【最新】5Gを理解するためのおすすめ本 – 入門から応用まで2021前半

5Gとは?これまでとの違いは?

5Gとは「5th Generation」の略語、つまり、情報通信技術における第5世代のことです。5Gはこれまでの4Gと比べて、高速で大容量の通信ができることや信頼性が高いこと、多くの機器に同時接続ができることなどがメリットとして挙げられます。ここでは、5Gの知識を身に付け、理解を深めるためにおすすめな本を紹介します。

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出典:出版社HP

 

【最新 – 5Gについて理解するためのおすすめ本 – 入門からビジネスへの応用まで】も確認する

5G 大容量・低遅延・多接続のしくみ (ブルーバックス)

5Gの意義がよくわかる

最近よく耳にする5Gですが、その本領は伝送速度だけでなく「低遅延」「多数同時接続」にあります。5Gと4Gの根本的な違いから通信技術の本質まで、前提知識がなくても理解できるわかりやすい解説がされています。今の時代に必要不可欠な知識が身につく1冊です。

岡嶋 裕史 (著)
出版社 : 講談社 (2020/7/16)、出典:出版社HP

まえがき

ついに移動通信システムの第五世代、すなわち「5G」がお披露目になり、世界各地で商用サービスが開始されるに至りました。
通信事業者が新しい技術を投入し、利用者がそれに追従する構図は、少なくともここしばらくは続くのだと思い ます。
私は通信技術を勉強していますから、ご多分にもれず新しもの好きです。目新しいコンセプトの製品の初期ロッ トなど、痛い目を見るのがわかりきっているものにいつも手を出し、そして案の定、痛い目を見ています。
でも、スマートフォンに関しては、かなりのレイトマジョリティでした。
私は人とコミュニケーションを取るのが苦手ですし、スキあらば家に帰って新しい製品をいじり倒したり、そう でなければゲームでもやっていたりしたいのです。飲み会に誘われるなど、もってのほかです。いつだって下戸の ふりをしています。
スマートフォンなどという便利なもの、人とつながりやすいものを手にしてしまったら、長年かけて築き上げて きたこの快適な生活にひびが入ってしまうのではないかと、心の底から恐怖したのです。
それでも、スマートフォンを手にする日はやってきました。もう持っていないと業務に支障を来すようになった からです。
新しいものを手にする人が増えれば、古いものは消えていきます。
私の場合は、スマートフォンを使いはじめたら、Eテレのスマホ講座の仕事をいただくことになりました。スマ ホゲームの完成度がけっこう高いことに感動しました。そして、「や、スマホ持ってないんで!」と言っておけば 人から捕捉されずにすんだ生活と、低めだった通信料は、いずれも過去の彼方に去りました。
サービスを提供する事業者にとって、複数のサービスを維持することは大きな負担ですし、そのための資源も限 られています。あまり使う人がいなくなった3Gの周波数帯域を、いつまでも3Gのために残しておくことは無駄 です。
固定電話も、3Gも、ガラケーも、やがて姿を消していくでしょう。4Gがそうであったように、5Gも急速に 社会の基盤を成すインフラになっていきます。
インフラになるくらい洗練された技術は、たいてい中身がわからなくなっています。たとえば、インターネット の出はじめのころは、ある程度インターネットの知識がないと使えない代物でした。万人が使うような技術ではあ りませんでした。
でも、いまのインターネットは幼稚園の子でもアクセス可能なくらいに(それがいいことか悪いことか、安全か どうかは別として)よく整備され、作り込まれています。
移動通信システムも世代を重ねて5つめ、もう十分にその水準に達しています。実際に、スマートフォンの背後 にどんなしくみがあるかなど、気にとめずに使っている人がほとんどだと思います。それでも使えるように、技術 者が技術を磨いてきたからです。
でも、自分を取り巻き、どっぷりと浸かっている事象が、どんなふうに成り立っているのか知らないことは怖いことでもあります。私は保険の契約内容など、何もわかっていないのに、言われるがままにサインをしますが、 「きっと損してるんだろうなあ」とか「いざというときは役に立たないんだろうなあ」といつも思っています。そ んなときに頼りになるのは知識です。わかりやすい本でも親切なFP(フィナンシャルプランナー)でも、何でも活 用して保険のことを知っておくのが、身を守ったり得をしたりするためのたしかな手段です。
法律でも経済でもなんでもそうですが、社会の根幹を成すしくみを知っておくのはいいことなのだと思います。 そのお手伝いをすることを念頭に本書を書きました。
損得勘定を抜きにしても、人類が何十年も熟考し、工夫を重ねてきたしくみやしかけの粋を紐解いていくのは、 純粋に楽しいものです。
本書を読んでいただいた皆さまにも、「こんなこと、よく思いついたなあ」と膝を打つ瞬間が1つでもあれば、 嬉しく思います。研究者や技術者の思考の軌跡を、ぜひお楽しみください。

