【最新】人材マネジメントを学ぶおすすめ本 – 人材育成や組織開発を任されたら

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人材マネジメントを学ぼう

役職や組織での立場が変わるにつれ、組織づくりをすることがでてきたら、どのようなスキルを学べば良いのでしょうか。今回は人材に特化したマネジメントスキルを学べる書籍を紹介致します。

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出典:出版社HP

人材マネジメント入門 日経文庫B76

人事の実務家におすすめ

人材は、企業の戦略を達成し、長期的な競争力を維持・教科するために欠かせない経営資源です。本書は、企業や組織が人を資源として経営する時、どういう考え方に基づいて人材を活用していけばよいかについての基礎的な枠組みを示しています。日本企業の実情の即した、実践的な解説が書かれています。

守島 基博 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2004/2/14)、出典:出版社HP

人材マネジメント入門 日経文庫B76 (日本語) 新書

まえがき

本書は、企業や組織が、人を資源として経営するときに、どういう考え方に基づいて人材を 活用すればよいのかについての基礎的な枠組みを示した本です。したがって、通常の人事管理 論の教科書とは違っています。正直、この本を読むことで、人事管理の詳細についての理解は 深まらないでしょう。

その代わり、この本を読んで理解してほしいのは、人材マネジメントの背後にある考え方で す。それは大きく二つあります。ひとつは、人材とは、企業の戦略達成に貢献し、さらに短期 的な戦略達成だけではなく、長期的な企業の競争力を維持・強化していく経営資源であること です。こうした資源を獲得、育成、配置、評価、処遇していくのは、人材マネジメントの最も 重要な機能となります。基本的には、経営視点からの人材マネジメントです。

ただ、人材マネジメントはここでは終わりません。なぜならば、人という資源は、経営資源 のなかでも特殊な存在だからです。特殊である理由は、人は人材である前に人であるという事 実に基づきます。 そのため、人材は適材適所で活用され、活き活きと働いているときに、最も働きがいを感じ資源としての価値も一番高く、さらに長期的にも人材として成長していきます。こうした 人材の意欲や成長、働きがいなどの視点も、人材マネジメントにおいては重要です。人の視点 からの人材マネジメントだといってもよいでしょう。
したがって、「企業の戦略達成や競争力維持」と「人材としての活用や成長」という二つの 目的を統合しながら行うのが、人材マネジメントということになります。人事管理論で議論されているいろいろな制度や施策は、そのための道具です。本書では、道具を考える前に、知っておかなければならない基礎的な考え方を紹介します。

本書の完成までには、多くの人々の支援がありました。特に、人材マネジメントについて教 えていただいた諸先輩、研究者、実務家の方々から多くを学びました。また、日本経済新聞社出版局編集部の堀口祐介さんの並々ならぬ忍耐と応援がありました。記して感謝します。最後 に、この本を、私が人材を考えるときの先生のひとりである、妻、利子に捧げたいと思います。

二〇〇四年一月一
守島基博

守島 基博 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2004/2/14)、出典:出版社HP

目次

I 人材マネジメントとは何か
1 人材マネジメントの考え方
1 人材マネジメントにおける経営と人
2 人材マネジメントにおける長期と短期
2 人材マネジメントのデリバラブル。
3 人材マネジメントの活動%
1 成果としての戦略達成への貢献を高める
2 戦略を構築する能力を獲得し、その能力を向上させる
3 公平で、情報開示に基づいた評価と処遇を提供する
4キャリアを通じ、人間としての発達を支援する
4 人事部はいらないのか
Ⅱ 人材を獲得する
1人的資源の獲得
2 人材スペックと人材ポートフォリオ
1 人材スペックの明確化
2 採用はスペックだけではない、でも…。
3 人材ポートフォリオ
3 採用による人材獲得の三つのステップ
1 採用プロセスとは
2 リクルーティング
3 募集と採用におけるリアリズム
4 採用ブランドとキャリア開発
4 選抜――誰が意思決定をするのか
5 人材の獲得と多様性
Ⅲ 人を育てる
1 人材育成とは何か 。
1 人材育成の目的は組織が強くなること
2 人材育成の長期性…。
3 戦略を構築するために必要な能力
2 キャリア開発としての人材育成
1 キャリアを通じた育成
2 働く人と企業との間のパートナーシップ
3 人材育成の場としての仕事経験的
1 OJTとOff-JT
2 OJTと現場の役割
3 Off-JTの役割
4 キャリアの節目でのOff-JT
4 リーダー人材の育成。
1 リーダー育成の新しい流れ
2 早期選抜の意味
3 キャリア連動と個別性
V 人材を評価する
1評価の目的
1 なぜ、人材評価を行うのか
2 評価の戦略達成機能
3 評価の人材育成機能
4 パフォーマンス・マネジメントの根幹
2 成果を出すプロセスと評価%
1 何を評価の対象にするか
2 業績評価と目標管理のポイント
3 目標管理は上司を評価する
4 労働意欲評価
3 格差と相対評価
4 評価の公正性
1 評価の正確性をどう確保するのか
2 過程の公平性
3 フィードバック
4 評価は現場の人材マネジメント
V 人材を処遇する
1 処遇の意味
1 目的は、働く人の行動を組織の期待する方向に水路づけること
2 内発的動機づけと外発的動機づけ
2 インセンティブとは何か
1 インセンティブの種類
2 おカネによるインセンティブ
3 仕事によるインセンティブ
3 処遇の与え方
1 期待理論
2 期待理論とインセンティブ・マネジメント
3 昇進というインセンティブの与え方…?
4 インセンティブ制度の設計図
1 納得性の役割
2 納得性を形成する三種類の比較
3 他者との比較
4 自分自身のなかでの比較
5 外部労働市場との比較
6 納得性とモチベーション
Ⅳ人材を動かす
1 人材フローの考え方
2 人事異動とは何か
1 第一の目的は、マッチング
2 人材要件の明確化
3 第二の目的はキャリア開発
3 キャリア開発の新しい形
1 人材が異動するとき、その主体は誰か
2 個人主導型キャリア開発の前提
3 企業の人材ビジョン
4 組織と個人の相互作用をとりもつ仕掛け
4 企業からの退出血
1 解雇について
2 雇用調整
3 退職のマネジメント
4 定年退職
5 内部労働市場という考え方
Ⅶ人材を尊重する
1 人材の視点
1人を大切にするとは
2 自律的な貢献を引き出す
3 納得性をいかに維持するか
4 成長する個人
2働きやすさと人材マネジメント
1 働きやすさとは
2 職場環境
3 仕事と生活の調和
4 働きやすさの要素としての柔軟性
5 福利厚生の位置づけ
3 ステークホルダーとしての人材%
1 企業が人材の声を聞く仕組み
2 労働組合の実情
3 労働組合の人材マネジメント上の機能
4 人材の尊厳を守る
Ⅷ 人材を組み合わせる
1 雇用の外部化と人材マネジメント
1雇用の外部化とは
2 正規従業員を中心とした人材マネジメントの強み
2 人材は組み合わせで考える
1 正規雇用の弱みとそれへの対応
2 「正規従業員」は本当になくなるのか
3 人材ポートフォリオ
3 非正規従業員の人材マネジメント
1 戦略人材としての非正規従業員
2 非正規従業員に対する人材マネジメントの必要性
4 雇用構造の変化と企業の競争力朗
1 機能的柔軟性の確保
2 組織の競争力のために
ブックガイド
COFFEE_BREAK
RJPは日本で根付くのか
選抜型リーダー育成の展開
評価の納得性は現場の上司で決まる
成果主義の裏技
以人材創出企業
ワーク・ライフバランス
人材ポートフォリオの例
正規従業員と非正規従業員
用語解説
コンピテンシー

●人材マネジメントの役割は、人材を活用して、会社の戦略を達成し、さらに次の戦略を生み出す人材を提供することです。
●人材は成長し、発揮する価値を変化させていく存在です。
●人材マネジメントには、企業目標の達成という経営の視点と、人間としての価値を高めていくという人の視点が必要です。また、その際、短期的目標と長期的目標の 両方が設定されます。
●この二つの視点と目標に基づいて、人材マネジメントのデリバラブル(目的・提供 価値)は何かを考えるべきです。

守島 基博 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2004/2/14)、出典:出版社HP

人材マネジメントの壺 -DEVELOPMENT-

人材マネジメントの実践書

本書は、企業内の人事マネジャーとして10年間の経験と、人事コンサルタントとして6年間の経験がある著者が書いた人材マネジメントについて体系的に学べるようになっています。答えがなく複雑でつかみどころのない人材マネジメントに悩み、学びたい方には是非読んで欲しい一冊です。

坪谷邦生 (著)
出版社 : NextPublishing Authors Press (2018/9/21)、出典:出版社HP

人材マネジメントの壺 -DEVELOPMENT-

人事担当者になり、はじめて採用したメンバーが、 現場に配属された後、ガリガリにやせて退職した。
入社したときは、あんなに希望にあふれていたのに。
「人事は、いったい私に何をしてくれたんですか?」
彼女はそんなことは言わなかったけれど、 そう突きつけられたように感じた。
無力感にうちひしがれた、当時の私へ捧げる。

はじめに

お久しぶりです。壺中天の坪谷です。
この本は紙書籍版『人材マネジメントの壺』シリーズの2冊目で、 Kindle 版『人材マネジメントの壺』の3冊(テーマ 5. リソースフ ロー・6.人材開発・7.組織開発)を合本し再編集したものです。
学術書ではなく実践書です
成長支援に関わるテーマのため「DEVELOPMENT」というサブタ イトルになりました。1冊目の「ARCHITECTURE』は構造や仕組 みを扱ったため一般的、客観的な内容を心がけましたが、当書は より実践や体験に比重が置かれています。
それは、DEVELOPMENT は客観だけでは伝わらない、体験という 血を通わせるべきだと考えたためです。
企業内で10年間、人事マネジャーとして葛藤しながら進んできた 実践と、リクルートマネジメントソリューションズ社の人事コン サルタントとして6年間、クライアントに提供してきたリクルー ト流の「個と組織を生かす」思想と方法が、当書の根底に流れて います。

体系的でわかりやすい入門書を目指しました
人事の初心者だった頃の自分が嬉しいと思えるような、人材マネ ジメントが体系的にわかる本を目指しました。答えがなく複雑で つかみどころのない人材マネジメントに悩み、学びたい方が、こう感じてくれたら目的達成です。
「そう考えたらいいのか!」
難しくなりがちな内容ですが、壺中天の頼もしいメンバーである カエル君とおたまのコンビが、あなたの理解を助けてくれると思 います。では、はじめましょう!

