空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか? ドローンを制する者は、世界を制す

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ドローンが変える社会はどうなるか

本書は、2016年に出版されたドローンの将来性について解説している本です。ドローンは社会、産業を大きく変えるとされているため、ドローンの覇権争いは激しく、中国や米国の企業は現在も開発競争を続けています。著者は、プレイヤーである企業に直接インタビューし、ドローンの将来性について聞き出しています。

はじめに

2015年、ドローンは突然、世間の注目を浴びた

「未来が見えていた」人たちが成功する

おそらく本書は、巷にあふれるドローン(Drone)本とは少しばかり異なる。今日、スマートフォンが何であるのかを事細かに語るのがバカらしいのと同じで、ドローンが何なのかを詳細まで語るような本ではない。
また本書は、見方によっては、ドローンに魅せられ、この数年間で総額1000万円を超える数十台の機体を購入した男の悲哀の物語とも言える。本書のタイトルを『アイ・ラブ・ドローン!』にしようか、真剣に迷ったほどだ。
まず話は、今から四半世紀近く前にさかのぼる。

1994年夏、僕はフロリダのディズニー・ワールドにいた。その年は、学生時代から毎年参加しているアメリカコンピュータ学会のCG分科会(通称SIGGRAPH)の総会がオーランドで開催されていて、昼の学会とは違う挑戦的なプレゼンテーションが、夜な夜なディズニー・ワールドで行われていた。例えば、人工ビーチに巨大なグラフィック・スーパーコンピュータを並べて生成したリアルタイム高解像度テレビゲームや、その中に登場するディズニーキャラクターとVRゴーグルをかけながら踊る拡張現実アプリケーションなど、夜は夜で楽しい数日間だった。
そこで僕は、とても興味深い実験を目にした。それは「ビデオ・オン・デマンド」と呼ばれるもので、将来、高速ネットワークが各家庭に入ると、ビデオレンタル店に行かなくてもクリックひとつで家のモニターに見たい映画を瞬時に映し出すことができる、というものだった。
当時はまだインターネット黎明期で、グーグルやYahoo!どころかITという言葉すらもなく、大手企業が自社サイトを立ち上げるはるか前の時代で、WEBサイトそのものを見たこともない人がほとんどだった。
そんな時代に画期的な実験を主催したタイム・ワーナーは、映像だけでなく、音楽も書籍も「リアルなストア」にわざわざ出向いて購入したりレンタルする必要がなくなる、と参加者に説明していた。しかし、旅先で一緒になった日本のジャーナリストが、「これは国土が広いアメリカでの話で、日本は国土が小さく、女性が夜中でもひとりでレンタルビデオ店に出かけられるほど安全なので、普及しないな」と話していたのをよく覚えている。

さて、それからおよそ四半世紀後の今日。現実はどうだろう?誰もが家にいながら、ネットワークを通じて映像を購入もしくはレンタルし、同様に音楽や書籍も家にいながら入手できる時代になった。いや、正確には「家」ではなく「どこでも」だが。もしかしたら、本書をそのようにして入手した読者も多いのではないだろうか。
前出のジャーナリストとは違い、1994年当時にタイム・ワーナーがフロリダで数カ月行った実験を見て、「未来」を感じた者は大勢いた。高速ネットワークが各家庭を網羅し、家にいながら次々と映像を楽しめる「未来が見えていた」人たちが、今、多くのサービスを手がけて、ビジネスとして成功しているのは、言うまでもない。

