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天文学とは?難しそうだけど理解できる?
天文学とは天体と宇宙を研究する学問のことで、音楽や数学に並ぶ最古の学問の1つとも言われています。天文学を通じて宇宙と向き合うことは、大人なら教養として、子供なら将来に繋がる知見になり得ます。ここでは、天文学の基本や歴史まで学ぶのにおすすめの、読者のレベルに合った本をご紹介します。
新・天文学入門 カラー版 (岩波ジュニア新書)
天文学の最初の入門書
惑星・恒星・銀河の成り立ちや宇宙について、天文学の基本を学ぶことができます。基礎だけでなく、最新の研究を取り入れた知見も得られます。カラーの写真や図が多用されており、平易で丁寧な解説がされているので、初学者の方でもビジュアルで楽しむことができます。
もくじ
序章
夜空を見上げれば
第1章
わたしたちはどこから来たのだろう
第2章
わたしたちの太陽系と系外惑星系
第3章
進化する星ぼしと元素の起源
第4章
天の川銀河と生命のふるさと山
コラム1
天体の観察をしよう
第5章
銀河、そして宇宙へ
コラム2
高校生天体観測ネットワークに参加しよう
もっと学びたくなった人のためのブックガイド
あとがき
さくいん
執筆者紹介
扉デザイン=NDCグラフィックス
序章 夜空を見上げれば
みなさんは満天の星空をみたことがありますか?そして、「自分が宇宙の中に存在している」ということを感じたことがありますか?
満天の星空
一九九八年春にオーストラリアで天体観測を行ったときのことです。ケント山観測所という非常に小さな観測所で、自炊しながらの観測でした。この観測所は町からずいぶんはずれた平原の中の小高い丘の上にあり、まわりには人家もなく、人工的な光の影響はまったく受けない場所にありました。深夜を過ぎて休憩しようと思い、ドームを出て、飲み物などが用意されている本館に向かって歩いていたときでした。疲れてややうつむき加減で歩いていると、まわりが明るいことに気づきました。ふと見上げると、そこにはまさに満天の星空があり、星明りで影ができていたのです。再び見上げた空には、天の川がほんとうに川のように流れていて、その中でももっとも明るい中心部が真上にありました。わたしは疲れも忘れてしばらく天の川をながめていました。
すると、今度はなんだか宇宙の中でたったひとりになってしまったような感じがして、とても怖くなってきたことを、よく覚えています。あの感覚はいまでも忘れることができません。
ひょっとすると、昔の人たちはみんな、夜ごとのような感覚になっていたのかもしれません。星空は美しいばかりではなく、むしろ、みるたびにいろいろなことを考えさせるものだったのかもしれませんね。
宇宙観の変遷
古代の人にとって、天上の世界(宇宙)とは、神さまが住み、神さまが支配する世界でした。地上と違い、人間が理解することが許されない世界だったのです。しかし天文学の発展は、そのような宇宙観を大きく変革しました。天上の世界も、わたしたちが地上の実験で得た法則や知識によってある程度理解できるということを証明してきたのが、天文学の歴史といえます。たとえば、万有引力とは、リンゴを木から落とす力であると同時に、月と地球の間に働く力でもあります。また、太陽をはじめ宇宙を構成する物質は、地上にある物質と同じものです。この理解は、時代とともに、太陽、惑星、恒星、銀河、そして宇宙全体へと広がってきました。
現代のわたしたちは、電波、赤外線から紫外線、X線、2線までさまざまな光で宇宙をみています(カバーソデ図参照)。望遠鏡の大きさも、すばる望遠鏡(図1)に代表されるように直径が八~一○mのものから、三○m望遠鏡へと進みつつあります(図2)。この発展した「目」を使って宇宙をながめてみた結果、わたしたちは宇宙のことについてかなり確信をもって、いろいろなことを語れるようになってきました。本書では、こうしてわたしたちに明らかにされた宇宙の姿をご紹介します。
旅へのいざない
みなさんは、いったいどんなことにわくわくしますか?人によっていろいろでしょうが、なにか自分の知らないことを知ったり体験したり、ふだん疑問に思っていることの答えを聞いたりするときには、きっと胸がおどるのではないでしょうか。とりわけ、なにかしら自分にかかわる謎について知るときに、ぞくぞくしたおぼえはありませんか。
わたしたちは二〇〇五年に、『カラー版天文学入門―星・銀河とわたしたち」を上梓しました。この本の執筆にあたっては、「わたしたちとのつながりから宇宙をながめる」、ということに、とくに留意しました。宇宙に存在する天体は、一見無関係に思えるわたしたち人間やその他さまざまな生命とも深くかかわりあっているのです。
この本は、幸いなことに、多くの読者を得て読み継がれてきました。しかし、その後の天文学の進歩はめざましいものがあります。近年、太陽系以外の惑星の相次ぐ発見によって、宇宙とわたしたち生命とのつながりについても、ますますクローズアップされています。これらの最新の知見をとりいれるため、このほど、新版に改めることにしました。宇宙を知ること、それはつまりわたしたち自身を理解することにもなるのです。さあ、みなさん、いっしょに宇宙=わたしたち自身を知る旅に出かけましょう。
算数でわかる天文学 (岩波オンデマンドブックス)
挫折なしで天文学を学べる
天文学や宇宙論の専門書は、高度な数学の知識が必要で敷居が高いイメージがあり、興味があってもなかなか手をつけられないという方が多いでしょう。本書では、算数や高校数学が少し分かれば、天文学の基本をしっかりと学ぶことができます。一般教養書と専門書の架け橋となってくれる1冊です。
訳者のことば
本書では、天文学を理解するために必要な“算数”を、丁寧すぎるくらいにやさしく解説しています。さまざまな単位の変換方法をはじめとして、私たちが日常で感じる重力や光の法則から、天体観測ができる仕組み、星の運動と性質、ブラックホールや膨張宇宙論までが、ほんのわずかな数式だけで明快に理解できるのです。
登場する計算のほとんどは、四則演算(+ - × ÷)と比例・反比例の考え方、つまり“算数”です。微分も積分も出てきません。一部で指数・対数や三角関数が使われていますが、それらを学んでいなくても理解できるように工夫されています。
難しそうな天文学が、本当にこのような“算数”だけで理解できるのでしょうか。おそらく、できます。本書を読めばきっと、ギリシャの星空の下で育まれた算術の素朴な概念が通奏低音のように今日まで流れ、現代の天文学を理解するベースになっていることがわかるでしょう。
原題のA Student’s Guide to the Mathematics of Astronomyが示唆するように、天文学の基礎的な数学だけを学びたい人にも、将来もっと高度な数学を理解する基礎力をつけたい人にも、本書は辛抱強くアシストしてくれる名ガイドになるはずです。
まえがき
本書の目的はたった1つ。あなたが大学レベルの天文学に必要な数学を理解し、さまざまな問題に使えるようになるのを手助けすることです。
私たちはいくつもの大学や短大で、たくさんの学生たちに天文学の入門コースを教えてきました。そこで彼らに“授業はどうですか”と尋ねると、「話にはついていけるけど、数学や計算がさっぱりわからない」という答えがよく返ってきました。
もし、あなたがそのような学生の1人であれば、本書が役立つはずです。あるいは学生でなくても、書店に並ぶ多くの素晴らしい天文学の本を、もっと深く読み込みたいといった好奇心が強い方であれば、本書は役立つでしょう。
本書は、あなたが初めて天文学と出会う本を意図して書かれたものではありません。また、従来の天文学の本に書かれている多くのトピックを、総合的にあつかう本でもありません。そうではなく、学生たち自身が数学的に難しいと思ったトピックを選び、それらを詳しく解説するために本書を書きました。そのために、たくさんの実例を使いながら、それぞれのテーマをわかりやすく説明しました。また、重要な数学的な関係の意味も深く理解できるように、テキストの内容を充実させる努力をしました。
また、本書は参考書として使いやすくデザインしました。
つまり、興味があるトピックにすぐに入れるように、どこからでも読み始められるモジュラー形式にしました。例えば、重力の法則は十分理解していて、輻射の法則やその使い方があまりわかっていないのなら、第2章はすべて飛ばして第3章の3.2節を読めばよいのです。さらに第1章には、とても基礎的で大切な4つのトピック―単位変換、比率、比率問題、科学的表記法―を詳しく解説しています。本文を読み進むうちに、このような基礎的なトピックのレビューが必要になれば、ここに戻ってきて復習できます。
本書を積極的に活用するために(つまり、文章を読むだけの受け身的な使い方にならないように)、各項の終わりに演習問題をつけています。そのほとんどは、その項で登場する概念に直結した問題か、説明された算術計算に関連するドリルです。
解答は、本書のウェブサイト(http://www4.wittenberg.edu/sgmoa/)に用意されています(英語のみ)。
