入門 多変量解析の実際 (ちくま学芸文庫)

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実務に活用できる

多変量解析を実務で活用するためのコツがわかりやすく解説されています。多変量解析のさまざまな分析法をどのように使いこなせばいいのかよくわかります。実際にマーケティングの例を多く扱っており、実務家必読の入門書です。

朝野 熙彦 (著)
出版社 : 筑摩書房 (2018/5/10)、出典:出版社HP

これは「サンプル版」です。

製品版の一部を抜粋しています。
製品版とは異なることがあります。

第2版にあたって

本書の初版は多変量解析の初心者が,この道具を上手に使いこなすための早わかりを狙って1996年5月に上梓された、料理にたとえていえば、包丁の製造法の本ではなく,包丁の使い方のガイドブックを意図したものである.読者としては、マーケティングに携わる実務家を想定した。具体的にはR&D,生産,流通,販売,広告に携わるマーケターやプランナーを念頭において本書をまとめたもちろん,経済学や経営学を勉強中の学生にも参考になると思われる。執筆方針は次の3つとした。

①できるだけ数式を避け絵と言葉で多変量解析のイメージを伝える,②よく利用されている方法だけを取り上げる,③アウトプットの意味がわかるようにする.
幸い本書は市場のニーズに合致していたらしく好評をもって迎えられ、版を重ねることができた。今回第2版を出版できることになったのは、読者諸兄のご支援の賜物であり深く感謝したい、この間多数の書評を頂戴したが特に,中央大学理工学部の加藤俊一先生からは「多変量解析の入門書,解説書は数多く出版されている.その中にあって本書は,それぞれの手法の限界や誤った利用法を避ける(すなわち,分析者自身が統計にだまされないためのアドバイスが出色である。」(西尾章治郎・加藤俊一ほか「マルチメディア情報学8情報の構造化と検索』岩波書店,第4章283ページ)という書評を頂戴した。厚くお礼申し上げたい。
多変量解析の類書の中で,本書の独自性uniquenessは「ユーザーによるユーザーのためのガイド」であると考えている、メーカーにあたる専門家が実務家の苦労をわかった気になって書いている解説書は珍しくない。しかし、本当に利用者の視点にたって使い方を述べた本は少ないのではないだろうか、「メーカーばかりしゃべっていないで、ユーザーにも一言いわせてもらいたい」これが本書のキーコンセプトである。おおげさにいえば,多変量解析の世界における消費者運動の試みとご理解いただければ幸いである。

第2版の執筆方針は初版と変わりない.しかし,上記の趣旨に賛同してくださった諸先生から初版の誤りや記述の不備を多々ご指摘いただいた。正直にいえば,それらのバグフィックスが今回改訂版を出さざるを得なくなった理由である。特に日経リサーチの鈴木督久氏には3章の主成分分析の計算の誤りをご指摘いただいた。また10章の統計プログラム・パッケージの資料は同氏より提供されたものである。香川大学の堀啓造先生には6章のマルチコ対策のその5をメーリングリストを通じてお教えいただいた。女子栄養大学の真柳麻誉美先生には9章の時系列比較につきご示唆を頂き,また旧版の全体にわたって記述の不備をご指摘いただいた。立教大学の村瀬洋一先生,大阪大学大学院生の村上あかね氏にも貴重なコメントを頂戴した。その他、ご叱正を通じて第2版の改訂にご貢献いただいたすべての皆様にお礼申し上げたい.
最後になったが多変量解析の世界に朝野を導いて下さった大学入試センターの柳井晴夫教授に最大の感謝を捧げたい。また、講談社サイエンティフィクの瀬戸さんは、いつもながらの熱心な督促によって本書を世に送り出してくださった。心からお礼申し上げる次第である.

2000年10月
朝野熙彦

朝野 熙彦 (著)
出版社 : 筑摩書房 (2018/5/10)、出典:出版社HP

目次

第2版にあたって
第1章ウォーミングアップ一下準備と本書のパノラマ
1.1はじめの言葉と終わりの言葉
1.2基礎的な概念と道具
1.3そのほかの用語の説明
1.4本書のパノラマ

第2章コレスポンデンス分析と数量化理論II類——製品やブランドをポジショニングする
2.1バターン分類の思想
2.2数量化理論III類による都市イメージの分析
2.3数量化理論II類によるテレビ番組降好の分析
2.4コレスポンデンス分析を用いたシャンプーのポジショニング分析
2.5パターン分類を使いこなすコツ

第3章主成分分析——情報を集約する
3.1主成分分析とは何か
3.2スキー・ブランドのマップ
3.3主成分分析はこう使う
3.4カテゴリー・データの処理
付記

第4章因子分析——隠された構造を可視化する
4.1イメージを測定する
4.2因子分析はこう読む
4.3SD法の顛末
4.4主成分分析との区別
4.5因子分析の泥沼

第5章クラスター分析——新しいセグメントを発見する
5.1クラスター分析はこう使う
5.2OLのセグメンテーションの事例
5.3人気企業の時系列変化を追う
5.4クラスター分析の迷路

第6章重回帰分析と数量化理論I類——市場性を予測する
6.1重回帰分析早わかり
6.2広告注目率の予測
6.3重回帰分析で困ること

第7章正準相関分析と判別分析——多変量解析の総本山に迫る
7,1孫悟空の世界
7.2正準相関分析のイメージ
7.3数量化理論II類によるチャネルの分析
7.4判別分析におけるマルチコ対策

第8章コンジョイント分析——新製品のコンセプトを開発する
8.1コンジョイント分析の思想
8.2コンジョイント分析はこう進める。
8.3コンセプト・ジェネレーション
8.4パソコン・ソフト
8.5応用の動向
8.6シミュレーション
8.7まとめ

第9章トラブル・シューティング
9.1多変量解析で本当に「予測」できるのか
9.2時系列比較が難しい
9.3多変量解析で母集団推計をどうするか
9.4消費者行動は線型か
9.5データそのものの問題

第10章ユーザーのための多変量解析
10.1多変量解析のソフトと関連書籍
10.2ユーザーがメーカーに望むこと
10.3多変量解析を使いこなす5つの秘訣

引用文献
付録
文庫版あとがき
索引

入門 多変量解析の実際

朝野 熙彦 (著)
出版社 : 筑摩書房 (2018/5/10)、出典:出版社HP