【最新】会社法の概要を学ぶためのおすすめ本 – 入門から最新の改正法まで

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会社法とはどんなことを定める法律なのか

文字通り会社について規定した会社法ですが、その条文数は多く構造も複雑であるため、内容をきちんと理解するのは困難です。そこで今回は、会社法を学ぶ第一歩として、会社法の概要、全体像を理解するための本をご紹介します。

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出典:出版社HP

会社法の仕組み 〈第2版〉 (日経文庫)

会社法の骨格を理解する

会社法は条文が多く複雑であるため全てを細かく理解することは困難です。本書は、細かい部分を省略し、会社法の骨格となる会社法の仕組みについてわかりやすく解説しています。令和元年改正には対応していませんが、平成26年改正を前提として、会社法全体を外観するのに適しています。

近藤 光男 (著)
日本経済新聞出版 (2014/7/16)、出典:出版社HP

第2版 まえがき

会社法制定後、本格的な改正としては初めての改正が二〇一四年に行われました。改正項目のすべてが本書で述べている会社法の仕組みに直接関わるものではありませんが、新たな制度や法の基本的な考え方に関わる項目が多々あり、これらについて言及しておく必要性を感じました。そこで改訂版を出すことになりました。

とくに「Ⅳ 株式会社の機関」の指名委員会等設置会社や監査等委員会設置会社についての説明などを修正・追加しています。本書は、初版刊行後筆者の予想を超える多数の方々に読んでいただきましたが、一四年改正後も会社法の骨格を知る書物として、初版同様に利用してくださることを切に願っております。

平成二六年六月一日

初版 まえがき

二〇〇六年に施行された会社法は、条文が多く、また定義規定もきわめて多く、それぞれの規定がどこまで適用されるのか分かりにくく、複雑な法律となっています。これらをすべて丁寧に細かく説明するには膨大な頁数を擁した書物となります。

しかし、本書はそれを目指しておりません。もちろん限られた頁数で会社法を論じるのは、きわめて難しいところです。会社法に関する書物はたくさんありますが、問題は、この膨大で複雑な会社法の中のどの部分を説明するか、あるいはむしろどの部分の記述を落とすかだと思います。法律の条文は正確性を期すために、丁寧な文章になっていますが、法の趣旨を理解するには、当面考慮しなくてもよい箇所は少なくありません。

会社法を最も要領よく理解する近道は、会社法の骨格となっているところの、有機的なつながりを重視した説明、すなわち会社法の仕組みを理解することではないかと考えます。また、会社法には原則の定めと例文の定めの組み合わせが多数見られますが、本書では例外については省略することで、できるだけ会社法の骨組みを分かりやすくしようと努力しています。

なお、本書では、読みやすさを重視し、本文中では関連する条文番号をいちいち書き込みませんでした。ただ、節や項などのタイトルの下に関連する条文番号を入れておきましたので、さらに勉強される際には、手がかりにしてください。

筆者はこのような方針で執筆し、今まで会社法にあまりなじみがなかった多くの方々が会社法を身近なものと感じていただければと、心から希望しているところです。

平成一八年二月
近藤 光男

近藤 光男 (著)
日本経済新聞出版 (2014/7/16)、出典:出版社HP

目次

[Ⅰ] 会社と会社法
1 会社法とは
2 会社法の特徴
3 会社法上の会社
4 法人としての会社
5 法人格否認の法理
6 株主の利益最大化と企業の社会的責任
7 会社の目的

[Ⅱ] 会社を成立させるまでの手続
1 株式会社の設立の特徴
2 発起人
3 二つの設立手続
4 設立中の会社

5 設立手続
(1) 定款の作成
(2) 絶対的記載事項
(3) 相対的記載事項
(4) 発起設立の手続の概要
(5) 募集設立の手続の概要
(6) 設立登記
(7) 設立に関する責任

[Ⅲ] 会社の資金調達
1 株式
(1) 株式とは
(2) 株主平等原則
(3) 株式の内容
(4) 株式の譲渡
(5) 株主名簿
(6) 自己株式の取得
(7) 単元株式
(8) 端数株式
(9) 株式の併合・分割
(10) 募集株式の発行

2 社債
(1) 社債とは
(2) 募集社債の発行
(3) 募集社債の申込みと割当て
(4) 社債原簿
(5) 社債の流通
(6) 社債の償還
(7) 社債管理者

3 新株予約権
(1) 新株予約権とは
(2) 発行にあたって決めるべき事項
(3) 発行の手続
(4) 既存株主の保護
(5) 新株予約権の譲渡
(6) 新株予約権の買取請求

[Ⅳ] 株式会社の機関
1 機関とは
2 機関の種類

3 株主総会
(1) 株主総会の権限
(2) 株主総会の招集
(3) 株主提案権
(4) 株主総会における議決権
(5) 株主総会の決議
(6) 株主総会の議事
(7) 議事録
(8) 種類株主総会
(9) 利益供与の禁止

4 取締役制度
(1) 取締役とは
(2) 取締役の選任
(3) 取締役の解任等
(4) 取締役の権限
(5) 取締役の義務

5 取締役会制度
(1) 取締役会の機能
(2) 取締役会の運営

6 監査役と監査役会制度
(1) 監査役とは
(2) 監査役の地位の独立性
(3) 監査役の職務と権限
(4) 監査役会の職務と権限

7 指名委員会等設置会社
(1) 指名委員会等設置会社とは
(2) 指名委員会等設置会社の取締役会
(3) 各委員会
(4) 執行役
(5) 代表執行役

8 監査等委員会設置会社

9 役員等の責任
(1) 会社に対する責任
(2) 経営判断の原則
(3) 責任の免除
(4) 第三者に対する責任

10 株主代表訴訟と差止め権
(1) 株主代表訴訟の意味
(2) 訴えを起こせる株主
(3) 多重代表訴訟(特定責任追及の訴え)
(4) 株主の権利と義務
(5) 株主の差止め権

[Ⅴ] 株式会社の計算
1 法規制の意味
2 計算書類の意義
3 計算書類の監査
4 計算書類の公告
5 剰余金の配当

[Ⅵ] 会社の組織再編
1 合併
2 会社分割

3 株式交換と株式移転
(1) 株式交換
(2) 株式移転

4 合併等の手続
(1) 消滅会社等側の手続
(2) 存続会社等側の手続
(3) 新設合併等の手続
(4) 組織再編と株主の保護:株式買取請求と差止め権

5 キャッシュ・アウト

[Ⅶ] 多様な会社の種類と法規制の違い
1 非公開の株式会社

2 持分会社
(1) 持分会社とは
(2) 合名会社
(3) 合資会社
(4) 合同会社

索引

近藤 光男 (著)
日本経済新聞出版 (2014/7/16)、出典:出版社HP

令和元年改正対応 図解 新会社法のしくみ(第4版)

会社法の概要をおさえる

本書は、会社法全体の概要を図解を用いながらわかりやすく解説しています。会社法の重要な事項のうち最低限知っておきたい事項について、基礎的な解説をしています。令和元年改正に対応しているため、初学者の入門書としてはもちろん、令和元年改正の概要を知りたい方の学習にも役立ちます。

浜辺 陽一郎 (著)
東洋経済新報社 (2020/4/24)、出典:出版社HP

はじめに

本書は、わが国における会社法全体の概要を、図解を使いながら分かりやすく解説しようとするものだ。平成二六年改正以来、中規模程度の本格的な会社法改正が令和元年一二月に成立した。これを本書では「令和元年改正」という。今回の改正の目玉には、株主総会資料の電子提供制度、株式交付制度の創設等が含まれており、企業法務にも大きな影響を及ぼすものである。

この機を捉えて、本書第4版の改訂では、会社法の基本的なテキストとして、より多くの初心者の方々も一から理解できるように全面的に見直しを行い、さらなるブラッシュアップを図った。会社法全体を体系的に理解できるだけでなく、周辺領域や資本市場の問題にも触れながら、企業法務における会社法の位置づけが理解できるように工夫を凝らした。このため、順序を一部入れ替えて、新たな解説項目も追加した。

もとより会社法に関する知識や諸論点を網羅すると、基本的な事項だけに限ったとしても、相当な分量になってしまう。そこで、本書では、誰であっても、どうしても知っておくべき重要な事項のうち、特に第2章から第7章までは株式会社を中心として「これくらいは知っておかないと、その先の議論についていけない」「特に最近問題になっているから知っておきたい」と思われる事項に絞って、基礎的な解説を試みている。

ただ、会社法は数多くのバリエーションを許容しているため、すべてのケースを網羅することは不可能である。そのため、会社法に含まれている数多くの技術的な定めを網羅してはいない。しかし、基本的な会社法の概要を知ることによって、他の会社法関連の書物や記事・論文を理解し、読みこなす材料は得られるはずだ。

本書の形としては、各項目ごとに、簡潔にポイントをまとめている。本書中の条文数は、特に断りのない限り、会社法の条文である。また、法律の基礎知識がない読者のために、最初に法律・民事法・会社法入門的な観点からの解説も加えている。会社法の全体イメージを短時間でざっくりと把握し、重要項目の基本的な知識を整理するために、本書を役立てていただければ幸いである。

令和二年三月吉日
著者

本書で使用する記号

浜辺 陽一郎 (著)
東洋経済新報社 (2020/4/24)、出典:出版社HP

令和元年改正対応図解 新会社法のしくみ(第4版) ―目次

はじめに

【第1章】会社法の基本的なしくみ
1 会社とは何か
2 法人としての会社
3 ビジネスを規制する法律
4 会社法の構成
5 会社法の性質
6 会社の分類
7 会社の作り方
8 会社の定款
9 会社への出資
10 社員の面接無限責任と同接有限責任
11 会社の商号
12 商業登記
13 法人格否認の法理
コラム 会社組織の規制法としての会社法

【第2章】株式会社の機関設計
14 株式会社の機関
15 株式会社の機関設計
16 「大会社」と「中小会社」
17 「公開会社」と「非公開会社」
18 取締役会のない株式会社
株式会社の機関設計による規律の区別

【第3章】株主の権利と株主総会
19 株式の譲渡と移転
20 株式と株券
21 振替株式(株券の電子化)
22 株主名簿
23 株式の担保化
24 基準日
25 株主への通知・催告
26 株主の権利
27 株主平等の原則
28 株主総会
29 株主総会の運営方法
30 株主総会における株主の権利
31 株主総会の電子化
32 株主総会資料の電子提供制度
33 株主総会をめぐる訴訟
コラム 少数株主がシナジー効果を享受できる公正価格で会社は株式を買い取る