さらに各章の終わりにも、演習問題よりも挑戦しがいのある総合的な問題を10問程度つけています。これらを解くには、いくつもの概念やテクニックを組み合わせる必要があるので、各章の理解度チェックになります。演習問題と同じく解法と解答はウェブサイトに対話形式で示してあり、最終的な答えまで自力で到達できるように、段階的にヒントを表示させて解くことができます。もちろん、初めから解答全体を見ることもできます。
また、各章を説明したビデオポッドキャストも本書のウェブサイトにあり、重要な考え方やテクニック、方程式やグラフに対する補足説明をしています。本書の記述がモジュラー形式であることを踏まえて、このビデオポッドキャストも単独で見られるようにしています。そのため、すべてのビデオを順番通りに見ることも、スキップして見たいところだけを見ることもできます。
さらに、光の性質、質量中心、円錐の切り口、ポテンシャルエネルギー、そして、有効数字(小数点以下の桁数をどこまで残すかとか、計算結果を安全に丸めるときに役立ちます)などの説明も、本書のウェブサイトにあります。
あなたが天文学に興味をもっているのに、数学が学習の壁になっているならば、本書はあなたを助けてくれるはずです。本書とウェブサイトはきっと、その壁を緩やかなスロープに変え、あなたをより高いレベルの理解に到達させてくれます。
あなたが天文学の学習にもっと役立つ数学を探そうとしている大学生であっても、あるいは好奇心の旺盛な読者の方であっても、きっと本書は天文学へのよいガイドになるでしょう。
謝辞
長年にわたる天文学の授業で多くの学生たちと交わした会話や対話から、本書は生まれました。数学への強い不安を抱きながらも、真剣に考え、質問してくれた学生たちの自発性が、私たちに本書の執筆を思い立たせました。また、彼らの自発性は、すべての説明をできる限りクリアで完璧なものにすべきだと、私たちに教えてくれました。
彼らのインスピレーションに加えて、どのようなトピックスが学生にとって難しいか、そして、どのような説明がもっとも理解しやすかったかといったことに関して、詳細なフィードバックをくれました。そうした蓄積によって生まれたものが、本書を構成するトピックスと個々の説明です。以上のようなさまざまな協力に対して、私たちは学生たちに感謝します。
ジュリア・クレゲナウは、Jason Wright氏にも感謝します。彼は、本書のプロジェクトを通して精神的な支援とともに、星に関する技術的な専門知識も与えてくれました。また、ジュリアはMel Zernow氏に対しても初期のドラフトに有意義なコメントをくれたことに感謝します。
ダニエル・フライシュはGracie Winzeler氏に感謝します。彼は、数学のすべての問題を粘り強く完璧に解いてくれました。そしていつものように、ダニエルはJill Gianola氏に対しても心から感謝します。
目次
訳者のことば
まえがき
謝辞
1 単位がわかる
1.1 単位と変換
1.1.1 変換ファクター
1.1.2 変換問題のセットアップ
1.1.3 答えのチェック
1.1.4 多段階の変換
1.1.5 指数をもつ単位の変換
1.1.6 組立単位
1.2 絶対法と比率法
1.2.1 絶対法
1.2.2 2つの量の比較
1.2.3 比率法
1.2.4 比率の解を解釈する
1.2.5 比例関係
1.2.6 反比例関係
1.3 比率の問題
1.3.1 距離と速さと時間の問題
1.3.2 総量と比率と時間の問題
1.4 科学的表記
1.4.1 係数、底、指数
1.4.2 10進表記と科学的表記の関係
1.4.3 言葉で表した数字
1.4.4 科学的表記を使った計算
1.4.5 桁の見積り
1.4.6 数のベキ乗
1.4.7 電卓の操作について
理解度チェック
2 重力がわかる
2.1 万有引力の法則
2.1.1 万有引力の式の説明
2.1.2 重力の計算
2.1.3 表面の重力
2.2 ニュートンの運動の法則
2.3 ケプラーの法則
2.3.1 楕円のパラメーター
2.3.2 楕円軌道のパラメーター
2.3.3 ケプラーの第3法則を使う
理解度チェック
3 光がわかる
3.1 光とスペクトルの基礎
3.1.1 スペクトル
3.1.2 波長と周波数とエネルギーの関係
3.2 輻射の法則
3.2.1 ウィーンの法則
3.2.2 ステファンの法則
3.2.3 輻射の法則を使う
3.3 ドップラーシフト
3.3.1 ドップラー効果
3.3.2 ドップラーシフトの式
3.3.3 ドップラーシフトの式の別表現
3.4 視線速度図
理解度チェック
4 天体観測がわかる
4.1 視差
4.1.1 視差の説明
4.1.2 視差の計算
4.2 視直径
4.2.1 視直径の説明
4.2.2 視直径の計算
4.3 分解能
4.3.1 分解能の説明
4.3.2 分解能の計算
理解度チェック
5 星がわかる
5.1 恒星視差
5.1.1 恒星視差の式
5.1.2 視差問題の解法:絶対法
5.1.3 視差問題の解法:比率法
5.2 光度と見かけの明るさ
5.3 等級
5.3.1 見かけの等級
5.3.2 絶対等級
5.3.3 距離指数
5.4 HR図
5.4.1 太陽単位
5.4.2 光度軸と温度
5.4.3 星の半径
5.4.4 主系列星の質量
5.4.5 主系列星の寿命
理解度チェック
6 ブラックホールと宇宙論がわかる
6.1 物質密度
6.1.1 密度の説明
6.1.2 密度の比例性と極限のケース
6.1.3 球状物体の密度
6.2 脱出速さ
6.2.1 脱出速さの説明
6.2.2 脱出速さの計算
6.3 ブラックホール
6.3.1 ブラックホールの密度
6.3.2 シュヴァルツシルト半径
6.3.3 ブラックホール近くの脱出速さ
6.4 膨張する宇宙
6.4.1 ハッブル図とハッブルの法則
6.4.2 ハッブル定数H0の値
6.4.3 ハッブルの法則で計算
6.4.4 宇宙の年齢
6.4.5 位置―時間図
6.5 宇宙の歴史と運命
6.5.1 宇宙論的な位置―時間図
6.5.2 宇宙の年齢の決定
6.5.3 過去の膨張率の変動
6.5.4 将来の膨張率の変動
理解度チェック
演習問題の解答
理解度チェックの解答
関連図書
索引
装画 ガリレオ式望遠鏡:矢崎芳則
月のスケッチ:ガリレオ「星界の報告」より
天文学の図鑑 (まなびのずかん)
天文学を網羅した図鑑
天文学は最も古い学問の1つで、理系の哲学とも言われています。本書は、そんな天文学の基礎知識を、綺麗な図板で丁寧かつ体系的に解説しています。興味のあるページから紐解いていくことで、宇宙に関する素朴な疑問を解消してくれます。視覚的な理解ができるので、小さなお子様にもおすすめの1冊です。
はじめに
天文学は最も古い学問のひとつです。将来の計画を考えたり、昔のことを思い出したりする際に、人は時刻やこよみといった天体の運行に関わることに興味を持つようになりました。また、他人と会う約束事や狩りを円滑にするために、天体を観察することで方位や緯度・経度といった自分の今いる場所を知る方法も覚えました。このように天文学が実学として必要だったことはもちろんですが、人類は物心がついてから常に「自分たちはどこから来たのか?そして、これからどこへ行こうとしているのか?」、「自分たちは何者か?」と自問自答してきました。
それから数千年を経た21世紀の今日、この本質的な人間の悩みに天文学がひとつの答えを導こうとしています。天文学者たちは今、「宇宙全体はどのように誕生し、今後どうなるのか?」、「地球に似た惑星が太陽系の外にもあるのか?宇宙人(知的生命体)はどこにいるのか?」といった宇宙の謎解きに挑戦しています。
「天文学はみんなの科学」とも「理系の哲学」とも呼ばれています。また、宇宙は「不思議の玉手箱」であり「不思議の大海原」でもあります。
本書を好きなページからひも解くことによって、広大な宇宙の謎解きの旅に出かけましょう。本書には、読者のみなさん一人一人が今すぐに知りたい宇宙の不思議について、現在わかっていることが明解に示されています。ただし、宇宙の大海原はそれほどやさしくありません。まだまだ、人類の英知を寄せつけない謎で満ちています。本書を読み終えた後、その大海原に一緒に漕ぎ出してくださる方や、漕ぎ手を支援してくださる方が生まれることを願っています。
2015年3月1日 縣秀彦
CONTENTS
はじめにこの本の使い方
第1章 天体の動きとこよみ
夜空に見える星座
春の星座と、春の大曲線
夏の星座と、夏の大三角
秋の星座と、北極星探し
冬の星座と、冬の大三角
インターバルコラム 空の場所の表し方
太陽と月の大きさ
太陽の動きと1日の関係
太陽の動きと地球の自転
月の満ち欠けとひと月の関係
月の動きと満ち欠け
太陽の動きと1年の関係
太陽の周りを公転する地球
星の1日の動き
星の1年の動き
第2章 太陽・地球・月と太陽の星たち
太陽系全体の姿
太陽のしくみ
太陽の観察
地球に届く太陽の光
私たちの星、地球の姿
月の表面と内部
月の環境と誕生
インターバルコラム 日食と月食が起こるしくみ
太陽に最も近い「水星」
謎多き惑星「金星」
内惑星はいつ、どこに見える?
