【最新】国際連合について理解を深めるためのおすすめ本 – 国連の歴史から機関・役割まで

国連とはどんな組織?その役割とは?

国際連合とはどのような組織かご存知でしょうか?国連は193か国が加盟する国際機関ですが、その組織や役割についてあまりよく知らないという方も多いはず。また最近では、SDGsの採択に伴い、国連についてあらためて知ろうと思っている方もいると思います。そこで今回は、国連の組織や役割などについて学ぶことのできる本をご紹介します。

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出典:出版社HP

国際連合 その役割と機能

国際連合とは何か

本書は、国際連合とその役割について解説した本です。国際連合は、第二次世界大戦後の国際社会の枠組みを構成する国際機関ですが、設立された背景や基本的なあり方は、普遍的なものを目指しています。安全保障理事会や紛争の平和的解決といった、国連に関する内容がまとめられています。

植木 安弘 (著)
出版社 : 日本評論社 (2018/2/13)、出典:出版社HP

はじめに

国際連合(国連)とは何か。国連を代表するのは誰か。一見簡単そうに見える質問であるが、答えはそう簡単なものではない。
国連とは端的にいうと「普遍的政治的国際機関」である。「普遍的」とは、ほとんどの国家(この場合、主権国家)が加盟していることである。しかし、「ほとんどの国家が加盟している国際機関」は多い。なぜ国連が他の国際機関と違うかは、その政治性にある。政治的な国際機関はいくつもあるが、その多くが地域的機関である。欧州連合(EU)などはその代表的な例だ。国連が他の政治的国際機関と違う点は、ほとんどの主権国家を加盟国とする政治的機関であることと、国際法上、個別的あるいは集団的自衛の他に武力行使を含む強制行動が取れる唯一の国際機関だということである。
国連は国際機関であるが、正確にいうと主権国家が集まった「国際政府機関」(international-governmental organization:IGO)であり、民間団体で構成される国際非政府機関(international non-governmental organization:INGO)とは異なる。

では、国連を代表するのは誰か。これはより複雑である。国際の平和と安全の維持で第一義的役割を与えられている安全保障理事会(安保理)で決議が採択されると、これは国連の決議となる。全加盟国を擁する総会で決議が採択されると、これも国連の決議となる。毎月交代する安保理議長が議長声明や記者声明を出すと、国連の声明となる。総会議長が声明を出すとこれも国連の声明となる。国連事務局のトップたる事務総長が発言すると国連の発言となる。国連人権高等弁務官や国連難民高等弁務官が発言すると、これも国連の発言となる。このリストはかなり長い。国連の組織がかなり膨大です。つ複雑に入り込んでいるので、外から見ると、国連の組織に所属する人が発言したり行動をとったりすると国連の発言あるいは行動として理解されるのである。場合によっては決議や発言の内容に一貫性がない場合もある。そのため、誰が国連を代表しているのか問題になることもある。

国連とは何か。国連とは誰か。国連の組織はどうなっているのか。国連の目的や原則は何か。国連の成果や課題は何か。国連は一般の人々にとって何の意義があるのか。これらの疑問に答え、国連の役割と機能を国連憲章だけではなく、現実の行動に照らし合わせて概説しようとするのが本書の目的である。
国連は抽象的な概念ではない。変動しつつある国際政治の中で常にその時々のニーズに応じて国連の活動も変遷してきた。第二次世界大戦の廃墟の中から生まれた国連は、70年以上を過ぎた今日でも紛争予防行動から平和維持活動、紛争調停、紛争後の復興や安定化、経済社会開発、人権の促進、人道支援、持続可能な発展など幅広い分野で活動を行っている。その全体像を理解するのはそう簡単なことではないが、世界の人々の命や尊厳に直接的、間接的に影響を与える存在となっていることは確かである。
国連の役割と機能を正確に、そして現実的に理解することにより、より積極的にグローバルな国際社会の課題に立ち向かうとともに、ローカルなレベルでも少しでも人々の安全と生活の向上、持続的社会の発展、そして、すべての人の尊厳を実現することに役立てることができれば、本書の意義が出てくる。