岡嶋 裕史 (著)
出版社 : 講談社 (2020/7/16)、出典:出版社HP

目次

まえがき

第0章 「電波」とはなんだろう
周波数は「とんでもなく大きい」 /短波は特定方向へ、長波はより遠くへ /携帯 電話のアンテナが短くなった理由 /振幅と位相 / 「電波を取り合う」ということ /いい感じの周波数におさめる「変調」
コラム1 電波が「強い」とはどういうことか

第1章 携帯電話がつながるしくみ
どこまでも小さく、軽く /スマホが人類を変えた、ただ1つの理由 /「1G」と 呼ばれていなかった第一世代 /有線でつながった「網」 / 「閉域IP網」への統合/制御用の周波数のおかげで混線しない /番号から正体を探る /位置情報を知 るのは「ホームメモリー」 / 「交換機」のしていること /回線を割り当てる
コラム2 積極的なタイプはすぐ乗り換える?

第2章 携帯電話の「世代」とは何なのか
簡単に変わりそうで変わらない / 時間は「離散的」なものになった /アナログの 利点と弱点 /曲線をデジタルで表現する /欠落した情報を補う /音を輪切りに する方法 /ハイレゾの音質がわからなくても大丈夫な理由 /電話で音楽を楽しむのは難しかった /標本化から量子化へ /適切な「切りどころ」を探す /最低限 必要な「ビットレート」とは /量子化のおかげでノイズを克服
コラム3 「すりーじー」の謎

第3章 3G―国際標準規格が採用されたけど
「データ爆発」は今に始まったことではない /携帯通信勃興期では「規格」は後回し/スタンダード・テクノロジーとしての「3G」 /3Gを決めたのは「ITU」 /すっきり統一されなかった理由 こうして5つの規格が乱立した /電波は希少 だ /駅に無料 Wi-Fi がある理由 /3段階の「多元接続」 /周波数を細切れにす る「FDMA」 /時間を細切れにする「TDMA」 /PZ符号のおかげで混線し ない「CDMA」 / 「圧縮」のしくみ /音楽の符号化で生まれた「着メロ」 / シンセサイザーでわかる「分析合成符号化」

第4章 4G―スマホの普及にシステムの進化が追いつかない
音声電話からデータ通信へ /通信に「ギガ」が登場した! /改めて覚えておこう「バ イト」「ビット」の違い /机上では見事な規格統一が達成されたが…… / 「なん ちゃって4G」が必要とされた理由 / 「LTE」の誕生 /同じLTEでも速さが 数倍違う /ダウンロードは速く、アップロードは遅い /要素技術その1「MIMO」/「ダイバシティ」で高品質化 /アンテナ複数化の到達点 /電波が干渉しても 大丈夫な理由 /要素技術その2 「OFDMA」 /要素技術その3 「QAM」 /モー ルス信号のしくみ /周波数にデータを対応させると…… /位相をずらす方法 / 「1周期で64パターン」への道 /3.5Gも4Gになった
コラム4 WiMAX とラストワンマイル問題

