか小難しい職務に見えますが、全くそんなことはありません。むしろビジネスの現場で相手に「なんか難しそうだ」と思われたら負けだとすら思っています。
例えばビジネスデータ分析の場面では、分かりにくい統計用語は使わず、とにかく平易な言葉を使うことを心がけてきました。
なぜなら「分析」という言葉がようやく市民権を得た現在でも、統計学は一般的ではなく、統計学に関する用語はビジネスの現場で駅染みが無いからです。検定、有意差、帰無仮説などの用語を使って説明していて、難しい言葉で煙に巻いているのか! と叱られた経験は一度や二度ではありません。相手に難しいと思われた段階で、聴く力は削がれ、寄せられていた信頼は泡のように消え失せます。
叱られたくない。けれど、分析の結果は受け入れてもらいたい。そうやって頭を何度もひねって分かりやすく伝えようと試行錯誤していると、難しい内容を分かりやすく相手に伝える「翻訳者」のような能力が身に付きました。
この「翻訳者」としての能力を伸ばすにはどうすれば良いか考えた結果、「分析」が全く浸透していない業界のデータを使って分析する訓練をするのはどうだろうと閃きました。
例えばプロ野球であれば、セイバーメトリクス(統計的観点から客観的に分析する手法)を駆使して、2016年には、マエケンが抜けて絶対に優勝はあり得ないとされた広島東洋カープの優勝を的中させました。その他にも、安倍内閣が推進しているEBPM(エビデンス〈証拠〉に基づく政策立案)に着目して、政府・省庁が提供するオープンデータを分析するコンテンツを作成し、「この政策は変だ」「この報道はおかしい」と情報発信をしていました。そうしたナレッジの集大成としてビジネス書も出しています。
難しいデータ分析を、身近な社会の日常に潜む数字を使って分かりやすく面白く伝えているなと思っていただけたのか、NHKに出演したり、ラジオに呼ばれたり、週刊東洋経済に寄稿したり、様々な媒体に登場させていただきました。
本書ももともとは田中さんの単著の予定でした。しかし「僕の言っていることは難しすぎると思うから、松本さん、噛み砕く役割を担ってください」というオファーを田中さんから直々にいただいて共著になりました。自分で言うのも変ですが、田中さんの難しい人工知能の話を分かりやすく翻訳できたと自負しています。
もし本書の内容で分からない点、気になる点があれば、Facebookで問い合わせてください。答えられる範囲でお答えします。
http://www.facebook.com/kentaro.matsumoto.0716

人工知能について分かりやすく、具体的に理解できる1冊を目指して

私は、作家である故・井上ひさしさんの「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく」という言葉が好きです。
したがって本書には、敵なのか味方なのかよく分からない人工知能について、これでもかというぐらい丁寧に解説するだけでなく、深く、しかも読んでいて面白く、誰かに言いたくなるような話をなるべく盛り込みました。
第1章では、人工知能とは結局何なのかについて、専門家もあまり言及していないデメリット、現時点の限界について深く掘り下げて説明しています。多くの人が「そんな話聞いたことない!」と思われるかもしれませんが、ご一読いただければ幸いです。
第2章では、ますます人工知能の活用が進むビジネスの世界において、2018年現時点、2020年代、2030年代、シンギュラリティが訪れると言われている2045年それぞれの時代に、人工知能がどのように活躍しているのかを想定してみました。
読者の方々が働いている業界では、何年後に人工知能の導入が始まり、何年後に人工知能に仕事が奪われてしまうのでしょうか? その答えは本当にあります。
最後の第3章では、これから活用が進む人工知能を、私たちはどのように受け入れるべきなのか、生き方、働き方を想定してみました。人工知能に仕事が奪われてしまった後、私たちはどのように生きるべきなのでしょうか。

それでは、さっそく第1章から始めましょう。

田中潤 (著), 松本健太郎 (著)
出版社 : 光文社 (2018/2/15)、出典:出版社HP

目次

はじめに
なぜ「人工知能って結局何なの?」に答える本は少ないのか
専門家の田中さんと神訳者の松本
人工知能について分かりやすく、具体的に理解できる1冊を目指して

第1章 みんな人工知能を勘違いしている
「人工知能」とは何か?…松本健太郎の質問
「人工知能」とは…田中潤の答え
「人工知能は○○だ」と定義するだけ無駄である
「ディープラーニングはプログラミングである」という批判
人間の脳を人工的に作っているから人工知能って言うのでしょう?
人工知能は人間の「脳」を模倣している?
人工知能はどのようにして人間を超えようとしているのか?
「シンギュラリティ」は勘違いされている
なぜ、ここまで「ディープラーニング」は注目されるのか?
ディープラーニングは画像認識の精度が凄い!
ディープラーニングは空気を読めない
「ディープラーニング」は万能なのか?
なぜディーブラーニングは万能に見えるのか?
「量が多ければ良いとは限らない」通説を覆したディープラーニング
ディープラーニングは柔軟性に優れている
ディープラーニングにデメリットはあるのか?
なぜ、あらゆる場面に「ディープラーニング」は浸透しないのか?
あまり知られていないディープラーニングの性質とは?
意味を理解せず、特徴だけを見ているディープラーニング
「ディープラーニング」の弱点を克服するには何が必要か?
注目すべき技術は「理由付け」する方法
「なぜ?」が無いディープラーニング
「なぜ爆撃機は帰ってきていないのか?」という洞察は浮かばない

第2章 人工知能はこの先の社会をどう変えていくか?
第1節 2018年
なぜ、巨大ベンチャーは「スマートスピーカー」に取り組むのか?
なぜ事例探しに苦労するのか?
リアルデータ争奪戦が始まった
音声認識が受付UXを変える
なぜ音声認識は精度よりテクニックなのか?
音声認識はデータの前処理に時間がかかる
なぜ「やりたい内容」と「やれる内容」のギャップは生まれるのか?
どうやってギャップを埋めるか?
人工知能をビジネスに導入するには
リスク1: ディープラーニングを理解した人材の不足
リスク2: 人工知能を導入する組織の勉強不足
リスク3: 質の高い学習データの不足
人手不足解決のため、人工知能は誰にでもやれる事務全般を担えるか?
「忖度」のできない人工知能
お掃除ロボットの進化で考える人工知能とビジネスの距離感