植木 安弘 (著)
出版社 : 日本評論社 (2018/2/13)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 国連の目的と特徴
1. 国連憲章前文の意味するもの
2. 国際連盟の創設と崩壊
3. 国連設立の交渉過程
4. 国連の目的
5. 国連の特徴

第2章 国連の原則
1. 主権平等と義務の履行
2. 国際紛争の平和的解決
3. 領土保全、政治的独立の尊重
4. 強制行動をめぐる原則
5. 内政不干渉と主権の壁

第3章 加盟国の地位
1. 原加盟国と新加盟国
2. 冷戦と国連加盟問題
3. 国家承認と国連加盟
4. 国家統合と分離
5. パレスチナと台湾の加盟申請
6. 加盟の資格
7. 権利の停止と追放
8. 脱退規定の欠如

第4章 国連の主要機関
1. 主要機関の設立と権限の相互関係
2. 下部機関

第5章 総会
1. 任務と権限
2. 通常総会
3. 下部機関の役割
4. 特別総会と緊急特別総会
5. 表決
6. 予算
7. オブザーバーと市民社会の参加
8. 国際法の漸次的発展と法典化
9. 総会の活性化

第6章 安全保障理事会
1. 任務と権限
2. 構成
3. 表決
4. 議長
5. 決議の採択
6. 決議の法的拘束性
7. 公式会合、非公式協議、私的会合
8. 下部機関の役割
9. 安全保障理事会改革への動きと行き詰まり

第7章 紛争の平和的解決
1. 平和的解決の義務
2. 安全保障理事会の要請、調査、勧告
3. 安全保障理事会の調査団派遣
4. 平和的解決の手段
5. 総会の役割
6. 事務総長の役割
7. 事務総長などによる事実調査
8. 人権理事会による事実調査
9. 安全保障理事会下部機関による検証や査察
10. 国連平和維持活動(PKO)の貢献

第8章 強制行動
1. 国際平和と安全への脅威の存在決定
2. 暫定的措置
3. 武力を伴わない強制措置―経済制裁
4. 包括的経済制裁
5. 部分的経済制裁
6. 制裁委員会
7. 経済制裁の効果
8. 武力の行使
9. 個別的、集団的自衛の権利
10. 多国籍軍の活用
11. 国連PKOによる強制行動
12. 地域的機関や取極めの活用と旧敵国

第9章 経済社会理事会
1. 経済と社会分野での国際協力
2. 総会と経済社会理事会の関係
3. 権限と機能
4. 構成、議長、会期、表決
5. アジェンダと年次会合
6. 機能委員会と地域委員会の役割
7. 専門機関、基金、プログラムとの調整と連携
8. 人権委員会から人権理事会へ
9. NGOと市民社会の貢献

第10章 国際経済開発社会変動への対応
1. 戦後の復興と難民対策(1946-1950年代)
2. 非植民地化と新興独立国支援(1960年代)
3. 南北対立と環境問題(1970年代)
4. 途上国債務問題と構造調整(1980年代)
5. 開発へのパラダイムシフトと気候変動への対処の始まり(1990年代)
6. ミレニアム開発目標(2000年代)
7. 持続的開発目標へ(2010年代—)
8. 開発における国連の優位性

第11章 信託統治理事会と非植民地化
1. 民族自決権と連盟の委任統治制度
2. 国連の信託統治制度
3. 信託統治理事会
4. 非自治地域宣言と非植民地化
5. 今日の非自治地域とその将来

第12章 国際司法裁判所
1. 主要な司法機関
2. 非加盟国の加入
3. 管轄権
4. 義務的管轄権
5. 裁判官の構成、任期、選出
6. 判決と勧告的意見
7. 勧告的意見(Advisory Opinion)
8. 係争の領域
9. 日本の捕鯨に関する国際司法裁判所の判決

