【書き方をしっかり学ぼう】レポート・論文おすすめ本

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レポート・論文を書くためのスキルを学ぼう

これから大学生でレポートや論文作成のためにフォーマットやルールを知ることは大切です。大学生活において、どの学部に所属しても書く機会というのは現れます。今回は、まずは第一歩目としてレポート/論文をどう書くか認識することからスタートできる書籍を紹介します。

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出典:出版社HP

ゼロからわかる 大学生のためのレポート・論文の書き方

評価されるレポートが書けるようになる

レポートや論文の書き方とコツが基本から丁寧に解説されており、とても読みやすくて分かりやすいです。テーマの決め方や資料の探し方、構成の基本構造や論理的な文章の書き方など、大学の授業では教わらないノウハウがわかるので、大学生必携の1冊です。

石井 一成 (著)
出版社 : ナツメ社 (2011/4/12)、出典:出版社HP

※本電子書籍は、2011年5月にナツメ社より印刷・発行された「ゼロからわかる大学生のためのレポート・論文の書き方」を、一部修正の上、電子書籍化したものです。よって、記載される内容は当時の情報になります。※本電子書籍の内容は、印刷・発行された出版物とは、一部異なる場合があります。また、電子書籍としては不要な情報が含まれる場合もあります。※本電子書籍の全部または一部を無断で複製(コピー)・転載・改ざん・公衆送信すること、および有償無償に関わらず、本データを第三者へ譲渡することを禁じます。※個人利用の目的以外での複製等の違法行為、もしくは第三者へ譲渡しますと、著作権法、その他関連法によって処罰されます。

はじめに

レポート・論文作成の悩みを解消するために
この本を手に取った皆さんは、次のような疑問や不安を持っていませんか?

●レポートの課題が出たけど、どこから手をつけたらいいの?
●レポートや卒業論文のテーマが思いつかない
●長い文章を、構成を考えて書くのが苦手
●日本語表記のルールがよくわからない
●卒業論文がきちんと書けるか、自信がない

もし、ひとつでも当てはまるものがあれば、ぜひこの本を開いてみてください。大学の授業で課されるさまざまなタイプのレポートや論文を想定して、「レポートって何?どうやって書くの?」「テーマはどうやって決めるの?」「何から始めて、どう進めていくの?」などの疑問に答えられるように、実例を交えながら解説しています。この本は、長い間、大学生のレポート作成や予備校生の小論文作成を指導してきた、その経験をベースに書きました。ですから、「レポートを書くのははじめて」という大学1年生から、卒業論文作成を控えた大学3~4年生まで、きっと参考になると思います。
なお、本書は、大学・大学院の入学試験や就職試験の「小論文」には対応していません。また、卒業論文に求められる厳密な統計処理や調査方法については、それぞれの専攻分野に適した解説書を読んでいただくことをおすすめします。
最後に、本書を執筆する機会をくださったナツメ出版企画の齋藤友里さん、原稿についてしんぼう強くご指導をいただいた文研ユニオンの市原一幸さん、皆川喜美子さん、そしてさまざまなアドバイスをいただいた東京海洋大学の大島弥生先生をはじめ、日本語表現法担当教員の皆さんに、厚くお礼を申し上げます。

石井一成

石井 一成 (著)
出版社 : ナツメ社 (2011/4/12)、出典:出版社HP

Contents

論文作成は「自分磨き」の第1歩!
レポート・論文ってどんなもの?
レポート・論文には10のステップがある
この本に出てくる論文を説明する用語

第1章 レポート・論文ってどんな文章?
1「レポート・論文」と「作文」はこう違う!
自分の意見を客観的に説明するのが「論文」
論文には「問題提起」「主張」「根拠の説明」がある
論文には「信頼できるデータ」をつける
2レポート・論文のさまざまなタイプ
レポートや論文にはさまざまなタイプがある
「報告型」と「論証型」の違いとは?
レポート・論文の共通点は「評価される」こと
3レポート・論文の5つの構成要素と基本レイアウト
書誌情報・序論・本論・結論・参考文献一覧が構成要素
4レポート・論文の作成には4つのメリットがある
文章を書くことで多くの力が身につく
レポートや論文は単位取得の必須条件

第2章 まずは1週間でレポートを書いてみよう!
1「レポート」とは何かを理解しよう
課題によって求められる内容は違う
2ブックレポートはこのように書く。
要約には2つの方法がある
意見・感想・批評の違いを正確に理解しよう
ブックレポート完成までの4つのステップ
Step1課題の趣旨・作成条件などを確認する
Step2指定の文献をざっと見渡して書く内容を探す
Step3書く内容を検討しながらじっくりと読む
Step4要約および自分の意見・感想を文章にする
3学習レポートはこのように書く
重要な事柄についてまとめる「学習レポート」
「学習レポート」の4つの出題パターン
報告型学習レポート完成までの4つのステップ
Step1課題の趣旨・作成条件などを確認する
Step2背景・基礎知識を得るために基本資料を入手する
Step3報告内容を選び、アウトラインを作る
Step4アウトラインを文章化する
4レポートを作成するときに注意すること
レポートの評価を下げる行為を理解しておこう
レポートの評価を上げるポイントとは
第2章のまとめ

