【最新】地政学を理解するためのおすすめ本 – 超初歩的から専門的な内容まで

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地政学とは?地理から世界を見る

地政学とは、地理的な環境が国家の政治、軍事、経済に与える影響について、地球全体の視点で研究する学問です。地政学を学ぶことで、普段ニュースで見る各国の動向について、より広く深い視点で見ることができるようになります。今回は、予備知識がない人でも地政学を学び始められるような本をご紹介します。

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出典:出版社HP

世界史で学べ! 地政学 (祥伝社黄金文庫)

国際紛争を地政学的見方から読み解く

地政学は、リアリズムの一つで、国家間の対立を地理的条件から説明するものです。敗戦後の日本では地政学ではなく理想主義史観が幅をきかせましたが、世界では地政学に基づいた考え方をして行動しています。本書は、今日の国際紛争を地政学的見方から読み解いたものです。世界のルールや日本の取るべき選択肢が見えてくるでしょう。

茂木誠 (著)
出版社 : 祥伝社 (2019/4/12) 、出典:出版社HP

プロローグ いまなぜ地政学が必要なのか?

一番よく売れている高校の世界史教科書に、こういう記述があります。
「第二次世界大戦は、東アジアにおける日本、ヨーロッパにおけるイタリア・ドイツのファシズム国家が、国内危機を他国への侵略で解決しようとし、ヴェルサイユ・ワシントン体制を破壊する動きから始まった。(中略)……ドイツ・イタリアがヨーロッパで、日本が中国でそれぞれ別に始めた侵略戦争は、1941年の独ソ戦と太平洋戦争の開始とともに、世界戦争へと一体化した。
連合国側がはやくから反ファシズムを掲げ、大西洋憲章によって新しい戦後秩序を示して、多くの国々の支持を集めたのに対し、ファシズム諸国は自国民の優秀さをとなえ、それぞれの支配圏確立をめざすだけで、広く世界に訴える普遍的理念を持たなかった。さらに、ファシズム諸国の暴力的な占領地支配は、占領地民衆の広い抵抗運動を呼び起こした。この結果、ファシズム諸国は事実上、全世界を敵にまわすことになって、敗北した」(山川出版社『詳説世界史B』2013)

要約すると、
・連合国=新しい戦後秩序、普遍的理念を示し、多くの国々の支持を集めて勝利した。
・ファシズム諸国=侵略戦争、自国民の優秀さを主張、暴力的な占領地支配により敗北した。
という歴史観を示しているのです。「正義は勝つ」という物語です。戦後、ドイツと日本で行なわれた戦犯法廷(ニュルンベルク裁判と東京裁判)で示された歴史観をそのまま記載しています。これが、戦後70年を経ても、高校世界史教科書の執筆者の認識を呪縛しているのです。
「連合国」の中には自国民を数百万人虐殺したスターリンのソヴィエト連邦が含まれていたこと。「強奪された主権の返還」を掲げた「大西洋憲章」の起草者チャーチルが「この宣言はイギリス植民地には適用されない」と明言していること。東アジア各国首脳が東京に集まった大東亜会議で「相互の自主独立、人種差別の撤廃」を掲げた「大東亜宣言」を採択したこと。これらの事実については、完全に黙殺しています。
第二次世界大戦が「悪に対する正義の勝利」であったのなら、戦後の世界は戦争のない理想郷であったはずです。ところが実際には、朝鮮戦争、インドシナ戦争、中東戦争、キューバ危機、印パ戦争、チェコ事件、中ソ国境紛争、ベトナム戦争、中越戦争、カンボジア内戦、ソ連のアフガニスタン侵攻、湾岸戦争、イラク戦争……と戦禍は絶えず、日々新たな紛争が生まれているのが現実です。

米ソ冷戦は、アメリカの勝利という形で終わりました。アメリカの思想家で日系三世のフランシス・フクヤマは『歴史の終わり』という著書の中で、「自由と民主主義が勝利したことにより、もはや世界に対立はなくなった」と書きました。ところが9・11テロ事件が起こり、アメリカのブッシュJr.政権は「テロとの戦い」を宣言してアフガニスタンとイラクに派兵します。今度は「自由と民主主義の擁護者アメリカと、テロ支援国家との戦い」のはじまりであり、「歴史は終わらなかった」のです。
世界史を「悪(野蛮)に対する正義(文明)の勝利」とする見方は、古代ギリシアのヘロドトスに始まり、中世には十字軍を提唱したカトリック教会が引き継ぎ、近代になるとヘーゲルやマルクスが合理化しました。アメリカもこの理論に基づいて西部開拓(先住民迫害)、東京大空襲や原爆投下、イラク戦争を遂行してきました。「野蛮を撲滅するためには、多少の犠牲はやむを得ない」という論法です。
世界史を正義の実現と見る「理想主義」とは真逆の立場を、「現実主義(リアリズム)」といいます。「歴史には正義も悪もない。各国はただ生存競争を続けているだけだ」という見方です。
つまり第二次世界大戦は「列強の勢力争い」であり、連合国が勝ったからといって正義が実現したわけではなく、今度は戦勝国の間で新たな勢力争い(冷戦)が始まったのだ、となります。リアリズムの歴史観では生存競争は無限に続き、「歴史が終わる」ことはありません。古代から21世紀まで、国際紛争の主要因は常に国家間の生存競争であり、これを正当化するために宗教やイデオロギーが利用されている、という見方です。

地政学(ジオポリティクス)は、リアリズムの一つです。
国家間の対立を、地理的条件から説明するものです。国境を接していれば、領土紛争や移民問題が必ず発生する。だから隣国同士は潜在的な敵だ、という考え方です。現在、日本との関係が悪化しているのは、隣国である中国と韓国です。日本がナイジェリアやアルゼンチンと争うことはありません。遠すぎるからです。
冷戦中、ソ連と中国はいずれも共産党政権でしたから、鉄の団結を示すはずでした。ところが両国は7000キロの国境を接する隣国であり、中国からの人口圧力をソ連は脅威に感じていました。つまり地政学的には敵対関係にあったわけです。
このことに気づいたのがキッシンジャー博士でした。アメリカのニクソン大統領の補佐官として、「アメリカが中国に接近すれば、中ソ関係に楔を打ち込むことができます」とニクソンに進言したのです。この結果、ニクソン訪中が実現して米中蜜月時代が始まり、外資導入によって中国経済は急発展を遂げたのです。
地政学は、帝国主義の論理です。国家と国家が国益をかけて衝突するとき、地理的条件がどのように影響するかを論じます。アメリカのマハン、イギリスのマッキンダーが、海洋国家(シーパワー)としての地政学を構築しました。海軍による海上交通路(シーレーン)の確保を最重視する理論です。これに対抗する形で、第一次世界大戦の敗戦国ドイツでハウスホーファーが大陸国家(ランドパワー)としての地政学を練り上げました。
大戦中に日本は「大東亜共栄圏」を提唱しましたが、モデルを提供したのがハウスホーファーでした。ドイツの軍人として日本に長期滞在し、日本学の専門家でもあった彼は、イギリスの世界支配に対抗するため、米・独・ソ連・日本による世界四分割を構想したのです。松岡洋右外相に代表される日本のランドパワー派がこれを採用し、日独伊三国同盟や日ソ中立条約に結実しました。しかしヒトラーがソ連に攻め込み、また日本海軍が真珠湾を攻撃したことで米・ソを連合国側に追いやった結果、世界四分割構想は挫折したのです。

敗戦後の日本では地政学の研究自体が禁じられ、タブー視されました。代わりに山川教科書のような、理想主義史観が幅をきかせてきました。日本の敗北は戦略・戦術の誤りではなく「倫理的に間違った戦争をしたから」であり、「日本が深く反省し、謝罪を行なえば」戦争はなくなる、だから「憲法9条を守れ」という脳内お花畑歴史観です。
しかし日本が反省と謝罪をすればするほど、周辺諸国は居丈高になり、平和が遠のいていくという現状を、私たちはいま、目の当たりにしています。

こういったお花畑歴史観、世界観を正すために、地政学は有効なのです。
アメリカ、ロシア、中国、EU(欧州連合)……。各国の指導者はリアリズムでモノを考え、行動しています。それが道徳的に正しいかどうかではなく、プーチン大統領や習近平国家主席が地政学的に行動しているという事実(リアリティ)が重要なのです。
相手の思考方法、世界のルールを熟知すれば近未来予想も可能になり、日本のとるべき選択肢もはっきり見えてくるでしょう。
本書は、今日の国際紛争を地政学的見方から読み解いたものです。地政学そのものの理論については、巻末の参考文献を参照してください。

2015年6月

文庫版へのまえがき

本書刊行から4年が経ち、大手の書店さんでは地政学のコーナーが置かれ、ビジネス雑誌でも地政学の特集が組まれる時代になりました。地政学を広めたい筆者にとって喜ばしいことである反面、普通の読者が地政学に関心を持たざるを得ないほど、日本をめぐる国際情勢が緊迫してきた証左でもあります。
この4年間で、アメリカにドナルド・トランプという「異形の政権」が誕生し、イギリスはEU離脱を宣言し、フランスでもEU離脱を訴える国民戦線のマリ・ルペンが大統領選で大躍進しました。
中東ではシリア内戦に軍事介入してテロ集団ISを崩壊させたロシアとイランが存在感を強め、中国は習近平政権が米国に代わる覇権国家への野心をあらわにし、これを警戒するトランプ政権は米中貿易戦争を発動しました。
朝鮮半島では金正恩政権が米国本土を脅かす核とミサイル開発を急ピッチで進め、トランプを米朝首脳会談の席に引きずり出すことに成功、親北朝鮮派の文在寅政権のもとで韓国のアメリカ離れが加速しています。
日本では安倍晋三政権によるアベノミクスで脱デフレは実現しましたが、憲法改正も、拉致問題解決も、日露交渉も目処がたたないまま、長期政権の維持が自己目的化している感があります。
世界はどこへ向かうのか?
われわれはどのような立ち位置を取るべきか?
もう一度立ち止まって考えるためにも、本書がお役に立てれば幸いです。

2019年3月
茂木 誠

茂木誠 (著)
出版社 : 祥伝社 (2019/4/12) 、出典:出版社HP

世界史で学べ! 地政学 目次

プロローグ いまなぜ地政学が必要なのか?
文庫版へのまえがき

[第1章] アメリカ帝国の衰退は不可避なのか?
アメリカは「島」である/貧農たちが開拓者精神を育んだ/カリフォルニアへの道/「シーパワー」理論を見出したマハン/日本の対米戦争戦略はマハンから学んだ/エアパワー時代の到来/9・11後の世界/2050年にアメリカの時代は終焉を迎える/大国の草刈り場、中南米

[第2章] 台頭する中国はなぜ「悪魔」に変貌したのか?
そもそも「中国」とは何か?/「ランドパワー帝国」中国がとった三つの政策/海戦が不得手だったモンゴル軍/北虜南倭――漢民族を脅かすランドパワーとシーパワー/数百隻の大艦隊で南海を遠征した鄭和/清朝崩壊を早めた海防・塞防論争/ランドパワー派・毛沢東の大躍進政策/シーパワー派・鄧小平の改革開放政策/中国はシーパワー大国になれるのか?