第13章 国連事務総長と事務局
1. 事務総長の地位と権限
2. トリグブ・リー初代事務総長の選出と苦悩
3. ダグ・ハマーショルド事務総長の貢献
4. 財政危機への対処と途上国支援を推進したウ・タント事務総長
5. 南北対立の中のクルト・ワルトハイム事務総長
6. 冷戦終焉期のハヴィエル・ペレス=デクエヤル事務総長
7. ブトロス・ブトロス=ガリ事務総長とアメリカの対立
8. 事務局上がりの唯一のコフィ・アナン事務総長
9. アジア的潘基文事務総長
10. 混迷期の国際政治に対応するアントニオ・グテーレス事務総長

第14章 国連憲章改正と死文化条項
おわりに
(付録)国連憲章

植木 安弘 (著)
出版社 : 日本評論社 (2018/2/13)、出典:出版社HP

国際連合の基礎知識 第42版

国際連合の基本がわかる

本書は、国際連合の組織的な解説と役割の説明をまとめています。国連憲章から始まり、組織の構造、平和と安全を目指したシステムなどを紹介しています。世界の人々の生活や人権、尊厳を守ることを目指した国連がどのような組織であるかが理解できるようになっています。

国際連合広報局 (著), 関西学院大学総合政策学部発行 (その他), 八森 充 (翻訳)
出版社 : 関西学院大学出版会; 第42版 (2018/11/5)、出典:出版社HP

はじめに

国際連合は国際システムに不可欠な柱石であることには変わりはなく、世界の各地において24時間体制の下で平和のために、持続可能な開発のために、そして人権擁護のために働いている。私たちが直面する課題はますますグローバルな性格を帯び、私たちの運命は容赦なく絡み合っている。こうした状況にあって国際連合そのものが——その目的、その活動、その理想がこれまでにも増して重要となった。
1947年以来発行されてきた「国際連合の基礎知識」は、国連に関する包括的かつ信頼できる手引書としてその役割を果たしてきた。この新しい版は国際連合システム全体の歴史や機構について述べているばかりではなく、それがどのように機能し、世界の人々のためにどのような活動を進めているかについても述べている。
この数十年の間に人間の福祉の現状は大幅に改善された。それにも関わらず、暴力的な対立、集団移動、人道的危機、テロリズム、貧困、若年者の失業、不寛容、不平等など、多くの問題が複雑さを増してきた。気候変動は大きな脅威となって、自然災害の影響を増幅させ、グローバルな水と食料の安全保障を脅かしている。
こうした問題のすべては多国間協力が緊急に必要であることを物語っている。平和と安全保障、人権、持続可能な開発、こうしたことはすべて密接につながっており、そうした認識に基づく協力が不可欠である。そのための協力の場が国連連合なのである。世界の国々の代表が一堂に会し、互いに共有する問題に取り組み、かつ共通の機会をとらえるための世界が有するユニークかつ普遍的な場である。この最新版には最近の協力が詳細に記載されている。例えば、2015年に承認された三件の画期的な国際協定、すなわち、気候変動に関するパリ協定、開発資金に関するアディスアベバ行動目標、持続可能な開発のための2030アジェンダーである。こうした歴史的な計画は健全な地球上のすべての人々のための平和、繁栄、尊厳のための青写真である。
人類にとっての挑戦と機会の時にあって、私は、国際連合が世界の人々に有意義な結果をもたらすことができるように国際連合の改革を進めてゆく決意である。本冊子はそのための努力を知るための機会を提供するものである。国際連合創設の憲章の目的を達成するための行動が求められている。国際連合に関心を持つすべての人にとってこの冊子が有益な資料となるよう願っている。

国際連合広報局 (著), 関西学院大学総合政策学部発行 (その他), 八森 充 (翻訳)
出版社 : 関西学院大学出版会; 第42版 (2018/11/5)、出典:出版社HP