【第4章】株式会社の役員等の義務と責任
34 企業組織の役員等
35 取締役の資格
36 取締役の選任と解任
37 役員等の任期
38 取締役会
39 取締役会決議
40 特別取締役
41 代表取締役
42 取締役の義務
43 役員等の遵法義務と監督義務
44 会社の政治献金
45 利益相反取引
46 競業取引
47 会社補償とD&O保険
48 利益供与の禁止
49 内部統制システム構築義務
50 株式会社の年間スケジュール
51 監査役の権限
52 監査役の選任と解任
53 会計監査人
54 会計参与
55 役員等の責任
56 役員等の会社に対する責任
57 株主代表訴訟
58 多重代表訴訟
59 役員の責任軽減
60 役員等の第三者に対する責任
コラム 特別利害関係

【第5章】大規模会社のガバナンス
61 コーポレート・ガバナンス
62 公開大会社
63 使用人兼務取締役
64 社外取締役と社外監査役
65 執行役員制度
66 指名委員会等設置会社
67 三委員会
68 執行役
69 監査等委員会設置会社
70 役員の指名と選任
71 役員の報酬規制
コラム コンプライアンス経営

【第6章】株式・社債制度
72 資金調達方法としての株式と社債
73 株式のしくみ
74 社債のしくみ
75 株式の譲渡制限
76 渡制限株式の処分方法
77 全部の株式の内容に関する特別の定め
78 種類株式
79 議決権制限株式と拒否権付株式
80 転換株式
81 全部取得条項付種類株式
82 取締役等の選解任種類株式
83 属人的定めの許容
84 株式分割と株式併合
85 単元株制度
86 自己の株式の取得
87 自己の株式の取得手続
88 募集株式の発行等
89 現物出資とDES
90 新株予約権のしくみ
91 新株予約権の活用
92 新株予約権の発行手続
93 新株予約権の行使と消却
94 ライツ・イシュー
95 株式等をめぐる訴訟手続
コラム 普通株式と種類株式

【第7章】株式会社の計算
96 株式会社の会計
97 剰余金の配当規制
98 株式会社の資本金
99 準備金
100 資本金・準備金の減少
101 連結計算書類
102 決算公告
コラム 電子公告

【第8章】会社のリストラクチャリング
103 事業再編の選択肢
104 組織再編の手続
105 会社の合併
106 会社分割
107 株式交換と株式移転
108 親子会社の規制
109 対価の柔軟化
110 株式交付
111 事業譲渡等
112 簡易な事業再編
113 略式組織再編
114 キャッシュ・アウト
115 一人会社
116 組織変更
117 組織再編を争う方法
118 敵対的買収防衛
119 会社の倒産
120 会社の解散
121 会社の清算
コラム 組織再編行為に伴う新株予約権の承継

【第9章】持分会社その他の会社
122 三種類の持分会社
123 持分会社の業務の執行
124 合名会社と合資会社
125 合同会社と有限責任事業組合
126 合同会社の活用
127 特例有限会社
128 外国会社
コラム 構造改革をリードする企業改革

・令和元年改正の施行時期について
本書は、施行されている現行会社法の内容を原則とするが、元和元年改正の部分の施行日は未定であり、当分は未施行である。このため、経過措置にも触れていない。令和元年改正の規律のうち、株主総会資料の電子提供制度及び支店所在地における登記の廃止の部分については令和五年五月までに施行され、それ以外の部分は、特段の記載(第1章7節参照)のない限り、令和三年五月までに施行されるものとされるが、現時点では未定である。今後の政令の発表をご注目いただきたい。

浜辺 陽一郎 (著)
東洋経済新報社 (2020/4/24)、出典:出版社HP

ビジュアル 図でわかる会社法 (日経文庫)

ビジュアルで会社法を理解する

本書は、会社法を図解や図説で簡明に解説しています。文章だけのテキストや条文を読んでいるだけではなかなか理解しにくいところを図解することで、具体的にイメージしやすく、より理解が深まります。本書を読むことで、会社法の基本を図でイメージしながら理解することができます。

柴田 和史 (著)
日本経済新聞出版 (2014/12/16)、出典:出版社HP

まえがき

本書は、2002年に刊行し、会社法の入門書として、幸いご好評をいただいてきた日経文庫『ビジュアル株式会社の基本』を改題したもので、実質的には同書の第4版にあたります。同書第1版は、学生や社会人をはじめとする多くの方々に、株式会社に関する法制度を苦労なく知っていただきたいと考えて執筆しました。その後、2005年に、全979条の「会社法」が成立しましたので、旧稿を全面的に書き改めて、2006年に第3版を公刊しました。第3版は、学生や社会人の方々のみならず、かつて2005年以前に、商法典52条から500条までのカタカナ条文の下で株式会社法を勉強した多くの社会人の方々からも高く評価していただきました。

その後、判例や学説の進展を踏まえて、数年前から次の改訂の準備を始めましたが、丁度その頃から会社法の改正が予定され、その内容を織り込むことを計画しました。その会社法改正が当初の予定よりも数年遅くなりましたため、これに伴い、改訂版の公刊も遅くなってしまいました。

なお書名は、会社法の入門書であることが端的にわかるように変更しました。また、そもそもは「ビジュアル」という言葉によって、視覚に訴えかけるような紙面構成であることを表明しておりましたが、難解な法律を、図解や図説で簡明に解説しているという特徴をより正確に発信するために、『図でわかる会社法」という書名にしました。

最近は、映画やテレビドラマ、ニュース、新聞、雑誌、さらには漫画などの中で、会社に関する法律用語がしばしば出てきます。例えば、取締役の責任、CEO、執行役員、特別背任罪、株主代表訴訟、利益供与、粉飾決算、合併、会社分割、持株会社(ホールディングスカンパニー)、親子会社、ストックオプション、新株予約権等々です。これらに加えて、平成26年改正により、監査等委員会設置会社、社外取締役、キャッシュアウト(株式売渡請求制度)、多段階代表訴訟(多重代表訴訟)等の新たな重要語が加わりました。本書はこれらについて、目で見て理解でき、さらに、目で見た図説をそのまま記憶できるように配慮しました。

会社法という法律は、取締役会、監査役会、監査役、会計参与、会計監査人、監査委員会などを設置するかしないかを個々の株式会社が自由に定めてよいとしています。しかし、本書では、それぞれが設置されるか否かを場合分けして解説するだけの紙幅の余裕がありませんので、思い切って、大会社かつ公開会社であって、取締役会、監査役会、会計監査人を設置する株式会社を解説の対象としました。

前述しましたように、商法典の52条から500条までの文言も条文の番号も全面的に変えられて、全979条の「会社法」が成立しましたので、それ以前に株式会社法を勉強された方の多くは、新しい会社法について十分に理解できていないのが現状です。社会人として実務に携わっている方々にとっても、本書は、会社法及び平成26年改正会社法の下での株式会社の諸制度を理解するうえで、ハンディで、しかも要点を押さえた格好の入門書と言えます。なお、本文中の条文は、ことわりがない限り、会社法の条文です。

本書の公刊につきましては、原稿の完成を辛抱強く待って下さり、また、随所に的確なアドバイスをいただいた日本社経済新聞出版社日経文庫編集長の平井修一氏に心からのお礼を申しあげます。また、多くの適切な意見と斬新なアイデアを提供してくれた笹久保徹君に感謝の意を表します。

2014年11月
柴田 和史

柴田 和史 (著)
日本経済新聞出版 (2014/12/16)、出典:出版社HP

ビジュアル・図でわかる会社法
目次

第Ⅰ章 会社の種類と設立についての法律
1 会社法で定める会社とは
2 会社の種類
3 多様な株式会社
4 発起設立と募集設立
5 募集設立と創立総会
6 定款
7 相対的記載事項
8 発起人
9 株式の払込金額と資本金の額
10 預合・見せ金
11 会社財産の確保
●COFFEE BREAK 会社法の成り立ち

第Ⅱ章 株式と株主
12 株式
13 内容の異なる株式
14 種類株式①
15 種類株式②
16 株主名簿と株券
17 株式の譲渡と譲渡制限
18 株式の譲渡と株券
19 株式振替制度
20 自己株式の取得
21 株式の相続
22 単元株
23 株主
24 株主有限責任の原則
25 株主の権利行使と会社の利益供与
26 所在不明株主が有する株式の処分
●COFFEE BREAK 対価の柔軟化

第Ⅲ章 会社の機関:株主総会
27 公開会社である大会社の機関
28 株主総会の権限
29 株主総会の招集
30 株主総会の決議
31 議決権の行使方法
32 少数株主権
33 株主提案権
34 取締役等の説明義務
35 株主総会決議取消の訴え
36 決議無効確認の訴え・決議不存在確認の訴え
●COFFEE BREAK 社長と社員

第Ⅳ章 会社の機関:取締役、監査役
37 取締役・代表取締役
38 取締役会の権限
39 取締役会の決議等
40 取締役の資格
41 社外取締役・社外監査役
42 取締役の選任
43 取締役の終任
44 法令・定款・株主総会決議遵守義務
45 善管注意義務と経営判断の原則
46 取締役の忠実義務
47 利益相反取引
48 競業避止義務
49 取締役の報酬
50 ストック・オプション
51 取締役の会社に対する責任
52 取締役の第三者に対する責任
53 取締役の責任の一部免除
54 株主代表訴訟
55 執行役員
56 監査役と監査役会
57 監査役の権限
58 会計参与
59 会計監査人
60 指名委員会等設置会社と執行役
61 指名委員会等設置会社と3種の委員会
62 監査等委員会設置会社
●COFFEE BREAK コーポレート・ガバナンス

第Ⅴ章 資金調達、計算書類
63 資金調達
64 募集株式の発行
65 第三者割当増資
66 募集株式発行の差止
67 新株発行の無効・不存在
68 新株予約権
69 社債
70 新株予約権付社債
71 計算書類の作成と承認
72 計算書類の監査
73 貸借対照表
74 損益計算書
75 分配可能額
76 剰余金の違法配当
77 資本金の額等の減少
●COFFEE BREAK 刑事罰

第Ⅵ章 企業結合、解散・清算
78 合併総論
79 吸収合併
80 株式交換
81 株式移転
82 新設分割
83 吸収分割
84 事業譲渡
85 株式売渡請求制度
86 持株会社
87 親会社の債権者と株主の保護
88 多段階代表訴訟(多重代表訴訟)
89 子会社の債権者と少数株主の保護
90 解散・清算