となりの赤い惑星「火星」
巨大ガス惑星「木星」
美しい環を持つ惑星「土星」
外惑星はいつ見える?
氷の惑星「天王星」と「海王星」
探査に注目が集まる「小惑星」
尾を引く天体「彗星」
「流れ星」と「隕石」の正体
太陽系の天体の公転軌道を知る
太陽系の果て
第3章 恒星の世界を知ろう!
太陽の近くにある恒星
恒星までの距離
恒星の明るさ
明るさの変わる恒星
恒星の色
恒星の大きさ(直径と質量)
恒星が集合している場所「星団」
重力が結びつけた双子星「連星」
インターバルコラム 天体望遠鏡の種類と構造
恒星の分類
恒星の一生
恒星の誕生
恒星の最後の姿
惑星を持つ恒星
第4章 天の川銀河から宇宙の果てへ
私たちの天の川銀河(銀河系)
天の川銀河(銀河系)の構造
さまざまな銀河
引きつけ合う銀河
宇宙の構造
インターバルコラム 宇宙観の移り変わり
相対性理論と宇宙
宇宙の誕生
膨張する宇宙
宇宙の終焉
索引
この本の使い方
本書は天文学と宇宙について、基本的な知識から、専門的な内容までを豊富な図を交えて、ビジュアルにわかりやすく解説した本です。
テーマ
1見開きで1つのテーマを学ぶことができる構成になっています。
解説
基本的な説明から少し専門的な内容まで、イラストや写真とともにわかりやすく解説しています。とくに重要な語句は、太字で表記しています。
コラム
解説では触れられなかった捕足的・発展的な内容をコラム形式で紹介しています。また、各章の半ばには、天文学がもっと面白くなるインターバルコラムもあります。
面白くて眠れなくなる天文学
思わず徹夜してしまうほどの面白さ
天文学は、音楽や数学に並んだ最も古い学問の1つと言われています。天文学において、北極星は移動する?太陽の寿命は?重力波による宇宙誕生の秘密は?などさまざまな疑問をわかりやすく解説していきます。天文学の世界に入り込めるので、少しでも天文学に興味のある方におすすめの1冊です。
はじめに
天文学というと、どんなイメージをもつでしょう?プラネタリウムで聞く星座の話、流星群や日食観測、それともお月見でしょうか?本書で紹介するのは、天文学の魅力をギュッと凝縮したエッセンスです。月にも山脈や海がある?無数の星があるのになぜ夜空は暗い?第二の地球を探す「宇宙人方程式」とは?重力波で宇宙誕生のひみつに迫る――などなど。
天文学は、流れ星や月など身近な天体の不思議から、遠く宇宙の始まりの謎にまで迫るとても面白い学問なのです。
古来より、天文学は音楽や数学と並んで最も古い学問であり、古代人にとって大切な対話の道具(コミュニケーションツール)だったといわれています。
たとえば、人と人が再会を約束するとき、時計も電話も持たない状況で、待ち合わせの場所や日時をどうやって決めればよいのでしょう?そんなとき、古代の人々は月の形や星々の位置を互いに知っておくことで、季節や時刻や居場所を伝えあうことができました。
このように、天文学は人と人を繋くうえでなくてはならないツールだったと考えられているのです。
一方、近年の天文学の発展には、著しいものがあります。本書を読んでいただくと、子どもの頃に読んだ天文学の図鑑や参考書の内容とずいぶん変わったなぁと感じられることでしょう。
いま注目されている「アストロバイオロジー」という学問があります。「宇宙における生命の起源、進化、伝播、および未来」を研究する学問領域で、天文学をはじめ、生物学、惑星科学、地球物理学などさまざまな分野の研究者が集結しています。「我々は何者か?我々は何処に行くのか?」この普遍的な問いかけに対して、天文学を足がかりに、いま人類は答えに迫りつつあります。
二〇一六年現在、存在が確認された太陽系外惑星は三五○○を超えました。なかには地球サイズの岩石惑星や、ほどよく暖かく、液体の水が豊富にありそうな惑星も見つかり始めています。
次世代望遠鏡と呼ばれる「TMT」など超高性能の望遠鏡、および宇宙望遠鏡は地球外生命が存在する系外惑星を見つけ出す可能性を秘めています。近い将来、私たち生命の起源が見つかったり、知的生命体とコミュニケーションができたりということが夢物語ではなくなるかもしれません。
こんなワクワクドキドキする学問を、天文学者たちに独占させておくのはもったいない!みなさんも本書を片手に、エキサイティングな天文学の世界を覗いてみませんか。
目次
はじめに
PartI
ロマンティックな天文のはなし
流れ星を見る方法
月にも山脈や海がある?
北極星は移動する?
あるのになぜ夜空は暗い?
勇者オリオンの右肩がなくなる日
旅先でしか見られない星空
火星に生命は存在する?
見られると縁起がいい星?
地球に天体が衝突するとき
PartⅡ
面白くて眠れなくなる天文学
土星の環は何でできている?
月が自分についてくる理由
太陽の寿命はあと何年?
宇宙人とコンタクトをとるには
第二の地球を探す「宇宙人方程式」
オーロラがきれいに見えるのはいつ?
作りが歴史を変えた!
織り姫と彦星はデートでない!?
太陽系の果てを探して
一番星を見る方法。
PartⅢ
宇宙はふしぎに満ちている
「宇宙の一番星」を発見せよ
ダークエネルギーの謎
銀河はどのようにできたのか
惑星からはずれてしまった星
天体望遠鏡を最初に使ったのはガリレオではない?
重力波で宇宙誕生のひみつに迫る
星座はいつ、どこで作られた?
ブラックホールに重さがある?
地球に生命をもたらしたのは彗星だった?