目次

はじめに——国際連合事務総長の序文
目次
主な略語表
今改訂版について
国際連合機構図

第1章 国際連合:その憲章と機構
国際連合憲章
目的と原則
国連憲章の改正
加盟国と公用語
国連の機構
総会
任務と権限
会期
安全保障理事会
任務と権限
刑事裁判所と特別法廷
経済社会理事会
任務と権限
会期と補助機関
地域委員会
非政府組織(NGO)との関係
国際司法裁判所
任務
管轄権
裁判官
予算
信託統治理事会
事務局
事務総長
各部局
国連の予算
2016-2017年度国連予算
国連システム
国連基金および計画、調査訓練機関、その他の機関
国際貿易センター(ITC)
国連合同エイズ計画(UNAIDS)
国連貿易開発会議(UNCTAD)
国連開発計画(UNDP)
国連環境計画(UNEP)
国連人口基金(UNFPA)
国連人間居住計画(UN-Habitat)
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
国連児童基金(UNICEF)
国連地域間犯罪司法研究所(UNICRI)
国連軍縮研究所(UNIDIR)
国連国際防災戦略事務局(UNISDR)
国連訓練調査研究所(UNITAR)
国連薬物犯罪事務所(UNODC)
国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)
国連社会開発研究所(UNRISD)
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
国際連合大学(UNU)
ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関(UN-Women)
世界食糧計画(WFP)
専門機関および関連機関
国連食糧農業機関(FAO)
国際民間航空機関(ICAO)
国際農業開発基金(IPAD)
国際労働機関(ILO)
国際通貨基金(IMF)
国際海事機(IMO)
国際電気通信連合(ITU)
国連教育科学文化機(UNESCO)
国連工業開発機関(UNIDO)
世界觀光機関(UNWTO)
万国郵便連合(UPU)
世界保健機関(WHO)
世界知的所有権機関(WIPO)
世界気象機関(WMO)
世界銀行グループ
包括的核実験禁止条約機関準備委員会(CTBTO)
国際原子力機関(IAEA)
国際移住機関(IOM)
化学兵器禁止機関(OPCW)
世界貿易機関(WTO)

第2章 国際の平和と安全
主要機関の役割
安全保障理事会
総会
紛争予防
平和維持
強制措置
制裁
軍事行動の承認
平和構築
平和構築アーキテクチャー
選挙支援
開発による平和構築
平和のための行動
アフリカ
大湖地域
西アフリカ
中央・東アフリカ
北アフリカ
米州
コロンビア
ハイチ
アジア・太平洋
中東
アフガニスタン
イラク
インドとパキスタン
中央アジア
カンボジア
ミャンマー
ヨーロッパ
キプロス
南コーカサス
ギリシャ—マケドニア旧ユーゴスラビア共和国(FYROM)
コソボ
軍縮
軍縮機関
多国間協定
大量破壊兵器
核兵器
化学・生物兵器
通常兵器、信頼醸成および透明性
宇宙空間の平和利用
法律文書
国連宇宙部
植民地の独立
国際信託統治制度
非自治地域
植民地と人民に独立を付与する宣言
ナミビア
東ティモール
西サハラ

第3章 経済社会開発
開発活動の調整
持続可能な開発
首脳会議とその他の会議
2030アジェンダ
ハイレベル政治フォーラム
持続可能な開発目標
貧困をなくそう
飢餓をゼロに
すべての人に健康と福祉を
質の高い教育をみんなに
ジェンダー平等を実現しよう
安全な水とトイレを世界中に
エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
働きがいも経済成長も
産業と技術革新の基盤をつくろう
人や国の不平等をなくそう
住み続けられるまちづくりを
つくる責任、つかう責任
気候変動に具体的な対策を
海の豊かさを守ろう
陸の豊かさも守ろう
平和と公正をすべての人に
パートナーシップで目標を達成しよう
環境のための行動
経済開発
世界の国々の開発促進
開発のための融資
安定のための融資
投資と開発
労働
国際民間航空
国際海運
電気通信と情報通信技術
国際郵便サービス
知的所有権
開発のための科学技術
社会開発
調査と訓練
人口と開発
子どもの権利と福祉の促進
社会への統合
家族
若者
高齡者
先住民問題
障害者
非市民社会:犯罪、不正薬物、テロリズム
薬物の統制
犯罪防止
テロリズム防止
科学、文化、コミュニケーション
自然・社会・人間科学
文化と発展
文明の同盟
開発と平和のためのスポーツ
コミュニケーションと情報