柴田 和史 (著)
日本経済新聞出版 (2014/12/16)、出典:出版社HP

ここだけ押さえる! 会社法のきほん

全く会社法を知らない人でも読める

本書は、会社法を全く知らない方をも対象として、会社法の概要を知ることのできるものとなっています。条文の細かい知識等は省略し、制度趣旨や発想に重点を置いて解説することで、これから会社法を勉強する方でも会社法を概観できます。

神田秀樹 (著)
ナツメ社 (2017/2/17)、出典:出版社HP

はじめに

「会社法」は平成18年5月1日に施行された新しい法律です。そして、約10年の時を経て、平成26年に改正が行われました。会社法と聞くと、会社で働く人たちのことを定めた法律だと考えがちですね。しかし、働く人たちのことを定めているのは「労働法」で会社法ではありません。

では、会社法はなにを定めているのでしょう?それは、働く私たちにとって必要なことなのでしょうか?会社法は1000条にも及ぶ大法典で、条文を読むだけではわかりにくいものです。しかも、働くうえで必要がないのなら…。

いえいえ、会社法は会社で働くすべての人たちにとって、学んでおいて損のない法律です。知っておくことで、よりビジネスの知識を深めることができるのです。例えば、新たな事業に進出しようとしても「定款」に記載がなければその会社では事業展開ができないことなど、知らないでは済まされないこともあります。

本書は、会社法を理解したいと思っている学習者をはじめ、新入社員や会社の法務部門の人、そして企業の経営に携わる人など、会社法を必要とするすべての方々のために、なるべく法律用語を少なくして、わかりやすく解説しています。会社法の理解のお役に立てれば幸いです。

神田秀樹

神田秀樹 (著)
ナツメ社 (2017/2/17)、出典:出版社HP

目次

はじめに
導入マンガ

第1章 そもそも「会社」ってなに?
01 「会社」ってなんのこと?
02 「目的」がなければ会社じゃない
03 「会社法」は会社のための法律
04 「株式会社」ってなに?
05 「持分会社」ってなに?
06 「合名会社」と「合資会社」
07 「合同会社」ってなに?
08 「有限会社」はなくなったの?
09 会社には「商号」が必要
コラム 会社法の歴史と構造をみてみよう

第2章 会社を作るってどういうこと?
01 会社の「設立」とは?
02 会社の設立に必要なものは?
03 「定款」は、会社の憲法
04 「資本」ってなんのこと?
05 資本にはルールがある!
06 「準備金」ってなんのこと?
07 準備金のルールを知っておこう!
08 資本金と準備金の増減の仕組みとは?
09 設立時の費用は誰が負担する?
10 「現物出資」と「事後設立」ってなに?
コラム 「預合い」と「見せ金」とは?

第3章 会社を構成する「機関」ってなに?
01 会社の「機関」ってなに?
02 株式会社の機関を理解しよう
03 機関設計のポイント
04 「株主総会」ってなに?
05 株主総会の進行方法は?
06 特殊な株主総会とは?
07 会社の脅威「総会屋」とは
08 「取締役」と「代表取締役」
09 役員の責任を理解しよう!
10 「取締役会」の仕組みと機能
11 「執行役」と「代表執行役」
12 会社を監査する?「監査役」とは
13 「監査役会」の機能を押さえておこう
14 監査役の責任を理解しよう!
15 社外にもいるの?「社外取締役」とは
16 監査も社外から?「社外監査役」とは
17 「会計監査人」と「会計参与」とは
18 「指名委員会等設置会社」とは
19 「指名委員会」「報酬委員会」の役割
20 「監査委員会」の役割とは
21 「監査等委員会設置会社」とは
コラム 法改正後の機関設計のパターン

第4章 会社のお金って、どうなってるの?
01 会社の会計と株式
02 「計算書類」ってなにを計算してるの?
03 「決算」はなにをすればいい?
04 会社の資金調達の方法とは
05 資本金を減らす「減資」とは?
06 「配当」とは、株主に対するお礼?
07 配当をするときには注意が必要
08 株主の権利をまとめておこう
09 権利はどのように分配される?
10 新株予約権ってなに?
11 様々な種類の株式
12 2種類以上の株式を発行すると
13 株式の「併合」「分割」って?
14 自社の株を買うことができる?
15 株式を公開するメリットとは
16 「社債」は会社の借金
17 新株予約権が付く社債とは?
18 会社の情報を気軽に漏らすと…
19 少ない株式では意味がない?
20 「株主代表訴訟」で会社の不正に対抗
21 取締役等の報酬は誰が決める?
コラム 会社法では、会計基準を定めていない!?

第5章 会社のかたちが変わるって、どういうこと?
01 「M&A」ってなんのこと?
02 M&Aに必要な事前調査とは?
03 「事業譲渡」ってなんのこと?
04 子会社を譲渡するには?
05 「合併」ってなんのこと?
06 合併の手続きとは?
07 「会社分割」ってなに?
08 会社分割の手続き
09 特別決議なしでも組織再編できる?
10 「純粋持株会社」ってなに?
11 「株式交換」「株式移転」とは
12 「TOB」ってなんのこと?
13 「MBO」ってなんのこと?
14 敵対的買収とその防衛策①
15 敵対的買収とその防衛策②
16 会社分割や事業譲渡の規制とは
17 会社の終わりとは
18 会社の「倒産」とは
19 会社を「清算」する方法とは?
20 「民事再生」で会社を立て直す
21 裁判所が仕切る「会社更生手続」
22 法的手続によらない「私的整理」とは?
コラム 三角合併解禁は、黒船来襲か!?

第6章 これからの会社法
01 平成26年会社法改正のポイント
02 人ごとではないコンプライアンス
03 企業統治の必要性
04 大会社は内部統制システムが必須
05 会社法と金融商品取引法の関係
06 会社法の罰則を知っておこう
07 これからの会社法

インデックス

※本書中の「法○○条」は「会社法〇〇条」、「規則△△条」は「会社法施行規則△△条」、「計算□□条」は「会社計算規則□□条」をあらわしています

神田秀樹 (著)
ナツメ社 (2017/2/17)、出典:出版社HP

図解会社法のしくみ

会社法の仕組みを簡潔に

本書は、平成26年改正会社法を踏まえて、会社法全体のしくみを、その土台からわかりやすく簡潔に説明するものです。2ページ読み切り形式で図表をまじえながらわかりやすく解説しています。会社法を勉強する人から企業の法務部、新入社員といった実務で会社法を知りたい人まで、幅広い読者を対象としています。

中島 成 (著)
日本実業出版社 (2015/7/9)、出典:出版社HP

まえがき

改正会社法が平成26年6月20日に成立し、平成27年5月1日に施行されました。会社法が、平成17年6月29日に商法等から独立し新たな法律として制定されて以来、9年を経ての初めての大改正です。

この改正は、コーポレートガバナンス(会社統治)の強化、親子会社に対する規律の整備等を目的としたもので、大企業にも中小企業にも重要な影響を与える内容が多く含まれています。本書は、これら改正の内容を盛り込み、最新の会社法全体のしくみを、その土台からわかりやすく簡潔に説明するものです。

会社に関する法律は、商法等の時代から、技術的でとっつきにくい、細かくてわかりにくい、というイメージがつきまとっていました。そんな商法の全体的な分野について、わかりやすく著した『入門の法律 商法のしくみ』は、平成4年(1992年)の初版以来版を重ね、非常に多くの読者の方々に恵まれました。本書は、これを受け継いだ『図解でわかる会社法』を、今回の会社法改正に対応させたうえ、内容の見直しも加えて一新したものです。

本書が、企業のトップから、法務部門、新入社員まで、会社法を勉強しようとするあらゆる方々、さらに、条文の根拠をもって会社法の最新知識をまとめておきたいと思われる法律実務家の方々、これら会社法を必要とするすべての皆さんにとって、そのしくみを理解することに役立つことができれば、幸いです。

平成27年6月1日
弁護士 中島 成

※本書で示されている条文は、特に法律の名前が明記されていないかぎり、会社法の条
文を示しています。
※本書の内容は、2019年2月28日現在施行されている法令に基づいています。

中島 成 (著)
日本実業出版社 (2015/7/9)、出典:出版社HP

目次

まえがき

第1章 会社法とはどのようなものか
平成26年会社法改正の最重要ポイント
1 ◆会社法とはどのようなものか
企業活動を支える技術的な法

2 ◆平成26年会社法改正の最重要ポイント
コーポレートガバナンスの強化と親子会社関係ルールの整備

第2章 会社とは何か
コーポレートガバナンス、内部統制

3 ◆会社とは何か
会社には4種類ある

4 コンプライアンス(法令遵守)
リーガルリスクと社会信用リスクの回避

5 ◆コーポレートガバナンス
コーポレートガバナンスの議論とは

6 ◆会社の「目的」の範囲とは
会社が政治献金をすることに会社法上の問題はないか

7 ◆内部統制システム
会社法・会社法施行規則・日本版SOX法

8 ◆親子会社に関する規制
子会社を利用した親会社支配の歪曲化を防ぐ

9 ◆会社の商号に関するルール
類似商号が使われたらどうする?