坪谷邦生 (著)
出版社 : NextPublishing Authors Press (2018/9/21)、出典:出版社HP

目次

はじめに
テーマ 5. リソースフロー
第1章 リソースフローとは何か?
第2章 採用
第3章 異動
Column 終身雇用と「およげたいやきくん」
第4章 代謝
第5章 適応
まとめ
テーマ6. 人材開発
第1章 人材開発とは何か?
第2章 OJT と Off-JT
第3章 自己啓発の実態と促進
Column 師が教えるのではない、弟子が学ぶのだ
第4章 キャリア開発と個性化
第5章 リーダーや管理職に適した性格は?
第6章 リーダーシップ開発
まとめ
テーマ 7. 組織開発
第1章 組織開発とは何か?
第2章 変えるべき戦略と変えてはならないミッション
第3章 日本の持続的成長企業と世界のビジョナリーカンパニー
第4章 組織活性化のポイントはカオスの演出
第5章 自律的なチームの作り方
第6章 メンバーが当事者意識を持っている企業
Column 伝説のマスタートレーナー三輪昌生さん
まとめ おわりに
紙の書籍からは URL を辿りにくいというニーズを受けて、当書の参考 文献および注釈のリンク集を Web上にご用意しました。右の QRコー ドもしくは
<https://kochuten.wordpress.com/links-development>からどうぞ。石野敬祐さんのアイディアです(ありがとうございます)。

テーマ 5. リソースフロー
第1章.リソースフローとは何か?

坪谷邦生 (著)
出版社 : NextPublishing Authors Press (2018/9/21)、出典:出版社HP

図解 人材マネジメント 入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ

現場で使える知識が満載

本書は、人材マネジメントの入門書で、人材マネジメントをはじめて学ぶ人、あらためて基礎から学びたい人に向けて、基礎知識を「100のツボ」として図解しています。領域が広く、捉えようのない「人材マネジメント」をこの一冊でわかりやすく体系的に理解することが可能です。

坪谷 邦生 (著)
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2020/6/26)、出典:出版社HP

図解 人材マネジメント 入門 人事の基礎をゼロからおさえておきたい人のための「理論と実践」100のツボ

■自己紹介

はじめまして。坪谷です。私は人材マネジメントの研究者では なく実践者です。人事担当者、人事マネジャーとして12年間 企業内で実践を重ねてきました。そしてリクルート社の人事コン サルタントとして6年間、50社以上のクライアントの人事制度 を構築し組織開発を支援してきました。現在はベンチャー企業の 人事企画室の立ち上げ、大手企業の人材育成体系の構築、人事責 任者対象の人材マネジメント講座などを行っています。そのため、 当書の根底には多くの日本企業における人事の実態、そして私自 身の人事コンサルタントとしての実践が流れています。

■当書のねらい

当書は人材マネジメントの入門書です。はじめてこの領域を学ぶ方、あらためて基礎から学びたい方に向けたものです。私は新 卒2年目でエンジニアから人事に転身したのですが、そのとき人 材マネジメントの領域の広さに驚き、捉えようのなさに混乱し、 理解に苦しみました。その経験から、初学者だった頃の自分が助 かるような、人材マネジメントを体系的にわかりやすく理解できる本を書きたいと考えました。
「人事が意志を持って語るため」の持論の素材となることを目 指しました。ここで言う「人事」とは、企業の人事担当者、経営 者、管理職、そして人材業界の方など、人材を生かして成果を上げる立場にいる方のことです。答えがなく、複雑でつかみどころ のない人材マネジメントに悩み、学びたい方が「そう考えたらいいのか!」と感じてくれたら、こんなに嬉しいことはありません。

当書の構成

当書は100のツボと4社の実例から構成されています(図表000)。
■100のツボ
図表000左の構図を枠組み(地図)として、人材マネジメントの基礎知識を展開していきます。『100 のツボ』と題しているとおり、100のポイントを解説しています。気になるツボだけを「つまみ食い」す ることができ、通して読むと構造的に人材マネジメントを把握することができます。
NICAR
Jlin!
Inn
「日本
Chapter 1. 人材マネジメント:人材マネジメント全体の目的、歴史、構造、日本の特徴、効果的に行う方法などの概論です。
Chapter 2. 人事評価:人材マネジメントの判断情報となる「人事評価」。その目的、対象と主な方法、これからの展望について解説します。
Chapter 3. 賃金・退職金(外的報酬):働くことによって得られる「報酬」のうち、外的報酬と呼ばれる「賃金・退職金」。その内訳と決定方法、重要な納得感の醸成について解説します。
Chapter 4. 働きがい(内的報酬):報酬のうち、内的報酬と呼ばれる「働きがい」。日本の現状や、向上させる方法について解説します。
Chapter 5. 等級:人材マネジメントの方針を具現化した骨格である「等級」。その歴史と種類、自社に適した等級について解説します。
Chapter 6. 採用:人材の流れである「リソースフロー」の入り口「採用」。人員計画、人材要件、選考の手法について解説します。
Chapter 7. 異動・代謝・リソースフローの中心であり適材適所の重要な手法である「異動」、そしてリソースフローの出口である「代謝」。その方法と日本の特徴について解説します。
Chapter 8. 人材開発:企業が投資して人を育成する「人材開発」。対象となる能力、方法、これからの展望について解説します。
Chapter 9. 組織開発:組織の効果を高める計画的な取り組みである「組織開発」。その定義、対象、方法について解説します。
Chapter 10. 働く人:働く人の視点で、キャリアと専門職プロフェッショナルについて考えます。

■4社の実例

4社の実例では実際の企業がどのように人材マネジメントを実践しているのか、100のツボで解説した。 観点から分析しています。企業規模と育成雇用のスタンスから4タイプの実例を挙げました(図表000右)。 企業規模は「ベンチャー・中小企業」と、「グローバル・大手企業」に分かれています。育成雇用のスタ ンスは、人材が企業の枠を超えて活躍することを推奨し、副業・リモートワーク・早期退職などに注力する「流動・排出」と、人材が企業の枠内で活躍することを期待し、中長期の人材育成や文化伝承に注力する「長期・育成」に分かれています。ご自身の所属する企業はどのタイプに近いか、また実例各社との差 はどこにあるのかを想定しながら読んでみてください。

実例1 サイボウズ社:ベンチャー中小・流動排出タイプの企業です。
実例2 アカツキ社 ベンチャー中小・長期育成タイプの企業です。
実例3 リクルート社:グローバル大手・流動排出タイプの企業です。
実例4 トヨタ社 :グローバル大手・長期育成タイプの企業です。

図表000 当書の構成
100のツボ
※人事測定研究所編『トータル人事システムハンドブック」の内容をモデル化し、 筆者がブラッシュアップして作成

4の実例

>100のツボで基本をおさえ、4の実例で実企業をイメージしてみましょう

目次

はじめに
当書の構成
Chapter 1. 人材マネジメント
Chapter 2. 人事評価
Chapter 3. 賃金・退職金(外的報酬)
Chapter 4. 働きがい内的報酬)
Chapter 5. 等級
Chapter 6. 採用リソースフロー
Chapter 7. 異動・代謝(リソースフロー
Chapter 8. 人材開発
Chapter 9. 組織開発
Chapter 10. 働く人
おわりに
推薦書
参考文献

坪谷 邦生 (著)
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2020/6/26)、出典:出版社HP

人材マネジメント一問一答

項目ごとに動画で学べる

著者が行ったアンケートの3万件を超える回答の中から、多く寄せられた60の問題を選び対策案をまとめています。一問一答形式になっていて、1項目2~4ページほどで簡潔にまとめられているので、スラスラと読み進めることができます。また、項目ごとに解説動画もついているので、動画形式で学ぶこともできます。

岡本文宏 (著)
出版社 : 商業界 (2020/2/10)、出典:出版社HP

人材マネジメント一問一答

自分の価値観で人を責めない。
一つの失敗ですべて否定しない。
長所を見て短所を見ない。
心を見て結果を見ない。 そうすれば人は必ず集まってくる。
吉田松陰

はじめに

経営者・リーダーを悩ませる “人に関する悩み”を解決します!
10 年以上にわたり全国を回り、経営者を含むリーダーを対 象としたセミナー、企業研修を行ってきました。そのほぼすべての会場でアンケートをとり、参加者が抱える課題、問題 を尋ねてきました。私の手元には3万件を超えるリーダーの 悩みごとが寄せられています。
それらには共通する項目も多く、全国どのエリア、どの業 種でも、チームを率いてマネジメントを行うリーダーが抱える悩みはほぼ共通していることがわかりました。 それは……

採用してもすぐ辞めてしまうくずっと欠員補充ができないでいる
部下が思ったように動いてくれない
何度言っても同じミスを繰り返す部下がいる
ゆとり・さとり世代をどう扱えばいいのかわからない
怒るとパワハラと言われるので必要な苦言ができない
部下は定時退社させているが自分は残業続きで疲れている