[第3章] 朝鮮半島――バランサーか、コウモリか?
侵略されつづけた半島国家/夷狄を排斥しつづけた李氏朝鮮/東アジアのシーパワーによる支配/竹島問題を引き起こした「反日大統領」李承晩/日韓条約を結んだ現実主義者の朴正煕/冷戦終結がもたらした北朝鮮の核開発危機と韓国通貨危機/韓国政治を読み解くカギ――激しい地域対立/中国への急接近/日・米による韓国切り捨て/「血の盟友」が「不倶戴天の敵」に

[第4章] 東南アジア諸国の合従連衡
なぜ東南アジアは雑多な世界なのか/中国vsベトナムの2000年戦争
世界を読み解くポイント チョーク・ポイント
インドシナ半島三国志/ミャンマーの華麗な寝返り/最後の王制国家タイの苦悩/南の巨人インドネシア
世界を読み解くポイント 華僑・華人・客家・苦力
夢から覚めたフィリピン

[第5章] インドの台頭は世界をどう変えるのか?
「インド人」という民族は存在しない
世界を読み解くポイント そもそもインドって何?
チベットという防波堤/植民地支配が生み出したインド・ナショナリズム/イスラム国家パキスタンの誕生/インド外交の柱、非同盟中立/ソ連のアフガニスタン侵攻がアルカイダを生んだ
世界を読み解くポイント ガンディー・ネルー王朝
そして核武装が始まった
世界を読み解くポイント 核の拡散は核戦争を助長するのか?
インドが世界最大の国家となる日
世界を読み解くポイント ヒンドゥー教とシク教

[第6章] ロシア――最強のランドパワーが持つ三つの顔
ロシアは三つの顔を持つ
世界を読み解くポイント ビザンツ帝国とギリシア正教
世界最大のランドパワー/海洋覇権を回復した共産主義国家
世界を読み解くポイント マッキンダーのランドパワー理論
ソ連崩壊後の混乱を制したプーチン/地政学的に中露は敵対関係/なぜロシアはウクライナを手放したくないのか/北方領土の解決策はあるのか/ロシア復活のラストチャンス

[第7章] 拡大しすぎたヨーロッパ――統合でよみがえる悪夢
ヨーロッパは「世界島」から突き出した半島/オフショア・バランシング――島国イギリスの世界戦略/シーパワーになりたかったフランス/ランドパワーとして生き残ったドイツ
世界を読み解くボイントグレート・ゲーム(the Great Game)
強いロシアを掲げるブーチン/ギリシア危機を地政学で読み解く/バルカン半島をめぐる奪い合い/ギリシアに公務員が多い理由/ユーロ危機は「ギリシアの嘘」から始まった/ドイツに対し戦時賠償問題を持ち出した

[第8章] 永遠の火薬庫中東①サイクス・ピコ協定にはじまる紛争
輸送ルートをめぐる争い/中東紛争の種はまかれた――サイクス・ピコ協定/サウジアラビアの誕生/英仏がアラブ諸国に対して間接支配を行なった/ナセルの偉業―スエズ戦争の勝利
世界を読み解くポイント 傀儡国家(Puppet State)
アラブ民族主義の時代/90年代に始まるアラブ民族主義政権への打撃/「アラブの春」が招いた新たな混乱/「イスラム原理主義」という解決策?
世界を読み解くポイント イスラム原理主義

[第9章] 永遠の火薬庫中東②トルコ、イラン、イスラエル
オスマン帝国はセーブル条約で切り刻まれた/日韓関係とそっくりなトルコ・ギリシア関係/「トルコはヨーロッパではない」と見ている欧州諸国
世界を読み解くポイント アルメニア問題、クルド問題
ペルシア帝国の復活を目指すイラン/イラン革命が世界に与えた衝撃
世界を読み解くポイント シーア派とスンナ派
なぜパレスチナにユグヤ国家が建設されたのか/パレスチナに流れ込むユダヤ人たち/「約束の地」は地政学的には最悪だった
世界を読み解くポイント ホロコーストと日本

[第10章] 収奪された母なる大地アフリカ
人類の母なる大地/黒人奴隷狩りの真相/紅海ルートに注目した欧州列強
世界を読み解くポイント ブラック・アフリカ
ソマリアvsエチオピアという米ソ代理戦争/スーダンは一日として統一国家だったことはない/石油利権の陰に中国が/マグリブ諸国とナイジェリア/アフリカが抱える問題の基本構造は同じ/日本にできることは何か?

エピローグ 2050年の世界と日本
地政学を学ぶための参考図書

茂木誠 (著)
出版社 : 祥伝社 (2019/4/12) 、出典:出版社HP

地政学入門 改版 – 外交戦略の政治学 (中公新書)

地政学の歴史、考え方を紹介

地政学とは地球全体を常に一つの単位と見て、その動向をリアルタイムで掴み、そこから現在の政策に必要な判断の材料を引き出そうとする学問です。本書は現代の地政学の開祖であるマッキンダー、ドイツ地政学を代表するハウスホーファー、そしてマハンらによるアメリカ地政学を取り上げ、その歴史と考え方を紹介します。

曽村 保信 (著)
出版社 : 中央公論新社 (2017/7/19) 、出典:出版社HP

はじめに

最近何とはなしに、地政学とか地政的とかいう言葉を見たり聞いたりする機会がふえた。著書の題名にも何々の地政学といった式のものが次々に現われている。これは日本だけの現象ではなく、外国人の著書や有名新聞――ニューヨーク・タイムズやフランクフルター・アルゲマイネ・ツァイトゥングなど――の論説のなかでもしばしば地政学(geopolitics, Geopolitik)の用語が大手を振って登場してきているのが、眼につく。

しかしながら、ハートランドやリムランド、または半月弧、などのような地政学と称するものに独特な用語をいきなり読まされて、その意味を的確につかめる人が、今の世代に果たしてどれだけいるだろうか。もともと事の起こりを知っていれば、これらの言葉の意味は自然に理解できるものだし、そう極端にむずかしい理屈をいおうとしているわけではない。しかしながら、その由来を知らぬ者にとっては、一種鬼面人を驚かすような効果をともなうことは事実だろう。

本来、地政学といわれるものの内容はそう珍しいことばかりではない。われわれ人間はおしなべて新しい時代の徴候を見、そしてこれまでの政治や社会の通念が揺らぎだすのを感じたとき、改めて歴史や地理の現実を振り返ってみて、それから情勢に対応するためのなにがしかのヒントを見出そうとする天性をそなえている。そうした情況下で、ひとまず世界の現実を大きく整理してみる考え方のひとつが、すなわち地政学である。それは固定した観念でもなければ宿命論の一種でもない。いわば、微妙に千変万化する外交戦略を立てる上での、大前提の考察とでもいうべきだろうか。

もちろん事実の説明に役立ち、また人びとを納得させうる限りにおいては、どのような表現の技術を使おうともそれは自由である。しかしながら、あらゆる学問の分野にはそれなりの客観性が要求される。たとえば、ケインズの存在を無視して、近代の経済の動きを論ずることは事実上不可能だろう。それと同じように、地政学にもまたそれ自身の生い立ちがあり、その主な経過を知ることによって、かなり世界の見方が変わってくることは確かだとおもわれる。

この本は、書肆の要望によって『地政学入門』と題したが、本来私の気持からいえば、ただこれまでの地政学の主要な文献から、何か現代にも依然として通用するものを掘り起こしてみたい衝動に駆られて、書いたものに過ぎない。したがって、同じような関心をもつ人にとっては、あるいは一種の手引きになるかもしれない。が、同時に、これには多少、従来の国際政治学と称するものにたいする新たな挑戦の気持もあった。そのことは、本文を読んでいただけばやがておわかりになるだろう。

しかしながら私は、さしあたって、直接日本外交の実務に役立つようなことを書いたつもりはあまりなく、あくまでもこれまでの地政学の要点を浮き彫りにし、その基本を明らかにすることを中心の目的にした。その点で、いささか物足りなくおもわれる読者も、あるいはあるかもしれない。ただ最後の章では、若干私自身のおおまかな見解を披露することを試みた。これは、地政学の理論と方法を現代の国際政治の現象にあてはめてみると、こういう考察がでてくるという、いわば一種の具体例のようなものである。

終わりに、これまでの世界一周航海や海外の取材旅行等に際して、数々の便宜を提供して下さった外務省や防衛庁、それから多くの商社等の関係の方々に尽きない感謝の気持を捧げたい。

一九八三年一二月
著者

曽村 保信 (著)
出版社 : 中央公論新社 (2017/7/19) 、出典:出版社HP

目次

はじめに

序章 地球儀を片手に

第一章 マッキンダーの発見
1 地政学の起こりと古典
2 英国の海上権の衰退
3 西欧シー・パワーの起源と由来
4 ハートランドの動向
5 ヨーロッパ半島の運命
6 自由社会の処方箋
7 最後の論文

第二章 ハウスホーファーの世界
1 ハウスホーファーと日本
2 生活圏の哲学
3 広域の思想
4 太平洋の地政学
5 大東亜共栄圏との関連
6 悲劇の結末

第三章 アメリカの地政学
1 モンロー主義の発展過程
2 西半球防衛の展望
3 汎米主義と二つのアメリカ
4 アルフレッド・マハンの遺産

終章 核宇宙時代の地政学
1 ソ連と地政学
2 アフリカおよび中近東の地政学
3 危機の弧
4 インド洋――世界の地中海

参考文献について

曽村 保信 (著)
出版社 : 中央公論新社 (2017/7/19) 、出典:出版社HP

マッキンダーの地政学ーデモクラシーの理想と現実

現代地政学の開祖に学ぶ

本書は、現代地政学の開祖であり、国際関係を動態力学的に把握するマッキンダーによる名著を改題して新装復刊したものです。今なお世界に影響を与え続ける「ハートランドの戦略論」の全貌を記した最重要文献とされています。地政学を学ぶ人なら一度は読んでおきたい一冊です。

ハルフォード・ジョン マッキンダー (著) , Halford John Mackinder (原著), & 1 その他
出版社 : 原書房 (2008/9/27) 、出典:出版社HP

マッキンダーの地政学 デモクラシーの理想と現実 目次

第一章 われわれの前途によせて
第二章 社会の大勢
第三章 船乗りの世界像
第四章 内陸の人間の世界像
第五章 さまざまな帝国の興亡
第六章 諸国民の自由
第七章 人類一般の自由
あとがき
補遺 一九一九年一月二五日、ケドルセーの一事件について

付録
(1) 地理学からみた歴史の回転軸(一九〇四年)
(2) 球形の世界と平和の勝利(一九四三年)

訳者解説(旧版 訳者序文)
訳者あとがき

本書は、小社刊『デモクラシーの理想と現実』(一九八五年刊)を、現代地政学の祖マッキンダーの主著であることを判然とするよう書名を『マッキンダーの地政学』と改題して新装復刊したものです。本文中で本書題名を『デモクラシーの理想と現実』としている部分があるのは右記の理由からです。
原書房編集部

ハルフォード・ジョン マッキンダー (著) , Halford John Mackinder (原著), & 1 その他
出版社 : 原書房 (2008/9/27) 、出典:出版社HP

図解でよくわかる地政学のきほん: 新聞・テレビではわからない国際情勢、世界の歴史、グローバリズムがすっきり見えてくる

地政学に踏み込む前の第一歩

近年よく耳にするようになった「地政学」とは、自らの行動の指針となるように、世の中を立体的に、そして多角的に捉えていこうとする営みのことです。本書は、地政学の本ではなく、地政学を学ぶ前に必要な国・地域別の歴史の知識を、地図を使って解説します。中高生や歴史が苦手な人にもわかりやすい「地政学」の入門書です。

