まずはこの一冊から意味がわかる多変量解析 (BERET SCIENCE)

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多変量解析の意味がよくわかる

科学、ビジネス、学問など様々な分野においてデータをデジタルで扱うようになり、統計学の重要性が急速に再認識され始めています。そこで必要となる基本知識が“多変量解析”です。本書では多変量解析の基本や概略を、図を用いて丁寧に解説しています。

石井 俊全 (著)
出版社 : ベレ出版 (2014/6/23)、出典:出版社HP

はじめに

この本は、次のような人たちを読者として想定しています。
想定している読者
①数学が苦手だが多変量解析の概略を手っ取り早くつかみたい人。
②手元にデータがあるが、どう分析したらよいかわからない人。
分析して何が得られるかわからない人。
③多変量解析のソフトを使ったことがあるが、中身で何をしているかがわからないので知りたい人。多変量解析の原理を確認したい人。
この本の構成を紹介しつつ、上の1~3のそれぞれのタイプの読者にとって、本書がいかに有用であるかを説明していきましょう。

本書の章立て

第1章多変量解析のマップ
第2章統計・確率の準備
第3章相関分析
第4章回帰分析
第5章判別分析
第6章主成分分析
第7章因子分析
第8章数量化分析
第9章数学的準備

①数学が苦手だが多変量解析の概略を手っ取り早くつかみたい人。
本書を手に取って、パラパラっと見ると数式が多いので敬遠している人もいらっしゃるかもしれませんが、この本は数式が苦手な方でも読むことができます。
というのは、数式で書かれていないところを読むだけでも多変量解析のエッセンスをつかむことができるよう工夫して書いてあるからです。
数式を使わないで多変量解析を理解できるのか、と訝しがる方もいらっしゃるかもしれません。実際、そのようなことをうたった本を読んだことがあるけれど、多変量解析の仕組みまではわからなかったという経験をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。
しかしこの本では、数式での説明をする前に、多変量解析の仕組みを図に置き換えて説明しています。ですから、数式にアレルギーがある数学が苦手な人でも、多変量解析の手法について理解することが可能なのです。
「数式を使わない多変量解析」というような本を読んで、結局のところソフトの使い方しかわからなかったという苦い経験をお持ちの方にも、この本なら満足していただけると考えています。
この本は、数式が書かれていないところを読むだけでも、十分にお釣りがきます。

多変量解析と一口にいいましても、多変量解析には資料の種類と分析の目的によって多くの分析法が用意されています。
「第1章多変量解析のマップ」では、これらの手法について簡単な例とともに難しい数式を用いずに解説しています。気軽に多変量解析の俯瞰図を得ることができるでしょう。
第3章からは、多変量解析の各分析法について解説しています。
解説の仕方は、おおよそ、

・分析法の概略(A)
・グラフ・図形による原理の説明(A)
・具体例による実践(B)
・結果の数学的な意味(B)
・数式による裏付け(C)
という順序で説明していきます。ここでA、B、Cは内容の難易度を表しています、Aから順に難易度が上がります。数字にアレルギーがある人はAランクの解説までを読めば、その分析が何をしているのかのおよそのイメージがつかめます。それだけでも、単に数字の結果を眺めていたときよりは、格段に分析法についての理解が深まるでしょう。数式にアレルギーがある方は、各分析法のはじめの方の数式で書かれていないところの解説だけを読めばよいのです。

②手元にデータがあるが、どう分析したらよいかわからない人。
分析して何が得られるかわからない人。
私は大人のための数学教室「和」で教えていますが、ここにはデータ分析すべき資料を持っているにもかかわらず、どう分析してよいかわからないという方が多く尋ねてこられます。「統計駆け込み寺」のような状態で、スタッフは大忙しです。統計ソフトは持っているけれど、どの分析法を用いてデータを解析すればよいかわからないという人は意外と多いのです。
このタイプの方にまず読んでほしいのが第1章です。
第1章は、この本の概略をつかむためのマップになっています。本書で扱われるすべての分析法が簡潔な説明で紹介されています。
分析の目的とデータの種類によって分類されていますから、手元に解析すべきデータがあるがどうしたらよいかわからないという人にとっては大きな指針を得ることができるでしょう。そのうえで第3章以降の章のはじめを読むとよいでしょう。