このように、リーダーの悩みの約9割は「人」由来です。 世のリーダーが抱く“人に関する悩み”は大きく分類すれば、「離職」「採用」「教育」「世代間ギャップ」「マネジメント」の 五つです。おそらく、あなたの悩みもこの五つのジャンルの中 に含まれるのではないでしょうか?
これらの「人」由来の問題は、早期に解決しておかなければ、今後ますます増大すると予測されます。なぜなら、人口 減少、労働力不足の状況が今後も続き、職場の人材を「数」 「質」にわたって揃えることがより難しくなるからです。
外国人の活用やAI導入によって、一部の業種では多少緩 和されるかもしれませんが、現状を一変させるにはしばらく時 間が掛かります。古い話ですが、蒸気機関が発明されたの は19世紀初頭で、実用化されたのは19世紀後半です。また、 マグロの養殖に成功したのは 2002 年で、一般に流通しはじ めたのは 2014年です。
先端技術が生まれてから、実用化され一般化されるには少 なくとも 10 年以上の年月が必要なのです。ですから、AIが 人にとって代わって仕事をバリバリこなすようになる社会が訪 れるのは、まだ先ということになります。それまでの間、ずっ と人の問題に悩まされることになるわけです。
「あなたはこれらの悩みを誰かに相談し、一気に解決できる 機会があればいいと思いませんか?
しかし、セミナーや研修会場で「自分の課題、問題、悩 みを相談できる相手はいますか?」と尋ねると、7割が「いな い」と答える方々でした。ここから、現場でチームを率いるリーダーは悩みを抱えたまま孤軍奮闘していることがわかります。
そこで本書では、リーダーが現場で抱える悩みを 60 個厳選し、その解決策について、私自身がかつてセブン – イレブ ンのFC店を経営していたときの経験とクライアント企業の事 例などと共に紹介していきます。
あなたはおそらくチームを率いるリーダーの役職に就いていることでしょう。現場では、毎日のように問題が発生します。 私自身もかつてセブン – イレブンのFC店を経営していたとき には、独りで問題を抱えて思い悩む日々を過ごしていました。 そのときの私と同じように悩みを持つ方の一助になればと思 い、本書を執筆しました。
まずは目次をご覧ください。あなたが抱える悩みがすぐに 目に飛び込んでくるはずです。そしてページをめくれば、問題 解決の扉を開ける鍵がきっと見つかるはずです。

岡本文宏 (著)
出版社 : 商業界 (2020/2/10)、出典:出版社HP

本書の使い方

本書は各章の項目ごとに「解説動画」を併せてご覧いただ けるように、動画のダウンロード用のQRコードと視聴URL を記載しています。ぜひ、そちらもご活用ください。
動画から得られる情報は、「言語情報」に加えて「視覚情 報」「聴覚情報」も得られるので、活字を読むだけよりも何 倍もの情報が効率よく手に入ります。動画で学ぶことは、日々 忙しく時間がないリーダーにとっては、自身のスキルアップの 方法としては最適です。
本書で視聴できる動画は 60本ですが、 ウェブサイト上で は 100本以上公開されています。動画は新しいコンテンツが 今後もアップされていきます。YouTube にログインしてチャン ネル登録をしておけば、最新動画がアップされた際にアナウ ンスが届きます。そちらもご活用ください。

【最新動画を確実に視聴する方法】
(1) Google にログインする(Googleアカウントがない 場合は Google ホームページで「ログイン」ボタンを押して、 その後、「アカウント作成」に進めば、3分で作成できます)。

(2) スマホなどで本書の QRコードかURL を読み取り、動画視聴の YouTubeへ進む。

(3) 動画すぐ下に赤字で「チャンネル登録」と書かれている箇所をタップし「チャンネル登録済み」に表示が変われば 登録完了です。

岡本文宏 (著)
出版社 : 商業界 (2020/2/10)、出典:出版社HP

目次

はじめに 経営者・リーダーを悩ませる“人に関する悩み”を解決します!
本書の活用法
第1章 リーダーシップ
「働きやすい職場」をつくる個別対応
相手を知ること、すべてはそこから始まります
Q. 1辞められてしまうと困るので、スタッフに苦言ができません
Q.2 指示命令どおりに動いてくれない部下がいて困っています。
Q.3 どうすれば部下が私に付いてきてくれますか?
Q.4 スタッフどうしの仲が良くありません。どう対処すればよいですか?
Q.5 経営理念を現場に浸透させる方法がわかりません。
Q.6 ミスをしたスタッフをどうフォローすればよいのでしょうか?
Q.7 家族が従業員なので、マネジメントがやりづらいです。
Q.8 スタッフに仕事を任せることができません
Q.9 自分がいないと売上が上がらず困っています。
Q.10「パワハラ上司!」と言われないためにどうすればよいでしょうか?
Q.11 “身だしなみ”がなってない部下を注意することができません。
第2章 モチベーション
「内発的動機づけ」を生む関わり方
仕事を「嬉しい」「楽しい」「大好き」に変えよう!
Q.12 やる気が見えないスタッフの「やる気」を再点火したい。
Q.13 スタッフによって「温度差」があり、マネジメントしづらい。
Q.14 不平、不満、愚痴の多いスタッフにはどう対処したら?
Q.15 向上心がないスタッフの意識をどう変えればよいでしょうか?
Q.16 ネガティブな言葉が口癖のスタッフがいて困っています。
第3章 離職防止
スタッフのやる気の炎を再点火
職場の人間関係のもつれ、ほどきます
Q.17 採用したスタッフがすぐに辞めてしまいます。
Q.18「辞めたい」と言ってきたスタッフを慰留するべきでしょうか?
Q.19 優秀な社員が「独立したい」と言ってきました
Q.20 右腕となるスタッフに長く勤めてもらいたいのですが
Q.21 「皆のスキルが高くて付いていけない」と、新人が辞めてしまいました。
Q.22 お局様的スタッフが新人を辞めさせてしまいます。
第4章 扱いづらいスタッフ
苦手意識を克服する「類似性の法則」
共通点を見つけると“心の距離”が縮まります
Q.23「言われないと気づけない」タイプへの対処法が知りたい。
Q.24 仕事よりプライベートを優先するバイトが多くて困っています
Q.25 期待を重荷に感じてしまうタイプへの関わり方がわかりません。
Q.26 何を言っても「糠に釘」というタイプにはどう対処したら?
Q.27 叱られると、すぐに涙を流すスタッフがいます。
Q.28 部下が私に本音を言ってくれません。
Q.29 無口、無表情、無反応なスタッフへどう接すればよいでしょうか?
Q.30 どうすれば指示待ち人間がいなくなるのでしょうか?
Q.31 頑固な部下がいて、対処に手を焼いています。
第5章 問題のあるスタッフ
「職場のモンスター」との向き合い方
最良の方法は「予備軍」を採用しないことですが
Q.32 身勝手な要求をしてくるスタッフがいて困っています。
Q.33 平気で「嘘」をつき、急な欠勤を繰り返すスタッフがいます。
Q.34 自ら好んで残業するスタッフがいて、働き方改革が進みません。
Q.35 ミスしたことを「隠す」スタッフにはどう対処したらよいでしょうか?
Q.36 気に入らないと周りに当たり散らすパワハラスタッフがいます。
Q.37「常識がない」と思えることを平気でするスタッフに困っています。
Q.38 メンタル疾患の疑いのあるスタッフにはどう対応すれば
Q.39 時間、期限にルーズなスタッフへの指導をどうするべきか?
Q.40困っているのがわかっていても“知らぬ顔”のスタッフがいます。
Q.41 神経質で細かすぎるタイプに手を焼いています。
第6章 スタッフ教育
人を育てる最短コースの歩き方
人の成長なくして企業の成長はありません
Q.42 新人が入ってきても、育てる時間がありません!
Q.43 頑張っているのに、成果が上がらないスタッフがいます。
Q.44 教えたことを何度も尋ねてくる“質問魔”に困っています。
Q.45 接客、営業が苦手なスタッフをどう教育するべきでしょうか?
Q.46 部下育成を放棄する管理職がいます
Q.47 学生バイトやパートスタッフに数字意識を持たせたい。
Q.48 スタッフ教育にマニュアルは必要でしょうか?
Q.49 なかなか育ってくれない新人がいて困ります。
第7章 世代間ギャップ
スタッフ年代別に見る傾向と対策 「いまどきの……」は古文書にもある嘆きです
Q.50 ゆとり・さとり世代への接し方に戸惑っています。
Q.51 年上シニア人材のマネジメントの方法がわかりません。
Q.52 陰で悪口を言いふらすベテランスタッフがいて困っています。
Q.53 新人と関わりを持とうとしない中堅スタッフがいます。
Q.54 若い女性スタッフの気持ちがわかりません。
第8章 採用
「できる人材」を探し出し、採用する技術
採用活動、本気で取り組んでいますか?
Q.55 求人広告を出しても、応募がありません!
Q.56 人が集まる職場と集まらない職場の差はどこにありますか?
Q.57 地方の無名企業ですが、当社でも良い人材を採用できますか?
Q.58 初めて採用面接を担当するのですが、不安でいっぱいです。
Q.59 採用前後の印象が違いすぎるスタッフに困っています。
Q.60 訪日して間もない外国人を雇用する秘訣を教えてください。
最新動向
リクルーティング3.0時代に人材に困らない3つのポイント!
おわりに
あなたが変わればチームが変わり、チームが変われば結果が変わる
参考文献

岡本文宏 (著)
出版社 : 商業界 (2020/2/10)、出典:出版社HP

人材マネジメント革命 会社を変える“カリスマ人事”たち

人材戦略のヒントを探る

本書は3章構造になっていて、1章では人材マネジメントの専門家の見解、2章では実際の企業で人事に関わっている方へのインタビュー、3章では人材マネジメントのポイントがまとめられています。人材マネジメントに関する多数の意見を取り入れたい方にはピッタリの一冊です。