10 ◆会社法上の犯罪
特別背任罪は10年以下の懲役で時効は7年

第3章 株式会社
第1節 株式会社の特徴
11 ◆株式会社の特徴
株式の制度&所有と経営の分離

12 ◆資本の制度は何のためにある?
資本の制度と剰余金分配規制で債権者保護を図る

第2節 株主と株式
13 ◆株主の権利と義務
自益権と共益権、単独株主権と少数株主権

14 ◆株主平等原則とはどんなもの?
多数派株主の株主権濫用から他の株主を守る

15 ◆株主優待制度は株主平等原則に反しないか
実質的にみて不平等が軽微であれば違反しない

16 ◆株主名簿は何のためにある?
議決権行使や利益配当などの基準となる

17 ◆種類株式とは(1)
配当や議決権などについて異なる内容の株式を発行できる

18 ◆種類株式とは(2)
拒否権付株式は敵対的買収への強力な対抗手段

19 ◆株式の譲渡制限
譲渡に会社の承認を要する株式

20 ◆株式譲渡承認請求の手続き
会社は請求から2週間以内に決定内容を通知する

21 ◆単元株
議決権行使に必要な株式の数は会社が定款で決める

22 ◆株券をなくしてしまったらどうする?
株券喪失登録制度がある

23 ◆自社株の取得・保有・処分
自社株の取得・保有・処分は原則として自由

24 ◆相続人に対する株式売渡請求
会社は相続人に譲渡制限株式の売渡しを請求できる

25 ◆少数株主の株式をすべて買い取る制度
新たなキャッシュアウト制度の創設

26 ◆ストック・オプション
付与対象者の限定はない

27 ◆インサイダー取引規制
証券取引の公正に対する投資家の信頼を守る

28 ◆株式の消却・併合・分割
自己株式の取得による財務指標改善、消却による市場評価向上

第3節 組織と運営
29 ◆株式会社の機関の種類(1)
株主総会、取締役、取締役会

30 ◆株式会社の機関の種類(2)
代表取締役、会計参与、監査役、監査役会

31 ◆株式会社の機関の種類(3)
執行役・代表執行役、委員会、会計監査人

32 ◆社外取締役・社外監査役
社外性要件の厳格化

33 ◆機関設計のポイント
定款で定めることで様々な機関設計が可能

34 ◆株主総会の意義と権限
基本方針を決める最高意思決定機関

35 ◆株主総会の招集手続きと決議方法
取締役会設置会社の場合

36 ◆取締役会を設置しない会社の株主総会
招集手続きの簡略化が可能

37 ◆会社関係手続きのIT化
eメールでの議決権行使も、貸借対照表のホームページ公告も可能

38 ◆種類株主総会とはどんなもの?
種類株主の意思決定が必要なときに開かれる

39 ◆株主総会決議取消しの訴え
決議の日から3か月以内の提起が必要

40 ◆株主総会決議の無効と不存在
決議取消しの場合と異なり主張方法に制約がない

41 ◆総会屋対策
最高意思決定機関である株主総会を守る

42 ◆取締役の役割、資格、人数、任期、選任・解任
株式譲渡制限会社では取締役の資格を株主に制限できる

43 ◆取締役、執行役の競業の制限、利益相反取引の制限
会社に忠実義務を負う取締役、執行役に対する規制

44 ◆取締役の報酬、賞与、退職金についての定め
お手盛りによる過大な報酬決定を防ぐために

45 ◆取締役等の第三者に対する責任
故意や重大な過失があるときに追及される

46 ◆代表取締役、代表執行役の専断
取締役会等の決議を経ないでした代表取締役、代表執行役の行為の効力

47 ◆表見代表取締役、表見代表執行役
代表権がない者の行為の効果が会社に及ぶとき

48 ◆取締役会の権限、招集手続きと決議の方法
書面またはeメール等で取締役会決議があったとみなせることも

49 ◆特別利害関係人
取締役会と株主総会では取扱いが異なる

50 ◆会計参与
中小企業の決算の正確性を増進する。損害賠償責任も負担

51 ◆監査役
会計監査と業務監査の双方を行うのが原則

52 ◆監査役会
大規模な会社の組織的監査

53 ◆会計監査人は会計のプロ
小規模会社でも設置できる

54 ◆指名委員会等設置会社とはどのような会社か
3つの委員会で経営の透明性を確保する

55 ◆指名委員会等設置会社の取締役、取締役会の役割
強い権限をもつため、取締役の任期は1年と短い

56 ◆指名委員会等設置会社の委員会(1)
指名委員会と報酬委員会の役割

57 ◆指名委員会等設置会社の委員会(2)
監査委員会の役割

58 ◆執行役、代表執行役
執行役は取締役でなくてもよい

59 ◆監査等委員会設置会社
新しい会社統治システムの創設

60 ◆役員等の会社に対する損害賠償責任
過失責任が原則だが、無過失責任の場合もある

61 ◆株主代表訴訟
株主が会社に代わって役員の責任を追及する

62 ◆多重代表訴訟
親会社の株主が子会社の役員に株主代表訴訟を起こせる

第4節 ファイナンス(資金調達)
63 ◆新株発行(1)
資金調達方法と新株発行手続き

64 ◆新株発行(2)
現物出資規制、デット・エクイティ・スワップ、新株発行の差止め

65 ◆支配株主を変更する新株発行と株主総会決議
公開会社でも新株発行に株主総会決議が必要とされる場合

66 ◆授権資本
機動的な資金調達と既存株主の地位確保のバランス

67 ◆新株予約権
資金調達にもストック・オプションにも利用できる

68 ◆社債(1)
社債にも大企業版と中小企業版がある

69 ◆社債(2)
機動的な社債発行、新株予約権付社債

70 ◆株式公開のメリット、非公開化のメリット
非公開化(ゴーイング・プライベート)を目指す会社も

第5節 決算と配当
71 ◆会計帳簿と計算書類
貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、個別注記表

72 ◆決算
臨時計算書類、連結計算書類もある

73 ◆資本、準備金
剰余金分配規制と相まって会社財産を維持する

74 ◆剰余金の分配規制
債権者保護の役割を担う剰余金分配規制

75 ◆違法な剰余金分配の責任
財源規制に違反して剰余金分配がなされたらどうなる?

76 ◆資本の減少、準備金の減少
株主総会の普通決議で減資できる場合も

第6節 組織再編とM&A
77 ◆M&Aとデュー・ディリジェンス
M&Aの目的と手段はさまざま

78 ◆合併とは
吸収の対価は自社株でも親会社株式でも金銭でもよい

79 ◆事業譲渡とは
合併とは異なるメリット・デメリット

80 ◆子会社株式の譲渡と親会社の株主総会決議
一定の子会社株式譲渡には親会社の株主総会特別決議が必要

81 ◆純粋持株会社、株式交換、株式移転
完全親子会社をつくる

82 ◆会社分割とはどのようなものか
事業譲渡を組織法的に行う

83 ◆簡易組織再編と略式組織再編
株主総会決議が不要となることも

84 ◆組織再編の差止め
会社の合併等を事前に差し止められる

85 ◆株式取得、TOB、MBO
会社の支配を獲得する

86 ◆敵対的買収に対する防衛策(1)
新株や新株予約権の発行

87 ◆敵対的買収に対する防衛策(2)
ポイズンピルと黄金株

88 ◆債権者を害する会社分割や事業譲渡に対する規制
濫用的会社分割への対抗策

第7節 設立・解散・清算
89 ◆株式会社のつくり方
定款作成、株式発行価額の払込み、設立登記

90 ◆現物出資・財産引受け・事後設立
目的財産の評価が問題になる

91 ◆設立費用
会社設立にかかった費用は誰が負担するか

92 ◆解散とはどのようなものか
会社を清算して法人格をなくすための出発点

93 ◆清算とはどのようなものか
通常清算と特別清算がある

第4章 持分会社、有限会社
94 ◆持分会社とはどのような会社か
合名会社、合資会社、合同会社の3つ

95 ◆合同会社の特徴(1)
社員は有限責任社員のみ

96 ◆合同会社の特徴(2)
設立、ガバナンス、利益配当、持分譲渡、退社、定款変更

97 ◆合名会社はどのような会社か
無限責任社員1人でも存続可能

98 ◆合資会社の特徴は
合名会社と合同会社の中間

99 ◆株式会社、持分会社の組織変更
すべての持分会社は株式会社に組織変更できる

100 ◆有限会社
現在でも整備法上の特例有限会社として存在する

索引

中島 成 (著)
日本実業出版社 (2015/7/9)、出典:出版社HP

会社法入門 新版 (岩波新書)

会社法の背景にある考え方を学ぶ

本書は、会社法の全体像について、基礎的なところから先端的なところまでをコンパクトにまとめたものです。条文の背景にある考え方、改正の背景といった概念的な説明がわかりやすく書かれており、入門書ではありますが、ある程度会社法を学んだ方が会社法の趣旨等の考え方を俯瞰するのに最適です。

神田 秀樹 (著)
出版社 : 岩波書店 (2015/7/23) 、出典:出版社HP

はじめに

「会社法」という新しい法律が二〇〇五年七月に公布され、二〇〇六年五月一日に施行された。本書の初版は、その施行の直前である二〇〇六年四月に刊行され、そこにおいて私は、この会社法が制定された背景と内容のポイントを解説した。その後九年を経て定着した会社法は、二〇一四年六月に施行後初めての一部改正が成立し、二〇一五年五月一日に施行された。さらに、上場会社向けに証券取引所が定めた「コーポレートがバナンス・コード」が二〇一五年六月一日に施行された。そこで、これらの動向を盛り込んで本書を改訂することとした。

会社法は会社の基本法と言われるが、私たち一般の市民にはなじみにくい法律である。それは、「会社」というと、普通は働く所だというイメージがまず浮かぶからではないかと思う。そして、会社で働くヒトは一般には「従業員」といい、働くことに関して規定している法律は、会社法ではなく、労働法という法律である。会社法には、従業員はほとんど登場しない。そこが会社法になじめないところであろう。では、会社法は何を定めているのか。条文を読むだけでは理解が難しい会社法について、この一冊で解説する。

本書の初版において、私は、日本の株式市場についての法制の改革を強調した。とくに、株式市場についての信頼の回復・確保が必要であり、法がそれをすべきことを述べた。公正さと透明さを法は守り抜かねばならない。具体的には、相場操縦やインサイダー取引その他の不公正な取引を法が厳しく監視・禁止し、受託者責任(業者が顧客に対して負う義務のこと)を厳しく問うなど、法がもっと前面に出る必要がある。アメリカのSEC(連邦証券取引委員会)のような強力な番人が必要であり、日本の証券取引等監視委員会(一九九二年設置)はその活動を一層強化する必要がある。このような条件を速やかに整え、他方では、新しい金融商品の開発や市場参加者の「正当な」活動を事前に制約するような規制は撤廃することが妥当であると述べた。

この点について、本書の初版刊行後の二〇〇六年六月に、株式市場を含めた資本市場分野の基本法である「証券取引法」という法律がその名称を「金融商品取引法」と改めて大改正され、二〇〇七年九月三〇日に施行されるに至った。しかもその後、金融商品取引法は二〇〇八年以降毎年一部改正され、二〇一五年にも一部改正がされた。この間、世界金融危機の発生(二〇〇七-〇九年)や東日本大震災(二〇一一年)など内外でさまざまなことが起きたが、法の整備という点では、金融商品取引法の毎年改正は起きるべきことが起きているというのが私の実感である。