2012年夏にドローンと出会い再び“懐かしい未来”を感じた

時は、2012年の夏に戻る。その夏、僕はシーズン中ずっと、イビサでDJをして過ごした。
イビサは地中海に浮かぶスペインの島で、世界中のダンスミュージックの聖地として、長年知られている場所だ。そのイビサ島にある、ギネスブックにも載る世界最大のクラブで、毎週木曜日の深夜2時半からが僕の担当だった。
この「イビサの夏」は、毎年増える観光客に合わせて少しずつ広がり、今では6月第2週から10月第2週までの4カ月間を「夏」と呼んでいる。その間、僕はずっとイビサにいるわけで、確かに楽しいが、夜な夜な1万人を超える酔っ払い相手は次第に気疲れし、そこで何か息抜きが必要だと考えた。
もちろん、イビサの楽しみはクラブだけではない。地中海のビーチは美しく、おいしいレストランもいっぱいある。だが、イビサ中のビーチを全部回って、すべてのおいしいレストランにも行き、週1度のレギュラーDJと、ゲストで他のクラブでプレイするDJと、そして友人のパーティに遊びに行く日々を考えると、週に5日は明け方まで仕事に私事にと大暴れしていることになる。だから、僕は今までとはまったく違う息抜きをしたくなっていた。
また、イビサといえば、先端を行くイメージと重なって聞こえはいいが、地元の友人たちとは「ここはバナナ共和国だから」と言って、インフラの遅れや品物不足に嘆きながら、いつも笑っていたものだ。必要なケーブルやプラグなどの仕事道具は、月に1度、飛行機で40分ほどのバルセロナまで買い出しに出向き、わざわざ仕入れなければならないほどだった。
バルセロナの空港から街までは、AeroBusと呼ばれる空港バスが便利で、街の中心地であるカタルーニャ広場まで安価でアクセスできる。帰りも同じようにカタルーニャ広場から空港までこのバスを利用するのだが、出発地のカタルーニャ広場にはバルセロナ唯一のデパート「エル・コルテ・イングレス」があって、「バナナ共和国」に戻る前にはいつも、ここで最後の買い物をしながら出発までの時間調整をしていた。上階には「バナナ共和国」にはない大きな家電コーナーがあって、外づけハードディスクからMacの周辺機器まで、ひと通りのものはここで購入が可能だった。

ある日、その家電コーナーの隅に、少しだけ変わった形のものを見つけた。それが、iPhoneで操縦して飛ばせるカメラ付きドローン、フランスのパロット(Parrot)の「AR・Drone2.0」だった。
前モデルであるカメラなしの機体を友人が持っていて飛ばしたことがあるが、まあ、おもちゃだと思った。楽しいには違いないが、そこまで楽しくもなかった。しかし、そのときの僕には、なぜかこのドローンが光って見えたのだ。
何となく予感はあった。イビサでの退屈しのぎのためだけでなく、何かを感じた僕は、気がつくとその大きな商品を抱えてレジに向かっていた。イビサで時間を持て余していた僕は、島に戻るやいなや、エージェントが借りてくれたアパートからわずか5分の場所にある夕日が美しいビーチへ、早速ドローンを持って出かけた。
初めてのフライトはそれなりに緊張するもので、その上思った通りにはなかなか飛ばない。だから楽しいとも思うし、イライラもする。
そして、見事に飛んだときの感じは、おそらくライト兄弟が世界初の有人飛行に成功したときの感動に近いであろうものがあった。とにかくうれしかった。そして、今までにない「新しい何か」を、この安普請のおもちゃに感じていた。
しかしその後、おもちゃ、市販機、自作機、業務機と、わずか3年半で20機を超えるドローンを手に入れるとは思わなかった。予算にしておよそ1000万円強。最高機種は300万円を超え、もはや自動車を買える値段である。ちなみに、今の僕は自動車を1台も所有していない。

今まで、かなりの大金をテクノロジーに貢いできた自負がある。この数年間のドローンに限らず、過去には1台数億円する画像処理専用のスーパーコンピュータから、指2本程度の大きさの世界最小スマートフォンまで、最新のテクノロジーが詰め込まれた逸品には目がない。使ってみなければテクノロジーはわからない、というのを言い訳に、また同時に、多額の勉強代を長く支払ってきただけあって、それなりにモノを見極める目も養われてきた(はずだ)。
だから、今、目の前にあるデバイスの可能性を、スペックではなく直感的に嗅ぎ分けられる力はそれなりにある(と信じて疑わない)。そして、久しぶりに「ドローン」に、懐かしい未来を感じたのだ。その懐かしさは、ネットワークが家庭に映画や音楽を運ぶ可能性を実感したあのとき、僕が四半世紀も前の1994年、フロリダのディズニー・ワールドで感じたものと同じだった。

