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お金の流れで学ぶ
本書は、世界史を数珠つなぎのように一つのストーリーにして解説した『一度読んだら絶対に忘れない世界史』の続編である経済編です。経済に焦点を当てて世界史を学ぶことで歴史の“ヨコ”のつながりを学ぶことができるので、前書で学んだ“タテ”のつながりと絡めることで世界史への理解を一層深めることができます。
はじめに お金の流れから読む世界史のストーリー
2018年の春、私はYouTubeチャンネル「Historia Mundi」で配信して、る動画授業「世界史20話プロジェクト」のエッセンスを詰め込んだ「一彦読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』を出版しました。
内容は、ヨーロッパ、中東、インド、中国という4つの地域を「主役」にして、年号を用いずに古代から現代までを「1つのストーリー」で読み解いた歴史入門書です。
年代や地域がめまぐるしく変わる一般的な教科書と比べて、「とてもわかりやすい!」という評価をいただき、おかげさまでベストセラーになりました。
そして、今回、『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』の続編と「して、「経済編」を出版することになりました。
文化史、宗教史など、世界史には数多くのテーマがありますが、その中から、なぜ最初に「経済」を取り上げたのかといえば、それは、「お金」や「モノ」の流れを知ることによって、“ヨコ”の視点を持つことができるからです。
世界史は「地域ごとにどのような歴史をたどったのか」という“タテ”のつながりという視点と、「同じ時代の東西に、どのような歴史的なかかわりがあったのか」という“ヨコ”のつながりという視点、その双方の視点
で眺めることによって、理解をより深めることができるのです。
“タテ”の視点とは、古代から現代までをできるだけ一直線にして読み野いた第1弾の世界史本のことです。
一方の“ヨコ”の視点とは、「同時代の各地域の“つながり”に着目した世界史」ということになります。
世界全体を人間の身体に置き換えると、「お金」というのは血液にあたります。血液が様々な器官をめぐり、結びつけているように、お金も世界の様々な地域をめぐり、結びつけていきます。また、血液の流れが滞ると病気になるように、お金の流れが滞ることによって、大規模な戦争がおこることもあるのです。
そのため、“血液の循環”である経済活動(お金の流れ)にスポットをあてると、各地域の“つながり”をより鮮明に浮かび上がらせることができます。
本書で解説する「ヨコの世界史」の特徴を具体的に申し上げると、以下の3つになります。
① 古代から現代までを10の時代で区切り、各地域の同時代の“つながり”をストーリーで読み解く
② ストーリーの「主役」は、「お金の流れ」
③ 年号を使わない
本書は、第1弾を読んでくださった方々にとっては、「ヨコの視点で読む世界史」ですが、この本から読む方にとっても、「お金の流れで読み解く世界史」として、十分楽しんでいただくことができる内容になっています。|第1弾と同じく、「年号を使っていない歴史の本なんて……」と思う方がいるかもしれませんが、本書を一読すると、経済を背景とした事件や国家の「つながり」や「因果関係」が際立ち、より、ストーリーに集中できることがご理解していただけると思います。
本書が、さらに歴史を楽しく学びたい、教養をさらに深めたいという方々の少しでもお役に立てば幸いです。
山﨑圭一
目次
はじめに
お金の流れから読む世界史のストーリー
ホームルーム①
世界史の視点には「タテ」と「ヨコ」がある!
ホームルーム②
世界史は「お金の流れ」で学べ!