そして、二〇〇五年会社法の施行後、二〇〇七年から上場会社向けに証券取引所が会社法に上乗せしたルールを制定し始めた。これも、株式市場についての信頼の回復・確保という流れのなかで起きるべくして起きた出来事である。それが原動力となって、二〇一四年の会社法改正が実現した。そして、二〇一五年に入ってコーポレートガバナンス・コードが制定された。

本書は、会社法の全体像について、基礎的なところから先端的なところまでをコンパクトに述べたものであり、構成は次のとおりである。

第1章では、二〇〇五年の「会社法」の歴史的背景と二〇一四年の改正について述べる。第2章から第4章までは、会社法の内容の概説である。これらの章では、最初の第1節でそのポイントを述べる。第5章は、近年の出来事や世界の潮流など、少し広い視点から会社法を眺めなおして、将来を展倒する。

会社法をまずざっと理解したい読者のみなさんには、第1章、第2章から第4章までの各第1節の部分、そして第5章を読むことをお薦めする。

神田 秀樹 (著)
出版社 : 岩波書店 (2015/7/23) 、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 「会社法」とは何か
1 世界に広がる「株式会社」
株式会社形態の普及/株式会社形態の特質/会社法って、何?/株式会社の特質と会社法の役割/制度間競争の時代/日本の会社形態

2 二〇〇五年の「会社法」制定
二つの偶然/商法改正小史/二〇〇一年以降の改正/議員立法と経済産業省の特別法/そして「会社法」制定へ

3 会社法の考え方
ファイナンス分野/ガバナンス分野/会計法制/ベンチャー企業育成など/会社法の条文配置

4 二〇一四年の会社法改正
二〇一四年会社法改正の経緯/改正の背景/国会での審議/二〇一四年改正の特徴

第2章 株式会社の機関
1 なぜ法は株式会社に機関を要求するのか
会社法のポイント/機関とは/会社法における機関設計/戦後の歴史/その他の改正/まとめ

2 株主総会とは何か
株主総会とは何か/株主総会の招集/株主総会での議決権/株主総会での議事と決議の方法

3 取締役・取締役会とは何か
取締役・取締役会と役目/取締役とは/社外取締役とは/社外取締役設置の奨励/社外取締役の役割は何か/取締役会とその権限(指名委員会等設置会社以外の株式会社)/モニタリング・モデルは採用されるか/取締役会の決議/代表取締役とは/取締役の義務―会社との関係での一般的な義務/取締役の善管注意義務/監視義務とリスク管理体制の構築義務

4 監査とは何か
監査役とは/監査役の権限/監査報告と調査権/監査役の義務/監査役の差止請求および会社代表/監査役会/会計監査人とは

5 監査等委員会設置会社
監査等委員会設置会社とは何か

6 指名委員会等設置会社
指名委員会等設置会社とは何か/業務監査制度のゆくえ

7 役員の責任と株主代表訴訟
役員等の会社に対する損害賠償責任/役員等の責任の免除と軽減/役員等の第三者に対する損害賠償責任/株主代表訴訟とは何か/多重代表訴訟とは何か/一九九〇年代以降の株主代表訴訟/会社の法令違反行為と取締役の責任/代表訴訟に関するその他の論点/株主による違法行為の差止め

第3章 株式会社の資金調達
l 利害調整法としての会社法
会社法による利害調整ルール/株主間の利害調整の必要性/会社情権者がある場合/株主の投下資本回収/株主と経営者との利害調整/まとめ――三つの場面の関係など

2 株式と資金調達
株式という不思議な仕組み/各種の資金調達手段/会社法のルールの必要性/授権株式割度/新株発行における既存株主と新たに株主となる者との利害調整/考えられるルール/日本の会社法のルール/有利発行/第三者割当て/有利発行がされた場合の効果/違法な株式発行/主要目的ルール/上場会社のエクイティ・ファイナンス

3 配当と自己株式の取得
むずかしい会社債権者保護/会社債権者保護のためのルールの二つの柱

4 「株式」という仕組み
株式とは何か/株主の義務/株主の権利/株式の内容/優先株式/種類株式の利用/株主の平等取扱い(株主平等の原則)/株主の地位(株式)の譲渡――株券という仕組み/株式の譲渡/株式譲渡の自由/株主の会社に対する権利行使

5 社債とは何か
社債とは/なぜ会社法は規定を置くのか/社債の発行

第4章 設立、組織再編、事業再生
1 株式会社を設立するには
変幻自在な会社/設立とは何か/発起設立と募集設立/最低資本金制度の廃止/定款の記載事項/株式発行事項の決定/設立時発行株式の引受け/設立時取締役・設立時監査役等の選任/全額出資ルール/失権ルール

2 自由度を増した組織再編
組織再編とは何か/会社法における改正/対価の柔軟化/よく行われるようになったMBO/特別支配株主の株式等売渡請求/三角合併/買収との関係/株主総会決議/簡易組織再編/略式組織再編/株式買取請求権制度と二〇一四年改正/効力発生/差止め/無効の訴え/会社分割における人的分割概念の廃止/詐害的な会社分割/敵対的企業買収

3 企業グループ法制
重要性を増す企業グループの法制/上から下/下から上

4 不良債権問題と事業再生
事業再生のポイント/全部取得条項付種類株式/デット・エクイティ・スワップ

第5章 会社法のゆくえ
1 コーポレートがバナンス・コードの衝撃
なぜ、金融商品取引法は毎年改正されるのか/東京証券取引所によるルール形成/金融審議会のスタディグループなど/第三者割当ての規制/独立役員制度/コーポレートガバナンス・コードの制定/制度は重層的で複雑だが

2 世界金融危機と金融商品取引法の毎年改正
世界金融危機の発生とその背景/格差の拡大/金融危機後のグローバルな議論/金融危機と会社法

3 企業活動のグローバル化と会社法
グローバル化時代の会社法改正の原動力/会社法のパラダイム

4 会社法はどこへいくのか
中小会社と会社法/会社にとっての会社法/会社法の将来

あとがき

神田 秀樹 (著)
出版社 : 岩波書店 (2015/7/23) 、出典:出版社HP

ベーシック会社法入門<第8版> (日経文庫)

効率よく会社法を学ぶ

本書は、会社法の全体像を把握する最短距離を目指す、より高度な考える学習への手がかりを提供することを目的としています。初学者が体系的に知識を消化しやすいように、また、各種試験に向けて会社法を勉強する人も効率的にポイントを押さえやすいように、全体の配列の工夫、索引の充実がされており、効率的に勉強できます。

宍戸 善一 (著)
日本経済新聞出版 (2020/4/9)、出典:出版社HP

まえがき

本書は1991年の初版以来,重要な会社法改正があるごとに改訂を行ってきました。この第8版も,2019年改正を反映させるとともに,全体を見直し,初版以来のフレームワークを維持しながら,日本企業,日本企業を取り巻く環境変化,および会社法学の進歩を取り入れるべく,改訂を行いました。

本書は,会社法の全体像を把握する最短距離を目指すとともに,より高度な考える学習への手がかりを提供しようとするものです。初学者が体系的に知識を消化しやすいように,また各種試験に向けて会社法を勉強しようとする人も効率的にポイントを押さえやすいように,全体の配列を工夫し,わかりにくい箇所の説明にはとくに留意しました。コラムでは,会社法学習に必須の専門用語の解説や最新の重要課題の紹介を行いました。読者の便宜を期し,索引も充実させました。

会社法は,会社という企業組織に関するルールを定めるものです。学生ベンチャーからトヨタ自動車に至るまで,大小様々な企業が,会社法の定めるルールに従って運営されています。そして,日々変化する企業を対象とする会社法も,それに応じた変化を遂げてきました。

わが国の会社法の起源は,1872年の国立銀行条例にあるといわれています。1899年に制定された商法典に会社法が入ってからでも,120年の歴史がありますが,その間,会社法ほど多くの改正が行われた法律は他に例がありません。最近では,1997年以来,急速に進んだ規制緩和改正の集大成ともいえる2005年会社法が,商法典から独立して制定されました。2014年には,コーポレート・ガバナンスや親子会社に関して,2019年にも,社外取締役や役員報酬・会社補償等に関して重要な改正がなされました。

会社法を理解する近道は,各条文の適用対象となる事象の具体的イメージをつかむことです。本書では,具体的なイメージから出発して法制度について考えることができるように工夫し,会社法のルールを単に解説するだけでなく,随所に会社システムについて考えるヒントを盛り込みました。また,より高度な学習への手がかりを提供するよう留意しながら,日々変化しつつある日本企業の姿を浮かび上がらせるよう努力しました。

会社法の定めるシステムは決して唯一自明のものではなく,未解決の課題を多く含んでいます。現実の日本企業の姿は,会社法のみによって作られたものではなく,企業を構成するヒト・モノ・カネの関係は,会社法,その他の関連諸法,各資源の背景にある市場の環境,さらには,企業が存在する社会の文化の影響を受けて,形成され,変化していくものです。新聞(とくに日本経済新聞)・雑誌等のメディアが提供する情報にも注意し,企業および会社法について考えるきっかけを探してみて下さい。

本書で引用した判例は,事件名に,『会社法判例百選[第3版]』(有斐閣)に載っているものはその判例番号を(たとえば,「八幡製鉄所政治献金事件(2)」のように),そうでないものには搭載判例集の頁を付しました。

初版以来,飯田秀総,岩倉正和,江口高顕,大崎貞和,大杉謙一,小出篤,田中亘,藤田友敬,宮島英昭,弥永真生,吉村一男,吉村政穂,渡辺徹也の各氏より有益なご意見をいただきました。第6版の改訂では,藤野洋氏,第7版および今回の改訂では,武田信宏氏に,校正等に関するご協力をいただきました。日経BP日本経済新聞出版本部の堀口祐介氏には,初版以来,筆者を温かく見守っていただきました。最後になりましたが,ここで皆様に厚く御礼申し上げます。

2020年4月
宍戸 善一

宍戸 善一 (著)
日本経済新聞出版 (2020/4/9)、出典:出版社HP

目次

プロローグ

第1章 企業活動と法
1 企業活動を営むための制度
(1) 会社以外の企業形態
(2) 法人格の取得を目指す
2 4種類の会社から選択する
(1) 合名会社―会社の名で取引する
(2) 合資会社―出資を募る
(3) 株式会社―より広く出資を募る
(4) 取締役会非設置会社―有限会社型株式会社
(5) 株式会社以外の有限責任企業形態―合同会社(LLC)と有限責任事業組合(LLP)
3 会社をめぐる利害関係人と関係諸法

