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コンサルタントの仕事とは?何が求められる?
コンサルタントとは具体的にどんな仕事をするのか?イメージではわかっていても、この問いにきちんと答えられる人は決して多くありません。ここでは、主にコンサルタントを目指す方に向けて、コンサルタントの仕事内容はどのようなものか、コンサルが身につけるべきスキルとは、コンサルとして成功するためにはなど、コンサルタントについて広く学ぶことのできる本をご紹介します。
世界一やさしいコンサルタントの説明書- 一生食いっぱぐれない最強の職業
コンサルタントの入門書
本書は、コンサルタントを目指す方向けのコンサルタントの説明本です。コンサルタントとはそもそも何者か、コンサルタントとして働く魅力、仕事術、コンサルティングの醍醐味などが紹介されています。わかりやすく書かれており、簡単に読み進められます。
はじめに
最初に皆さんに騙されたと思われないためにお伝えしておきたいことがあります。
この本を書いている会社の代表は、「高卒」です。
高学歴者がひしめくコンサルティング業界において生意気にも、「高卒」がコンサルティング業界について語っています。
危ない危ない、騙されるところだったと思われた皆さんは、この本からそっと手を放してください。
もし、奇特な方がいらっしゃいましたら、ぜひこの本を読み進めてみてください。
やっぱり騙されたと思うかもしれません(笑)
簡単に自己紹介をさせていただくと、僕は青森県生まれの42歳で、仕事はコンサルティング会社の経営をしています。
僕はコンサルティング業界で長いこと仕事をしていますが、コンサルタントって「課題解決」したり、「提案」したりする仕事ですよね?とよく聞かれます。
コンサルティング会社をやっていて、コンサルタントになりたいという人たちによく聞かれる質問No.1です。
僕の答えは、「正解でもあり、不正解でもありますよ」とお答えしています。
確かにコンサルタントは「課題解決」しますし、「提案」もします。
でも、具体的に「何をする仕事なのか?」まで答えられる人はほとんどいません。
なぜか皆さん、イメージでコンサルタントの仕事をとらえている人ばかりです。
知らない人にはとても謎の職業、「コンサルタント」。
この本では、そんな謎に包まれた「コンサルタントの真実」について、20年以上にわたって戦略・ITコンサル業界に身を置いてきた僕の経験から解説していきたいと思っています。
僕が思うにコンサルタントとは、ビジネス界における「最強の職業」です。
最強の理由は、
❶食いっぱぐれない!
❷どの職業より収入を上げられる!
❸やりがいがある!(自分の会社でも会えないような経営層の方々と仕事ができる!)
などなど、コンサルタントならではの特徴がてんこ盛りです。
そんな最強の職業であるコンサルタントについて、この本を通して皆さんに知っていただきたいと思っています。
これからの僕たちは人生100年時代といわれるようになった中で、将来への不安は募るばかりだと思います。
定年後の貯蓄は大丈夫か?今いる会社が潰れずいつまで働けるだろうか?結婚して子どもが生まれても生活できるだけの資金力はあるだろうか……。
さまざまな問題を抱えながら生きていくのは精神的に大変な苦痛が伴います。
そんな人生の中で抱えるたくさんの問題を解決する「問題解決力」を徹底的に身に付けられる職業こそ、コンサルタントという職業なんです。
この本では、コンサルタント最大のスキルである「問題解決力」が一番のキーワードとなります。
このキーワードに沿いながら、謎に包まれたコンサルタントの仕事内容や、コンサル業界について、そしてコンサルタントが人生100年時代をスイスイ生きられる理由について僕らの仲間と共にご説明できればと思っています。
コンサルタントを知らない人にも、コンサルタントとしてすでに活躍されている方にも、これからのキャリア形成の一助になれば幸いです。
これから出会う全ての仲間たちへ
株式会社ストラテジーテック・コンサルティング
代表取締役社長 三浦大地
目次
はじめに
第1章 コンサルタントの仕事とは?
そもそもコンサルタントとは何者か?
コンサルタントの一日のスケジュール
実際のコンサルティング業務ってどんな感じなの?
第2章 なんでコンサルタントになりたいの?
起業したければコンサルタントになるな
コンサルタントのキャリアパス
コンサルタントに資格は必要か?
システムエンジニアのジレンマ
第3章 高収入って本当?コンサルタントの報酬
コンサルタントの収入格差
収入を脅かすアベイラブルの恐怖
稼ぐコンサルタントの極意
第4章 コンサルタントは食いっぱぐれない
コンサルタントが食いっぱぐれない本当の理由
人手不足とコンサルタント
コンサルティングバリュー
第5章 残念なコンサルに学ぶ、失敗しないための仕事術
残念なコンサル①仮説に片寄り、自滅するコンサルタント
残念なコンサル②顧客の要件を汲み取れず、失敗したコンサルタント
残念なコンサル③有名コンサルファーム出身だが、失注続きのコンサルタント
一流コンサルタントはセールススキルも抜群
アマチュアとプロの違い
第6章 現役コンサルタントが語る、コンサルティングの醍醐味
①大手外資系コンサルファーム出身
コンサルタントYさん(26歳)が語る
コンサル業界のリアル
②業界未経験!
業界歴半年のMさん(27歳)から見た
コンサル業界のリアル
第7章 コンサル業界で得られたもの
地頭は鍛えられる!
人生100年時代の問題解決力
コンサルタントを目指す人必見!コンサルタント虎の巻
コンサル業界でよく使われる用語集
おわりに
コンサル一年目が学ぶこと
コンサルタントが入社後に学ぶスキルやノウハウを紹介
本書は、タイトルにあるように、コンサルタントが企業で学ぶ、他の業界や職種で活用できる普遍的スキルを紹介しています。「潰しが効く」スキルのハウツーがまとめられていますが、実際に実践的なものが多く、経験などにも触れているため、理解しやすくなっています。
はじめに
本書は、社会人一年目からベテランまでのみなさんに、普遍的に役立つスキルを身につけてもらいたい、それも、一過性のものではなく、15年、20年と、生き続けるスキルを身につけてもらいたいと思って書きました。決して、コンサルティング会社に勤める人のためだけのものではありません。
にもかかわらず、本書のテーマを「コンサル一年目が学ぶこと」としたのは、外資系のコンサルティング会社の出身者が、業界や職種を問わず、さまざまな場所で活躍しているからです。ということは、彼ら、彼女らが、コンサルタント時代に学んだことのなかに、業界、職種を問わず、広く活躍できる、普遍的な仕事力というのが含まれているという仮説が成り立ちます。
では、その普遍的な仕事力とは何でしょうか?
そこで、各界で活躍する元コンサルタントの方に取材をし、15年前の新人時代を思い出してもらうことにしました。そして、新人時代に学んだことのなかで、15年たっても記憶に残っていること、15年たっても役に立っていること、つまり、職種・業界が変わっても通用し、また、リーダーや経営者の立場になっても通用していることを挙げてもらいました。それこそが、15年間磨かれ光り輝くようになった、ダイヤモンドの原石にあたるようなスキル・経験だからです。
そして、そのスキル・経験について、わたしのほうから一般的な解説を加えたものが本書ということになります。
まとめると、本書を読むことで、
・職業を問わず、業界を問わず、15年後にも役立つ普遍的なスキルを
・社会人一年目で学んだときの基礎的なレベルから
理解できるようになります。
本書の構成と成り立ちについて、お話ししましょう。
まず取材については、新人時代から15年~20年ほどたち、35~40歳くらいになるわたしと同年代の方にお願いしました。
業界、職業もなるべく幅広くしようと、外資系ファームのパートナーになっている方、ベンチャー創業に携わり会社を上場させた方、政治家に転身された方、経営者や作家として複数の著作がある方、大学で教鞭をとられている方、上場企業でマネジメントにつかれている方、独立してコンサルタントを営まれている方、そのほか多くの方々にお話を聞きました。
これらの取材をもとに、項目を整理して、30個の重要スキルにまとめ、それぞれの項目について、一般的な解説を加えつつ、取材した元コンサルタントの体験談とわたし自身の体験談を組み合わせて提示するという構成をとりました。
スキルは4つのカテゴリに分けられ、4章構成になっています。
第1章は、「話す技術」と称して、おもにコミュニケーション面でのスキルをとりあげています。コミュニケーションの基礎中の基礎でありながら、小手先のテクニックに収まらない普遍的な話を中心にまとめてあります。
ファクトで話す、率直に話す、結論から話すなど、他の本でもとりあげられているものも多いかもしれませんが、それはつまり、それだけ重要だということです。とりわけ「期待値」の話は重要です。多くの元コンサルタントが、期待値を超えることの普遍的な重要性について語ってくれました。
第2章は、「思考術」と称して、おもに、論理思考や仮説思考、問題解決といったコンサルティング的なスキルを中心にとりあげ、基礎的な考え方と、それをどのようにさまざまな仕事や場面で生かしていくのか、ということについてまとめています。
この章でとりわけ大事なのは、「仮説思考」です。コンサルタントの思考のエッセンスは仮説思考のなかに詰まっており、一度身につければ生涯、色褪せません。元コンサルタントの方の全員が、仮説思考を現在の仕事にフルに生かしています。
第3章は、「デスクワーク術」と称して、テクニック寄りのことをまとめています。議事録の書き方、スライドの基本、効率のよい勉強法、プロジェクトの課題管理方法などです。
一年目で学べるテクニックの類はそれこそ無数にあると思いますが、そのなかでも時代を超えて使える武器になるテクニックのみに絞って解説しています。
第4章は、「ビジネスマインド」です。プロフェッショナルとは何か、ということから、コミットメントやフォワローシップ、チームワークなどについてまとめました。
必要なスキルというのは、業界や職種によって異なるものもありますが、仕事をするうえでのマインドは、どんな仕事をしていても、普遍的に通用するものです。この章では、一般的な解説を加えることよりも、一年目の具体的な体験を多く引用し、臨場感のある記述を心がけました。
類書とは異なり取材した方々の体験ができるだけ伝わる、より実践的なものとしたつもりです。このため、多少饒舌になっている箇所があるかもしれませんが、あたかも先輩から実地で指導を受けているような、そんな体験を本書でもっていただければ、幸いです。
大石哲之
目次
はじめに
第1章 コンサル流話す技術
01 結論から話す
02 Talk Straight端的に話す
03 数字というファクトで語る
04 数字とロジックで語る
05 感情より論理を優先させる
06 相手に理解してもらえるように話す
07 相手のフォーマットに合わせる
08 相手の期待値を把握する