はじめに

最近、「地政学」という言葉が流行っています。耳馴れない言葉の響きがかっこよさそうな雰囲気であることが受けているのでしょうか。
この本は地政学の本ではありません。地政学に踏みこむ前に、地政学って何? ということをつかむための第一歩の本です。歴史に興味のある中学生や高校生にも読んでもらえる超初歩的な内容になっています。
地政学って何だろう? と思いインターネットで検索して辞書的な意味を知っても釈然としないでしょう。
実はそんなに難しいことではありません。地政学とは、自らの(自らの属する共同体の)行動の指針となるように、世の中を立体的に、そして多角的にとらえていこうとする営みのことだと思ってください。
立体的にとらえていくというのは、陸(land)のみならず海(sea)、そして空(sky)、さらには宇宙(space)、はたまた地下(underground 資源の多くは地下に眠っている)、もちろん水中も含め、さまざまな観点から世の中を見ていくことです。
世界は観点を変えることでさまざまな見え方をします。まずそれを自覚することが固定観念を取り払い、直感を鍛えていくことにつながります。
何だかあたりまえのことをいっているようですが、最近、地政学という言葉がことさらに強調されているのは、むしろ世界を包括的にとらえようという姿勢がこの現代社会のなかで見失われているからではないでしょうか。
哲学者のディルタイは「歴史は理解(了解)の学である」といいました。さまざまな事象を関連させて統一的な意味を見出していくことが大事なのであって、地政学という言葉はどうでもいいのです。
この本がぼくら人間がつくってきた、そしてつくっているこの社会を理解するための小さな第一歩になってくれれば嬉しい限りです。
では、気軽に、でもしっかりと読み進めていってください。

荒巻豊志

もくじ

はじめに

[第1章] 大陸国家になれなかった日本
島国日本 大陸進出の野望
ロシアの圧力と蝦夷地の探検
日本の朝鮮進出と日清戦争
日本の朝鮮進出と日露戦争
列強を警戒させた日本の大陸経営
中国とソ連の脅威と満州事変
満洲を守るための中国との戦争
海洋国家日本の起源となる海上貿易
明治政府の南方進出政策
第一次世界大戦と日米対立の顧在化
東南アジア進出と日米戦争
島国となった日本と周辺国との領土問題
[column] 地政学の基礎知識 日本の領海

[第2章] 海洋国家になれなかった中国
中国王朝と遊牧民との抗争の歴史
ユーラシア帝国としての元
元の後継国 明・清
海へ向かおうとした大陸国家中国
列強に分割された苦難の近代中国
ナショナリズムの高揚と中華人民共和国の成立
[column] 地政学の基礎知識 マッキンダーのハートランド理論

[第3章] 大陸から海を目指すロシア
ハートランドを支配するロシア
エカチェリーナ2世の領土拡大政策
クリミア戦争の敗北とアジアへの進出
列強に阻まれるバルカン半島進出
東アジア進出の野望と日露戦争の敗北
ロシア帝国の後継としてのソ連
[column] 地政学の基礎知識 地政学用語①

[第4章] 大陸国家かつ海洋国家アメリカ
大陸国家アメリカ合衆国
フロンティアの消滅と海外進出
アメリカ合衆国とラテンアメリカ諸国
アメリカ合衆国のアジア進出
太平洋戦争へ向かう日本との対立
アメリカ合衆国とヨーロッパ
[column] 地政学の基礎知識 地政学用語②

[第5章] 海洋国家イギリス
大陸国家から海洋国家へ
第一次大英帝国の繁栄と衰退
産業革命の成功と植民地の拡大
ロシアとの対立から和解への道程
世界大戦へ向かったドイツとの対立
独立する植民地と大英帝国の解体
[column] 地政学の基礎知識 世界のチョークポイント

[第6章] 大陸で覇を競うヨーロッパ諸国
主権国家体制の成立
ブルボン朝の繁栄と衰退
ナポレオンの夢と挫折
ドイツの登場で分裂するヨーロッパ
バルカンはヨーロッパの火薬庫
第一次世界大戦とヨーロッパの没落
ヴェルサイユ体制とヒトラーの登場
第二次世界大戦とヨーロッパの分割
[column] 地政学の基礎知識 マハンのシーパワー理論

[第7章] 現代世界
冷戦の時代① 終戦から1950年代初頭
冷戦の時代② 1950年代 第三勢力の台頭
冷戦の時代③ 1960年代からソ連崩壊まで
ポスト冷戦から現在へ
戦後の中国① 南シナ海への進出
戦後の中国② 強引な拡大政策
戦後の中国③ 少数民族問題
ソ連の解体とその後継としてのロシア
ヨーロッパの統合と拡大
パレスチナ問題① イスラエルの建国
パレスチナ問題② ゲリラ活動の激化
イラン・イラク戦争から湾岸戦争まで
混乱の続くアフガニスタン
21世紀の戦争 テロの脅威
東南アジア① 独立運動
東南アジア② ベトナム戦争
東南アジア③ 進化する経済統合
インドの独立とパキスタンの誕生
アフリカ諸国の独立
[column] 地政学の基礎知識 ハウスホーファーのパン・リージョン理論

[付録] 世界地図の見方
地図の種類と選び方
中心点を変えて世界を見てみよう
大陸から見た日本

参考文献

国際社会を支配する地政学の思考法 歴史・情報・大衆を操作すれば他国を思い通りにできる

地政学に関する記事、論文を読む

権力者たちは、遠い昔から、他者を支配して従わせようとする野心を持っていました。地政学は、できれば全世界を、そうでなくとも出来る限り広い範囲を支配すると同時に、他社に全く、または必要以上に支配されないことを目的に用いられています。本書は、25年にわたり地政学についての調査と研究をしてきた著者が、新聞・雑誌の記事や論文をまとめたものです。

ペドロ・バーニョス (著), 金関 あさ (翻訳), 村岡 直子 (翻訳), 神長倉 未稀 (翻訳)
出版社 : 講談社 (2019/12/12) 、出典:出版社HP

著者の言葉

本書は、私の25年にわたる調査と研究を総括し、多種多様な新聞・雑誌に寄稿してきた記事や、共著で発表した論文や序文をまとめたものである。この四半世紀の間、私は軍関連機関、大学、センター、財団などで地政学、戦略、諜報、防衛、セキュリティ、テロリズム、国際関係に関する何百もの授業やカンファレンスを行ってきたが、そのために作成した数知れないノートも参考にしている。本書を執筆するにあたって、スペイン国軍高等学校参謀本部で国際戦略や国際関係に関する教鞭をとってきたことや、国防省地政学分析チームを率いてきた長年の経験がどれだけ役立ったかわからない。

さらに大量の文献から集めた情報も加えた。引用部分は必ずしも原典と一字一句同じにはせず、もとの意味はそのままに、より読みやすくなるように言い回しを変えているものもある。本書が、最先端の専門家から、こういうテーマに興味のある方、好奇心旺盛な方、単にエンターテインメントとして読みたいという方など広い読者層の方々に楽しんでいただける作品になるよう心がけた。

第三者の具体的な考え方やコンセプトを紹介する際は、それが誰のものなのかをできるだけ記載したが、読者が退屈しないようそれ以外のものは参考文献にまとめている。

本書で例に挙げた歴史上の出来事のなかには、いくつもの戦略が重なって存在していると気づく読者もいるだろう。また、一部の国により多くのページを費やしていると、偏りが気になる読者もいるかもしれないが、それは、そういう国は強国で、ここに挙げている戦略を駆使して世界を支配しているケースが多いからだ。私はどこの国のイデオロギーも宗教も否定しないし、とくに誰かを非難するつもりもない。ただし、自分たちが支配しやすいよう、弱者や教育を受けられない人たちの状況をあえて改善せず、その人たちを食い物にするような者は例外だ。

本書の記述をできるだけ正確なものにするため、専門的なサイトも一般的なサイトも閲覧し、記載したすべての情報に誤りがないかを確認した。またとくに興味深いと思った情報については、さらに詳細を知りたいという読者のために、脚注で引用元を紹介しているものもある。

序文

権力の本質とは敵の行動に影響を与えることである。
ロバート・D・カプラン

はるか遠い昔から、権力者たちは人々を意のままに動かそうとし、自ら影響力を与えられるところに痕跡を残そうと努めてきた。16世紀まで、このような権力がおよぶ地域は地理的にかぎられていたが、アメリカ大陸発見がきっかけとなり、その範囲はしだいに広がっていった。そして産業革命が最後のひと押しとなって、それまで知られていなかった地球の隅々にまで権力者の手が届くようになった。

時の流れとともに権力者の顔ぶれは変わっていったが、その根底にある野心は変わることはなかった。彼らは、自分の行く手に存在する人間集団すべてを支配しようとするだけでなく、軍事的、経済的、宗教的に自分を脅かす敵となりうる者が自分の領土に侵入するのを阻止してきた。その歴史はいまもなお変わることなく、時代にかかわらず、今後もずっと続いていくだろう。科学技術が進歩し、人間が野望を遂げる方法は変わっても、他者を支配して従わせようとする野心はこれから先も消えることはない。地政学はいまや“地政権力学”(“地政支配学”あるいは“地政統治学”と呼ぶこともできる)の道具と化している。そしてこの道具は、できれば全世界を、そうでなくともできるかぎり広い範囲を支配すると同時に、他者にまったく、または必要以上に支配されないことを目的に用いられている。

そのため、権力者たちが周りの世界をこれまでどのように操ってきたか、現在どう操っているのかを知る必要がある。用いられてきた戦略のなかには、何世紀も前から使われてきたものもあれば、近年になって利用されたものもある。いずれも、将来多少の修正が加えられたとしても、すたれることはないだろう。したがって、ここで取り上げる「16の地政学的戦略」とは、この地政権力学を実際に応用し、地理的影響力が国際社会でどう行使されてきたかを具体的かつ現実的に示したものにほかならない。

これらの戦略を知っておけば、世界を支配する策略家たちの手中で操り人形のように踊らされないよう、最大限の警戒ができるようになる。だが、それでもなお、私たちの生活にのしかかってくる外からの巨大な影響力と、それから逃れることがいかに難しいかを、つねに自覚しておかなければならない。

私たちは、自分たちは自由であり、進むべき道、嗜好、服の着こなし、振る舞い、さらには食べるものや余暇の使い方まで、好きなように選べると思っている。しかし実際には、行動も意思決定も態度も、すべてはそうするように仕向けられているのだ。私たちになりかわってすべてを決定する者たちのやり方はどんどん巧妙になっており、生き方、社会モデル、思想などを他者に押しつけては、自分の意図に従わせようとする。世界中に偽の情報があふれているが、そうした状況を、“脱 真実”と定義する現代においては、この構図はかつてないほど明らかに見える。もっとも、一般の人々に届く情報は真実に見せかけた大いなる嘘であるという点では、“脱 真実”というより“前嘘”あるいは“多 嘘”とでも名付けるほうが的を射ているかもしれないが。

このような地政学的現実を知るだけでも、「人間の安全保障」が優先される世界を私たちが実現するにはまだまだ道は遠いと思い知らされるのではないだろうか。

ペドロ・バーニョス (著), 金関 あさ (翻訳), 村岡 直子 (翻訳), 神長倉 未稀 (翻訳)
出版社 : 講談社 (2019/12/12) 、出典:出版社HP

目次

著者の言葉
序文

第1章 地政学と地政戦略学

第2章 世界とはどのようなものか
世界は校庭のようなもの
地政学の大原則は「偽善」
影響力ゲーム
争いごとは人間の本質
なぜ、暴力はなくならないのか?
なぜ、戦争はなくならないのか?
暴力はコントロール可能なのか?
地政学的に、いかに生き残るか?