宇宙の時間と人間の時間
おわりに
参考文献
著者略歴
本文デザイン&イラスト宇田川由美子
基礎からわかる天文学
天文学の決定版
天文学の広い範囲が網羅されていて、難しい数式は使わずに概説されています。豊富な図版と平易な文体による解説が非常にわかりやすいです。宇宙・天文学を学んでいる学生には最適な参考書であり、まったくの初心者から上級者まで幅広い読者層におすすめの1冊です。
はじめに
多くの人々が宇宙に関心を持つようになり、宇宙や天文学の成果に触れる機会が増えています。しかしながら、どうしてそのような結果が得られたのか、どんな方法でデータを得ているのか、多くの成果や知識は互いにどんな関係になっているのかなどを整理して示すものは、専門書を除くとそれほど多くありません。根気と時間さえあれば、どんな人でも必ず理解できる説明が可能であるというのが科学の目指すところであり、非常に優れたところです。そこで、宇宙についても、入門書と専門書との間をつなぐものが必要だろうと考え、書いたのが本書です。
科学的成果をきちんと理解するには数式を読みこなす必要が出てきます。しかし、数式は内容を簡潔に表現するための技法の1つであり、それ自体は科学の内容ではありません。数式を手助けに、宇宙がどうなっているのかを頭の中に描き出すことが重要なのです。それは3Dだったり、アニメーションだったりします。テレビ会社が作ったものではなく、自分自身の理解に基づいた「自主制作アニメ」を頭の中に描けるようになることが大事なのです。そこで、本書では私が頭の中に描いている宇宙のイメージを伝えることを主眼としました。ですから、表現が冗長であったり、量的に不正確だったりする欠点はあります。しかし、ここに示したイメージが「自主制作」する際のヒントになるのではと思っています。
本書は、同じ目的で書かれた「よくわかる宇宙の基本と仕組み」(秀和システム)を大幅に加筆・修正したものです。とくに、第6章および第8章はまったく新たに書き加えました。これによって、現代天文学が対象としている、ほとんどすべての話題について何らかの形で触れることができたのではと考えます。
本書を通じて、宇宙や天文学への関心がますます高まり、テレビや雑誌の紹介記事を理解する際の助けになったり、専門書の読破に挑戦する人が増えることを期待します。
2011年11月9日鹿児島大学にて半田利弘
目次
はじめに
第1章 太陽系
1-1月
月の自転と公転/潮の満ち干と月/共通重心/慣性力/潮汐力と潮の満ち干/潮汐摩擦と地球の自転/月の自転と潮汐力
1-2太陽系の様子
星の形と自己重力/太陽系の惑星/小惑星と隕石/外縁部小惑星帯と彗星
1-3惑星運動の特徴
ケプラーの第1法則/惑星軌道の形/惑星軌道の傾き/ケプラーの第2法則/ケプラーの第3法則
1-4太陽系の縮尺(天文単位の定義と縮尺での説明)
惑星軌道の間隔/惑星や準惑星の大きさと重さ/太陽系の広がりを実感する
1-5小惑星の特徴
小惑星の密集度/主要部小惑星の形/主要部小惑星の軌道/主要部小惑星の組成/主要部小惑星の族
1-6惑星の特徴
惑星の分類/岩石惑星の特徴/ガス惑星の特徴/氷惑星の特徴
1-7太陽系の果て
冥王星/太陽系外縁天体/彗星/オールトの雲/太陽圏
1-8太陽系のでき方
3種類の惑星の配置/太陽系の形成/氷と水蒸気と雪境界線/主要部小惑星帯と外縁部小惑星帯/太陽系形成モデルの課題
第2章 恒星
2-1恒星とは何か
星座の星々/恒星と太陽系/恒星のエネルギー源/恒星での核融合反応/恒星の内部構造/恒星が安定して輝き続けるわけ
2-2恒星の明るさと色
星の等級/等級の基準/星の色/光の色と3原色/光の波長とバンド/バンドと等級
2-3いろいろな恒星
絶対等級と真の明るさ/大きな星と明るい星/星の表面温度/スペクトルと黒体放射/星の大きさと主系列/HR図と星の種類
2-4恒星の誕生
星の誕生と星間ガス/星間ガスの収縮/原始星の誕生/原始星ガス円盤の形成/双極分子ガス流
2-5恒星の進化
原始星から主系列星へ/主系列星/核融合が起こる場所/赤色巨星へ/質量放出/水平分岐星/鉄の芯
2-6恒星の最後
白色矮星と惑星状星雲/電子の縮退圧とチャンドラセカールの質量限界/超新星爆発/中性子星とブラックホール
2-7連星
連星/主星と伴星/共通重心/見かけの重星/連星の見つけ方/連星の重さ/近接連星/連星の降着円盤
2-8変光星
星の瞬きと変光星/脈動型変光星/閃光星とおうし座T型星/激変星と新星/連星型超新星/磁変星とパルサー/食変光景
2-9太陽系外の惑星
系外惑星/系外惑星の検出方法/灼熱ガス惑星/大離心率惑星/太陽系と系外惑星系の特徴
2-10褐色矮星と浮遊惑星
質量関数/エディントンの限界/褐色矮星/浮遊惑星
第3章 星雲と星間物質
3-1星間物質
宇宙は完全には真空でない/3種類の星間ガス
3-2星雲
星雲の分類/輝線星雲/惑星状星雲/超新星残骸/反射星雲/暗黒星雲
3-3宇宙での物質の循環
恒星の進化と物質の動き/物質循環と金属量/物質循環に接する時間
3-4星間ガスの組成と検出
宇宙の物質組成/柱密度と光学的厚さ/星間分子ガスの検出
3-5星間塵
星間塵/星間塵と星間吸収/星間赤化/星計数と星間減光量/塵の量とガスの量
3-6星間分子ガスの化学変化
星間ガスでの化学変化/星間分子形成のパラドックス/星間分子の形成/奇妙な分子/星間分子と生命
第4章 天の川銀河
4-1天の川と天の川銀河
球状星団と散開星団/天の川銀河/銀河面と銀河座標/さまざまな波長で見た天の川の姿
4-2天の川銀河の大きさと構造
大きさと重さ/天の川銀河の構造/円盤部の広がり/バルジの広がり/ハローの広がり/銀河中心
4-3円盤部と渦巻腕
太陽系近くの様子/太陽近傍の恒星の運動/電波輝線と運動学的距離/星間ガスの分布/円盤部の中での金属量の違い
4-4バルジとその形状
棒状バルジと円形バルジ/赤外線観測による棒状バルジ/電波観測による棒状バルジ/バルジの大きさと向き
4-5天の川銀河の中心核
銀河中心の方向と距離/いて座Aとその構造/銀河中心のブラックホール/天の川銀河中心星団/電波アークと磁場構造
第5章 銀河
5-1銀河の分類
渦巻銀河と楕円銀河/銀河の形態分類/ハッブルの形態分類/巨大楕円銀河と矮小銀河
5-2銀河の内部運動
タリーフィッシャー関係とフェーバージャクソン関係/差動回転と平坦回転曲線/失われた質量と暗黒物質/MACHOとWIMP
5-3渦巻腕
渦巻腕の巻き込み/密度波理論/銀河衝撃波モデル/星形成伝播モデル
5-4銀河の衝突と潮汐相互作用
銀河の大きさと間隔/銀河の衝突/潮汐力による尻尾/爆発的星形成銀河/銀河の合体
5-5活動銀河とその中心核
活動銀河と通常銀河/電波銀河/セイファート銀河/クェーサー/銀河中心ブラックホール/激しい変光と降着円盤
5-6宇宙ジェット
電波ローブ/ジェット構造/噴き出すガスの動き/超光速運動/いろいろな規模の宇宙ジェット
5-7銀河群と銀河団
局所銀河群/銀河の集団/銀河団と巨大楕円銀河/銀河の運動と見落としている質量/銀河団内ガス/スニャーエフゼルドビッチ効果/銀河からのガスのはぎ取り
5-8超銀河団と宇宙の大規模構造
超銀河面と局所超銀河団/おとめ座銀河団落下運動/大規模流とグレートアトラクター/超銀河団/銀河分布の空洞/宇宙の泡構造
5-9銀河の形成と進化
銀河の進化/銀河衝突と計算機シミュレーション/銀河の合体と成長
第6章 宇宙論
6-1ハッブルの法則と宇宙膨張
視線速度と赤方偏移量/銀河の視線速度とハッブルの法則/ハッブルの法則の意味/宇宙原理/宇宙の膨張/宇宙膨張と距離
6-2暗黒物質と暗黒エネルギー
光の速度と過去の世界/ハッブル定数が変化する原因/平坦な宇宙/la型超新星と宇宙の加速膨張の発見/暗黒物質と加速膨張/宇宙項/宇宙項と暗黒エネルギー