09 上司の期待値を超える
第2章 コンサル流思考術
10 「考え方を考える」という考え方
11 ロジックツリーを使いこなす
12 雲雨傘提案の基本
13 仮説思考
14 常に自分の意見をもって情報にあたる
15 本質を追求する思考
第3章 コンサル流デスクワーク技術
16 文書作成の基本、議事録書きをマスターする
17 最強パワポ資料作成術
18 エクセル、パワーポイントは、作成スピードが勝負
19 最終成果物から逆算して、作業プランをつくる
20 コンサル流検索式読書術
21 仕事の速さを2倍速3倍速にする重点思考
22 プロジェクト管理ツール、課題管理表
第4章 プロフェッショナル・ビジネスマインド
23 ヴァリューを出す
24 喋らないなら会議に出るな
25 「時間はお金」と認識する
26 スピードと質を両立する
27 コミットメント力を学ぶ
28 師匠を見つける
29 フォロワーシップを発揮する
30 プロフェッショナルのチームワーク
あとがき
経営コンサルタントの教科書 「良い経営」の本質と実践が分かる本
経営コンサルタントとは何をするのか
本書は、経営コンサルタントを目指す方に向けて書かれた、コンサルタントの仕事や資質について解説している本です。そのため、経営学に関する基本的な内容から始まり、全体的に企業経営に関する項目それぞれの基本的な考え方の指南を行っています。読者のターゲットの関係から、内容の深掘りよりは確認が中心となっています。
はじめに
本書の目的は、これまで24年にわたり経営コンサルタントとして働いてきた経験をもとに、経営コンサルタントという仕事の本質やポイント、コツを、私なりの言葉で皆さんにお伝えすることです。
私の会社(株式会社小宮コンサルタンツ)では、クライアント企業に対するコンサルティング・サービスを提供する一方で、「経営コンサルタント養成講座」を通じて経営コンサルタントになる人のためのマインドとノウハウをお教えしています。コンサルタントを志望する皆さんには、私の著書を含めていろいろな本・教科書を読んでもらったり、ケーススタディやグループディスカッション、経営手法のシミュレーションで実践的な知識を身につけてもらうようにしていますが、そこで私が一番伝えたいのは、経営の本質や具体的なポイントとは何か?ということです。本質やポイントが分かれば、どこでも適用できるからです。
たとえば、本書でも中心テーマとして取り上げている「お客さま第一」の本質とは何でしょうか?ごく当たり前の質問のように聞こえますが、きちんと答えられる人は多くありません。「お客さまのためになることをやります……」などと曖昧なことを答えたり、あるいは「電話の対応を良くします」というようにピントの外れた返答をする人が少なくありません。
コンサルティングの現場では、お客さまの「答え」を導き出してあげなければなりません。言い換えれば、お客さまの課題に対して「核心を突いた答え」を提供することが、経営コンサルタントの仕事なのです。
そこで本書では、一人前の経営コンサルタントならばきちんと答えられなければならないと私が考えている「質問」に対する「答え」を提示し、なぜそうなのかを解説するというスタイルを採用しました。まず「質問」と「答え」にアプローチして、自分でなぜそうなのかと考えてみてください。そして解説を読んでみて、納得してもらえればそれでいいですし、疑問を感じるなら自分なりの答えを考えてもらってもかまいません。経営コンサルタントにとって、なぜそんな質問が重要なのか?なぜその答えなのか?ということをよく考えながら読んでいただければと思います。
おそらく本書を手に取っていただいた皆さんのなかには、将来はコンサルタントとして活躍したいという希望をお持ちの学生さんや、金融機関や大企業で働いてきた経験を活かしてコンサルタントとして独立することを検討している方々、あるいは、すでにコンサルタントの仕事に就いていて、もっと実力を高めたいと思っている方々がいらっしゃるでしょう。経営者の方々にも、経営のポイントを知るいい機会になると思います。そうした読者の皆さんに、私の経験や考え方を少しでも役立てていただければ、これ以上の幸せはありません。
世の中の社長さんから「あなた一人に相談したい」と指名されるような経営コンサルタントに成長されることを願ってやみません。
令和元年一一月 小宮一慶
[目次]
はじめに
第一章 経営の本質
Q001 「お客さま第一」の本質とは?
Q002 短期的な業績を高めるための事業の「方向づけ」を正しく行うために必要なことは? Q003 「資源の最適配分」を正しく行うためのポイントは?
経営コンサルタントの心得[その一] 経済は人を幸せにする道具——藤本幸邦老師の教え
Q004 「人を動かす」ためのポイントは?
Q005 松下幸之助さんの「宇宙の原理」とは?
Q006 稲盛和夫さんの「成功の方程式」とは?
Q007 ピーター・ドラッカーが定義するマネジメントの目的は?
Q008 マーケティングとは何か?
Q009 目的と目標の違いは何か?
Q010 「目的」を「目標」に落とし込む際の最初の目標は?
第二章 経営の実践
Q011 ピーター・ドラッカーが「方向づけ」のために重要だと主張する三要素は?
Q012 『ビジョナリー・カンパニー2』の「針鼠の概念」とは?
Q013 経営会議で時間を使うべきことは?
経営コンサルタントの心得[その二] コンサルタントは「教祖」ではなく「宣教師」を目指すべき
Q014 お客さまの「六つの段階」とは?
Q015 「感動」は「満足」より重要か?
Q016 PDCAの本質は何か?
Q017 「クレームゼロ運動」は是か非か?
第三章 人を動かす
Q018 「良い仕事」の三つの要素は?
Q019 「良い会社」の三つの要素は?
Q020 ビジョンや理念が浸透する前提は?
Q021 どうすれば「働きがい」を感じてもらえるか?
経営コンサルタントの心得[その三] 「向いていない人」を採用してはいけない
Q022 会社が働く人に与えられる「二つの幸せ」とは?
Q023 ビジネスパーソンの「基礎力」とは?
Q024 社員の基礎力を高めるために有効な方法は?
経営コンサルタントの心得[その四」
「草野球チームを甲子園に連れて行く」
Q025 コミュニケーションで大事な二つの要素は?
第四章 経営者に求められる資質
Q026 経営者として成功するために行うべきことは?
Q027 会社をつぶす社長の特徴は?
Q028 指揮官が先頭に立っているか?
Q029 お客さまに会っているか?
Q030 いつも勉強しているか?
Q031 新聞を読んでいるか?
経営コンサルタントの心得[その五] メモしなければ脳のデータベースに記録されない
Q032 師匠を持っているか?
Q033 自己中心的でないか?
Q034 「なれる最高の自分」を目指しているか?
Q035 素直か?
Q036 「人を心からほめる」ことができるか?
Q037 信念を持っているか?
第五章 会計と財務の要点
Q038 貸借対照表の「負債」と「純資産」の違いは?
Q039 流動比率と自己資本比率の関係は?
Q040 手元流動性の適正額は?
経営コンサルタントの心得[その六] 財務の考え方の基本は上場企業も中小企業も同じ
Q041 会社の安全性を判断するときに真っ先に見るべき指標は?
Q042 キャッシュ・フロー計算書のどこに注目すべきか?
Q043 「バランスシートが痩せている」とはどういうことか?
Q044 「高収益」の定義は?
Q045 ROEとROAの関係は?
Q046 WACCとROAの関係は?
戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法―「頭の知性」×「心の知性」×「プロフェッショナル・マインド」を鍛える最強のバイブル
コンサルタントの仕事の手法がわかる
本書は、これまで様々なコンサルティング会社で、コンサルタントとして働いてきた著者が、プロフェッショナルとして仕事をするためのマインドや心の持ちよう、考え方などを解説している本です。これまでの経験からコンサルタントの在り方やプロフェッショナルとは何かが強く伝えられています。
はじめに
▶︎「虚業」と呼ばれないために
「コンサルタントなんて頭でっかちの無責任な仕事をいつまで続けているんだ。そんな虚業さっさと辞めて、早く実業に戻ったほうがいい」
戦略コンサルタントに転身して3年目。以前勤めていた会社でお世話になった先輩に言われたこの言葉を、私はいまでも忘れない。
「虚業」
私はこの言葉と闘いながら、30年間この仕事を続けてきたと言っても過言ではない。
――もっともらしいことは言うが、机上の空論ばかり。
――自分たちでは汗をかかず、現実を知らないご託宣ばかり。
コンサルタントという仕事には、こうした悪評、悪いイメージが常について回る。
なかには、コンサルタントを毛嫌いする人たちもいる。
私自身も複数の有名企業の経営者に、「コンサルタントは信用しない」「コンサルタントは役に立たない」という言葉を何度も浴びせられたことがある。
いまでは、そんな言葉を気にすることはなくなったが、若かりしころはさすがにめげたし、いろいろと考えさせられた。
▶︎コンサルタントの社会的認知は高まったが……
コンサルタントという仕事は、いまでこそ高学歴の若い人たちを中心に人気の職業のひとつになった。
就活サイトを運営するワンキャリアが東大・京大の学生を対象に行った2021年卒の就職人気ランキングでは、トップ30社のうちなんと14社がコンサルティング会社である。ローランド・ベルガー(RB)も21位にランクインしている。
私が戦略コンサルタントになった30年前とは比べ物にならないほど、コンサルタントという仕事の社会的認知は格段に高まった。
しかし、現実を見れば、クライアントに真の付加価値を提供できる本当に力のあるコンサルタントは、けっして多くはない。大半はプロフェッショナルとはほど遠い「サラリーマンコンサルタント」「似非コンサルタント」だ。
この仕事をするには、特別な資格はいらず、「コンサルタント」と名刺に入れさえすれば、誰でも今日から「コンサルタントです」と名乗ることができる。
ハードルの低い、いかがわしい職業であるのも事実だ。「虚業」と誹りを受けても仕方がない。
だからこそ、私は虚業にならないように、虚業と言わせないように、30年間もがき苦しんできた。
正直にいえば、「こんな仕事に価値はない」と虚しさや無力感を感じたことは一度ならずある。
いまから思えば、すべては自分の非力さゆえなのだが、それを「こんな仕事には価値がない」と責任転嫁し、自分を納得させようとしていたにすぎない。
「実業」の世界に戻るチャンスも何度かあった。それでも、私はこの職業を自ら選択し、やりつづけてきた。
その根底には、コンサルタントという仕事は立派な「実業」なのだということを、なんとか証明してみせたいという意地があった。
▶︎4つの外資系ファームで研鑽を積む「稀なキャリア」――うち3社では「パートナー」(共同経営者)としての役割を担う
戦略コンサルタントとしての30年のキャリアの中で、私は4つの外資系ファームで仕事をしてきた。