第3章 武器としての経済
国家は大きく育ちたい「生き物」
経済による支配
戦争中こそビジネスチャンス
天然資源をめぐる強国の欲望
宇宙を制する者が未来を制する
経済が先か、紛争が先か
ポエニ戦争の経済的原因
経済から見たナポレオンの戦争
新旧のパワーバランスで起きたキューバ戦争
第一次世界大戦――英国vs.ドイツの経済戦争
第二次世界大戦――米国資本主義vs.ヒトラーの経済戦争
中東の戦争――石油と権力をコントロール
リビア攻撃とフランスの経済事情
ドルに致命傷を負わせる覚悟の中国
北朝鮮の「お宝」を米国が狙う
ソロスが仕掛けた金融ファンド戦争
中国が支配する新グローバリゼーション
世界経済を支配する富豪ファミリー・トップ5

第4章 歴史の確かな重み
新リーダーは歴史を歪める?
歴史と地政学
アフガニスタンに学ぶ「歴史の繰り返し」
「国」でなく「民族」の歴史を知る
ほとんど知られていない北朝鮮の人々の歴史
同盟は損得勘定で決まる
同盟とは偽善的な外交ゲーム
ナチス・ドイツと米国の狭間にあったソ連
北朝鮮の背後で続く日米のゲーム
自分の力だけを信じろ

第5章 抑止力と包囲網のゲーム
他者を操る抑止戦略
抑止力の3つの柱
米国と中国のチェスゲーム
包囲と逆包囲のポイントは海峡
北極を制する者が世界を支配する
米国とNATOがつくったロシア包囲網
ロシアの野望vs.ジョージアの逆襲
ベネズエラと組んだロシアの戦略

第6章 ハシゴを蹴り倒す戦略
自由貿易のハシゴを蹴り倒す
自由貿易で一人勝ちした英国
“ディスコのドアマン”の核兵器コントロール
ハシゴを蹴り倒す戦略の地政学的使い方

第7章 隣人を弱らせる戦略
実は経済競争だったペロポネソス戦争
ビスマルク体制
世界一“隣人”が多い中国の本音
グローバル化で増加する“隣人”たち
もし“隣人”が強国で、しかも感じの悪いライバルだったら?
隣人だから信用するなら

第8章 上手にあざむく演技派の戦略
中国4000年の歴史で培われた演技力とは?
真実が隠すもの

第9章 ブレイキング・ポイントの戦略
スペインの弱点を突いた米国
レーニンはドイツの道具? ロシア自滅作戦
地政学的に脆弱な中心地

第10章 分裂させる戦略
アラブを分裂させるための罠
よそものに分裂させられたリビア
21世紀版、分裂の戦略

第11章 間接的に支配する戦略
ペンタゴンとハリウッドによる間接的支配
恐怖による間接的支配
ソロスが操る、多国籍グループの間接的支配
選挙運動への介入
民主主義が拡大する中での間接的支配

第12章 法を歪曲する戦略
合法の名のもとに自国を正当化
中東における“保護する責任”
国連の得意技は偽善
国際的な合法性を悪用する連中にうんざり
民主主義の皮肉な乱用
9・11後に正当化された“対テロ戦争”
“人道的”という陳腐で便利な主張
中国流・国際法の解釈
宇宙に広がる国際規則の違反

第13章 権利と権力の戦略
そこをどけ、おれの番だ
革命の種はどのように芽を出すのか?
「宗教+イデオロギー」はドラッグより強力
ケーキをカットする者が「一番いいところ」を取る
第二次世界大戦への米国の参戦
努力は他者にさせるもの
海賊は“国家公務員”だった?
戦争における最小限の努力
偽旗作戦
現代の傭兵は民間軍事会社
米国の間接的戦略
テロリストは女性と子どもを操る
完全犯罪? カラチ事件の真相
悪意に旗はない

第14章 敵をつくり出す戦略
NATOはロシアという敵で再生する
軍需産業こそ“仮想敵”の生みの親
カダフィを悪魔に仕立てた多国籍軍
釣り合い重り

第15章 大衆を操る戦略
大衆の操作とプロパガンダ
万華鏡の千の色
ゲッベルス流・プロパガンダの原則
情報操作の10の戦略
レーガン時代のCIAによるプロパガンダ
ロシアもまた混乱をもてあそぶ
CNN効果
世界のメディアを支配する巨大な6社

第16章 フェイクニュースの戦略
シリアとイラクの偽情報戦争
戦争における情報操作
キューバ戦争とイエロー・ジャーナリズムの誕生
メディアは諜報機関のために働く
モッキンパード作戦
買収されたジャーナリストたち
サウジアラビアがオイルダラーでメディアを支配
皆のための表現の自由

第17章 貧者の名のもとの戦略
「奴隷解放宣言」はリンカーンの人員削減政策?
貧困からの脱出をさまたげるイデオロギー
“人道的介入”は軍事作戦の口実
ポストモダンの虎

第18章 不和の種をまく戦略
不満分子をけしかける
内部対立を拡散する
若年層の脆弱性
スペイン領キューバに不和の種をまいた米国
不和の種をまく者同士の間に不和の種をまく
脆弱性につけ込まれたシリアの命運
米国、キューバで破壊的SNSを創設
民衆を操る、感情にもとづく作戦
ロシアの諜報活動は偽情報のマエストロ

第19章 宗教を使った戦略
打算的解釈で歪められた「ジハード」の意味
努力が報われない優秀な若者を利用
十字軍とはキリスト教徒のラ・ジハード
北コーカサスが火薬庫である理由
ナチス・ドイツによるイスラムの利用
ヒトラーの軍隊にはユダヤ人がいた
中東を舞台に冷戦を再現
アフガニスタンで始動した地球規模のラ・ジハード
信仰の名のもとに

第20章 善人主義という戦略
ソフト・パワーで頭と心を征服
米国の善人主義的野心
地政学上のニーズの創出
金が欲しければ、戦争を準備せよ

第21章 マッドマン戦略
元祖“マッドマン”ニクソン
トランプや金正恩もマッドマン戦略を使うのか?
怖がらせるほうがいい
敵の敵は“一時的な”味方

第22章 「民族性」への無理解
なぜ「民族性」という言葉を理解すべきなのか?
無理解が紛争の燃料となる
『ランボー3』が教えるアフガニスタン戦士の実力
永遠に理解されないパシュトゥン人
ペトレイアスが学んだ(学ばなかった)こと
知られていないアラブ世界
スペインとフランスの多民族とのつきあい方
ベトナム戦争が教える民族性のパワー
理解されないソマリア
シア人を理解しないという過ち
ヒット映画の核心は復讐
「蛮族」が来る!

第23章 不測の事態に対する心構えのなさ
それでは、どのように行動したらよいのか?
戦争は柔軟性を要求する
柔軟性のなさが大惨事を招く
未来の不確実性には適応力で備える
ダメージを受けずにあっという間に勝てると思い込む
指導者だけでなく、民衆も間違いを犯す
ソ連・フィンランドの冬戦争
未来予想図を見誤ったサウジアラビア

第24章 宗教を敵にまわす愚かさ
牛と豚によって起きたシパーヒーの反乱
宗教的タブーに起因する悲劇
文化的知性の欠如によるコーラン焼却事件
賢い統治者は宗教を利用する

第25章 地政学上の8つの大罪
大罪1 利己主義
大罪2 色欲
大罪3 怠惰
大罪4 貪食
大罪5 怒り
大罪6 羨望
大罪7 強欲
大罪8 傲慢
権力への欲望

終わりに
謝辞
原注

※本文中の書籍からの引用箇所について:出版社名・訳者名が明記してある書籍以外は、本書訳者によって原書より翻訳しています。

ペドロ・バーニョス (著), 金関 あさ (翻訳), 村岡 直子 (翻訳), 神長倉 未稀 (翻訳)
出版社 : 講談社 (2019/12/12) 、出典:出版社HP

学校では教えてくれない地政学の授業

予備知識ゼロでも学べる地政学

1945年の敗戦から日本は戦略的思考を放棄し、経済発展だけを考えてきました。しかし、ロシアや中国、インド、同じ敗戦国のドイツでさえも、国家の生き残りのために戦略的思考を磨き、情報を集めています。本書は、戦略的思考の典型である地政学を、予備知識がない人にも理解できるように、専門用語をできるだけ避けて解説したものです。

茂木 誠 (著), 文化放送 (著)
出版社 : PHP研究所 (2016/9/21) 、出典:出版社HP

まえがき

日本ではじめて、だと思います。
「地政学」という「禁断の学問」を大手メディアが番組で、しかも半年間のシリーズ物として取り上げたのは。文化放送さんの英断に、心から敬意と感謝を表したいと思います。
一九四五年の敗戦のショックで、日本人は戦略的思考を失ってしまいました。
「戦略(ストラテジー)」という言葉はもともと軍事用語で、「戦術(タクティクス)」と対になる考え方です。「あの島を奪うのには、どれだけの兵力と武器が必要で、どこから攻めるか」というような、現場の部隊長が考える個々の作戦が「戦術」です。
これに対し、戦争に勝つためには、どこの国と同盟関係を結び、どのような産業を興し、どうやって情報を集め、国際世論にどのようにアピールして味方を増やすか、というような、政治・外交・経済・思想も含めた長期的、大局的な作戦を練るのが「戦略」です。
「そんなこと、政治家にやらせておけばいい」、という考えは大間違いです。日本のような民主主義国家においては、政治家は国民が選ぶのです。国民一人一人が戦略的なものの見方を身につければ、戦略的な思考のできる政治家を見分けることもできるようになり、彼らを選挙で当選させ、政権を担わせることで、日本の国力自体を強くできるのです。
地政学は戦略的思考の典型です。本書のタイトル通り、地政学は学校では教えません。米軍(GHQ)占領下で、アメリカは二度と日本人に戦略的思考を持たせぬように、これを危険思想として封印しました。サンフランシスコ平和条約で日本が再び独立したのちも、日米安保条約で日本はアメリカの世界戦略に組み込まれ、在日米軍が日本の防衛を担うという状態が70年続いてきました。日本政府は、「アメリカ様のあとについていけば大丈夫」、とばかりに戦略的思考を放棄し、経済発展だけを考えてきたのです。マッカーサーはかつて、敗戦後の日本のことを「十二歳の子ども」と評しました。悔しいですが、この指摘は当たっています。自国の安全を他国に依存する国は、国際社会では「子ども」なのです。
他の国々は違いました。ロシアも、中国も、インドも、イギリスも、日本と同じ敗戦国のドイツでさえも、国家の生き残りのために戦略的思考を磨き、情報を集め、自分の足で立ってきたのです。
米ソ冷戦がアメリカの勝利に終わり、「世界の警察官」を自負したアメリカもイラク戦争と金融危機で疲れ果て、二〇一六年の大統領選挙では、日本・韓国・欧州に展開する米軍の撤収を公言するドナルド・トランプが共和党の大統領候補に選ばれました。日本という子どもが、アメリカというお母さんのスカートの陰に隠れ、守られた時代は終わるのです。
「自国の安全は自国で守る」ためには、世界の主要国がどのような原理で動いているのか、その行動原理を知る必要があります。そのとき、地政学は非常に役に立ちます。

文化放送の「オトナカレッジ」は、砂山アナウンサーを進行役に専門分野の講師が、毎回テーマを決めて講義を展開し、リスナーに学びの機会をつくる番組です(番組については後述)。番組プロデューサーの岩田さんから、「世界史学科という枠で、地政学、やりませんか?」とお声がけをいただきました。国民の意識改革の一助になればと考え、喜んでお引き受けしました。
予備知識ゼロのリスナーにも理解できるように、専門用語をできるだけ避け、ラジオ番組なのに、地図をふんだんに使いました(地図は番組ツイッターで見られるようにしました)。
「日本で一番やさしい地政学の講義」ができたのではないかと自負しています。これまでの放送内容の一部は「オトナカレッジ」の番組ホームページ内のポッドキャストポータルサイト「聴く図書館」で聴くことができますが、出版社のPHPエディターズ・グループさんのご協力により、本という形に残すことができました。本書の出版を機会に、より多くの方に地政学に触れていただき、この国の自立に少しでも貢献できれば嬉しく思います。
地政学についてもう少し詳しく知りたい方向けに、『世界史で学べ! 地政学』(祥伝社)という本も書きました。電子書籍でも読めます。参考文献などは、こちらの巻末に載せてありますので、本書では割愛させていただきます。

※二〇一三年秋から始まった「オトナカレッジ」は、「経済・ビジネス」「趣味・教養」をテーマに多様な学科を設け、専門の講師が講義をする番組です。「茂木誠の世界史学科」は二〇一五年秋から半年間放送。「地政学」の視点での講義は、リスナーには新鮮かつ充実した内容で、放送後配信のポッドキャストのアクセス数も全講義の中で常に上位でした。