第2節 2020年代
東京オリンピックで自動運転車、ロボットタクシーは活躍しているか?
ロボットタクシーの活躍はまだ先?
自動運転技術はどこまで進んでいるのか?
ディープラーニング+顔認証、テロ対策にも有効か?
ディープラーニング+顔認証はここまで進んでいる
人工知能は挙動を学習して「怪しさ」を検出できるか?
プライバシーへの配慮
医療、建築……どんどん進むディープラーニングの導入
人間の認識率が低ければ、直ぐにでも……..
「上手くいかなかった」はニュースにならない
この先、人工知能はどのように進化するか、はどうすれば分かるのか?
ロボットで考える人工知能の進化
法律、規制、倫理で考える人工知能の進化

第3節 2030年代
人工知能を持つロボットは人間を凌駕するか?
人の集まる「場」作りの重要さ
「当たり前にできる」が一番凄い
人工知能は教育を変えるか?
人工知能に教えられる、という違和感への反発
東ロボくんが越えられなかった壁
グランドチャレンジから次にやってくる人工知能が見えてくる
2030年でも人工知能が浸透しない業界はあるか?
人工知能の導入が進まない業界とは
ディープラーニング自体の開発が遅れている日本
ブロックチェーンと人工知能の相性は良い?

第4節 2045年以降
シンギュラリティが訪れて私たちの仕事を奪うのか?
人工知能とチャットボット
チャットポットは人工知能ならぬ人工無脳?
なぜチャットボットは対話ができないのか?
「あるとき」と「ないとき」の差分こそが意味
人工知能が意味を理解するとどうなるのか?
意味を理解するのは難しい
意味を理解する人工知能と人間の差は無くなる
意味を理解する人工知能に「自我」は芽生えるか?

第3章 社会に浸透する人工知能に私たちはどのように対応するべきか?
人工知能が浸透した時代の働き方とは?
組織の時代から個人の時代へ
私たちは古代ローマ時代に還る
人工知能時代にこそ考えるべきペーシックインカム
ベーシックインカムはどこまで浸透しているか?
人工知能により真っ先に職場を追われる人の気持ちを考えられるか?
ベーシックインカムが無いまま人工知能の浸透が進むと……
人間は「知能」が全てなのか?
人工知能は個人の生き方すら変えてしまうのか?
個人・個性こそが全て
インターネット上の「信用」文化
人工知能のせいで都会と地方は分断される?
企業は人工知能時代にどう立ち向かうべきか?
企業はどのような目線で人工知能を導入するか
人工知能を開発する企業に必要な心構えとは
政府は何をするべきか?
統計学科の設置を
これから訪れる人工知能時代に向けて私たちが明日からできることは?
ビジネスマンは今すぐブログラミングを始めよう
これからの21世紀を生きる子どもたちは数学をやろう
今から始めよう、今から動き出そう

おわりに

田中潤 (著), 松本健太郎 (著)
出版社 : 光文社 (2018/2/15)、出典:出版社HP

いまこそ知りたいAIビジネス

AIビジネスの新しい働き方

私たちの仕事にAIがどのように関わってくるか、AIについてざっくりよくわかるAIビジネスの入門書です。AI時代に生きるためにすべきこと、AIは何ができるのか?など、AIにまつわる疑問や不安を解消してくれます。文系の方やITの知識がない方にもおすすめの1冊です。

石角 友愛 (著)
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2018/12/13)、出典:出版社HP

はじめに

この本を手にとってくださった読者の皆さんは、「AIビジネス」と聞いて、どんなことをイメージするだろうか?

「事務的な仕事はロボットが代わりにやってくれるようになる?」
「自分の仕事がAIに奪われて、職を失ってしまう?」
「今の仕事がAIによって大きく変化するのかもしれないが、正直、あまりイメージできない……」

日本では毎日のようにAIについてのニュースが流れている。にもかかわらず、AIを使えば自分たちの仕事や暮らしがどのように変わるのか、その実情について適切に解説されるケースがほとんどない。
また、アメリカをはじめとする多くの国では「AIに仕事が奪われる」のではなく、「人間がしなくてもよい仕事をAIに任せることができる」「人間はもっとクリエイティブな仕事に挑戦できるようになる」と捉えられているが、そういった考え方も日本ではあまり紹介されていないのが現状だ。
その結果、日本では、「AIはよくわからないもの」「AIは自分たちの仕事を奪うかもしれない技術」といった、漠然とした不安を生んでいる。
AI人材を育てるべく、幼少期からさまざまなプログラムを準備しているアメリカに比べると、その差は歴然だ。

また、その逆で「AIは万能なもの」として、過剰な期待を持っている人も多い。
たとえば、ある金融関係者の方から相談を受けたときのこと。依頼内容は、「人間を超えた“AI神”のような、金融商品レコメンドエンジンを作ってほしい」というもので、AIと神が同じ文脈で語られていることに違和感を持ったのを覚えている。
「AI=神」は極端にしても、「AIで何でもできる世の中になる」と考えている人は少なくないだろう。
あるいは、先日帰国して女友達と話をしていたときのこと。私がシリコンバレーを拠点にAIビジネスをしていると話すと、彼女たちはみな「AIに解決してもらいたいことがいっぱいある!」と言う。
「どんなこと?」と聞くと、一人が「子宮頸癌検診の検査が嫌。あれって、そろそろAIで何とかならないの?」と言い、周りのみんなも「それ、わかる!」と盛り上がっている。「AIは何でもできる万能装置」と思われていることを、ここでも痛感した。
もちろん医療現場にもAI技術は使われている。CT画像やMRI画像を分析し、正常な画像との差異(つまり病変)を見つけることは機械学習の得意とすることだ。
しかし子宮頸癌検診では、物理的に子宮内の細胞を取り出さなくてはならない。それにはどうしたって身体的な接触が必要だし、将来的にもAIに置きかえられることではないだろう。