第5章 5G―移動通信システムの「解放」
映像は有線から解放された /5Gが解放したもの /3Gと同じ体制で5Gも定 まった /自動運転を可能にする「低遅延」/スマホ「以外」に通信を開く「多数 同時接続」 / 「高速」と「大容量」をどうやって両立するか /高周波数帯のメリッ ト「余裕がある」 /高周波数帯のデメリット「遠くまで届かない」 /基地局のカバー エリアを小さくする /同時につなぐための技術も洗練された /まずは4Gと連携/最小送信単位が4分の1に /無線部分「以外」をどう高速化するか / クラウ ド処理ではデータが長距離移動する / 「劇的に効く」エッジコンピューティング /接続先はセンサーネットワーク /「あえて低速」で電池が10年もつ /通信資源 を合理的に割り当てる / 「線」をどこまで排除できるか
コラム5 6Gに必要な7つめの要件

第6章 その先にあるリスク
いたちごっこで新製品が売れた時代 /夢を見せ続けるために /苦心の末に出てき た企業向けビジョン /成功するからこそリスクは膨らむ /地球全体へ拡張される 身体感覚 /GAFAの支配は「既定の事実」へ /すばらしき監視社会へ / ベン サムの夢 /本当に監視していなくてもいい「パノプティコン」/透明化され、外 部化される「意思」
コラム6 「移動」が贅沢品になる世界へ

あとがき
SI接頭辞の一覧
さくいん

岡嶋 裕史 (著)
出版社 : 講談社 (2020/7/16)、出典:出版社HP

まるわかり! 5Gビジネス2021 (日経ムック)

5Gの普及は社会的課題解決につながる

高速・大容量で多数の端末に同時接続が可能な第5世代通信システムである5Gは、自動運転、医療・介護など多くの分野で革新的なビジネスが誕生されると期待されています。本書では、5Gの様々な活用事例を紹介しています。5年先の生活はどうなっているのか、未来の展望もわかる1冊です。

日本経済新聞出版 (編集)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2020/10/22)、出典:出版社HP

Contents

巻頭対談
5Gの普及が 社会的課題の 解決につながる
メディアアーティスト 落合陽一氏× 三井住友トラスト・アセットマネジメント 執行役員 投信営業担当 大野宏央

PART1
5Gが開拓する 巨大マーケット

5G技術の特徴と未来
4Gから5Gへ歴史の転換点 便利を超えるIoT社会の到来
三井住友トラスト・アセットマネジメント 佐野大輔氏

5Gビジネスの市場予測
社会全体で使われる通信技術へ IoT通じ経済効果は日本のGDP2倍強
ニューバーガー・バーマン三浦洋平氏

5Gで伸びる分野・企業
3つの普及ステップで成長分野がシフト 「5Gスマホ」と「光ファイバー」に注目

5Gを支える日本企業と最新機器 アンリツ 通信用計測器
拡張性に優れたハードとソフトで スマホ開発に必須の“疑似基地局”を提供
アンリツ 金綱哲一氏

村田製作所 電子部品
「垂直統合」の社内組織で 一層の小型化と高性能化に挑戦
村田製作所 村田崇基氏

東京エレクトロン 半導体製造装置
全体最適の考えのもとスマホやパソコンの 半導体の「超」微細化をけん引する
東京エレクトロン八田浩一氏

PART2
5Gでビジネスが変わる
①ソフト面

Outlook
「いつでもどこでも楽しめる」から、 「今だけここでだけあなただけ」に
野村総合研究所 亀井卓也氏

CASE STUDY自動運転、コネクテッドカー
国内で初めて一般公道で5Gを活用した遠隔監視型自動運転
ブレーキやすれ違いにも即座に対応 多くの企業・団体と連携し高度化へ
KDDI 葉山雅育氏/谷口英樹氏

CASE STUDY 医療
商用5Gを活用した国内初の遠隔手術支援実証実験
高精細な手術映像などの双方向通信で 専門医と手術室のモビリティ向上へ
NTTドコモ 内田 敦氏