大塚 葉 (著)
出版社 : 日経BP (2019/12/21)、出典:出版社HP

人材マネジメント革命 会社を変える“カリスマ人事”たち

はじめに

グローバル化、デジタル化、労働人口減少により、日本の企業経営は激しい環境変化 の波にさらされています。そのなかで企業の成長戦略のカギを握るのが HR(ヒュー マンリソース)、つまり人材のマネジメントであると言えるでしょう。
令和は「人事大革命の時代」です。長期安定雇用によって経営力を強化する時代は終 わり、従来の新卒一括採用、終身雇用、年功賃金は「平成の遺物」となりつつあります。 従来と違う新たな人材マネジメントが必要とされ、同時に人事担当者の役割も大きく変 わろうとしています。
これまで人事担当者に期待されていたのは、バックオフィス業務でした。採用、評価、育成、処遇――。一律採用と長期安定雇用をベースに、労務管理をミスなく遂行する「守りの人事」が重視されていたのです。一方で従業員からは、人事とは「奥の院」にいながら、ときに強権発動する存在と見られていました。
しかし企業経営を取り巻く環境が不断に変化する現代に求められるのは、変革を果敢 に推進する「攻めの人事」です。
CEO、CFOに続く第三の役割としてCHO (Chief Human Officer)、CHRO (Chief Human Resource Officer)、またはCPO(Chief People Officer)という「最高人 事責任者」が重要視されつつあります。
こうした「攻めの人事」を進める人事担当者たちをフォーカスすべく、日経BP総研 (日経BP)では、Webサイト「ヒューマンキャピタル Online」にて、連載「人 材マネジメント革命」(※)をスタートしました。
連載では、変革を進める先進企業の具体的な人事施策、そして人事担当者としての心 得などの生の声を収録しています。 担当者のなかには複数の企業で人事を経験した人もいれば、一企業に勤め続けている 人もいます。経歴は多様ながら、彼ら・彼女らに共通しているのは、会社をそして社会 を変革していこうとするエネルギッシュな情熱と不断の行動力です。 こうした使命感に燃える担当者たちを「カリスマ人事」と呼び、本書にまとめることにいたしました。本書に登場した方のほかにも精力的な人事担当者はたくさんおられますし、これからもますます増えていくでしょう。今後も引き続き、Webサイトの連載 で掲載していく予定です。
事例として紹介した先進企業の施策や担当者の思いを、皆さまの企業での人材戦略の ヒントとして役立てていただければ幸いです。
また、人材マネジメントの業務に終わりはありません。常に変革し続けるエネルギー を持って人事戦略を進めることが大切です。
最後になりましたが、本書の執筆にあたり取材にご協力くださった企業、大学の関係 者の皆さまに御礼申し上げます。

2019年橘始黄の候
日経BP総研HR人材開発センター長 大塚 葉

大塚 葉 (著)
出版社 : 日経BP (2019/12/21)、出典:出版社HP

目次

はじめに 1 / 目次 4
第1章 人材マネジメントの現状と課題 =
デベロップメント文化の構築による人材マネジメント革命
組織内サイレントマイノリティ代表理事 多摩大学大学院客員教授 須東明広2
これからの戦略人事の考え方
学習院大学 経済学部教授 副学長 守島基博
「技術革新の時代」の組織と人材のあり方
-東京大学大学院 経済学研究科・経済学部教授 柳川範之&
第2章 人事担当者が組織を活性化する
File1
味の素 理事 グローバル人事部長/高倉千春氏
HRブランドを向上する「人財戦略」を推進
人材マネジメントは「適所適財」で
File2
NEC 取締役執行役員常務 兼 CHRO/ 松倉 肇氏
変革を進めるキーは文化と人事の改革
「自律した社員」が自由に動ける環境を整える
File3
カゴメ 常務執行役員 CHO/有沢正人氏
経営トップを動かし戦略をリードする
マーケティングの発想で「人の差別化」をはかる
File4
KDDI 理事 コーポレート統括本部 人事本部長 / 白岩 徹氏
社員の自律を促し組織を活性化
従来の人事カルチャーを大胆に変革する
File 5
サトーホールディングス 執行役員CHRO 兼 北上事業所長 / 江上茂樹氏
人事担当者に求められるのは事業感覚と専門性
重要なのは「陽と陰」のバランス
File6
参天製薬 執行役員 人事本部長/藤間美樹 氏
人事組織を改革しグローバル化を推進
ボトムアップで人と組織を成長させる
File7
セールスフォース・ドットコム 常務執行役員 人事本部長/鈴木雅則氏
「社員の成功」が会社と社会の成長に
自社ツールを活用して社員エンゲージメントを向上
File8
日本板硝子 執行役 人事部 統括部長(CHRO) / 中島 豊氏
全世界の人事プロをまとめイノベーションを加速
「聴く力」を重視し幹部の自律と成長を促す
File9
日立製作所 代表執行役 執行役専務 兼 CHRO 兼 人財統括本部長、中畑英信氏
グローバル人事戦略で意識改革
人事は「集団」から「個」への対応を
File10
メルカリ 執行役員 CHRO/木下達夫氏
大型採用の次は人材育成を加速
「Win‐Win Max」で組織と個人の成果を最大化
File 11
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役 人事総務本部長(CHRO)/ 島田由香氏
人事戦略とは皆がハッピーになるための改革
の目的への気づきを提供するのが組織
File12
ライフネット生命保険 人事総務部長/ 岩田佑介氏
人事に必要なのは「未来観」と「哲学」
企業の根幹として挑戦と成長を続ける
第3章 先進企業の人材マネジメント施策5つのポイント
日経BP総研 HR人材開発センター長 大塚葉

大塚 葉 (著)
出版社 : 日経BP (2019/12/21)、出典:出版社HP

この1冊ですべてわかる 人材マネジメントの基本

人材マネジメントの基本を網羅

「人材マネジメント」とは、人が2人以上集まれば生じる誰にも求められる普遍的で大切な考え方であると本書では述べられています。特に、新型コロナウイルスの影響もあり、人材マネジメントのあり方も大きく変化しています。今の時代に合った人材マネジメントとこれからについて学べます。

HRインスティテュート (著), 三坂 健 (著, 編集)
出版社 : 日本実業出版社 (2020/7/16)、出典:出版社HP

この1冊ですべてわかる 人材マネジメントの基本

はじめに

本書は主に組織やチームのマネージャー、リーダーとして活躍する方々な ど「人」に関わる仕事で課題を抱き、工夫を凝らし、時に頭を悩ませている 読者の皆さんが手に取って頂くことを想定して執筆しています。
本書のタイトルである「人材マネジメント」は、人が2人以上集まれば生じる誰にも求められる普遍的で大切な考え方です。しかしながら大半の人に 学習経験がなく、また書店に並んでいる書籍も人事労務や給与計算など実務 に寄っているものが大半で、読み物として全体像を理解し、仕事に役立てる 書籍が少ないのが現状です。
本書を執筆するきっかけとなったのは昨今の組織と個人をめぐるトラブル の数々です。ある世界的に有名な大企業のトップが突然逮捕されたり、有名 な芸能人が所属事務所とのトラブルでお茶の間を騒がしたり……と、人と組 織をめぐる話題には事欠きません。また、大手企業でも問題視され、法改正 にまで至ることになった残業問題、パワーハラスメントなどは、日常的に企 業で働いている私たちと無縁ではありません。

加えて、これまで常識だった新卒一括採用が徐々に見直されつつあること、 大手自動車メーカーなど、これまで終身雇用の象徴だったような企業が続々 とそうした制度を維持することを前提にしない考えを示したことなど、組織 と個人を取り巻く環境は今、大きく変化しています。
そして、本書を執筆している今、まさに新型コロナウィルス(COVID-19) が世界を大きく変え、私たちの生活を変え、職場での働き方も変えました。 この大きな変化は本書のテーマでもある「人材マネジメント」のあり方に多 大な影響を及ぼしています。今こそ、私たちは人と組織のあり方、関係性を 見つめ、考え直し、行動することが必要とされています。 「具体的には、人材を単に企業にとっての「資源」と捉えるだけでなく、あ たかも「お客様」のように大切なパートナーとして位置づけていく必要性が 高まっています。
人材マネジメントは「ヒューマンリソース」から「ヒューマンリレーショ ンシップ」へ。これが、本書のコンセプトです。

従来からのヒューマンリソース(人的資源)という捉え方に加え、これか らはヒューマンリレーションシップ(人との関係性)を重視したマネジメン トがますます重要になります。
背景にあるのは価値観の変化です。価値観の変化は行動の変化につながり ます。これまでのように企業に就職して、毎朝同じオフィスに出勤し、直属 の上司のもとでデスクに向かって仕事する……といった環境はまさに変わりつつあります。
企業に就職せずフリーランスとして活躍する方、企業に就職するものの複 数の企業や業務に跨って仕事をする方、オフィスではなく自宅やどこか別の 場所で勤務する方……働き方は益々これまでの枠を超え、より自由度が高 く、個人に寄り添った仕組みに変化を遂げていくでしょう。
一方で気をつけなければならないことも多数あります。自由な働き方というのは同時に「自律」を求めるものです。これからの個人は自律できる人材 として成長することが求められます。また企業もそうした個人から選ばれや すくなるためには、社員を信用して新たな働き方に積極的に対応していくことが求められます。

このように企業と社員、組織と人を取り巻く環境は大きな変化の途上にあり、誰にも正解が分かる状況ではありません。まさに企業の経営者も人事部 も、そこで働く社員もみな、手探りしながら考えている、という状況です。
こうした大きな変化の中において、人材マネジメントの重要性、企業経営、 チーム運営における役割は益々高まっていくでしょう。
その際、避けるべきなのが「知らない」という状態でいることです。本書 を手にとられた皆さんは、すでに行動を起こすことで「知らない」状態から 「知る」という状態に切り替えようとしている方々です。 “無知の知”という言葉がありますが、「知らないことを知っている」という 状態にまずは自らを持っていくことが、こうした変化を乗り切る上でとても 大切になります。こうした変化の早い時代において、上司がまったく人材マ ネジメントについて知らなかったら……と考えるとどうでしょうか。リスク があるといえるのではないでしょうか。

本書は国内外問わず、日々、人材マネジメントの領域(特に、組織開発・ 人材育成)において活動しているコンサルタントやスタッフが中心となって 執筆したものです。人材マネジメント、という領域は大変広く、考えように よっては企業経営全般ともいえるものです。したがって、全体を網羅することよりも、特に現場で活躍されるマネージャーやリーダーの立場において、 時代の変化に対応するために重要なポイントに絞って、できるだけ分かりや すく解説することを心掛けました。 全体の構成は以下のようになっています。