複数のファームを経験することは珍しいことではないが、4つのファームとなると、あまり聞いたことがない。
4社のうち、3社ではパートナー(共同経営者)としてその役割を担ってきた。
4社を渡り歩いてきたというと、ふらふらして腰が据わっていないと思われるかもしれない。しかし、私自身は戦略コンサルタントとしての幅と力量を高めるために、その時々においてベストな居場所を選択してきたというのが実感である。
戦略コンサルタントとしてのキャリアを歩みはじめたボストン・コンサルティング・グループ(BCG)では、数多くの戦略策定プロジェクトに携わった。BCGでの経験こそが、私の原点であり、基盤となっている。
しかし、戦略策定のみでは飽き足らず、実行支援にも関与したいという思いが強くなり、幅広いコンサルティングサービスの提供を打ち出していたアンダーセン・コンサルティング(AC、現アクセンチュア)の戦略グループに参画した。
ACでは、戦略グループの立ち上げに力を注ぐ一方で、業務改革や営業改革などのプロジェクトに関わった。
その後、BCGの先輩に誘われ、ブーズ・アレン・ハミルトン(BAH、現ストラテジーアンド)に移った。
オペレーション系に強みをもつBAHでは、グローバルレベルのサプライチェーンマネジメント(SCM)や調達改革を手掛けた。
そして、2000年に欧州系戦略コンサルティングファームであるローランド・ベルガーの日本法人社長に就任した。
ローランド・ベルガーでは経営者として弱小だった東京オフィス強化の陣頭指揮をとった。ドイツ本社の経営監査委員会のアジア初のメンバーとして、グローバル経営にも携わった。
30年間にお付き合いしたクライアントの数は約100社、プロジェクトの数は200を超える。
中期経営計画策定などの全社戦略策定から事業戦略、オペレーション改革、グローバル戦略、新規事業戦略、M&Aなどじつに多岐にわたるプロジェクトを経験できたことが、私の最大の強みだと思っている。
▶︎頭脳的にも、身体的にも、精神的にも「タフさ」が求められる――この仕事が「知的体育会系」と呼ばれる所以
これだけの経験を積んだのだから、さぞかし戦略コンサルタントとしての腕に磨きがかかっているだろうと思われるかもしれないが、残念ながらそうではない。
似たようなテーマのお手伝いをしたとしても、それぞれのクライアントの状況はまったく異なる。「A社の答え」が、そのまま「B社の答え」にはなりえないし、してはいけない。
もちろん経験を積めばそれだけ「引き出し」の数は増えるが、それはあくまで「引き出し」であって「答え」ではない。
それぞれのクライアントにとって「最適な答え」は何かを常に問いつづけ、導き出さなければならない。
毎回毎回が真剣勝負。きわめて高度で、タフな仕事だ。
外から見れば、若いながらも一流企業の経営トップと対峙し、変革をサポートするスマートでかっこいい仕事と思われるかもしれない。
だが、その実はきわめて泥臭く、地味な仕事だ。クライアントのために付加価値をつけようと必死で努力しなければ、いい仕事はできない。
自分たちよりもはるかにビジネス経験、人生経験が豊富なクライアントの経営陣に対して、高い付加価値を提供しなくてはならないのだから、ハードルはきわめて高い。
頭脳的にも、身体的にも、そして精神的にも、「尋常ではないタフさ」が求められる。それが、この仕事が「知的体育会系」と呼ばれる所以だ。
だから、本音をいえば、私はこの仕事を「楽しい」と思ったことが一度もない。
やりがいは大きいし、さまざまな業種の、さまざまな会社の、さまざまなテーマに関与できるので、「面白い」と感じることは多い。
でも、「面白い」は「楽しい」ではない。
30代前半だった駆け出しコンサルタントのころは、クライアントの社長への最終報告会の前日には一睡もできず、「自分の分析は正しいのだろうか」「本当にこんな提言をしていいのだろうか」と自問自答を繰り返した。胃が痛くなるほどの強烈なプレッシャーと不安を感じていた。
いまから振り返れば、それはきわめてまっとうな反応だったのだと思う。
▶︎人生を変えた「二人の本物」との出会い
そうであるならば、なぜそんなプレッシャーの大きなタフな仕事を30年もの間、続けることができたのか。
結論をいえば、それは二人の偉大なプロフェッショナルとの出会いがあったからだと私は思っている。「本物」と出会うことができたからこそ、その「極み」を目指して、努力を続けることができた。
その二人とはBCGでお世話になった堀紘一さんとローランド・ベルガーの創業者であるベルガーさんだ。
詳しくは本編で紹介するが、堀さんには戦略コンサルタントの「極み」を見せていただいた。
駆け出しコンサルタントのころ、私は幸運にも堀さんといくつかのプロジェクトでご一緒することができた。
私はそこで「本物」の戦略コンサルタントを目の当たりにした。真のプロフェッショナルとは何かを肌で実感することができた。
堀さんの域に達することはできないまでも、なんとかして「本物」に少しでも近づこうと、私は30年間精進を重ね、もがいてきた。
ベルガーさんは傑出した戦略コンサルタントであると同時に、偉大なる起業家だ。
1967年に「欧州発のコンサルティング会社をつくろう」とたったひとりでドイツ・ミュンヘンで会社を興した。当時、ベルガーさんは四歳だった。
そして、50余年が経ったいま、RBは世界35ヶ国に51のオフィスをかまえるグローバル戦略コンサルティングファームになった。
「机上の空論ばかりで自分たちでは何もできない」と思われているコンサルタントでもグローバル経営はできるのだということをベルガーさんは証明している。
ベルガーさんの起業家魂に触発された私は、日本法人社長として東京オフィスの立ち上げに奔走した。そして、この経験は戦略コンサルタントとしての私にもきわめて大きなインサイトを与えてくれた。
この二人の「本物」との出会いがなければ、おそらく私は途中でまったく違う道を歩んでいただろう。
「本物」と出会い、この仕事の高みを知ったからこそ、私はこのタフな仕事を30年も続けることができたと思っている。
▶︎「触媒」が「化学反応」を加速させ、変革を実現させる――誤った合理性に執着することほど不合理なことはない
戦略コンサルタントは、なぜ「怪しげ」に思われるのか。
そのひとつの理由は、この仕事の付加価値がよくわからない、見えないためだと思う。
山ほどの分析をこなし、クライアントを煙に巻くロジックを組み立て、見栄えのいいスライドを量産する。戦略コンサルタントに対するこうした一般的なイメージは、この仕事の本質ではない。
戦略コンサルタントという仕事の本質をひと言で表現すれば、それは「触媒」(catalyser)である。
依頼を受けたクライアントの中に交じり込みながらも同化することはせず、「化学反応」を起こし、変化を加速させ、変革の実現をお手伝いするのが私たちの仕事だ。
「z」という現在のクライアントが、「y」という「触媒」を加えることによって、「Z」というより良い企業へと変身する。それが私たちのミッションだ[図表0◆1]。
もちろん、企業変革は社外などに頼らず、内部だけで進めるべきだという意見もあるだろう。実際、コンサルタントなど使わずに自己変革している会社はいくらでもある。
しかし、内部だけで進める変革にはリスクもある。
ともすると内輪の論理に陥り、客観性、合理性に欠けたり、世の中の変化を見誤ったり、議論が収束せず、無用に時間がかかることもある。
誤った合理性に執着することほど不合理なことはない。にもかかわらず、多くの会社は「自分たちは合理的にやっている」と思い込み、自前主義から脱却できないでいる。
そんなときこそ、私たちの出番である。
独立した客観的な立場で、企業変革をお手伝いし、変革を実現させる。「触媒」が加わることによって、真の合理性が担保され、変革を正しい方向へと導き、加速することが可能となるのだ。
▶︎「アウトサイダー」という立ち位置こそ強みの源泉――欧米ではコンサルタントを使うのが常識
日本においても、大企業を中心に戦略コンサルタントを起用するケースは間違いなく増えている。
とはいえ、米国や欧州に比べれば、その市場規模はまだまだ小さい。米国の戦略コンサルティングの市場規模は日本の10倍以上である。
ローランド・ベルガー発祥の地であるドイツにおいても、企業変革の際には戦略コンサルタントを起用するのは常識であり、当たり前のことである。
むしろ、独立した立場で客観的な助言をする外部のサポートがなければ、企業変革を合理的に進めることはできないと考えている。過去の成功体験に染まった人たちが、自らを否定するのは難しい。
戦略コンサルタントは「アウトサイダー」である。
社内の力学や過去の常識に染まらず、何のしがらみもない「部外者」だからこそ、「インサイダー」ではなかなか言えないこともズバッと指摘できる。「アウトサイダー」という立ち位置こそが、私たちの強みの源泉である。
▶︎「ダイナミック・トランスフォーメーション」を加速する起爆剤に――地味で小さな存在だが「決定的な仕事」をする
トヨタ自動車の豊田章男社長は、日本企業が置かれた現状を「海図なき戦い」と表現する。過去の延長線上にはない不連続の環境の中で、新たな成長シナリオを描き、実現しなければならない。
昨今、「デジタル・トランスフォーメーション(DX)」という言葉が盛んに使われる。「デジタル化の推進で会社を生まれ変わらせる」という取り組みだが、私は同じ「DX」でも「ダイナミック・トランスフォーメーション」が必要だと主張している。
デジタルは所詮「道具」(ツール)にすぎない。デジタルを武器にしながら、大胆かつダイナミックに会社を変身させることができなければ、日本企業に未来はない。
にもかかわらず、ほとんどの日本企業の取り組みは、表面的、部分的、小手先、小出しの域を出ておらず、とても「ダイナミック」とは呼べない。
10年、20年先を見据えた大胆な事業の入れ替え、大きな権限委譲を伴ったイノベーション組織の切り出し、まったく新しい業務プロセスの設計・構築、未来志向にもとづく人材戦略の見直しなど、過去を思い切って否定し、未来の創造へとダイナミックに舵を切らなければ、日本企業の再生、復活はありえない。
そんな重大な局面で、同質的な内部の人間(インサイダー)だけで議論を繰り返しても埒はあかない。変身するチャンスを逃し、負け組へと転落するだけだ。
いまこそ、独立性、中立性、客観性が担保された「アウトサイダー」の視点や発想が必要なのである。日本企業は「ダイナミック・トランスフォーメーション」を加速する起爆剤として、もっと上手に「触媒」を活用すべきだと私は思っている。
にもかかわらず、戦略コンサルタントは正当な評価がされにくい。きわめて重大な役割を担っているわりには、どんな価値があるのかが外からは見えにくい。
しかも、ひとたび変化が起きてしまえば、「触媒」はもう用はなくなる。「触媒」は地味で、せつない存在でもある。
感情が爆発するような高揚感やほとばしるリアルな達成感を求める人には、この仕事は向かない。
しかし、「触媒」が存在しなければ、「化学反応」が起きなかったり、変革が加速しないのもまた事実なのである。