CASE STUDY 介護
5Gで介護職員の負担を軽減
顔認証による来訪者特定や入居者別の食事管理をサポート
NTTドコモ 遠山博人氏

CASE STUDY 小売り
5Gがうながす小売りの実店舗とECサイトの進化
映像系ソリューションの画像解析力アップ アバターロボットでの顧客誘引も
NTTドコモ 松井克憲氏

CASE STUDY イベント・エンタメ
官民連携プラットフォームでエンターテインメント産業を支援
バーチャルがもたらす相乗効果 多様な業種や地方での展開も視野に
KDDI 繁田光平氏

CASE STUDY スポーツ観戦
大容量・低遅延伝送で映像表現領域の高度化を図る
誰もが放送局になれる時代の到来 双方向のコミュニケーションを創造
NTTドコモ 馬場浩史氏

CASE STUDY ウェアラブルデバイス
先進的な3D技術がもたらすビジネスの変革
現実世界とデジタル世界が融合する 次世代プラットフォームMR
日本マイクロソフト 上田欣典氏

CASE STUDY 公共交通の革新―MaaS
MaaSプラットフォーム構築を目指す
1つのアプリケーションで 複数の交通サービスを決済まで網羅
KDDI 松浦年晃氏

CASE STUDY ゲームの進化
ゲームの姿を変え、プレイヤーのすそ野を広げる5G
通信・デバイス・コンテンツの進化が 新たな「体験」と価値を生み出す
NTTドコモ 細川正人氏/森永宏二氏

CASE STUDY 教育
熱量や五感、知性とネットワークの融合を促進
現場の課題を解決し個の学びを深める 双方向で多面的な教育を5Gが後押し
NEC 松田尚久氏/MXモバイリング 笠井智廣氏
WE戸田裕昭氏/クレセント氏原亮介氏

識者インタビュー #1
未活用なデータが取得可能になる5G 業界の枠を超えた企業の連携がカギに
東京大学大学院 教授 柳川範之氏

PART3
5Gでビジネスが変わる
②ハード面

Outlook
通信事業者とセンターB事業者での エンドユーザーの囲い込みが熾烈に
野村総合研究所 亀井卓也氏

CASE STUDY 製造業
生産設備における無線ネットワーク化の実証実験
省人化・自動化ニーズ高まる製造現場 人と機械の協調で働きやすい工場を実現
オムロン 山田弘章氏

CASE STUDY 土木・建築
トンネル工事現場における安全確保を目的とした実証実験
長距離移動や危険個所の施工が不要に 進捗管理や従業員の安全確保にも貢献
大成建設 青木浩章氏

CASE STUDY 保守・管理
5GとAIを活用した橋梁点検システムの実証実験
橋やトンネルなどの社会基盤施設を調査 人材不足、コスト超過を解消
WorldLink&Company 渡辺一生氏

CASE STUDY 農業
ローカル5Gを活用した農業支援
遠隔地からの発育状況確認や営農指導 農業×ICTによる地域活性化目指す
NTTアグリテクノロジー 酒井大雅氏

CASE STUDY セキュリティ
5Gを用いて監視カメラの画像を高速解析
不審者の検知や高齢者の見守りを実現 高精細画像による警備サービスの進化
綜合警備保障 营原美智子氏