ホームルーム③
本書の構成について
第1章 貨幣の誕生 古代オリエント・ギリシア・殷王朝(先史~紀元前4世紀)
第1章 古代オリエント・ギリシア・殷王朝あらすじ
古代オリエントの経済
農耕・牧畜が始まり、「経済の歴史」が始まる
硬貨の誕生
オリエントから始まった「貨幣」の長い歴史
ギリシアの経済
貨幣経済を大きく発展させたギリシア世界
アレクサンドロスの帝国
アレクサンドロスが広めたギリシアの貨幣
中国の貨幣の起源貝をお金として使っていた殷王朝
第2章 結ばれる古代帝国 ローマ帝国・秦・漢王朝(紀元前3世紀~3世紀)
第2章 ローマ帝国・秦・漢王朝あらすじ
ローマの成長と経済
ギリシアの貨幣経済を取り込み成長するローマ
地中海の覇権を握ったローマ
次第に「帝国」へと姿を変えたローマ
ローマの衰退
ローマの拡大が止まり、衰退が始まる
パルティアとササン朝
交易ルートを押さえたイランの王朝
クシャーナ朝とサータヴァーハナ朝
陸上交易・海上交易で栄えた2つの王朝
古代の東南アジア
海の道の「交差点」となった東南アジア
春秋戦国時代・秦漢王朝の経済
中国でも硬貨の歴史が始まった
第3章 イスラームとインド洋 イスラームの誕生と隋・唐王朝(4世紀~10世紀)
第3章 イスラームの誕生と隋・唐王朝あらすじ
中世ヨーロッパの経済
西ヨーロッパの混乱とビザンツ帝国の繁栄
イスラームの成立
巨大宗教は経済的な理由から成立した
アッバース朝時代のイスラーム
世界経済の中心となったイスラーム世界
アッバース朝・唐の時代の東南アジアト
ムスリム商人と中国商人が出会った東南アジア
隋・唐時代の経済
その後の中国経済に大きな影響を与えた隋・唐
草原の道とソグド商人
草原を結ぶもうひとつの「東西の道」
古代日本の経済
日本でも貨幣の歴史が始まった
第4章 進む貨幣経済 商業ルネサンスとモンゴル帝国(11世紀~14世紀)
第4章 商業ルネサンスとモンゴル帝国あらすじ
十字軍とその後のヨーロッパ
貨幣経済が復活し都市が発展した中世盛期
中世後期の農村
貨幣経済の浸透により変わる領主と農奴の関係
アイユーブ朝・マムルーク朝の経済
カイロがイスラーム経済の中心へ
宋王朝の経済
世界最古の紙幣が誕生した宋王朝
元王朝の経済
世界を結びつけるチンギス=ハンの子孫たち
平安後期から鎌倉時代の日本経済
日本の最大の輸入品は「銅銭」だった
第5章 世界をかけめぐる銀 大航海時代と明王朝(15世紀~16世紀)
第5章 大航海時代と明王朝あらすじ
イタリア商人とルネサンス
ルネサンスの「スポンサー」になった大富豪
大航海時代①ポルトガル
香辛料を求めてアジアに向かうポルトガル
大航海時代②スペイン
新大陸に到達し、スペインの飛躍が始まる
大航海時代③商業革命と生活革命
大航海時代で変わる人々の暮らし
宗教改革と経済
宗教改革が「経済の変化」も生んだ
中東・イラン・イントの王朝
繁栄を迎えたアジアの3王朝
明王朝の経済
大航海時代よりも前に起きていた明の「大航海」
鎌倉後期・室町時代の日本経済
鎌倉・室町と進む貨幣経済
世界をかけめぐる銀①ヨーロッパの「価格革命」
「カネ」と「モノ」の関係が大きく変化した
世界をかけめぐる銀②封建制の崩壊
変わる支配者たちの「立ち位置」
世界をかけめぐる銀③東ヨーロッパの農場領主制
銀をほしがる東ヨーロッパ世界の動き
世界をかけめぐる銀④マニラ=アカプルコ貿易
マニラを「結び目」にして世界がつながる
世界をかけめぐる銀⑤「海賊」たちの世紀