地味で小さな存在だが、必要なときに「決定的な仕事」をする。それこそが「一流の触媒」である。
▶︎どうすれば「一流の触媒」になれるのかを解明する――「頭の知性(IQ)」×「心の知性(EQ)」×「プロフェッショナル・マインド」
それでは、どうすれば「一流の触媒」になれるのか。個人的な30年の経験をもとに、それを解明するのが本書の目的である。
結論を先に述べれば、「一流の触媒」になるには、次の3つの要素が不可欠である。
「頭の知性(IQ)」×「心の知性(EQ)」×「プロフェッショナル・マインド」
口幅ったい言い方だが、戦略コンサルタントは「知性」(intelligence)で勝負する職業だと私は思っている。「触媒」としてクライアントの変革を実現するお手伝いを遂行するには、並外れた知的タフネスが求められる。
しかし、ここでいう「知性」とは、「頭の知性」、つまりIQ(頭の知能指数、rational intelligence quotient)だけを指すわけではない。
IQと同等以上に大事なのが、「心の知性」、つまりEQ(心の知能指数、emotional intelligence quotient)である。
「一流の触媒」として機能するためは、理路整然としたことを言い放つだけでなく、クライアントの心を開かせ、その心に訴えかける力が必要である。「心の知性」が伴わなければ、「触媒」の仕事は果たしえない。
一般的には、戦略コンサルタントという職業は、「IQを駆使する仕事」だと思われている。分析力、論理思考考力、洞察力、地頭力など頭の回転のよさ、左脳的知性で勝負する仕事だと思っている人が多い。
実際、現役コンサルタントや元コンサルタントが執筆したコンサルタント的思考法や分析スキルの高め方など、思考のテクニックを語る本は山ほど出版されている。
それらの本はIQを補助するための一助にはなるかもしれない。しかし、現実を見れば、力ずくでロジックを押しつけたところで、クライアントがそれを受容しなければ、「触媒」の仕事は果たしえない。
「心の知性」を磨き、クライアントの感覚や感情に敏感でなければ、クライアントをその気にさせ、変革へ向かわせることなど「絵に描いた餅」である。
▶︎「頭の知性」「心の知性」の基盤となるのが「プロとしての自覚」
近年は大企業を中心に人材教育に力を入れており、日本企業においてもMBA(経営学修士)を取得した社員も増えている。戦略コンサルタント的な発想法やスキルを身につけた有能なビジネスパーソンはいくらでもいる。
ロジカル・シンキングや分析力を駆使するだけで付加価値をつけることができた時代はもう終わった。
「戦略コンサルタントの付加価値とは何か」を根本から問い直さなければならないときを迎えていると私は強く感じている。
戦略コンサルタントは、学者や研究者でもなければ、評論家でもない。
どんなにもっともらしいことを言おうが、クライアントがその気になり、変革に向かおうとしなければ、その仕事は明らかに「失敗」である。
頭と心という二つの「知性」をフル活用しなければ、「触媒」としていい仕事はできない。
そして、それを支える基盤となるのが、「プロフェッショナル・マインド」である。日本語でいえば、「プロとしての自覚」だ。
私たちは「変革のプロ」である。どんなに困難な状況であっても、絶対にクライアントを成功に導き、結果を出すことが私たちのミッションである。
そうしたプロフェッショナルとしての覚悟、意識、プライドこそが、この仕事をまっとうするためには決定的に大事であり、「触媒」の矜持でもある。
「頭の知性(IQ)」と「心の知性(EQ)」と「プロフェッショナル・マインド」。
この3つの要素が合体して、はじめて「一流の触媒」は誕生する。
それが、30年間この仕事をやりつづけてきた私の結論である。
戦略コンサルタントについて出版された本の多くは、思考法やスキルなどIQに関するテーマがほとんどである。しかし、それだけでは、この仕事の本質は語れない。
「触媒」という仕事の歴史や私自身のキャリアも含め、その全体像を俯瞰的に見つめ直し、この仕事で成功するために真に必要なものとは何かを包括的に解明する。
それこそが、この本を書こうとした私の動機である。
▶︎本書は「戦略コンサル論」であり「プロフェッショナル論」でもある――日本のビジネス社会にも「プロフェッショナルの時代」がやってくる
本書は2部構成である。最初に、本書の基本的な骨格を説明しておきたい[図表0◆2]。
第Ⅰ部では、「戦略コンサルタントの価値とは何か」をあらためて問い直してみようと思う。
そのために、戦略コンサルタントという職業がどのようにして誕生したのか、その130年の歴史をあらためて辿るとともに、私自身の30年のキャリアについても振り返ってみたい。
そのうえで、この仕事の本質とは何かについて考察する。
「触媒」とはいったい何か、そして「触媒」としての仕事をするうえで私がこだわってきたことについても言及する。
第Ⅱ部では、「どうすれば『一流の触媒』になれるのか」を、具体的な事例を交えながら考察したい。
「『頭の知性(IQ)』×『心の知性(EQ)』×『プロフェッショナル・マインド』」という成功の方程式を解説するとともに、それぞれの要素の磨き方、活かし方についても、可能な限り具体的に解き明かしたい。
戦略コンサルタントという仕事は厳格な守秘義務のもとで成り立っているので、私が関与したプロジェクトを、具体名をあげて語ることはできない。
しかし、それではリアリティを伝えられないので、可能な限り具体的な内容を紹介したいと思っている。
さらには、戦略コンサルタントとして身につけるべき7つの習慣、そしてこれからの時代に求められるキャリアの考え方についても、私なりの意見を述べたい。
また、巻末には一流の戦略コンサルタントを目指す人のための「必読の10冊」を参考情報として紹介する。
どれも日本人コンサルタントが著したものであり、私自身が大いに啓発された書籍である。なかには年代的に古いものもあるが、内容的には色褪せることのない名著ばかりである。
私は日本のビジネス社会においても「プロフェッショナルの時代」が間違いなくやってくると思っている。
そうなれば、「『頭の知性(IQ)』×『心の知性(EQ)』×『プロフェッショナル・マインド』」という成功の方程式は、もはや戦略コンサルタントという仕事に限定するものではなくなってくる。
ビジネスにおいて成功を望むビジネスパーソンは、すべからくプロフェッショナルを目指さなければならない。その背景やこれから起きてくる変化についても考察したい。
本書は私の実体験を踏まえた「戦略コンサル論」である。そして同時に、プロとは何かを語る「プロフェッショナル論」でもある。
戦略コンサルタントという職業に興味をもっている人だけに限らず、プロフェッショナルを目指す人たちに読んでいただければ、著者として望外の喜びである。
目次
はじめに
▶︎「虚業」と呼ばれないために
▶︎コンサルタントの社会的認知は高まったが……
▶︎4つの外資系ファームで研鑽を積む「稀なキャリア」――うち3社では「パートナー」(共同経営者)としての役割を担う
▶︎頭脳的にも、身体的にも、精神的にも「タフさ」が求められる――この仕事が「知的体育会系」と呼ばれる所
▶︎人生を変えた「二人の本物」との出会い
▶︎「触媒」が「化学反応」を加速させ、変革を実現させる――誤った合理性に執着することほど不合理なことはない
▶︎「アウトサイダー」という立ち位置こそ強みの源泉――欧米ではコンサルタントを使うのが常識
▶︎「ダイナミック・トランスフォーメーション」を加速する起爆剤に――地味で小さな存在だが「決定的な仕事」をする
▶︎どうすれば「一流の触媒」になれるのかを解明する――「頭の知性(IQ)」×「心の知性(EQ)」×「プロフェッショナル・マインド」
▶︎「頭の知性」「心の知性」の基盤となるのが「プロとしての自覚」
▶︎本書は「戦略コンサル論」であり「プロフェッショナル論」でもある――日本のビジネス社会にも「プロフェッショナルの時代」がやってくる
第Ⅰ部 戦略コンサルタントの価値とは何か
第1章▶︎まずは戦略コンサルタントの歴史を振り返る
1 戦略コンサルタントという仕事のはじまり
▶︎世界最古のコンサルティング会社「アーサー・D・リトル」(ADL)
▶︎ADLと並ぶ古株「ブーズ&カンパニー」(現「ストラテジーアンド」)
▶︎「マッキンゼー」と「ベイン&カンパニー」の誕生
▶︎戦略コンサルの名門「M+3B」「M(マッキンゼー)」+「3B(BAH、BCG、そしてベイン)」▶︎米国で戦略コンサルティングファームが生まれた背景
▶︎欧州を起源とする「ローランド・ベルガー」の誕生
▶︎多くのファームに「創業者の名前」が冠されている理由
2 会計事務所系、IT系コンサルの台頭
▶︎「アンダーセン・コンサルティング」の台頭
▶︎ITコンサルティング拡大のきっかけ
▶︎会計事務所系が小粒のファームを飲み込む
第2章▶︎私のコンサルティングキャリア(その1) ――BCG、AC、BAHで私が学んだこと
1 BCGで「本物」のコンサルタントを知る
▶︎きっかけは1冊の本との出会い
▶︎「コンサルタントになれば、会社を変えるお手伝いができるかもしれない」
▶︎絶妙のタイミングでBCGに入社する
▶︎忘れられない言葉「証明しろ(Prove it!)」
▶︎「Up or Out」の世界で生き残る——生き残るためには、結果を出し、早く昇進するしかない
▶︎「本物のコンサルタント」との出会いが、私の生き方を決めた
▶︎圧巻のプレゼン——米国大手企業のCEOも圧倒する迫力
2 アンダーセン・コンサルティングで戦略グループを立ち上げる
▶︎戦略一辺倒から実行重視へ
▶︎アンダーセン・コンサルティングからの誘い
▶︎戦略策定については、ほぼ全員が素人だった
▶︎ACの最大の強みは、営業力
▶︎戦略コンサルタントに転身して7年で、パートナー(共同経営者)へ昇進
3 名門ブーズ・アレン・ハミルトンへの転身
▶︎「真のプロフェッショナル」を目指して――あえてリスクをとり、環境を変える
▶︎「仕事がない」苦闘の1年目を乗り切った方法
▶︎二人の外国人パートナーに助けられる
▶︎「何かで有名になれ。名前を売れ」
▶︎中央集権の弊害——私が抱えた違和感、不信感、そして反発
第3章▶︎私のコンサルティングキャリア(その2)——ローランド・ベルガーで私が学んだこと
l リ・スタート
▶︎マベルガーさんとの出会い
▶︎「この人と仕事をしたら面白そうだな!」
▶︎ベルガーさんと交わした「2つの約束」
2「3強の一角入り」を目指す
▶︎44歳で日本法人の社長に――「マッキンゼー、BCGと並ぶ3強の一角入りを目指す」
▶︎「3つのF」を掲げる
①Fresh
②First-class
③Fun
▶︎「個人商店」を脱するために――立ち上げのチームづくり
3 飛躍への道筋
▶︎「You have my full confidence!(あなたを心から信頼している)」
▶︎『現場力を鍛える』『見える化』がベストセラーに
▶︎社長を5年務めて会長に――グローバル経営に参画する
▶︎コンサルタント自身が進化しなくてはならない