では、このように非専門家である一般の人たちがAIについてさまざまな誤解をしている一方で、技術者コミュニティはどうだろうか。
私が普段接するデータサイエンティストやエンジニアにこのようなエピソードを話しても、「え?そんな人もいるんだ」というような反応が返ってくるのみである。技術者は技術者で、「一般人が何を理解できないのかが、理解できない」状況になっているのだ。

AIに対して過剰な期待あるいは不安を持つ一般層と、それを理解できない技術者層。そのどちらが正しくて、どちらが間違っているなどという話をしたいわけではない。(どちらも間違っているわけではないのだから)
ただ、その二つの層に大きな隔たりがあるのが今の日本だということは、指摘しておきたい。そして、その隔たりが大きくなればなるほど、日本はAIビジネスにおいて競争力を失い、取り返しがつかなくなると私は考えている。

そうした危機感が、本書を執筆することにした大きな理由である。

AIがインフラになる時代に、私たちはどう働き、どう生きるか

私はシリコンバレーに拠点をもつ、パロアルトインサイトというAIビジネスデザインカンパニーを経営している。
まだAIという言葉が日本では一般的に認知されていなかった頃から、グーグル本社で機械学習のプロジェクトに参加し、そこでシニアストラテジストとして働いたのち、起業した。現在は、一年の約4分の3をシリコンバレーで、4分の1を日本で過ごし、企業のAIビジネスデザインを進めている。

「AIビジネスデザイン」といわれても、多くの皆さんには聞き慣れない言葉だろう。
ひと言でいうと、AIビジネスとは、「AI技術を使って企業の課題を解決する方法を提案し、実装すること」。そして、AIビジネスデザインとは、「経営者や事業担当者とデータサイエンティストの間に立ち、AIビジネスを創造する仕事」である。
私自身も、CEO兼AIビジネスデザイナーとして、過去に50社以上の日本企業にAI技術活用に関するアドバイスや実装、導入を行なってきた。
そして、これまでの実務的な導入経験から、日本企業のAIビジネスには共通した課題があると感じてきた。課題というよりは、焦点のズレといったほうがいいかもしれない。それは、さきに述べたような、AIに対する認識不足だ。

電気や電話やインターネットがそうであったように、AIは近い将来、間違いなく私たちの生活のインフラになる。AI導入は企業サイズにかかわらず、“now or never”の状況。すなわち、「今やらなければ手遅れになる」状態にあるというのが世界的な共通認識だ。
それなのに、ここまでAIについての理解が追いついていないと、日本企業の競争力が下がるばかりではなく、日本人のこれからの働き方の選択肢が極端に狭まってしまう。

残念ながら、日本のAIビジネスはアメリカから5年遅れているといわれている。
しかし、実際に日本企業を対象にAIビジネスを進めている私は、日本にもまだチャンスは残されていると感じる。これまでに培ってきたものづくりやB2B(企業向け)製品開発の分野などでは、AI技術をうまく活用することによって国際競争力を取り戻せる可能性もある。
あるリサーチファームの研究によると1、AIが経済に融合したら、日本のGDPは現在の3倍以上に伸びるという。アメリカの伸び率は1.7倍なので、ポジティブな見方をすれば、日本は「AI伸びしろ」が大きいといえる。このチャンスを逃すべきではない。

ヘンリー・フォードが車を一般層に大量生産しはじめた1900年代初め、一般層はまだ馬車を使っていた。そのときフォードは、「車とはこんなにすごい技術を使っているのですよ」と言わずに、「車とは“馬なし馬車”なんですよ」と伝えて理解を促すことに成功したといわれている2。
これまでの日本社会では、AIやディープラーニングの技術面重視で論じられてきて、「結局AIとは何なのか」という世間一般の疑問に対して答える努力が十分になされてこなかったのではないだろうか。
今ここで一歩足を止めて、AIについても「馬なし馬車なんですよ」とわかりやすく伝える試みをしたい。それが、本書を執筆した動機のひとつだ。
そうすることで、私たち日本人がAIに対する理解を深め、AIがインフラになる時代を生きていくための一助となればと考えている。

本書の活用法

「AIで何かしなくてはいけないと思っているが、何から始めればいいのかわからない」という経営者。
「自分たちのビジネスにおいて、AIがどのように活用できるのかイメージできない」という事業担当者。
「AIが導入されたら自分の仕事やキャリアがどう変わるのかを知りたい」というビジネスパーソン……。

このような不安や疑問をかかえている、AI技術の専門家ではない方々に向けて、本書ではできるだけ専門用語を使わずに、わかりやすく噛み砕いた表現でAIビジネスについて説明していく。
これからの時代に、自分の仕事がどのようにAIとかかわっていくのかを知りたい学生やビジネスパーソン、経営者の手助けになればと考えている。
また、本書は、AIビジネスを推進する立場にいる人や、エンジニア、データサイエンティストにとっても役立つはずだ。専門家や技術者の人たちには、AIのプロフェッショナルではない一般企業のクライアントが何を理解できず、どんな場面でつまずきやすいのかを知るツールとして使ってもらえるとありがたい。

本書では、これまで日本のAI書籍でほとんど語られてこなかった「AIビジネス」について、①具体性、②将来性、③国際性の3つの見地から解説する。

第1章では、日本のAIビジネスにおいて勘違いされている点とその理由を解説する。
第2章では、最新AIビジネスで起きていることを、事例を交えて紹介する。
第3章では、実際にAIを導入する際にどんなステップを踏めばよいのかを教える。
第4章では、AIビジネスの課題について、世界各国の動きを交えつつ論じる。
第5章では、AI人材と日本の今後について解説する。
そして第6章では、AI時代に求められる人材についてまとめながら、私たち個人がこれからのキャリアをどう形成すべきかについて考えたい。