大航海時代は「大海賊の時代」だった
世界をかけめぐる銀⑥明の社会と銀
南から北へ、明王朝を流れる銀
世界をかけめぐる銀⑦日本の銀生産
経済史上に名を残す「銀の島」日本
世界をかけめぐる銀⑧スペインの覇権
世界の銀を手にした「太陽の沈まぬ帝国」
第6章 覇権国家の交代 オランダ・イギリスの繁栄と大西洋革命(17・18世紀)
第6章 オランダ・イギリスの繁栄と大西洋革命あらすじ
重商主義のはじまり
国をあげてお金を「稼ぐ」時代が始まった
オランダの商業覇権
世界の貿易を支配した「商売人国家」オランダ
イギリスの商業覇権
商業覇権国家イギリスの誕生
国債、保険、証券取引所
イギリスで発達した「お金」の様々な技術や制度
フランス・ドイツ・ロシアなどの経済政策
イギリスに追随したヨーロッパ各国の「事情」
奴隷貿易・三角貿易
大西洋を行き交う「黒い積荷」「白い積荷」
斜陽のオスマン帝国
銀の流入とともに始まったオスマン帝国の「斜陽」
斜陽のムガル帝国
様々な勢力が交錯し、弱体化したムガル帝国
清王朝の経済
安定した清王朝前半の統治と経済
江戸時代の日本
貿易相手を絞り込んだ江戸初期の日本
産業革命
世界の構造を変えた技術革新
アメリカ独立革命
イギリスの「重商主義」に植民地が団結した
フランス革命
「所有権の不可侵」をうたった革命の理念
第7章 拡大する「帝国」 産業の発展と帝国主義(19世紀)
第7章 産業の発展と帝国主義あらすじ
産業革命の広がり
次々と帝国主義に名乗りを上げた国々
ラテンアメリカの独立
次々に起きたもうひとつの「アメリカ」の独立
鉄道網の発展
「鉄の時代」の到来を告げた「鉄道の時代」
国際金本位制の形成
切断され、結びつけられる金と紙幣の関係
イギリスの自由主義改革
「規制緩和」を要求した資本家たち
ヴィクトリア時代
大英帝国は「世界の工場」から「世界の銀行」へ
帝国主義のフランス
イギリスを追った帝国主義のフランス
ドイツとロシア
独自の政策で力をつけるドイツとロシア
アメリカ南北戦争
アメリカが乗り越えた大きな課題
帝国主義の構造
絶え間ない「販路の拡大」を求めた資本主義国
労働問題と社会主義
経済発展の裏で発生した社会の矛盾
オスマン帝国の衰退
決定的となったオスマン帝国の衰退
インド帝国の成立
イギリスが直接支配した「最重要植民地」
清の衰退
アヘン戦争から始まった清の没落
明治維新
帝国主義時代の世界に漕ぎ出した日本
アフリカ分割
瞬く間にアフリカは列強に分割された
東南アジアの植民地化
東南アジアはタイを除いて列強の植民地に
ラテンアメリカと太平洋
経済的な従属が深まるラテンアメリカと太平洋
移民の時代
カネ・モノだけでなくヒトも大きく移動した
ベル・エポック
国カのショールームとなった列強各国の首都
第8章 恐慌から分断へ 2つの大戦と世界恐慌(20世紀の始まり~第二次世界大戦)
第8章 2つの大戦と世界恐慌あらすじ
清の半植民地化
列強により分割された「眠れる獅子」
第一次世界大戦前のヨーロッパ
経済的思惑も絡む「ヨーロッパの火薬庫」
第一次世界大戦
世界中を巻き込んだヨーロッパの戦争
新兵器とグローバリズム
戦争により技術が発展し、世界が一体化した
ロシア革命
世界初の社会主義国家の多難な幕開け
第一次大戦後のドイツ
大戦後のドイツを苦しめた莫大な賠償金
大戦後のアメリカ
「永遠の繁栄」と豪語されたアメリカの姿
大戦の影響を受けたアジア諸国の「変化」
崩壊した借金まみれの「砂上の楼閣」
各国の恐慌対策
