【最新】5Gについて理解するためのおすすめ本 – 入門からビジネスへの応用まで

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5Gとは何なのか、4Gとどう違う?

2020年春から次々と商業的なサービスが始まっている「5G」こと第5世代通信システム。通信の高速化や大容量化に伴い、日常生活や企業活動にも大きな影響を与えています。今回、5Gの特徴とそのメリット、またビジネスにどう関わってくるのかについて解説された本をご紹介します。

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【最新 – 5Gを理解するためのおすすめ本 – 2021前半】も確認する

5Gビジネス (日経文庫)

5Gとビジネスやテクノロジーとのあり方

5G通信の今までの通信方式との違い、世界の状況はどうなのか、何に使えるのか等について、単に5Gのみの視点に留まらず、最先端のテクノロジーやビジネスの在り方と絡めて解説しているところが、特徴的な一冊です。とても読みやすい本で、5Gの入門書としてオススメします。

亀井 卓也 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2019/6/15)、出典:出版社HP

まえがき

2020年の春に、いよいよ日本における5Gサービスが開始されます。通信の大変革をひかえ、さまざまなメディアで「5G(ファイブジー、第5世代移動通信システム)」という言葉を目にすることが多くなっています。本書はこの5Gについて、技術や通信ビジネスにくわしくない人にもわかりやすく理解いただけるように、かみくだいて解説したものです。

5Gは、「スマートフォンが速くなる」「映画が数秒でダウンロードできる」など、現在の4Gよりもさらに高速な通信として広く認識されています。ですがそれは、5Gの技術的革新の一部にすぎません。5Gはスマートフォンやタブレットに限らず、われわれの生活をとりまく幅広いシーンにおいて活用される可能性を秘めています。

また、5Gは生活シーンだけでなくビジネスシーンへの幅広い活用も期待されています。さまざまな産業・業界の企業が、自社のビジネスを5Gでどう進化させるかを考えているのです。あらゆるビジネスパーソンに、5Gが事業機会をもたらすことでしょう。

本書では、5Gに関する先進的な取り組み事例をとりまとめ、われわれのライフスタイルやビジネスが5G時代にどのように変わっていくのか、その一端をご紹介しています。具体的な説明に入る前に、プロローグでは5G時代のライフスタイルを予想し、架空のケースとして紹介しました。

第1章では、5Gへの基本的な理解を深めるべく、移動通信の歴史をひもとき、技術革新の具体的な内容をできるだけわかりやすく説明しました。日本と世界における5Gの現状や、今後の見通しについても触れています。

第2章では、5Gがわれわれのライフスタイルをどう変えるかについて、先進事例の紹介を通じて見ていきます。スマートフォンの進化だけでなく、エンターテインメント、モビリティ、医療・介護といった生活を取り巻くサービスがどう進化するのか。そしてすべてのサービスを底上げする認証やパーソナライズがどうなっていくのかについて取り上げています。都市がどう変わるのか、スマートフォンの次のパーソナルデバイスは何なのかといった点についても見通しました。

第3章では、5Gがビジネスに与える影響を、産業・業界ごとにまとめています。電気・ガス・水道といったユーティリティ産業や製造業、防犯・警備といった公衆安全、そして公共交通産業がどう変わるかについて紹介しました。また、5Gは通信業自身にも変化をもたらします。特に重要なのが「B2B2X」へのビジネスモデルの転換です。これについても、くわしく解説を加えています。

第3章までは5Gのもたらすメリットに光をあてていますが、第4章は5Gの影の側面、つまりどのようなリスクがもたらされるかについて取り上げています。そして第5章では、5G時代に向けてわれわれは何をすべきか、という具体的な処方箋を提案しています。本書では5Gのみならず、その他の通信技術や、業界のホットトピックも随所にちりばめています。通信業界を理解し、その影響を幅広く知るための入門書としても活用できると思います。

なお本書は、2019年4月時点での情報をもとにしています。また、本書で取り上げた各種事例において特に出所の明記がないものは、各社の発表および公式ホームページを参考にしました。

2019年6月
亀井 卓也

亀井 卓也 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2019/6/15)、出典:出版社HP

目次

プロローグ
202X年、ある日の風景

第1章 5Gが話題になる理由
1 移動通信システムは、こう変わった
2 5Gを支える技術革新
3 5Gをめぐる国際競争
4 「使い方の開発」で先行する日本

第2章 5Gが変える生活
1 スマートフォンの革新
2 エンターテインメントに新たな体験をもたらす
3 「コネクテッドカー」への革新
4 医療・介護現場での変化
5 認証とパーソナライズの革新
6 スマートシティからソサエティ5.0へ
7 スマートフォンの次に来るもの

第3章 ビジネスをどう変えるのか
1 5Gが業界・産業に与えるインパクト
2 エネルギー・ユーティリティ産業の革新
3 工場が変わる、活用現場も変わる――製造業の革新
4 空から、陸から監視。AIも導入――進化する公衆安全
5 乗り物から「モビリティサービス」へ――公共交通産業の革新
6 キーワードはB2B2X――通信業界自体も変わる

第4章 5Gがもたらすリスク
1 「高すぎる期待」が失望に変わる危険性
2 プライバシー情報を抱えるリスク
3 広がるスコアリング
4 都市と地方、地域間での「デジタル格差」が拡大
5 5Gへの移行が進まないリスクも

第5章 5G時代にわれわれは何をすべきか
1 主役の交代
2 基本となるアーキテクチャ
3 センターB事業者のとるべきアクション
4 XaaS型のサブスクリプションサービスへ州
5 ビヨンド5G、そして6G

亀井 卓也 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2019/6/15)、出典:出版社HP

プロローグ202X年、ある日の風景

本書では、5Gとは何なのか、そして5Gによってわれわれの生活やビジネスがどう変わるのかを解説しています。ですが、その詳細に入る前に、5Gサービスが普及した先の未来が、いったいどのような社会になっているのか、ちょっとのぞいてみることにしましょう。

都市在住、彩(20代)の場合

今日は土曜日、仕事がお休みの彩は、友達と好きなアーティストのライブに行く約束をしています。少し早めに家を出て、買い物をしてから待ち合わせに向かうことにしました。平日は電車通勤ですが、スマートフォンのアプリで乗り換え検索をしてみると、「ライブ会場近くのショッピングモールで駐車場の空きがあります」「自宅のマンションに備え付けのカーシェアリングサービスが1台使えます」との回答結果。

「じゃあ、今日は気分転換にクルマでショッピングモールまで行こうかしら。ちょうど買い物もしたかったし」と、自分で運転してショッピングモールに向かうことにしました。

彩の利用するカーシェアリングサービスには「1day利用」の保険が付帯していますが、彩は運転が丁寧なので保険料が減額され、カーシェアリングサービスを安く使えるのでお気に入りです。今日の運転でまた保険料が安くなりました。

5G時代の乗り換え検索サービスは、電車やバスだけでなく、カーシェアや自転車シェア、そしてマイカーまでが対象になり、目的地までの移動手段が最適化されます。また、この例のような保険が可能となるのは、運転中の多様な情報をクルマが吸い上げることができるからです。

ショッピングモールに到着しました。入り口のゲートで彩のスマートフォンのアプリが自動認証されます。ウインドウショッピングを楽しんでいると、本屋の前に置かれたディスプレイが反応し、彩が毎月買っているファッション雑誌の特集映像が流れます。「あ!今月買うの忘れてた」と、急いで本屋に入りその雑誌を手に取ると、そのまま本屋を後にします。

5G時代には認証が高度化し、自動認証や常時認証が可能となります。この例では、入り口のゲートで認証しているため、レジで支払いをする必要はありません。アプリに登録したクレジットカードから自動的に引き落とされることになります。

ショッピングモールを後にして、ライブ会場の入り口ゲートで友達の麻衣と落ち合い、会場に入ります。もちろんスマートフォンアプリに登録されたライブチケットが自動認証されています。会場に入ると、思ったより広くて、彩は買った座席がどのエリアにあるかわかりません。あたりをきょろきょろ見回していると、スマートフォンアプリに通知が。「あなたの座席は反対側の入り口から入ってすぐのところです」とのこと。彩と麻衣は反対側から入りなおし、自分の座席を見つけ、無事にライブの開始に間に合うことができました。

認証の高度化がもたらすメリットは多岐にわたります。この例では、ライブ会場に設置されたカメラが彩や麻衣の挙動を検知し、「迷っている」と判断し、2人のスマートフォンに正しい座席情報を送信したのです。

そしてライブ開始。しばらく2人は楽しんでいましたが、ダンスが見せ場の楽曲が始まり、彩はもっと近くで見たくなりました。

「もっと近くで見られたらいいのにね」と彩が言うと、麻衣はバッグから二つ折りにされたスマートフォンを取り出し、開きます。「座席の移動はできないけど、これで見られるよ」と、彩にスマートフォンの画面を見せます。そこにはライブステージをすぐ近くから撮影している映像が流れています。彩はこの楽曲だけは、麻衣から借りたスマートフォンで楽しむことにしました。

高速大容量通信を可能とする5Gでは、複数のカメラによるライブ映像をストリーミングで配信することも可能です。ステージ上を撮影するカメラによって、ライブ会場にいながらにして、多様な視点で楽しむことが可能となるのです。
また、高精細な映像を楽しむのには大画面のディスプレイが最適ですが、それを「折りたたみ型」とすることで携帯性を高めているスマートフォン端末が登場しています。

そしてライブは終わり、興奮冷めやらぬ2人はショッピングモールのカフェバーに入って感想を言い合います。終わったばかりのライブ映像を麻衣の折りたたみ型スマートフォンで流しながら、お気に入りの瞬間を振り返ります。そろそろ帰ろうかとライブ映像を終了させると、今日ライブをしたアーティストのファンが好む、他のアーティストのライブがレコメンドされます。麻衣は「来月はこのライブ行こう!」と彩を誘います。彩も大賛成。彩がライブを自分のスマートフォンのスケジュールに登録すると、自動的にカーシェアリングも予約されました。

レコメンデーション機能もますます高度化します。レコメンドされたサービスを利用すると、その他のサービスも連動し、利用者の利便性を高めます。そろそろ帰宅の時間です。彩はあまりの興奮に、カフェバーでお酒を飲んでしまいましたので、電車で帰ることにしました。駐車場に停めているクルマは、お酒を飲んでいない麻衣が自宅まで乗って帰ることになりました。彩は「じゃあまた来月のライブでね」と麻衣と別れました。家に着いた彩は眠る準備をして、買った雑誌をベッドで開き、パラパラと眺めます。スマートフォンに「何か音楽をかけて」と言うと、来月ライブに行く予定のアーティストの楽曲が流れてきます。もう夜も遅いので、リラックスできる曲調のものだけが選定されています。「来月のライブが楽しみだわ」と、彩は眠りにつくのでした。

認証の高度化によって、カーシェアのようなシェアリングサービスは、より柔軟性が高まります。また、多様なサービスが認証によって紐づくことで、あるサービスで選択したことが、別のサービスを最適化します。利用者の選択だけでなく、時間や天候、寝室という場所、といった周辺環境情報もサービスの最適化に考慮されるようになります。

工場勤務、健太(40代)の場合

自動車部品工場で、生産管理の責任者を務める健太は、自宅からマイカー通勤をしています。自宅近くのインターチェンジからいつものように高速道路に乗り、しばらく走っていると前方が詰まってきたので、追い越し車線に出ようとすると、後方から迫るクルマを検知して、「ピピピ!後方からクルマが近づいています。車線変更は控えてください」と、アラートが出されました。

健太のクルマはドアミラーがなく、代わりにカメラで後方を撮影し、その映像をフロントガラスに投影して後方を確認することができる仕様となっています。投影される後方の映像には、近づくクルマの映像に加えて、健太のクルマまでの距離、車両速度、あと何秒で追いつくかが表示されています。建太のクルマは比較的遅いスピードで走っていたので、車線変更をすると接触していたかもしれません。「あぶなかった。ありがとう」と健太はつぶやきました。

5Gでは、クルマに搭載されたカメラが撮影する映像をリアルタイムで伝送することも可能です。ミラーの代替として単純に後方を表示するだけでなく、そこに付加情報を重ねてドライバーにフィードバックすることにより、安全運転支援を強化します。

高速道路から一般道路に降り、しばらく走って交差点に入りました。健太の前方を走るクルマが左折しそうなので、健太はそれを右に避けて直進しようとしたところ、「ピピピ!対向車線のバイクが右折します。注意して直進してください」と、またクルマからアラートが出されます。健太のクルマのフロントガラスに、前方車両のさらに前方の映像が投影されており、対向車線から右折してくるバイクの姿が見えます。前方車両がカメラで前方の映像を撮影し、それを健太のクルマに送信することで、健太は前方車両のさらに前方の状況を把握することができるのです。「まったく、あぶないバイクだな」と思いながら、健太は職場へと向かいます。

すべてのクルマが「つながるクルマ」となることで、他のクルマが撮影した映像、取得したデータを、自分のクルマに活用するといった応用も可能となります。工場の駐車場に到着した健太は、クルマを自動運転モードに切り替えます。今日のスケジュールを確認している間にクルマは駐車スペースに到着し、健太はクルマを降りて事務所に立ち寄り、着替えて工場内に入ります。車道で完全自動運転を実現するには時間がかかりますが、駐車場内など、限定的な空間においてはより早いタイミングで実現されるでしょう。5Gでは、特定のエリアや建物内という限定的な環境において、誰もが「通信事業者になれる」という仕組みも用意されています。

工場内の生産ラインはすべて自動化されています。ロボットアームによる協調作業はスムーズで、逐次、海外の本社によってクラウド上の制御アルゴリズムが最適化されています。健太の仕事は国内における発注状況を踏まえて、生産量をコントロールすることです。顧客である自動車メーカーからの過去の発注だけでなく、自動車自体の需要や景気動向をAI(人工知能)が予測して最適生産量を算出してくれます。健太はAIの出した数値に加え、取引先と普段接している中で想定される見込み発注量を勘案して最終判断し、生産ラインに反映させます。工場内のさまざまな機器が通信するようになると、品質の異なる複数の通信が同時に発生します。5Gにはそのような状況を管理するのに最適な技術が組み込まれています。

午後になり、今日の生産ラインへの指示は大体メドがついたので、生産ライン管理の業務を部下に任せ、健太は営業の翔太とともに、取引先を訪問することにしました。取引先は駅前なので、電車で向かいます。取引先は健太が生産管理する部品の品質を高く評価し、さらなる大型契約を獲得することができました。

取引先からの帰りの電車の中、翔太は健太に「大型契約のお祝いに、一杯いきますか!」と誘います。健太はクルマでの出勤でしたが、スマートフォンアプリで調べると、次の駅からバスが健太の自宅近くまで走っています。健太は「そうだな、行くか。でも次の駅で飲めると家に帰りやすくて助かるよ」と答えると、電車の中に設置された広告配信用のディスプレイが、健太たちを検知して、次の駅の近くに新しくできた居酒屋の紹介映像を流しました。どうやらちょうど空き席もあるようです。翔太は自分のスマートフォンで、その店を予約します。

いまの電車内ディスプレイで配信される広告は、あらかじめ決まった動画を繰り返し再生するものですが、5Gが組み込まれることで、周辺環境情報を踏まえたより精度の高い広告を表示できるようになります。