AI導入と働き方の多様性は、コインの裏と表だ。AI時代の働き方は、これまでにない多様性を持つことになる。これからは、より自由度の高い働き方も可能になる。
ただし、ビジネスにおいて優位性を保つためにも、個人のキャリアにおいて自由度をあげるためにも、「AIで何ができるか。私たちの仕事はどう変わるのか」を正しく理解することは不可欠なのだ。

本書が、皆さんのビジネスやキャリアデザインの一助になることを願っている。

石角友愛

*1 Accenture website :
https://wwww.accenture.com/us-en/insight-artificial-intelligence-future-growth
*2 https://www.loc.gov/rr/news/topics/horseless.html

本書は書き下ろしですが、部分的に、著者が下記メディアに寄稿した記事をもとにしています。

Business Insider Japan
https://www.businessinsider.jp/
現代ビジネス
https://gendai.ismedia.jp/
THE21オンライン
https://shuchi.php.co.jp/the21/
毎日新聞「経済観測」

石角 友愛 (著)
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2018/12/13)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 ここがヘンだよ、日本のAIピジネス
「AI=ロボット」という勘違い
「AIが動いている姿見せてください」
「AIの〇〇ちゃん」と擬人化することの弊害
「AI“が”××する」ではなく、「AI“で”××する」
なぜ日本人は「AIが仕事を奪う」と考えるのか
エンジニアを社内にかかえるアメリカ、外注する日本
「AIビジネスは自分には関係ない」という勘違い
中小企業ほどAI活用が重要になる
街の歯医者にもAIは必要
AIを活用すれば業績が伸びる業種は全体の7割

第2章 AIビジネスの最先端を見てみよう
AIはどんなシーンで活用されているか
コーディネートをAI+スタイリストで
ユーザーにすすめる商品をAIで決める
AIで新しい基準値を作る
AIの判断をスタイリストに検証させる
AIでトレンドを予測する
配送の最適化にもAIが使われる
商品のピックアップもAIで管理
顧客中心主義実現できるのはデータサイエンスの力
すべての仕事がAIに置きかわるわけではない
AIと人間の協働スキームをつくる
コンピュータが得意なこと、人間が得意なこと
テスラの自動運転は、人とAIの協働で進化する
AIはビジネスモデルを変える
AIとAR技術で「試し塗り」が可能に
イノベーションは顧客の課題解決から生まれる
日本企業に今求められているのは、ビジネスモデルの変革
AIビジネスは、どこで収益を得ればいいか
カメラの概念を変えたセキュリティサービス
「借りる」と「所有する」の境目をなくすビジネスモデル
新しい課題を解決するには、新しいビジネスモデルが必要
Go to Marketの発想で考える
Go to Market戦略とは
プロダクトアウトの落とし穴
ウーバーの課題解決法

第3章 AIを導入したい企業がすべきこと
ビッグデータを集めればAIを導入できるわけではない
肝入りのAIプロジェクトが頓挫した理由
日本企業の多くは「データ集めなきゃいけない病」
せっかくのデータをゴミデータにしないために
データは「21世紀の石油」
課題は何か? データは揃っているか?
症状がわからないのに薬は処方できない
サンプルデータから何が診断できるのか
これが企業の持つデータを分析するプロセスだ
事前にサンプルデータ検証するメリット
AIはクッキーの型抜きではない
解決したい課題がはっきりしていない場合は?
健全な危機感がAI導入につながる
まずは課題を棚卸しする
AIビジネスには仮説検証サイクルが必須
効率化と売上増加の二軸で判断する
AI導入はゴールではない
AIビジネスに立ちはだかる「定着の壁」
現場の声を拾いあげて、はじめてAIが活用できる
「導入の壁」を乗り越える
効果検証できなくては意味がない
AI実装のプロセス
AI導入には会社のコミットが必要
「環境スキャニング」でビジネスチャンスの大きさを調べる
プロトタイプの重要性
プロトタイプがあれば、変更のコストも抑えられる
アウトプットを想定して開発する

第4章 AIビジネスの課題とは
AIの判断は中立か?
バイアスの取り除き方が今後の課題
グーグル翻訳で指摘されたAIの課題
AIは黒人より白人を3倍見分けやすい
目的を持ったAI(AI with Purpose)という対応策
プライバシーはどう守られる?
フェイスブックスキャンダルがもたらしたこと
選挙に行く人を34万人増やした、個人情報の力
GDPRは日本企業にどんな影響を及ぼすのか
GDPRによってAIビジネスはどう変わるのか
GDPRの施行は日本にとってチャンス?
日本企業が今すぐ取り組むべきこと
今後、個人背報を暗号化する事業が増える
AIと著作権
機械学習用のフリー画像
AIが作る作品の著作はどこに?
「クリエイティブ」「アート」の定義が変わる

第5章 AI人材とこれからの日本
AIビジネスに必要な人材
データサイエンティストはどんな仕事?
エンジニアにもさまざまな職域がある
AIビジネスデザイナーとはどんな仕事?
AI人材を育てるために今後必要な教育とは
AI人材は今後ますます高騰する
1億円のAI人材リクルートコンペ
フェイスブックの平均年収は3600万円
海外に流出する優秀な人材
インドから才能を輸入したメルカリ
AI人材争奪戦。日本企業の選択肢は?
グローバルマーケット人材を採用するには?
日本のモノづくりが持つ、ひとつの可能性
モノづくりのスキルをAI時代に生かす
B2B企業にも活路はある
京都のモノづくりに見る日本の活路
世界のTOP2にどう食い込むか

第6章 AI時代における私たちの動き方
AIは私たちの仕事を奪わない
人間+AI=スーパーパワー
「僕の仕事はどうなりますか?」
AI時代に増える職業
AIトレーナーに必要な資質
AI時代に増える仕事
AI導入は省人化のためではなく、作業に均質化のため
中国企業が米国でAIロボットを使って生産工場を開設
AIロボット導入で雇用を増やし賃金も上げたアマゾン
すべてがAI化されるわけではない
AI化によって生産性を上げていく
AI時代に生き残れる人、生き残れない人
これから生き残る3つのタイプ
アメリカで「CBO」という役職が生まれた意味
AIバイリンガルを育てる
私たちはこれから何を学べばよいか
社会人になっても学び直しの時代に
企業の再トレーニングも加速
日本は2018年リカレント教育元年
自分のキャリアを自分でデザインする