第2章 株式会社とは
1 株式会社システムのデッサン
(1) 代表取締役,取締役会,株主総会(ヒトに着目した構造)
(2) 資産,負債,資本(モノとカネに着目した構造)
(3) 会社の支配構造と出資の関係
2 上場会社と非上場会社

第3章 株式会社の機関
1 機関の分化と意思決定
2 代表取締役の権限
3 取締役会と取締役
(1) 取締役会の役割
(2) 取締役の選任
(3) 取締役と会社との利益相反関係
(4) 取締役の責任と代表訴訟
4 経営をチェックするモニター
(1) 経営者に対するモニタリング
(2) 社外取締役・社外監査役(社外役員)の意義とその独立性
(3) 監査役の権限
(4) 会計参与
(5) 大会社の監査と会計監査人
5 機関設計の選択肢の拡大
(1) 指名委員会等設置会社
(2) 監査等委員会設置会社
6 株主総会と株主
(1) 株主総会の決議事項
(2) 株主総会の進め方
(3) 株主総会決議の瑕疵を争う訴訟
(4) 株主の権利義務と少数株主の保護

第4章 株式の役割
1 株式とは
(1) 出資と支配を結ぶもの
(2) 株式と資本金の関係
(3) 株式の分割・併合,株式無償割当
(4) 単元株制度
(5) 株式の種類
2 株式の譲渡
(1) 株式の譲渡・担保化
(2) 出資の回収と株式譲渡自由の例外
(3) 自己株式の取得・保有・処分
(4) 証券市場の整備と金融商品取引法

第5章 会社の資金調達手段
1 資金調達とは
(1) 資金調達の意義と貸借対照表
(2) 資金調達の形態
2 新株発行
(1) 新株発行(募集株式の発行等)の3つの方法
(2) 既存株主の利益の保護
(3) 新株予約権
3 社債の発行
(1) 社債の種類
(2) 社債発行に対する規制

第6章 損益の計算と分配
1 利益処分をめぐる利害対立と企業会計
2 貸借対照表と損益計算書
(1) 貸借対照表と損益計算書の関係
(2) 会計学と会社法の考え方の違い
3 株主への利益還元策
(1) 剰余金配当を行うには
(2) 日本企業の配当政策
4 損失の処理と倒産処理
(1) 欠損,債務超過,倒産
(2) 株主有限責任原則の修正

第7章 会社の組織変動
1 設立と解散
(1) 株式会社を設立するには
(2) 法人格の取得をめぐる問題
(3) 解散と清算手続き
2 組織再編
(1) 合併
(2) 事業譲渡
(3) 会社分割・分社
(4) 株式交換・株式交付・株式移転
(5) 親子会社法制
(6) キャッシュアウト (フリーズアウト)

索引

[COLUMN] 労務出資とスウェット・エクイティ
匿名組合
ベンチャー・キャピタルと投資事業有限責任組合(LPS)
株式相互持合いの解消と株式所有構造の変化
企業提携とジョイント・ベンチャー
コーポレート・ガバナンス
執行役員と執行役
マネージング・ボードとモニタリング・ボード
累積投票制度
役員報酬と経営者のインセンティブ
モニタリング・システム
総会屋と利益供与の禁止
株主の議決権の根拠とその動揺
譲渡制限株式の評価
内部統制システムとJ-SOX法
ベストプラクティス・コード
メインバンク制度とその変遷
敵対的企業買収と防衛策
ストック・オプションとリストリクテッド・ストック
複式簿記
IT化の会社法に与える影響
仮装払込の手口
開業準備行為
M&Aと株式公開買付(TOB)
株式買取請求権
企業グループと持株会社
組織再編税制の影響
親子上場
MBO(マネジメント・バイアウト)

宍戸 善一 (著)
日本経済新聞出版 (2020/4/9)、出典:出版社HP

プロローグ

会社はビジネス・システムの主役です。現代の多くの経済活動は,会社内で行われる生産と会社間で行われる取引の組み合わせからなっています。会社法は,効率的な会社組織作りと,会社をめぐる人々の対立する利害の調整を受け持つ法です。

経済社会の急速な変化に伴い会社法も改正を繰り返してきましたが,まだまだ問題点は残っています。本書では,現代の経済社会の中で最も重要な役割を果たしている株式会社を中心に,会社法に定められた理論的なシステムと会社の実態を比べ,「法と現実」のくい違いに触れながら法理論を概説します。

ひとことでいえば,会社はヒト・モノ・カネの組み合わせです。会社は法的な人格を与えられ,あたかも普通の人間のように法にもとづいた生活を営むことができますが,現実に会社を動かすのは生身の人間(ヒト)です。また,会社が生産活動を営むためには生産設備や原材料(モノ)が不可欠であり,それらの生産要素(ヒトやモノ)を調達するには資金(カネ)が必要です。

企業活動は,資金(カネ)を事業に投下して(モノに換える),回収する(カネに戻す)サイクルの繰り返しですから,どこから資金を調達するか,企業活動より生じた果実をどのように分配するのか,資金の提供(出資)と会社の支配をどのように関連付けるのかなどは会社組織に関する根本的な問題点です。会社支配権の取得は,気に入った経営者を選出できるということであり,ひいては,会社財産の処分権限を取得することを意味します。実際に会社の経営を行う経営者はどのような義務を負っているのか,経営者をどのように監督したらよいのかも会社法上の重要な課題です。

オーソドックスな会社法の教科書は,会社法の定めた設立,株式,機関,新株発行,計算…….という順に従って説明します。本書は,読者に会社法の全体像をより早く理解していただくために,あえて,会社法の順番にとらわれない構成をとりました。

まず第1章では,「学生企業家」A君をモデルに,わが国において選択可能な8つの企業形態のそれぞれの特徴を説明し,さらに一般的に,会社をめぐる利害関係人としてどのような人々が登場するか,そのうちのどの利害対立の調整が会社法の役割であり,その他の関係については,どのような法が担当するかを明らかにします。

第2章では,各パートの細かい説明に入る前に,株式会社システムの全体像のデッサンを提示します。そして,そのような法的なシステムと会社の実態とが必ずしもかみ合っていないという問題点を指摘するため,上場会社と非上場会社という「2つの種類」の株式会社の存在に触れます。

第3章では,株式会社システムを実際に動かすために必要な会社の機関について述べます。株式会社は,「機関の分化」を重要な特徴としています。わかりやすく説明するために,従来の説明の順番とは逆にピラミッド構造の上から,代表取締役,取締役会および監査役,株主総会の順に解説します。ここでは株式会社のヒトの要素を考えます。

第4章では,株主による出資と会社支配とをつなぐ役割を果たしている株式という概念について考えます。また,株式と有価証券制度との関係,および上場会社法の一部を構成していると考えられる金融商品取引法についても簡単に触れます。

第5章では,わが国企業の資金調達行動の特徴を示しながら株式会社が有する資金調達の手段と,それぞれの選択肢の問題点を解説します。会社の支配や,経営陣に対するモニタリングなどの問題にも触れますが,基本的に株式会社のカネの要素について説明します。

第6章では,企業活動の果実をどのように確定し,分配するかという,利益処分ないし損失処理をめぐる利害対立の調整を扱います。損失処理との関連で,倒産処理法および有限責任原則の修正についても触れます。第6章の中心は,会社法を勉強する際に最大の難所とされる計算に関する部分ですが,その理解のカギとなる点について簡潔に説き明かすように努めました。

最後に第7章では,会社の組織自体の変動を取り扱います。会社の生(設立)と死(解放)および融合(合併)と分裂(分割)などについて説明します。

■全体の流れとポイント

1. 企業活動と法
1. 8つの企業形態のうち,会社には,合名会社,合資会社,株式会社,合同会社があります。会社とは,資金を調達して運用し,利益を追求する社団法人です。
2. 会社をめぐって利害が対立する人々の間を調整するために,会社法をはじめ,様々な法があります。

2. 株式会社とは
1. ヒト・モノ・カネの3つの要素から,おおまかに説明します。
◆ヒトとは,代表取締役,取締役(会),株主(総会)などをさします。
◆モノとカネとは,会社の資産,負債,資本をさし,貸借対照表に簡明に表現されます。
◆株主の出資は株式を買うという形で行われ,その権利には議決権も含まれ,経営陣を選べる支配権につながります。
2. 株式会社法は,上場会社を念頭に置いて作られたものと,非上場会社を念頭に置いて作られたものに分けられます。

3. 株式会社の機関
1. 株式会社は,代表取締役,取締役会,監査役,株主総会などの各機関によって権限を分担し,統一のとれた経営を行います。
2. 取締役会によって取締役の中から選任される代表取締役の行為は,会社の行為とみなされます。
3. 取締役会は,重要な業務執行について決定し,代表取締役を選任・監督します。
4. 会計・業務を監督する監査役のほか,大会社では外部の専門家による会計監査が必要です。
5. 株主総会は取締役を選任する会社の最高意思決定機関ですが,万能の機関ではありません。
6. 監査役に代えて社外取締役による監督を目指す指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社が導入されました。

4. 株式の役割
1. 株式とは,誰でも簡単に会社に出資できるように,株主(出資者)の地位を何千万株にも均一に細分化・単位化したものです。
◆株主総会において,1株は1票となり,資本多数決の原則により取締役を選任します。
◆債権者にとってあてにできるのは会社財産だけなので,資本金に相当する財産から株主に配当することはできません。
◆一般的な株式を普通株といい,ほかに利益配当や議決権などに関して内容の異なった株式を発行できます。
2. 株式の譲渡によって出資を回収します。
◆株主が出資を回収する手段を確保するために株式譲渡自由の原則がありますが,法律や定款によって制限されることがあります。
◆健全・活発な証券市場を保つために,情報開示による投資家の保護を第一目的とした金融商品取引法があります。

5. 会社の資金調達手段
1. 会社の資金調達の方法は,他人資本(銀行借入,社債発行)と自己資本(新株発行,内部資金)による調達に大別されます。社債発行と新株発行は取締役会で決定されます。外部資金は直接金融(社債発行,新株発行証券がらみ)と間接金融(銀行・生保からの借入)にも分類できます。
2. 社債は会社が債券の発行によって負担する債務です。普通社債,転換社債,ワラント社債があります。
3.新株発行とは,会社の成立後に株式を発行することです。株主割当増資,公募増資,第三者割当増資があります。