電車を降りると、店を予約した翔太のスマートフォンが居酒屋までの道をナビゲーションしてくれます。居酒屋で乾杯を繰り返すうちに、健太のバスの最終出発時間ギリギリになってしまいました。2人は大急ぎで店を出て、健太はバスに飛び乗ります。もちろん、翔太が予約したときに認証されているので、会計は自動で引き落とされます。「助かったよ」と健太は翔太にメッセージを送り、帰路に就いたのでした。

アクティブエイジング、源(70代)の場合

長く勤めた会社を定年退職した源は、都心で暮らす息子夫婦からの隣居の誘いを断り、地方で妻と2人で暮らしています。長く歩くと少し疲れるくらいで、心も体も健康、アクティブな生活を楽しんでいます。若いときからの趣味だったカメラをスマートフォンに持ち替えて、今日もカメラ同好会の集まりに出向きます。外出中に移動するのには電動車イス型のパーソナルモビリティを使っています。パーソナルモビリティに乗った源は、「いつものコミュニティセンターまでナビをして」と言いました。パーソナルモビリティは「承知しました」と、自宅を出発します。「右に曲がります」「信号が赤なので、停止します」というようにコミュニティセンターまでのナビゲーションをしながら、自動で駆動するパーソナルモビリティに、「はい、お願い」と源は応えるだけです。

5Gによって電動車イスのようなパーソナルモビリティが高度化します。まずはナビゲーション、そして操縦支援も可能となるでしょう。同じころ、源の息子である真一のスマートフォンに「源さんがコミュニティセンターに向けて自宅を出発しました」という通知が届きます。源のパーソナルモビリティは真一からのプレゼントで、真一は源に、「このパーソナルモビリティは、親父が使うときや、万が一転倒したときなどに、俺のスマートフォンに通知してくれるんだ」と伝えていました。源としても、離れて暮らす息子がパーソナルモビリティを通じて見守ってくれることをありがたく思っています。

遠隔からの見守りは5Gでなくても可能ですが、パーソナルモビリティが通信機能を持つことによる便益といえるでしょう。利用者の承諾や、見守りに必要な最低限の情報のみ通知するといった、プライバシーへの配慮が重要なテーマとなります。

源はコミュニティセンターに到着し、カメラ同好会の仲間と、撮影した写真を見せ合い、評論し合っています。源はスマートフォンを腕時計型のウェアラブル端末から操作して、一風変わった構図の写真を撮るのにハマっています。このウェアラブル端末は腕時計やスマートフォン操作の機能だけでなく、常に源の心拍や心電図をかかりつけの病院に伝送する機能を持っています。何かあった場合には源だけでなく真一にもアラートが届くようになっているのです。以前、ウェアラブル端末からの情報が異常値を示した際に、病院からのアラートに対して源から応答がなく、真一が源に電話してもつながらなかったため、真一は救急医療を依頼しました。源の位置情報をもとに救急車が駆けつけ、事なきを得たということもあり、源はそれ以来ウェアラブル端末をいつも身につけているようにしています。

ウェアラブル端末はスマートフォンとは違う役割を持つことで普及する可能性があります。5Gでは心拍や心電図といった情報を医療機関とリアルタイムに共有することができますので、万が一の際に速やかに検知することができます。

真一が「親父は今日もカメラ同好会か。相変わらず元気だな」と安心していると、息子のタカシが駆け寄ってきます。タカシは「パパ、今日の野球の試合、どっちが勝つかな」と、今夜の野球観戦を楽しみにしています。真一の家族は源、真一、タカシと3代にわたる野球ファンなのです。カメラ同好会の仲間との写真談義に花を咲かせていた源は、スマートフォンに真一からのメッセージが届いていることに気づきました。メッセージには「今夜の試合、18時からだから、遅れずに準備していてくれよ」とあり、野球の試合があったことを思い出します。源は急いで自宅に戻ることにしました。

自宅に到着した源はオーディオルームに入ると、ソファに腰をかけVRヘッドセットを頭に装着しました。VR(Virtual Reality:仮想現実)によって、自宅にいながらまるでスタジアムにいるかのような感覚で野球観戦を楽しむことができます。もうすぐ18時、試合開始に間に合いました。VRは通信するデータ量が大きく、またリアルタイム性が必須であるため、5Gならではの利用用途といえるでしょう。

一方、真一とタカシはスタジアムに到着しています。タカシが「おじいちゃん、準備できたかな」と言うと、真一のスマートフォンに「VRヘッドセットが準備されました」と通知が来ます。「うん、大丈夫だ」と真一が言うと、真一とタカシは客席にセットされたタブレット端末を起動します。このスタジアムではバッターボックスをあらゆる角度から撮影していて、手元のタブレットで自分の好きな角度からの映像を見られたり、見逃したシーンをもう一度見られたりといったことができるようになっています。真一とタカシの声を源に届けたり、源の声を真一やタカシに届けたりすることもできます。

源も真一たちも、試合開始の準備が整いました。そしていよいよ、プレイボールです。源、真一、タカシの応援するチームからの攻撃です。先頭打者がバッターボックスに立ち、第1球が投げられたと思ったら、なんとホームラン!興奮するタカシの声に、源も思わず声が出ます。源は真一やタカシとの野球観戦を、心ゆくまで満喫したのでした。5G時代には、一方向のストリーミングにとどまらず、双方向のインタラクティブなコミュニケーションも可能となるでしょう。

いかがだったでしょうか。5Gがもたらす未来の一端を、3人のストーリーを通じてご紹介しました。4Gまでと同様に、5Gもまた、誰も予想していなかったサービスを生み、われわれの生活やビジネスを変えていくことになるでしょう。5Gの仕組み、そして5Gがどのような変革をもたらすのかを、第1章からじっくり見ていきましょう。

亀井 卓也 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2019/6/15)、出典:出版社HP

インプレス標準教科書シリーズ 5G教科書 ―LTE/ IoTから5Gまで―

5Gまでの全貌が見える一冊

本書は複雑かつ難解な技術について、豊富な図面を用いて解説しており、コラム枠で用語の説明や、概念の説明もあって分かりやすい構成となっています。難易度は高いですが、かなり細かく丁寧に説明されています。5Gに関心のある方、特にある程度の知識がある人におすすめです。

服部 武 (著, 編集), 藤岡 雅宣 (著, 編集)
出版社 : インプレス (2018/9/21)、出典:出版社HP

まえがき

本書は、携帯電話システムの第4世代(4G)であるLTEから第5世代(5G)までについて、ネットワーク技術をはじめ、無線技術や標準化、周波数利用、スマートフォンの構成とOSの進化に至るまで、最新の動向を踏まえ詳述しています。携帯電話は、周知の通り、ライフスタイルの変革のみでなく、産業構造も大きく変えてきています。その顕著なのが、第4世代のLTEとスマートフォンです。LTEの名称は、Long Term Evolutionで、それまでの技術名称とは異なるネーミングとなっています。LTEは、2010年からサービスが導入され、通信速度が第3世代のWCDMA/CDMA2000に比較して100倍以上となり、スマートフォンの登場とともに本格的なインターネット・アクセスや高品質な動画像などが提供されています。

LTEは、世界の統一規格となったことも、それまでの複数標準システムとは大きく異なっています。LTEには、多くの特徴がありますが、その1つはスケーラビリティ(拡張性)をもつことです。これは国や事業者によって適用可能な周波数帯が異なる場合もサンプリング速度を変えることで、柔軟に対応できることです。LTEは、導入後もさらに進化し続け、LTEAdvanced、LTE-Advanced Proへと発展し続けています。本書は、これらの一連の技術的発展を 説明しています。またLTEは、1つの周波数帯を用いて送受複数のアンテナ(MIMO: Multiple Input and Multiple Output)で、最大100Mbpsの通信を実現していますが、LTE-Advancedではさらに高速化を行うため、アンテナ数の増大、複数の異なる帯域を同時に利用するキャリアアグリゲーション、高度な変調方式の適用で最大1Gbpsの伝送速度を可能としています。また、スモールセルや複数セル協調によってトラフィック処理能力を高めるなど大幅な高度化が行われています。

LTEの役割は、それまでの人と人と(Person to Person/P2P)の通信から、モノとの通信へと役割が拡大しています。モノとの通信を最近は、IoT(Internet of Things)という用語が使用されています。IoTの時代を迎え、対象市場も飛躍的に拡大しています。IoTに関する無線システム(LPWA)として本書では、ライセンス系としてLTEをベースにした方式(NB-IoT、LTE-M)を説明しています。携帯システムは、これまで10年を1つの単位として、新たなシステムの導入が行われてきました。4Gに続くシステムとして5Gの標準化の検討が行われ、2017年12月のノンスタンドアロン(NSA)に続いて、2018年6月にスタンドアロン(SA)という規格仕様が策定され、第1フェーズの標準化が完了し、2020年に本格的な5G導入に向けた検討が進展しています。5Gのシステムは、3つのユースケースとして、10~20Gbpsのブロードバンド、接続時間1ms以下の超低遅延、大量なデバイス接続を対象にしたマッシブ(大規模)IoTに対応しています。

5Gにおける無線系の方式は、NR(New Radio)と呼ばれ、LTEのOFDMA(直交周波数多元 接続)をベースに拡張が行われています。また、制御方式として、制御プレーンとユーザー・ プレーンを分離したことも5Gの大きな特徴です。これは、5GがLTEのマクロセル内に 5Gを埋め込む方式が想定されるためです。さらに、このような3つの異なるユースケースにネットワーク側も柔軟に対応することが必要となっています。そのため、ネットワークを論理的に分離して適用する構造化を行っています。これをネットワーク・スライシングと呼んでいます。周波数利用に関してこれまで利用に関してこれまでと大きく異なる特徴は、5Gには6GHz以下の周波数以外に6GHz以上の高い周波数が適用されることです。長い移動通信の歴史でミリ波の本格的な適用はありませんでした。技術的にも、方も大きなチャレンジとなっています。6GHz以上の効率的な利用のため、マッシブMIMO庫ばれる方式が標準化されています。

5Gは、このように新たな周波数帯とともに3つのユースケースを想定しているため、事業道入としても従来のコンシューマを中心としたものから、B2B2Xへと大きく変わることが想定されています。このことをクロスインダストリーと呼んでいます。移動通信によるビジネスのパラダイム変革が起きることが期待されています。本書は、携帯電話に携わる第一線の技術者が精魂こめて執筆をしたもので、非常に質の高い内容となっています。読者層としては、ワイヤレスに携わる技術者や研究者を想定していますが、知財関係に携わる関係者や、大学・大学院でこの分野を研究する学生諸君にも貴重な書鐘と言えます。さらに、数式処理を最小限にとどめ解説を行っているため、ワイヤレス関係の経営者や営業に携わる方々にも最近の動向を知るうえで、大いに参考になると自信をもって推薦できます。

本書の質を高めるため、編集者も日夜徹して努めてきたことを著者一同に代って感謝します。本書が皆様の座右の書となり、ワイヤレス・ブロードバンドの進展に寄与することを重ねて祈願させていただきます。

2018年8月
編著者:服部武

服部 武 (著, 編集), 藤岡 雅宣 (著, 編集)
出版社 : インプレス (2018/9/21)、出典:出版社HP

CONTENTS

まえがき
執筆者一覽

第1章 5G (第5世代)に向けて発展する ワイヤレス・ブロードバンドの全体像 ―モバイル・ブロードバンドと無線技術の進化―
1 ワイヤレス ブロードバンドの基礎知識)
1.1 電波特性と無線技術に関するイントロダクション
1.2 FDDとTDDの特徴と比較
1.3 移動通信で利用する周波数バンド
1.4 ライセンスバンドとアンライセンスバンド
1.5 回線交換方式とパケット交換方式の技術と歴史

2 ワイヤレス・ブロードバンドと移動通信の進化)
1.6 移動通信の歩み
1.7 5G (第5世代)への進化

第2章 Q&Aで学ぶワイヤレスブロードバンドの 基礎知識
Q1 携帯電話の基地局やネットワークの仕組み
Q2 携帯電話の位置登録の仕組み
Q3 携帯電話の電波の強さ
Q4 変調とは何か?
Q5 移動通信の無線アクセス技術とは?
Q6 MIMOとは?
Q7 無線通信の基礎のまとめ
Q8 移動通信端末の位置情報とは?
Q9 国際ローミング・サービスとは?
Q10 MVNO(仮想移動通信事業者)と移動通信事業者ネットワークの接続は?
Q11 モバイル(マルチアクセス)・エッジ・コンピューティングとは?
Q12 ネットワーク・シェアリングとは?

第3章 LTE, LTE-Advanced、LTE-Advanced Proの無線アクセス技術
3.1 LTE. LTE-Advanced, LTE-Advanced Pro
3.2 LTE、LTE無線アクセス系の核となる移動通信システム無線アクセス方式
3.3 LTE-Advanced無線アクセス方式
3.4 LTE-Advanced Pro、第4世代から第5世代への掛け橋

第4章 5G(第5世代)の無線アクセス技術―NSA方式とSA方式との2種類のアーキテクチャを規定―
4.1 5G(第5世代)とは?
4.2 プロトコル構造と各チャネルの役割
4.3 5Gで利用が想定される周波数
4.4 フレーム構造
4.5 下りリンク無線アクセス
4.6 上りリンク無線アクセス
4.7 アクセス・プロシージャと無線インタフェースプロトコル
4.8 5Gで使用されるマルチアンテナ技術
コラム1 MIMOを数式的視点から理解しよう

第5章 4G (第4世代)のアーキテクチャ「EPS」を 支えるパケット・コア基盤「EPC」
5.1 3GPPで標準化された4Gシステム「EPS」とパケット・コア「EPC」
5.2 EPCの基本アーキテクチャとその機能
5.3 ローミングの場合のEPCアーキテクチャ(GTPベースのS8インタフェース)
5.4 EPSのプロトコル構成
5.5 EPSにおけるベアラの概念とQoS
5.6 加入者情報管理機能/ユーザー認証・許可機能とモビリティ管理機能
5.7 FPSにおけるセッション管理機能
5.8 EPSにおけるUEのIPアドレスの設定
5.9 3GPPアクセス内でのハンドオーバー(HO)
5.10 非3GPPアクセス・ネットワークとの相互接続
5.11 EPSとCDMA2000 HRPDアクセスの最適化相互接続アーキテクチャ
5.12 PCCアーキテクチャとEPSとの連携
5.13 EPCの進化

第6章 4GのEPCから5G コア (5GC)への進化―NFV/SDN、分散クラウド、ネットワーク・スライシングを導入へ―
6.1 5Gシステム(コア)の4つのキー技術
6.2 ネットワーク機能の仮想化NFVとSDN
6.3 分散クラウド技術:エッジ・コンピューティング
6.4 ネットワーク・スライシングの登場と特徴
6.5 5Gコアのアーキテクチャの概要
6.6 ネットワーク発展シナリオ

第7章 IPマルチメディア・サブシステム(IMS)と その応用
7.1 IMS導入の背景
7.2 IMSアーキテクチャの機能と特徴
コラム2 SIPとは?
7.3 IMSの拡張機能
7.4 IMSのアプリケーションへの適応例
7.5 IMSにおける音声サービス(VoIP)技術
7.6 VoLTE(Voice over LTE)とその発展

第8章 高度化するスマートフォンの端末構成と特徴
8.1 スマートフォンの端末構成と機能
8.2 4G通信方式における端末の基本動作
8.3 4Gスマートフォンで実現されるサービス
8.4 4G高速端末の仕組みと5Gに向けた取り組み

第9章 5Gへ向かうスマートフォン時代のモバイル OS―GoogleのAndroidやAppleのiOS―
9.1 モバイル端末のプラットフォーム化
9.2 プラットフォームとスマートフォンOS
9.3 モバイルOS1:Android
9.4 モバイルOS2:iOS
9.5 モバイルOS3: Windows 10 Mobile
9.6 その他のモバイルOS
9.7 5G時代のモバイルOS

第10章 5G実現に向けたIoT規格の標準化動向―セルラー LPWA規格「LTE-M/NB-IoT」―
10.1 IoTのユースケースとその分類
10.2 LTEによるLPWA向け無線アクセス技術
10.3 LTE-Mの概要
10.4 NB-IoTの概要
10.5 IoT向けシグナリングの最適化

第11章 第5世代移動通信システム (5G)に関する国際標準化の最新動向
11.1 5GのITUでの取り組み
11.2 世界無線通信会議(WRC)における5Gの周波数の検討
11.3 5Gに向けた3GPPの取り組み
11.4 5Gに関する我が国の検討体制と取り組み状況

参考文献
あとがき
索引
編著者 略歴

服部 武 (著, 編集), 藤岡 雅宣 (著, 編集)
出版社 : インプレス (2018/9/21)、出典:出版社HP

超図解5Gビジネス入門

5Gの経緯と今後の展望

これまでの経緯から、今後の展望までザックリ見開きでまとまっているので単元ごとの読みやすさがあります。まさに図解部分がスッキリしていて、イメージとして記憶しやすく、後半に世界の動向が国ごとまとめられているので日本との比較もわかりやすいです。5Gにより日本の社会・企業・仕事・生活はどう変わっていくのか、高度な技術がもたらす問題点も含めて解説されています。

岸本 純子 (著), 岩田 俊平 (著)
出版社 : 日本能率協会マネジメントセンター (2020/1/24)、出典:出版社HP

まえがき
超高速大容量・超低遅延・多数同時接続がもたらすこととは?