6-3ビッグバンと宇宙の晴れ上がり
宇宙膨張をさかのぼる/インフレーション宇宙と真空の相転移/クォークの発生と素粒子の発生/水素原子の形成と宇宙の晴れ上がり/黒体放射と宇宙背景放射
6-4宇宙背景放射の揺らぎ
宇宙背景放射の観測/天の川銀河の運動/宇宙背景放射の揺らぎ揺らぎの成長/暗黒物質と低温暗黒物質モデル
6-5宇宙暗黒時代と種族皿天体
宇宙暗黒時代/第1世代の天体/種族皿天体の特徴/種族皿天体の形成
第7章 宇宙を調べる方法
7-1光と電磁波
電磁波/波の特徴/電磁波の波長と周波数/電磁波と光/いろいろな電磁波
7-2大気の窓
大気の透明度/可視光の窓と電波の窓/大気の窓と地上観測/地上を離れた観測
7-3天体の基礎データ
天体観測の手法/データの整約/データの解析と解釈/発表と刊行
7-4観測の限界
測定量と誤差/ガウスの誤差分布/感度/分解能/角分解能/望遠鏡の基本性能と口径
7-5天体望遠鏡
望遠鏡の構成要素/動作原理から見た検出装置/電波の検出装置と反射鏡/赤外線の検出装置と反射鏡/可視光の検出装置/紫外線の検出装置/X線の検出装置と反射鏡/ガンマ線の検出装置と反射鏡/ボロメータ
7-6分光器
分光器/波の干渉/干渉を利用した分光器/可視光や赤外線の分光器/X線やガンマ線の分光器/電波の分光器
7-7干渉計と補償光学
天体干渉計/光学干渉計と電波干渉計/超長基線干渉計/ホモロジー変形鏡と能動光学/補償光学
第8章 宇宙を理解する基礎理論
8-1観測と理論
学説と法則/新しい学説が成り立つには/正しい学説の判断基準/正しい学説の判定/理論の研究と観測の研究
8-2運動と力学
ニュートン力学/円運動の場合の加速度と力/重力の法則/天体の質量の推定法
8-3電磁気学
磁石と磁場/電荷と電場/電磁気学と場/マックスウェル方程式と電磁波/電磁波の発生と物質/ローレンツの力/磁場とガスの凍り付き
8-4電磁波の減衰と伝播
物質による電磁波の吸収/物質による発光/発光も吸収も混在する場合/光学的厚さ
8-5熱力学と統計力学
気体の性質と絶対温度/気体の熱膨張の法則/理想気体/分子と熱運動/気体の圧力と重力
8-6特殊相対性理論と一般相対性理論
マックスウェル方程式と光速の問題/ローレンツ変換/特殊相対論/光速の意味/重力場/一般相対性理論
8-7量子論
電磁波と光子/波動と粒子の2重性/輝線と吸収線/原子核反応/フェルミ粒子と縮退圧/縮退圧の性質
8-8理論と計算機シミュレーション
理論的研究/単純化と近似/計算機を用いた理論的研究/計算機シミュレーション/ソフトウェアとハードウェアの工夫
8-9方向の基準
天体が見える方向/高度と方位角/赤経と赤緯/黄経と黄緯/分点/銀経と銀緯
8-10天体までの距離
天体までの距離/信号の到達時間/見える方向の変化/大きさの比較/明るさの比較/系統的な運動/距離のはしご/距離の単位
索引
天文の世界史 (インターナショナル新書)
天文学の歴史がわかる
天文学に関する書籍のほとんどは現代の西洋天文学を扱っていますが、本書はややマニアックで、天文学の発展や歴史について紹介しています。手軽に全体像を掴むことができ、何度読んでも楽しめるので手元に置いておきたくなる1冊です。天文学だけでなく歴史や文学好きの方にもおすすめです。
目次
はじめに
第一章 太陽、月、地球―神話と現実が交差する世界
もっとも強く意識されてきた天体/太陽を読む装置/クリスマスの起源は太陽の誕生日?/畏れられ恐れられる太陽/燃えさかる太陽の「黒幕」/太陽の中の人などいない/太陽のエネルギー源/今、太陽の外側が熱い/日食で大騒ぎ/惑星になった生首/命取りの予報漏れ、ゴマすりで何とかなる誤報/太陽と月、どっちが近い?/紀元前の地動説/スーパームーンはあんまりスーパーじゃない/月は五円玉の穴より小さい/あり得ないことの代名詞/月の満ち欠けが一ヶ月/天文システムエンジニアの悲哀/精密なら良い、とは限らない/暦改革宗教改革/明治改暦の裏事情/争いを避けるための太陰暦/新月――観測か、計算か/月と罰/直進と回転の境界/望遠鏡が世界を変えた/月の中の人など、やっぱりいない/月を楽しみ、月で悲しみ/時差一時間の距離/アップデートを放置して八二三年間/西洋にヒントを得た国産カレンダー/月はときに「地球」をも映す/地球の大きさを棒で測る/数にとらわれず、グローバルな視点で/それでも地球は回っていない/「地球を測る」から「地球で測る」へ/地球の回転よりも精度が高い時計/月下界を越えて神話の世界へ
第二章 惑星――転回する太陽系の姿
惑星は全部で何個?/見慣れない順番の背景にあるもの/水星――二つの顔を持つ星/金星―太陽と月に次ぐ明星/マヤの「金星暦」/「ニ〇一二年世界滅亡」の嘘/火星―人々を惑わす炎/木星―夜空の王様/十二支の巡りと木星の巡り/土星――ゆっくりと歴史を刻む星/ホロスコープ占いの誕生/惑星の動きを丸く収めるには/いつもより余計に回っております/もっとも偉大な「数学」の本/七つの曜日も天文学の産物/曜日の順番はこうして決まった/チューズデーとマーズの関係/ホロスコープ占いを説くお経/陰陽師>仏教系占星術師/地動説が必要だった理由/地球――太陽系の第三惑星/衛星――「中心」は複数あった!/天王星――ついに広がった太陽系/ケレス――天才数学者が拾い直した小惑星第一号/海王星――計算で予測された星/冥王星――老人の夢と若者の根性/機械仕掛けの開拓者と航海者/1992 QB1―デジタル時代の新地平/エリス――不和と争いをもたらした「第一○惑星」/ニ一世紀の太陽系再編
第三章 星座と恒星――星を見上げて想うこと
昔の人は星を避けた?/恒星の運動は二種類/動かない星/ナイルの恵みを知らせる星/三六時間から二四時間へ/イラクで生まれた星座たち/「星座」と切り離された星占い/交代する北極星/「十三星座占い」は必要?/星座と言えばギリシア神話なのはなぜ?/太陽がいっぱい/イスラム風のオリオン座/星の名前はアラビア語から/東洋で大変身した一二宮/愛妻を訪ねる月の旅/祇園祭に潜む星座/中国星座は天上の国家星に導かれて旅する人々/近代の新星座ブーム/兄より明るい弟/恒星も動いていた/赤い星と青い星、熱いのはどっち?/星座にあるのは境界だけ/星座の飛び地問題/星の名前は買えません/「惑星」のおかげで「恒星」に名がついた?/第二の地球を探して
第四章 流星、彗星、そして超新星――イレギュラーな天体たち
「通常」と「異常」の天文学/天からのメッセージを読み解く/彗星はほどほどに珍しい/支配者が恐れる天体/星に願いをかけるのも楽じゃない、怖い流星、ゆるーい流星/昼間も輝く客星/天球を壊した天体/肉眼観測の限界/ケプラーからハレーへ、彗星は巡る/彗星観測の邪魔者たちが人気の天体に/彗星衝突の脅威と対策/彗星パニックは繰り返す/「世界が火事だ」/彗星は流星の母/彗星は生命の母でもある?/超新星は恒星の引退/私たちは星の爆発で生まれた存在?/歴史と今とをつなぐ超新星残骸/宇宙を測るものさし
第五章 天の川、星雲星団、銀河宇宙の地図を描く
星以外の天体を見つめる/織女と牽牛を隔てる天の川/なぜ梅雨時に星祭り?/天文学的超遠距離恋愛/白い乳の流れる道/南半球の天の川/天の川の正体は雲?それとも星?/雲状の星はカニの泡?死体のガス?/星はすばる/「本当の星雲」を見つけるのは難しい/天の川も星の集まりだった!/ニュートンの無限宇宙説/どうして夜空は暗いのか/太陽系から銀河系へ/星雲星団の名前にMやNGCが多いワケ/星雲と恒星の循環/疑惑が渦巻く星雲の光/銀河のほとりを走る鉄道の旅/天の川を測るものさし宇宙の大きさと銀河を巡る「大論争」/天の川を越えて銀河の世界へ/「己を知る」のが一番難しい/見えざる九割の暗黒物質/銀河のもう一段階上にある存在/宇宙を知るには銀河をたどれ!