インターネットは現実空間へ拡張していく時代に入る

現在、ドローンには大きな可能性があると、多くの識者は言う。空撮から農業、リアルな対戦ゲームやスピードレース、そして建築に兵器と、それなりのわかりやすい可能性があるのは確かだ。
中でも、アマゾンが提案した未来ビジョン映像「アマゾン・プレミア」の反響は大きい。デジタル化できないもの、例えば古書やスニーカー、そして薬まで、ドローンが各家庭にモノを運んでくる「それなりに現実的な未来」は、ただ興奮するだけでなく、コストの面からも納得がいく。
アマゾンは、ひとつの配送に高コストをかける企業として知られている。そして、そのコストの5分の1は不在配達にかかっている。日本の大手宅配便も同じように、不在配達率はおよそ5分の1。すなわち、人手をかけてわざわざ家まで運んでも、5回に1回は不在で再配達が必要になるということだ。集荷センターや集配センターなどのロジスティックスのハブは先鋭化したが、各人の家だけは非効率化がどうしても解消できない。英語で言う「ラストワンマイル(最後の1マイル)」こそ、最もコストがかかるのだ。
もし、このコストがロボティクスによって無人化するならば、企業にとって莫大な利益が見込めることになる。なにしろ、20%近い無駄を省けるからだ。
すでに、シンガポール郵便局はドローン配送の実験を開始し、スイス国営郵便事業会社は、山岳地帯の配送にドローンを実際に使用している。
こうなると、ドローンによる新しいネットワークは「現実社会のインターネット」になる。今から10年ほど前に出した自著『ヤバいぜっ! デジタル日本』(集英社新書)に記したように、2016年前後には、デジタルだけで完結するサービスは大きな進化を望めなくなる。
その後は、UberやAirbnbといった「現実空間へ拡張していくインターネット」が中心となるだろう。それを広義にIoT(モノのインターネット化)やインダストリー4.0とさまざまな名前で呼んでいるだけで、すべては現実空間へ拡張していくインターネットのことである。
また、この機に便乗するように、日本でも多くの人々がドローン業界に急速に集結しているように見える。だが、僕が冷静に見る限り、問題は、日本の技術ではなく、ドローン産業に関わる人材にある。ドローンを知らない企業や自治体から暴利を貪り、補助金漬けで金に目がくらむドローン・エンジニアやベンダー(売り手)が後を絶たない。
この様相は、3DCGがもてはやされた、かつての日本のコンピュータ・グラフィックス業界と似ている。ご存知のように、そのあげく、国産CGコンテンツの未来はほぼ潰えることになってしまった。
この歴史を教訓に、ドローンは同じ轍を踏んではならない。だが、日本のドローン業界で著名な大学教授の話を聞いても、できたばかりのドローン・ベンチャーと仕事をしても、補助金や目先の金に目がくらんでいてまともな仕事をすることができない。これは、この1年ほど、彼らと共に仕事をしてきた僕の実感である。この「良くない懐かしさ」は、かつての日本のCG業界と本当によく似ている。