5G(第5世代移動通信システム)の本格サービスが2020年春に開始されますが、これまでの4Gと5Gとでは何が違うのでしょうか?4Gまでは、スマートフォンでの通話やインターネットの利用といった携帯端末を中心にしたサービスが主流でした。5Gではそれらのサービスに加え、IoT(Internet of Things :あらゆるものがインターネットに接続される)に代表される、様々な産業の多様なサービスにつながることが特徴として挙げられます。

5Gの通信速度は、4Gの20倍の速度になるといわれています。総務省から発表されている5Gの特長では、LET(の実効速度と思われる)の100倍の速度、2時間の映画を3秒でダウンロードできる速さと説明されています。このような「超高速で大容量の通信」に加えて、5Gではさらに2つの特長を有しています。

1つは、家電機器や工場設備などのセンサーや端末を「同時に多数接続できるネットワークが実現」することです。1km四方に実に100万台ものセンサーや端末が接続可能といわれています。もう1つは、「通信の低遅延がもたらすリアルタイム性」です。1ミリ秒程度の遅延で機器をリアルタイムに遠隔操作できるようになるのです。

このように5Gは、IoT時代を見据えて、社会インフラのより良い整備や様々な産業におけるイノベーションに利用できる移動通信の環境を提供してくれようとしています。新しい付加価値やこれまでにないビジネスモデルの創出に向けて、私たちは5Gとどのように関わっていくことができるのか?本書が、その理解のきっかけとなれば幸いです。

CONTENTS

まえがき 超高速大容量・超低遅延・多数同時接続がもたらすこととは?

第1章 5Gの基礎知識
1-1 5G(第5世代移動通信システム)とは?
1-2 移動通信の世代交代の経緯
1-3 日本におけるこれまでの展開
1-4 5GとWi-Fiの関係
1-5 5Gが通信業界に与えるインパクト
1-6 5Gの特長① 超高速・大容量
1-7 5Gの特長② 超低遅延
1-8 5Gの特長③ 多数同時接続
1-9 5Gがもたらすその他の便益
1-10 5Gがもたらす未来① スマートシティと交通インフラ
1-11 5Gがもたらす未来② スマートオフィスによる働き方改革
1-12 5Gがもたらす未来③ 災害に強い社会の実現
1-13 5Gがもたらす未来④ ドローンのビジネス活用

第2章 5Gを支える技術
2-1 超高速・大容量通信を支える技術① 高周波数帯の活用
2-2 超高速・大容量通信を支える技術② ビームフォーミング
2-3 実用化の技術革新① AIやIoTとのシナジー
2-4 実用化の技術革新② ネットワークスライシング
2-5 実用化の技術革新③ ローカル5G
2-6 ローカル5Gの進展状況
2-7 ローカル5Gの構築と4G
2-8 ローカル5Gの普及の予測
2-9 ローカル5Gにおける自治体の取り組み
2-10 5Gの技術課題① 3大特長の同時活用
2-11 5Gの技術課題② セキュリティリスク対策

第3章 暮らしにどう影響する?
3-1 5G対応スマートフォンの発売予定
3-2 モバイル通信事業者のサービス展開状況
3-3 エンタメ分野での活用① 8Kのコンテンツ配信
3-4 エンタメ分野での活用② クラウドオンラインゲーム
3-5 エンタメ分野での活用③ VR/ARコンテンツの拡張
3-6 エンタメ分野での活用④ 大きく変わるスポーツ観戦
3-7 モビリティ分野での活用① 自動運転技術の高度化
3-8 モビリティ分野での活用② 自動運転のタクシーやバス
3-9 ショッピングでの活用① 手触り感を伝える買い物休
3-10 ショッピングでの活用② 無人店舗とレジの自動化
3-11 医療・健康分野での活用① ウェアラブルデバイスによる健康管理
3-12 医療・健康分野での活用② オンライン診療の高度化
3-13 その他の活用分野① リアルタイム遠隔授業
3-14 その他の活用分野② スマート家電とスマートホーム

第4章 ビジネスにどう影響する?
4-1 BtoCからBtoBtoXへのビジネスのシフト
4-2 産業分野での用途開発状況
4-3 産業分野での経済的波及効果
4-4 農林水産業での活用① 農地・家畜・生産物の管理
4-5 農林水産業での活用② ドローンや農耕用機械の自動制御
4-6 医療での活用① 搬送中の遠隔救急医療
4-7 医療での活用② 手術ロボットの遠隔操作
4-8 医療での活用③ 遠隔診断や遠隔手術支援
4-9 建設・土木での活用 建設機械の遠隔制御
4-10 工場・製造での活用 スマート工場による機械の自動化
4-11 物流での活用 在庫管理や配送計画の最適化

第5章 主なプレイヤーの取り組み
5-1 5Gへの新規参入者の動向
5-2 通信キャリア① NTTドコモ
5-3 通信キャリア② KDDI
5-4 通信キャリア③ ソフトバンク
5-5 通信キャリア④ 楽天モバイル
5-6 エッジデバイス① スマートフォンメーカー
5-7 エッジデバイス② 映像デバイスメーカー
5-8 通信インフラとなる基地局

第6章 5G先進国の動向と日本
6-1 5Gにおける国際競争
6-2 グローバル企業の動向① 通信キャリア
6-3 グローバル企業の動向② 通信インフラ企業
6-4 グローバル企業の動向③ エッジデバイスメーカー
6-5 米国の動向
6-6 韓国の動向
6-7 中国の動向
6-8 欧州の動向
6-9 オセアニア・中東・アフリカ・南米の動向
6-10 日本の動向① 地方など広範囲での展開計画
6-11 日本の動向② 5Gインフラ整備の前倒し計画
6-12 ポスト5Gの動向

あとがき 5G後の世界はどのように変わっていくのだろう
索引

岸本 純子 (著), 岩田 俊平 (著)
出版社 : 日本能率協会マネジメントセンター (2020/1/24)、出典:出版社HP

いちばんやさしい5Gの教本 人気講師が教える新しい移動通信システムのすべて (いちばんやさしい教本)

5Gの技術からビジネスまでしっかりと学べる

前半40ページで既存の移動通信ネットワークの技術が紹介され、それをベースに30ページほどで5Gの技術が解説されます。後半80ページで5Gの産業/社会的な応用が取り上げられています。通信について予備知識のない人にとっての最初の一冊としておすすめします。

はじめに

5Gの商用サービスが世界中で始まっています。2018年10月の米国ベライゾンを皮切りに、韓国、欧州諸国、中東諸国、オーストラリア、中国などの移動通信事業者が2019年内に5Gサービスを開始しました。日本でも、2020年春から5Gサービスが始まります。その後5Gは急速に広がり、2025年には世界で89億ある移動通信の加入件数のうち3割近くの26億が、5Gに加入すると予測されています。

5Gは第5世代移動通信という意味ですが、4Gすなわち第4世代までの移動通信は携帯電話やスマートフォンなど、人が使うサービスが中心でした。一方5Gについては、人が使うだけではなく、産業界での用途も大きな比重を占めると想定されています。いわゆるIoT(InternetofThings)は、メーターや器具などさまざまなモノをネットワークとつなげ、測定を自動化したり、得られたデータを処理して新たなサービスを実現しようというものですが、5GはこのIoTを拡張して、デジタルトランスフォーメーションによる産業革新を支える基盤となることを目指しています。

このような背景から、本書は移動通信サービスに興味がある人たち、移動通信の基礎技術を身につけたい人たちはもちろん、あらゆる産業界で5Gを利用して改革をしたいと考えている人たちも対象として、5Gの基礎技術から応用の仕方までを理解していただくことをねらいとして執筆しました。移動通信ネットワークの構成や各装置の役朝、通信経路設定の流れ、移動しても通信が途切れないしくみなどから始まって、5Gで実現されるコンシューマー向けのサービス、産業界での利用シーンまで、広く解説しています。最後には、5Gの進化と5G以降のネットワーク、それを支える技術まで、将来の展望も含めてまとめました。

5Gは非常に大きなポテンシャルを持っています。しかし、これをどう活かすかは、ネットワークを構築する通信事業者やサービス提供業者だけではなく、日常生活の中でこんなサービスがあったらいいなとか、日々の仕事の中でこんな風にして作業の効率化や自動化が図れないかと考える読者の皆様にかかっています。そのような面で、本書の内容が少しでもヒントになりましたら幸いです。

2019年12月 藤岡雅宣

Contents

はじめに
おわりに
用語集

Chapter1 5Gとは何か?
Lesson
01 5Gがもたらす真のデジタル社会
02 これまでの移動通信のあゆみ
03 移動通信のプレイヤーとそれぞれの役割
04 増加する通信トラフィック
05 5Gに要求される特性とユースケース
06 5GにおけるMVNO
07 ローカル5Gとプライベートネットワーク
08 5G導入までのロードマップ
09 5Gの進化と展開
COLUMN 進化、成長するIoTが5Gを牽引

Chapter2 移動通信ネットワークのしくみ
Lesson
10 移動通信ネットワークの概要
11 移動通信ネットワークに接続するまでの流れ
12 RANの構成と役割を知る
13 無線基地局の機能と構成
14 電波を使って通信ができるしくみ
15 ダウンロード速度を速くするには
16 コアネットワークの構成と役割
17 移動しても通信が続けられるしくみ
18 移動通信ネットワークをシェアする
19 移動通信ネットワークのセキュリティ
COLUMN 通信と標準化

Chapter3 さまざまな通信の形を知る
Lesson
20 人の通信、モノの通信
21 スマートフォンでの音声通話のしくみ
22 SIMとその役割
23 スマートフォンでのデータ通信のしくみ
24 端末側の通信のしくみ
25 MTC型通信の代表「LPWA」
26 移動通信ネットワークを工場で使うには
COLUMN ネットワークインフラベンダーの役割

Chapter 4 5Gで移動通信ネットワークはどうなるか?
Lesson
27 5G移動通信ネットワークの概要
28 5Gで使える周波数を知る
29 5Gで高速通信、低遅延を実現する技術「NR」
30 5Gで電波を送受信するしくみ
31 複数ペンダーによるRANの実現
32 5G向けコアネットワーク5GCの機能を知る
33 移動通信ネットワークのソフトウェア化
34 ネットワークスライシングとエッジコンピューティング
35 5Gで拡大するIoT
36 5Gに対応した端末について知る
37 4G設備を最大限活用した5Gのネットワーク構成
38 4G周波数で5Gを利用する
39 モバイルネットワークの全体構成はどうなっているか
COLUMN 移動通信ネットワークによる位置推定

Chapter5 これからの産業、社会に5Gが及ぼす影響
Lesson
40 5Gの利点と市場規模を知る
41 5Gのモバイルブロードバンドビジネス
42 5Gの産業応用ビジネスと市場規模
43 都市生活の活性化をもたらす5G
44 次世代モビリティサービスでの5Gの利用
45 Society 5.0における5Gの役割を知る
COLUMN 業界団体の5Gへの期待

Chapter6 5Gのコンシューマービジネス
Lesson
46 5Gのコンシューマー市場の概観を知る
47 新たな映像系サービスと5G
48 5Gで進化するウェアラブルデバイス
49 5Gで広がるスポーツ観戦の新しい楽しみ方
50 5Gで大きく変わるゲームのしくみ
51 ラスト1マイルとしての5G
COLUMN 5Gにおけるコンシューマー向けサービスパッケージ

Chapter7 産業界における5Gの利用シナリオ
Lesson
52 5Gを利用する根拠と5Gへの要求条件
53 ロボット制御や製造工程における5Gの可能性
54 建設・土木業、鉱業での5G応用
55 5Gによって進化するコネクティッドカー
56 高度な医療サービスがどこでも受けられる
57 農業、漁業の生産性向上に役立てる
58 暮らしの安全、安心を支援する5G
59 船や飛行機に関わる作業の効率化
60 産業応用ローカル5Gのネットワーク構成を知る
COLUMN プライベートネットワークへの無線免許の割り当て

Chapter8 5Gから先の移動通信ネットワーク
Lesson
61 5Gより先の世代ではどのような技術が登場するか
62 無線アクセスの進化とラジオストライプ
63 限られた無線の資源を有効的に利用するには
64 用途・目的に合わせてネットワークを利用する
65 通信と放送の境界がなくなる
66 自動化による省力化とネットワークの高効率化
67 5Gを超えて進化する移動通信
COLUMN ネットワークがセンサーに(Network as a sensor)

5Gの衝撃

5Gの未来像と諸問題

2020年春に始まる次世代の移動通信「5G」。従来よりも桁違いに高速な通信が可能になり、スマホやタブレットに動画など大容量データを瞬時にダウンロードできるようになります。
5Gの技術的な解説はもとより、5Gがもたらす未来像と諸問題を分かりやすく解説してあります。技術読本ではないので、気軽に読み始められる為、全ての方におすすめです。

小林 雅一 (著)
出版社 : 宝島社 (2020/1/28)、出典:出版社HP

まえがき

ケータイからスマホ、そしてIoTへ――私達の携帯端末と、それを支える無線通信技術が今、10年ぶりにして史上最大のアップグレードを遂げようとしています。2020年春に始まる次世代の移動通信「5G」。従来よりも桁違いに高速な通信が可能になり、スマホやタブレットに動画など大容量データを瞬時にダウンロードできるようになります。

既に5Gサービスが開始された米国では、現行4Gの3~50倍程度という驚異的なスピード(実測値)を記録。これまで2時間の映画をダウンロードするには平均6、7分かかりましたが、5Gでは僅か数秒から1、2分程度にまで短縮するとみられます。このため、5G時代には毎月のデータ容量制限がなくなり、使い放題プランが主流になるとの予想も聞かれます。通信料金は4G時代より若干上がる一方で、データ容量当たりの通信料は下がることになります。

