仕事と家庭は両立できない? – 「女性が輝く社会」のウソとホント

「仕事と家庭は両立できない?「女性が輝く社会」のウソとホント」 – 本書は、アン=マリー・スローターが執筆した全米で話題沸騰の書籍の翻訳本です。Facebookのシェリル・サンドバーグCOOが、働く女性の新しい姿(特に、上昇志向の高い女性に向けた)を描いたこちらも大ベストセラーとなった『LEAN IN 女性、仕事、リーダーへの意欲』が世に出た後に出版されたこともあり、更に注目された経緯があります。

全目次 - 仕事と家庭は両立できない? - 「女性が輝く社会」のウソとホント

日本のみなさんへ i はじめに―国務省を辞めなくちゃならないなんて「かわいそう」
Part1 決まり文句を超えて,
1 女性神話のウソ?
「必死に仕事に打ち込んでいれば、すべてを手に入れることができる」のウソ
「協力的な相手と結婚すれば、すべてを手に入れることができる」のウソ
「順番を間違えなければ、すべてを手に入れることができる」のウソ 真 実(ホントのこと)

2 男性神話のウソ
「男性もすべてを手に入れることはできない」のウソ
「子供には母親が必要だ」のウソ
「家族を養うのが男性の仕事」のウソ

3 職場のウソの
「それは女性の問題だ」のウソ
「柔軟な働き方が解決策になる」のウソ
「誰よりも長時間働く人が一番仕事ができる」のウソ

Part2 色眼鏡を捨てる
4 競争とケア
よくあるパターン
女性の結束
家族以外の世話
お金でケアを貰う
ケア同盟

5 資産運用は子育てより難しい?
ケアを与える
ケアを受ける
ケアを通した成長 お値段分しかもらえない 競争のウソ

6 女性運動の次は男性運動
男性は何を望んでいるか
すべての男性により多くの選択肢を
生まれながらの違いを超えて
男性の価値は稼ぎで決まるのか?
誰かの世話をする勇気
人生の教訓

7ありのままでの
自分にスポットライトを当てる
女性は手放したがらない
フィフティ・シェイズ・オブ・コンフュージョン
スーパーウーマン幻想を捨てよ
男性に任せよう、彼らのやり方で
バック・トゥー・ザ・フューチャー
新時代

Part 3 平等への道
8 話し方を変える
遠回しに言っても同じ
ダブルスタンダードを捨てる
真の平等に向けた新しい言葉遣い

9 キャリアプランを立てる(計画通りにはいかないとしても)
新しいキャリアの時間軸
キャリアのポートフォリオ
ドロップアウトではなく、先送り
第3の人生
従軍期間
配偶者とじっくり話し合う
その最中にはわからない

10 職場を変革するの
仕事の未来
手綱を握る。
家族を優先させるなら……

11思いやりのある市民になる
ケアのインフラを作る
ケアにまつわる政治
ケア経済
非凡な国アメリカ
おわりに よくある質問 謝辞 日本語版解説―篠田真貴子

それは、それぞれの筆者の考えが対照的であったことにもなります。スローターは大学教授から国務省高官に登りつめた人物で、ワシントンで単身赴任となり、単身赴任で国務省でのポストを2年間務めましたが、家族との時間を大切にしたい・これまでのような両立を目指したいという理由でそのポストを降りてしまいます。

本書では仕事も家庭も完璧に両立するなんて無理な状況。しかも女性だけの問題だけでなく。男性もそのことについて悩んでいる人はいるし、仕事と家庭の両立を考える上で、男女という垣根でなく、同じ高さの視点で仕事と家庭のバランスを考えなければとと強く訴えています。凝り固まった固定観念を変えるきっかけになるような本なので、女性だけではなく男性も読む価値があるでしょう。

筆者も当時は「女性は仕事と家庭を両立できるもの」と考えて来ましたが、特に単身赴任中での自身の子供の明らかな成績の低下、学校のことを中心とする反抗。ワシントンで華やかなキャリアの礎を気づいていると傍からは見ることができる筆者の心は自身の家族のことでいっぱいででした。

そして、ある時期でワシントンの同僚に、女性に仕事と家庭の両立は無理!という内容の寄稿を書こうと決めたときもそうですが、意見はかなり分かれてしまうことになってしまいます。その同僚もスローターがそのような事を書いたら大変なことになる、これまでアメリカで現在進行形でキャリアの成功している女性がそのような事を言ったら、それを目指そうとしていた女性は、自身達が正しいのかさえ確信をもてなくなると。

論説の発表後もやはりそのような反応が大く、失望したと言った意見が一般人だけでなく、同じようなキャリアを送っていた人々からも受けました。ただその一方で、その考えがあり、同じキャリアの中で、仕事と家庭に精一杯時間を割きながらもどこかしっくりこず、心の中では、上手くいかず泣いていた人々からは理解と称賛を受けました。
実用書としても読んでしまうそのような一冊になっています。