第3章 論文を書くための10のステップ
論文作成の10のステップ
Step1課題の趣旨や作成条件を理解し、スケジュールを作る
教員の「出題意図」や「課題の趣旨」を理解する
「作成条件」や「評価基準」を確認する
論文提出までのスケジュール表を作る
Step2基本資料を入手して、テーマに関する基礎知識を得る
テーマ候補となるキーワードを探す
自分に合った基本資料を集める
集めた基本資料に目を通す
Step3「見取り図資料」を作って、情報を整理する
自分の問題意識を表す「思考マップ」を作る
「問いと答えのリスト」を作る
「情報カード」にアイディアやデータを書き込む
Step4「目標規定文」を作って、論証方法を考える
自分の主張を文章にした「目標規定文」を作る
説得力のある論証方法を考える
Step5論証方法に合ったデータを集め、見せ方を考える
データの見せ方を工夫して説得力を高める
データに見出しや説明を加える
Step6「目標規定文」を「項目アウトライン」に発展させる
論文の設計図となる「項目アウトライン」を作る
序論・本論・結論の展開を考える。
Step7「項目アウトライン」を「文アウトライン」に発展させる
「文アウトライン」で各章の骨組みを具体的にする
「文アウトライン」を修正したら目標規定文も修正する
Step8「文アウトライン」を「完成版アウトライン」にする
「完成版アウトライン」で各章の内容を決定する
Step9「完成版アウトライン」を文章にする
まず「本論」から書き始めよう
「パラグラフ形式」でわかりやすい文章に
Step10最終チェックをして、完成原稿に仕上げる
提出前の最終確認を忘れずに!
10のステップはこのように進める!
【コラム]レポート作成がうまく進まないときは

第4章 課題が出てから1~2週間にすべきこと
1評価される「テーマ」を設定するには
「テーマ」とは「意義のある問い」を提示したもの
こんなテーマは評価が低くなる!
問題意識を高めることから始めよう
2基本資料は2とおりの読み方をする
検索ツールを活用して基本資料を集める
2つの視点を使い分けて基本資料を読む
3「思考マップ」はこのような手順で作成する
自分のアイディアを思いつくままに書いてみる
「思考マップ」完成までの発想方法とは?
第4章のまとめ

第5章 課題が出てから2~3週間にすべきこと
1見取り図資料をもとに「目標規定文」を作る
目標規定文には3つの要素がある
目標規定文の作成手順
2「先行研究」と自分のテーマの関係を確認する
「先行研究」を参照する意味とは?
論証に必要な「先行研究」は整理しておく。
3論証に必要なデータは何かを考える
説得力のある主張に必要なデータを見きわめる
データの種類を知って、必要なものを集めよう
4論証には典型的なパターンがある
基本の「論証パターン」を知っておこう
自分なりの論証パターンを考える。
5本論の展開を考え、「項目アウトライン」を作る
論文は章・節・項から構成される
何を主張するかによって章の立て方を変える
序論・本論・結論と目標規定文の関係
論文の「表題」のつけ方の基本
第5章のまとめ

第6章 論文完成までの最終段階ですべきこと
1「文アウトライン」を作り、内容をさらに具体的にする
章立てや章の詳しい内容を決める
データの位置や疑問点を書き込む
2章立てを最終決定した「完成版アウトライン」を作る
調査や考察を終えてアウトラインを完成する
データや参考文献一覧を最終チェックする
3アウトラインを「パラグラフ形式」の文章にする
1つのパラグラフでは1つの話題をとりあげる
「中心文」と「データ」をパラグラフ化する
4論文にふさわしい文章にするには
正確でわかりやすい文章を書く
客観性のある文章にする
説明の基本となる「PREP法」
5論文清書前のチェックポイント
論文の下書きができたら必ず見直しをしよう
内容に関するCheck Point
構成やレイアウトに関するCheck Point
文章に関するCheck Point
6論文提出前の最終チェックポイント
論文を清書したら、最終チェックをしよう
合格基準やマナーに関するCheck Point
参考文献一覧に関するCheck
Point完成したレポートの見本
第6章のまとめ
【コラム】「あいまいな表現」には要注意!