4 戦略コンサルタントが社長になってみてわかった4つのこと
▶︎【気づき1】まず「思い」ありき――「強固な思い」は「軟弱な戦略」に勝る
▶︎【気づき2】タイミングを逃さない――経営には「勝負時」がある
▶︎【気づき3】人の可能性を信じる――チャンスを与え、経験を積ませる
▶︎【気づき4】サポートスタッフを大切にする――「縁の下」が強くなれば、「主役」も力強く仕事ができる
第4章▶︎戦略コンサルタントという「仕事の本質」は何か
1 戦略コンサルタントは、どのようなプロジェクトに関わるのか
▶︎「仕事の本質」を明らかにする
▶︎「CEOアジェンダ」に関与する――経営トップが直接関与するきわめて重大なプロジェクトに参画
[ケース❶]消費財メーカーB社における「競合他社との提携に向けた大戦略策定」
[ケース❷]産業用機械メーカーC社における「新規事業戦略策定」
[ケース❸]エンターテインメント企業D社における「現場主導の業務改革」
2 戦略コンサルタントは「変革のプロ」である
▶︎「不連続の変革」が求められるときこそ出番
▶︎変革は戦略コンサルタントには「日常」だが、大半の企業には「非日常」――「変革のマネジメント」こそノウハウであり、価値である
▶︎変革の「ツボ」を押さえる
▶︎プロフェッショナルたらしめる「3つの要素」
❶独立性
❷客観性
❸専門性
3 戦略コンサルタントは「一流の触媒」でなくてはならない
▶︎「触媒」が化学反応を加速させ、変革が実現する
▶︎「触媒」が果たすべきミッション――クライアントを「その気にさせる」
▶︎小さくて地味だが「決定的な仕事」をするのが「一流の触媒」
第5章▶︎「一流の触媒」が常に意識する「5つのこだわり」
1 大戦略なくして小戦略なし
▶︎「瑣末なロジック」ではなく「骨太のロジック」こそ変革を成功に導く
▶︎常に意識する「5つのこだわり」とは何か
2 【第一のこだわり】「適社性」にこだわる
▶︎ロジックの「落とし穴」
❶ロジックはひとつではない
❷理詰めで考えるほど、答えは同質化する
▶︎「戦略の不適合」で大きな痛手をこうむった事例
[ケース❹]準大手機械メーカーE社の「他社の戦略をそのまま真似る失敗」
▶︎そのクライアントに「最適なロジック」を組み立て、戦略を策定する――「一般解」ではなく「個別解」を追い求める。
3 【第二のこだわり】「ファクト」にこだわる
▶︎「数字で話をする」癖をつける
▶︎証明に足るだけのデータを「つくり出す」スキルも必要
▶︎足で稼ぎ、決定的なファクトを見つける――「未来の予兆」から戦略ストーリーを組み立てる
4 【第三のこだわり】「概念化・構造化・言語化」にこだわる
▶︎考えて、考えて、考え抜く脳みそから汗が出るほど考える
▶︎「知的タフネス」がクライアントに付加価値をつける
▶︎優れた戦略コンサルタントは「3つのスキル」を例外なく磨いている
❶概念化
❷構造化
❸言語化
5 【第四のこだわり】「膝詰め」にこだわる
▶︎「壁打ち相手」として「主観」をぶつける――究極のコンサルティングは「主観と主観のぶつかり合い」
▶︎「膝詰め」の議論は、「納得性」の醸成にもつながる
年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書
コンサルタントとして稼ぐためには
本書は、独立系コンサルタントの著者が、コンサルティングで安定的に高い収入を稼ぎ続けるための手法について解説しています。コンサルティングで稼ぐためのパターンや営業戦略、質問の仕方、交渉術、契約を続けるためのサービスなど、具体的なノウハウが紹介されています。
はじめに
コンサルタントが年間報酬3000万円のカベを超えられない理由
今、コンサルタントの報酬、とりわけ経営コンサルタントの報酬は、「下は年間500万円未満から上は1億円クラスまで」と20倍以上の差がついています。その中でも、上場企業向けの戦略系コンサルを除くと、年間報酬1億円クラスの人は極めてまれで、例外と言っていいでしょう。
さらに、中小企業を対象にして年間報酬3000万円を超えるコンサルタントは、ごくわずかに限られます。
公式の統計データがないので、僕が16年間のコンサルティング・ビジネスに関わるなかで、数百人のコンサルタントの相談に乗ってきた現場感覚に基づく推計ですが、その大半は、年間報酬1000万円未満で現状に不満があり、よくて2000万円に到達するかどうか。
年間報酬3000万円以上を継続的に得ているコンサルタントは上位数パーセントで、ほんの一握りというのが、僕の実感です。
その一方で、月額報酬30万円以上の顧問契約で契約期間も5~10年と長期にわたって継続するやり方(本書で提唱するパートナー型コンサルティング)で年間3000万円を超えて稼ぐ人もいます。誠に僭越ながら、僕が実践していることです。
僕自身は、個別コンサルだけでなく、講演やセミナー、本の出版、教材の販売、講座の運営など複数の商品ラインナップを持ち、見込み客が自然と顧客に育っていくビジネスモデルを持っています。こうした複線型のビジネスモデルが、事業を拡大する上で、重要なポイントとなりました。
27歳でコンサル会社を立ち上げて以来、このスタイルを確立して今年で16年目になります。このやり方なら社員数100人以下の中小企業を対象にしたコンサルタントとして、年間報酬3000万円のカベを超え、さらに上を狙うことも可能になります。
そこで本書では、僕自身の事例のほか、成功している人たちの事例も紹介しながら、コンサルタント、士業、コーチ、セラピストなどの方々が、顧客の成果に関わって年間報酬3000万円のカベを超えるために、
「いかに新規クライアントを獲得するか?」
「いかに納得できる報酬をいただくか?」
「いかに契約を長く継続させるか?」
といった成功のための発想と具体的なメソッドについて解説していきます。
そして本書は、主に次の方たちに向けて書いています。
①現役のコンサルタントでもっと飛躍したい人
②将来、コンサルタントとして独立を目指している社会人や学生
③「安さ優先」の価格競争ではなく「付加価値優先」の価値競争を志向する士業者
①と②の人にとっては、すぐに役立てていただけるノウハウをまとめたつもりです。また、③の士業の方の場合は、①、②と比べると若干読み方が変わるかもしれません。
たとえば税理士や社労士の場合、記帳代行や申告代行などのいわゆる「処理業務」から受注活動ができますので、顧客獲得のハードルは、肩書のないコンサルタントに比べると、比較的低いはずです。
一方で、顧客である中小企業の立場から考えると、「処理業務を依頼するなら価格は高くても月ウン万円まで」とか「士業との関わり方の範囲はここまで」などの“資格があるがゆえの制約”が厳然と存在しています。処理業務をこなすために常に忙殺されつつ年収3000万円を継続して得るのは、なかなか難しいのが実情でしょう。
そこで、士業の方には本書をお読みいただくことで、こうした制約から解き放たれて、価格競争に巻き込まれずに本来の理想の「あり方」を実現するにはどうしたらいいか、がわかるよう配慮しました。
具体的には、まず序章では章タイトルとした「なぜ、コンサルタントの報酬はピンキリなのか?」という疑問に対する僕なりの答えをお伝えします。
その上で1章以降では、「納得のいく報酬を得ながら、契約が長く続くパートナー型コンサルティング」というコンサルタントの“あり方”と“やり方”、そして「ビジネスモデルづくり」の観点から“その具体策・ノウハウ”をお伝えしていきます。
そして、読者であるあなたが、先ほどご紹介した①~③の読者対象のいずれかに当てはまっていることを前提に、以下の5つの特徴をもとに、コンサルタントとして「成果を出す秘訣」について説明していきます。
(1)27歳で経営コンサルタントとして独立、ゼロから新規開拓してきた実例ストーリーを随所に挿入する
僕が27歳当時、「所持金90万円で独立し、経験も資格も看板もないなかから、いかに顧客を開拓していったか」をお伝えします。
そして15年後の今、月額30万円以上の顧問料で平均5~7年以上契約が続き、全国で講演やセミナーを開催、年1冊ペースでの出版を行いながら、3カ月で30万円超の高額の講座に毎回定員オーバーを実現させている理由も実例をもとにお話しします。
(2)顧客の頭の中のトップ3を占める「お困りごと」にアプローチする
ターゲットとする顧客の頭の中の上位を占める「お困りごと」を先取りしてつかみ、その解決のために自分がどう関わるか、言語化するシナリオをお伝えします。
これができると相手はこちらの話の続きを聞かずにはいられなくなり、営業がグンとラクになります。
(3)「自分は何者か?」「なぜ当社と契約する必要があるのか」を言語化し、“顧客に選ばれる理由”を明確にする
顧客が潜在的に抱えている不満や不安を先取りして、それをケアしながら、「クライアント本人すら気づいていない課題の解決を提案する存在」として、自分を認知させる方法をお伝えします。
またその手段として、「3カ月で30万円」のNo.1コンサルタントスター養成塾で行っている、自身のセルフイメージを再構築する5つのステップを紹介します。
(4)高額報酬をもらえるコンサルタントの考え方とは
社員10名から30名程度の中小企業向けのコンサルティングでは、コンサル報酬は月10万円から15万円が一般的と言われているようです。ちなみに、僕も独立当初は15万円からスタートしましたが、今では月額30万円以上のコンサル報酬を得ています。
では、何がその違いをもたらすのでしょうか?知識の量?スキルの高さ?もちろんそれも大切です。しかし、それらがあるにもかかわらず、低い報酬に悩んでいるコンサルタントは少なくありません。
つまり真実は、まったく別のところにあるのです。その着眼点をお伝えします。
(5)顧問契約が長く続く秘訣とは
通常、コンサルタントの契約は半年から1年で終わるケースが多いようです。なぜなら、ちょうどその頃にネタが尽きたり、一定の役割を終えるからです。
本書では、そのようなスタイルを「プロジェクト型コンサルティング」あるいは「ワークショップ型コンサルティング」と定義しています(Chapter1のこちらを参照)。
それに対して、僕が行っている「パートナー型コンサルティング」では、平均5~7年、長い先では15年以上、契約が続いています。しかも、やがて契約が終了しても、見込み客が顧客に自動的に育つビジネスモデルを構築しているので、慌てて新規顧客の獲得に駆け回る必要がありません。
もちろん、そこには理由があります。独立系コンサルタントとして16年間、第一線でやってきたからこそわかる、その秘訣をお伝えします。
では、さっそく序章からはじめましょう。
2014年6月
和仁 達也
※なお、本書でいう「年間報酬3000万円」とは、独立系コンサルタント1人(ほかにパートアシスタント1人程度)が各種コンサルティング活動(個別コンサル、グループコンサル、セミナー、講座、教材など)から得る年間収入を指しています。
目次
はじめに コンサルタントが年間報酬3000万円のカベを超えられない理由
Chapter0 報酬設定
なぜ、コンサルタントの報酬はピンキリなのか?