おわりに

石角 友愛 (著)
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2018/12/13)、出典:出版社HP

AIにできること、できないこと、ビジネス社会を生きていくための4つの力

AIは何ができて、何ができないのか

2010年代後半のAIブームでは、革新的な技術により、従来のAIから大きく飛躍しました。その結果、AIは様々な場面で話題になり、認知度が高まりましたが、その一方でAIに対して、正しい理解がされていないことが数多くあります。本書は、一般的に理解されていない重要なポイントを技術的な話を使わずに解説しています。

藤本 浩司 (著), 柴原 一友 (著)
出版社 : 日本評論社 (2019/2/19)、出典:出版社HP

はじめに

今、私たちの身の回りはAIの話題で持ちきりといっていいでしょう。すでに、日常生活の中にも浸透してきています。そしてこれは日本だけの話ではなく、先進国、そして開発途上国でも同じようなことが起こっています。つまり、世界レベルの力強い技術革新の波なのです。
AIに関する新聞記事を見ない日はありません。我が家に帰れば、テレビのニュースや特集で取り上げられるのを目にしますし、インターネット上でもネットニュース、ブログ記事などにはAIの話題があふれかえっています。東京では毎日どこかで、AIについての講演会が開かれているくらいの白熱ぶりです。
そうした近年のAIブームを支えているのが、「ディープラーニング(深層学習)」と呼ばれる技術です。この技術はAIの性能に革新を起こし、さまざまな優れたAIを世に送り出しています。最近では、「AIが人の仕事を奪う」というセンセーショナルな話も耳にするようになってきました。
こうした流れが加速している一方で、逆に「AIとはどんなものなの?」「AIは何ができて何ができないの?」といった重要な点がいまひとつよく分からない、という人もまた増えてきているのではないかと思っています。たとえば、「AIは理解していない」と言われても、本当かどうか疑問に思ったりしていませんか? ニュースを騒がせているAIの話を耳にしていると、とてもそうは思えないのだけれど…なんて考えたこともあるのではないでしょうか。
「AIとはどんなものか」といった実態は、熟練のAI研究者であれば理解しています。しかし、AIの基本的な知識を抜きにして説明しようとすると、どうしても断片的な表現になってしまいます。そのため、説明を聞いても結局いまひとつ良くわからなかった、という結果になりやすいわけです。
この本では、技術的な細かい話を使うことなく、「AIは何ができて、何ができないのか」を納得できるかたちで理解できるようになることを目指しています。こうしてAIの正体さえ捉えてしまえば、その活かし方も分かりますし、逆にAIにできないことを自分の仕事にしていくこともできるようになる、というわけです。
AIを会社に導入する流れになってきているけど、実際に何ができるのか良く分からなくて困っているビジネスマンや、AIに触れてみてはいるけれど、その実態がいまひとつつかめていないエンジニアや若手研究者、AIに仕事を奪われるというニュースを見て、子供の将来に不安を感じている方、AIに関わる職につきたいと考えている学生の方など、AIの実態について知りたいけれど、自分で専門書を調べるのは大変だと考えている方を対象として、この本は執筆されています。

本書では以下の三点を大きな特徴としています。

1. AIの本質を理解することで、AIにできること、できないことがつかめる
「AIは何ができて、何ができないのか」を納得できるようになるためには、AIの本質を理解することが重要です。そこで、前半(1章、2章)では、人間、正確には人間が持つ「知性」と比べて、AIには何が足りていないのかを明らかにすることで、「AIにできること、できないこと」を浮かび上がらせています。
本書では、AIの本質をつかむ上で重要な点だけに絞り、高度な知識は一切使わずに説明をしています。その結果、厳密さに欠ける面もあるでしょうが、「AIにできること、できないこと」がきっと納得できるようになるでしょう。さらに深く理解するために、今のニュースを賑わせているさまざまなAIがどうやって実現されているのかについても、「AIにできること、できないこと」という観点を踏まえながら、その中身を明らかにしていきます(3章)。

2. AIの本質を踏まえつつ、ビジネスへと活かすための要点が分かる
みなさんが気になるのは、AIがこの先、自分とどう関わってくるか、という点でしょう。AIは次第にビジネスへと深く浸透してきています。これは、世界的な流れとして起きているのです。AIを取り入れていかなければ時代に取り残される、そういった不安が強くなっているのも事実です。特にビジネスマンやエンジニア、そしてこれから社会に飛び込んでいく学生の方など、どうしてもAIと関わらざるを得ない方々は、その必要性をひしひしと感じているのではないでしょうか。
そこで本書では、AIをビジネスに活かす上で必要なことを説明します(4章)。ビジネスにおけるAIの事例紹介は世の中にたくさんあるのですが、本書では活かし方に注力しています。「AIにできること、できないこと」といったAIの本質を踏まえて説明することで、ビジネスに活用するための要点が正しくつかめるようにしています。

3. AIに仕事を奪われないために、人は何を身につけるべきかが分かる
みなさんがAIについて一番不安に思っていることは、AIに仕事を奪われないだろうか、という点でしょう。そこで最後に、未来の展望や、その過程で人間に求められることは何なのかについて触れます(5章)。AIを本質から理解できるようになると、「AIにできること、できないこと」の全体像が見えてきます。そうなれば話は簡単です。AIに仕事を奪われないためには、AIができないことを身につければいいのです。
自分がこれからどう進んでいけばいいのか、あるいは子どもにどんなことを学ばせていけばいいのか、という方向性がきっとみえてくるようになるでしょう。