茂木 誠 (著), 文化放送 (著)
出版社 : PHP研究所 (2016/9/21) 、出典:出版社HP

学校では教えてくれない地政学の授業 もくじ

まえがき

第1章 「地政学」って何?
第2章 アメリカ大統領選挙後の世界はどう変わる?
第3章 日米戦争も日米同盟も、目的は「あの国」だった!
第4章 「ランドパワー」中国の最大の敵は?
第5章 なぜ、中国は今、海に進出しようとするのか?
第6章 半島国家・朝鮮の高度な「生き残り戦略」
第7章 地政学から見た日韓関係の近現代
第8章 ロシアという隣人といかに付き合うか?
第9章 ロシアはなぜ欧米と対立するのか?
第10章 ヨーロッパの移民問題から日本が学ぶべきこと
第11章 イギリスが脱退! EUで何が起きているのか?
第12章 シリア、イラクの内戦はなぜ終わらないのか?
第13章 イランが目指す中東の新秩序
第14章 親日国トルコはどこへ向かうのか?
第15章 大国インドは、なぜ日本に接近するのか?
あとがき

装幀:戸塚みゆき(ISSHIKI)

茂木 誠 (著), 文化放送 (著)
出版社 : PHP研究所 (2016/9/21) 、出典:出版社HP

地政学世界地図:超約 国際問題33の論点

世界史と国際関係の要点を解説

地図は地理のツールですが、政治の道具にもなります。例えば、フランス人にとって、ヨーロッパを世界の中心に置くことは精神的な安心感につながっています。また、ロシアはアフリカ大陸の半分に過ぎませんが、地図では並外れて巨大な国家に見えます。本書は、世界史と国際関係の要点を丁寧に解説した、地政学の入門書です。

Baptist Cornabas (原著), バティスト コルナバス (著), 神田 順子 (翻訳), 倉嶋 雅人 (翻訳), & 2 その他
出版社 : 東京書籍 (2020/8/31) 、出典:出版社HP

序文

現在使用されている地図のほとんどは間違っている。あなたが子どもだった頃、教室に掛かっていた世界地図は?間違っていた。一○代の頃にあなたの部屋の上に飾られていたグローブランプ(地球儀型のランプ)は?間違っていた。オフィスの机に敷かれるデスクパッドの世界地図は?間違っている。いや、これらの地図は間違っているというよりも、完全なる真実を伝えるものではない。ただし、早とちりしないでもらいたい。これらは、想像上の王国、ファンタジーの国、ノームやエルフらが住人といった国をそこここに配した地図だからフェイクだ、と言いたいのではない。

あなたは「牛のように体を大きくしたい」と望んだ蛙のおとぎ話のことを覚えているだろう。あの蛙はどんどん膨らんで、膨らんで、自分と向き合っている巨大な動物と張り合おうとした。しかし、蛙はただ見かけを大きくしようとしただけであり、実際の蛙は牛よりはるかに小さい動物であることを誰もが知っている。すべては「それがどのように見えるか」という問題である。地図作成は、ある意味、権力の道具をつくることに等しい。メルカトル図法による地図はいまだに一般大衆が最も使うものであるが(学校に通ったことがある人にはお馴染みの例の地図だ)、実に四五〇年もの長きにわたって完全にねじ曲げられている。いくつかの国々は、世界地図というチェス盤の上で占める大きさによって、おとぎ話の蛙どころではない、深謀遠慮のあるブラフをかけているのだ。それらの国々は一見大きく見えるが、実態はそれほどでもない。なぜなら地図は我々が世界に抱くイメージの反映だからだ。球体の世界を平面で表現しようとするメルカトル図法は、赤道から離れれば離れるほど比率が歪められ、領土を実際よりも拡大して見せることになる。したがって、世界地図で見るロシアは我々には並はずれて巨大な国家に見える。しかし、ロシアはアフリカ大陸の半分に過ぎない〔ロシアの面積は約一七一二万平方キロメートル、アフリカ大陸の面積は約三〇三七万平方キロメートル〕。しかも、実際のアフリカ大陸は、グリーンランドより一四倍も大きい。

しかし、それではなぜこのように不正確な地図を今もなお教室で使い続けているのだろうか。我々の住む世界をこれほど間違った姿で描くことが広まっているのはなぜだろうか。

その理由はおそらく、かつて植民地主義・帝国主義の宗主国であった「北側」の国々にとってメルカトル図法は、自分たちがそうだと自負している大国のイメージを視覚化するのに適していたからだろう。北側の国々はその後何世紀にもわたって、この図法を他国、特に南側の国々に押し付けている。

地図の表現法には、メルカトル図法以外のものもあり、完璧とはいえないがかなり真実に近い図法も存在するが、地図はつまるところ権力の道具なのだ。地図は、一見したところ人畜無害だが、集合的無意識を形成する力を持っている。フランス人にとって、ヨーロッパを世界の中心に置くことは精神的な安心感につながる。自分たちの国が世界の中心にあるならば、世界の注目の的であり、権力と経済の中心地でもあるに違いない、という心地よい幻想を味わうことができる。もしも、中国が中心に置かれている地図の使用が、世界中の学校で強制されたらどうなることだろう?世界の大国と比べてのフランスの立ち位置を、我々は今までと同じようにとらえることができるだろうか?

地図は地理のツールだが、政治の道具にもなる。ゆえに、ひとことでいえば、実に面白い。なぜなら地政学は非常にシンプルにも見えるが、また同時に非常に複雑でもあるからだ。まずは地球全体に視線を向けよう。すると、我々を多くの考察へと導く扉が開く。

なぜ朝鮮半島には二つの国家(北朝鮮と韓国)が存在するのだろう。シリアは?ニュースでよく取り上げられる国だ。おや、リヒテンシュタインってどんな国だか、聞いたことがないな。そもそも国境線はどのようにして引かれたのだろう。誰が国境を管理しているのだろう?では、地球の管理は?そして宇宙は?

疑問、あやふやな知識、先入観が渦を巻いてぶつかり合い、答えを求めている。上記でおわかりのように、答えはシンプルなものに思えるかもしれないが、完全にシンプルな答えなど決して存在しない。無駄な問題提起はいっさいない。学習は幸福と自己実現に不可欠な要素である、というのが私の持論だ。自分が生きている世界について何も知らない人間が、どうやって自己実現できるというのだろう。知識はそれをマスターする人間にとって恐るべき武器となるが、知識を持っていると自慢することに意味はないことを謙虚な人は知っている。我々人間の複雑さをよりよく理解するためには、知識を得ることを目指すだけで十分なのだ。こうした知識は、意見交換、言葉、文字を通して伝えられる。本書を構成する各章は、人間と社会に対する目を養うために有益であることは間違いない。扱われているのは、いずれも一冊の本が書けるくらいに複雑なテーマであるので、この本が与える「答え」は簡潔過ぎるかもしれないが、多くの人に知識の門戸を開くものだ。我が同志〔本書の著者〕バティスト・コルナバスが歴史の知識を普及するためにYouTubeで流している動画と同じように。知識の獲得は結局のところ、この本が持つ、より深い目的に貢献する。我々の世界とその機能に関して明確かつ理解しやすいパノラマを読者に与える、という目的である。我々は大きな機械の中の小さな歯車に過ぎない。しかし自分で自分のメンテナンスができる歯車は、前進する一つの機械である!

バンジャマン・ブリヨー[ノタ・ベーネ]

日本語版出版にあたって
親愛なる日本の読者へ。僕の本を手にとってくれたことに感謝します。世界のいくつかの地域が今日なぜ不安定なのかを理解するのにお役に立てれば幸いです。過去を知ってこそ、より良い未来を築くことができる、このことを忘れないようにしましょう。
バティスト・コルナバス

Baptist Cornabas (原著), バティスト コルナバス (著), 神田 順子 (翻訳), 倉嶋 雅人 (翻訳), & 2 その他
出版社 : 東京書籍 (2020/8/31) 、出典:出版社HP

目次

序文――バンジャマン・ブリヨー[ノタ・ベーネ] 日本語版出版にあたって――バティスト・コルナバス

1 すべての地図は間違っているのか?
2 国境線はどうやって引かれたのか?
3 なぜ欧州連合(EU)の加盟国は変わり続けるのか?
4 トルコはヨーロッパなのか?
5 アルザスはフランスなのか、ドイツなのか?
6 グリーンランドはどこに属しているのか?
7 BRICSとは何者か?
8 国連の目的とは何か?
9 宇宙は誰のものか?
10 なぜジブラルタルは英国領なのか?
11 「ロシアの飛び地」カリーニングラードとは何か?
12 キプロスはどこに属しているのか?
13 リヒテンシュタインとはどんな国?
14 マケドニアが「北マケドニア」になった理由とは?
15 香港は中国なのか?
16 ナウルは滅びた楽園か?
17 キューバ、時間が止まった国?
18 なぜ二つの国家が朝鮮半島に存在するのか?
19 ミャンマー(ビルマ)は統一できるのか?
20 インドとパキスタンの間に何が起きているのか?
21 なぜ中東に紛争と危機が集中するのか?
22 なぜシリアでは混迷が続くのか?
23 イスラエル・パレスティナ紛争はなぜ解決できないのか?
24 ユーゴスラビアはどこへ行ったのか?
25 なぜクリミア半島は緊張状態にあるのか?
26 アラル海はなぜ消えたのか?
27 なぜアルジェリア国民は蜂起したのか?
28 エリトリアには自由があるか?
29 なぜスーダンは危機に陥ったのか?
30 なぜイエメンは瀕死の状態にあるのか?
31 リビアはまだ存在しているのか?
32 ベネズエラで何が起こっているのか?
33 中国はどこへ向かうのか?

監訳者あとがき――神田順子
掲載図版一覧

Baptist Cornabas (原著), バティスト コルナバス (著), 神田 順子 (翻訳), 倉嶋 雅人 (翻訳), & 2 その他
出版社 : 東京書籍 (2020/8/31) 、出典:出版社HP

海の地政学-覇権をめぐる400年史 (中公新書)

近現代の海洋史を学ぶ

海は地球の面積の7割以上をしめています。大航海時代以来、その覇権をめぐって多くの国がしのぎを削ってきました。本書では、航路や資源、国際的な法制度など多様な論点から、400年に及ぶ海をめぐる激動の時代を描き出します。現在の海洋秩序を前に、日本はどのように対処すべきなのか、海に囲まれた日本の課題は何なのかについて考えます。

竹田 いさみ (著)
出版社 : 中央公論新社 (2019/11/19) 、出典:出版社HP

まえがき

本書は、一五世紀の世界航路拡大を振り返りつつ、一七世紀にはじまる海洋覇権をめぐる英蘭戦争(イギリス・オランダ戦争)、大英帝国の興隆、二つの世界大戦と冷戦、さらに海洋秩序の模索や現在の課題など、海洋史四〇〇年を、地政学的な視点を取り入れながら、描くものである。そして「航行の自由」がいつの時代でも、大きなテーマであったことを確認する。

本書で扱う重要な用語をいくつか説明しておこう。
「覇権国家」とは、政治、外交、軍事、経済などの分野で圧倒的な影響力を持ち、世界の国々によりその主導的役割が認められている国家を指す。したがって、「海洋覇権」とは海洋における覇権国家のさまざまな態様を意味する。
「海洋パワー(シーパワー)」は、本書では覇権国家とほぼ同義で扱っており、その影響力が海に特化されたものの場合をいう(第2章を参照)。
そして、「海洋秩序」とは、時代によって異なるが、覇権国家、あるいは国際連合(国連)など国際社会により定められた概念やルールに多くの国が追従する状態のことであり、その望ましい状態を保つための決まりや枠組みそのものを表している。たとえば、一八~一九世紀のパクス・ブリタニカ(イギリスによる平和)、二〇世紀のパクス・アメリカーナ(アメリカによる平和)、後述する国連海洋法条約が該当する。
また、「海洋ルール」や「国際ルール」は、その時代の覇権国家や国際社会(本書では国連)が制定した海洋に関する具体的な政策や法律を示す。両者を厳密に区別していないが、「国際ルール」とは主に国連海洋法条約が作り上げた海洋ルールを意味している。
最後に、書名である「海の地政学」について本書では、海洋を地理的空間と位置づけ、国家政策や国家行動を地理的な環境と結びつけて考える概念としての「地政学」を、アプローチの一つとして象徴的に使用するものである。