序章:本書のコンセプトである「ヒューマンリレーションシップ」を軸に、人材マネジメントの背景にある重要な考え方について解説します。
第1章:人材マネジメントの具体的な「定義、目的、役割」について解説します。 第2章:人材マネジメントを取り巻く、特に重要な「環境変化とその対応方法」について解説します。
第3章:人材マネジメントの入口である「人材の獲得」に関するトレンドや
考え方、具体的な方法について解説します。 第4章:獲得した人材の「育成方法」についてOJTとOFF-JT の両側面から解説します。
第5章:「人材の評価」の考え方、具体的な方法と「目標管理」のあり方を新しいトレンドも踏まえて解説します。
第6章:「人材を輝かせる組織のあり方」「組織デザイン」について解説します。
第7章:企業や組織が人材と共に「持続的に成長するために必要な関わり」、「カルチャーの形成」に関する考え方と取り組み方法について解説します。

本書においては、単に客観的な事実や情報、理論をお伝えするだけではなく、日々コンサルティングや人材育成の現場で活動する立場から、ところどころに私たちの考えや主張も含めさせて頂いております。
また、できる限り本書執筆中に起きた新型コロナウィルス(COVID-19) がもたらす人材マネジメントへの影響や、その対処法についても解説いたし ました。
本書を手に取る組織、チーム、個人が、真に自律的で、自由で、生きがい を感じる働き方と出会えることを願っています。

HRインスティテュート (著), 三坂 健 (著, 編集)
出版社 : 日本実業出版社 (2020/7/16)、出典:出版社HP

目次

人材マネジメントの基本

はじめに
序章 「人材マネジメントの重要性が 高まっている
1企業と人材を取り巻く環境がこれまでになく大きく変化
改めて人材マネジメントを捉え直すべき時代
2 改めて「人材マネジメント」をゼロベースで捉え直す
人材に対する考え方を入れ替え、変化を自らつくり出す
3 ヒューマンリソースから、ヒューマンリレーションシップへ
社員を資源ではなく、大切な自立したパートナーと捉える
4 逆さまのピラミッド
求められる“羊飼い型”の人材マネジメント
5根底には相互に「信頼」「感謝」「尊重」し合う関係づくりが大切
人をあるがままに受け入れ合い、自律的に輝かせる文化を育む

第1章
人材マネジメントの目的と役割
1 人材マネジメントの目的と効果
個の能力を最大限に発揮することを通じて組織の目標を達成する
2 人材に対する企業の役割
人材を「人財」として扱い、物質・精神共に豊かにする
3 人材マネジメント3つのステップ
人材の獲得、活用、退出を効果的に運用する
4 経営戦略と人材マネジメント
経営理念と目標を達成するマネジメント
5「戦略」が先か、「人材/組織」が先か
経営戦略を実現する組織の効果的なあり方
6 ビジネスモデルと人材マネジメント
ビジネスモデルを支える3つの人材を確保する
7 職場のマネージャーにとっての人材マネジメント
職場のマネージャーが心がけるべき重要なポイントは何か

第2章
時代の要請と人材マネジメント
1 終身雇用、年功序列の終焉と変革
日本型雇用の変遷とこれからの人事制度
2 働き方改革
少子高齢化社会を労働生産性の向上で勝ち抜く
3 新卒一括採用から通年採用へ
競争激化の中で優秀な人材を獲得するためには
4 副業解禁&フリーランス時代の人材マネジメント
副業解禁で変わり始めた人材市場と社内事情
5 女性活躍の定着と抜擢人事
女性管理職登用のポイント
6 男性社員の育休取得
制度を利用できる風土づくりが求められる
7介護離職と休職への備え
「お互い様」といえる仕組みと文化の構築
8 シニア人材の活躍
シニア人材の可能性を最大限に引き出すマネジメントとは
9 外国人雇用の進展とダイバーシティ
押しつけず、認めることで風土が醸成される

第3章
「人材獲得」における人材マネジメント
1 人材獲得の代表的手法(採用、再雇用、契約、派遣、M&A)
激化する人材獲得競争
2 採用の変化と対策
採用手法の多様化とその背景
3 再雇用によるシニアの戦力化
早期のセカンドキャリア開発を促す
4 外部人材の戦力化(契約社員、フリーランス)
外部と内部の人材の有機的なつながりによる価値創造
5 派遣人材のマネジメント
派遣人材の“今”と派遣先企業におけるマネジメントのあり方
6 M&Aによる人材の獲得
経営戦略実現のための合理的な人材獲得手段
Column1 オンラインシフトで新卒採用に何が起きている?

第4章
「人材育成」における人材マネジメント
1 OJTとOFF-JT をどう使い分けるか
現場での業務と研修での学びをつなぐ
2 人を育てる上司がやっている習慣
自律型人材を育成する関わり方
3 “1on1”“リアルタイムフィードバック”が人材育成の要
コミュニケーションでの聴く、訊く、伝える
4 自然と人が育つチームの共通項
コミュニケーションが増える「場」の仕組みづくり
5 OFF-JT 代表的な3つの方法とその手法
階層別教育、選抜型教育、手上げ式教育
6 次世代リーダーを育てる“他流試合”と“修羅場の創造”
視点、視野、視座を揃えた経営人材のつくり方
7 ミドル、シニアを活性化する“リカレント教育”
中長期的な競争力確保のための戦略的な教育
Column 2 オンラインシフトで露呈した新たな課題とは?

第5章 「人材の評価と組織運営」における 人材マネジメント
1 評価の原理原則(役割、機能、効果など)
「評価」の位置づけを確認する
2 評価の代表的3つの手法絶対、相対、ハイブリッド評価
長所と短所を知り、評価に対しての視野を広げる。
3 評価者が陥る7つの罠
思い込みをなくして、事実を見る
4うまい処遇の伝え方
個人と組織をWin-Winにするフィードフォワード
5 問題を生む評価方法
社員が納得する評価制度を運用するには
6 プロセス評価(KPI)と結果評価(KGI)
「目標管理型組織」から「目標達成型組織」へ
7 PDCAやOODAで人を動かす
現場に合わせた適切なサイクルで業務を回す
8 シリコンバレーで導入が進む“OKR”
「月まで届く」目標でチームの方向性を一つにする!
9 不正対策をどう行うか
不正を生まない人材マネジメントとは
Column 3 外国人社員のマネジメントにおける要諦とは?

第6章
社員が活躍しやすい組織をデザインする
1 適材適所を可能にする人材データベース
戦略的な人事機能を構築する
2 人材の適性要件を体系化する
体系化とは見える化すること
3 職場の生産性をいかに高めるか
アウトプットの極大化×インプットの改善
4安心して働ける環境づくり(ソフト面)
人事ポリシーをベースとした環境づくり
5 安心して働ける環境づくり(ハード面)
ソフト面との連動と自社に合わせた環境づくり
6 “パワハラ”と“逆パワハラ”を生まない組織基盤構築
正しい知識と信頼関係を育む組織デザイン
7 SDGsに対応する人材マネジメント
社会と共生する企業と人材のあり方を追求する
8 事業モデル転換時の人材マネジメント
競争に勝つための人材マネジメント変革
9 最終手段になる前のリストラクチャリング
戦略的リストラを成功させるポイント
Column 4 オンライン化の経営的インパクトをどう乗り越えるか・

第7章
持続して成長する組織をつくる 人材マネジメント
1 経営と現場、上司と部下、同僚・他部署関係で「信頼」を育む
信頼を得る3つのコミュニケーション
2 互いに「感謝」し合う人間関係をどう構築するか
ものの見方次第で感謝は無数に生まれる
3 それぞれの個性を尊重し合う真のダイバーシティマネジメント
長期的に企業体力をつけていくためのマネジメント
4一人ひとりの“主体性を挽き出す”人材マネジメントへの変革
永く続く組織と人の基盤をつくり上げる

おわりに
索引
参考文献

本書で使用する社名、製品名は、一般には各社の登録商標または商標です。なお、本文中 では原則としてTM、Rマークは明記していません。 本書の内容は2020年6月現在の法律等にもとづいています。

カバーデザイン■ 志岐デザイン事務所(秋元真菜美)
本文デザイン・DTP■初見弘一
編集協力■深澤晴彦

序章
人材マネジメントの重要性が高まっている

ヒューマンリレーションシップを軸に人材マネジメントの背 景にある重要な考え方について解説します。時代の変化に合わせて変えていくべきところと、原理原則として維持していくところを見極めることが求められます。

HRインスティテュート (著), 三坂 健 (著, 編集)
出版社 : 日本実業出版社 (2020/7/16)、出典:出版社HP

デジタル時代の人材マネジメント: 組織の構築から人材の選抜・評価・処遇まで

withコロナを生き抜く人事戦略

本書は、人材マネジメントの中でも、デジタルに関するものに焦点を当てています。新型コロナウイルスの影響で大幅に進んだデジタル化に伴い、人材マネジメントのあり方も日々変化しています。本書ではデジタル時代の人材マネジメントを正確に捉え、時代に合った戦略を提唱しています。

内藤 琢磨 (著, 編集)
出版社 : 東洋経済新報社 (2020/7/17)、出典:出版社HP

デジタル時代の人材マネジメント:組織の構築から人材の選抜・評価・処遇まで

目次

序章 デジタル時代に適応できない日本の人事制度
第1章 デジタル化の現状
1 まだ成果が出ないデジタルトランスフォーメーション
2 デジタル化で実現したいこと
■デジタル化による顧客への価値提供
■デジタル化による業務プロセス改革
3 改革を阻む組織とヒト

第2章 デジタル人材処遇の勘所
1 デジタル人材をめぐる問題意識
■デジタル人材とは
ビジネス系デジタル人材
IT 系デジタル人材
■デジタル人材の特性考察
デジタル人材の全体傾向
ポジションや立場によって異なるワークモチベーション
デジタル人材が共感する経営理念、ビジョン
所属組織による格差
ビジネス系デジタル人材は上位概念重視
他国 IT 職種人材との比較
■現場の管理職が意識すべきこと
2 日本型人事制度とデジタル人材
■人事制度の大別
職能型人事制度(純日本型人材マネジメント)
職務型人事制度(欧米型人材マネジメント)
役割型人事制度(新日本型人材マネジメント)
■既に機能不全化している純日本型人材マネジメントモデル
■デジタル化とリーダー人材
3 経営者のリーダーシップでコンフリクトを乗り越える