ここで自己紹介のために、少しだけ著者の会社についてお話させてもらえればと思います。
私の会社、テンソル・コンサルティング株式会社は、今のAIブームが始まる前に設立されました。テンソル社の社員は、そのさらに前からAIに携わってきたAI研究者でおもに構成されています。単にAI研究をするだけではなく、「稼げる研究者集団」という合言葉を掲げて、古くからピジネスでAIを活用することに従事してきました。
テンソル社の取引先は、おもに銀行やクレジットカードなどといった金融業界が中心です。たとえば、日本初で唯一のクレジットカード国際ブランドである株式会社ジェーシービーなどは古くからの取引先となっています(本書では、読みやすさを優先して、会社名の敬称を省略して表記しています)。他にも、株式会社エムアイカードなどといった大手の企業と長くお付き合いしています。
こうして培ったAI技術はさまざまな業界へと展開しています。たとえば、伊藤忠商事株式会社のような商社系、LINE株式会社のようなSNSサービス系、三井化学株式会社のような化学系、全日本空輸株式会社(ANA)のような航空系、他にも保険業界や医療業界、EC・通販業界、アパレル業界などです。また、いくつかの大学と共同研究にも取り組んでいます。
さらには、AIの実態を知りたいという人のために、多種多様な業界の方を対象として50回以上、AIに関するセミナーを開催しています。その参加者からは、「説明が難しくなく、分かりやすかった」「自分で調べてもいまいち理解できなかったAIを捉えることができ、さらに自分で調べたくなった」といった好評を多くいただいています。
こうした幅広い分野でのビジネス・研究・講演の経験をもとに執筆した本書は、きっとみなさんのお役に立てると思っています。さてそれでは、AIの本質を理解するためのお話を始めたいと思います。ぜひ最後までお付き合いください。

藤本 浩司 (著), 柴原 一友 (著)
出版社 : 日本評論社 (2019/2/19)、出典:出版社HP

AIにできること、できないこと ビジネス社会を生きていくための4つの力 目次

はじめに

1章 そもそもAIとはなにか
世間で言われるAIとは?
AIの歴史
活躍するAI

2章 AIの実態
AIに知性はあるのか?
今のAIの作り方
AIにできること、できないこと
AIは理解しているのか?
コラム 新しい概念の獲得

3章 AIの中身
ディープラーニングの中身
活躍するAIの中身
AIに対する疑問
コラム 重なった画像の理解

4章 AIのビジネスでの活用
役立つAIの設計指針
ビジネス活用に必要な要素
AIと人間の間違え方の違い
データサイエンティストの重要性
ビジネスでの活用事例
コラム 人間の優れた技能

5章 未来
AI分野以外の動向
AIに仕事を奪われないためには
AIが人間を超えるまでには
AIが人間に置き換わった未来

あとがき
参考文献

藤本 浩司 (著), 柴原 一友 (著)
出版社 : 日本評論社 (2019/2/19)、出典:出版社HP

Newtonライト2.0『人工知能』 (ニュートンムック)

人工知能とは何か?

本書では、人工知能を特集しており、人工知能について詳しくない方でも、人工知能の概要を学べます。人工知能は何か、というところから始まり、これまでの歴史や機械学習の手法と仕組み、活用されている分野の紹介などを解説しています。人工知能の基本について知りたい方向けの内容です。

ムック
出版社 : ニュートンプレス (2020/4/11)、出典:出版社HP

ゼロからでも人工知能のしくみがよくわかる! 人工知能

スマート家電,翻訳ソフト,自動運転車…。
AIの普及によって私たちの生活はどんどん便利になっています。
その一方で私たちの仕事がAIに奪われる可能性も指摘されています。

「ディープラーニング」というしくみをきっかけに,
AIは驚異的なスピードで進化をとげています。
今後もますます色々な分野でAIが導入されていくことでしょう。

AIが人類のよきパートナーとして発展していくか,
それとも人類を脅かす存在となるか。
未来を決めるのはAIを使う私たち自身です。
この本を読んで,まずはAIを知ることからはじめてみませんか。

ムック
出版社 : ニュートンプレス (2020/4/11)、出典:出版社HP

理系脳をきたえる!
Newtonライト 2.0
Contents

AIとは何か
本当の意味でのAIは実現していない
第1次AIブームと最初の冬の時代
第2次AIブームと2度目の冬の時代
「ディープラーニング」が第3次AIブームを起こした!
さまざまな場面で活躍するAI
コンピューターはどのように動いているのか
コンピューターの「丸暗記」と「理解」は別物
Coffee Break AIも錯視図形にだまされる?

AIはこうして“かしこく”なる
「機械学習」と「ディープラーニング」
「機械学習」とは何か
機械学習① 「教師あり学習」とは
機械学習② 「教師なし学習」とは
海水浴場の混み具合をAIで予測
人の脳の神経細胞のはたらき
脳の神経細胞をまねる「人工ニューロン」
人工ニューロンのしくみ
ディープラーニングは,特徴を「自分」でみつけだす!
耳の長いネコはネコじゃない!?
Coffee Break 驚異的に進化する囲碁ソフト「AlphaGo Zero」

あらゆる分野で活躍するAI
新幹線の設計をAIがサポート
自動翻訳もAIでより自然なものに
AIが,がん細胞を見逃さない!
フェイク動画をつくるAIと,それを見破るAI
新薬の開発にAIが貢献する!
自動車の運転も,AIにおまかせ
「ビッグデータ」と「AI」は相性抜群
Coffee Break AIで惑星さえも発見
Coffee Break スポーツの世界でも活躍するAI

AIと共存していく未来
AIは,どのように能力を獲得していくか
AIは「適当に考えること」ができない
言葉の「ほんとうの意味」を,AIは理解していない
「なんでも学べるAI」のお手本も,やはり脳
臨機応変に自ら設計を変化させるAIとは
「シンギュラリティ」はくるのか?
AIが私たちを労働から解放する?
AIに奪われる仕事,AIに奪われない仕事
研究者が定めた「人工知能23原則」
Coffee Break AIの落とし穴

ムック
出版社 : ニュートンプレス (2020/4/11)、出典:出版社HP

人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの (角川EPUB選書)