6. 損益の計算と分配
1. 会社法の計算の規定は,剰余金配当をめぐる債権者と株主の間の利害対立を調整することを主たる目的としています。
2. 貸借対照表は決算日における会社の財務状況を静止画像で捉えたものであり,損益計算書は1年間(営業年度)の収益と費用を一覧表にまとめた会社の成績表です。
3. 株主に対する分配可能額は,貸借対照表にもとづいて算出されます。
4. 債務超過など,会社が倒産状況に陥った場合は,破産手続きや会社更生手続きなどに移行します。

7. 会社の組織変動
1. 株式会社の設立は発起人が中心に行います。定款の作成,社員の確定(出資の確保)機関の選任を経て,設立登記を行うと会社が誕生(法人格の取得)します。
2. 会社は,合併によって組織を大きくしたり,分割によって組織を細かく分けることもできます。

宍戸 善一 (著)
日本経済新聞出版 (2020/4/9)、出典:出版社HP

国家試験受験のためのよくわかる会社法(第7版)

会社法の幹を理解する

本書は、具体的設例を通して制度の内容を徹底的にわかりやすく解説しています。行政書士試験、司法書士試験、公認会計士試験等の受験者を対象としており、各講の末尾には各種試験の過去問や練習問題が収録されているため、力試しをしながら読み進めることができます。

神余 博史 (著)
自由国民社 (2019/9/20)、出典:出版社HP

はしがき

平成18年5月より施行された会社法には,1000条近くに及ぶ膨大な条文があり,しかも細かな手続的事項が網の目のごとく規定されています。当然のことながら,これらの条文の内容を正確に理解し,試験で使える知識として定着させるためには,多大な労力と努力を必要とします。そのためもあってか,会社法が試験科目の1つとされている行政書士試験司法書士試験,公認会計士試験等の合格を目指されている方々のなかでも,「自分は会社法が得意だ」という自信を持たれている方は少ないように見受けられます。しかし,圧倒的なボリュームを持つ会社法も,その制度の内容を骨太に理解し,そこに細かな事項を枝葉として位置づけていけば,案外スムーズに学習を進めることも可能です。

本書では,味気ない条文内容の羅列を避け,具体的設例を通して制度の内容を徹底的にわかりやすく解説するとともに,アップツーデートなトピックスも随所に取り入れ,初学者や独学者の方でも興味を持って会社法の学習に取り組むことができるよう配慮してあります。試験合格のための王道は,興味を持って,真正面から試験勉強に取り組むことではないでしょうか。断片的な知識や受験テクニックにばかり目を奪われていては,結局,試験に合格できるだけの「底力」は身につきません。必要かつ十分な内容を持った解説書をていねいに読み込んで理解を深め,多数の過去問に当たって知識を研ぎ澄ませる,というオーソドックスな学習を積み重ねることが合格通知を手にする最も有効な方法といえるでしょう。

本書は,民法,憲法,行政法に続く「よくわかるシリーズ」の第4作目として執筆したものです。本書の今回の改訂に当たっては,平成29年度民法改正および平成30年度商法改正と重なり,これらの改正に即した形で関連する記述を書き改めるとともに,よりスムーズな理解を得られるよう,設立と株式の記述の順序を入れ替える等の工夫を施しました。これによって,従前よりもさらに読み易く改善できたものと考えています。

手前味噌になりますが,本シリーズが多数の読者の好評を得ることができたのは,「難解な法律科目を具体的設例を通して徹底的にわかりやすく解説する」というコンセプトが支持された結果と考えています。本シリーズが,今後も司法書士試験や行政書士試験をはじめとする各種国家試験合格のためのよきナビゲーターとしての役割を果たしていくことを願ってやみません。

令和元年8月
神余博史

本書の特色

① 各頁の記述を2段組にし,本文では,会社法・商法を理解するための「幹」となる部分をていねいに解説し,多少細かい事項であっても本文を理解するのに有益な事項,必須の法律用語などは右の段に記述してあります。まず,「幹」をしっかり把握したうえで,関連する知識を習得してください。

② 会社法・商法全体を効率的に理解できるよう,会社法・商法の体系的な配列にこだわらず,記述を最も適切と思われる位置に配置しました。これによって,論点相互の関係を関連づけて理解でき,効率的な学習が可能になるでしょう。

③ 各講の末尾に,行政書士試験,司法書士試験,公認会計士試験に出題された過去問および練習問題を収録してあります。単元終了ごとに力試しをしてみてください。間違えた問題は,解説および本文の記述に戻って確認しましょう。その反復継続により実力は必ず向上します。

神余 博史 (著)
自由国民社 (2019/9/20)、出典:出版社HP

目次

第1章 会社法の基礎
1 会社法とはどんな法律?
1 会社とは?
(1)会社は法人である (2)会社は社団である (3)会社は営利を目的とする

2 会社に対する法規制

3 会社の種類
(1)株式会社 (2)合名会社 (3)合資会社 (4)合同会社

4 商号
(1)商号単一の原則 (2)商号選定の自由とその制限 (3)商号の登記 (4)商号の譲渡 (5)名板貸人の責任

5 商業登記
(1)意義 (2)商業登記の効力

第2章 株式会社の基本的仕組みと株式および株主
2 株式会社の基本的な仕組み
1 株式と株主の有限責任
(1)株式 (2)株主の間接有限責任

2 所有と経営の分離

3 株式と株主の権利
1 株式

2 株主
(1)株主の権利 (2)株主の平等取扱い

3 株式の内容と種類
(1)株式全部の内容についての特別の定め (2)種類株式

4 株式の譲渡と株主名簿・株式担保・自己株式等
1 株式の譲渡
(1)意義 (2)株式譲渡自由の原則 (3)株式譲渡の制限 (4)株式譲渡の方法とその対抗要件

2 株主名簿
(1)意義 (2)株主名簿の名義書換 (3)基準日

3 株式担保
(1)意義 (2)株式の質入れ

4 自己の株式の取得
(1)意義 (2)自己の株式の取得が許容される場合 (3)株主との合意による取得 (4)自己株式の消却・処分

5 株式の併合・分割・無償割当
(1)株式の併合 (2)株式の分割 (3)株式無償割当

6 単元株式
(1)意義 (2)単元株制度の導入 (3)単元未満株主の保護

5 株式会社の資金調達―募集株式の発行・社債等
1 株式会社の外部資金調達手段―自己資本と他人資本

2 募集株式の発行等
(1)募集事項の決定 (2)募集株式の申込み・割当・引受 (3)出資の履行 (4)出資にかかる責任 (5)違法な募集株式の発行に対する救済

3 新株予約権
(1)意義 (2)新株予約権の発行手続 (3)新株予約権の行使 (4)違法な新株予約権の発行に対する救済

4 社債
(1)株式と社債の差異 (2)社債の発行 (3)社債権者の権利 (4)社債管理者 (5)社債権者集会

第3章 株式会社の機関
6 株式会社の機関設置の枠組み
1 株式会社の機関の意義

2 株式会社の機関の種類と機関の設計
(1)株式会社の機関の種類 (2)株式会社の機関設計の基本的枠組み (3)会社の類型別の機関設計

7 株主総会
1 株主総会の意義と権限

2 株主総会の招集
(1)株主総会の種類と招集時期 (2)招集の決定 (3)招集通知

3 株主総会の議事と議題・議案
(1)株主総会の議事 (2)株主総会の議題・議案 (3)株主提案権

4 株主の議決権
(1)議決権の意義―一株一議決権の原則とその例外 (2)議決権の行使方法

5 株主総会の決議
(1)普通決議 (2)特別決議 (3)特殊決議

6 株主総会決議の瑕疵
(1)決議取消しの訴え (2)決議無効確認の訴え (3)決議不存在確認の訴え

8 取締役・取締役会および代表取締役,使用人
1 株式会社の業務執行機関

2 取締役
(1)取締役の資格とその選任・員数・任期 (2)取締役の終任 (3)取締役の解任 (4)取締役の地位と権限 (5)取締役の義務

3 指名委員会等設置会社でない会社の取締役会
(1)意義 (2)取締役会の権限 (3)取締役会の運営

4 代表取締役
(1)意義 (2)代表取締役の選定および終任 (3)代表取締役の権限 (4)表見代表取締役

5 会計参与
(1)意義と権限 (2)会計参与の資格・選任

6 使用人
(1)意義 (2)役員と使用人の法律上の地位の差異 (3)支配人 (4)ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人 (5)物品の販売等を目的とする店舗の使用人

9 株式会社の監査機関と役員等の責任
1 監査機関の意義

2 監査役
(1)意義 (2)監査役の資格・選任・任期 (3)監査役の終任 (4)監査役の職務と権限

3 監査役会
(1)意義 (2)監査役会の構成と職務 (3)監査役会の招集・決議・議事録

4 会計監査人
(1)意義 (2)会計監査人の選任・解任・任期 (3)会計監査人の権限

5 役員等の責任
(1)任務解散に基づく会社に対する損害賠償責任 (2)株主代表訴訟―株主による責任追及等の訴え (3)任務解念に基づく第三者に対する損害賠償責任

10 指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社
1 指名委員会等設置会社の仕組み

2 指名委員会等設置会社の取締役および取締役会
(1)取締役 (2)取締役会

3 委員会
(1)委員の選定・解職 (2)各委員会の職務と権限 (3)委員会の運営

4 執行役
(1)地位と権限 (2)資格・選任・任期・解任 (3)執行役の義務と責任

5 代表執行役
(1)意義 (2)選任・解任 (3)権限 (4)表見代表執行役

6 監査等委員会設置会社
(1)意義 (2)監査等委員会

第4章 株式会社の計算・剰余金の配当
11 株式会社の計算・剰余金の配当
1 株式会社の計算
(1)会計帳簿 (2)計算書類

2 資本金と準備金
(1)意義 (2)資本金および準備金

3 剰余金
(1)意義 (2)剰余金の配当

第5章 株式会社の設立・組織再編
12 株式会社の設立
1 設立の意義

2 株式会社設立の第一歩
(1)発起人による定款作成と公証人の認証 (2)定款の記載事項

3 発起設立と募集設立
(1)発起設立の手続 (2)募集設立の手続

4 設立に関する責任
(1)会社が成立した場合の責任 (2)会社不成立の場合の責任

5 設立無効と会社の不存在
(1)株式会社の設立無効 (2)会社の不存在

13 組織再編・解散および清算
1 組織変更
(1)意義 (2)手続

2 合併
(1)意義 (2)手続

3 会社分割
(1)意義 (2)手続

4 株式交換および株式移転
(1)意義 (2)手続

5 解散および清算
(1)意義 (2)解散事由 (3)清算

第6章 持分会社・特例有限会社
14 持分会社・特例有限会社
1 持分会社の設立
(1)定款の作成 (2)出資 (3)成立

2 社員の地位
(1)社員の責任 (2)社員の加入と退社 (3)持分の譲渡 (4)利益配当

3 業務執行社員の権限および義務と責任
(1)業務執行および会社代表 (2)業務執行社員の義務と責任

4 特例有限会社
(1)意義 (2)特例有限会社に関する主な規制

第7章 商人と商行為
15 商人と商行為

1 商法の適用範囲
(1)商人―固有の商人と擬制商人 (2)商行為

2 民法と商法の関係
(1)商行為の代理(商事代理) (2)商行為による契約の成立 (3)債務の履行場所 (4)多数当事者の債権関係 (5)報酬請求権 (6)流質契約 (7)商人間の留置権(商事留置権)