本書の前半(第1~第3章)までは、海洋という地理的空間が支配される時代を、ストーリーとして叙述することが可能だった。しかしながら、第二次世界大戦後のトルーマン宣言や国連海洋法条約が制定された時代を扱う後半部分(第4~第6章)は、海洋が支配される時代から管理される時代への移行期であり、必然的に制度論、組織論、法律論、政策論、現状分析が中心となり、前半部分とは書き方のトーンが異なることを付記しておきたい。
そもそも日本は海外から原料を輸入し、それらを加工して質の良い製品を作り、世界中に輸出して豊かになった貿易国家だ。原料や製品の重量(トン数ベース)で集計してみると、貿易データでは輸出入貿易の約九九・六パーセントが海上輸送(航空輸送は〇・四パーセント)に依存しており、商船による貿易航路の重要性は今も昔も変わらない(二〇一七年集計、日本船主協会)。もちろん航空輸送の比重は高まり、金額ベースの貿易量でみると航空輸送の割合も増加しているが、それでも依然として海上輸送の重要性は揺るがない。
島国の日本にとってはもちろんだが、各国でも海洋は国の命運を左右する。大航海時代を例に出すまでもなく、世界史は海の覇権をめぐる軌跡であり、国益に直結する海洋での覇権を確保するために、海洋秩序の形成にどのようにコミットするかが、大国の最大関心事であったといえよう。
海洋覇権、海洋秩序形成の歴史には、さまざまなプレーヤーが登場する。大航海時代には、スペイン、ポルトガル、イギリス、そしてオランダ。一九世紀においてはイギリスが海の覇者となり、二〇世紀に入ると、イギリスに比肩する海洋パワーとしてアメリカが台頭してくる。海洋の権利を声高に叫ぶアメリカに対し、新興独立国も異議を唱えはじめ、この状況を前にして国連を中心に、海洋秩序のあり方が問題提起される。
あらゆる国家による一方的な海洋支配を食い止めるため、一九九四年に発効されたのが、「海の憲法」とも呼ばれる国連海洋法条約(正式名称「海洋法に関する国際連合条約」)である。二〇一八年六月現在、一六七ヵ国及び欧州連合(EU)が締結している。この条約は領海(一二カイリ)、接続水域(二四カイリ)、排他的経済水域(EEZ、二〇〇カイリ)、大陸棚、公海、島や岩礁の定義、海洋航行のルールなどを包括的に定め、海洋の平和利用と開発が両立するように制定された。アメリカが署名していないなどの諸問題は内包しつつも、この「海の憲法」はルールとして国際社会に浸透してきた。
しかし二一世紀になると、中国が南シナ海への海洋進出を加速化させ、人工島の建設などに着手し、この「海の憲法」に挑戦する姿勢を示した。中国は、国連海洋法条約が作り上げた海洋秩序に挑戦した初めての国家となる。

本書は、おもに近現代の国家を対象にしている。また、海洋秩序のあり方に大きな影響を及ぼす中国の動向に焦点を絞ったため、日本と排他的経済水域(EEZ)を接するロシア、韓国、北朝鮮、台湾などを取り上げていない。ただ今後、北極海航路の重要性が高まる中、ロシアが重要な役割を演じることは間違いないだろう。このように、本書は限界を抱えていることを断っておきたい。
第1章では、国家が海と向き合うようになった「大航海時代」に少し触れ、主に一七世紀から一九世紀における、イギリスの海洋パワーとしての発展を分析していく。第2章では、一九世紀における新たなプレーヤーとして、捕鯨業を軸に海の覇権競争に参画したアメリカを俎上にのせる。そして第3章では、パナマ運河建設、海軍力の強化を図ったアメリカが、二つの大戦を通じてイギリスに取って代わる海洋パワー(シーパワー)としての地歩を固めていく姿を明らかにする。第4章は、二〇世紀における海洋革命と謳われた「トルーマン宣言」を中心に、アメリカ主導の新しい海洋秩序の形成、ならびに国連海洋法条約の制定過程を詳らかに見ていく。第5章では、世界の海洋秩序に挑戦する中国の動向を検証し、第6章では、「海上法執行」の主役を演じる日本の対応を考察する。法執行とは、国内法である海上保安庁法や警察官職務執行法などに基づいて警察権を行使するとともに、国連海洋法条約をはじめとする国際ルールを踏まえて、領海警備や排他的経済水域の保全・管理、さらに海賊対処行動をすることである。
揺らぐ海洋秩序を前に、我々はいかに対処すべきなのか?陸地が分断支配され領地とされてきた歴史があるように、海にも同様の歴史がある。その約四〇〇年にわたる海洋の歴史を振り返り、海洋秩序や海洋ルールの変遷に焦点をあて、近現代史を海から捉え直す。このような作業を経ることにより、海に囲まれた日本の課題などが読者に伝われば幸いである。

竹田 いさみ (著)
出版社 : 中央公論新社 (2019/11/19) 、出典:出版社HP

目次

まえがき

第1章 海を制した大英帝国
大航海時代とスペイン・ポルトガルの海洋進出
カトリック世界による海洋の分割支配
海賊国家イギリスの参入
貿易国家オランダの動き
国際法の父グロティウスの海洋自由論
イギリス領海の誕生
航海法の制定
貿易立国オランダをつぶす
航海法の廃止から自由な海洋世界へ
領海三カイリと密輸船の摘発
イギリス海洋帝国の建設
海軍基地を守る陸軍の駐屯地
石炭ステーションを全世界に確保
海底ケーブルによる情報の帝国――目に見えない海洋覇権
独占企業イースタン電信会社の登場
世界中がイギリス経由で情報伝達
日本が海底ケーブルで結ばれる
大英帝国の海軍の規模
軍事政策としての海洋覇権と二国標準主義
挑戦国ドイツの登場
大手の海運会社P&Oとキュナード
スエズ運河の建設をめぐる暗闘
ロスチャイルドから極秘情報
世界初の国際運河
地平線が広がるスエズ運河
イギリスの思惑
フランスの脅威
レセップスの夢
マッキンダーの地政学

第2章 クジラが変えた海の覇権
捕鯨という海洋フロンティア――エネルギー資源の確保
クジラ・ブーム到来
捕鯨基地の建設
ペリー提督の浦賀来航
捕鯨船の遠洋航海と近代化
イギリスの海洋帝国を航海
貿易船と捕鯨船の保護
海外領土としての「島」
キューバ領有
戦勝国となったアメリカ
海洋パワー論者アルフレッド・マハンの登場
シーパワーとは何か
英雄セオドア・ローズヴェルトと米西戦争
大海軍主義の大統領
軍服はブルックス・ブラザース

第3章 海洋覇権の掌握へ向かうアメリカ
海洋パワーを目指す大統領
パナマ運河――アメリカン・ドリーム
スエズ運河の成功体験で失敗したレセップス
アメリカの野心――パナマ「地峡」の領有化
まずは経済インフラの整備
アメリカ海軍の強化
海軍の軍拡レース
第一次世界大戦に参戦したアメリカ
参戦の背景
ツィンメルマン極秘電報事件
和平構想「一四ヵ条」を提案
海洋ルール「航行の自由」を提唱
アメリカ主導で海軍の軍縮――米英の共同覇権
海軍軍縮の比率
精緻な条約
軍縮から軍拡の時代へ、戦艦から空母の時代へ
空母機動部隊の海戦
日本が失った商船――日本船主協会日本が失った船員――全日本海員組合

第4章 海洋ルールの形成
トルーマン宣言とは何か――サケと原油
トルーマン宣言は国内問題扱い
石油利権をめぐる国内政治力学
州による石油利権独占への拒否権
石油開発の歴史
カーボン・オイルの発明――オイル・ランプの誕生
イギリスの不運――石油がなかった
グレート・ゲーム――石油の争奪戦
海底油田への注目
南米諸国が追従し、世界の流れへと加速
海洋革命としてのトルーマン宣言
二〇〇カイリ領有化を求めたサンティアゴ宣言
国連で海洋を取り上げる――アメリカの誤算の始まり
四つの海洋法条約を採択――ジュネーヴ会議
もともと領海は三カイリで合意
「領海の幅」を決めなかった領海条約
接続水域とは何か
公海とは何か――「自由」があふれる公海条約
領海の無害通航
大陸棚条約の誕生――トルーマン宣言の国際化
新しい大陸棚の定義――国連海洋法条約
発想の転換――“深さ”から“距離”への変更
新たな海洋革命とアメリカの反発――深海底の提唱
資源ナショナリズムと新国際経済秩序――国連海洋法条約の成立へ
オイル・ショックの発生アメリカの海洋宣言――二〇〇カイリ排他的経済水域(EEZ)
レーガン米大統領の海洋政策
米英に参加してもらうための工夫――国連海洋法条約の修正
アメリカが支えている海洋秩序
「世界の警察官」――その原点はトルーマン時代
マーシャル・プランと覇権国家アメリカ
アメリカの軍事力――海洋秩序を支える

第5章 国際ルールに挑戦する中国
「領海法」とは
周辺海域の領有化
無害通航に制限
人民解放軍を動員しての追跡権の行使
仲裁裁判所は“法的根拠なし”と裁定
領海法をめぐる内部文書
起草を取り巻く内外情勢の変化
強硬な軍事部門
戦略論、戦術論、プロパガンダ中国の海洋進出と三つの危険性
日本による対中抗議
第一列島線と第二列島線
海上法執行機関の海洋進出
海洋秩序の不安定要因

第6章 海洋秩序を守る日本
外交力、軍事力、警察力――海洋秩序の装置
軍事力と共に、法執行の時代へ
法執行機関の世界モデル――海上保安庁の目的と任務
尖閣領海警備――海上保安体制の強化
法執行機関における根拠法
軍隊として組織しない
自衛隊と海上保安庁
有事における統制権
国際的に法執行機関を支援
「自由で開かれたインド太平洋」を目指して

あとがき
参考文献

地図 : 地図屋もりそん
図版(国連海洋法条約での海域区分)作成 : 関根美有

竹田 いさみ (著)
出版社 : 中央公論新社 (2019/11/19) 、出典:出版社HP

マンガでわかる地政学 (池田書店のマンガでわかるシリーズ)

地政学について基礎から解説

地政学とは、地形によって国と国の関係がどう変わるのかを考える学問で、地理的条件から国家の行動を説明します。「敵の敵は味方」「隣国同士は対立する」など、基本原理はシンプルですが、大国の指導者が世界地図を見ながら考えていることを追体験できるエキサイティングな学問です本書では、マンガを交えながら地政学について基礎から解説していきます。

茂木誠 (監修), 武楽清 (その他), サイドランチ (その他)
出版社 : 池田書店 (2016/12/26) 、出典:出版社HP

はじめに

下に2枚の世界地図を並べてみました。
右の図はメルカトル図法といって、学校の教室によく貼ってある見慣れたものです。経度と緯度を直線で表せるので、太陽の位置で船の進む方向を決めていた時代に、船乗りが使っていました。
メルカトル図法を見て、ロシアやカナダってバカでかいなぁ、日本って小さいなぁ、と子ども心に思った方も多いでしょう。でもこれは、本当の地球の姿とは程遠いのです。
丸い地球の表面を、みかんの皮のように平たくむいたのがメルカトル図法なのです。引き伸ばされたみかんの皮を見ても、みかんの姿はわかりません。
左の図は正距方位図法といいます。「中心からの距離と方位が正しい」という意味で、宇宙から地球を見た姿に一番近い地図です。地球の反対側はうまく表せませんが、一つの大陸を観察する場合には、この図法が一番正確なのです。
これを見ると、ロシアとカナダが北極を挟んだ隣国であることがはじめてわかるでしょう。中国やインドがかなりの大国であること、ロシアは北極海以外に海への出口がほとんどないことがわかります。

地政学は、地理的条件から国家の行動を説明します。

「国家の行動原理は生き残りである」
「隣国同士は対立する」
「敵の敵は味方」

など基本原理はシンプルですが、大国の指導者が世界地図を見ながら考えていることを追体験できる、エキサイティングな学問です。

どうぞ、お楽しみください!