第六章 時空を超える宇宙観
空間と時間/人間が宇宙となる/神話から哲学へ――しかし神は残った/天体の計算と宇宙の構造は別問題/ヒンドゥー教と天文学の奇妙な関係/ニュートンも神に任せた問題/イギリスとヨーロッパ大陸の近代的宇宙観/地面の下から出てきた証拠/エーテルの終焉/二つの相対性理論/宇宙は広がっていた!/宇宙は「大爆発」で始まった/宇宙の年齢、そしてその運命に迫る/加速する宇宙の歴史
終章 「天文学」と「歴史」
歴史を振り返ることで天文学が始まる/歴史のとらえ方で変わる宇宙観/インドを侵略した王とインドを愛した宮廷占星術師/残された歴史と破壊された歴史/植民地と天文学/厄介な「起源」の問題/実在しなかった「インドの宇宙観」/「天文学の歴史」を疑うことこそ理解への第一歩/火星人のように異質な日本人?/一つの世界と多様な歴史
謝辞
参考文献
はじめに
現代における天文学の進歩は目覚ましいものがあります。今や地上に建設した巨大望遠鏡や宇宙望遠鏡を使って一○○億光年以上離れた銀河も観測でき、比較的身近な宇宙である太陽系の天体には直接探査機を送り込めるようになりました。人類の宇宙に関する知識は昔に比べて格段に深まったように思えます。
しかし、私たち一人一人は本当に宇宙のことを分かっていると言えるのでしょうか?天文学という学問の対象は多岐にわたっていて、その全容を把握することは当の天文学者にとっても困難です。また専門用語や数字がやたらと出てくるため敬遠してしまうという人も多いかもしれません。おまけに、せっかく覚えた知識もあっという間に塗り替えられていきます。
宇宙の年齢、つまり宇宙がビッグバンとともに誕生してから現在までの時間という数字一つをとっても、二〇世紀末の時点では専門家たちの間でも「一○○億年」から「二〇〇億年以上」までと意見が分かれていたのですが、二〇〇三年に「一三七億年前後」という画期的な観測結果が登場しました。さらに二〇一三年にはもっと正確な値として「約一三八億年」という8数字が発表されています。
そんなふうに今日ですら天文学の教科書がどんどん書き替えられている中で、この本で何百年も前の天文について知ることに、一体どんな意味があるのでしょうか。
私は、天文の「問い」を知ることに大きな意義があると考えます。どんな学問であれ、私たちはその「答え」を知りたがる傾向がありますが、本当にその分野を理解しようとするなら、まずは研究者たちが何に答えようとしているのか、その「問い」を理解しなければなりません。天文学には昔から変わらない疑問もあれば、大きく変化した疑問、もはや問われなくなった疑問もあります。その変遷をたどっていくことで、現代の天文学がどんな方向に向かおうとしているのかが見えてくることでしょう。ですから、「星や宇宙に興味はあるけど、天文学は何だか難しそう」という人にこそ本書を手に取っていただきたいと思います。
歴史が好きな人も本書をお楽しみいただけるはずです。世界中で、天文は常に政治・文化・宗教と深く関わってきました。天文という視点を通じて、様々な時代や地域の人々について理解を深める上で本書が一助になればと考えています。結果として天文学そのものにも興味を持っていただければ幸いです。
今も昔「天文」にはあまりにも多くのことが含まれているので、教科書のように全ての事柄を時系列に並べると、たどっていくのが難しくなってしまうおそれがあります。そこで本書では天体の種類によって章を区切ることにしました。天体ごとに「天文」の異なる様相がて、天文における「問い」の変遷もはっきりしてくることでしょう。順番どおりに読まなくてもいいような構成になっているので、ぜひ気になるところから読み進めてください。
最初に第一章で取り上げるのは太陽と月、そして地球です。空の中で圧倒的に目立つ天体である太陽と月は、暦の基準となるなど人間の生活に深く関わってきました。一方、空に対する「地」の存在は昔から意識されていましたが、やがてこれが宇宙に浮かぶ「地球」であること、さらには太陽の周りを回る惑星であることが判明します。
第二章では惑星を中心とした太陽系の天体を取り上げます。肉眼で見える火星・水星・木星・金星・土星の五惑星は昔から存在を知られていて、主に占いのために使われていました。実はこれに日・月を加えると七つの曜日になるのですが、その成立と普及には様々な文化圏の交流が関わっています。近現代では技術の発展と歩調を揃えるように次々と新しい惑星や衛星などが見つかりました。
夜空の中での惑星の位置を知るためには目印が必要です。そのために使われたのが第三章のテーマである星座、およびそれを形作る恒星です。現在使われている星座は、メソポタミアで生まれギリシアに伝わったものがもとになっていますが、この他にも世界各地には様々な星座が存在しました。
惑星や恒星は基本的にいつ、どこに見えるかを計算できますが、第四章では打って変わって不意打ちのように出現する天体を取り上げます。ここでの主役は流星、彗星、新星などです。これらの天体は出現が予測できないこともあって忌み嫌われがちでしたが、やがて天文学を発展させるきっかけにもなりました。現代でも、彗星は太陽系の起源を、超新星は宇宙のスケールをそれぞれ知るための鍵を握る重要な存在です。
第五章は視点をさらに広げ、夜空に見えている恒星を全て含む世界、「銀河」の話題です。古代から知られていた天の川ですが、近代の天文学者がそこへ望遠鏡を向けると無数の星々の集まりが見えました。やがて私たちは「銀河系」という円盤状に恒星が集まった世界にいることが定説となり、二〇世紀になってからは銀河系以外にもたくさんの銀河が宇宙に散りばめられていることが分かってきています。
そしていよいよ宇宙全体をテーマとするのが第六章です。宇宙はどんな形をしていて、いつ誕生したのでしょうか。これは人類始まって以来ずっと続いている「問い」とも言えるかもしれませんが、これに真っ向から取り組むことができるようになったのは、案外最近のことなの「天文学」に歴史があるように、「天文学の歴史」そのものにも歴史があります。終章では、昔の人々も過去の天文学について研究していた事実を明らかにしながら、「天文の世界史」を学ぶことにどんな意味があるのかを改めて問い直します。
天体の種類で章を区切った背景には、どの章からでも読める手軽さと分かりやすさを重視したからという理由だけではなく、本書を読んでから空を見上げたときに、その内容を思い出していただきやすいだろうという思惑もあります。何となく眺める星空も美しいですが、天文の知識があればさらに楽しめますし、そこに歴史が加わればいっそう味わい深くなるに違いありません。
それでは、宇宙と人間が織りなした物語へとご案内いたしましょう。
新・天文学事典 (ブルーバックス)
天文学のカラー教科書
タイトルには事典とありますが、教科書としても使える、読物としても楽しめる良書です。本書は天文学の全体を網羅するために、26名の著者によって執筆されています。天文学の基本が身につき、断片的な知識をしっかりとつなぎ合わせてくれ流ので、天文学に興味のある方や天文学を学んでいる方には必携の1冊です。
序文
天文学は不思議な学問である。なぜなら、天文学ほど我々に身近な自然科学の分野はないからである。天文学は天体を観ることから始まる。すると、我々は好むと好まざるとにかかわらず、常に天体を観ていることに気がつく。
我々は地球に住んでいるが、そもそも地球は天体(惑星)である。晴れていれば、日中は太陽という天体(星)を拝み、夜には月や満天の星空を眺める。月も、星も天体である。また、星々が川の流れのように見える天の川は、我々の太陽系が存在する銀河の姿に他ならない。古来、天文学が我々にとって身近な学問として心の中にあり続けている所以である。
このような事情から、天文学の研究者のみならず、一般の方々の天文学や宇宙に関する関心は非常に高い。しかし、ひとたび天体現象や宇宙について理解しようとすると、たくさんの科学的知識が必要となり大変である。そんなとき、基礎から最新の情報まで網羅する天文学の手頃な事典があると便利なはずである。本書はまさにこのニーズに応えるものとなっている。
じつは、1983年に、ブルーバックスから『現代天文学小事典』が刊行されている。当時の天文学を縦横無尽に語り尽くした素晴らしい事典であった。しかし、30年の歳月は我々の宇宙観を大きく変えた。『現代天文学小事典』のスピリットを継承し、時期を得て改訂版を出版することは、我々遅れてきた者の責務である。