第3章 デジタルトランスフォーメーションを 実現する組織・人材戦略
1 デジタルトランスフォーメーションに必要な人材とは
デジタル人材(IT系・ビジネス系)の獲得
必要なのはデジタル人材の獲得だけではない
デジタルトランスフォーメーションを実現する
組織・人材戦略の3つのポイント
2 デジタルとビジネスを繋げるブリッジパーソンの獲得
デジタル時代に求められるミドルリーダー像
Tech ベンチャーへの「留職」制度を持つパナソニック
デザインシンキングの活用によるブリッジパーソンの育成
全社員がデザインシンキングを身に付けることを目指す
SAPI デザインシンキングの「実践」により自社の変革を目指す
コニカミノルタ
ブリッジパーソンを招聘するダイキン
3 秩序破壊のできる経営人材.
外部人材の招聘による秩序破壊
サイバーエージェントの経営人材育成方法
リスクテイクできる経営人材の育成
デジタル人材とビジネス人材の共存組織
技術人事本部による横串機能
「あした会議」による事業部発信の人材育成施策
4 デジタルトランスフォーメーションの下地づくり
ダイキンの全社員向け AI 教育制度
パナソニックの AI 人材育成プログラム

第4章 デジタルトランスフォーメーションを 支える処遇制度
1 外部市場価値を意識した報酬制度
部長クラスと同額水準で処遇できるか
社内序列を崩したトヨタの幹部職制度
外部市場価値連動型の人材を獲得できる仕組みが必要
外部市場価値に基づいた職種別の報酬
非IT 企業における職種別の報酬水準設定のハードル
仕事に給与を払うことで外部市場価値に連動させる
2「既存の人材」と共存するためのアプローチ
1有期雇用形態の活用
大日本印刷のケース
戦略子会社A社・B社のケース
〈無期転換ルールへの対応〉
〈有期雇用形態の不安をどう解消するか〉
2職務給と能力給のハイブリッド型の報酬制度
YKK グループのケース
3「出島組織」における外部市場価値連動型の報酬制度
戦略子会社C社のケース
コラム 給与体系の抜本的変革が難しい場合
3 デジタル化のステージに合わせた外部市場価値連動型への移行
事業の状況や得たい成果に応じてアプローチは変わる
職務の総量をモニタリングする仕組み
4 デジタル時代の評価制度の潮流
デジタル時代に固有の「評価の目的」は存在するか
デジタル時代の事業運営のトレンド
1評価の短サイクル化
2テレワーク下における評価
3現場への権限委譲
4外部市場を意識した評価
5多面的なフィードバック

第5章 デジタル時代の人材戦略を実現に導く6ステップ
トランスフォーメーションができるかどうか
デジタル化に向けた人材戦略は改定ではなく変革
変革を実現するための6ステップ
ステップ1 トップが人材戦略に対して自身の想いを持ち、コミットメントを明確にする
デジタル化による事業変革に応じた人材戦略の策定が必要
人事委員会の運用高度化
ステップ2 役員層の視点を全体最適視点へ転換する
デジタル化は組織のサイロ化を加速し、個別最適視点を強める
儀礼的な会話から生成的な対話への転換(個別最適から全体最適視点へ)
ステップ3 役員層でありたい姿を描く
ギャップアプローチからポジティブアプローチへの転換
コラム デジタル化を自分事として捉え、デジタルマインドを持つために
ステップ4 役員と CHRO が現場管理職を共鳴型で巻き込む
現場管理職をどう巻き込むか(職務給への転換のケース)
策定一浸透モデルから共鳴モデルへの転換
ステップ5 現場管理職による双方向のマネジメントへの転換
1on1 を活用した双方向マネジメント
情報通信企業A社の役員起点の1on1 浸透・導入のケース
ステップ6 人事部門がHRテクノロジーを活用して
社員エンゲージメントをモニタリングする
エンゲージメントサーベイやパルスサーベイの活用
デジタル化に向けた人材戦略を実現するために
あとがきに代えて
デジタル化と同一労働同一賃金 会社組織と社員の定義が変わる?!
謝辞(お世話になった皆様へ)

内藤 琢磨 (著, 編集)
出版社 : 東洋経済新報社 (2020/7/17)、出典:出版社HP

序章 デジタル時代に適応できない日本の人事制度

2020年4月、新型コロナウイルス感染対策として非常事態宣言が発出されると多くの企業では可能な限り、社員をテレワークとする勤務体系に移行 した。
ZOOM や Skype、Teams といったアプリ・ツールを活用した働き方の変 革が一気に加速するだけなく、デジタルを活用し対面接触を極小化する新た なビジネスモデルも次々と生まれている。
そして with コロナの時代に一層加速するデジタル化に伴い、「デジタル 人材」というキーワードも毎日当たり前のように目にするようになってきている。
データサイエンティストや AIエンジニアの獲得に向けて、伝統的な国内 大手企業が一般社員とは別枠で高額報酬を提示したり、社内の人材に AIス キルを習得させたりするための教育体系を再整備する動きが加速している。 こうした動向は従前からの IT 人材不足問題とはその切迫度、危機感の強さ においてまったく異次元の対応に見える。

デジタル化はビジネスモデルの破壊的な変化をもたらすだけではなく、従 来の仕事のやり方(業務プロセス)にも劇的な変化を迫る。デジタルトラン スフォーメーションと呼ばれるこうした進化を実現するためには、高度なデ ジタルスキルを有するデータサイエンティストや AIエンジニアだけではなく、デジタル化による変化を主導するリーダー人材の確保が不可欠である。 そういった人材を確保すべく、日本企業はこれまでの育成体系やキャリアパ スを見直さなくてはならなくなってきた。 「こうした変化は長期雇用を前提とした新卒一括採用、職能(職務遂行能 力)をベースとした長期決済型の賃金システム、あるいは相対的に遅めの経 営人材選抜といった日本型人材マネジメントモデルに大きな変化を迫ること をも意味する。
過去、日本企業は経営・事業のグローバル化や低成長経済下における事業 構造改革の各局面において、抜本的な人材マネジメントモデル変革を先送り してきた。その結果、IT やデジタルに限らず優秀人材の獲得・リテンションについては、グローバル IT プラットフォーマーや魅力的な仕事を提供する国内スタートアップ企業に対しても大きく劣後する結果となってしまった。

本書は、デジタル時代を迎え、日本企業が立ち向かうべき、人事・人材マ ネジメントの変革を先進企業の取り組み事例を交えながら紹介をしていく。 日本型人材マネジメントモデルを維持してきた日本企業が、今後デジタル化 を進める上でどのように人事・人材マネジメントモデル変革を進めていくの かを、コンサルティングの経験も交えて示していきたい。
デジタル化に向けた人事・人材マネジメント変革がいまだに大きなムーブ メントとならない真因には、「日本の経営者自身にデジタルの本質に対する 理解や経験が欠如していること」「デジタルでビジネスモデルを描くリー ダー人材の不足」、そして「デジタル化によるビジネスモデル変革や業務プ ロセス変革に対する現場・組織の抵抗」等があげられる。本書では、デジタ ル人材の獲得やその処遇方法といった人材育成体系、人事処遇制度の考え方 や紹介にとどまらず、デジタルトランスフォーメーションに向けた組織変革 やそのステップについても言及していく。

第1章ではデジタル化の現状を、人材視点から総括したい。デジタル化に 対する多くの企業の取組みはPoC1にとどまり、まだ成果に繋がっていない と言えるが、組織・人材問題からその原因を整理する。 第2章ではデジタル人材処遇の勘所を取り上げる。株式会社野村総合研究 所(以下、NRI)では今般、ワークモチベーション調査を実施し、デジタル 人材のモチベーション要因や思考特性を考察した。高額の報酬が新聞紙上を 賑わすデジタル人材だが、そもそもどのような役割・ミッションを負う人材 なのか、旧来的なIT 人材との違いは何かを当該調査を基に整理した上で、 その処遇や育成・獲得方法と日本型人材マネジメントモデルとの親和性を述べていく。
第3章ではデジタル時代の人材育成や人材獲得のあり方を述べる。AII ンジニアやデータエンジニアの獲得だけではデジタルトランスフォーメー ションは実現できない。デジタルで経営のかじ取りができる「経営人材」、 デジタルテクノロジーとビジネスを繋ぎ、新たなビジネスモデルの創出や業 務プロセスの抜本的改革をリードする「ブリッジ人材」、そして AIやビッ グデータを操ることのできる人材を幅広く確保するための「デジタルビジネ スの下地づくり」のすべてがこれからの企業には必要である。どのようにしてそうした人材を獲得するのかを、先進・萌芽事例を交えて紹介していく。

第4章では処遇制度のあり方について述べていく。デジタル人材の処遇方 法は多くの企業において最も頭を悩ませる問題である。なぜならばそれがデ ジタルビジネスに直接的に従事していない非デジタル人材や従来からの IT 部門に所属する IT 人材の処遇との公平性やバランスの問題に直結するから である。こうした解くことが困難な問題に対して、我々は「外部市場価値連 動型」職務給制度の導入をそのアプローチとして提案していく。また雇用形 態も従来の無期雇用契約型だけではなく、有期雇用契約型や業務委託形態も 含めて様々な枠組みについて実例を交えて紹介していく。

そして第5章ではデジタル化に向けた人事・人材マネジメントの変革を会 社全体にどのように働きかけ、実行し、組織の隅々にまで浸透させていくか について、「組織開発」の観点から整理していく。まずは経営トップ自らが この改革に対して想いを持ち、役員全員を改革に向けてチームアップしていくことが求められる。そうした一連のステップには「組織開発」のアプロー チが有用であると考える。デジタル化に向けた人材育成体系や処遇制度の仕 組みができても、その思想面も含めて組織に適切に浸透させていかなければ この改革は過去の日本企業の失敗を繰り返すだけとなる。 20~30年間その会社でキャリアを重ねないと一人前と見なされない、と いったような日本型マネジメントモデルはあらゆる業種・業界におけるグローバル競争において苦戦を強いられている日本企業の状況と無縁ではない。
逆に言えば、デジタル時代の到来はこれまで日本企業が何度も挑戦し跳ね 返されて来た日本型人材マネジメントモデル変革の絶好の機会となる。今こそ、人事・人材問題を先送りした過去の経営からは決別すべきである。