年間報酬1000万円未満のコンサルタントと1億円超のコンサルタントの違いとは?
まず、年間報酬1000万円のカベを超えられない理由
99%のコンサルタントが年間報酬3000万円の手前でストップする!?
どの市場を選ぶかで報酬は自動的に決まる?
コンサルティングをやる喜びとは
Chapter1 勝ちパターン
コンサルタントで年間報酬3000万円稼ぐための「正しい努力」とは
コンサルタントには「4つのモデル」がある
どのタイプを選ぶべきか絶対的な正解はない
複数のモデルを使い分けるという手もある
顧客に応じて複数のメニューを用意することもできる
年間報酬3000万円超を稼ぐための「正しい努力」とは
アウトプットを先に用意してからインプットする
成功した人のやり方を徹底してマネしてみる
短期間に著しい成果を出す人の「意外な共通点」
Chapter2 営業戦略
独立1年目から安定収入を得るための着眼点
20代で独立を成功させた「僕の着眼点」
「顧客ゼロ、手持ち資金100万円以下」でも独立してコンサルタントになれる!
コンサルティング・ビジネスはさまざまなツールと販路を使って拡大できる
最初に報酬と契約期間についてのスタンスを決めてしまおう
月々のコンサル報酬は、「顧客にどんな貢献をしたいのか」で決まる
世間相場の中で自分のポジションをどう定めるか
自分がそのことを語る“正当性”を見つける
希望する報酬にYESをもらうために必要なこと
求人広告を出している会社にファックスDMを送って営業効率が5倍にアップ!
営業の基本は社長に気持ちよくしゃべってもらうこと
目の前の見込み客が100%、「お困りごと」を告白してくれる魔法の一言
独立1年目から営業で成功する4つの着眼点
Chapter3 新規開拓
営業で見込み客を前のめりにさせる「お困りごと」の引き出し方
見込み客が抱える「お困りごと」のトップ3とは?
初対面の相手を前のめりにさせる「入り口」のつくり方
お困りごと① 会社のお金の流れが漠然としていることによるストレス
お金の流れを「見える化」すれば社長は必ず喜ぶ
付け焼刃の増収増益計画よりも効くアドバイスとは
お困りごと② 社員との立場の違いが生む「危機感のズレ」によるストレス
「危機感のズレ」の原因がわかれば解決策も見える
「情報量の不一致」の解決もコンサルタントの役目
コミュニケーション・ギャップを言語化して社長と社員の間をつなぐ
お困りごと③ 次のワクワクするビジョンが見えないストレス
クライアントが一番関心を持っているのは「自分」
Chapter4 聞く力
クライアントとの信頼関係を構築する「聞いて気づかせる力」
コンサルタントは社長にアドバイスをしてはならない!?
たった1つの質問で、相手の考え方の核心に一気にたどりつく方法
4つのステップで現状と理想にハシゴをかけるビジョナリーコーチング
踏み込んだことを質問する際に注意すべきこと
相談に乗るときに、もっとも気を配っているたった1つのこと
ミーティングでも「安心安全ポジティブな場」づくりを
コンサルタントは常に表情を豊かに
好奇心を持ってクライアントの話を聞くには
聞くだけでなく、社長に「気づかせる力」も磨こう
パートナー型コンサルティングに必須のスキルとは
着眼点を与えながら一緒に考えるコツとは
Chapter5 契約交渉
ビジネスを上向きにする「価格交渉」と「値上げ」の技術
独立して最初の営業で学んだ「社長の心をつかむコツ」
コンサルの報酬額は、どのタイミングでどのように切り出すか?
自分は誰と比べられたいかをこちらから提示する
「役割」は誰と比べられたいのかを明確にする
「報酬」は誰と比べられたいのかを明確にする
クライアントへの要望は「先に言えば説明、後で言えば言い訳」
役割、報酬、自分の「あり方」のバランスを整える
役割や報酬にふさわしいコンサルタントとしての「あり方」とは?
15万円のコンサル報酬を30万円以上に値上げするまでのファーストステップ
「高い報酬でもいいから」という顧客が向こうからやってくるタイミングがある
「高い顧問料でもOK」と言われるための3つの条件
顧問料を上げる時こそ自分の「あり方」をはっきりさせる時
士業者が報酬を上げていくための方法
「会社のお金の流れ」に関わることが、報酬を上げる早道
コンサルティングの価値を「見える化」する
Chapter6 サービス向上
顧客とのつき合いが10年以上の「長期契約」になる秘訣
コンサル契約を長期にわたらせるための基本的な考え方
1年未満で契約が終わる典型的なパターンとは
契約期間が“結果的に”長くなる、ある儀式とは
1年間取り組んだことをコンサルティング履歴一覧表にまとめる
痛みを与えて切られるコンサルタント、快楽を与えて継続されるコンサルタント
長期契約に適するのはパートナー型コンサルタント
独立して1年後、今でも忘れられない体験
信頼関係ができればクライアントが営業マンになってくれる
サービスのクオリティのほかにもう1つ、気を配るべきこと
「過剰期待」「間違った期待」はクレームや悪評につながる
顧客との接点を複数化すると、長期契約につながりやすくなる
長期契約を続けるための「4つのポイント」をおさらいすると
Chapter7 事業拡大
年間報酬3000万円超を稼ぎ続ける「ビジネスモデル」のつくり方
ビジネスモデルがあれば、水が川上から流れるように見込み客が上客に変わる
コンサルタントにとってのビジネスモデルとは?
1年ごとに厚みを増す「営業のじょうご」構築法
独立1年目から2年目にかけての営業のじょうご活用法
独立4年目から5年目にかけての営業のじょうご活用法
独立7年目から8年目にかけての営業のじょうご活用法
独立12年目から14年目以降にかけての営業のじょうご活用法
営業のじょうごでリスクを最小化して収益を最大化する
余裕のあるなしが営業力に及ぼす影響
改めて、コンサルタントの商品とは何かと考える
コンサルタントにとっての商品化の「型」とは
情報提供“媒体”を複数化するメリット
情報提供“手段”も複数化する
商品が自己満足にならないための「3つの質問」
お金に余裕ができたらやっておきたい地盤固め策
コンサルタントの相談料が数千円から数十万円までと幅が広い理由
ジョイント(コラボ)の際におさえておくべきポイント
コンサルタントが社員を雇うのは是か否か?
それでもコンサルティング会社がコンサルタントを社員として雇う理由は?
コンサルタントとしてどんな世界をつくりたいか?
おわりに コンサルタントが年間報酬3000万円のカベを超えられない“もう一つの理由”
カバーデザイン : 井上新八
本文デザイン : 新田由起子(ムーブ)
本文DTP : 徳永裕美(ムーブ)
年間報酬3000万円超えが10年続く 独立系コンサルタントの成功戦略
独立系のコンサルタントになるためには
本書は、独立系のコンサルタントである著者が、自身の経験をもとに、独立系コンサルタントになるためのノウハウを解説している本です。営業の仕方やプロフィールの書き方、勉強法、キャリア戦略の紹介など、かなり具体的な内容が多いと言えます。まさに独立系コンサルタントになるためのハウツー本です。
はじめに
★「コンサルタントで本当に食べていけるの?」
これはコンサルタントとして独立する前、あるいは独立したてのころに、もっとも感じる不安でしょう。
結論から言えば、食べていけます。現に、僕は20年以上、経営コンサルタントで食べてきました。
帝国データバンクが2014年に発表した研究レポートによると、経営コンサルタントを営む企業数は5年間で約1.9倍に増加し、経営コンサルタントを利用する企業数は5年間に約3.7倍に増加したとのこと。ニーズが高まっている職業のようです。
ただし、誰もが食べていける職業ではないのも事実です。
同じく帝国データバンクの調査によると、2018年に東京都で休廃業・解散した企業(個人事業主を含む)の第4位が経営コンサルタント。多くの経営コンサルタントが東京で起業しているのでしょうから、生存競争が激しいのも納得できます。
それなら、どうすれば食べていけるのでしょうか。
本書を手にしてくださったのは、これからコンサルタントになろうと考えている方、あるいは既にコンサルタントになっている方だと思います。
最近、一流大卒の優秀な学生は、大手企業や官庁を志望するよりも、マッキンゼー・アンド・カンパニーやボストンコンサルティンググループのような大手コンサルティングファームに殺到しているといいます。彼らのすべてが独立するわけではないでしょうが、いずれコンサルタントとして独立する人は増えるでしょう。
また、コンサルタントの養成塾を主宰している立場から言いますと、ここ10年ぐらいで税理士や社会保険労務士、会計士といった士業の人がコンサル分野に進出するケースが増えているように思います。士業の世界でも過当競争が起きているので、生き残るためにコンサルティング業務で付加価値をつけようとしているからでしょう。
さらに、これからは銀行や生命保険会社などの金融機関のOBや中途退社した人たちが、コンサルタントに転身する流れも予想できます。
僕が独立した1990年代後半は、コンサルタントを名乗る人ははまだ少なかったのですが、今はまさに「レッドオーシャン」の状態です。
レッドオーシャンの中でコンサルタントとしてやっていくのは難しいでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。僕が編み出した、コンサルタントで成功するための「30の秘密(メソッド)」を学んで実践していただければ、レッドオーシャンの中にわずかに存在する「ブルーオーシャン」に楽々入っていける、と確信しています。
なぜならば、この本の成り立ち自体が、僕がこれまでセミナーやコンサルタント養成塾などで出会ってきた、のべ数千人の独立系コンサルタントとその予備軍の人たちが抱える「お困りごと」、つまり悩みを起点にして、その解決法をメソッド化して紹介するものだからです。
この「はじめに」では、本書を通じてどのようなお困りごとを解決できるのか、5つの代表的なテーマについてお答えしていきます。
ちなみに、冒頭に紹介した、
★「コンサルタントで本当に食べていけるの?」
は、最も耳にするお困りごとです。
これについては、本書の内容すべてが回答になりますが、とくに大事なのは第3章の「あり方」を定めることだと思います。僕がコンサルタントとして20年間やってこられたのは、独立したときに「あり方」を定めて、どんな場面でも自分の軸がブレなかったからに違いない、と分析しているからです。
以下、残りの4つの代表的なお困りごとについても、解決策を1つひとつお伝えしていきましょう。
★「どんなコンサルタントになればやっていけるの?」
僕はコンサルタントには3つのタイプがあると考えています。
①先生型コンサルタント
②御用聞き型コンサルタント
③パートナー型コンサルタント
①の先生型とは、専門的な知識があり、その人だけが知っている正解を教えるコンサルタントのこと。従来型のコンサルタントはこのタイプで、クライアントと対等な立場ではなく、教えて諭すような立場になります。高額の報酬をもらえますが、単発的な仕事が多いので、常に見込み客を開拓しないとやっていけない恐れがあります。