5Gには「通信の遅延時間が短い(低遅延)」という別の長所もあります。遅延時間とは通信ネットワークの反応時間のことで、これが短いほど通信系のアプリがサクサク快適に動くようになります。特に、その恩恵を受けるのはゲームとみられています。これまで、スマホ・ゲームは誰でも手軽に遊べる簡易型が主流でしたが、今後は豪華なグラフィクスを満載したアドベンチャー・ゲームなど、本格的タイトルがスマホやタブレットなどからも遊べると期待されています。

これは、インターネットでストリーミング配信される「クラウド型」として提供されます。4G時代のクラウド型ゲームは、通信遅延の問題からボタンを押すタイミングと動きにズレが生じるなど不人気でした。これに対し低遅延の5Gでは、そのような問題が解決され、もっと快適に遊べるようになりそうです。その先にあるのが「VR(仮想現実)」や「AR(拡張現実)」などの次世代アプリです。高精細CGで作り出した3D空間に没入したり、現実風景にサイバー空間の情報を重ねて表示したりする技術のことです。

元々、よりリアルなゲーム体験などを実現するために開発されましたが、最近は「製品の組み立て工場」や「コールセンター」の業務支援にも活用されるなど、ビジネス市場にも広がりを見せています。これはスマホに続く、5G時代の次世代端末にも影響してきます。

たとえば、アップルは数年以内に、VR/AR機能を搭載した「HMD(ヘッドマウント・ディスプレイ)」や「スマートグラス(眼鏡型端末)」などを発売するとみられます。フェイスブックは、眼鏡を通して見える風景などを音声操作で撮影し、これらの写真やビデオ映像をソーシャルメディアでシェアできるスマートグラスを開発中といわれます。グーグルやアマゾンも同様の動きを見せるなど、いわゆるGAFAに代表される巨大IT企業が今、これらVR/AR分野に注目しています。

5Gはまたロボット、ドローン、自動運転車など様々なモノが、インターネットにつながる「IoT(モノのインターネット)」社会を実現するとみられています。しかし、社会の隅々にまで浸透した、これら5G端末から企業や国家が私達の情報を吸い上げ、顔認識システムで常時監視するなど、プライバシー侵害も懸念されます。また、5Gネットワークに接続した自動車や航空機、ロボット、あるいは発電所や交通システムなど社会インフラがサイバー攻撃を受ければ、人命に関わる大惨事を引き起こす恐れもあります。

これら5Gがもたらす未来像と諸問題を、今から読者の皆さんとチェックしていきましょう。なお、本書はあくまで著者個人の見方や考えに基づくものであり、KDDI並びに同総合研究所の経営計画やIR情報、公式の研究成果などに依拠するものではありません。

令和2年(2020年)初春 小林雅一

小林 雅一 (著)
出版社 : 宝島社 (2020/1/28)、出典:出版社HP

Contents

まえがき

Chapter1 5Gとは何か? それは私達にとって何を意味するのか?
ついに実用化が始まる次世代移動通信技術「5G」
国際標準化団体が定めた5Gの性能
米国で検証された5Gの実力
5G電波の周波数帯と通信速度の関係
世界における5Gの展開
5G電波の割り当て結果から予想されること
当面のメリットは何か?
5Gのキラーアプリはクラウド型ゲーム
セルラー通信の原理とエッジ・コンピューティング
IoT社会の到来を促す
自動運転と5Gの関係
5Gの電波を柔軟に使う
乱立する5G基地局への反発

Chapter2 ポスト・スマホは何か? 5G端末と次世代ビジネスの行方
5Gが生み出す巨大なビジネス・チャンス
5G対応スマホの2020年販売台数を予想する
再び注目を浴びるVR(仮想現実)
ゲーム業界の思惑
フェイスブックもVRには苦戦
セカイカメラが示すARの難しさ
『ポケモンGO』大ヒットの理由
ブルーカラーの情報化
XRが実現する「時間と場所の制約を超えた働き方」
ポスト・アイフォーンは「XR対応のスマート・グラス」
グーグル・グラスの挫折を教訓に
日本のキャリアもXR技術に注力
5G時代に脚光を浴びる手術ロボット
手術ロボットの構造と仕組み
ロボット手術は本当に安全なのか?

Chapter3 次世代ハイテク覇権を巡る米中5G戦争
次世代通信インフラの主導権を狙う中国
米中のハイテク覇権争い
ファーウェイを巡る目まぐるしい動き
ファーウェイとは何か
標準化プロジェクトのトップ・ポジションを買い取る
諸外国に踏み絵を迫るトランプ政権
本当はどちらがスパイなのか
同盟諸国の反応は曖昧
叩かれても負けない不屈の企業
米国にとってファーウェイ問題が意味すること
米中ハイテク戦争の本質とは

Chapter4 AIと5Gによる監視社会とプライバシー、セキュリティ問題
中国で進行する国民監視社会の動き
最新テクノロジーで続々と容疑者を逮捕
監視ビジネスが一大ブームに
政府のプロパガンダが奏功
アマゾンの顔認識で窃盗犯を逮捕
一般市民への濫用を懸念するNGO
顔認証にかけたフェイスブックの執念
顔認証で「貴方は特別なお客様」
位置情報の精度が高まることの意味
IoT社会で脅かされるプライバシー
5Gで「セキュリティ」の持つ意味が変わる
5G通信網を国有化せよ
汚いネットワークが前提
5Gのセキュリティ・ホールとは
5Gセキュリティの政治的側面
新たな覇権を巡る国際競争の始まり

あとがき
参考文献

小林 雅一 (著)
出版社 : 宝島社 (2020/1/28)、出典:出版社HP

5G 次世代移動通信規格の可能性 (岩波新書)

5Gを多面的に考える

高速で遅延が少なく、あらゆるものをネットに接続するIoTと相性の良い次世代のモバイル通信規格「5G」の入門書です。5Gに対する、技術、ビジネス、政治、歴史、等の多面的な見方がコンパクトにまとまっています。ネット環境がより身近で生活に欠かせないインフラになることを予感させる一冊です。

森川 博之 (著)
出版社 : 岩波書店 (2020/4/18)、出典:出版社HP

目次

序章 5G×デジタル変革
5Gはスマートフォンだけではない
「低遅延」「多数同時接続」の2つが新しい軸
5GはF1、4Gはゴーカート
デジタル変革のドライバー

第1章 5Gの本質
5GとIoTやAIの関係
なぜ5Gが注目を集めているのか?
5Gは周波数帯に着目せよ
5Gは無線部分と有線部分とから構成される
5Gでは光回線が重要
「超高速」「低遅延」「多数同時接続」
上り通信の高速化
B2CからB2Bへ
ローカル5G―通信事業者以外が対象の自営5G
5G基地局は徐々に広がっていく
人口カバー率からエリアカバー率へ
地方でも均等に設置が始まる5G基地局
B2CからB2B2Xへ
少しずつ進化する5G
5Gテクノロジー自体は非連続なものではない
新しいビジネスの余地が生まれる
5Gは産業を激変させるのか

第2章 5Gの潜在力と未来の姿
バルセロナのMWC2019
自動運転―自律型と遠隔型
クルマのコモディティ化とゲームチェンジ
いろいろな形態の自動運転
安全運転支援のための5G
作業現場の無人化
無線化スマート工場
Industry 4.0を支える5G
ローカル5G工場の誕生
データ駆動型医療・ヘルスケアを後押しする
5Gが切り開く新たな医療・ヘルスケアの姿
モバイルヘルス―「プロアクティブ型医療」に向けて
ゲームがテクノロジーを進化させる
ゲームの変遷とクラウドゲーム
クラウドゲームならではの特徴
IT業界の巨人参入により変わるゲーム業界の構図
将来を深く洞察していたネットフリックス
動画配信を軸にした地殻変動
動画とゲームの垣根がなくなる
テレビとスマートフォンの垣根もなくなる
ARやVRは5Gで離陸するか
現実と仮想の境目が消える
4K遠隔作業支援などの産業応用も
都市の安全を見守る
地方も変わる
5Gが地方の生産性向上の起爆剤に
地方ならではの強み
データに基づくまちづくり

第3章 モバイル興亡史をふり返る―通信規格の世代交代
10年ごとに進化してきたケータイ
5Gでも事業や生活が一変するのか
アナログだった第1世代
携帯電話が普及し始めた第2世代
なぜ、携帯が一気に普及したのか
PHSの登場
世界に衝撃を与えたiモード
高機能化が進んだ3G
iPhoneの登場
3.5Gと3.9G、そして4G
人々のコミュニケーションスタイルを変えた
スマートフォンはどこに向かうのか

第4章 激化するデジタル覇権争いのゆくえ
市場に群がる多彩なプレイヤー
5Gの「世界初」競争
三者三様の5G
日本の立ち位置
寡占と競争―第4の事業者
基地局整備
基地局に加えて災害対応も
隠れた王者クアルコム
クアルコムの特許ライセンス
裾野分野での日本企業の存在感
米中5G戦争
デジタル覇権のせめぎ合い
デジタル・シルクロード
セキュリティとファーウェイ
国家情報法
制裁措置の影響
ファーウェイの発展史
研究開発と顧客中心主義
業界再編の嵐
垂直統合的な産業構造
日本企業の命運

第5章 5Gを支えるテクノロジー
電波―共有の財産
電波の性質
5G割り当て周波数
「多段ケーキ」でカバー
ハイバンド
ミッドバンド
ローバンド
信号機を5G基地局に
多彩なテクノロジーの取り合わせ
Massive MIMO
低遅延―1ミリ秒は無線区間のみ
エッジコンピューティング
クラウドへの対抗軸
IoTを支える多数同時接続
コアネットワークの仮想化
無線アクセスネットワークの仮想化
ネットワークスライシング
ローカル5Gの周波数
自営BWA
ローカル5GとWi-Fi 6

終章 5Gにどのように向き合えば良いか
まずは土俵に上がる
5G活用の考え方
隠れたニーズに気づく
フットワーク軽く動く
通信事業者やローカル5G構築・運用事業者との戦略的連携
6Gヘ―モバイル進化の底流を読む
産業構造の激変の中で創り上げる

森川 博之 (著)
出版社 : 岩波書店 (2020/4/18)、出典:出版社HP

序章 5G×デジタル変革

第5世代移動通信システム(5G)のサービス開始を目前にして、いま(2020年)、株式市場では5G関連銘柄が期待を集めている。しかし、新しい技術が登場するときには、必ず期待と落胆が交錯するものだ。期待と落胆が入り交じりつつある5Gにどのような姿勢で向き合えば良いのだろうか、本書では、私なりの視点も交えながら5Gを紹介していくこととしたい。

移動通信システムは10年ごとに新しい世代に切り替わってきた。1980年代の第1世代(1G)からおよそ10年ごとに第2世代(2G)、第3世代(3G)、第4世代(4G)と進化し、いよいよ2020年春には、第5世代(5G)の移動通信システムが登場する。5Gの商用化が迫りつつある中で、メディアでも5Gに関する特集が多くみられるようになってきた。この分野に携わるものとしてはとても嬉しいことである。

5Gは、5Gを使う側の人たちと一緒になって育てていくものだからである。5Gでは、4Gまでの消費者だけではなくすべての産業分野が対象となる。対象となる産業分野を理解していなければ、5Gをどのように使えば良いかわからない。あらゆる産業分野の人たちに5Gのことを知ってもらうことで、新しいデジタルの世界を一緒に創り上げていくことができるようになる。

ここ数年、IoT(モノのインターネット)、AI(人工知能)といった言葉が世間を賑わせているが、これらに5Gが加わる。IoTやAIが第1章で述べるデジタル変革(DX:デジタルトランスフォーメーション)を実現するための手段であると同様、5Gもデジタル変革を支える無線通信技術である。5Gが登場することで、デジタル変革を支えるインフラが完成するといっても過言ではない。

・5Gはスマートフォンだけではない
5Gが今までの移動通信システムと大きく異なる特徴は、5Gの主役がスマートフォンに限られないことだ。ありとあらゆる「モノ」が5Gに取り込まれていく。今までインターネットに接続されていなかった「モノ」までもが、5Gの登場によってインターネット接続されるようになる。建設機械、工作機械、物流で使われるパレット、スーパーマーケットの値札、手術ロボットなど、あらゆるモノが5Gでインターネット接続される。4Gまでのサービスの主たる対象は、人であった。電話、コミュニケーション、インターネットなど、人に対するサービスがメインであった。

これに対して、5Gでは、「モノ」が加わる。まさにIoTと呼ばれるモノのインターネットの世界だ。20年前にユビキタスという言葉でクルマや機械などありとあらゆるものがネットにつながる世界が注目を浴びたが、IoTを支えるセンサー、クラウド、通信技術などは20年かけて使いやすく身近なものとなり、移動通信システムにおいても5Gで「モノ」が取り込まれ、インターネットにつながることになる。移動通信システムの開発には長い年月を要する。要件の検討から実用化まで10年程度かけて行われる。5Gの検討が始まった2010年頃には、既にあらゆるモノがインターネットに接続される動きは予想されており、モノまでを対象とする移動通信システムとして5Gは開発されることになった。

・「低遅延」「多数同時接続」の2つが新しい軸
現行速度の100倍ともいわれる「超高速」、情報のやり取りの遅延時間が1000分の1秒という「低遅延」、1平方キロメートル圏内に100万台もの端末(デバイス)を接続できる「多数同時接続」の3つが5Gの特徴だ。これらのうち、5Gで新たに登場した軸が「低遅延」と「多数同時接続」である。「超高速」は1Gから4Gまでの高速化の流れを延伸したものであるのに対して、5Gでは新たに低遅延と多数同時接続という2つの軸が加わる。高速化は今までのサービスの延長線上にあるため理解しやすい。高精細の映像伝送、スタジアムでの多視点映像配信、AR(Augmented Reality:拡張現実)/VR(Virtual Reality:仮想現実)でのリアルな体験など、5Gでは映像系のサービスを円滑に提供できるようになる。

一方、低遅延と多数同時接続は、今までのサービスとは軸が異なるため、それによってどのような価値を創出できるのかをこれから探っていかなければいけない。5Gの実証実験では、遠隔制御、自動運転、手術支援など多くの検証がなされているが、これらにとどまるものではない。例えば、低遅延の特徴を活かせば、カメラ映像を分析して、映像に映っている人物の性別や年齢などの属性情報を取得し、属性情報に応じた広告をリアルタイムに表示するリアルタイムターゲティング広告表示が可能となる。また、監視カメラの映像中の顔部分をリアルタイムに検知して、ぼかしを入れるなどの処理も可能となり、個人情報を考慮しながら監視業務を行うことも可能となる。

・5GはF1、4Gはゴーカート
「超高速」「低遅延」「多数同時接続」の3つが5Gの特徴であるが、提供サービスの視点からみると、今の4Gでも類似のサービスを提供できることに留意されたい。すなわち、4Gと5Gとを無理やり切り離して考える必要はない。4Gに新しい性能軸を加えて、性能向上を着実に図ったものが5Gという認識であっても良い。5Gでしか実現できないサービスというのは、かなりハイエンドのサービスのみと考えて問題ない。「低遅延」や「多数同時接続」の新しい軸に関しても、4Gまではこれらの性能に関して重点が置かれていなかったというだけである。