第4章 人権
人権文書
国際人権章典
経済的、社会的、文化的権利
市民的、政治的権利
その他の条約
その他の人権基準
人権関係機関
人権理事会
国連人權高等弁務官
特別手続き
人権の促進と擁護
発展の権利
食糧の権利
労働の権利
差別との闘い
アパルトヘイト
人種主義
女性の権利
子どもの権利
少数者の権利
先住民族
障害を持つ人々
移住労働者
司法の運営
国連人権高等弁務官事務所の優先課題

第5章 人道支援
人道支援活動の調整
人道支援と保護
人道要員の保護
難民の保護と支援
パレスチナ難民

第6章 国際法
紛争の司法的解決
係争事件
最近のICJ事件
勧告的意見
国際法の発達と法典化
国際商取引法
環境法
海洋法
条約の影響
条約の下に設置された機関
締約国会議と総会プロセス
国際人道法
国際テロリズム
国際刑事裁判所
その他の法律問題

付録
国連の主要機関構成国
国連加盟国と分担率
国連加盟国加盟年順序、1945年−2017年
平和維持活動:現在および過去
非植民地化
1. 1960年12月14日の独立付与宣言の採択以降に独立を達成した信託統治地域と非自治地域
2. 1960年12月14日の独立付与宣言の採択以降に独立国家と統合もしくは連合関係になった従属地域
3. 自決を達成した信託統治地域
国連の特別行事
日本にある国連関連機関
国連寄託図書館
国連機関・委員会など英和対照表

国際連合広報局 (著), 関西学院大学総合政策学部発行 (その他), 八森 充 (翻訳)
出版社 : 関西学院大学出版会; 第42版 (2018/11/5)、出典:出版社HP

今改訂版について

「国際連合の基礎知識」は1947年以来定期的に発行されており、まさに国際連合とその関連機関や専門機関についてのもっとも信頼のおける入門書ともいうべき冊子である。国際連合は長年にわたりこれまでにも増して人口が増加し、複雑となった世界の緊急のニーズに対応すべくその関与を拡大させてきた。それに伴って「基礎知識」もまたその内容を拡大し、深く掘り下げてきた。同時に、この主要な世界機関についての包括的かつ簡潔な手引きとしての本来の姿も忠実に守ってきた。この第42版もこれまでの伝統に従い、現在の国連システムがどのように構成され、主要な国際的目標を達成するためにそれぞれの機関がどのような活動を行っているかについて述べている。

「基礎知識」はまず国連がどのように誕生したかについて詳細に述べ、様々な機関や専門機関からなる大きな国連システム全体について概観する。この「基礎知識」はちょうど第九代事務総長が就任した年と同じ年に発行されたこともあり、事務総長の選出プロセスについても説明している。それに続く各章は国際の平和と安全を促進し、環境に優しい方法で経済・社会開発を進め、人権を擁護し、かつ差別を撤廃し、難民や避難民、自然災害や人為的災害の被災者に人道的支援を行い、国際法を発達させ、その法典化を図るために国際連合がどのような活動を行っているかを取り上げている。われわれの世界はさまざまな課題に直面し、その対応に集団的行動を動員しなければならない。国際連合はこの点においてユニークな能力を持つものである。各章はそのことについても詳細に述べている。
また実用的な手引き書として、「基礎知識」は付録として、国連加盟国、現在および過去の平和維持活動、国際連合の特別行事である「10年」計画や記念週間、記念日などについての情報も載せている。また、日本における国連関連機関や国連寄託図書館、主要なウェブサイト(ホームページ)なども載せている。

