BANK4.0 未来の銀行 – 2025年以降の金融は誰がリードするのか?

筆者キングの前著「Augmented」(邦題『拡張の世紀』)は、技術が今後我々自身の生体や生活/企業の活動/輸送交通/都市・地理/教育といったあらゆるもののあり方の変化がトピックでした。

その前には「Bank 3.0」ではスマートフォン、タブレットなどのモバイル機器の普及に伴い、「銀行はどこかに行くものでもなく、するだけのもの」という革命に焦点を当て、銀行業務の将来が議論されたものでした。 モバイル革命によって引き起こされた個人のかと動からビジネス・経済活動の変化が金融の世界にどのように影響を与えるかをトピックにしています。

そこには伝統的な金融機関のプレーヤーの存在は移行され、インフラが未発達な発展途上国で爆発的に広がるモバイル金融サービス、テック企業GまたはFin Techの新興企業の金融サービスへの参入より明確に未来の金融の役割のロードマップを浮き彫りにしてきました。

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BANK4.0 未来の銀行――目次
監訳者まえがき」 はじめに
謝辞
PART12050年の銀行

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CHAPTER1
第一原理への回帰
第一原理デザイン思考
第一原理のiPhone
バンキングへの第一原理の適用
第一原理では利便性が最重要
常に傍らにいる銀行
銀行にとっては手遅れか?
●特別寄稿Aアント・フィナンシャル―デジタル時代の最初の金融企業
アリババ物語
アリペイのイノベーション推進
アント・フィナンシャル : よりよい中国を作る
組込み型バンキング : 販売するのではなく理解すること

CHAPTER2 規制当局のジレンマ
規制によるイノベーション阻害リスク
ビットコイン――新しい通貨か、ポンジ・スキームか、あるいは貨幣の進化か?
The DAOとICO
金融犯罪とKYCへのアプローチの欠陥
現行のKYC法は排除につながる
クラウドは非現実的か?
クレジットアクセスの改善
規制の形態と機能の未来
うまくいかない可能性はあるか? 改革の要素
規制当局がまず手をつける場所は?
●特別寄稿2テクノロジーによるアイデンティティの再定義

PART2 リアルタイム世界におけるバンキングの再構築
CHAPTER3組込み型バンキング
新しい世界ではフリクションに価値はない
新しい顧客経験の起点は支店ではない
必要な時と場所でのアドバイス提供
情報の非対称性とAI
AIは会計士よりも予算策定がうまい
複合現実とそのバンキングへの影響
●特別寄稿3コンテキスト対応型エンゲージメントとマネー・モーメント
バンキングはチャットボット化するか?

CHAPTER4 商品とチャネルから顧客経験へ
「ネットワーク」と「ディストリビューション」の新しいパラダイム
商品よさようなら、経験よこんにちは
Bank 4.0の組織図は全く異なるものになる
欠けているものは何か?
新しい世界におけるオンボーディングとリレーションシップ販売
●特別寄稿4未来ビジョン : 個人向けの音声ペースAIバンカー

CHAPTER5 分散台帳技術、ブロックチェーン、仮想通貨、分散型エコシステム
デジタル通貨の登場
ビットコインと暗号通貨の急成長
ビットコイン台頭を理解する
これはグローバル資本市場の進化か?
「ビットコインは詐欺だ」論
分散台帳技術の構造的な意味
銀行のコアシステムが賞味期限切れとなる理由

PART3 フィンテックで銀行が不要となる理由
CHAPTER6 フィンテックとテックフィン : 敵か味方か?
「私ならサーバー2台で済みますから」
新しいプレーヤーが支配する領域
リーンでアジャイル、革新的なフィンテック
提携か、買収か、模倣か?
ハッカソン、アクセラレーター、インキュベータ――Shall Weダンス?
フィンテック企業とのパートナーシップの障害
勝てないなら仲間になれ
●特別寄稿5なぜ銀行はフィンテックを重視すべきか
●特別寄稿6スピードの優位性

CHAPTER7 バンキングにおけるAIの役割
ディープラーニング:コンピューターによる人間の脳の模倣
人間はすでに機械に取って代わられつつある
ロボアドバイザー、ロボエブリシング
銀行よりスマートな銀行口座
音声と対話型AIに必要なものは? とりあえずデータだ
自動化の攻撃を最初に受ける分野
バンキングにおける人間の役割の再定義
アルゴリズムの社員をどう率いるか

CHAPTER8 普遍的な顧客経験
「ミレニアル後」の世代の消費者の期待
経験のリバンドリング
新しいブローカーと仲介業者
ユビキタス・バンキング
●特別寄稿『デジタルバンキングを超えて
基本的なデジタル・バンキングの先にあるもの
「アマゾン・モデル」がバンキングの指針
オープン・バンキング : デジタルの「パーフェクト・ストーム」
よい防御は強力な攻撃
特別寄稿8デジタル化で先行する――エミレーツNBDの変革
有言実行
ソーシャルメディアからソーシャルバンキングへ
新たな展望