3 さまざまな商行為
(1)商事売買―商人間の売買の特則 (2)仲立営業 (3)問屋営業 (4)運送営業 (5)場屋営業

用語索引

神余 博史 (著)
自由国民社 (2019/9/20)、出典:出版社HP

図解で早わかり 改正法対応! 最新 会社法のしくみと手続き

令和元年改正法を学ぶ

本書は、会社法の基本原則や理解するために不可欠な基本と関連知識を網羅し、会社法の基本かつ重要な事項をわかりやすく解説しています。また、社外取締役の設置義務、株式交付制度、役員等損害賠償責任保険、電子提供制度などを定めた令和元年改正にも対応しており、改正法の勉強にも役立てることができます。

森 公任 (監修), 森元 みのり (監修)
三修社 (2020/3/20)、出典:出版社HP

はじめに

会社について規定している法律もさまざまですが、中でも基本となる重要な法律が会社法です。会社法は、会社の設立・組織・運営・管理について、根幹となる事項を定めた法律です。会社経営者や役員はもちろんのこと、投資家(株主)、従業員、取引関係者(債権者)、起業を検討している人にとって、会社法の中身を理解しておくことは、とても大切なことだといえるでしょう。

会社の設立や運営をめぐっては、さまざまな問題が発生します。株主、経営者、役員などの組織内部の者と会社との関係だけでなく、取引先など会社外部の者と会社との関係も問題になります。

とくに、経営者が気をつけなければいけないのが、法令遵守(コンプライアンス)の考え方です。会社は営利追求を目的として活動していますが、法令遵守に対する意識をおろそかにしたために不祥事が生じ、その不祥事が会社の経営危機を招くこともあります。このような企業の不祥事について、会社法は、企業経営の監視・監督機能の強化など、コーポレート・ガバナンス(企業統治)の強化などを目的とする改正を行ってきました。令和元年の会社法改正においても、社会経済情勢の変化をふまえ、コーポレート・ガバナンスの強化などを目的とした改正が行われています。

本書は、会社法の基本、かつ重要な事項をわかりやすく解説することをねらいとしています。また、社外取締役の設置義務化や株式交付制度、役員等賠償責任保険、電子提供制度の創設などを定めた2019年成立の会社法改正に対応しています。

本書を皆様のお役に立てていただければ、監修者としてこれに勝る喜びはありません。

監修者 弁護士 森公任 弁護士 森元みのり

森 公任 (監修), 森元 みのり (監修)
三修社 (2020/3/20)、出典:出版社HP

CONTENTS

はじめに

PART1 改正法に対応!会社法の全体像
1 会社法とは
2 令和元年改正の概要
3 会社の種類と責任
4 取締役会を設置する会社と設置しない会社
5 公開会社と非公開会社
6 機関のしくみ
Column 外国会社と擬似外国会社

PART2 設立手続き
1 発起人と会社設立
2 株式会社の設立手続き
3 定款の作成
4 定款の認証
5 変態設立事項
6 出資金の払込みと手続き
7 役員の選任と登記申請書類の作成
8 会社設立に関わる責任
Column DESについて

PART3 株式をめぐる法律知識
1 株式と株式事務
2 株式等振替制度
3 株主平等原則と種類株式
4 株主の権利と義務
5 株式譲渡自由の原則と制限
6 譲渡制限株式の譲渡
7 株主名簿
8 自己株式の取得
9 キャッシュ・アウトと特別支配株主の株式等売渡請求
10 全部取得条項付種類株式の取得手続き
11 株式の併合
12 株式の消却・分割・無償割当
13 単元株制度
14 株式公開買付制度
15 親会社と子会社の関係
Column コンプライアンス

PART4 株主総会のしくみ
1 株主総会の開催手続き
2 株主総会の運営
3 株主総会の決議についてのルール
4 計算書類の承認と総会後の事務
5 株主総会の議事録の作成手順
Column 議題と議案

PART5 取締役の職務と責任
1 取締役の職務
2 取締役の資格・選任
3 取締役の人数・任期
4 取締役の辞任・解任
5 取締役の報酬
6 取締役の義務
7 取締役の会社に対する責任
8 取締役の会社に対する責任の免除・軽減
9 競業取引・競業避止義務
10 利益相反取引
11 第三者に対する責任
12 補償契約と役員等賠償責任保険
13 内部統制システムの整備
14 取締役に課せられる罰則
Column 粉飾決算ってどんなこと?

PART6 取締役会とその他の役員の業務と責任
1 取締役会
2 取締役会の招集手続き
3 取締役会の権限
4 取締役に対する監視義務
5 取締役会の決議と議事録の作成
6 代表取締役
7 代表取締役の権限と責任
8 監査機関による是正
9 監査役の権限・責任
10 監査役会
11 会計参与
12 会計監査人
13 指名委員会等設置会社
14 監査等委員会設置会社
15 社外取締役・社外監査役
16 一時取締役と職務代行者
Column 内部告発と公益通報者保護制度

PART7 会社の計算と新株発行・社債のしくみ
1 決算手続きと計算書類
2 資本金・準備金・会計帳簿
3 財源規制
4 会社の資金調達方法
5 新株発行のしくみと手続き
6 新株予約権
7 社債
8 社債管理者等・社債権者集会
Column ストック・オプション

PART8 組織再編と解散・清算のしくみ
1 組織再編とM&A
2 合併
3 事業譲渡
4 会社分割
5 株式交換
6 株式移転
7 株式交付
8 定款の変更
9 会社の組織変更
10 株式会社の解散
11 株式会社の清算
Column 法人格否認の法理

PART9 株主代表訴訟・商業登記・その他の制度
1 株主総会決議の瑕疵
2 反対株主の権利
3 株主代表訴訟
4 多重代表訴訟と旧株主による責任追及訴訟
5 商業登記

森 公任 (監修), 森元 みのり (監修)
三修社 (2020/3/20)、出典:出版社HP

図解ポケット 最新会社法がよくわかる本(第2版)

図解で会社法の骨格を理解する

本書は、会社法について全く知識のない一般の方でもすぐ理解できるよう、法令の細かい部分や例外部分は省略し、基本的な骨格部分のみをできるだけ平易・簡潔に解説しています。イラストや図表を多く取り入れ、仕組みや概念、各種手続きの流れをわかりやすく解説しています。

遠藤 誠 (著)
秀和システム (2020/6/27)、出典:出版社HP

はじめに

会社法は、ビジネスの基本に位置付けられる法律です。日本のビジネスマンや法律を学ぶ学生のみならず、一般の方であっても、会社法についての最低限の知識を持っていなければ、いざ会社に関する法律問題に直面したときに、適切に対処することはできません。そのため、できるだけ多くの方々が、会社法について理解し、知識を得ておくことが望まれます。

しかし、会社法の条文そのものは非常にわかりにくく、解説書も難解なものが多いのが現実です。そこで、本書は、会社法についてまったく知識のない一般の方でもすぐ理解していただけるように、法令の条文番号の引用や細かい部分・例外的な部分は省略して、基本的な骨格部分のみをできるだけ平易・簡潔に解説しました。また、イラストや図表を多く取り入れて、仕組みや概念をビジュアルに示し、わかりやすさを重視して、本書を作成しました。

なお、本書は、平成26年6月20日に改正された会社法を対象としていますが、その後、法務省令(会社法施行規制及び会社計算規則)の改正が行われたことから、内容および表現を見直し、近年の新たな情報も追加しました。

本書が、皆様の会社法の理解に少しでも役に立つことを願ってやみません。

2018年11月 弁護士 遠藤誠

遠藤 誠 (著)
秀和システム (2020/6/27)、出典:出版社HP

本書の仕組み

CONTENTS

はじめに
本書の仕組み

1 会社の基本的なしくみ
1-1 「会社」とは?
1-2 「会社法」と「商法」は違うもの?
1-3 会社の種類は?
1-4 持分会社とは?
1-5 株式会社とは?
1-6 会社の分類
コラム 商号を決定する際の注意点

2 株式会社を設立しよう
2-1 設立手続はどのように行えばよいか
2-2 設立段階における行為の法律関係
コラム 会社設立に問題があった場合の責任はどうなる?

3 株式および株主について理解しよう
3-1 株式とは?
3-2 株主とは?
3-3 利益供与は禁止されている
3-4 株主代表訴訟による役員等の責任追及
3-5 株式譲渡は原則として自由
3-6 株主名簿は何のためにある?
3-7 株式の内容および種類の様々なタイプ

4 株式会社の機関を設計しよう
4-1 株式会社の機関設計はかなり自由にできる
4-2 株主総会とは?
4-3 株主総会の議事運営と決議はどのように行えばよいか
4-4 取締役、取締役会、代表取締役とは?
4-5 監査役、監査役会、会計監査人とは?
4-6 指名委員会等設置会社とは?
4-7 監査等委員会設置会社とは?

5 株式会社の資金調達について理解しよう
5-1 募集株式の発行とは?
5-2 新株予約権とは?
5-3 社債とは?
コラム 第三者に対する有利発行

6 剰余金を配当しよう
6-1 株式会社の計算とは?
6-2 剰余金の配当はどのように行えばよいか

7 組織再編など
7-1 合併とは
7-2 会社分割とは
7-3 事業譲渡
7-4 株式交換・株式移転とは
7-5 解散・清算とは
コラム キャッシュアウト

定款のサンプル
索引

遠藤 誠 (著)
秀和システム (2020/6/27)、出典:出版社HP