茂木 誠

メルカトル図法で描かれた世界地図

「メルカトル図法」では、北極や南極に近くなるほど、大きく表現されてしまいます。

正距方位図法で描かれた世界地図

この本では、基本的に「正距方位図法」を用いて世界各国の関係を読み解いていきます!

茂木誠 (監修), 武楽清 (その他), サイドランチ (その他)
出版社 : 池田書店 (2016/12/26) 、出典:出版社HP

目次

はじめに
プロローグ
付録「今がわかる世界地図」の見方

第1章 地政学のダイナミズムがわかる 3つの国から見た世界
海洋国家アメリカは孤立した島だった?
アメリカから見た世界地図
アメリカを「島」として見てみよう
勇敢な開拓民・アメリカ人
海を制するものが世界を制す
地政学から見た日米戦争
第二次世界大戦後の世界を予知した男
現代アメリカを地政学で見る

★《世界の今がわかる! 地政学講座》トランプは地政学的思考の持ち主だった

イギリスがオフショアから望む景色
イギリスから見た世界地図
島国イギリスの地政学的な優位性
ヨーロッパは半島である
ハートランド理論とロシアの封じ込め
地政学的に見るイギリスとEU

分裂・分割を乗り越えて台頭するドイツ
ドイツから見た世界地図
ドイツ地政学を支えた2つの思想
ヒトラーに影響を与えた地政学者
世界を4つに分けるパン・リージョン理論
EUを支配するドイツの実力

★《世界の今がわかる! 地政学講座》EUがギリシアを見捨てられない理由

第2章 強硬外交の理由がわかる 日本の近隣4国から見た世界
陸と海に攻められる中国の地政学的宿命
中国から見た世界地図
地政学的強みをいくつも持つ巨人、中国
万里の長城は対ランドパワーの防壁
中華思想と朱子学が近代化の足かせに
共産党政権成立 現代の対立構造へ
ランドパワーからシーパワーへの転身

★《世界の今がわかる!地政学講座》中国が尖閣諸島を自国領土だと主張している理由は?

強国に挟まれる朝鮮の受難と策略
韓国・北朝鮮から見た世界地図
大陸からの侵攻・支配を受け続けてきた
日本の支配と朝鮮半島
北緯38度線の地政学
現代中国と朝鮮半島の関係
どうなる? 今後の朝鮮半島

封じ込められ続ける大国ロシア
ロシアから見た世界地図
最強最大のランドパワー国家
ロシアが持つ3つの顔
グレートゲーム=敵対するロシアとイギリス
「勝者枠」を得たソ連と北方領土
なぜウクライナで紛争が起こるのか?

第3章 国の歴史と思想を知る さまざまな国から見た世界
シーパワーとランドパワー、二面性を持つフランス
フランスから見た世界地図
シーパワー&ランドパワー大国だったフランス

半島の付け根であるために2度滅びたポーランド
ポーランドから見た世界地図
半島の付け根に位置する悲劇

かつてのランドパワー大国トルコは親日国家
トルコから見た世界地図
地政学的にも歴史的にも親日の国トルコ
文明の交差点を占めるトルコ

★《世界の今がわかる! 地政学講座》ISが誕生しシリアに拡大した理由は?

迫害を逃れて建国したイスラエル!
イスラエルから見た世界地図
イスラエルの存在とパレスチナ問題
地政学的問題が山積みのイスラエル

イランとの対立が激しいサウジアラビア
サウジアラビアから見た世界地図
イスラム教の総本山はアメリカ寄りだった
産油国ならではの地政学的事情

★《世界の今がわかる! 地政学講座》中東が常に戦争状態にある理由は?

日米に接近するアジアの大国、インド
インドから見た世界地図
ヒマラヤ山脈が印パ対立を生んだ

地政学的リスクがもたらしたベトナムの苦難
ベトナムから見た世界地図
史上最強の「半島国家」

★《世界の今がわかる! 地政学講座》「暴言」から読み解くフィリピンの地政学

ブラジルから見た世界地図
パナマ運河の価値を高めるアンデス山脈

第4章 歴史と未来を考える 日本から見た世界
陸海の脅威に揺れる自然に守られた島国
日本から見た世界地図
地政学的な視点から見た日本の優位性とは?
日本には神風が吹いている?
シーパワー薩摩藩とランドパワー長州藩の対立
地政学の影響を受けた日本軍人
ダイヤモンド構想は対中包囲網
地政学が日本の未来を救う?
★《世界の今がわかる! 地政学講座》自国第一主義化するアメリカと日本はどう付き合うべきか?

索引

登場人物紹介


歴史がちょっと苦手な商社マン
松岡健一郎
商社に勤めているが、歴史や社会科が不得意で、未来と一緒に地政学を学んでいく。海外出張で世界の国を訪れた経験を持つ。


世界史好きな女子高校生
松岡未来
健一郎の妹。歴史好きで、学校の勉強だけではもの足りず家庭教師を頼むほど。坂本先生の影響で地政学にも興味を持ち始める。

先生
未来の家庭教師
坂本響子
未来の世界史の家庭教師。昔、地政学を学んでいたことから、2人に地政学の面白さを伝えていくことに。歴史と地理、世界各国の政治をズバっと教えてくれる。

付録

巻末に付いている「今がわかる世界地図」は、パッと見て世界の国がどんな関係なのかがわかる地図です。切り離して大きく開いて世界を俯瞰してみてください。

世界国々の関係性がわかる地図
世界中の国がどんな関係で、どんな自然環境を持っているのかがわかる地図です。気になった国や項目は、該当ページを読んでみてください。

各地域の関係性がわかる地図
アメリカ周辺、ヨーロッパ、中東、アジアの4つの地域における各国の関係性がわかる地図です。それぞれの地図の読み解くポイントもぜひ参考にしてみてください。

表と裏でさまざまな国の今がわかります!

茂木誠 (監修), 武楽清 (その他), サイドランチ (その他)
出版社 : 池田書店 (2016/12/26) 、出典:出版社HP

ビジネス教養 地政学 (サクッとわかるビジネス教養)

世界情勢を理解する視点を身につける

インターネットが普及した現在、世界はどんどん小さくなっています。この時代に教養として重要度を増しているのが、地球全体をマクロな視点で捉え、世界各国の動向を分析する地政学です。世界的な動きを正確に把握するには、地政学的な視点が絶対に必要なのです。本書は、世界情勢を理解する視点を身につけるための地政学について解説しています。

奥山 真司 (監修)
出版社 : 新星出版社 (2020/6/13) 、出典:出版社HP

はじめに introduction

国際政治が「劇」なら、地政学は「舞台装置」
国家の裏側にある思惑をひも解くスキル

現在では、インターネットを通じて海外のニュースに触れる機会も増え、ひと昔前にははるか遠い存在だった“国際情勢”というものがずいぶん身近になりました。世界はどんどん小さくなり、グローバル化が進んだ現在、教養として重要度を増しているのが、地球全体をマクロな視点でとらえ、世界各国の動向を分析する地政学です。

では、地政学とは何なのでしょう。研究者によってさまざまな答えがあると思いますが、私は「国際政治を冷酷に見る視点やアプローチ」と考えています。多くの日本人が思うよりも、国際政治での国家のふるまいは冷酷で残虐です。ここでいう“冷酷”とはどういうことか、詳しいことは、本編を読んでいただければおわかりになるはずです。

2020年現在、新型コロナウイルスの受延により世界中で未曾有の大混乱が起こっています。この混乱の背後で、アメリカと中国は世界の覇権をめぐって“新冷戦”ともいえる頂上決戦を行っているのにお気づきでしょうか?この決戦は、世界の将来を左右するものですから、海外で活躍するビジネスマンなどは当然として、ほとんどすべての人に影響を与えるでしょう。こうした世界的な動きを正確に把握するには、地政学的な視点が絶対に必要なのです。

例えるなら、国際政治を「劇」とすれば、地政学は「舞台装置」です。「劇」の裏側で、そのシステム全体の構造を決めているのは「舞台装置」ですから、国際政治の表面的な部分だけでなく、その裏にある各国の思惑を理解するには、地政学の考え方を身につける必要があるのです。

本書を通じ、今後ますます混乱する世界情勢を理解する視点を身につけていただければと思います。

奥山真司

奥山 真司 (監修)
出版社 : 新星出版社 (2020/6/13) 、出典:出版社HP

サクッとわかるビジネス教養 地政学 CONTENTS

はじめに
地政学とは…地理的に衝突が頻発する3大エリアをめぐる“国のふるまい”の研究
地政学を戦略に活用すれば“道”や“要所”をおさえてエリアを一気に支配できる
地政学を知ると見えてくる世界の姿
Column 01 昔のセオリーがドイツやイギリス、アメリカで体系化されてきた! 地政学の歴史

Chapter 1 地政学のルールを理解せよ! 基本的な6つの概念
基本的な概念1 地政学を駆使すれば世界を「コントロール」できる?
基本的な概念2 他国をコントロールする戦略「バランス・オブ・パワー」は、要するに猿山理論
基本的な概念3 「チョーク・ポイント」をおさえて国家の命綱である「ルート」を支配する
基本的な概念4 国際的な紛争に見え隠れする「ランドパワー」と「シーパワー」の正体
基本的な概念5 大きな紛争は「ハートランド」のランドパワーと「リムランド」のシーパワーの衝突
基本本的な概念6 国同士の衝突の火種に!? コントロールに必須の「拠点」の重要性
Column 02 その他の地政学の基礎概念「ビジュアライゼーション」と「大戦略」

Chapter 2 関係国とのリアルな情勢を知る 日本の地政学
地政学で考える日本の特徴
Question 01 結局のところなんで北方領土はロシアから返還されない?
Question 02 アメリカにとって沖縄米軍基地は完壁な拠点って本当?
Question 03 “世界の警察”たる米海軍の要!?米海軍横須賀基地の“世界一の設備”とは?
Question 04 対馬列島、尖閣諸島…衝突の根底にある“近海の争い”って何!?
Question 05 抑止力はわかるけど…それ以外、米軍って日本にどんな意味がある?
Question 06 今の段階では北挑戦のミサイルを恐れる必要はない?
Column 03 地政学戦略に深く関わる!「島国」や「半島」「内陸国」など国土のカタチの特性