今回は全面的に改定し、最近の世界や国際連合自身に起こった重要な出来事を反映させるようにした。また、世界各地の人々を救い、生活を改善するために、国連の各種機関がどのように現地の機関や人々と協力してきたかについてものべている。現在のダイナミックかつ効果的な国連の姿をより明確にはっきりと伝えることができるように内容を改めた。新規および継続中の平和維持活動や平和構築活動に関する新しい動きは取り上げているが、国連が安全維持のプレゼンスを終了した国や地域の情勢は載せていない。同様に、過去の国連の事業や会議に関する詳細については掲載をやめ、それに代えて持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラムのような新たな機関、気候変動に関するパリ協定の採択や持続可能な開発に関する2030アジェンダや17の持続可能な開発目標の提唱のような活動についての情報を載せた。本改訂版は、国際連合の主要機関の一つである信託統治理事会が行った活動を取り上げているが、理事会の活動は現在停止された状態にあることから、その内容は平和と安全に関する章に簡単にまとめた。

「第42版国際連合の基礎知識」は国連広報局が公式に発行したものであるが、国連システムを構成する世界各地の国連事務所や計画、機関、専門機関が提供した情報や資料を多く取り入れている。そうした情報は外交官や研究者、学生、一般市民全体に利用してもらうためには不可欠である。この冊子に対するこれらの機関の貢献や国際連合を強化し、世界でもっとも貧しい人々や弱い人々の生活を改善しようとする努力は感謝に値する。

この冊子のすべてのデータは、とくに明記されていない限り、2017年1月31日現在のものである。それぞれの活動に関する最新の情報を得られようにウェブアドレスを載せてある。国際連合が世界各地で行っている他の活動について情報は、以下のウェブサイト(ホームページ)で人手できる。

—国連の公式ウェブサイト(ホームページ)(www.un.org)
—UN News Centre(国連ニュース・センター)(www.um.org/news)
—Yearbook of the United Nations (国連年鑑)(www.unyearbook.un.org)

国際連合広報局 (著), 関西学院大学総合政策学部発行 (その他), 八森 充 (翻訳)
出版社 : 関西学院大学出版会; 第42版 (2018/11/5)、出典:出版社HP

新わかりやすい国連の活動と世界

国連は何をする組織か

本書は、国連の役割や機構について解説している本です。冒頭では、グテーレス国連事務総長の演説やコフィー・アナン氏がノーベル平和賞を受賞した際の講演が紹介されています。国連の基本に加えて、日本との関わりについても触れられており、国連がより自分ごととして捉えられるかもしれません。