無理やり喩えてみると、5GはF1レベルのサービス、4Gはゴーカートレベルのサービスという感覚である。ゴーカートレベルであっても、基礎的なサービスは実現できる。これがF1レベルになることによって、違和感なく円滑にサービスを提供できるようになるとともに、新しい体験の提供にもつなげることができる。

例えば、4Gを使った自動販売機の在庫管理システムは既に展開されている。自動販売機に4GのSIMカードを埋め込むことで、在庫情報などを遠隔で把握することができている。5Gになれば、より少ない消費電力で、より多くのIoTデバイスをネットワークに接続できるようになる。遠隔制御などのように、リアルタイムで制御情報をやり取りするようなサービスでなければ、今の4Gでも十分対応できる。

また、LoRaやSigfoxといったIoT向けの無線通信技術を使ったサービスも実現されている。水位量を測る水田センサーなどには、このようなIoT向け無線通信技術が埋め込まれている。必ずしも5Gが必須なわけではない。5Gのインパクトは、このようなデジタルな世界を、全国隅々にまで広く手軽に展開できることにある。5Gが全国エリアをカバーすればどこでもモノのインターネットを実現できるようになる。5Gがあらゆるものに埋め込まれ、無線LANのように手軽に使えるようになる世界になれば、デジタル化があらゆる場所にまで行き渡ることになる。

・デジタル変革のドライバー
5Gは人のみならずモノを対象とすることから、あらゆる産業分野が5Gの顧客だ。IoTやAIとともに、5Gがデジタル変革のドライバーとなる。すべての産業分野に影響を与える技術を「汎用技術(General Purpose Technology)」と呼ぶが、5Gの登場によって、IoTやAIなどとともに情報通信技術が真の意味での汎用技術になるだろう。

経営学者のピーター・ドラッカーは、汎用技術である蒸気機関が社会に与えた影響は鉄道を作ったことではなく、鉄道というインフラがあったからこそ、あらゆる産業が変わっていったことにあると喝破している。同様に、IoT、AI、5Gなどのインフラの整備が、あらゆる産業の変革をこれから引き起こしていく。これこそデジタル変革である。

IoTやAIといった言葉がはやり始めた2015年頃から、地方の経営者協会、経済同友会、商工会議所などから声をかけていただくことが多くなってきた。5Gという言葉が目立つようになってきたことで、より多くの人々の意識が変わりつつあることはありがたい。情報通信技術に親近感を持ってもらい、いろいろな現場でデジタル化を一歩一歩進め、人口減少時代における経済の活性化につなげていくことができれば素晴らしい。

デジタル変革においては、IoTやAIをどこの現場にどのように使うかに気づくことが第一である。5Gにおいても5Gを活かすことのできる現場ニーズに気づくことが重要だ。5Gの特質を踏まえて、仕事や生活のプロセスを見直し、5Gをどこに使えば良いのか考えることで、デジタル変革があらゆる産業領域で進んでいけばと願っている。

本書では、5Gがどのように社会や産業に影響を与えていくのか、5Gの背景や技術も交えながら紹介していく。また、5Gに対して、どのような姿勢で向き合えば良いのか、私なりの視点もお伝えしたい。5Gに対して多くの人々が親近感を抱き、一緒に5Gの活用方法を考えながら、デジタル変革を進めていくことができれば望外の喜びである。

森川 博之 (著)
出版社 : 岩波書店 (2020/4/18)、出典:出版社HP

決定版 5G: 2030年への活用戦略

5Gについて理解を深める

用語解説も丁寧で適宜図表を交えながら解説してあるので、5Gについての知識がゼロの方でも気軽に読むことができます。著者本人の個人的なエピソードも織り込んであり、5Gを身近に感じられます。ボリュームはありますが、文章が読みやすいので、最後まですらすらと読み進められます。

片桐 広逸 (著)
出版社 : 東洋経済新報社 (2020/5/29)、出典:出版社HP

はじめに 5G元年を迎えて

2019年は、令和の掛け声とともに、5G元年前夜と呼ぶのに相応しい年になりました。2019年9月には、ラグビーワールドカップを契機に5Gのプレサービスが開始され、5G元年とも言える2020年3月からは、5Gの本格的な商用サービスがNTTドコモ、KDDIグループ、ソフトバンクから一斉に開始されました。

最近、ニュースなどで普通に耳にする「5G」とは、第5世代移動通信システム(The 5th Generation Mobile Communications System)のことで、Gはジェネレーション(世代)、つまりこれからは私達の使っている「携帯電話」が、今の第4世代(4G)から、次の5番目の世代に入ったことを意味しています。では、この5Gは、今までの携帯電話や移動通信と何が違うのでしょうか。また、なぜ5Gが次世代の情報通信インフラとして、地方創生や産業・社会再生の切り札として期待されているのでしょうか。

私は5Gに関する講演などの機会をいただくことも多く、最近は特に多数の参加者がいらっしゃいますが、多くの皆様が知りたいことも、まずはこの点に集約されるでしょう。これには、大きく三つのポイントがあります。

一つ目は、5Gの多彩な機能と、これを活かした多方面における社会経済面での利活用の可能性です。まず、5Gでは今の4Gのおおよそ100倍の超高速通信が可能になることで、4Kや8Kといった現在の地上デジタル放送を遥かに上回る超高精細映像を、ストレスなく送れるようになります。これにより、動画視聴はもちろんのこと、VR(バーチャルリアリティ、仮想現実)などの高精細のコンピュータ画像を含めた大容量のデータのやり取りも簡単になり、ゲームや娯楽だけでなく、観光、医療、防災、教育、テレワーク、広告などのあらゆる分野で、これまで難しかったさまざまな取り組みを、格段に使い勝手よく、低コストで行うことができるようになります。

また、これまでの携帯電話とは異なり、通信のタイムラグがなく(超低遅延)、さまざまなセンサー類や端末が非常に多数つながる(同時多数接続=大規模IoT)ことで、同時映像ライブ中継や多彩な遠隔作業、多種多様で大量のデータ(ビッグデータ)の収集が驚くほど容易になります(IoT: Internet of Thingsとはモノのインターネット、あらゆるものがインターネットにつながることを言います)。つまり、超高速・大容量、超低遅延、同時多数接続の三つが5Gの基本的な機能になりますが、これらをどのように活用して我が国の課題解決に取り組んでいくのかが、重要になるのです。

二つ目は、地方を重視した5Gの全国ネットワーク整備の方法です。現在、政府の方針では、地方創生に資する21世紀の基幹インフラという、5Gの意義や特性に鑑み、「5Gの地方への速やかな普及展開を推進する」こととされています(閣議決定「未来投資戦略2018」)。しかし、4Gまでの携帯電話では、経済効率性の高い都市部からネットワークの整備が始まり、地方や過疎地等での整備が後回しになってしまうことが問題でした。このため、2019年4月10日に行われた5G用電波の割当てにおいては、後に触れるとおり、都市部・地方部を問わず、均等な全国展開を図るよう義務を課し、携帯通信事業者に電波の割当てが行われました。

三つ目は、都市・地方を問わず地域限定で誰でも5Gシステムを構築できる、「ローカル5G」の導入です。全国免許を受けた携帯通信事業者は、2024年春までに国土の隅々まで5Gの基盤設備を整備し、需要に応じて速やかなサービス展開を行っていくことになっていますが、この全国展開には一定の時間がかかることや、地域課題を抱える自治体や企業等が、自ら柔軟に5Gを利用したい場合に、個別に5G免許を取得してサービス提供を行うことが可能となります。この「ローカル5G」の第1弾の免許申請の受付けが2019年2月に開始されています。

5Gの特徴やネットワークの整備方針については本文で詳述しますが、以上を踏まえて、5Gがなぜ今注目を集めているのか、その背景に触れておきたいと思います。現在、我が国は地方の衰退と東京一極集中、少子高齢化と働き手の不足、産業の国際競争力向上の必要性など、さまざまな課題を抱えています。

私はこれまで、総務省や出向先で全国ブロードバンド展開や、ICT(情報通信技術)を使った地域活性化などを担当し、仕事だけでも全国各地をくまなく訪問しましたが、人口減少・高齢化が進行する一方、平均賃金は20年以上横ばい、かつ地域間格差は拡大の傾向にあります。企業、医療・介護・建設、農林水産、交通・運輸、もの作りなどで慢性的な人手不足が見られ、中心市街地はシャッター通り化、育児や教育環境の整備もなかなか間に合わないといった状況に置かれている地域が確実に増えています。もちろん観光需要をつかんでインバウンドで賑わうなどの例外的な地域もありますが、今般の新型コロナウイルス流行で、観光だけでなくあらゆる経済活動が大きな打撃を受けてしまいました。これは、もともとあった人口減少・高齢化対策や産業再生といった地域課題の解決に、有事においても持続可能な事業活動の確立と強靭化という課題が付け加わったことを意味します。「ポスト・コロナ」の時代においては、テレワーク、遠隔医療、オンライン教育の早期本格導入などの課題がさらに重要性を増したことは間違いありません。
こうしたさまざまな課題の解決の鍵になるのが、5Gなのです。

もちろん、5Gは最先端の技術を使った革新的な情報通信ネットワークですが、ただ導入しただけでは特効薬にならないかもしれません。他方、上手く使いこなせば、これまでの常識を超えるような、産業活性化や地域課題解決のための利活用方法(ユースケース)が実現する可能性は極めて高いと言えます。

では、5Gをどのように使えば、どのような課題解決に効果が得られるのでしょうか。具体的なユースケースの開発については、すでに政府も2017年度から取り組んでいますし、また、5Gネットワークを整備し2020年春からサービスを開始した携帯通信事業者も、非常に積極的に自治体や企業などのさまざまなパートナーと連携して、次々とユースケースの開発や商用化を進めています。2019年2月には、「ローカル5G」という、誰でも5Gの免許を取得して柔軟なサービス提供ができる仕組みも用意され、5Gの普及展開に向けたさまざまな支援措置も講じられています。大事なことは、5Gを何のために使うのか、どう使いこなすのかにかかっていると言っても過言ではありません。

本書では、まず第1章で、世界各国が5Gのエリア展開やサービス提供に関し鎬を削っている状況と、我が国が5Gに対して持つ強みや課題に触れつつ、我が国の5G展開の狙いや方向性について考えたいと思います。現在の5Gのエリア展開やサービス提供に関する世界的な競争の実態や、2030年の新しい日本社会をめざす5Gの機能や技術、その可能性について概括します。

1980年代に実用化された「携帯電話」は2020年で40年を迎えますが、実は今の4Gも、すでに単なる「電話」ではなく、無線通信とインターネット、コンピュータ、ソフトウェアが融合した技術でありサービスになっています(昔の黒電話とスマートフォンを比べてみてください)。5Gでは、この性能がさらに進化し、新たな機能も加わりました。このように、これまでの世代とは異なる一種「非連続な」性能を持つ5Gの基本的な機能や今後の技術的展望について解説しつつ、5Gとは何かという疑問に答えます。

第2章では、2019年4月の5G周波数割当ての狙いや割当て結果の概要について説明し、総務省の制度設計や政策の含意について、平易かつ詳細に読み解きます。これまで直接講演などで説明してきた内容も含まれますが、その総体について正確な理解を得るために政策的な狙いを解説するのは、本書が初めてではないかと思います。

第3章では、5G利活用の本質とともに、現在、我が国が直面している数々の経済社会上の諸問題について「静かなる有事」と「Society 5.0」というキーワードを用いて、5Gを活用 した新ビジネスの創出や地域課題の解決が、いかに深刻であるとともに必要なことかを解き明かします。また、5Gと新しいICT分野の周辺技術や課題解決ツールが結びつき、地域にあるさまざまな「資源」を活かすことで、国と地域が抱える諸課題の解決にどのように役に立つかを、5Gへの完全移行やSociety 5.0の実現が見込まれる、2030年の日本を一つの区切りとして視野に入れつつ、お話しします。

第4章では、第3章の流れを受けて、2030年までの5Gへの完全移行、Society 5.0実現に向けて政府や携帯事業者が先導的に推進している5Gの利活用の動向について説明しつつ、今後10年間で早期の実現が期待される各種ユースケースのイメージを示します。5Gという新しいインフラの展開だけでなく、実際のユースケースが伴ってこそ「5G」が完成すること、そのために長い目で見た関係者の利活用への取り組みも必要なことを強調したいと思います。

第5章では、全国をカバーする大手携帯通信事業者とは別に、小さなエリア単位で誰でも手軽かつ柔軟に5Gサービスを提供できる新機軸である前述の「ローカル5G」の導入と、その意義やスマート工場などの代表的な利活用方法例、政府の支援等について紹介します。

最後の第6章では、今後とも続いていく技術革新とDX(デジタル・トランスフォーメーション: あらゆるモノ・コトのデジタルデータ化)の中で、「静かなる有事」において重要となる5Gの利活用ユースケースの開発・実装に向けた企業、自治体、大学等の研究教育機関、通信事業者、ベンチャー、地域団体、NPOなど「垂直セクター」と呼ばれる利活用分野の当事者、地域住民などの関係者が、どのように手を結び5Gと向き合うことで利活用が広がっていくのかについて考察します。また、2030年代の実用化が期待される5Gの次の携帯である「Beyond 5G」、いわゆる6Gを巡る動きについても紹介します。

この際、地域において自治体等が各種課題解決に果たす役割や、産業界に求められている役割などを提起した上で、5Gの利活用を含めた総力戦により、日本社会に蔓延する閉塞感を打破し、21世紀の地域をデザインすることが我が国の国力の源泉であり、また土台であること、5Gが「未来の扉」であり、羅針盤となりうる基盤であることを改めて強調し、Society 5.0の実現に向け取り組むべき事柄を示しつつ、本書を結びます。

本書は技術専門書ではなく、日本の5G政策を正確に紹介するとともに、5Gを用いたビジネスや地方創生への示唆、Beyond 5Gなど幅広い内容を論じています。その意味で、最初からお読みいただくのはもちろんのこと、読者の方の関心に応じて関係する各章を別個に読んでいただいても結構だと思います。他方で、特に第1章、第2章については、5Gの機能・特徴及び5Gの展開方針に関する基礎的な部分になりますので、ご精読をお薦めします。

我が国における2019年4月10日の5G用周波数割当ては、40年の歴史を持つ移動通信の一里塚であるとともに、これまでの携帯電話とは非連続な5G時代の幕開けを告げる号砲でもありました。政府・総務省ではこの開始に向けてさまざまな施策を講じ、また今後とも必要な支援を講じていく予定ですが、この周波数割当て方針及びその関連施策については、さまざまな目的や観点を踏まえて策定されるため、ともすればわかりにくい複雑な構造になりがちです。とはいえ、皆様に誤解のないようわかりやすく説明する場を持つことは、政策広報の面でも必要不可欠なところであり、
5G推進の一翼を担った者として、本書の執筆を通じて5Gを広く世の中に知らしめていくことは、自分の大切な責務だと改めて実感しています。

筆者が多くの講演などの場でいただいた、「話を聞いてよくわかったが、誰にでもわかる5G入門の手引きはないのか」との多くの声が、私が本書を執筆する大きな後押しになりました。本書を手にした方が、少しでも5Gの実態や我が国を取り巻く状況の厳しさに対する理解を深められ、新しい21世紀の未来を切り拓く可能性に気づいていただければ幸いです。最後になりますが、総務省では、2030年頃において「5Gが実現する未来社会」を具体的にイメージできるよう、2種類のイメージ動画を制作し、YouTube上で公開しています。