②の御用聞き型は、最近増えてきたタイプです。クライアントよりも立場が弱く、どんなに理不尽な要求をされても黙って従うようなコンサルタントです。御用聞き型は報酬も安くて、貧乏ヒマ無しになって疲弊するケースが多く、長くやっていくのは難しくなります。
最後の③のパートナー型とは、クライアントと対等な立場であり、横に並んで背中を押すパートナー的な役割を果たします。専門的な知識をアドバイスするのではなく、クライアントが抱えているお困りごとを解決するために、クライアントが自ら答えを出せるよう導く存在になります。
僕は独立したときから、パートナー型のコンサルタントとしてやってきました。本書でご紹介するのも、パートナー型になるためのメソッドです。
パートナー型のコンサルタントは高額報酬で長期契約を結べるうえに、1社と何十年もおつきあいすることもあります。事業として一番安定しているタイプなのです。
★「どのようにコンサルティング能力を高めたらいいの?」
コンサルタントは、特定の業界で専門職の経験があったり、高度で難易度の高い資格がないとやっていけないと思っている方は多いでしょう。実のところこの2つ、つまり経験も資格もなくてもやっていけると考えています。
僕はクライアントのお困りごとを解決するサポートをしてきました。ここで大事なのは、コンサルタントが問題を解決するのではなく、クライアント自身が解決できるように導くということ。
実際にやってみるとわかりますが、問題に対して自分なりの答えを提案するほうが簡単です。それをしないで、クライアント自身の心の奥底にある答えを見つけてもらうために、脳に汗をかいているのです。
お困りごとに対して的確なアプローチができれば、専門的な知識がなくてもクライアントに求められるコンサルタントになることができます。
もちろん、何も勉強しなくてもいいというわけではありません。ただ、ムダな勉強をする必要はないので、第5章の勉強法を参考にしていただければと思います。
★「クライアントはどうやって増やせばいいの?」
これも、多くのコンサルタントからよく聞くお困りごとです。
答えを一言でいうなら、「自分からは売り込まない」ということになります。見込み客を口説き落とすために営業をするのではなく、やるべきことをやった結果、クライアントと契約を結べるようになるのが理想です。
これについては、第1章の見込み客との出会い方を実践していただくのが一番の近道です。同時に、第4章で紹介する戦略的な情報発信も行えば、絶えず見込み客がいる状態になるでしょう。
★「契約を切られたらどうするの?」
これは、コンサルタントになってから常に付きまとう不安でしょう。
僕も、独立当初は心のどこかにこの不安がありました。コンサルタントは1社の解約で即、年間で数百万円の利益減になるので、契約を切られるのは死活問題です。
自分の経験から言えるのは、どんなに頑張っても契約は切られることはあるということ。僕の場合は報酬の値上げを相談したときや、クライアントと僕との目指していた方向性にズレが生じたときに契約終了となりました。独立して間もないころは、クライアントを怒らせてしまい、即契約解除になった苦い思い出もあります。
独立系コンサルタントになったからには、契約の打ち切りは避けて通れません。だからこそ、イチから見込み客と出会いクライアントにしていく、「営業力」を養うことが重要なのです。
以上が、5つの代表的なお困りごとに対する、僕なりの答えになります。
「はじめに」を締めくくるにあたり、『独立系コンサルタントの成功戦略』という本書のタイトルについて、特に「成功」とは何か、「戦略」とは何か、について考えるところをお伝えしておきます。
本書における「成功」とは、「年間報酬3000万円超えが10年続く独立系コンサルタントになること」を指します。
そして「戦略」とは、「その成功から逆算して行動するためのシナリオ」のことです。ちなみにその反対は、「なりゆきまかせに行動すること」です。
本書を読む方であれば、きっと誰もが普通の人以上の努力をされることでしょう。しかし、その努力には報われる努力と報われない努力があります。
たとえば、もしあなたが「目標を成し遂げたことがない人の思いつきの意見」を信じて、真面目に努力したら、結果はどうなるでしょうか?一方、「目標を成し遂げた人が他の人にも実践できるよう再現性を追求して体系化したやり方」を信じて、真面目に努力したら、結果はどうなるでしょうか?
同じように努力をしても、前者より後者のほうがはるかに報われる光景が、目に浮かびますよね。
そこで本書では、僕が独立系コンサルタントとして20年以上、自ら実践するとともに、のべ数千人のコンサルタントや士業の方々にお伝えし、再現性が実証済みの「和仁メソッド」を30本、7章に分けて紹介していきます。
これらのメソッドこそ、独立系コンサルタントがすぐ始めて安定的に稼げる「30の秘密」に他なりません。
読む人によっては「ここまで公開して大丈夫なの?」と思うかもしれません。ただ僕には、パートナー型コンサルタントは世の中にもっと増えてほしいという願いがあります。なぜなら、パートナー型コンサルタントこそが、クライアントである社長や社員を幸せにすることができるからです。
世の中にあるすべての会社の社長と社員が幸せになれば、世界全体が元気になる。その景色を見られることは、自分にとって最高に幸せなことです。
そんなワクワクする未来のために、僕のノウハウを公開することにしました。
とくに最近は、大企業が続々と副業を解禁し、社員を定年まで雇えないことを暗に表明しています。サラリーマンが会社に依存しづらい環境になってきました。
今後、独立する人はいっそう増えていくことでしょう。
読者の方が、人生の新たなチャレンジとしてコンサルタントを選ぶのであれば、僕は全力で応援します。
また、既にコンサルタントとして独立はしたものの、軌道に乗せることができずに壁にぶち当たっているのなら、本書がその壁を乗り越えるための手助けになれば幸いです。
2019年8月
和仁 達也
※本書に出てくる「コンサルタント」とは、経営・戦略・人事・マーケティングなど、企業に対してコンサルティングを行う人を総称しています。なお、『はじめに』の帝国データバンクの研究レポートにある経営コンサルタントとは、本書でいうコンサルタントとほぼ同じ意味と考えられます。
※本書でいう「年間報酬3000万円」とは、独立系コンサルタント1人(ほかにパートアシスタント1名程度)が各種コンサルティング活動(個別コンサル、グループコンサル、セミナー、講座、教材など)から得る年間収入を指しています。
※本書のなかに何度か登場する「一般社団法人日本キャッシュフローコーチ協会」とは、著者が2015年に設立した、コンサルタントが500人以上集まるコミュニティです(人数は2019年8月時点)。この協会が認定する民間資格「キャッシュフローコーチ」は、クライアント企業の社外CFO(最高財務責任者)として、経営数字を使って本業の発展をサポートする役割を担っています。
一般社団法人日本キャッシュフローコーチ協会公式サイト→https://www.jcfca.com/
本書の構成
本書は全部で7章立て、49項目、そして30の「和仁メソッド」で構成。コンサルタントが陥りやすい「落とし穴」や、2種類の事例(NGなケース、OKなケース)を多数盛り込みました。図版も随所に掲載し、「和仁メソッド」や、著者おススメのツールをかみ砕いて説明しています。
目次
はじめに
本書の構成
第1章 独立系コンサルタントは見込み客とどうやって出会うのか
1 見込み客探しでやりがちな3つの間違った努力
「結果が出ない顧客アプローチはすぐに辞める」
2 成約につながる人脈のつくり方・使い方
「独立するなら見込み客が3人以上見つかってから」
3 〈見込み客づくり①〉知り合いにアポを取る
「売り込まずに、売れる方法を考える」
4 〈見込み客づくり②〉セミナーで声をかける
「自己PRより、プチ・コンサルで話を聞こう」
5 〈見込み客づくり③〉自分で飲み会を開く
「幹事ほど美味しいポジションはない」
6 〈見込み客づくり④〉知人に紹介してもらう
「まずはキーパーソンを探せ」
7 〈見込み客づくり⑤〉リスクゼロのセミナーの開き方
「自社セミナーで、人が集まらなかったら大チャンス」
8 〈見込み客づくり⑥〉教材やレポートを足がかりにする
「教材こそが『最強の宣伝ツール』である」
9 〈見込み客づくり⑦〉ゲスト講師として呼ばれた場合
「成功のカギはアンケート用紙の中にあり」
第2章 独立系コンサルタントはプロフィールをどう書くか
1 1分間の自己紹介のチャンス! 何をしゃべるか
「すべてにおいて『相手起点』で考える」
2 プロフィールのどこを読んでもらうべきか
「最初の1行が勝負」
3 何と名乗るかで、「やること」と「報酬」が決まる
「肩書は自分でつくってしまう」
4 士業の人がコンサルタントになれない理由
「資格には『死角』があると知っておく」
5 クライアントからどう見られたいのか
「専門性より大切なのは、『お困りごと』の解決」
6 コンサルタントとしての存在感を高めるには
「自分の見せ方は自分でマネジメントする」
7 ちゃんと伝わる自己紹介をどう組み立てる
「まずはテンプレートのアレンジから始めよう」
8 「紹介のされ方」を他人任せにしない
「自分が思う自分と人が思う自分の距離を埋める」
9 「コンサルタントの活用法」をクライアントに教える
「自分のトリセツをあらかじめ渡そう」
第3章 これからの独立系コンサルタントの「あり方」とは
1 なぜ、「あり方」が重要なのか
「ブレない柱があなたを伸ばす」
2 セルフイメージで「輪郭」をつくる
「『自分は何者か』は自分で決める」
3 お困りごとトップ3にアプローチするという発想
「時代は変わっても社長の本質的なお困りごとは不変」
4 クライアントの本音を考えた言動をする
「社長には指図しないで伴走しよう」
5 スキルや知識のあるコンサルタントが、行き詰る理由
「専門医ではなく、ホームドクターを目指す」
6 コンサルタントに向く人、向かない人がいる
「他人ごとを自分ごととして考えよう」
7 クライアントが離れていくのを恐れるな
「お客様は神様ではありません」
第4章 独立系コンサルタントの戦略的情報発信術
1 不特定多数に情報発信を始める前に
「1000人の客も目の前の1人から」
2 媒体ごとに情報発信のスタンスは変えるべきか
「情報発信は内容・表現方法をきめ細かく使い分ける」
3 情報発信で一番大切なこと
「受信する人の『お困りごと』にフォーカスしよう」
4 5G時代に動画での情報発信はどうあるべきか
「動画のつくり方にもテンプレートがある」
第5章 独立系コンサルタントの勉強法
1 コンサルタントは何を学べばいいのか
「自分を『ガラパゴス化』させないためにインプットを続ける」
2 誰もが通る、「自己投資過多」の時期の過ごし方とは
「情報はアウトプットしなければ、ただのゴミ」
3 コンサルタントには学ぶべき必須科目があるのか
「意味のない勉強はない」
4 時間がない人のための自己投資のコツとは
「忙しいときは『今すぐ15分!』」
5 同業者と一緒に学ぶメリットとは
「話し上手より聞き上手になれ」