1 PoC:Proof of Concept 新しい概念や理論、原理、アイデアの実証を目的とした、試作開発の前 段階における検証

第1章
デジタル化の現状

内藤 琢磨 (著, 編集)
出版社 : 東洋経済新報社 (2020/7/17)、出典:出版社HP

人材マネジメント論―儲かる仕組みの崩壊で変わる人材マネジメント (BEST SOLUTION)

人材マネジメントの方向性がわかる

本書では、「人材マネジメント」の本質的な部分から、具体的な例まで、「人材マネジメント」について体系的にまとめられています。本質を解説している部分では考え方を、具体例の部分ではより実践的な方法を学ぶことができる一冊です。

高橋 俊介 (著)
出版社 : 東洋経済新報社 (2006/5/1)、出典:出版社HP

新版 人材マネジメント論―儲かる仕組みの崩壊で変わる人材マネジメント

まえがき

この本の前著にあたる『人材マネジメント論』は、人材マネジメントを経営的な視点からとらえ、企業経営 における人材マネジメントの方向性を示したものであった。本書はその内容をさらに一歩進め、現在そして将 来予想される経営環境のなかで、企業が直面するであろう課題を考慮し、大幅に書き改めたものである。
前著が世に出てからまだ一〇年にも満たないというのに、IT技術の急激な進歩や、グローバル化による中 国やインドといった新興国の躍進などで、この間世界経済の様相は、めまぐるしく変わった。日本国内におい ても、産業のサービス業化が進み、製造業であるにもかかわらず実態がサービス業に近かったり、製造部門以 上にソフトウェア開発やサービス分野に力を入れる企業が増えるなどの変化が起こっている。また従業員全体 における非正規社員の割合が増加するなど、人材マネジメント分野でも、数年前の常識ややり方が通用しなくなりつつある。
このようないまという時代を正確に把握し、そのうえで、どんな枠組みで人材マネジメントを考え進めれば いいかというテーマを、歴史や過去の経緯にも言及しながら解説していこうというのが本書のねらいである。

ゆえに、現在人事の現場に携わっていて最新の人事トレンドを知りたい人や、人材マネジメントを体系的に 理解しそれを経営に活かしたいマネジャーやビジネス・リーダー諸氏には、ぜひ一読をお勧めしたい。また大 学等で人材マネジメント全般を学ぶ際のテキストブックとしても奏効するのではないかと自負するしだいだ。
人材マネジメントの分野におけるこの一〇年を振り返ると、まず九〇年代の半ばから後半にかけて、多くの 企業がこぞって賃金制度を年俸制に移行し始めた。いわゆる賃金制度改革である。年齢によって賃金が決まる それまでのやり方では、企業業績に関係なく、従業員の平均年齢が上がれば自動的に人件費総額が上がる。経 済が右肩上がりの時代ならそれでもよかったが、バブル後の不況下に、下方硬直性の強い年齢給では、企業経 営が立ち行かない。そこで業績に連動する形で賃金総額をコントロールできて、なおかつ個人の合意も得やすいという理由で、年俸制の導入が進んだのだ。 一般的に賃金制度改革は、社員の活性化を図るために成果主義を採用するという構図でとらえられがちだが、 実際は企業による人件費総額の適切なコントロールが主たる目的だったのである。このように人材マネジメン トにおいては、新たに現われたキーワードをその都度正確に理解していくことも重要だ。

またこの時期には、厚生年金基金の代行返上、企業年金の給付切り下げや廃止、確定拠出年金への移行など の話題が、しばしば世間を賑わしたが、いずれも賃金制度改革と根は同じであると考えていい。つまり人件費 総額のコントロールという経営上の難問を、いかに社員に納得させながら解決するかが、九○年代後半の企業 が抱える最大の課題だったというわけだ。
そしてリストラも、やはりこの流れの延長にある。もちろんそれまでも、リストラがまったく行われていな かったわけではないが、やはり日本企業といえば終身雇用が当たり前というのが社会の常識だった。それがこ の時期、大手企業もリストラに手をつけ始めたことで、終身雇用が崩壊したという認識が世の中に一気に広が った。いまや終身雇用を堅持すると宣言する経営者のほうが、むしろ少数派となってしまった感があるが、その転換期は九〇年代後半にあったといっていいだろう。

二〇〇〇年になると今度は、企業において学卒入社組はすべて幹部候補生であるという図式が成り立たなく なってきた。これは少子化が進み、いわゆる大学全入時代になったことで、エリートとしての価値が学卒から 失われてしまったことに加え、リストラによる組織のスリム化によって、大幅にポストが削減されたからだ。 昔なら学卒であれば、どこの企業でも四〇代でほとんどの人が管理職に昇進できたのに、バブル入社組以降は、 生涯役職に就けない人たちが多数派になるといわれるようになったのである。もはやかつてのように全員を管 理職候補とみて、段階的に時間をかけた選抜で、全員に出世のチャンスがあるかのようなメッセージを与えモ チベーションを維持する従来のやり方は通用しなくなった。 一方で、日産のゴーン氏やキヤノンの御手洗氏のように、トップが強烈なリーダーシップを発揮して組織を 変革するという事例を目の当たりにして、多くの企業がリーダーの重要性を認識し始めた。早い時期から将来 の経営者やビジネス・リーダーを選抜し育成しようと、コーポレート・ユニバーシティを設立したり、大企業 のみならず中堅企業においても、社内のリーダー候補の早期選抜や教育に力を入れるという傾向が顕著になったのは、いずれも今世紀になってからである。

労働者に目を転じてみると、若者も中高年もともにキャリアに対する意識が高まったというのも、二〇〇〇 年以降の特徴といえよう。これはやはり終身雇用制の崩壊によって、どの世代であっても突然のキャリアチェ ンジとは無縁でいられなくなったというのが大きい。ところがとくに中高年のなかには、キャリアに対する柔 軟性が相変わらず低い人も少なからず見受けられる。また自分のキャリアを会社の都合で振り回されたくないという若者も、ここにきて急速に目立ってきた。二○○○年以降、企業がキャリア教育や、キャリアカウンセ ラーの育成に力を入れ始めた背景には、このような現実があるのである。

さらに二○○五年になると、目前に迫った「二〇〇七年問題」をどうするかで、各企業の人事部は頭を悩ませることになる。一九四七年から一九五一年にかけて生まれた団塊の世代が、定年年齢に達する最初の年が二 ○○七年なのである。この団塊世代の一斉リタイアで、労働力不足と同時に、OJTを中心としたこれまでのような人材育成が成り立たなくなる事態が懸念されている。いくら力を入れてビジネス・リーダーの発掘と育 成に努めたところで、組織を構成する人が育たなければ、会社としてうまく機能しなくなるのは明白だ。そこ で社員全体を見た人材育成施策の再生にどのように取り組むかが、今後の大きな課題のひとつとして、まさに 現在浮上しつつあるのである。
ここで取り上げたのは人材マネジメントの根幹にかかわる重大な変化ばかりだが、これ以外にも従来の手法 や考え方を見直す必要のある部分はいくつもある。今回、それらをできる限り考慮して、前著を大幅に書き換 えることにした。
急激な変化を前に、途方に暮れ立ち止まるのではなく、本書を活用し新たな人事戦略構築に臨まれることを 願ってやまない。

二〇〇六年五月
高橋俊介

高橋 俊介 (著)
出版社 : 東洋経済新報社 (2006/5/1)、出典:出版社HP

目次

まえがき
第1章 企業ビジョンと人材マネジメント
1……人材マネジメントの経営的視点
「戦略」とはなにか
人材マネジメントの成功事例
新規事業を創出し続けるリクルート
2……顧客重視の事業ビジョン
事業ビジョンと人材マネジメント
誰が顧客か
顧客重視で成功した青梅慶友病院
顧客重視とはなにか
3……価値提供のビジョン
どのような価値を提供するか
タソリューションと単なる受注の違い
どのように儲けるのか
アウトソーシング・モデルの収益構造
4……顧客接点重視のマネジメント
人材ブランディング
ブランドと顧客満足度
キーワードは「エピソード」
タイレギュラー時の三点確保
スターバックス・モデル
青梅慶友病院の提供価値と評価
サービス業の本質とはなにか
もうひとつの本質は「一○○ -一=○」であるということ。
5……人材の戦略的活用
コア人材の確保と多様な雇用形態
日興コーディアル証券のファイナンシャル・アドバイザー制度
金融業界の資産管理ビジネス
人材マネジメントの基本は戦略性
第2章 人材マネジメントの三つの分野 |
組織マネジメント
人材フローマネジメント
報酬マネジメント
人材マネジメントのチェックリスト
第3章「組織マネジメント
1……組織マネジメントのキーワード
組織マネジメントを考える三つの軸
市場の成熟がもたらす変化速度の加速と複雑性の増大
将来予測性と管理可能性の低下
※対立概念の一方向にシフトする
2……ピラミッド組織と自律組織
タピラミッド組織と自律組織の違い
組織マネジメントと目的合理性
各セブン-イレブンに見る個別対応性と仕事の予見性
各キャリア開発や人材育成と目標管理
タコミュニケーションとマネジメントのスタイル
変化と複雑性の組織マネジメント指標
タマネジメントとリーダーシップの違い
※メッセージの伝達と組織マネジメント
3……画一性重視の組織と多様性重視の組織
ダイバーシティ・マネジメントの意味の変遷
ダイバーシティ・マネジメントのメリット
ダイバーシティ・マネジメントの注意点
4……公式の組織コミュニケーションと社会関係資本による相互作用
信頼と互酬性
結束型と橋渡し型
ITによるコミュニケーションと強い絆の強化
求められる弱い絆と組織の役割
第4章 成果を生み出す能力と人物像
1……成果を生み出す能力と人材像
タスキル
思考力 今思考・行動特性
動機
ネスペシャリストとプロフェッショナル
2……雇用とキャリア概念の変遷
ハイヤー・アンド・ファイヤー
アップ・オア・アウト
抱え込みと雇用の二重構造
終身雇用と長期雇用
3……採用と配置のさまざまな考え方
各部門人事権か人事部人事権か
社内流動性の活用
採用と昇進の相対基準モデルと絶対基準モデル
4……育成の多様な要素と課題
育成環境の変化1~組織環境
育成環境の変化2~社会環境
育成環境の変化3~求められる能力
タビジョンなき多忙による疲弊
若手への試練不足と進まない自己啓発、旧態依然のマネジメント
各研修投資の選択と集中
5……組織の育成力強化の方策
成長の多様性の創出
冷健全な自律的キャリア形成概念の普及
新たなる人材育成の方法論の実践
第5章 報酬マネジメント
1……日本の報酬制度の変遷
高度成長期
予見性・序列性・一律性
オイルショック以降
バブル崩壊以降
二○○○年以降
2……米国の報酬制度の変遷
公民權法以前
公民權法制定後
八〇年代以降
ストックオプションの活用
幹部報酬制度の見直し
3……人件費の適正管理の考え方
月数ボーナスとプロフィット・シェア
4……報酬とコミットメント
コミットメントとエンゲージメント、エンプロイメンタビリティ
外因的コミットメントを引き出す条件
燃えつき症候群
内因的コミットメントを機能させる衛生要因
内因的コミットメントを引き出す要素
四つのコミットメント
福利厚生・年金退職金の変遷
第三世代の福利厚生
あとがき