PART4 生き残る銀行、そうでない銀行
CHAPTER9 適応か死か
ディスラプションの兆候
生存のカギとなるテクニック
サバイバルはトップから始まる

CHAPTER10
結論 : Bank 4.0へのロードマップ
2025~2030年に何が起こるか
テクノロジーが第一、バンキングは第二
生き残りに向けたAのチェックポイント
Bank 4.0時代のコア・コンピテンシー
組織へのインパクト
レグテックとマクロ競合の再定義 変革への資本配分
Bank 4.0のロードマップ 結論
解説 訳者あとがき

ブレット・キング (著), 藤原 遠 (翻訳), 上野 博 (翻訳), 岡田 和也 (翻訳), NTTデータ オープンイノベーション事業創発室 (その他)
出版社: 東洋経済新報社 (2019/4/12)、出典:amazon.co.jp

Bank 4.0 – 本書を通して浮き彫りになってくるのは、金融についてだけが語られていません。本書では、金融サービスへのアクセスであり、銀行は一つの手段でないと言及しています。Bank4.0では全デジタル化、低コスト、モバイルデバイスファーストになるという筆者キングはこれまでに自身でも携帯、デビットカード、テクノロジーを使用して、現在の残高だけでなく安全に使用できる金額をユーザーに表示し、お金を節約するのを助ける銀行口座である、Movenを設立しています。

何年もの間、銀行業務はデジタル化とモバイル化を進めている、けれどアメリカはこの点で世界の大部分に遅れをとっていると言います(これについては日本の銀行業務もそうでしょう)。あまりにも多くの銀行が、類似した方法でデジタル化しています。キングの言葉で言い換えると、紙媒体を用いる方法を考え直すのではなく、デジタルに近いものへ移行している」という状況です。そこには抜本的な変更になっていないのです。この辺りのアメリカでも遅れをとっているというのは、意外でしたが数字にも現れており、スマートフォンでの取引は支店での取引を上回っていますが、銀行は依然として、組織としても計画としても支店中心です。

アメリカではスマートフォンでの実施を許可している銀行や信用組合はわずか18%で、Simple、Moven、BankMobile、GoBankは何年も前にそれを提供していますが、筆者キングは更に先もみて、近い将来、銀行取引はデジタルへと移行し続けると言います。銀行ツールの選択はスマートフォンになるでしょうが、ある時点で、音声や生体認証の機能が電話の重要性を低下させると言います。その頃には口座開設のために支店に行っていたことが、いずれなくなり銀行の消滅を見ることになる」と彼は予測します。

問題の一部として、先進国(本書ではアメリカ)の規制当局が他の地域の規制当局より遅れを取っていることがあると言います。特にTeck-basedの銀行を認可することに関しては多くのところで規制がまだまだ働きます。ケニアのM-Pesaや中国のAlipay、We-Chat Payなどのデジタルアプリケーションは、金融サービスをこれまで簡単に保存または取引することができなかった何十億もの人々に拡大したことを考えると規制当局自体も既存の金融機関に新興企業を近づけるというスタンスでなく、こちらも抜本的な変更が必要とされます。

伝統的な銀行は、広大な支店ネットワーク、大規模なスタッフ、そして高価な遺産システムを支援しなければなりません。遺産銀行は変化するか消滅するかの選択を強いられるだろうとキングは言います。バンキング機能の実現方法がテクノロジー主導で全く新しいものとなり、サービスが組込み型/パーソナル型/予測型へと急速に変貌していくなかで、レガシーな資産と業務と人員を擁する従来型の銀行は、自社の強みを活用しつつ急速な変革に挑戦し、「適応か死か」という厳しい問いかけに答え続けていく必要があります。

本書ではPart2とpart3で書かれている組込み型バンキング、ユーザーエクスペリエンス、分散台帳技術、ブロックチェーン、仮想通貨、分散型エコシステムから始まる金融のリストラクチャリング、またフィンテックとAIがもたらす可能性から、結論でのBank4.0へのロードマップを描いています。そこには2020年、2022年、2023年、2025年、2028年、2030年で起こることが書かれております(口座開設を支店に依存する銀行が消滅するがどこでなくなるか是非ご確認ください。)。

レール上の古い規制対象システムは存続できない、たとえ保護されていてもといいますが、従来型の銀行でも、方向性を見据え、強みを活用しつつ変革の中にいることを自覚し挑戦し続けることへの処方箋も説いています。これはチャンスともそえています。

金融サービスの変化は必ずあります。それの起こりうる年月もほぼほぼ計算できています。しかしながら向かう先がその山を越えると何が見えるのかは誰しもが分かりません。そのなかで、金融サービスの未来を考える視差として本書はあります。

 