では、1983年以降、天文学はどのような進展を遂げたのだろうか?進展の原動力はいつの時代でも同じである。技術革新。これに尽きる。1609年、ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡で宇宙の観測をして以来、可視光による観測は基本である。写真技術の発展とともに、しばらくの間、写真乾板が検出器として使われていた。しかし、1980年代中盤から半導体を利用したCCDカメラが天体観測に利用されるようになった。量子効率は100パーセントに近いので、人類は究極の検出器を手にした。このおかげで、どうしても手の届かなかった100億光年彼方の銀河を観測できるようになった。
技術革新は続く。積年の夢だったハッブル宇宙望遠鏡(HST)が打ち上げられたのが1990年のことであった。主鏡の誤研磨というトラブルを3年後に乗り越えてからは(補正光学系を装着した)、まさに人類の宇宙観を根底から覆すような画像を提供し続けている。あまりにも美しい星雲や銀河の画像に、息をのまれた方も多いだろう。しかし、HSTの主目的は、望遠鏡の名前に宇宙膨張を発見したハッブルの名前が冠されているとおり、宇宙の膨張率であるハッブル定数を精密に測定することだった。宇宙マイクロ波背景放射の観測などと併せて、宇宙の年齢を137億年と決定したことは、ここ30年の最も大きな成果の1つである。
また、HSTの白眉は、深宇宙探査を目的とした、ハッブル・ディープ・フィールドとハッブル・ウルトラ・ディープ・フィールドである。これらのプロジェクトのおかげで、人類は132億光年彼方の銀河を発見するに至り、銀河の誕生過程の解明に肉薄しつつある。もう1つの白眉は、広域サーベイで宇宙のダークマターの3次元分布を初めて明らかにした宇宙進化サーベイ(COSMOプロジェクト)である。冷たいダークマターによる銀河形成論を観測的に初めて立証した。
また、待ち望まれていた宇宙マイクロ波背景放射の精密観測がCOBEとWMAPの2つの衛星で行われた。温度(密度)ゆらぎが発見され、銀河の種が見えてきた。さらに、これらの観測に基づき宇宙の質量密度を調べてみると、原子の占める割合は高々数パーセントで、大半はダークエネルギーとダークマターで占められていることが判明した。我々の住む宇宙は正体不明の暗黒に操られて進化しているのである。
地上の天文台はすべて大型化し、口径8.2mのすばる望遠鏡などが稼働し始めた。遥か130億光年彼方の非常に若い銀河が多数発見され、ようやく銀河の形成と進化の様子がわかるようになった。また、電波では南米アタカマ高地にALMAが建設され、2011年から稼働し始めた。世界初の国際共同運用天文台である。銀河系内の星生成領域の精密観測や遠方銀河の星間物質の研究に大きな進展が期待されている。宇宙天文台はハッブル宇宙望遠鏡の他に、紫外線、赤外線、X線、およびガンマ線天文台が次々と打ち上げられ、本格的な多波長観測の時代に突入した。特に、ガンマ線天文学の発展は著しく、宇宙最大の爆発であるガンマ線バーストの研究が進んだことも特筆に値する。
身近なところでは我々の住む太陽系の理解も格段に進んだ。2006年の国際天文学連合の総会で、冥王星が惑星ではなく準惑星に変更になったことは大きなニュースとして取り上げられた。これは望遠鏡が大型化して、太陽系外縁部の観測が進展したことによる。海王星より遠いところには、冥王星クラスの天体がたくさんあることがわかってきたため、冥王星の位置づけが変更されたのである。また、日本の小惑星探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワの物質を持ち帰った大偉業もあった。
一方、コンピュータ・シミュレーションの技術も大革新を遂げた。日本の研究グループが開発した重力多体系専用チップであるGRAPEの開発で、太陽系(恒星+惑星系)から、銀河、宇宙大規模構造の形成と進化まで、飛躍的に速いスピードで計算できるようになったからである。地球や月のでき方も原理計算で探ることができるようになった意義は大きい。また、観測的には、第2の地球探しも本格化し、地球外生命に関する基礎研究も盛んに行われるようになってきた。
何気なく見上げる夜空はなにも変わらないように見える。しかし、人類の宇宙の探求はどんどん進んでいる。読者の皆様にとって、本書が宇宙を理解する一助になれば幸いである。
2013年2月
谷口義明
目次
序文
第1章 宇宙論
1. 概要
2. 近代宇宙論の系譜
3. 一般相対性理論と膨張宇宙論
4. 一様等方宇宙モデル
5. 膨張宇宙
6. 赤方偏移
7. フリードマン方程式と宇宙論パラメータ
8. 宇宙のホライズン
9. ビッグバン宇宙
10. 宇宙の歴史Ⅰ(放射優勢期)
10-1 対称性の高い宇宙(宇宙時間:約10-12秒以前)
10-2 電弱対称性の破れ(宇宙時間:約10-12秒)
10-3 クォーク・ハドロン転移(宇宙時間:約10-6秒)
10-4 ニュートリノ脱結合(宇宙時間:約1秒)
10-5 電子・陽電子の対消滅(宇宙時間:約10秒)
10-6 軽元素合成(宇宙時間:約3分)
11. 宇宙の歴史Ⅱ(物質優勢期以後)
11-1 放射と物質の等密度時(宇宙時間:約6万年)
11-2 電子の再結合と光子の脱結合(宇宙時間:約38万年)
11-3 宇宙の暗黒時代(宇宙時間:約38万年から数億年)
11-4 天体や大構造の形成(宇宙時間:数億年以後)
11-5 宇宙の加速膨張(宇宙時間:約90億年以後)
12. ダークマターとバリオンの起源
12-1 ダークマターの候補粒子
12-2 バリオンの起源
13. インフレーション理論
14. 量子宇宙論と宇宙の始まり
15. ビッグバン元素合成
16. 宇宙マイクロ波背景放射
第2章 ダークエネルギー
1. 概要
2. 一般相対性理論における宇宙定数
3. 真空エネルギーとしての宇宙項
4. 場の量子論における宇宙項問題
5. 膨張宇宙における宇宙項
6. 加速膨張とダークエネルギー
7. ダークエネルギーの観測-
7-1 遠方超新星
7-2 バリオン音響振動
7-3 ダークエネルギーの観測的制限
7-4 弱い重力レンズ
7-5 その他の方法
8. ダークエネルギーの理論
8-1 クインテッセンスなど
8-2 修正重力理論
8-3 非一様宇宙
8-4 人間原理とマルチバース
第3章 ダークマター
1. 概要
2. ダークマターの観測的証拠
2-1 太陽系近傍と銀河系
2-2 銀河
2-3 銀河団
2-4 大規模構造の形成とダークマター・ハロー
3. ダークマターの理論
3-1 バリオン・ダークマター
3-2 非バリオン・ダークマター
3-3 素粒子理論からの予測
4. 素粒子実験による検証
4-1 ニュートラリーノの検出
4-2 ヒッグス粒子の検出
4-3 アクシオンの検出
第4章 宇宙の大規模構造
1. 概要
2. 銀河群、銀河団、超銀河団
2-1 銀河群
2-2 銀河団
2-3 超銀河団
3. 大規模構造
3-1 大規模構造の姿
3-2 銀河の特異運動
4. 大規模構造の観測
4-1 大規模構造の発見
4-2 赤方偏移サーベイ
5. 大規模構造の理論
5-1 銀河分布の定量化
5-2 2点相関関数
5-3 パワースペクトル
5-4 冷たいダークマターに基づく構造形成論
第5章 銀河
1. 概要
2. 銀河の分類
2-1 楕円銀河
2-2 円盤銀河
2-3 S0銀河
2-4 不規則銀河
2-5 ハッブル系列
2-6 矮小銀河
3. 銀河の観測的特徴
3-1 光度
3-2 質量
3-3 表面輝度分布
3-4 サイズ
3-5 色
3-6 金属量
3-7 環境
4. 銀河の形態と性質
4-1 楕円銀河とS0銀河
4-2 渦巻銀河
4-3 不規則銀河
4-4 矮小銀河
4-5 スターバースト銀河
5. 銀河形成論
6. 銀河の進化
6-1 赤方偏移サーベイ
6-2 遠方銀河探査
6-3 宇宙における星生成史
6-4 最遠方銀河
第6章 銀河系
1. 概要
2. 多波長観測で見る天の川
2-1 銀河座標
2-2 さまざまな波長帯で見る天の川の姿
3. 銀河系の基本構造
3-1 全体構造
3-2 バルジと棒状構造
3-3 恒星系円盤(厚い円盤と薄い円盤)
3-4 星間ガス円盤
3-5 ハロー
3-6 球状星団
3-7 太陽系の位置と回転速度
3-8 銀河系の真の姿
3-9 銀河系の質量分布と回転曲線
4. 銀河系中心の構造と巨大ブラックホール
4-1 Sgr A*付近の構造
4-2 巨大ブラックホールの発見
5. 衛星銀河(伴銀河)
5-1 大マゼラン雲と小マゼラン雲
5-2 マゼラン雲流と銀河相互作用
6. 銀河系形成史
6-1 金属量分布と化学進化モデル
6-2 銀河考古学
第7章 星
1. 概要
1-1 星の分類と色―等級図
1-2 原子核反応と元素合成
2. 星の進化
2-1 赤色巨星