片桐 広逸 (著)
出版社 : 東洋経済新報社 (2020/5/29)、出典:出版社HP

目次

はじめに 5G元年を迎えて

第1章 5Gとは何か 携帯電話40年の集大成
1 世界で始まった5Gサービス合戦
5G狂想曲/携帯電話は10年ごとに進化/米韓の5G先陣争いを読み解く/超高速通信だけでない5G/日本は何をめざすのか

2 5Gは「携帯電話」ではない?
5Gの三つの機能/インターネットとコンピューティングの重要性/誰がための5Gサービス?/5Gの端末はスマホではない?/やがて加わる新機能(エッジ・コンピューティング、ネットワーク・スライシング)

3 日本の5Gは後れているのか
5Gサービス展開をどのように評価するか/影の主役、光ファイバ網/10年続く4Gとの共存《コラム》ケータイと電波ことはじめ

第2章 5G周波数割当ての狙い
1 5Gのネットワーク整備
政府目標は「速やかな地方への展開」/5Gの利用意向調査(参入希望調査)/全国均等にエリアカバーをめざす/二つの異なる周波数帯と、面的・スポット的展開の組み合わせ/面的カバーとスポット的利用の組み合わせ

2 新しい電波の割当て方式
人だけでなく「モノ」や「コト」もカバー/全国を10km四方メッシュに分解/2年以内の全都道府県でのサービス開始/5年後に最大で国土の98%がカバーされる

3 割当て結果から見えるもの
5Gサービスはいつから始まるか/基地局数は十分か/設備投資は十分か/どうすれば早くサービスが受けられるか/料金はどうなるのか/5G端末は間に合うか/4Gはすぐ使えなくなるのか

4 さまざまな工夫と割当て後の課題
MVNOとの競争を促進/事業者間での設備の共用/光ファイバ網の十分な確保/通信事故や災害への対策

第3章 「静かなる有事」とSociety 5.0
1 人口減少・高齢化社会と日本の課題
日本衰退の兆候/所得が上がらない/我が国の「静かなる有事」/多発する災害等/5G利活用は総力戦で

2 Society 5.0とは何か
社会はどう進化してきたか/情報化社会(Society 4.0)の深化/IoTの現状と課題/Society 5.0の実現は2020年代後半から2030年代

3 5Gと親和性の高い技術・分野
5Gは分野を横断する「横串」/地域課題の八つの重点分野/親和性が高い分野――モビリティなどが先行

【インタビュー】すべてがつながり合う新社会へのトリガー、5G
岩浪剛太氏(インフォシティ代表取締役)

第4章 5Gの利活用に向けた総力戦
l 5Gにまつわる誤解を解く
5Gの都市伝説

2 総務省の5G総合実証試験
先導的事例の開発に向けた国の取り組み/総合実証試験の取組状況/個人、中小企業、大学も参加できる利活用アイデアコンテスト

3 携帯事業者の新たな挑戦
5Gの真価はロングテール分野に/鍵となるパートナーシップ戦略/契機となるラグビーワールドカップと東京オリ・パラ/「脱・携帯電話事業者」の時代へ/利活用実証への参加者が拡大

4 2030年の5Gユースケース
未来予想図2030/50兆円市場をめざして

5 利活用をどこから始めるか
利活用ユースケースの積み重ね/利活用の八つのヒント/地域課題に向き合う

【インタビュー】5GとVRが実現する、より迅速効率的な診断、手術、遠隔医療
杉本真樹氏(医師・医学博士、帝京大学冲永総合研究所特任教授、Holoeyes株式会社Cofounder COO)

第5章 誰でも使えるローカル5G
1 ローカル5Gとは何か
全国各地域で、誰もが利用できる5G/最初は屋内・敷地内利用から/ローカル5Gのシステム構成/全国系通信事業者との関係

2 ローカル5Gで広がる柔軟な利活用
全国サービスとはどう違うのか/ローカル5Gに適した利活用/鍵を握る産学官金連携とローカル5G支援/五つの留意点

3 産業利用先進国ドイツの動き
Industry 4.0/loTから5G×IoTへ/スマート工場の最前線

【インタビュー】牡蠣養殖でも通信技術をフル活用
ローカル5Gでネットワーク利用分野が急拡大
中尾彰宏氏(東京大学大学院教授)

第6章 持続可能な2030年の未来社会に向けて
1 問われる地方自治体の真価
全国知事会議「富山宣言」のインパクト/地域間競争という現実/自治体3.0の時代/地域資源と人財のチカラ――先進事例から学ぶこと/「うまくいく5G」のためのフローチャート

2 先端技術をめぐるグローバル競争
まだまだ低い産業界の認知度/「国内市場頼み」の現実とリスク/情報化投資の課題/5Gとともに成長する社会

3 5Gに死角はないか
情報セキュリティは生命線/5Gの人体安全性/デザインするのは、2030年代の日本社会

4 6Gの足音と今後の10年間
Beyond 5G/6Gの胎動/5Gが創り上げる6Gの姿/変化は予想より早く起きる

【インタビュー】企業ではなく人材を誘致
地方創生のカギは人をつなげること
大南信也氏(認定特定非営利活動法人グリーンバレー理事[神山まるごと高専担当])

おわりに
参考文献
用語一覧

片桐 広逸 (著)
出版社 : 東洋経済新報社 (2020/5/29)、出典:出版社HP

5G革命―週刊東洋経済eビジネス新書No.312

5Gを様々な角度から見る

本誌は『週刊東洋経済』の記事を集めたもので、記事を執筆されている方がそれぞれ違います。超高速、超低遅延、多数同時接続という特長を持つ5Gは、さまざまな産業を根底から変える可能性があります。そんな5Gに関する様々な角度からの記事がまとめられています。

週刊東洋経済編集部 (編集)
出版社 : 東洋経済新報社 (2019/10/17)、出典:出版社HP

目次

・次世代通信であらゆる産業が激変
・動画配信の世界競争が幕開け
・「クラウドゲーム戦争」勃発 グーグルがソニーを猛追
・自動運転がもたらす新世界
・損害保険 自動運転実用化で存亡の機
・無人タクシーに挑むDeNA
・次世代スマート工場の衝撃
・INTERVIEW DMG森精機 社長・森 雅彦
・5Gは製造業に追い風 工作機械が先陣を切る
・ローカル5Gの潜在力
・5Gで激変する通信業界
・新規参入する楽天の皮算用
・巨大企業ファーウェイの深謀遠慮
・アップルをねじ伏せたクアルコムのすごみ
・5Gに潜む3つのリスク
・株式市場も注目華やぐ5G関連ビジネス
・INTERVIEW ドワンゴ 社長・夏野剛
・非通信分野で価値を生み出せ
・INTERVIEW 総務副大臣・佐藤ゆかり
・日本は出遅れたわけではない

週刊東洋経済編集部 (編集)
出版社 : 東洋経済新報社 (2019/10/17)、出典:出版社HP

5Gでビジネスはどう変わるのか

5Gが社会をどのように変えるのか

超高速、低遅延、多数同時接続のスペックばかりが注目される5Gが、本質的に社会をどう変えるのか、その可能性がわかりやすくまとまっています。当たり前のようにわかっていると思う事でも、この本のような具体的な解説があると、テクノロジーがもたらす変化、タイミング、ステークホルダーが明確になります。5Gの入門書としておすすめです。

クロサカ タツヤ (著)
出版社 : 日経BP (2019/11/14)、出典:出版社HP

はじめに

「5Gでビジネスはどう変わりますか?」「5Gのビジネスチャンスは何ですか?」筆者がコンサルタントとして日々さまざまな関係者と向かい合う中、ここ数年共通してよく聞かれる質問です。

5Gとは、次の世代(第5世代)の移動通信システムのことで、日本国内では2019年にプレサービスが開始され、2020年から本格的なサービス展開が始まります。5Gには超高速、低遅延、多数同時接続という技術的な特徴があり、これまでにないような新しいサービスが生まれるのではないか、企業にとって千載一遇のチャンスになるのではないかと期待も高まっています。それゆえ、5Gの普及に合わせて新しい事業開発を進めようと考える企業も増えています。新たなビジネスが生まれると予想される分野はゲーム、放送、住宅、医療、物流、自動車などと多岐にわたり、さまざまな産業で5Gの一大ムーブメントが巻き起ころうとしているのです。

しかし、超高速や低遅延といった技術的な特徴ばかりに目を向けてしまうと、5Gを使った事業開発はうまくいきません。5Gそのものは、現行の4G/LTEを高度化するアプローチで作られており、それだけにとらわれてしまうと単に4Gより高速な通信ができるだけ、となってしまうからです。実際に多くの方が、5Gに大きな期待を寄せながらも、「いつ」「どう」ビジネスが変わるのか分からないという状態に置かれています。ですから、筆者にも冒頭に挙げたような質問がよく投げかけられるのです。

それに続くのは、「5Gの具体的なユースケースは何か?」「スマートフォンはなくなるのか、なくならないのか?」という問いです。そしてこれは、一般のモバイルユーザーだけではなく、新しいビジネスチャンスを見込む企業の担当者に加え、通信事業者や政策当局といった5Gインフラの当事者自身からも、実はしばしば尋ねられます。本書では、こうした皆さんの問題意識を踏まえ、二つのことを明らかにしたいと思っています。一つは、5Gサービスが人間の社会生活にもたらす特徴や影響は何か。もう一つは、ビジネスとして5Gとどのように向かい合うべきか、です。

この二つの論点を、筆者がコンサルタントとして理解している、技術、標準化、また産業の動向を踏まえながら、技術的な説明はできるだけ簡潔にして、サービスイメージや産業動態の視点から説明を試みています。本書を読んでいただくと、モバイルユーザーの方は5Gならではのサービスやその用途が分かるようになり、企業でサービスを生み出す方々には大きなヒントを得ていただけると考えています。

クロサカ タツヤ (著)
出版社 : 日経BP (2019/11/14)、出典:出版社HP

本書の構成

1章では、5Gがもたらすインパクトについて、4Gとの違いや、事業開発の鍵となる特徴、そして5Gが実現する新しい社会のパラダイムについて解説しています。またその一環として、現時点で見えている市場予測や、その背景にある産業構造の変革の可能性についても触れています。

2章では、5Gの普及が始まった2019年を起点として、6Gの登場が予想される2030年までの12年間について、5Gの展開・普及に関する予想シナリオを構想しています。あくまで筆者の予想に基づくものではありますが、こうした年単位での普及タイムラインは、これまであまりなかったものではないかと思います。この普及タイムラインの中では、2020年後半ごろから5Gが「幻滅期」を迎えると予測しています。商用化が始まったばかりだからこそ、多くのユーザーが5Gに対して「期待外れ」という印象を抱くのではないか、ということです。しかし事業開発の視点に立脚すると、この幻滅期の過ごし方がその後の勝敗を決めることになるはずです。

3章では、5G時代に普及することが予想される新たなサービス分野をピックアップしていきます。それぞれ具体的なサービス内容を描き出すとともに、期待される主要なプレーヤーやステークホルダー、適切な参入時期について解説しています。ここでは、5GをはじめとしたIT(情報通信技術)側の視点だけでなく、高齢化など現時点で想定される日本社会の動態も折り込んで分析しています。

そして4章では、5Gを使って事業開発に取り組む企業に求められる心構えや、確実に理解しておかなければならない留意点を記しています。5Gそのものだけでなく、AIやビッグデータ解析、個人情報などのデータプライバシーという視点を含めて整理しました。

5Gの「G」は、10年を一つの区切りとしたジェネレーションを意味します。ここから始まる10年間で、これまでになかったような5Gサービスが花開くことで、私たちの生活は豊かになり、それを支えるビジネスこそが日本経済を活性化します。そして5Gは、単なる通信規格の世代交代ではなく、デジタル・トランスフォーメーションが本格化する起点にもなるでしょう。その影響は2030年以降の6G(あるいはさらにその次の世代)にも連綿と続いていきます。

逆に言えば、5Gサービスを考えるということは、これからの10年~20年間を私たちがどう過ごすか、という大きな問題を解くことでもあります。5Gは人間社会の在り方をも大きく変えていくきっかけとなり得るからです。本書を通じて、まもなく訪れる大きな社会変革と、そこから生まれるビジネスチャンスの可能性を感じていただければ幸いです。

クロサカ タツヤ (著)
出版社 : 日経BP (2019/11/14)、出典:出版社HP

Contents

はじめに
本書の構成

1章 5Gがもたらす本当のインパクト
5Gの本質は超高速通信だけにあらず
4Gと5Gは似て非なるもの
事業開発は4G時代より難しくなる
事業企画の鍵Ⅰ. 新たなマネタイズプラットフォーム
事業企画の鍵Ⅱ. ダイレクトなブロードパンド
事業企画の鍵Ⅲ. フルコネクテッド
「窓」がなくなり、サービスも変わる
ユーザーの固定概念から変えよう
5G市場の本命は「非スマートフォン」
Column 未来予想 :5Gは人の生死も分ける〜高血圧の講演者クロサカを救う技術
高血圧に倒れたクロサカさん編
5Gに救われたクロサカさん編
解説

2章 「普及タイムライン」で読み解く事業開発の最適期
5Gが完全に普及するまでの四段階
【黎明期+ピーク期】2017~2019年 準備が進む中「ゲーム&動画」に進化の兆し
【幻滅期】2020~2022年 モバイル利用より先に「屋内サービス」に変化
【啓蒙活動期】2023~2025年 少子高齢化社会の課題解決インフラに成長
【安定期】2026~2029年 社会全体をつなぐ「フルコネクテッド」が実現
Column 5G時代の通信キャリアに迫る三つの変化
自社インフラの所有からシェアリングへ
トラストアンカーからトラストマネジャーへ
自社囲い込みのサービスからレベニューシェアへ

3章 分野別「5G×新事業」の有望株
ゲーム配信 : ストリーミング&サブスクで新境地に
動画配信 : 「高精細」と「バラ売り」が新たな商機に
ライブ中継 : ファン心理に応えるインタラクティブ・ライブが台頭
テレビの再送信 : 本格的な「IP同時再送信」が始まる
ゲーミフィケーション : 各種データを駆使して買い物がエンタメ化
スマートシティ :5Gで本当の「公共活動の最適化」が進む
スマートハウス : 介護のニーズも汲んだ「安心センサー」に進化
スマートファクトリー : 「チョコ停・ドカ停」を減らす救世主に
スマートサプライチェーン : 輸送の最適化&ブランド力の向上に寄与
MaaS:交通のサービス化に絡むプレーヤーは多い
Column 新しい概念となる「ローカル5G」とは何か
Wi-Fiとの違い
ローカル5Gはなぜ期待されるのか
ローカル5Gが“化ける”ために必要なこと

4章 5Gビジネスを成功させる事業開発のコツ
前期の最重要課題は「幻滅期」の過ごし方
啓蒙活動期以降は社会の変化への対応が大事
事業開発の必要条件は「カスタマイズ指向」
5G時代のビジネスモデルとプライバシー
事業開発の重点Ⅰ. 体験設計
事業開発の重点Ⅱ. 行動科学
事業開発の重点Ⅲ. 信頼構築
顧客とのエンゲージメントが変わる
課金は「収益還元法」が主流に?
B2B2Xの関係性
垣根を越えることが最大の価値
5Gは待っていても来ない

おわりに

クロサカ タツヤ (著)
出版社 : 日経BP (2019/11/14)、出典:出版社HP

60分でわかる! 5Gビジネス 最前線

5Gの全体像を見渡す

本書は、5Gとは…から始まり、5Gが席巻した世界は今とどう変わるかを、5Gを支えている技術的な側面、5Gを取り巻くメーカー・企業、そしてここが一番気になる5Gが実現した後の課題などが予備知識なき一般人でも分かるようにとても平易に説明してくれています。5Gについて全体像を見渡すのに適している一冊です。

佐野 正弘 (著)
出版社 : 技術評論社 (2020/1/24)、出典:出版社HP

Contents

Chapter1 今さら聞けない!5Gの基本
001 5G(第5世代移動通信システム)とは?
002 5Gの特徴①高速大容量通信
003 5Gの特徴②低遅延
004 5Gの特徴③多数同時接続
005 5Gで社会と生活がどう変わる?
006 1Gから4Gまでの歴史
007 5Gの通信規格は誰が決めているのか?
008 海外では2019年に始まっている5Gサービス
009 多くの国が5Gサービスの開始を前倒しした理由
010 5Gをめぐってなぜ米中が争うのか?
011 日本国内での5Gの展開予定
012 5Gで日本は何をしようとしているのか?
013 今までとは違う5G対応スマートフォン
Column もう1つの高速無線通信規格「Wi-Fi 6」とは?