知能とは何か、人間とは何か

日本トップクラスの研究者である著者が、人工知能の現状と展望をわかりやすく解説しています。人工知能は果たして人類の希望なのか、あるいは大いなる危機なのか、著者が経てきた研究を踏まえて、未来像や起きうる問題まで指摘しています。人工知能の全体像を理解するのにおすすめの1冊です。

松尾 豊 (著)
出版社 : KADOKAWA/中経出版 (2015/3/11)、出典:出版社HP

はじめに 人工知能の春

「人工知能(Artificial Intelligence : 略してAI)」という言葉が、いろいろなところで聞かれる。ほんの10年前とは大きな違いである。
私が大学院の学生だった1997年から2002年ごろには、人工知能の研究をしていると言うと、怪訝な顔をされることが多かった。「なぜ人工知能は実現できないんですか?」とまわりの研究者に聞いても苦笑されたものだ。なぜなら「人工知能」という言葉自体が、あるいは「人工知能ができる」と主張すること自体が、ある種のタブーとなっていたからだ。
いまでも印象に残っている出来事がある。私が大学院を修了し、新米の研究者として初めて挑んだ研究費の審査のことだ。若手の研究者にとって、年間数百万円の研究費をもらえるかどうかは、研究者としてやっていけるかどうかの明暗を分ける死活問題である。私は一生懸命に考え、提案書を書いた。
2002年当時、いちはやくインターネット上にある情報の研究に取り組んでいた私は、大量のウェブページを分析することで、言葉(キーワード)の関連性を表すようなネットワークを大規模に取り出すことができる技術を持っていた。それを使えば、一見すると関係がないような言葉でも、関連性を認識し、適切な広告を打てるはずだ。ネットの広告技術の研究なんて、まだ誰もやっていなかったので、私は自分の提案に自信を持っていた。
書類審査を無事通過した私は、意気揚々と面接に臨んだ。面接の会場では、他の分野の大御所の先生が何人も座っており、その前でひとりプレゼンテーションをした。研究内容について根ほり葉ほり質問を受けた後、先生方から言われた言葉に、私は衝撃を受けた。
「広告なんてくだらないものをやるな」
「言葉のネットワークが簡単にできますなどと言うな」
そして、最後に浴びせかけられた言葉が極めつけにひどかった。
「あなたたち人工知能研究者は、いつもそうやって嘘をつくんだ」
案の定、その提案は落選した。いま考えてみても、検索エンジンと広告モデルが当たり前になったいまの時代を先取りする研究であり、悪い提案ではなかったはずだが、当時はひどいめにあった。学生時代、人工知能の研究者に育てられた自分にとっては、初めて世間の冷たい風をまともに受けた瞬間だった。
「人工知能という言葉を使ってはいけないんだ」
「人工知能というだけで、敵愾心を燃やす人がたくさんいるんだ」
そのとき受けた衝撃は、私が最初に臨んだ研究費の面接の苦い思い出として、いまでも痛烈に心に刻み込まれている。

だが、時代は変わった。
いま、世の中は、人工知能ブームに差しかかっている。ネットのニュースにも、新聞や雑誌、テレビにも、人工知能という言葉が踊っている。「人工知能を研究しています」と堂々と言える。「これからは人工知能の時代ですね」といろいろな人から言われる。われわれ人工知能研究者にとってはうれしい春の到来だ。種が芽を出し、葉を茂らせ、花を咲かせ始めている。だが、それは同時に、憂鬱の種でもある。暗くて長い冬の時代も思い起こさせるからだ。
実は、人工知能には、これまで2回のブームがあった。1956年から1960年代が第1次ブーム。1980年代が第2次ブーム。私が学生だったのは、ちょうど第2次ブームが去った後だった。
過去の2度のブームでは、人工知能研究者は、人工知能の可能性を喧伝した。いや、喧伝する意図はなかったのかもしれないが、世の中がそれを煽り、そのブームに研究者たちも乗った。多くの企業が人工知能研究に殺到し、多額の国家予算が投下された。
パターンはいつも同じだ。「人工知能はもうすぐできる」、その言葉にみんな踊った。しかし、思ったほど技術は進展しなかった。思い描いていた未来は実現しなかった。人工知能はあちこちで壁にぶち当たり、行き詰まり、停滞した。そうこうするうち、人は去り、予算も削られ、「人工知能なんてできないじゃないか」と世間はそっぽを向いてしまう。期待が大きかった分だけ失望も大きかった。
楽しい時間の後には冷たい現実が待っていた。人工知能研究者にとっては大変につらく長い冬の時代がやってきた。
2度の冬の時代、人工知能という言葉を発することさえ憚られるような雰囲気の中、「いつか人工知能をつくりたい」「知能の謎を解明したい」という研究者の思いが人工知能研究を支えていた。多くの研究者が現実的なテーマにシフトし、本当の知的好奇心をひた隠しにして、表向きは人工知能という看板を下ろして研究を続けた。

いま、三たびめぐってきた人工知能の春の訪れに当たり、同じ過ちを繰り返してはいけないと強く思う。ブームは危険だ。実力を超えた期待には、いかなるときも慎重であらねばならない。世間が技術の可能性と限界を理解せず、ただやみくもに賞賛することはとても怖い。
これまで冬の時代を耐えてきた研究者の地道な努力があるから、いまがある。だからこそ私は、読者のみなさんに、人工知能の現在の実力、現在の状況、そしてその可能性をできるだけ正しく理解してほしいと思う。それが本書の大きな目的だ。
この本で言いたいことを本当に理解してもらおうと思うと、最後まで読み進めてもらわないといけない。ポイントは、50年ぶりに訪れたブレークスルーをもたらすかもしれない新技術「ディープラーニング」の意義をどうとらえるかにかかっている。ただ、あらかじめざっくり言っておくと、いまの人工知能を正しく理解するというのは、こういうことだ。