装丁 山田英春
本文DTP 寺田祐司

高橋 俊介 (著)
出版社 : 東洋経済新報社 (2006/5/1)、出典:出版社HP

公務員のための人材マネジメントの教科書 部下を育て活かす90の手法

理論に裏打ちされた人材マネジメント

本書は、「人材マネジメント」の中でも公務員にスポットを当てた内容になっています。民間企業では日々研究されている人材マネジメントも、公務員にはあまり浸透していないと著者は考えています。そこで、本書は「理論に裏打ちされた人材マネジメント」を採用し、短期間で取り入れられることをコンセプトにまとめられています。

高嶋 直人 (著)
出版社 : ぎょうせい (2019/11/15)、出典:出版社HP

公務員のための人材マネジメントの教科書 部下を育て活かす90の手法

まえがき

●人事管理ではなく、人材マネジメント

この本のタイトルは「人材マネジメントの教科書」です。「人事管理の教科書」ではありま せん。それには理由があります。「人事管理」という言葉には職員を「管理する職員」と「管理される職員」に分ける発想があります。しかし、マネジメントの本質は、職員を「活かし育 てる」ことです。「管理」はそのために行う行動の一部に過ぎません。確かにマネージャーには、 時に管理することが求められることもあります。しかし、それはあくまでも手段であり決して目的ではありません。

●マネジメントは専門スキル

「うちの役所にはマネジメントが存在しない。」民間から公務員に転職した多くの職員 する言葉です。上司が替わるたびに仕事の進め方が変わったり、マネジメントが全く不得手の マネージャーがいたりします。マネジメントが組織存亡のカギと考える民間企業とは大違いです。上司のマネジメントスタイルがバラバラであること自体問題です。多様性は必要ですが、 組織マネジメントの不在の結果として発生する多様性は、求められる多様性ではありません。 マネジメントはマネージャーが皆身につけるべき専門スキルであるという意識を共有し、その 習得に組織をあげて取り組む必要があります。

●真の民間マネジメント

民間企業のマネジメントは業種によって実にさまざまです。抽象的で無色透明な「民間企業」 はどこにも存在しません。多くの民間企業では、他の企業と同じマネジメントをしていたので は競争に負けてしまうと考え、絶えず進化し続けています。公務員が今、数年前の民間企業で 行われたマネジメントを民間企業でマネジメントを実践したことがない者から学ぶことは、自 ら「周回遅れ」を選んだことに他なりません。

●真に公務員向けのマネジメント

マネジメントは民間の専売特許ではありません。非営利組織である公務組織では、マネジメ ントの前提条件が民間企業と大きく異なります。公務員を取り巻くさまざまな制約条件を踏まえた「真に公務員向けのマネジメント」が必要です。もちろんそれは、今の公務組織のマネジ メントを正当化することを意味しません。環境の変化に適応するため大胆に改革していく必要 があります。改革するために民間から謙虚に「学ぶ」ことは大切です。しかし、「まねる」こ とは危険です。主体的に取捨選択できる力をまず身につけるため、非営利組織のマネジメント を学ぶ必要があります。「真に公務員向けのマネジメント」を学ぶ意義はそこにあります。

●理論に裏打ちされた実践的マネジメント

世の中には、成功者による個人の勘と経験だけに基づく「マネジメント自論」が溢れていま す。多くの成功者の自論を学び自分の中で主体的に整理して「自分の持論」に変える。こんな 帰納法的方法で学ぶことも、マネジメントを学ぶ一つの方法です。しかし、それには膨大な時 間と労力が必要です。一方、一般的な理論を体系的に学び現場に応用する。このように演繹的 な方法で学ぶことも一つの方法です。しかし残念ながら、理論を実践に繋げるための試行錯誤 にも膨大な時間と労力が必要となります。マネージャーにとってマネジメントは、実践できて 初めて意味を持ちます。限られた時間と労力の中では、「理論に裏打ちされた実践的マネジメ ント」を学ぶことが必要です。

本書は、この「理論に裏打ちされた人材マネジメント」をできる限りわかりやすく紹介したものです。筆者が個人的な考えを話しているかのように書かれていますが、実は読みやすさ、わかりやすさのためであり、極力、筆者の個人的な経験や考えだけでは語らないよう努めています。
記述の背景には多くのマネジメント理論があります。しかし、具体的な理論を紹介すること はあえて避けています。読者の皆様が目指されるのは、マネジメントの専門家ではなく実践者 だからです。
本書は、公務員である上司が、部下を活かし育てるために知っておくべきことを、10の手法 という形で整理しています。順不同でどの手法から読み始めていただいても結構です。できれば常に手元に置いていただき、ご自身の行動を振り返る際のチェックにご使用いただければと 思います。
本書が、上司である立場の公務員の皆さんの参考になり、職員一人ひとりが職場で活かされ 大きく育つ環境が作られ、公務員としての夢の実現に少しでも貢献できれば幸いです。

2019年10月
高嶋直人

高嶋 直人 (著)
出版社 : ぎょうせい (2019/11/15)、出典:出版社HP

目次

まえがき
第1章
新人を育てる20の手法
9654
1 公務員の基本を理解させる。
2 公務の特性を理解させる。
3 公務員としてのプロ意識を持たせる。
4 組織のビジョンを理解させる。
5 コンプライアンス意識を持たせる。
6 仕事への真摯さを教える。
7 公務員としての誇りを持たせる。
8 仕事の楽しさは作り育てるものであることを教える。
9 自ら学び続ける職員に育てる。
10 先入観を持ってはならない。
11 努力することの意義を正しく教える。
12 住民目線を持つことの大切さを教える。
13 信用が一番大切であることを教える。
14 礼儀の重要性を理解させる。
15 忠実であるべきは上司ではなく仕事であると教える。
16 明確な役割を与える。
17 加点主義で育てる。
18 早期に成功を体験させる。
19 「期待の新人」と紹介する。
20 情報発信に注意することを教える。
コラム 「部下を育てない上司」を評価してしまう怖さ

第2章 部下を伸ばす8の手法
1 成長の機会を与える。
2 教えすぎない。
3 上限を設けない。
4 部下に関心を持つ。
5 計画を立て継続的に育てる。
6 学ぶ意義を理解させる。
7 部下の評価は上司である自分の評価と受け止める。
8 話を聞く。
9 好かれようとしない。
10 励ます。
11 部下育成を優先する。
12 常に能力より少し高い仕事をさせる。
13 部下の強みを伸ばす。
14 本物の課題を与える。
15サポートを約束する。
16 部下の成長を一緒に喜ぶ。
17 部下の能力、適性を把握する。
18 成長を目標に位置づける。
19 成果だけで評価しない。
20 可能性を否定しない。
21 部下によって態度を変えない。
22 失敗を責めない。
23 適切にフィードバックする。
24 自分を基準としない。
25 部下のための時間を確保する。
26 部下の目線に合わせる。
27 多様なリーダーシップを理解する。
28 責任は自分がとる。
29 本物のスペシャリストに育てる。
30 どこでも通用する人材に育てる。
31 自慢話をしない。
32 飛び越えて指導をしない。
33 準備ができたら無茶ぶりをしてみる。
34 優秀な部下を教育係にしてみる。
35 本当に理解しているか振り返らせる。
36 本気で期待し言葉で伝える。
37 受け止め、共感する。
38 育成方法は部下に選ばせる。
39 細かく干渉しない。
40 右往左往しない。
41 潜在能力とモチベーションで適性を判断する。
42 キャリアを一緒に考える。
43 同じ土俵で議論する。
44 会議で発言させる。
45 できる先輩職員と組み合わせる。
46 正しく部下を理解する。
47 自分の代役をさせてみる。
48 アドバイスは丁寧にする。
49 自分の人的ネットワークに入れる。
50 研修受講後は講師をさせる。
コラム グループシンク(集団浅慮)の怖さ
第3章 モチベーションを引き出す20の手法
1 高いことを強要しない。
2 意義を感じさせる。
3 さまざまな報酬を与える。
4 達成感を感じさせる。
5 行動を具体的に褒める。
6 裁量を与える。
7 承認する。
8 他の部下と比較しない。
9 公平らしさを確保する。
10 機嫌よく接する。
11 能力が活かせる仕事を与える。
12 創意工夫を褒める。
13 最初から最後までやらせる。
14 期限を設ける。
15 休ませる。
16 目標は部下に決めさせる。
17 部下に合わせた対応をする。
18 見張るのではなく見守る。
19 文章を直し過ぎない。
20 組織外の活動を応援する。
コラム 対策が逆に組織的不祥事を増やしてしまう怖さ
あとがき

知っておきたい ミニ知識
コンプライアンスは「法令順守」ではない?
目標管理は仕事を増やす?
パワハラは外国人には理解してもらえない?

第1章 新人を育てる 20の手法

高嶋 直人 (著)
出版社 : ぎょうせい (2019/11/15)、出典:出版社HP