ブレット・キング (著), 藤原 遠 (翻訳), 上野 博 (翻訳), 岡田 和也 (翻訳), NTTデータ オープンイノベーション事業創発室 (その他)
出版社: 東洋経済新報社 (2019/4/12)、出典:amazon.co.jp

BANK4.0 未来の銀行の全目次を確認する
BANK4.0 未来の銀行――目次
監訳者まえがき」 はじめに
謝辞
PART12050年の銀行

CHAPTER1
第一原理への回帰
第一原理デザイン思考
第一原理のiPhone
バンキングへの第一原理の適用
第一原理では利便性が最重要
常に傍らにいる銀行
銀行にとっては手遅れか?
●特別寄稿Aアント・フィナンシャル―デジタル時代の最初の金融企業
アリババ物語
アリペイのイノベーション推進
アント・フィナンシャル : よりよい中国を作る
組込み型バンキング : 販売するのではなく理解すること

CHAPTER2 規制当局のジレンマ
規制によるイノベーション阻害リスク
ビットコイン――新しい通貨か、ポンジ・スキームか、あるいは貨幣の進化か?
The DAOとICO
金融犯罪とKYCへのアプローチの欠陥
現行のKYC法は排除につながる
クラウドは非現実的か?
クレジットアクセスの改善
規制の形態と機能の未来
うまくいかない可能性はあるか? 改革の要素
規制当局がまず手をつける場所は?
●特別寄稿2テクノロジーによるアイデンティティの再定義

PART2 リアルタイム世界におけるバンキングの再構築
CHAPTER3組込み型バンキング
新しい世界ではフリクションに価値はない
新しい顧客経験の起点は支店ではない
必要な時と場所でのアドバイス提供
情報の非対称性とAI
AIは会計士よりも予算策定がうまい
複合現実とそのバンキングへの影響
●特別寄稿3コンテキスト対応型エンゲージメントとマネー・モーメント
バンキングはチャットボット化するか?

CHAPTER4 商品とチャネルから顧客経験へ
「ネットワーク」と「ディストリビューション」の新しいパラダイム
商品よさようなら、経験よこんにちは
Bank 4.0の組織図は全く異なるものになる
欠けているものは何か?
新しい世界におけるオンボーディングとリレーションシップ販売
●特別寄稿4未来ビジョン : 個人向けの音声ペースAIバンカー

CHAPTER5 分散台帳技術、ブロックチェーン、仮想通貨、分散型エコシステム
デジタル通貨の登場
ビットコインと暗号通貨の急成長
ビットコイン台頭を理解する
これはグローバル資本市場の進化か?
「ビットコインは詐欺だ」論
分散台帳技術の構造的な意味
銀行のコアシステムが賞味期限切れとなる理由

PART3 フィンテックで銀行が不要となる理由
CHAPTER6 フィンテックとテックフィン : 敵か味方か?
「私ならサーバー2台で済みますから」
新しいプレーヤーが支配する領域
リーンでアジャイル、革新的なフィンテック
提携か、買収か、模倣か?
ハッカソン、アクセラレーター、インキュベータ――Shall Weダンス?
フィンテック企業とのパートナーシップの障害
勝てないなら仲間になれ
●特別寄稿5なぜ銀行はフィンテックを重視すべきか
●特別寄稿6スピードの優位性

CHAPTER7 バンキングにおけるAIの役割
ディープラーニング:コンピューターによる人間の脳の模倣
人間はすでに機械に取って代わられつつある
ロボアドバイザー、ロボエブリシング
銀行よりスマートな銀行口座
音声と対話型AIに必要なものは? とりあえずデータだ
自動化の攻撃を最初に受ける分野
バンキングにおける人間の役割の再定義
アルゴリズムの社員をどう率いるか

CHAPTER8 普遍的な顧客経験
「ミレニアル後」の世代の消費者の期待
経験のリバンドリング
新しいブローカーと仲介業者
ユビキタス・バンキング
●特別寄稿『デジタルバンキングを超えて
基本的なデジタル・バンキングの先にあるもの
「アマゾン・モデル」がバンキングの指針
オープン・バンキング : デジタルの「パーフェクト・ストーム」
よい防御は強力な攻撃
特別寄稿8デジタル化で先行する――エミレーツNBDの変革
有言実行
ソーシャルメディアからソーシャルバンキングへ
新たな展望

PART4 生き残る銀行、そうでない銀行
CHAPTER9 適応か死か
ディスラプションの兆候
生存のカギとなるテクニック
サバイバルはトップから始まる

CHAPTER10
結論 : Bank 4.0へのロードマップ
2025~2030年に何が起こるか
テクノロジーが第一、バンキングは第二
生き残りに向けたAのチェックポイント
Bank 4.0時代のコア・コンピテンシー
組織へのインパクト
レグテックとマクロ競合の再定義 変革への資本配分
Bank 4.0のロードマップ 結論
解説 訳者あとがき