CASE STUDY スマートシティ
ローカル5Gで地域課題の解決を目指す
「データ連携基盤(都市OS)」による 分野横断的な街づくり
総務省 嶋田大輝氏

識者インタビュー #2
5Gが導くデータ駆動社会で日本が進むべき未来
国立情報学研究所所長 喜連川優氏

PART4
通信キャリアの 戰略

NTTドコモ
21年度中にスタンドアロン5G導入 リモート型社会への移行に貢献する
NTTドコモ 太口努氏/岩本和久氏/三浦智史氏

KDDI
フィジカルとサイバーの融合を 5Gで革新的に推し進めていく
KDDI 長谷川渡氏/森田恵美氏

ソフトバンク
パブリックとプライベートの2軸展開 ビジネスの課題解決こそが5Gの本質
ソフトバンク 梅村淳史氏/小森谷嘉明氏

楽天モバイル
完全仮想化ネットワークを武器に プラットフォームの海外展開目指す
楽天モバイル 益子 宗氏/内田信行氏

識者インタビュー #3
新たなアプリや産業界で利用される 5Gを支える移動通信技術とは
エリクソン・ジャパン チーフ・テクノロジー・オフィサー(CTO) 藤岡雅宣氏

PART5
5Gビジネスの 未来と課題

5Gで個人情報保護はどう変わる?
データ利用の同意を得る わかりやすい仕組みの構築が必要
慶應義塾大学 山本龍彦氏

5Gへの移行におけるポイントとは?
ウィズ・アフターコロナ時代の5G移行には “センターB”の活躍が欠かせない
三菱総合研究所 伊藤陽介氏

2030年代には6G時代が到来
「考えるだけで操作できる」技術が実現する
三菱総合研究所 伊藤陽介氏

日本経済新聞出版 (編集)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2020/10/22)、出典:出版社HP

「5G革命」の真実 –5G通信と米中デジタル冷戦のすべて (WAC BUNKO 301)

3時間で5G通信とITビジネスの未来がわかる

5G通信はこれまでの規格とは何が違い目新しいのか、なぜここまで国際政治が揺らいでいるのかなど、知識がなくても5Gに関してざっくりと理解することができる入門書です。技術によって世界や日本はどのように変わるのか、技術革命で起こる変化に対してどう向き合えばいいかを考えさせられます。

深田 萌絵 (著)
出版社 : ワック (2019/7/25)、出典:出版社HP

まえがき 人工世界へようこそ!―Welcome to The Artificial World!

IT革命から二十年、スマホやパソコンがネットで繋がり、買い物も友だちとの会話も仮想空間ですませられる時代となった。5G(第五世代移動通信システム)革命では、スマホやパソコンはすでに必要ない。IoE(インターネット・オブ・エブリシング)で、すべてがネットワーク化されていくので、私たちにはもはやパーソナルなコンピューターは不要なのである。「モノ」がネット経由でデータベースにアクセスし、私たちが「誰」なのかを認識して、それに応じて各人の仮想PCを呼び出す。そこでモノやサービスを購入すれば、私たちが貯蓄した「クレジット」から利用分が引き落とされる。信用社会の始まりだ。
工場で働くのはネットワークでつながったロボットたち。彼らはお互いにコミュニケーションをとりながら、工場ラインでスムーズに作業し、それをAIマネージャーが4K監視カメラを通じて十六・五ミリ秒ごとに作業をチェックする。モノのスマート化、ネットワーク化で「働く」という概念が劇的に変わる。タクシーはすべて自動運転化し、労働市場は「働くロボット」に取って代わられる時代が期待されている。しかし、どこまで実現可能なんだろうか。
5G時代の幕が開き、私は数年前から企業向けに5G通信実験とレポート作成を重ねてきたが、5G通信に関して「これ一冊読めば、知識が無くてもザックリ分かる」というレベルの本がないことに気がついた。5G通信を技術的に書いた本は前提知識がないと難しく、米中覇権争いにフォーカスした書籍などは技術や産業界を含めた動向が見えにくい。
先日、YouTube(ユーチューブ)番組『WiLL Moe Channel』で、5Gがこれまでの通信規格と何が異なり、どこが目新しく、そのためになぜ国際政治が揺らぐのかを簡単に解説すると意外と反響があり、それをベースに技術の話も含めて書籍にまとめることにした。
IT産業は国境のない熾烈なグローバルビジネスの世界で、各国が政治力を使って潰しあっている。その合間を生きていくには政治にも注意を払わざるを得ない。長年スパイ疑惑が指摘されてきたファーウェイに対して、トランプ大統領の堪忍袋の緒が切れた。ファーウェイ創業者の娘(孟晩舟)を逮捕・起訴するまでに至り、そこから、世界はファーウェイ製の5G通信機器を導入するか否かで侃々諤々の議論となっている。
世界のどの国でファーウェイ製5G通信機器は導入されるのか、シェアはどうなるのか、政治的圧力でどう変化を見せるのか、ITビジネスの世界はどう変わるのか。技術と国際政治に対する基本的な理解がなければ、近い将来起こる大きな変化に飲み込まれ、ビジネスで大損をする。
読者の対象は、IT業界に従事しながらも「5Gビジネスの未来が今一つ掴めない」という方や、「5Gで国際社会が争っているのはなぜか」、「通信技術はどんなもので、サイバー空間の未来はどうなるのか」を理解したい方を対象としている。第一章では5Gで実現する未来像を、第二章では5G技術がこれまでとはどう異なるのかをかいつまんで解説した。技術にくわしい方は第二章をスキップしてもらってかまわないと思う。そして第三章で、米中の戦いにおいて世間が見落としている中国製5Gインフラの危険性について言及し、第四章でCASE革命における日本の自動車産業の危機に警鐘を鳴らしている。第五章では5Gの時代に利益を生むモノは何か、そして近未来はどうなるのかという問題についてまとめた。
技術者ではない方にもイメージを持っていただきやすいように、表現を易しくすることを優先した。そのため、通信の専門家の方にはご不満かもしれないが、説明が多少舌足らずな点はご容赦いただきたい。
深田萌給