③多変量解析のソフトを使ったことがあるが、中身で何をしているかがわからないので知りたい人。多変量解析の原理を確認したい人。
原理を確認したいと思って多変量解析の本を読んだけれど、難しくて途中で挫折したという人もいるでしょう。この本は多変量解析の原理が書いてある本の中では一番わかりやすい解説が書かれていると思います。
3のタイプの方は、まず第2章で基本事項を確認してください。
第2章では、1変数の統計量と確率変数の公式を簡単に紹介します。
1変数の統計量についての知識は、第3章以下の多変量についての解説を読むために必要な統計学の基本的知識です。この本だけで内容がわかるように充足的に書きましたが、たっぷりとした説明を読みたい人は拙著『意味がわかる統計学』(ベレ出版)を参照してください。
確率変数については、読者が知らないことを前提に、はじめから丁寧に書きました。他の本では確率変数を実感できなかった人でも、確率変数がどういったものであるかがわかるようになるでしょう。
次に、第3章以降の各分析法の「具体例による実践(B)」「結果の数学的な意味(B)」「数式による裏付け(C)」の部分まで読み込んでください。
具体例は、手計算で計算を追いかけることができるように簡単な例を作って解説しています。具体的な数の四則演算を用いた説明ですから、中学数学を学んだ人なら追いかけていくことができるはずです。統計分析ソフトがブラックボックスであると感じていた人でも、分析結果に親しみが持てるようになるでしょう。
分析の数学的な裏付けが知りたい方は、ぜひCランクまで読んでください。しかし、Cランクの記述であっても、読者が高校の文系数学修了者(高校の数IIBまでの微積は修了)であることを想定して解説しています。
高校数学を超える部分についてわからない概念・用語があれば、その都度第9章の数学的準備を参照しながら読み進めてください。
ベクトル、行列、微積分といった大学で習う数学については第9章で補足してあります。他の本を引用することなく、この本だけで最低限は理解できるようにしてあるところがこの本の特徴です。この第9章は、大学数学から多変量解析に必要な数学だけを抜き出して書いてありますから、コストパフォーマンスもよいでしょう。
多変量解析で一番有名なのが回帰分析でしょう。Excelにもパッケージとして組み込まれています。ですから、回帰分析については、このExcelの結果が原理的にさかのぼって完全に理解できるように解説しました。回帰分析について掘り下げて理解することで、他の分析法の統計的理解も深まります。
この本の特徴をまとめておくと次のようになります。

この本の特徴

①数式を使わなくても分析法のエッセンスがつかめる。
②多変量解析についての俯瞰図を得ることができる。
③多変量解析に必要な大学で習う数学はすべてこの本の中で解説してある。
④Excelの回帰分析について、操作法がわかり、その結果の意味が原理にさかのぼって理解できるようになる。

石井 俊全 (著)
出版社 : ベレ出版 (2014/6/23)、出典:出版社HP

目次

はじめに
第1章多変量解析のマップ
1データの分類と分析の目的
相関分析
予測(数値を予想)
単回帰分析
重回帰分析
数量化I類
4判別(カテゴリーを予測)
判別分析
数量化III類
5データの要約外的規準のない分析
量的データのとき
質的データのとき

第2章統計・確率の準備
1 1変量の統計用語
2確率変数の公式
確率変数と期待値
確率変数の和、積

第3章相関分析
1ピアソンの積率相関係数
量的データどうしの関連性を測る
1相関係数は単位によらず一定
2相関係数は直線の傾きとは関係ない
3 2次の関係は見落としてしまう66
4相関係数と因果関係
2相関比—量的データと質的データの関連性を測る
3クラメールの連関係数―質的データと質的データの場合
クラメールの連関係数が1になる場合
4スピアマンの順位相関係数—順序尺度と順序尺度の場合

第4章回帰分析
1単回帰分析―説明変数が1個の場合
2回帰分析の精度を測る―決定係数
3回帰直線の精度を測る―分散分析
検定の考え方
4回帰係数、切片、予測値の推定
予測値の区間推定
a,b,yiの区間推定の理論的背景
5重回帰分析―説明変数が2個以上の場合
多重共線性

第5章判別分析
1線形判別分析
2マハラノビスの距離
Columnロジスティック分析

第6章主成分分析
1 2変量の主成分分析
高校数学の範囲で
線形代数を用いて
2 3変量の主成分分析

第7章因子分析
1因子分析と主成分分析の違い
2 1因子モデル
3 2因子モデル
4主因子法
5因子の回転

第8章数量化分析
1数量化I類
2数量化Ⅱ類
3数量化Ⅲ類

第9章数学的準備
1ベクトル
ベクトルの1次結合と斜交座標
ベクトルの内積
内積と新座標の目盛
2微積分
偏微分
ラグランジュの未定乗数法
3線形代数、
行列
行列の計算
行列の積
対称行列と転置行列
逆行列と行列式
回転の行列と直交行列
固有値・固有ベクトル
対称行列と対角化
多変数関数の微分

おわりに

石井 俊全 (著)
出版社 : ベレ出版 (2014/6/23)、出典:出版社HP