Chapter 3 世界を動かす大国の戦略が見える アメリカ・ロシア・中国の地政学
地政学で考えるアメリカの特徴
Question 01 三大戦略地域Ⅰ アジア 中国の成長に対するアメリカの思惑は?
Question 02 三大戦略地域Ⅱ 中東 アメリカと中東諸国の関係って今どうなってるの?
Question 03 三大戦略地域Ⅲ ヨーロッパ 重要なボイントはボーランドと中東のトルコ?
Question 04 トランプ大統領の思い描くアメリカの未来とは?
地政学で考えるロシアの特徴
Question 05 ウクライナともめたけどロシアのクリミア併合にはどんな意味がある?
Question 06 P36にも登場したけど「北極海ルート」はロシアと日本にどんな影響が?
Question 07 ロシアの動きに大きく関わる「黒海・北極海ルート」以外の4ルートの現状は?
Question 08 プーチン大統領はロシアの将来的な戦略をどう考えている?
地政学で考える中国の特徴
Question 09 なぜ今になって中国は海洋進出を始めたの?
Question 10 明以来、2度目! 海に出る中国のいかにも“陸の国”らしい海洋進出アプローチとは?
Question 11 現代版シルクロードといわれる「一帯一路」とは“いったい”どんな構想なの?
Question 12 インドや東南アジアが反発!? 中国は水をめぐって周辺国と対立しているって本当?
Question 13 世界情勢を大きく変える! 新型コロナウイルス後の世界は中国がさらに台頭?
Question 14 習近平国家主席の思い描く中国の未来とは?
Column 04 広大な領域を支配! 地政学でよく登場する歴史上の大国

Chapter 4 さまざまな思惑が複雑に絡み合う アジア・中東・ヨーロッパの地政学
地政学で考えるアジアの特徴
Question 01 中国の裏で実は急成長。台頭するインドと中国の対立について教えて!
Question 02 東南アジアのベトナム・ラオス・カンボジア・タイと米中の関係って?
Question 03 小さな都市国家なのにシンガボールが発展したのは地政学的な優位性のおかげ?
地政学で考える中東の特徴
Question 04 ISは崩壊したのに混乱の増すシリア内戦…なぜこんなに衝突が続く?
Question 05 最近、さらに関係が悪化。そもそもイランとアメリカはどうして対立するの?
Question 06 意外と国土の広い中東の大国サウジアラビアとトルコは米露とどんな関係?
Question 07 イスラエル? パレスチナ? エルサレム? 宗教も絡んでよくわからない問題を歴史から整理して!
地政学で考えるヨーロッパの特徴
Question 08 EU離脱も地政学的にはイギリスの伝統的な戦略って本当?
Question 09 地政学的に不利なはずなのに現在、ドイツが優勢なのはEUのおかげ?
Question 10 自由・平等・博愛の国なのにフランスではなんであんなにテロが多いの?
Question 11 「ユーロ危機」の原因になったギリシャを救ったのは地政学的な優位性?
これまでの秩序が一新され、新しい世界になる可能性を秘めた米中による新冷戦のカタチとは
おわりに

STAFF
デザイン 鈴木大種、仲條世菜(ソウルデザイン)
イラスト 前田はんきち
DTP 高八重子
企画 千葉慶博(KWC)
編集 田山康一郎(KWC)、阿部雅美
編集協力 藤田健児

奥山 真司 (監修)
出版社 : 新星出版社 (2020/6/13) 、出典:出版社HP

新しい地政学

現代の新しい地政学を学ぶ

国際関係には常に地政学的要素があります。21世紀の地政学はグローバリゼーション以後の地政学であり、国境を楽々と突き破る技術革新ののちに生まれた地政学です。本書は、様々な角度から、現代の地政学の再台頭と言われるものの諸側面を浮かび上がらせていきます。

北岡 伸一 (編集) , 細谷 雄一 (編集)
出版社 : 東洋経済新報社 (2020/2/28) 、出典:出版社HP

新しい地政学―目次

序章 古い地政学と新しい地政学 北岡伸一
【1】地政学の復興への道
【2】軍事力、経済力、規範
【3】地政学と地理
【4】地政学と歴史
【5】国内格差とアイデンティティ
【6】暫定的な処方箋

第Ⅰ部 理論的に考える

第1章 新しい地政学の時代へ―冷戦後における国際秩序の転換 細谷雄一
【1】蘇る地政学
「鉄のカーテン」なき後/古典的地政学から新しい地政学へ
【2】古典的な地政学の時代―大陸と海洋
地政学とは何か/大陸国家と海洋国家/戦後アメリカにおける地政学的思考
【3】冷戦後のリベラルな国際秩序―「ジャングルの掟」から「法の支配」へ
「新世界秩序」の夢/リベラリズムの限界
【4】新しい地政学の時代へ―「法の支配」から「ジャングルの掟」へ
国家の復権/「歴史」の復権
【5】新しい世界秩序の構図と日本
新しい地政学的な思考/中国台頭の影響/「インド太平洋」という地政学的空間/地政学の「第五次元」
【6】世界はこれからどうなるのか

第2章 武器としての経済力とその限界―経済と地政学 田所昌幸
【1】押し寄せるグローバリゼーションの波
冷戦後のグローバル経済
【2】経済と国カのジレンマ
経済の戦略的意義/経済とパワー/独立≠鎖国
【3】ジレンマから解放された戦後の自由主義陣営
経済の脱政治化/冷戦戦略としての経済自由化
【4】リベラルの自信過剰と自信喪失
アメリカ一強の時代/リベラリズムの後退
【5】中国による経済力の行使
レアアース規制/中国は独自の援助の動き/アメリカを排した多国間制度/中国に依存し始める国々/意識させずに浸透する
【6】武器としての経済の限界
経済は万能ではない/制裁の反作用も/政治的影響は持続可能か
【7】日本の経済的安全保障のために
経済力と安全保障/援助外交のあり方/長期的経済関係の構築

第3章 国際紛争の全体図と性格―紛争解決と地政学 篠田英朗
【1】現代世界の紛争の全体図
地政学の視点とは/武力紛争の増加/安定した地域、しない地域/サヘル地帯/南アジアの紛争
【2】地政学から見た紛争多発ベルト地帯の性格
マッキンダーの「ハートランド」/アフガニスタン侵攻の余波/長期化・複雑化する紛争/東アフリカ周辺国の状況/スーダンの位置づけ/中央アフリカでの軍事介入/テロ組織の活発化
【3】ハートランドのロシアとリムランドの帰趨
大国と紛争地帯①ロシア/大国と紛争地帯②アメリカ
【4】一帯一路とインド太平洋
地政学上の両生類?/超大国中国の影響
【5】紛争解決の活動と仕組み
PKO派遣地域の偏り/西側諸国による平和活動/地域機構と国連/平和活動の真空地帯/パートナーシップPKOの時代/地政学に基づく安全保障空間

第Ⅱ部 規範・制度で考える

第4章 人権の普遍性とその濫用の危険性―人権概念の発展と地政学 熊谷奈緒子
【1】ヨーロッパ近代から現代へ―人権概念の誕生と発展
人権と主権国家の関係/人権の考え方の歴史/自然権の登場と国家間関係への影響/戦争における人権/世界人権宣言―国際的価値としての人権の確立
【2】冷戦下の地政学と人権
集団的安全保障体制と米ソ冷戦対立/冷戦対立における人権/自決権と植民地独立/自決権と天然資源への主権/人権の東西共通理解から冷戦終結へ
【3】冷戦後の地政学と人権
人権の普遍性の国際的確認/民族紛争と人道的介入/民族紛争における文民保護/紛争下の戦略としての女性と子どもへの暴力/内戦後の人権保障―国家再建における選挙と移行期正義/民族主義と国際秩序/テロリズムと市民的自由
【4】人権の普遍性への挑戦、道義としての人権とその濫用
相対主義、人権の否定/歴史的不正行為の現代的是正―道徳としての人権/奴隷制・植民地支配への謝罪問題/戦後補償問題としての日韓慰安婦問題―過度の人権言説/人権規範の趣勢

第5章 国際協力という可能性―グローバル・ガバナンスと地政学 詫摩佳代
【1】地政学と保健ガバナンス―歴史的な視点から
国際協力とパワーバランス/高まる保健協力のインセンティブ/植民地統治が生み出した保健協力/第一次世界大戦中のマラリアとインフルエンザ/国際連盟保健機関の設立/政治対立を超えた協力とその限界
【2】戦後の保健協力
戦後国際秩序の構築と保健協力/地政学的考慮のぶつかり合い/アメリカの冷戦戦略とマラリア根絶事業/ソ連の対抗策としての天然痘根絶事業/冷戦を超えた協力/ポリオをめぐる米ソの協力
【3】アメリカと国際保健協力
多様なチャンネルを通じた関与/関与のインセンティブ―PEPFARを通じた考察
【4】中国と保健協力
外交ツールとしての保健協力/一帯一路構想と保健協力/中国の潜在力の行方
【5】国際保健協力の行方
国際協調主義の衰退?/アメリカが国際保健協力にとどまる理由/強まる独自路線
【6】保健協力は国際協調の砦となりうるのか?

第Ⅲ部 地域で考える

第6章 プーチンのグランド・ストラテジーと「狭間の政治学」―ロシアと地政学 廣瀬陽子
【1】ロシアにとって不可欠な地政学
【2】ドゥーギンの地政学
ロシアの外交志向/ドゥーギンの地政学の議論/生き残るためのフィンランド化/ドゥーギンの具体的な構想
【3】プーチンのグランド・ストラテジーと「狭間の政治学」
グランド・ストラテジー/「狭間の政治学」/ロシアの地政学的思考の果実―クリミア併合/ロシアにおけるクリミアの意味/「クリミア共和国」の独立宣言/ロシアの主張/ロシアの地政学的リベンジ
【4】ロシアが目指す今後の地政学的戦略
ロシアの地政学的外交の現実/「ハイブリッド戦争」/新しくて古い手法/NATOへの危機感/ユーラシア連合と一帯一路/親露国を増やす試み/ロシアが目指す今後の地政学的戦略

第7章 「アフリカの角」と地政学 遠藤貢
【1】「アフリカの角」地域をめぐる地政学
【2】「アフリカの角」地域
「アフリカの角」概念/「アフリカの角」の政治力学の基層
【3】「アフリカの角」の歴史的背景
ソマリ民族の動態/「覇権国」エチオピアとその国際関係
【4】冷戦後の「アフリカの角」の重要性の変遷
エチオピアの不安定化への対応/エチオピア・エリトリア戦争とその余波/「テロとの戦い」、ソマリア沖海賊問題、そして「一帯一路」へ
【5】「アフリカの角」をめぐる今日的対立/協調図式―流動化する中東との接近
「アフリカの角」をめぐる図式/イランからサウジアラビアへ/ソマリアへのトルコ進出―連邦制への関与、大使館、軍事訓練基地建設/港湾開発への関与と中東国際関係の波及/「大エチオピア・ルネッサンス・ダム」建設とエジプトをめぐる動態
【6】「アフリカの角」地域の再編と不安定化

第8章 「非国家主体」の台頭と「地域大国」―中東と地政学 池内恵
【1】地政学が作った中東
マハンの「中東」/伸縮する「中東」/「中東人」「中東国」「中東政府」は存在しない
【2】なぜ中東は地政学的に重要なのか
相対的に重要視されてきた中東/豊富な資源による重要性/宗教的価値観が与える影響
【3】中東地政学の変容
中東を二分した「アラブの春」/各国の台頭と大国の思惑

終章 中曽根康弘の地政学―1950年の世界一周旅行 北岡伸一
【1】政治家になるまで
生い立ちと教育/内務省と海軍/敗戦から政治家へ/他の内務省官僚との比較/蘇峰との出会い/1950年の世界
【2】講和から吉田退陣まで
講和問題とマッカーサー/安保条約への反対/防衛問題と天皇退位問題/南原繁の天皇退位論/米ソ中を見る/鳩山内閣の外交
【3】中曽根憲法改正論の展開
三度、南原繁と中曽根康弘/国民主権と天皇の地位
【4】岸内閣から池田内閣へ
岸内閣の成立/安保改定と中曽根/安保改定ののち
【5】おわりに―湾岸戦争から世界平和憲法草案へ

あとがき
新しい地政学における国際秩序を考える研究会
編者・執筆者紹介と執筆担当章

北岡 伸一 (編集) , 細谷 雄一 (編集)
出版社 : 東洋経済新報社 (2020/2/28) 、出典:出版社HP