深田 萌絵 (著)
出版社 : ワック (2019/7/25)、出典:出版社HP

目次

まえがき 人工世界へようこそ!―Welcome to The Artificial World!

第一章 5G通信で世界が変わる
夢の近未来社会がやってくる?
盛り上がらないのはなぜだ!?
設備投資のリターンは?
生産革命に向けてのインフラ
大容量高速アップロードを必要としているのは誰か
低遅延で実現する自動運転

第二章 5G通信の技術と通信の歴史
通信速度が速くなる理由
フェイズドアレイアンテナとビームフォーミング技術
基地局は移動体通信の重要インフラ
ヘテロジニアスネットワーク
5G時代のコア・ネットワーク
「パケ詰まり」はなぜ起こる
広がる遠隔操作の可能性
スタンドアロン型とノンスタンドアロン型
通信とは「トポロジー」との戦い

第三章 米中対立で業界はどうなる
米国防権限法の日本企業への影響
取引先をどうやって選ぶか
最強の諜報インフラ
「通信スパイ」で起訴できない米国の弱み
世界的投資家ソロスの危機感
諜報行為の収益化でGAFAを支えた中国
中国に加担するGAFA
台湾の若者の未来を中国に売った馬英九
中国がディスプレイを狙う理由
トランプは6Gを見据えている
IT企業代理戦争
見えない戦争こそシリコンバレー最大の“イノベーション”
台湾半導体シンジケートとファーウェイ
「青幇」が支配する闇のネットワーク
ファーウェイに関連した不審死
不正競争防止法では技術は守れない

第四章 自動車産業の危機
CASE革命は自動車産業の危機
コネクテッドで車両情報は中国へ
「EV車はエコ」の大ウソ
MaaSというプラットフォームで起こる日本の危機
日産・ルノーの対立は米中代理戦争

第五章 5G通信のビジネスと今後
トランプは世界の良心のために戦っている
低遅延への課題
東京オリンピックと eスポーツ
IoT×FAで日本製造業にチャンス
世界が必要とする日本のセンサー技術
エッジコンピューターの時代 ロ
ボット掃除機がスパイになる?
注目される暗号技術
米の「5G潰し」と6G戦略

あとがき 開発は技術者の遊び心、金は経済界の動力、権力は独裁者の夢

装幀/須川貴弘(WAC装幀室)

深田 萌絵 (著)
出版社 : ワック (2019/7/25)、出典:出版社HP