ドローンは大きくふたつに分けて考える

今度は、ドローンをサービスの点から見ることにしよう。僕は、現在のドローンを取り巻く環境は、パーソナルコンピュータや3DCGのそれに似ていると、これまでにも何度か書いてきた。ドローン黎明期である今は、コンピュータ産業の黎明期とも似ていると思えてならない。そのように考えているのは僕だけではなく、米国版『WIRED(ワイアード)』の編集長だったクリス・アンダーソンをはじめ、多くの「歴史を見てきた者」たちも同じだ。そしてドローンは、現在の情報産業の延長上に位置することも間違いない。
ドローンは大きくふたつに分けて考えるべきだと僕は考えている。
ひとつは「インターネットの延長線上にないドローン」。つまりは、今、多くの人が空撮などに使っているものだ。そして、もうひとつ、これから社会を大きく揺るがすのは「インターネットの延長線上にあるドローン」である。どういうことかだって?詳しくは、これから本書で説明していくとして、現在のドローンを取り巻く環境は、時代で言えば1993年のインターネットの状況と似ていると感じる。まだ、Yahoo!もグーグルもアマゾンもない時代だ。ウィンドウズ95すらなかった。
だから、「インターネットの延長線上にあるドローン」と言っても、まだ多くの人たちはイメージできないだろう。Yahoo!もグーグルもアマゾンもないインターネットの世界で、インターネットをどのように使ったらいいのか、ほとんどの人がイメージできないのと同じだ。その当時、最も利用されていたのは電子メールで、これと同じことが今、ドローンでも起きている。前述したように、シンガポールやスイス国営郵便事業会社はすでにドローンによる配達を始めているのだ。
だから、今後はドローン界隈から、新たなYahoo!やグーグルが出てくる、と考えるのが正しい。だがいったい、それはどのような企業で、どのような姿なのだろうか?
僕はそれを「現実世界のサーチエンジン」と呼ぶ。インターネットではクローリング(検索ロボットを使った情報収集)により、あらゆるデータを蓄積して再構築する企業が王者だ。それは、アップルでもマイクロソフトでもない。
多くの人たちは、見た目重視ゆえ、iPhoneなど「目に見えるもの」に心を奪われるが、実際のインターネットにおける勝者は、「目に見えないもの」を主に扱う企業だ。それがグーグル。今日、グーグルは世界のサーバーの10%以上を保有し、インターネット上に点在する情報の90%以上にアクセス可能で、それらを再構築することができる。

カリフォルニア大学バークレー校名誉教授(経済学)で、現在はグーグル社チーフ・エコノミストのハル・ヴァリアンは「文明の幕開けから2003年までの情報をすべて合わせても、5エクサバイト(500京バイト)の情報しかなかった。ところが今は、同じ量を2日で蓄積している」と語っている。
すなわち、わずか数年で世界は一変し、考えられないことが次々と起こることになる。そして、今までの覇者はグーグルだが、もし今後数年以内に、「現実世界のサーチエンジン」を提供する企業が登場すれば、世界は再び一変することになる。

ドローンによって、インターネットは重力に挑戦する

テクノロジーの進歩によって、今後3年間に起きる革命は「RNG」と呼ばれている。R=ロボット、N=ナノテクノロジー、G=遺伝子工学である。これらを分子とすれば、その分母になるのが、AI=人工知能だ。
その予測タイムスケジュールは10年刻みで、2015年から2024年がロボット革命、2025年から2034年がナノテクノロジー革命、そして2035年から2044年が遺伝子工学革命で、さらに2045年には人工知能の進化とともに「シンギュラリティ」が起きる、と言われている。このシンギュラリティとは、グーグルのAI開発責任者であるレイ・カーツワイルが提唱する、技術的特異点のことだ。
2045年にこのシンギュラリティを迎えると、テクノロジーは全人類の知能を超えて、これ以降は、テクノロジーがテクノロジーを開発し始めることになる。これを不気味だと考える人もいるかもしれない。だが、もし今から3年前に、すべての人々のポケットにGPS受信機が入っている未来がやってくる、と話したら、同じように「不気味な未来」だと感じたのではないだろうか?
2045年のシンギュラリティ=技術的特異点にそう感じるのも、正しい“現在”の、人類の感情だ。だからその未来は、やがてやってくるのだろう。正しい未来は、現在から見れば単なる「バラ色」ではなく、「不気味なバラ色」なのだ。

