高校数学でわかるディープラーニングのしくみ

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予備知識なしでわかる

ディープラーニング(深層学習)の大まかな基礎や時代の流れから、数理的なアルゴリズムの説明までとても丁寧に説明しています。初心者にも、一度ディープラーニングを理解するのを諦めてしまった人にもオススメできる一冊です。今までよくわからなかったところの知識の向上も期待できます。

涌井 貞美 (著)
出版社 : ベレ出版 (2019/12/11)、出典:出版社HP

はじめに

新聞やテレビの報道において、AI(人工知能)や、それを組み込んだロボットが毎日のように話題になっています。
「AIがプロ棋士に勝つ」
「AIがCT画像からベテラン医師以上にガンの患部を発見」
「ロボットが人の話を聞いて道案内」
「AIによる自動運転が自動車業界に革命をもたらす」
どれか一つは、思い当たることでしょう。さらに極め付きの話題が、「AIに仕事を奪われる」といわれる問題で、「2045年には人工知能が人間の知性を超える」という「シンギュラリティ」予測です。SF映画の世界が現実感を持って語られるようになっているのです。
さて、このような時代において、AIのしくみをしっかりと理解しておくことは何にも増して大切でしょう。得体の知れないものに自分の病気を診断されたり、しくみも知らない自動運転のクルマに乗ったり、何を考えているかわからないロボットと仕事場を共有するというのは、なんとも不気味です。さらに、「AIで大量失業」と脅かされると、AIに対して無用な恐怖心さえ持ってしまいます。
本書は、現代のAIブームを引き起こした仕掛け人である「ディープラーニング」について、そのしくみを基本から解説した入門書です。図を多用し、高校レベルの数学の知識で十分わかるように、その考え方を解説しています。「AIはこのような考え方で判断を下しているのだ!」ということが実感されるように話を進めています。
細かい数学的な議論をしなければ、ディープラーニングの原理はそれほど難しいものではありません。本書がその理解に少しでも役立てれば幸甚です。
最後になりましたが、本書の企画から上梓まで一貫してご指導くださったベレ出版の坂東一郎氏、および編集工房シラクサの畑中隆氏にこの場をお借りして感謝の意を表させていただきます。
2019年初秋 著者

contents

1章
活躍するディープラーニング
[1]AI時代の扉を開いたディープラーニング
[2]ディープラーニングとAI
[3]機械学習とディープラーニング
[4]ディープラーニングの本質は特徴抽出
[5]教師あり学習と教師なし学習
[6]画像解析とディープラーニング
[7]音声認識とディープラーニング
[8]ビッグデータとベストマッチするディープラーニング
[9]第4次産業革命を支えるディープラーニング

2章
絵でわかるディープラーニングのしくみ
[1]話の始まりはニューロンから
[2]ニューロンロボットに解説させる
[3]ニューロンロボットを層状に配列
[4]ニューラルネットワークが知能を持つしくみ
[5]ニューラルネットワークの「学習」の意味
[6]絵でわかる畳み込みニューラルネットワーク
[7]絵でわかるリカレントニューラルネットワーク

3章
ディープラーニングのための準備
[1]シグモイド関数
[2]データ分析におけるモデルとパラメーター
[3]理論と実際の誤差

4章
ニューラルネットワークのしくみがわかる
[1]ニューロンの働きを数式で表現
[2]ユニットと活性化関数
[3]シグモイドニューロン
[4]ニューラルネットワークの具体例
[5]ニューラルネットワークの各層の働きと変数記号
[6]ニューラルネットワークの目的関数
[7]ニューラルネットワークの「学習」
[8]ニューラルネットワークの「学習」結果の解釈

5章
畳み込みニューラルネットワークのしくみがわかる
[1]畳み込みニューラルネットワークの準備
[2]畳み込みニューラルネットワークの入力層
[3]畳み込みニューラルネットワークの畳み込み層
[4]畳み込みニューラルネットワークのプリング層
[5]畳み込みニューラルネットワークの出力層
[6]畳み込みニューラルネットワークの目的関数
[7]畳み込みニューラルネットワークの「学習」
[8]畳み込みニューラルネットワークの「学習」結果の解釈
[9]畳み込みニューラルネットワークをテスト
[10]パラメーターに負を許容すると

6章
リカレントニューラルネットワークのしくみがわかる
[1]リカレントニューラルネットワークの考え方
[2]リカレントニューラルネットワークの展開図
[3]リカレントニューラルネットワークの各層の働き
[4]式でリカレントニューラルネットワークを表現
[5]リカレントニューラルネットワークの目的関数
[6]リカレントニューラルネットワークの「学習」

7章
誤差逆伝播法のしくみがわかる
[1]最適化計算の基本となる勾配降下法
[2]誤差逆伝播法(バックプロパゲション法)のしくみ
[3]誤差逆伝播法をExcelで体験
[4]誤差逆伝播法をPythonで体験

Appendix
付録
[付録A]本書で利用する訓練データ(1)
[付録B]本書で利用する訓練データ(II)
[付録C]VBAの利用法
[付録D]ソルバのセットアップ法
[付録E]Windows10のコマンドプロンプトの利用法
[付録F]Pythonのセットアップ法
[付録G]微分の基礎知識
[付録H]多変数関数の近似公式と勾配
[付録I]畳み込みの数学的な意味
[付録J]ユニットの誤差と勾配の関係
[付録K]ユニットの誤差の層間の関係
索引

涌井 貞美 (著)
出版社 : ベレ出版 (2019/12/11)、出典:出版社HP

《本書の使い方》

●本書はディープラーニングのアルゴリズムの基本的な解説を目的としています。図を多用し、具体例で解説しています。そのため、多少厳密性に欠ける箇所があることはご容赦ください。
●高校数学3年生程度の数学の知識を想定しています。
●本書でニューラルネットワークという場合、畳み込みニューラルネットワークなど、広くディープラーニングと呼ばれているものも含めています。また、活性化関数はシグモイド関数を前提としています。
●本書で微分を考える関数は、そのグラフが十分滑らかと仮定します。
●理論を確かめるために、本書はマイクロソフト社Excelと、データ処理のための汎用言語Pythonを利用しています。ワークシートはExcel2013以降で動作を確かめてあります。また、PythonはWindows10上で動作するバージョン3.74を利用しています。
●計算結果で示した小数は、表示された位数の下の位を四捨五入しています。

涌井 貞美 (著)
出版社 : ベレ出版 (2019/12/11)、出典:出版社HP