6 コンサルタントにもロールモデルは必要か
「憧れの人からの学び効果は想像をはるかに超える」
7 ロールモデルを真似た先にあるものとは
「マネから始めてもマネで終わるな」
第6章 10年スパンで考える独立系コンサルタントのキャリア戦略
1 〈独立前〉「副業として実績を積んでから独立」は正解か
「成功したいなら退路を断て」
2 〈独立前〉コンサルティングの「スタイル」と「型」を決める
「自分の限界値を常に知っておく」
3 〈1年目〉クライアントにとっての真のパートナーになるには
「計画は常に可視化せよ」
4 〈1~3年目〉壁にぶつかったと感じたら
「失敗は未来の自分をつくる宝物である」
5 〈1~3年目〉軌道に乗ったときこそ運命の分かれ道
「毎日『何が一番大切か』を自問自答する」
6 〈4~6年目〉アウトプットとインプットのバランスをとる
「手放すことで手に入るものがある」
7 〈4~6年目〉経営者に当たり負けしないために
「利他の心があれば、必ず道はひらける」
8 〈7~10年目〉10年でやっとスタートライン
「コンサルタントは、現場なしでは生きていけない」
9 〈10年目以降〉あえてもう1つの軸をつくる
「社会貢献したいという使命感が、自分の可能性を広げる」
10 コンサルタントは報酬額によって「あり方」が変わるのか
「一流は、報酬以外にも求めるものがある」
第7章 独立系コンサルタントがあえてコミュニティを必要とする理由
1 なぜ、コンサルタントが仲間づくりに情熱を注ぐのか
「馴れ合わない同志は永遠の友人となる」
2 自分にぴったりくるコミュニティの見つけ方
「コミュニティはワクワク・ドキドキを探せ」
3 活性化しているコミュニティがやっていること
「自分の経験を仲間のためにアウトプットしていく」
おわりに
巻末付録 和仁メソッドを一気におさらい
編集協力◎大畠 利恵
カバーデザイン◎井上 新八
図版作成◎齋藤 稔〈ジーラム〉
コンサルティング業界大研究[最新]
コンサルティング業界の現状がわかる
本書は、コンサルティング業界について各企業の特徴なども紹介しながら解説している本です。コンサルティングの基本からファームの仕組み、コンサルタントの仕事内容や各ファームの特徴や戦略、採用プロセスなど、コンサルタントを目指す方には役立つ内容がまとめられています。
まえがき
2017年6月3日、アンダーセン コンサルティング(現アクセンチュア)1997年7月入社20周年記念イベントがあり、同期のメンバー20人で恵比寿の一軒家に集まった。現役コンサルタントを続けているメンバーもいるが、コーチ、弁理士、鍼灸師、看護師、病院経営、起業家など、さまざまなフィールドで活躍をしているメンバーも多い。サンフランシスコ・ベイエリアでスタートアップをやっているメンバーもオンラインで参加して朝まで語り明かした。みな40代半ばに入っているが、それぞれの分野でチャレンジを続けていた。
アンダーセンコンサルティングとアクセンチュアのOB・OGが参加するコミュニティも今年20周年を迎えた。「地方創生」「人事・組織」などをテーマに交流会などが活発に行われている。企業経営の困りごとは全てこのコミュニティで解決するのではないかと思えるほどアクティブなコミュニティになっている。社員数が世界で2000人、日本は8人という時代に新卒で入社された森正勝さんを始めとする60代、70代の先輩方も積極的に参加されており、さまざまな分野でチャレンジをされている。
今、多くのコンサルティングファーム出身者が、コンサルタントとして企業変革を推進してきた経験と能力を活かし、さまざまな立場で、社会の問題解決に取り組んでいる。20年前は、知る人ぞ知る存在だったコンサルタントも当たり前の存在になった。20年の時を経て、本書の役割も変化してきた。
本書はコンサルティング業界の情報が少ないという状況を変えるために、1997年、アンダーセン コンサルティング内定有志によって、コンサルティング業界を客観的に俯瞰する就職ガイドブックを創ろうと企画立案された。そして、『コンサルティング業界大研究』(1998年)が世に生まれた。
その後、『コンサルティング業界大研究——人と仕事そして就職』(1999年)として全面改訂。2001年に改訂、2005年には『コンサルティング業界大研究』として全面改訂。2007年、2013年の改訂と5回の改訂を重ね、就職活動生・転職希望者に、コンサルティング業界のガイドブックとして親しまれてきた。
今回は初版から20年という大きな節目ということで、各社へのインタビューなどの全面改訂を行った。これまでは、外資ファームにフォーカスしていた取材対象を内資の有名・有力ファームにまで広げ、網羅的に取材を敢行した結果、合計32社を掲載。20社を超える内資ファームを新たにご紹介することで、日本のコンサルティング業界の全体像を捉えることに挑戦した。各社の紹介においては、これまでの生の声を生のまま掲載するインタビュー形式を変更。分析的な視点を重視し、各社の特徴や強み、今後の成長戦略を端的に整理し、各ファームの違いをわかりやすく伝えることを目指した。徹底的な取材と各ファームのご協力により、今のコンサルティング業界の全体像をつかむことができたと自負している。なお、今回の取材を通してみえてきた以下の最新トピックスについても、各社の取り組みを詳しく紹介していく。
・AI(人工知能)やIoT(Internet of Things : モノのインターネット)、ビッグデータなどのデジタル化への対応
・クロスボーダー案件の継続拡大(M&A、海外進出、グローバルビジョンの策定・浸透など)
・オープンイノベーションなどの新規事業開発支援
第5章に各社の詳細な採用プロセスやトレーニング、配属方法なども網羅的に記載した。コンサルティング業界を目指す就職活動、転職活動にお役立ていただければ幸いである。
今回の改訂における取材執筆は現役コンサルタントとして活躍している山越理央氏が担当した。20年前に本書が生まれた時は、実際の現場を知らない内定者が取材をしていた。初版第1刷の「はじめに」にはこのように書かれている。
「いったい、コンサルティングファームというのは、具体的にどんな仕事をする企業なのか」
企業戦略に丸ごと関わるという性格上、守秘義務が非常に厳しく課せられた仕事。コンサルティング内容も、クライアントの企業名すら明らかにされていない。そんなコンサルティング業界の情報を深く知りたい内定者が取材を続けてきた。
今回の改訂では、2013年の改訂時に内定者の立場で取材執筆にあたった山越理央氏が4年間の現役コンサルタントとしての経験を積んだ上で、取材執筆に再びあたることになった。さすが、業界をよく知る極めて優秀な現役コンサルタントであるがゆえに、各社の特徴や強み、成長戦略を明確に把握して端的にまとめていただいている。
コンサルティングファームに就職・転職しようと考える学生・ビジネスパーソンのみならず、コンサルティングファームに興味をもち、理解したいと思うすべての人に本書がお役に立てれば幸いである。
2017年8月
株式会社ジョブウェブ
代表取締役会長 佐藤孝治
CONTENTS
コンサルティング業界大研究
まえがき
Chapter1 コンサルティングファームとは
1 コンサルティングとは何か?
2 どこで差別化するか――コンサルティングファームの戦略とは
3 コンサルティングファームの機能とは何か
4 コンサルティング業界の現状と将来
5 コンサルティングファームの経営
6 パートナー制と株式公開
7 戦略系コンサルティングファームの将来――戦略系は衰退産業か
8 コンサルティングとITの関係
9 アウトソーシングとコンサルティングファーム
Chapter2 コンサルタントという仕事
1 コンサルタントの仕事の面白さ
2 コンサルタントの仕事の進め方
3 コンサルタントのキャリアパス
4 プロジェクトはどのように進むか
5 コンサルタントのワークスタイル
6 コンサルタントの研修・育成
7 コンサルタントの評価はどうなっている?
8 コンサルタントの将来
Chapter3 主要ファームの特徴と戦略
1 アーサー・D・リトル
2 アクセンチュア
3 アビームコンサルティング
4 A・T・カーニー
5 NTTデータ経営研究所
6 クニエ
7 経営共創基盤
8 コーポレイトディレクション
9 シグマクシス
10 スカイライト コンサルティング
11 デリバリーコンサルティング
12 デロイト トーマツ コンサルティング
13 電通コンサルティング
14 ドリームインキュベータ
15 日本能率協会コンサルティング
16 野村総合研究所
17 博報堂コンサルティング
18 PwCコンサルティング
19 ビジネス・パートナーズ
20 日立コンサルティング
21 船井総合研究所
22 プロレド・パートナーズ
23 フロンティア・マネジメント
24 ベイカレント・コンサルティング
25 ベイン・アンド・カンパニー
26 ボストンコンサルティンググループ
27 マッキンゼー・アンド・カンパニー
28 三菱総合研究所
29 三菱UFJリサーチ&コンサルティング
30 リヴァンプ
31 リブ・コンサルティング
32 ローランド・ベルガー
Special Talk ● コンサル“後”のキャリアを考える
——コンサルティングファームで学べること、学べないこと
田野崎亮太さん(フェイスブックジャパン執行役員)×若原強さん(コクヨ ワークスタイル研究所所長)×松村有晃さん(楽天 執行役員・顧客戦略統括部ディレクター)
Chapter4 コンサルティングファームに入るには
1 どうなっている? 新卒採用プロセス
2 中途採用プロセスの実際
3 面接では何が評価されるのか
4 新卒コンサルタントの価値とは?
5 コンサルティングファームが期待する人物像
6 必読! 選考突破に役立つおすすめ本
Chapter5 主要ファームの採用プロセス・トレーニング・配属方法一覧
1 アーサー・D・リトル/2 アクセンチュア/3 アビームコンサルティング/4 A・T・カーニー/5 NTTデータ経営研究所
6 クニエ/7 経営共創基盤/8 コーポレイトディレクション/9 シグマクシス/10 スカイライト コンサルティング/11 デリバリーコンサルティング/12 デロイト トーマツ コンサルティング
13 電通コンサルティング/14 ドリームインキュベータ/15 西日本能率協会コンサルティング/16 野村総合研究所/17 博報堂コンサルティング
18 PwCコンサルティング/PwCコンサルティング(Strategy&)/19 ビジネス・パートナーズ/20 日立コンサルティング/21 船井総合研究所/22 プロレド・パートナーズ
23 フロンティア・マネジメント/24 ベイカレント・コンサルティング/25 ベイン・アンド・カンパニー/26 ボストン コンサルティング グループ/27 マッキンゼー・アンド・カンパニー/28 三菱総合研究所
29 三菱UFJリサーチ&コンサルティング/30 リヴァンプ/31 リブ・コンサルティング/32 ローランド・ベルガー
あとがき
カバーデザイン
内山絵美((有)釣巻デザイン室)
DTP
矢田秀一(ティーケー出版印刷)
写真撮影
三枝直路