その先駆けとなる、これから10年かけて起きるロボット革命の中心的存在が、「インターネットの延長線上にあるドローン」である。その可能性は、今のインターネット業界の認識をはるかに凌駕するものと考えられる。なぜなら、この世には、デジタル化できないもののほうが圧倒的に多いからで、それらが移動し動くために、物理的なネットワークが必要となるのだ。
そして今、インターネットは、重力に挑戦する。これが、ドローンの可能性だ。
その可能性を探るため、世界的なドローン産業の先人たちに会いに行ってみることにした。わからないことがあれば、出向いて話を聞くのがいい。これは、どんなときでも僕の基本的なスタンスである。

アメリカには、前述した米国版『ワイアード』元編集長で、『ロングテール「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』や『フリー〈無料〉からお金を生みだす新戦略』『MAKERS 21世紀の産業革命が始まる』などの名著で知られるクリス・アンダーソンが率いる「3Dロボティクス」がある。一方、中国では、世界のドローン市場の約7割を握っている「DJI」が、恐ろしいほどの勢いで成長中だ。この2社に、独自の道を行くフランスの「パロット」を含めた3社が、ドローン業界で激しい争いを展開している。だから、3DロボティクスのCEOクリス・アンダーソン氏、DJIの会長・李洋湘(Zexiang Li)氏、パロットのCEOアンリ・セドゥ氏にお会いして、自らの目で未来の可能性を確かめることにした。

こうして、僕のドローンを巡る旅は始まった。
この産業の背後には、膨大な数の部品メーカーや研究機関が控えている。カメラやセンサーなどの分野で高い技術力を誇る日本企業も、こうした枠組みの中で高等な戦略を練っている(と、信じたい)。
また、ドローン業界を通して世界を見ることで、これからの社会のあり方や、アメリカと中国の覇権争いの行方がぼんやり浮かび上がるのではないだろうか。これは、まだ僕の直感的仮説にすぎない。
ただし、冷戦以降、世界で最も大きな「静かなる大戦」が行われている米中サイバーウォーの次に来るのは、ロボット大戦、それももしかしたらドローン大戦になるかもしれない。これは、決して映画の中の出来事ではないし、現実を直視すれば可能性を否定することは誰にもできない。それは、10年後から15年後の現実の話である。そして、その中で日本がどのようなポジションになっていくのか、この旅を通じて、おぼろげながらもわかることがあるのではないだろうか、と考えている。

本書のタイトルは、『空飛ぶロボットは黒猫の夢を見るか?』にした。映画『ブレードランナー』の原作として知られる、フィリップ・K・ディックの傑作SF『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』への僕なりのオマージュである。この作品が、第3次世界大戦後の世界に突如としてやってきた人型アンドロイドの人間に対する複雑な想いを描いているのに対して、今、眼前に突如として現れた「空飛ぶロボット」ドローンは、もしかすると宅配便ドライバーを複雑な想いで見ているのではないか、と考えたのだ。

ドローンは、あらゆる意味で世界を変える。そして、ドローンを制するものが次の世界を制する可能性が極めて高い。それは、かつてのグーグルがそうであったように。その限りない可能性を前に、われわれはどう考え、どう動くべきなのか。本書がその糸口になれば、これ以上の喜びはない。

2016年1月 ラスベガスにて 高城剛

目次

はじめに
2015年、ドローンは突然、世間の注目を浴びた
「未来が見えていた」人たちが成功する
2012年夏にドローンと出会い、再び「懐かしい未来、を感じた
インターネットは現実空間へ拡張していく時代に入る
ドローンは大きくふたつに分けて考える
ドローンによって、インターネットは重力に挑戦する