2-2 重力崩壊とブラックホールの形成
2-3 巨大質量星の進化
3. 高密度天体
3-1 白色矮星と惑星状星雲
3-2 中性子星とパルサー
4. 星の種族と第1世代星
5. 星の誕生日
6. 銀河の中での集団的星生成
7. 超新星爆発と元素合成
7-1 超新星の観測的分類
7-2 重力崩壊型超新星とニュートリノ天文学
7-3 Ia型超新星
7-4 元素の起源
8. ガンマ線バースト
8-1 発見とそれ以降の歴史
8-2 生成メカニズム
8-3 長いガンマ線バーストと超新星との関連
8-4 短いガンマ線バーストの起源
8-5 宇宙論的研究への応用
第8章 太陽
1. 概要
2. 太陽内部
2-1 核融合反応
2-2 日震学
2-3 対流層・子午面還流
2-4 自転
3. 太陽大気
3-1 光球
3-2 彩層
3-3 コロナ
3-4 太陽風と太陽圏(低速/高速太陽風)
4. 太陽活動
4-1 黒点と白斑
4-2 プロミネンスとダーク・フィラメント
4-3 フレア
4-4 コロナ質量放出
4-5 太陽活動周期とダイナモ
5. 宇宙天気と宇宙気候
5-1 太陽高エネルギー粒子
5-2 惑星間空間衝撃波・共回転衝撃波
5-3 磁気嵐とオーロラ・サブストーム
5-4 太陽活動の長期変動による地球環境(気候)への影響
6. 恒星活動
6-1 恒星黒点
6-2 恒星彩層
6-3 恒星コロナ
6-4 恒星風
6-5 恒星フレア
7. 太陽の一生
第9章 太陽系
1. 概要
2. 地球型惑星
2-1 水星
2-2 金星
2-3 地球と月
2-4 火星
3. 巨大ガス惑星
3-1 木星
3-2 土星
4. 巨大氷惑星
4-1 天王星
4-2 海王星
5. 準惑星と冥王星型天体
5-1 小惑星帯の準惑星
5-2 冥王星型天体
6. 太陽系小天体
6-1 彗星
6-2 小惑星
6-3 太陽系外縁天体
6-4 惑星間塵
6-5 流星と流星群
第10章 太陽系外惑星
1. 概要
2. 系外惑星の観測方法
2-1 アストロメトリ法
2-2 ドップラーシフト法
2-3 トランジット法
2-4 重カマイクロレンズ法
2-5 直接撮像法
3. 系外惑星の特徴
3-1 軌道長半径、軌道離心率
3-2 惑星質量分布
3-3 軌道長半径
3-4 軌道離心率
3-5 軌道面傾斜角
3-6 中心星の依存性
3-7 内部構造
4. 形成モデル
4-1 原始惑星系円盤
4-2 コア集積モデル
4-3 円盤不安定モデル
4-4 ホット・ジュピター
4-5 エキセントリック・ジュピター
4-6 スーパーアース
第11章 ブラックホール
1. 概要
2. ブラックホール時空
3. ブラックホール天体の分類
4. ブラックホールの形成
5. 降着円盤
5-1 標準円盤モデル
5-2 放射非効率降着流
5-3 スリム円盤モデル
6. ジェットと円盤風
6-1 磁気圧駆動型ジェット
6-2 放射圧駆動型ジェット
6-3 ブランドフォード・ナエック機構
6-4 ラインフォース駆動型円盤風
7. ブラックホールの質量測定
8. ホーキング放射と宇宙の終末
第12章 巨大ブラックホールと活動銀河中心核
1. 概要
2. 巨大ブラックホール
3. 活動銀河中心核の種類
3-1 セイファート銀河
3-2 LINER
3-3 クェーサー
3-4 電波銀河
3-5 ブレーザー
4. 活動銀河中心核からの放射
4-1 降着円盤の熱放射
4-2 輝線放射領域
4-3 ジェット
4-4 固有な吸収線系(噴出流)
5. 活動銀河中心核の統一モデル
6. 活動銀河中心核の探査
7. 活動銀河中心核の形成と進化
8. 巨大ブラックホールと銀河の共進化
第15章 星間物質
1. 概要
2. 星間雲
2-1 分子雲
2-2 中性水素(HⅠ)雲
2-3 電離水素(HⅡ)雲
2-4 惑星状星雲
2-5 超新星残骸
2-6 コロナガス
2-7 高速度雲
3. 宇宙塵
3-1 星間減光
3-2 星間偏光
3-3 赤外線放射
3-4 元素組成とサイズ分布
3-5 生成、進化、破壊
4. 銀河宇宙線
5. 星間での諸現象
5-1 星間磁場
5-2 星間乱流
5-3 星間衝撃波
5-4 星間放射場
6. 星間物質の大域的諸性質
6-1 多相モデル
6-2 スーパーバブル
6-3 銀河リッジX線放射
6-4 星間雲とガンマ線
第14章 銀河間物質
1. 概要
2. クェーサー吸収線系
2-1 吸収線で影をとらえる
2-2 減衰ライマンα吸収線系
2-3 ライマン・リミット吸収線系
2-4 ライマンαの森
2-5 金属吸収線系
2-6 宇宙紫外線背景放射
3. 銀河間空間の金属汚染
4. 銀河間空間と環境
4-1 銀河団ガス
4-2 銀河系近傍の銀河間ガス
5. 初期宇宙における銀河間ガス
5-1 宇宙の暗黒時代
5-2 宇宙再電離
5-3 ガン・ピーターソン効果
第15章 宇宙生物学
1. 概要
2. 星間分子
3. 気相反応
4. 星間塵表面反応
5. 宇宙有機物質
6. 生命の起原
7. 化学進化とミラーの実験
8. 地球外物質の地球への運搬
9. パンスペルミア仮説
10. キラリティ(対掌性)
11. タンパク質
12. 核酸と遺伝
13. 生物の進化
14. ハビタブル惑星
15. 地球外生命探査
16. バイオマーカー
17. 地球外文明
第16章 観測技術
1. 概要
2. 可視光―赤外線
2-1 光赤外線観測の歴史
2-2 光学系
2-3 望遠鏡
2-4 光赤外線検出器
2-5 光学素子
2-6 光赤外観測装置
2-7 補償光学
3. 電波
3-1 電波望遠鏡の歴史
3-2 電波天文観測
3-3 単一アンテナ電波望遠鏡
3-4 電波干渉計
3-5 VLBI
4. X線
4-1 宇宙X線観測
4-2 X線検出の原理
4-3 X線検出器
4-4 X線望遠鏡
第17章 飛翔体による宇宙探査と宇宙開発
1. 概要
2. 宇宙開発史
2-1 宇宙開発の黎明期
2-2 冷戦下の人工衛星打ち上げと有人宇宙活動
2-3 月・惑星探査競争
2-4 宇宙ステーションの建設
2-5 日本の宇宙開発の歴史
2-6 新興国と民間事業者の台頭
3. 人工衛星
3-1 人工衛星のしくみ
3-2 人工衛星の構成
3-3 地球周回軌道
3-4 天文観測衛星
3-5 地球観測衛星
3-6 通信・放送衛星
3-7 測位衛星
3-8 情報収集衛星
3-9 超小型衛星
4. 太陽系探査
4-1 太陽系探査の手法
4-2 太陽系探査ロボット
5. ロケットと高高度気球
5-1 衛星打ち上げ用ロケット
5-2 観測ロケット
5-3民間サブオービタル宇宙機
5-4 再使用型観測ロケット
5-5 高高度気球
5-6 航空機搭載望遠鏡
6. 有人による宇宙探査と宇宙開発
6-1 有人宇宙飛行
6-2 宇宙飛行士
6-3 国際宇宙ステーション
6-4 宇宙基地
7. 宇宙ゴミ
第18章 天文学の教育と普及
1. 概要
2. 学校教育
2-1 小学校での天文教育
2-2 中学校での天文教育
2-3 高等学校での天文教育
2-4 大学・大学院での天文教育
3. 科学館とプラネタリウム
3-1 科学館における天文学の普及
3-2 プラネタリウムにおける天文学の普及
4. 公開天文台
4-1 公開天文台の歴史
4-2 公開天文台の現状と役割・未来像
付録
1. 物理定数
1-1 普遍定数
1-2 相互作用定数
1-3 その他の重要な定数
1-4 質量
1-5 CGS単位系とSI単位系との関係
2. 天文学的な定数
2-1 太陽と地球
2-2 時間の単位
2-3 距離の単位
2-4 年周視差の観測原理とパーセクの定義
3. 宇宙論的な定数とパラメーター
4. 天体からの電磁波
4-1 電磁波の名称
4-2 天体からの電磁波の放射強度
4-3 等級
5. 天体の位置(座標系)
5-1 赤道座標
5-2 銀河座標
5-3 超銀河座標系
さくいん
監修者・執筆者
監修者 谷口義明
執筆者
第1章 松原隆彦
第2章 松原隆彦
第3章 谷口義明
第4章 嶋作一大
第5章 鍛冶澤賢、谷口義明
第6章 和田桂一
第7章 吉田直紀(1~6節)、戸合友則(7、8節)
第8章 柴田一成(1、2、6、7節)、浅井歩(3~5節)
第9章 渡部潤一
第10章 井田茂
第11章 大須賀健、高橋労太
第12章 寺島雄一、長尾透、谷口義明
第13章 井上昭雄、釜谷秀幸
第14章 柏川伸成
第15章 大石雅寿
第16章 吉田道利(1、2節)、石黒正人(3節)、粟木久光(4節)
第17章 阪本成一
第18章松村雅文(1、2節)、加藤賢一(3節)、黒田武彦(4節)
尚、1つの章を担当していて、担当の節が示されていない場合は、著者らが協力して執筆した。