恐慌対策の中で分断される各国の関係
ドイツの「生存圏」拡大と第二次世界大戦
恐慌がドイツを襲い、ヒトラーが登場した
日本の経済と大平洋戦争
日本を戦争に向かわせた「恐慌の連鎖」
第9章 超大国の綱引き 冷戦下の経済(第二次世界大戦~1980年代)
第9章 冷戦下の経済あらすじ
ブレトン=ウッズ体制
「盟主」アメリカを中心とした新しい経済体制
ソ連と東側の経済
ソ連がおろした「鉄のカーテン」
合戦の展開
ヨーロッパで展開された米ソの「綱引き」
ベルリン封鎖とベルリン空輸
ベルリンで起きた東西の「意地の張り合い」
戦後の中国
内戦によってできた「2つの中国」
戦後の日本
終戦を迎え冷戦構造に組み込まれた日本
「平和共存」と「再緊張」
刻々と変わる冷戦のステージ
第三世界の動き
独自の路線を模索したアジア・アフリカ諸国
アメリカの政策転換
世界に激震が走った2つの「ニクソンショック」
アジア経済
躍進するアジア経済と「プラザ合意」
社会主義国の変化
行き詰まりを迎えた社会主義の「理念」
第10章 一体化する世界 グローバリゼーションと経済危機(1990年代~現代)
第10章 グローバリゼーションと経済危機あらすじ
ソ連の崩壊
社会主義国の「盟主」ソ連が崩壊した
EUの成立
ECからEUへ、一体化が進むヨーロッパ
進む地域統合
並行する「グローバル化」と「地域統合」
現代の日本
日本をとりまく産業構造の変化と停滞
アジア通貨危機
アジアの通貨がマネーゲームの餌食となった
ユーロの発行
「小異を捨てて大同についた」ユーロの発行
リーマン・ショック
世界に広がったアメリカ発の経済危機
ギリシア経済危機
経済の一体化は財政悪化の「連帯責任」も生んだ
伸びる中国経済
市場経済を導入して伸びた中国経済
アメリカの現在
変化していくアメリカの「存在感」
経済のグローバル化
同時に進行する「格差拡大」と「平均化」
お金の歴史と仮想通貨
「データ」になりゆく新しいお金の姿
おわりに
ホームルーム①
世界史の視点には、「タテ」と「ヨコ」がある!
前作で明らかにした「タテ」の世界史
「はじめに」でお話ししたとおり、2018年の夏に出版した『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』は、古代から現代まで、世界史を「タテ」に読み解いています。
地域や年代が目まぐるしく変わる一般的な教科書と違い、右図のように、「ヨーロッパ」「中東」「インド」「中国」と、世界史の舞台を大きく4つに分け、できるだけ地域別に、視点を動かさずに世界史を“タテ”に見ていけるようにしたのです。
ヨーロッパから中東、インド、中国、世界の一体化、近代、現代までを“数珠つなぎ”にし、地域や王朝、国家などの「主役」の変化を最小限にとどめ、主語をできるだけ変えずに「1つのストーリー」で世界史を表現しました。
じつは、世界史には、この「タテ」の他に、「ヨコ」のつながりというのもあります。
「ヨコ」のつながりとは、具体的には、「同時期の東西の国の間で、何が起きていて、そして、どんなかかわりがあったのか」ということです。
世界史は「タテ」のつながりと「ヨコ」のつながりの両方を知ること、つまり、「タテ」「ヨコ」双方の視点をもつことが大切なのです。
では、「ヨコ」のつながりを知るためには、どうすればよいかというと、「お金の流れ(経済)」を「主役」にしたストーリーを読み解くことが17の手がかりになるのです。
ホームルーム②
世界史は「お金の流れ」で学べ!