1.うまくいけば、人工知能は急速に進展する。なぜなら「ディープラーニング」、あるいは「特徴表現学習(*注1)」という領域が開拓されたからだ。これは、人工知能の「大きな飛躍の可能性」を示すものだ。もしかすると、数年から十数年のうちに、人工知能技術が世の中の多くの場所で使われ、大きな経済的インパクトをもたらすかもしれない。つまり、宝くじでいうと、大当たりしたら5億円が手に入るかもしれない、ということだ。

2.一方、冷静に見たときに、人工知能にできることは現状ではまだ限られている。基本的には、決められた処理を決められたように行うことしかできず、「学習」と呼ばれる技術も、決められた範囲内で適切な値を見つけ出すだけだ。例外に弱く、汎用性や柔軟性がない。ただし、「掃除をする」とか「将棋をする」といった、すごく限定された領域では、人間を上回ることもある(だが、足し算や引き算でとうの昔に人間が電卓に敵わなくなったのといったい何が違うというのだろうか!)。人工知能が人間を支配するなどという話は笑い話にすぎない。要するにこれは、宝くじでいうと、いま手元にある10枚のくじで平均的に受け取れる金額—現状の期待値―は300円にすぎない、ということだ。

つまり、上限値と期待値とを分けて理解してほしいのである。宝くじを買っただけで、1等が当たる気になってしまうのは、人間であればしかたない。でも、1等が当たることは、実際にはめったにない。
人工知能は、急速に発展するかもしれないが、そうならないかもしれない。少なくとも、いまの人工知能は、実力より期待感のほうがはるかに大きくなっている。
読者のみなさんには、それを正しく理解してもらいたい。その上で、人工知能の未来に賭けてほしいのだ。人工知能技術の発展を応援してほしい。現在の人工知能は、この「大きな飛躍の可能性」に賭けてもいいような段階だ。買う価値のある宝くじだと思う。その理由を、本書では順を追って説明しよう。人工知能について、できるだけ多くの人にわかってもらえるよう、基礎的なことから書いたつもりである。
なぜ2回の冬の時代があったのか。なぜ3回目の春には希望が持てるのか。
これは人類にとっての希望なのか、あるいは大いなる危機なのか。
本書を読めば、自ずから答えは明らかになるはずだ。

2015年2月
松尾 豊

(*注1) 本書では、表現学習ではなく「特徴表現学習」という言葉を使う。理由は後述する。

松尾 豊 (著)
出版社 : KADOKAWA/中経出版 (2015/3/11)、出典:出版社HP

人工知能は人間を超えるか――ディープラーニングの先にあるもの 目次

はじめに 人工知能の春

序章 広がる人工知能――人工知能は人類を滅ぼすか
・人間を超え始めた人工知能
・自動車も変わる、ロボットも変わる
・超高速処理の破壊力
・人工知能はSF作家になれるか
・人工知能への研究投資も世界中で加速
・職を失う人間
・人類にとっての危機が到来する
・この本の読み方

第1章 人工知能とは何か――専門家と世間の認識のズレ
・まだできていない人工知能
・基本テーゼ : 人工知能は「できないわけがない」
・人工知能とは何か――専門家の整理
・人工知能とロボットの違い
・人工知能とは何か――世間の見方
・アルバイト・一般社員・課長・マネジャー
・強いAIと弱いAI

第2章 「推論」と「探索」の時代――第1次AIブーム
・ブームと冬の時代
・「人工知能」という言葉が誕生
・探索木で迷路を解く
・ハノイの塔
・ロボットの行動計画
・相手がいることで組み合わせが膨大に
・チェスや将棋で人間に勝利を飾る
・[秘訣1]よりよい特徴量が発見された
・[秘訣2]モンテカルロ法で評価の仕組みを変える
・現実の問題を解けないジレンマ

第3章 「知識」を入れると賢くなる――第2次AIブーム
・コンピュータと対話する
・専門家の代わりとなるエキスパートシステム
・エキスパートシステムの課題
・知識を表現するとは
・知識を正しく記述するために : オントロジー研究
・ヘビーウェイト・オントロジーとライトウェイト・オントロジー
・ワトソン
・機械翻訳の難しさ
・フレーム問題
・シンボルグラウンディング問題
・時代を先取りしすぎた「第五世代コンピュータ」
・そして第2次AIブームが終わった

第4章 「機械学習」の静かな広がり――第3次AIブーム①
・データの増加と機械学習
・「学習する」とは「分ける」こと
・教師あり学習、教師なし学習
・「分け方」にもいろいろある
・ニューラルネットワークで手書き文字を認識する
・「学習」には時間がかかるが「予測」は一瞬
・機械学習における難問
・なぜいままで人工知能が実現しなかったのか

第5章 静寂を破る「ディープラーニング」――第3次AIブーム②
・ディープラーニングが新時代を切り開く
・自己符号化器で入力と出力を同じにする
・日本全国の天気から地域をあぶりだす
・手書き文字における「情報量」
・何段もディープに掘り下げる
・グーグルのネコ認識
・飛躍のカギは「頑健性」
・頑健性の高め方
・基本テーゼへの回帰

第6章 人工知能は人間を超えるか――ディープラーニングの先にあるもの
・ディープラーニングからの技術進展
・人工知能は本能を持たない
・コンピュータは創造性を持てるか
・知能の社会的意義
・シンギュラリティは本当に起きるのか
・人工知能が人間を征服するとしたら
・万人のための人工知能

終章 変わりゆく世界――産業・社会への影響と戦略
・変わりゆくもの
・産業への波及効果
・じわじわ広がる人工知能の影響
・近い将来なくなる職業と残る職業
・人工知能が生み出す新規事業
・人工知能と軍事
・「知識の転移」が産業構造を変える
・人工知能技術を独占される怖さ
・日本における人工知能発展の課題
・人材の厚みこそ逆転の切り札
・偉大な先人に感謝を込めて

おわりに まだ見ぬ人工知能に思いを馳せて

松尾 豊 (著)
出版社 : KADOKAWA/中経出版 (2015/3/11)、出典:出版社HP