Chapter2 今すぐ知りたい!5Gで変わる生活やビジネス
014 スマートフォンの動画配信は4K・8Kがあたりまえの時代に
015 5Gの高速大容量通信が「XR」の普及を加速する
016 臨場感が伝わるスポーツ観戦
017 自動運転で車社会が大きく変わる
018 遠隔医療で実現される高水準な医療
020 ますます加速する第4次産業革命
019 クラウドゲームとeスポーツが本格化
021 建設機械の無人運転が建設業界の救世主に
022 農業や漁業のデジタル化を加速
023 街全体をスマート化するスマートシティを推進
024 防災から警備、配達まで何でもこなせる5G搭載ドローン
025 新しい価値を生み出すデバイスが次々と登場
026 デバイス+AIエージェントで新AI時代を切り開く
Column モバイル通信対応機種が増加5G時代に向け変化するパソコン

Chapter3 そうだったのか!5Gを支える技術
027 新しい無線アクセス技術「5G NR」
028 5Gで使われる周波数帯「サブ6」と「ミリ波」
029 「スタンドアローン」(SA)と「ノンスタンドアローン」(NSA)の違い
030 4Gで主流の「FDD」と5Gで主流の「TDD」との違いとは?
031 4Gに続いて5Gを支える「OFDM」と将来を支える「NOMA」
032 高い周波数の電波を端末に届ける「ビームフォーミング」
033 複数のアンテナで高速・安定通信を実現する「Massive MIMO」
034 大容量通信に有効な「スモールセル」と重要な設置場所
035 クラウド・エッジサーバーで「モバイルエッジコンピューティング」
036 サービスや用途ごとにネットワークを区切る「ネットワークスライシング」
037 汎用サーバーでネットワークを実現する「NFV」
038 複数ベンダーの通信機器を混在できる「O-RAN」
039 特定の場所や用途で使われる「ローカル5G」
040 「プライベートLTE」から見えるローカル5Gの可能性
Column すでにあるIoT向けネットワーク「LPWA」とは

Chapter4 世界中が注目! 5Gを取り巻くベンダーやキャリア
041 携帯電話業界を取り巻く「ベンダー」「メーカー」「キャリア」
042 米中摩擦で不透明感漂う中国勢
043 5Gでのビジネス拡大を狙う北欧勢
044 早期展開で5Gの主導権を狙う米国キャリア
045 世界初の商用化にこだわる韓国キャリア
046 世界初よりサービス開発重視のNTTドコモ
047 広いエリアで地方でのビジネスを強化するKDDI
048 都市部主体でIoTに活路を見出すソフトバンク
049 ネットワーク仮想化で5Gに挑む楽天モバイル
050 モデムチップが左右する5Gスマートフォンの動向
051 5G時代のSnapdragonに注目が集まるクアルコム
052 モデム開発の遅れで戦略転換を余儀なくされたインテル
053 5G対応iPhoneのため戦略転換を図ったアップル
054 絶好調から一転、暗雲が漂うファーウェイ・テクノロジーズ
055 5G対応スマートフォンを積極投入するサムスン電子
056 台頭する中国メーカー OPPO/vivo/シャオミ
057 見通しの厳しい日本メーカー ソニー/シャープ
058 5Gに向けて求められるサービス開発
059 ソフトバンクとトヨタ自動車がモネ・テクノロジーズを設立
060 クラウドゲーミングの覇権を狙うGoogle vs ソニー &Microsoft
Column 不安が残るスタートとなった楽天モバイル

Chapter5 どうなる!?5Gが実現する未来と課題
061 5Gの理想と現実① 開始当初は「高速大容量」のみ
062 5Gの理想と現実② 5Gのエリアはすぐには広がらない
063 5Gの理想と現実③ 国が推進する「スマホ値引き規制」が普及を妨げる
064 5Gの次の標準仕様 「Release 16」とは?
065 5Gで進むキャリア同士のインフラシェアリング
066 5G対応スマートフォンはいつ安くなる?
067 5GでもMVNOのサービスは使えるのか?
068 5GとともにeSIMが普及するのか?
069 光回線不足が指摘されるダークファイバー問題とは?
070 商用サービス開始前に5Gを体験するには?
071 さらなる未来のモバイル通信「6G」とは?

索引

佐野 正弘 (著)
出版社 : 技術評論社 (2020/1/24)、出典:出版社HP

最新 図解で早わかり 5Gがまるごとわかる本

5Gの全て”を”図解でやさしく”解説

5Gについて平易な言葉で解説しています。後半は5Gを利用したビジネス機会について記述されており、2020年における「5Gの今」についてページを割いて詳細に書かれています。非技術者の方や、5G技術の概要を手軽にキャッチアップしたい方、5Gってなんだろう?という方におすすめです。

水上 貴博 (その他), 中村 邦明 (その他)
出版社 : ソーテック社 (2020/3/7)、出典:出版社HP

はじめに

本書を手に取っていただき、ありがとうございます。本書は、「5G」について理解を深めたい方に、5Gの概要と5Gがもたらす私たちのくらしとビジネスの変化について、お伝えすることを目指した本です。5Gという単語は、特にここ1~2年ほど、ニュースや雑誌記事などで頻繁に取り上げられています。「5Gで通信速度が何十倍にもなる」「5Gで世界が変わる」と見聞きして、「どんな技術なのだろう」「世界はどのように変わるのだろう」と興味をお持ちの方は多いでしょう。会社で「5Gを使ったビジネスを考えよう」と言われ、「5Gの全体像をざっと把握したい」と思う方もいらっしゃるでしょう。

しかし、5Gは通信技術のひとつなので、技術に関心のある方以外はなかなか手を出しづらいものです。そこで本書では、通信業界以外の方にも理解を深めていただけるよう、具体例や図解を用いて5Gを説明しました。まず1章~2章で、「5G」と5Gを含む「モバイル通信システム」のポイントを説明します。そして3章で、5G活用が期待される代表的なシーンを紹介していきます。5Gの特徴はどのようなシーンで有用なのか、きっとイメージが湧いてくるでしょう。さらに4章では、より長期的な視点に立ち、5Gが普及すると私たちのくらしやビジネスがどのように変わるかを紹介しています。そして最後の5章では、既に5Gサービスが開始されている海外の状況と、さらなる次世代モバイル通信「6G」に向けた動きも取り上げています。様々な角度から5Gを捉えることで、理解が一層深まると思います。

この「5G」のネットワーク設備を構築するのは主に通信業界ですが、5Gを活用して新しいサービスを提供したりビジネスを変革したりすることは、通信業界に限らずみなさんにチャンスがあります。本書が、みなさんにとって5Gへの理解を深める手助けとなり、新しいサービスやビジネスを創造するきっかけとなれば幸いです。

2020年3月 水上貴博

水上 貴博 (その他), 中村 邦明 (その他)
出版社 : ソーテック社 (2020/3/7)、出典:出版社HP

Contents

はじめに

第1章 世界を変える! 新世代通信システム「5G」とは?
1-1 5Gが注目されるわけ
1-2 そもそも5Gとは?
1-3 5Gの3つの特徴
1-4 私たちのモバイル体験はどのように変わるのか
1-5 いよいよ始まる5Gサービス
Column これまでのモバイル通信システム世代とモバイルデバイスの歴史

第2章 押さえておきたい! 5Gのしくみと技術
2-1 スマートフォンがつながるしくみ
2-2 スマートフォンはどんな電波を使っているのか
2-3 5Gが目指す「IMT-2020」ビジョン
2-4 5Gの進化フェーズ
Column 様々な無線通信技術
2-5 5Gのエリア展開
2-6 ノンスタンドアロンとスタンドアロン
2-7 個別ニーズに対応可能な「ローカル5G」
Column 海外にみるプライベートLTE活用事例
2-8 5G時代のネットワーク技術
Column 5Gサービスが始まるとWi-Fiはなくなる?

第3章どう変わる? 5G時代のビジネスシーン
3-1 5Gスマートフォンの登場
3-2 ラストワンマイルをつなぐ「5G FWA」
3-3 5Gによる次世代医療
3-4 広がるXRの活用シーン
3-5 工場の革新「スマート・ファクトリー」
3-6 5Gが起こす「移動革命」
3-7 農業の課題を解決する「スマート農業」
Column 5Gは新しいユースケースを生み出すのか?

第4章 5Gが加速させる新しいビジネスと社会
4-1 5Gを取り巻くモバイル市場環境
4-2 拡大する映像配信ビジネス
4-3 生活をより便利にする映像データ解析
4-4 消費者のデバイス利用の変化
4-5 「モノ消費」から「コト消費」へ
4-6 2030年の超スマート社会「Society 5.0」
4-7 サイバー空間における情報流通

第5章 海外の最新動向と次に来る「GG」の世界
5-1 5G大国・アメリカ
5-2 コンテンツ大国・韓国の5G展開
5-3 静かに幕を開けるドイツの5G戦線
5-4 5Gのこれからと次世代「6G」を見据えて
Column モバイル通信システムの発展

索引
あとがき

水上 貴博 (その他), 中村 邦明 (その他)
出版社 : ソーテック社 (2020/3/7)、出典:出版社HP

未来IT図解 これからの5Gビジネス

5Gの基礎から今後の展望を図解する

この本は、5Gの基礎知識から活用事例、今後の展望などを、やさしい文章と豊富な図解でわかりやすくまとめています。特に図が綺麗でわかりやすいです。5Gが社会に広く普及するその前に、「真の5Gはいつからなのか」「5Gの本質とは何なのか」をつかみたい方におすすめです。

石川 温 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2020/1/21)、出典:出版社HP

はじめに

2020年春、日本で5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが始まります。
これまでの4Gは「人」がスマートフォンで通信を行うという用途が中心でした。これからの5Gは、「人」だけでなく「あらゆるもの」が通信するための手段となりそうです。
5Gに対応したスマートフォンを持つと、5Gに対応した「あらゆるもの」と通信を行うようになります。たとえば、5Gスマートフォンを持って買い物に行けば、何もしなくてもスマートフォンとレジが通信を行い、決済が完了するようになるでしょう。
5Gスマートフォンには、いまよりもさらに進化したAIが搭載され、ユーザーのしたいことを察知し、適切なタイミングで情報やサービスを提供してくれるようになるでしょう。5Gスマートフォンは、あなたの「秘書」として大活躍してくれるはずです。外国語がまったく話せなくても、5GスマートフォンのAIが相手の言葉を理解し、通訳してくれるようになります。もちろん、自分の言葉も外国語に翻訳してくれます。
また、5Gはあらゆる産業を変えると期待されています。
たとえば、工場の機器や自動車、飛行機などにセンサーを取り付け、5Gによって通信を行えば、センサーが機器のわずかな変化を捉えて分析し、「まもなく故障する」という通知を事前に送ってくれるようになります。
5Gサービスが始まると、大量のデータがクラウドにアップされます。クラウドではAIによって、ビッグデータを処理するようになります。
世間では「デジタルトランスフォーメーション(DX)」という言葉が聞かれるようになりました。デジタルによって、あらゆる産業が変化していかなくてはなりません。あなたの日々の仕事、あなたの職業、あなたの会社にデジタルトランスフォーメーションが求められます。その重要なエンジンとなるのが「5G」なのです。
今後、10年間、5Gは我々の生活になくてはならないものになります。ただ、ここ最近は「5Gバブル」の様相を呈しており、ややメディアやキャリアが過剰にあおっている面もあります。
本書では5Gの基礎知識から活用事例、今後の展望などを冷静にまとめました。5Gは2020年春から始まりますが、「真の5G」が始まるのはもう少し先になります。本書を読めば「真の5Gはいつからなのか」「5Gの本質とは何なのか」が見えてくると思います。

石川 温

石川 温 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2020/1/21)、出典:出版社HP

INTRODUCTION
5Gで世界が大きく変わる!!

2020年春、日本でサービス開始となる5G(第5世代移動通信システム)。
先行して導入されたアメリカや韓国では、業界再編や新事業の立ち上げなどの動きが活発になっています。
5Gが世界的に普及すると、何が起こるのでしょうか?

中国ファーウェイがアメリカと本気で戦う
スパイ・妨害疑惑をめぐる、ファーウェイとアメリカの対立が世界規模で進みます。

キャリアとネット企業の世界的合併がさらに増える
国内外の垣根がなくなり、大手企業のレベルでも合併や吸収などが起こります。

アップルがますます人気になる
5G対応の新機種や5Gモデム開発が成功すれば、世界的なヒットが見込まれます。

グーグルがさらにユーザーの個人情報を使って便利なサービスを提供する
閲覧動画や検索履歴などを活用した、5Gの新サービスが登場するかもしれません。

暮らし、ビジネスもこんなに変わる!

5Gサービスが拡大すると、企業の取り組みや働き方、提供されるサービスが変化すると見られています。
その結果、身の回りではどういうことが起こるでしょうか?
代表的な例を紹介します。

通勤電車には乗らず、会議にはVRで参加
すでにテレビ電話で会議を行う企業はありますが、VR技術により1カ所に集まらなくても、バーチャルな空間で会議が行われます。毎朝、通勤しなくてもよくなるかも。

支払いはキャッシュレス乗車はタッチレスに
5Gの応用技術により、紙幣や硬貨を使わないキャッシュレス決済がさらに進みます。また、乗り物に乗る際に、ICカードのタッチさえ必要がなくなっていきます。

交通事故で被害に遭う人が減る
5Gは自動運転をはじめ、渋滞緩和や事故の発生確率を下げるために活用できます。道路網に浸透すれば、人間のミスによる事故が減るでしょう。

「働き手不足」が解消される
建設・飲食業界やインフラの保守・運用などにおいて、5GとIoT・AIを利用した機器の遠隔操作が広がっています。人手不足の解消が期待されます。

「ポツンと一軒家」でも都会と変わらない快適な暮らしができる
現在、過疎地で生活するには、さまざまな不便を覚悟しなければいけません。5Gによって通信環境が改善すると、便利なモノ・サービスが手に入りやすくなります。

病院に行かなくても高度な診察が受けられる
画像診断の技術がさらに進み、通信環境が改善すれば、専門医が遠隔から診察することが可能です。また、医師の業務そのものの負担も軽減されます。

石川 温 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2020/1/21)、出典:出版社HP

目次

5Gで世界が大きく変わる!!