第2弾は「ヨコ」の歴史
「カネは天下の回り物」というように、お金は世界を回りながら、各地域を結びつけていきます。
シリーズ第1弾の世界史では、ヨーロッパ、中東、インド、中国というように4つの舞台に分けましたが、それぞれが別々に存在している、というわけではなく、地域間には絶えず人々が行き来しており、お金やモノが移動していたのです。
高校の「政治・経済」の教科書には、「経済とは物資の生産から消費までの全過程や、その中で営まれる社会的な様々な関係をさす」とあります。
つまり、モノを含めた人間のすべての活動が「経済活動」というわけですが、その中心にあるのが「お金」であることは間違いありません。お金が誕生して以来、お金を得ること、豊かになりたいということは、人々や国家の最大の関心事でした。時に、より多くの富を得るために戦争を起こしたり、植民地を広げたりすることもありました。
したがって、「お金の流れ(経済活動)」にスポットライトをあてることで、世界史のヨコの“つながり”が見えやすくなるのです。
右の図を見てください。本書では「ヨコ」の歴史を説明するために、第1弾の「一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書」でお話ししたタテの流れを10の年代のまとまりで「輪切り」にし、そのまとまりごとに、お金やモノの流れを「主役」にしてストーリー化しています。
そのストーリーを数珠つなぎにつむいでいくことで、それぞれの地域の「ヨコ」の関係が理解できる、というわけです。
ホームルーム③
本書の構成について
世界史を「輪切り」にし、西から東へと視点を移動する
本書の構成は、世界史を大きく10のブロックに分け、そのブロックごみに西から東へと視点を動かしながら、ブロック内に位置する歴史的事件の「経済的背景」を説明します。
『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』と同じく、ストーリーを頭に残りやすくするために、年号はほとんど使用していませんが、本書では各時代を輪切りにする必要上から、「世紀」ごとに分けています(1つの事件が世紀をまたぐこともあるので、この分け方は厳密というわけではありません)。
第1章から第4章まではヨーロッパ、中東、インド、中国など、地域ごとに発展していく経済の状況と、その間をつなぐ商人のはたらきを中心に見ていきます。
第1章では貨幣経済が各地域で誕生したこと、第2章ではローマ帝国と中国の漢王朝という大国が登場し、ユーラシア大陸の国々の経済的な交流が深まったこと、第3章ではイスラームが誕生し、インド洋でイスラーム商人が活発な経済活動を行ったこと、第4章では中世後半のヨーロッパ世界と中国の宋・元王朝で貨幣経済が進んだことなどを紹介していきます。東南アジアや日本への経済的な影響にも触れています。
『一度読んだら絶対に忘れない世界史の教科書』では、ヨーロッパ、中東、インド、中国という4つの地域が一体化する大航海時代を迎える第5章がカギになりましたが、本書でも5章がカギになります。スペインやポルトガルなどの航海者が世界を結びつけ、メキシコやペルーの銀山で採掘された銀が世界をかけめぐります。銀は世界をまわり、世界の様々な物価や社会構造に大きな影響を与えました。
第6章以降は経済的な「覇権」を握る国家が登場し、世界の経済の中心的な役割を果たすようになります。
第6章では、「覇権」がスペインからオランダ、イギリスと交代していく様子と、アメリカ独立革命やフランス革命などの「大西洋革命」について扱います。この動きの中で株式会社や損害保険の仕組み、財産権の保暗さど、近代以降の経済の仕組みも次第に形づくられました。第7章は帝国主義の時代です。産業の発展は世界の植民地化を招きました。第8章は2つの世界大戦とその間の世界恐慌の様子を説明します。第9章は第二次世界大戦後からソ連の崩壊までを、アメリカとソ連による超大国間の「綱引き」で揺れる国々の様子がご理解いただけると思います。
そして、最終章の第10章では1990年代から現在までを取り上げ、グローバリゼーションの進行と世界に広がる経済危機の様子を解説します。
この本を通して、物々交換、硬貨から紙幣、キャッシュレスや仮想通貨に至るまで、刻一刻と変わる「お金」そのものの姿の変化ももう1つの「ストーリー」としてお楽しみいただけると思います。
「ヨコ」を知ると「タテの歴史」も楽しめる
本書は、高等学校の「世界史」の授業で学ぶ事件の背景を経済の面から説明した「歴史」の本です。
したがって、政治・経済の授業で学ぶような「経済学説」の説明や「仕組み」そのものの説明を省略した部分が多くあります。
しかし、本書で経済的な背景を知ることにより、政治・経済の授業で学ぶ内容の理解が進むようにもなるでしょうし、皆さんがこれまで学んできた世界史の知識の「背景はこうなっていたのか」という、新たな発見があり、「タテの歴史」の楽しみもより一層増えると思います。