公益財団法人日本国際連合協会 (著)
出版社 : 三修社 (2019/9/21)、出典:出版社HP

序文

2007年以降の国際連合の活動に関する記述を加えた、念願の改訂を、今回上梓することが出来ました。
ご存知のように、現在の常任理事国であるイギリス・アメリカ合衆国・ロシア連邦(当時はソビエト連邦)・フランス・中国(当時は中華民国)が中心となり、1945年10月24日に51カ国の加盟でスタートしたのが国際連合で、現在も10月24日は国連デーとなっています。
日本は敵国条項適用の敗戦国であったため、やっと1956年12月18日に80カ国目の加盟国となりました。奇しくも、敗戦時に日本政府の全権として降伏文書に署名した重光葵が外務大臣として加盟に奔走し、加盟当日は国連本部の前庭で自らの手で日本の国旗を掲揚しました。日本が平和国家として世界に認められた瞬間といえましょう。現在は、国連には193の国や地域が加盟しています。
国連というと、毎年9月に各加盟国の首脳も参加し討議する「国連総会」や、「安全保障理事会」が思い浮かぶかと思います。本来世界の平和を維持するための国連の場であるにもかかわらず、議論はそれぞれの国益を主張しているのが現状でしょうか。
本書では国連の各機関等を1つずつ紹介しておりますが、一般の皆様にはなじみの薄い機関や誤解されている機関も多いのではないでしょうか。
例えば世界の通貨と為替相場を安定させ、国家間の貿易の均衡のためにワシントンD.C.に本部のある国際通貨基金(IMF)が国連の一機関だという認識をお持ちでしょうか。
また、世界中の民間航空の安全と秩序ある発展のために、乗客、乗員、荷物の安全、そして何より航路の安全に寄与している国際民間航空機関という機関もあります。
そして皆様は開発途上国の子供達の教育向上を目指す機関としてはどのような機関を思い浮かべられますか。多数の方はユニセフを思い浮かべるのではないでしょうか。確かに児童の福祉向上と教育の分野はユニセフが担っています。
しかし通った学校での給食を担うのは、国連世界食糧計画、一般にWFPと呼ばれる機関なのです。子供達は当然教育を受けたいのですが、同時に、学校に通えばしっかりとした一食を食べる事が出来るのです。そして、それが子供達を飢餓から救う一助ともなるのです。このように国連内外の色々な機関が連携し活動をしている事をご理解頂き、全ての機関が世界平和構築に必要な歯車として動いている事実を知って頂きたいのです。

国連では、英語・フランス語・ロシア語・中国語・スペイン語・アラビア語という6つの言語が公用語とされています。
当協会では、その中の英語に関して年に2回「国連英検」を実施しており、受検なさる皆様はこの本をテキストとしてお使いになっていると思います。
しかし、私は検定を受けるか否かにかかわらず、皆様にこの本をご一読頂き、そして「国際連合」がどのように変遷し働いているか、また、いかに世界平和の達成のために多くの人々が力を合わせているのかに関心をお持ち下さることを願います。
最後に、この本の発刊までに係わられた全ての皆様に感謝申し上げます。

2019年8月
公益財団法人 日本国際連合協会
事務局長 秋山幸子

公益財団法人日本国際連合協会 (著)
出版社 : 三修社 (2019/9/21)、出典:出版社HP

CONTENTS

Foreword by former Secretary-General Kofi Annan (the Nobel Lecture)
コフィー・アナン国連事務総長(当時)——ノーベル平和賞受賞講演
1. Address to the General Assembly by Secretary-General António Guterres (NewYork, 19 September 2017)
国連総会でのアントニオ・グテーレス国連事務総長演説 〜2017年9月19日ニューヨーク〜

Ⅱ. What is the United Nations ?
国連とは何か?
1. Basic Facts about the United Nations
国際連合の基礎知識
2. Forerunner of the United Nations
国際連合の前身
3. Name of the United Nations
国際連合の名称
4. Charter of the United Nations
国連憲章
5. United Nations Day
国連デー
6. Membership
加盟国
7. Official Languages
公用語
8. Official Seal, Emblem and Flag
国連の印章、標章、旗
9. United Nations Headquarters
国連本部

Ⅲ Structure of the United Nations — Six Principal Organs
国連の機構——6主要機関
1. General Assembly
総会
2. Security Council
安全保障理事会
3. Economic and Social Council
経済社会理事会
4. Peacebuilding Commission
平和構築委員会
5. Human Rights Council
人権理事会
6. International Court of Justice
国際司法裁判所
7. Secretariat
事務局
8. Budget of the United Nations
国連の予算

Ⅳ. The United Nations System — Specialized Agencies, Related Agencies, and Subsidiary Organs
国連システム—専門機関、関連機関、補助機関

Ⅴ. Major Issues of the United Nations—Security Field
国連の主要な活動—安全保障分野

Ⅵ. Economic and Social Development.
経済と社会の発展

Ⅶ. Japan and the United Nations
日本と国連

APPENDICES
付録

資料協力:国際連合広報センター

公益財団法人日本国際連合協会 (著)
出版社 : 三修社 (2019/9/21)、出典:出版社HP