自分の考え方、生き方は今のままで良いのか

これからの時代で最前線にいられる国になるには、全ての国民が協力していかなければならず、女性の社会への参加が不可欠です。もしこれまでの男女の役割にこだわり続けるのならば、イノベーションを起こすことはできないでしょうと説きます。パート1で女性のキャリアと家庭の両立に関する理想と現実や現状の問題の解決の糸口を書いています。

仕事と家庭の両立はどうしたらできるのか、という質問に決まり文句のように言われているのが「必死に仕事に打ち込む」、「協力的な相手と結婚する」、「順番を間違えない」という3つのことだという。このどれもが間違いではありませんが、全て真実というわけでもありません。結婚した時には同じようにチャンスを手に入れられると思っていても現実はそうではないことに気づくでしょう。

そうした真実を知り、生活を始める前に正直に、率直に話し合うことが必要になってきます。女性がリーダーの道を進むためには、前に進む意欲を失わず、現実から目を背けずに対処することです。成功した人だけではなく、失敗した人もいるのだということを認識することが必要です。

自分の人生にとって何が重要で大切なのか

また、男女格差が治らない原因である、半分真実半分嘘の思い込みに、「男性も全てを手に入れることはできない」、「子供には母親が必要」、「家族を養うのが男性の仕事」というものが挙げられます。子供が何よりも必要としているのは母親ではなく安定した環境です。本当の意味で母親が必要なのは子供がまだお腹の中にいる時だけで、愛情を注いでくれる他の大人たちより母親が必要かと言われるとそうではありません。「家族を養うのが男性の仕事」この思い込みも全てが真実だとはいうことができません。

ある統計で、アメリカの女性の4割が稼ぎ頭だということがわかったそうです。母集団はアメリカですが、これは日本にも当てはまることだと思います。決して男性だけで経済を動かしてはいません。このような思い込みをなくさない限り、現実が見えてくることはないでしょう。

本書は、女性神話、男性神話、職場の嘘を暴き、色眼鏡を捨てることを教えた後、平等な視点を持つための行動や考え方を提示しており、結婚・家族を意識したならば、女性だけでなく男性も一読してみるのが良いでしょう。

アン=マリー・スローター (著), 篠田真貴子 (著), 関美和 (翻訳)
出版社: NTT出版 (2017/7/31)、出典:amazon.co.jp

全目次 – 仕事と家庭は両立できない? – 「女性が輝く社会」のウソとホント

日本のみなさんへ i はじめに―国務省を辞めなくちゃならないなんて「かわいそう」
Part1 決まり文句を超えて,
1 女性神話のウソ?
「必死に仕事に打ち込んでいれば、すべてを手に入れることができる」のウソ
「協力的な相手と結婚すれば、すべてを手に入れることができる」のウソ
「順番を間違えなければ、すべてを手に入れることができる」のウソ 真 実(ホントのこと)

2 男性神話のウソ
「男性もすべてを手に入れることはできない」のウソ
「子供には母親が必要だ」のウソ
「家族を養うのが男性の仕事」のウソ

3 職場のウソの
「それは女性の問題だ」のウソ
「柔軟な働き方が解決策になる」のウソ
「誰よりも長時間働く人が一番仕事ができる」のウソ

Part2 色眼鏡を捨てる
4 競争とケア
よくあるパターン
女性の結束
家族以外の世話
お金でケアを貰う
ケア同盟

5 資産運用は子育てより難しい?
ケアを与える
ケアを受ける
ケアを通した成長 お値段分しかもらえない 競争のウソ

6 女性運動の次は男性運動
男性は何を望んでいるか
すべての男性により多くの選択肢を
生まれながらの違いを超えて
男性の価値は稼ぎで決まるのか?
誰かの世話をする勇気
人生の教訓

7ありのままでの
自分にスポットライトを当てる
女性は手放したがらない
フィフティ・シェイズ・オブ・コンフュージョン
スーパーウーマン幻想を捨てよ
男性に任せよう、彼らのやり方で
バック・トゥー・ザ・フューチャー
新時代

Part 3 平等への道
8 話し方を変える
遠回しに言っても同じ
ダブルスタンダードを捨てる
真の平等に向けた新しい言葉遣い

9 キャリアプランを立てる(計画通りにはいかないとしても)
新しいキャリアの時間軸
キャリアのポートフォリオ
ドロップアウトではなく、先送り
第3の人生
従軍期間
配偶者とじっくり話し合う
その最中にはわからない

10 職場を変革するの
仕事の未来
手綱を握る。
家族を優先させるなら……

11思いやりのある市民になる
ケアのインフラを作る
ケアにまつわる政治
ケア経済
非凡な国アメリカ
おわりに よくある質問 謝辞 日本語版解説―篠田真貴子