第1章 ドローンの現状
ドローンとは何なのか?
無人操縦できる小型航空機、ドローン
ラジコンヘリとの違いは「自律性」にある
デジカメや写メの普及が写真撮影の楽しさを広めた
空からの撮影はドローンの楽しみのひとつ
ドローンは「空飛ぶスマホ」
10年前、現在のスマートフォンの普及を予測した人はどれだけいた?
iPhoneの失敗を予想した人は多かった
自動車の登場に「恐れ」を感じた19世紀の話
自動車やスマートフォン同様、ドローンの普及も決して止められない
ドローン・コミュニティ
「インターネットの延長線上にあるドローン」とは?
ドローンは大きくふたつに分けられる
人が介在しないほうが安全性が高く、安価になる
地上61~122メートルのブルーオーシャン
ドローンが「ラストワンマイル問題」を解決する
すでにスタートした、ドローンを使った配達テスト
地上61~122メートルは最後のフロンティア
リスクと利権のことを考えてみよう
農村部や建設業界での期待値

第2章 ドローンと世界3大メーカー
クリス・アンダーソンという人物
IT業界で最も強い発言力を持つジャーナリスト
最強ジャーナリストがドローン会社の経営者に
アメリカ・3Dロボティクスの挑戦
アメリカドローン産業の中心地、バークレー
クリス・アンダーソンとの対話
大学研究室のような雰囲気のバークレーオフィス
メキシコ・ティフアナの工場を見学
最新ドローン「Solo」とGoPro
機能を追加・拡張できるドローン「Solo」
3DロボティクスとGoProの決別
ドローン市場の一7割を押さえる、中国DJI
創業10年弱で起業価値1兆円超えを達成
DJIをトップに引き上げた傑作「Phantom」
独自路線を選んだDJI
チャイニーズ・シリコンバレーの勢い
巨大なテクノロジー地帯「珠江デルタ」
昔の秋葉原をはるかに超える規模の電気街
街中に「ものづくりの文化」があふれている
全中国の頭脳が中国版シリコンバレーに集結
中国のスピードと「博才感」
ハードとソフトの両輪で進められるか?
ものづくりの力を失ったアメリカ
ハードウェアを「アップデート」する中国
中国はハードとソフトの両輪で進む
第三勢力、フランスのパロット
通信機メーカーからドローン企業に
パロットCEO・セドゥ氏インタビュー
資金や技術でなく「鳥」を語る企業

第3章 ドローンと日本
日本におけるドローン法制の整備
ドローン落下事件などを受けて法整備が進む
将来は免許制導入の可能性も
ドローン特区は日本で実現するのか?
ドローンに関する実証実験が盛んに
沖縄・下地島は「ドローン特区」になる?
DJIのドローンは「準日本機」
日本製の部品が各社のドローンを支えている
プロデュース能力を失ったソニー
「国産ドローン」は、実現不可能な目標なのか?
スマホ業界と同様に、日本製ドローンのシェア拡大は難題
米中には、技術者を生み出す素地がある
ロボティクス研究への投資額が少なすぎる現実
他国に比べて低い日本の労働効率

第4章 ドローンの未来
ドローン革命の日まで、あと5年?
世界中の才能を集めつつあるドローン業界
ドローンが日常に溶け込む日が、あと数年でやってくる
話題の「モノのインターネット」とは?
次は、インターネットがモノの世界に広がる
現実世界のサーチエンジン
ドローンで変わるのはどんな業界か?
危険な場所での点検作業や農業などへの活用
災害時の状況分析や、報道などにも有功活用できる
ドローンがもたらす予想もつかない未来
クリス・アンダーソンは言い切った。「ドローンは箱にすぎない」
ドローンを支えるインフラの整備
IT革命の次に来るのは「ドローン革命」
ドローンを制した国が覇権国家の地位につく
アメリカと中国、それぞれの企業の強みと弱み
ハードとソフトは本来ひとつのもの
日本に残されたふたつの道、アメリカか、中国か?
米中の争いは、中国が圧倒的に優位
ソフトに弱い日本はどちらに舵を取るべきか?

おわりに

ドローンを墜落させないための最低限の知識
まず電子コンパスの仕組みを理解しよう
ドローンのGPSの特性を理解しよう
バッテリー残量と気圧、気温の関係を理解しよう
ドローンで変わった僕のライフスタイル