PART1 そもそも5G(第5世代移動通信システム)とは?
01 いつでもどこでもつながるモバイル通信のしくみ
02 モバイル通信に欠かせない電波のしくみ
03 10年ごとに進化してきたモバイル通信システム
04 iPhone登場で世界はどう変わったか
05 2020年春スタート5Gとは何か?
06 5Gの特長① 幅広い周波数帯を使ってかつてない「高速・大容量」を実現
07 5Gの特長② クルマの遠隔運転に欠かせない「超低遅延」
08 5Gの特長③ IoT時代に不可欠な「多数端末接続」
09 5G時代にこそ真価が問われる4Gネットワーク
10 5Gを支える2つのネットワーク
11 楽天モバイルが強みとしている完全仮想化ネットワーク
12 ネットワークを使い分けられるネットワークスライシング
13 国内4キャリア 5Gの現状はどうなっているのか?
14 5Gスマートフォンを買うベストタイミングは?
[まとめ]5Gとはどういうものか?
[COLUMN]アメリカや中国で5Gがいち早く広がり始めたのはなぜか

PART2 5Gで世の中がどう変わる?
01 モバイル業界の覇権争い~勝者の条件とは?
02 世界初はどこだ?~韓国vs.アメリカの「世界初5G」競争
03 日本のキャリア動向~ニッポンの5Gは世界に出遅れている?
04 キャリア大手3社がいっせいに言い始めた「きょうそう」とは?
05 スマートフォンが周辺機器の「ハブ」に変わる時代
06 料金はどうなる?~韓国、アメリカは8,000円が相場。日本は?
07 5Gならではのニーズが生んだ折りたたみ式スマートフォン
08 2in1タブレットパソコンの登場~モバイルなのにPC並みの高性能
09 スマートグラス~メガネ型ウェアラブル端末
10 VR(仮想現実) ~5Gの高速配信で普及をねらう
11 遠隔運転車両「ニューコンセプトカートSC-1」~車窓がエンターテインメントや広告の空間に
12 MR(複合現実) ~現実と仮想空間の融合がもたらす進化
13 5G×カメラ×AIでビジネスが大きく変わる
14 地域産業の育成~軽種馬の様子を8Kカメラと5Gでチェック
15 小売業界~5Gスマホ普及で無人店舗が一般的に
16 重機を遠隔操作~人手不足と労働環境を改善
17 遠隔ロボット~離島の医療から救助活動まで
18 自動運転① ~ひとりで複数のトラックを走らせる
19 自動運転② ~過疎地で期待される無人販売カー・無人タクシー
20 IoT~サッカーボールにセンサーを内蔵して選手を解析
21 医療~無医村でも5Gで遠隔診断を実現
22 教育~学校こそ無線LANではなくセルラー回線が求められる
23 地方創生~5Gでは人口カバー率より「基盤展開率」を重視
24 農業~労働力不足をカバー、天候リスクの回避にも役立つ
25 ドローン~カメラと5Gを搭載してインフラやセキュリティ分野で活躍
26 運輸~電車や飛行機はタッチレスで乗る時代へ
27 工場~リアルタイム性と安定性を実現したスマート工場へ
28 観光~列車の窓がタッチパネルに
29 ライブ~複数のカメラアングルを自分で自由に切り替えて楽しめる
30 クラウドゲーム~各社が相次いでプラットフォームを強化
31 スポーツ観戦~マルチアングルから自分が見たい映像をチョイス
32 放送~5G中継で機動力を生かした中継を実現
33 SNS~5G時代には動画編集がキラーアプリとなる
34 スマートシティ~街中のあらゆるものが通信でつながる
[まとめ]5Gでビジネスはどう変わるか?
[COLUMN]5Gの有効活用をめざして試行錯誤を重ねるキャリア

PART3 世の中が変わる意味、さらなる未来
01 MEC~超低遅延を実現する通信技術
02 高精度位置情報×5G~誤差数cmの測位サービスが実現
03 5GがもたらすモバイルとIT業界の再編
04 2つのeSIM~手軽に通信キャリアを切り替え可能
05 楽天モバイル~新規参入キャリアが目指すもの
06 アメリカはなぜファーフェイを警戒するのか
07 アップルvs.クアルコム〜和解の背景
08 5G普及の足かせになる総務省の端末割引規制
09 端末割引規制で戦々恐々のスマートフォンメーカー
10 過熱する5Gへの期待に警鐘を鳴らす
11 プラチナバンドで5Gを全国展開する
ダイナミックスペクトラムシェアリング
12 格安スマホの今後の展開~MVNOからVMNOへ
13 企業や自治体が展開する「ローカル5G」サービス
14 空から携帯電話の電波を降らせるHAPS
15 2030年、6Gに向けての動き
[まとめ]5Gは未来をどう変えるか

用語解説
索引
著者紹介

石川 温 (著)
出版社 : エムディエヌコーポレーション (2020/1/21)、出典:出版社HP

次の10年を決める「ビジネス教養」がゼロからわかる! 5Gビジネス 見るだけノート

5Gビジネスをイラストで解説

第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)技術委員長ほか多数を歴任する5Gの第一人者が監修しており、すでに注目を集めている5Gが具体的にどのようなもので、どのように使われているのかを学ぶことができます。5G時代の新ビジネスが、イラストだけでサクッとわかる一冊です。

  (著), 三瓶 政一 (監修)
出版社 : 宝島社 (2020/1/17)、出典:出版社HP

はじめに

「5G」は我々の生活を大きく変える起爆剤?

最近テレビでも5Gの番組やニュースが多くなりましたが、「いったい何?」という方は結構多いのではないでしょうか?

5Gとは第5世代携帯電話システムのことであり、国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)で標準化された国際標準です。では1Gから4Gまではあったの?という疑問を持つ方も多いでしょう。1Gから4Gまでは確かに存在し、無線通信システムに関係する技術者の間では広く認知されていますが、一般の方はスマホで情報収集ができさえすればそこで利用されている無線アクセス方式を知る必要もないことから、これまで携帯電話の世代について知る必要性はありませんでした。では5Gはなぜ、多くの人が気になるキーワードになったのでしょうか?

それは、5Gが、4Gまでのスマートフォンへの情報配信サービスから大きく脱却し、スマートオフィス、スマート工場、自動運転車など、我々の生活空間の近いところにありながらこれまで携帯電話とは全く縁がなかった自動車、ロボット、機械などを接続し、遠隔操作、AIのサポートなどによる高機能化を通じて我々の生活を大きく変える起爆剤になる可能性を秘めているからです。

5Gで最も重要なことは、5Gに接続されるシステムの多くが、人に代わる機能を実現するものであるということです。5Gネットワークに接続されるのは、自動車、ロボット、機械などであり、人の作業を代替する機能を持ったものが多くあります。それらを5Gネットワークでつなぐと、遠隔で操作するといったことが可能になります。それにより、危険を伴う、例えば高所での作業や災害が発生している現場などの対応がやりやすく、かつ低コストで実現可能となり、そこにAIが加わると機械が人手を介さず、自律的に動作することも可能となります。このような5G+AI+人の動作機能を代替できる機械、という形態は、少子高齢化、労働人口の減少といった社会課題先進国である我が国にとっては、人が足りない部分を解決するための重要なソリューションになり得る大きな期待がもたれています。

国は、このような背景の下、ソサエティ5.0の実現や、5Gを活用した社会展開に対して様々な政策を打ち出し、少子高齢化、労働人口の減少という我が国の課題の解決を積極的に後押しし、さらに地方の活性化をも実現しようとしています。

本書は、このような背景の下、5Gの活用によって新たに展開され得る、私たちの身近な場所に存在する様々なサービスとして、具体例にどのようなものがあるかを解説しています。具体的には、自動運転、医療・介護、製造業、流通、生活、エンターテインメントといった我々の身近な分野で、5Gが適用可能なものの具体例を数多く取り上げ、5G、AI、機械の融合で我々の未来社会がどのようになるかを、簡潔かつ明快に説明しています。これを読めば、5Gとはいかに広範囲な分野を解決できる技術であるかを、かなり理解していただけるのではないかと思います。

三瓶政一

  (著), 三瓶 政一 (監修)
出版社 : 宝島社 (2020/1/17)、出典:出版社HP

次の10年を決める「ビジネス教養」がゼロからわかる!
5Gビジネス 見るだけノート
Contents

はじめに
5G がもたらす未来

Chapter1 次世代通信「5G」がもたらすものとは?
01 そもそも5Gって何?
第5世代(5th generation)
02 5Gの何がすごいの?① 高速・大容量
20Gbps
03 5Gの何がすごいの?② 低遅延
自動運転、低遅延、 遠隔医療
04 5Gの何がすごいの?③ 多接続
スマートシティ
05 5Gで何が変わるの?
5G NR (New Radio)
Column01 5Gの経済効果はどのくらい?
用語解説①

Chapter2 知っておきたい! 「5G」の基礎知識
01 移動通信システムの変遷
1G ~ 4G、3.5G、3.9G
02 4Gと5G の違い
NSA方式、SA方式
03 なぜ通信速度が 速くなるの?①
高周波数帯
04 なぜ通信速度が 速くなるの?②
ビームフォーミング、ネットワークスライシング、エッジコンピューティング
05 5G 時代の通信業は「B2B2X」へ
B2B2X
06 5G の現状と国際競争
19億人
07 日本の5G 開発の現状と未来予想図
通信キャリア
08 「ローカル 5G」って何?
ローカル 5G
09 5G とビジネス革命
ビジネスチャンス
Column 02 5GとLPWA
用語解説②

Chapter3 「5G」で未来はこうなる! 交通、物流編
01 5Gがもたらす「交通、物流」革命
自動運転
02 「コネクテッドカー」とは?
緊急通報、テレマティクス保険
03 ADAS(先進運転支援システム) って何?
デジタルアウターミラー
04 ドライバー不足を解消する「隊列走行」
無人トラック
05 「ドローン配送」と「UGV」
有人地帯の上空飛行、 遠隔操作
06 遠隔監視と自動運転の事例
遠隔制御
07 MaaSとは何か?
MaaS専用アプリ
Column03 世界及び日本におけるMaaSの現状
用語解説③

Chapter4 「5G」で未来はこうなる! 医療・介護、セキュリティ編
01 5Gがもたらす「医療・介護」革命
遠隔医療
02 医師不足を解消する「オンライン診療」
オンライン診療
03 名医の支援が受けられる「遠隔手術」
遠隔手術支援
04 高齢化社会を救う「介護ロボット」
介護ロボット
05 救急医療を支える「クラウド」と「AI」
ハイパードクターカー
06 5Gがもたらす「セキュリティ」革命
監視、見守り
07 多数の「4Kカメラ」で警備を強化
4K、顔認証
08 「天空の日」と「警備ロボット」
三種の神器
09 「4Kカメラ」と「AI」が不審者をあぶり出す
4K、AI
Column04 KDDIのスマートドローン
用語解説④

Chapter5 「5G」で未来はこうなる! 製造、建築・土木、農業編
01 5Gがもたらす「製造」革命
工業用機械
02 スマートファクトリーと5G
スマートファクトリー
03 「遠隔操作」で、人材不足を解消
遠隔操作
04 作業者の熟練度を上げる「リアルタイムコーチングシステム」
リアルタイムコーチング
05 作業効率をアップする「産業用ロボット制御」
産業用ロボット制御
06 インダストリー4.0と5G
IoT、モノのインターネット(化)
07 5Gがもたらす「建築・土木」革命
デジタルツイン
08 5Gがもたらす「農業」革命
スマート農業
Column05 日本発「コネクテッドインダストリーズ」って何?
用語解説⑤

Chapter6 「5G」で未来はこうなる! 流通、観光、金融編
01 5Gがもたらす。「流通」革命
顧客ファースト、マーケティング情報
02 5Gから考える「xR」消費の時代
仮想現実、拡張現実、複合現実、xR技術
03 5G時代のキャッシュレス決済
脱現金化、顔認証
04 労働力不足の救世主に、ロボットによる労働管理が進む!?
ロボティクス、AIアシスタント
05 5Gで激変する「デジタル広告」と「マーケティング」の世界
モバイルディスプレー広告、動画広告
06 「窓口」も「認証」もデジタル化する金融業界
フィンテック、生体認証
Column06 ドコモの「新体感観光サービス」
用語解説⑥

Chapter7 「5G」で未来はこうなる! 生活編
01 「5G」で私たちの暮らしはどうなる?
SF映画のような暮らし
02 「スマートシティ」が本格的にはじまる
スマートシティ、ソサエティ5.0
03 「スマートハウス」での未来生活
スマートハウス
04 「5G」で教育はどう変わる?
体験学習
05 5G時代のサービス「XaaS」って何?
XaaS、RaaS
Column07 5Gが「少子高齢化」を解消する?
用語解説⑦

Chapter8 「5G」で未来はこうなる! エンタメ編
01 5Gがもたらす
エンタテインメント革命超高精細映像、IP同時再送信
02 「クラウドゲーム」と「eスポーツ」
動作遅延の解決
03 「マルチアングル」での新たなスポーツ・ライブ体験
マルチアングル機能
04 5Gの時代は「バーチャルインフルエンサー」が大活躍?
VTuber、バーチャルモデル
05 未来の「xRグラス」とは?
メガネ型端末、小型・軽量化
06 知っておきたい5Gのリスク
セキュリティ、プライバシー漏洩、電磁波
Column08 話題の5Gスマホって、何がすごいの?
用語解説⑧

掲載用語索引

  (著), 三瓶 政一 (監修)
出版社 : 宝島社 (2020/1/17)、出典:出版社HP

5Gがもたらす未来

産業や医療、流通から生活、そして娯楽まで、5Gは私たちを取り巻くあらゆる分野に大きな変革をもたらします。

防犯・警備
4Kの高精細カメラを用いて街中を監視することができるようになるほか、AIによる映像分析で犯罪予測の精度も上がります。

医療・介護
医療分野では、遠隔地からの診察や手術が可能になるため地域による医療の格差がなくなります。また、介護ロボットの開発も進んでいます。

製造(工場)
工場内の設備をすべて5Gで接続することで、制御やメンテナンスの効率が格段にアップします。また、不良品の検出や製品の分別も自動化されます。

スマートハウス
家の中にあるあらゆる家電がIoT化されることで、外出時にも冷蔵庫の中身が確認できたり、家の中の様子の点検、家電などの遠隔操作などもできるようになります。

流通(小売り)
電子決済が普及し、支払いの無人化が進みます。また、店舗管理のロボット化や、目の前の人にパーソナライズされた動画広告の配信も研究されています。

ドローン配送
ドローン配送はすでに実証実験が開始されています。また、UGV(地上配送車)を用いた無人配送の実用化の研究も進んでいます。

オフィス
ホログラム会議が現実化。多量のデータを瞬時に共有できるため、在宅でのリモートワークやVR会議も容易に。

エンタメ
5Gを活用したVRライブやマルチアングル視聴が楽しめるように。また、遠隔地同士での対戦ゲームなどもほぼ遅延なく平等にプレイできるようになります。

自動運転
完全自動運転が実現すると、事故や渋滞も減ります。また、移動中の車内では仕事や娯楽に時間を使うことができるようになります。

  (著), 三瓶 政一 (監修)
出版社 : 宝島社 (2020/1/17)、出典:出版社HP