第7章 知っておきたい表記や引用のルール
1日本語表記上のルール
日本語表記に気を配れば、論文の信頼度が高まる
2先行研究などの引用の基本
引用のルールを守らないと評価が低くなる!
「引用表現」で著者名や書名を明確にする
3参考文献一覧の作り方
参考文献一覧を論文の最後に添付する
4自分の意見を効果的に主張する引用方法
自分の立場によって引用のしかたは変わる!
第7章のまとめ
【コラム】数値データの説得力

第8章 卒業論文作成に向けて
1卒業論文の準備は早めにスタートしよう
卒業論文作成には手間と時間がかかる!
提出までのスケジュールをしっかり管理しよう
2卒業論文の体裁や章構成で注意すること
卒業論文の書式や体裁はガイドラインにしたがう
人文社会系の卒業論文では親密な論証が必要
3論証による説得とは何か理解しておこう
論証ではこのようなことばが使われる!
論証では「命題」と「推論」を重ねて主張を導く
「分析」にはさまざまな方法がある
4卒業論文の論証・考察方法①仮説検証型アプローチ
論証を通じて仮説の正しさを強調する「仮説検証型」
研究対象の量的な側面に注目する「定量的研究」
5卒業論文の論証・考察方法②解説・整理型アプローチ
研究対象の情報を整理して解説する「解説・整理型」
研究対象の質的な側面に注目する「定性的研究」
6「1次データ」と「2次データ」を区別する
論文作成者自身が集める「1次データ」
他者が集め、一般に公開されている「2次データ」
「1次データ」と「2次データ」の使い分け
予測される「反証」に反論できるようにする。
7卒業論文の準備と提出後の審査
卒業論文には入念な準備が必要
卒業論文提出後には「口頭試問」がある。
第8章のまとめ
〈参考資料〉

石井 一成 (著)
出版社 : ナツメ社 (2011/4/12)、出典:出版社HP

論文作成は「自分磨き」の第1歩!

グローバル化や少子高齢化が進むなかで、現代の日本は難しい時代を迎えています。大学卒業後の就職についても、この数年は厳しい状況が続いています。というと、ここまで読んだ皆さんは、「レポートや卒業論文の本なのに、なんで就職の話なの?」と思うかもしれませんね。
しかし、論文を書くことと就職は、じつはつながっているのです。就職試験時に書くエントリーシートは、「私」についての小論文です。苦労して就職したら、営業から企画、開発に至るまで、さまざまな業務に携わることになりますが、どの業務であれ、問題点は何かを特定し、重要事項を的確に伝えるという過程を含む文書の作成能力は、必要なスキルの1つです。

大学生時代の、価値あるテーマを深く掘り下げ、解決策を探るという作業は、思考能力を高めてくれます。論文作成は、将来の職業生活に備えた「自分磨き」の一環といってもいいでしょう。「論文を書く」という作業を、自己成長の機会ととらえ、「思考技術」を磨き、”できる”社会人になるための知的トレーニングと位置づけてほしいのです。

本書では、この「自分磨き」の第1歩である、レポートや論文の作成方法について、段階を追って具体的に解説します。それぞれの学問分野において専門知識を身につけたうえで、本書が、レポートや卒業論文を自力で書くための手助けになれば幸いです。
それでは、次ページから、論文作成に対する皆さんの不安や悩みを解決するにはどこを見ればよいか、この本の構成についてご案内します。
*本書では、とくに断りがない場合、大学生が課題として取り組むレポート類から卒業論文までをまとめて、「論文」という用語で表します。

レポート・論文ってどんなもの?

レポートや論文を書く前に、課題の種類や内容など、基本的なことを知っておきましょう。

Question(1)レポートや論文は、作文とどこが違うの?
高校までの作文は、経験した出来事や感想について書く、主観的な文章です。一方、大学のレポートや論文は、客観的な根拠をあげながら、事実や理論に基づいて読み手を論理的に説得する文章です。
【第1章18ページ参照】

Question(2)大学では、どんなレポートの課題が出されるの?
よく出されるのは「ブックレポート」「学習レポート」「観察・実験・実習の報告書」などです。授業中に書く短い課題もありますが、一般的には数日~数週間かけて書くものです。
【第1章23ページ・第2章34ページ参照】

Question(3)「ブックレポート」は、何を書くの?
「読書レポート」とも呼ばれ、文献を読んで、著者の主張や書かれている内容を要約します。それに加えて、感想や意見が求められる場合もあります。通常は、読む本や論文が指定されます。
【第2章36ページ参照】

Question(4)「学習レポート」は何を書くの?
「報告型」の学習レポートは、授業でとりあげた重要な事柄について、その概要をまとめ、報告します。「論証型」は、論争になっている事柄を整理し、自分の立場を明確にして意見を述べます。
【第1章24ページ・第2章42ページ参照】

Question(5)課題が出たら、何から始めればいいの?
どの課題でも、まず課題の趣旨や作成条件(提出期限や評価基準など)を確認し、提出までのスケジュールを作ります。出題意図や作成条件に合っていないと評価が低くなるので、要注意です。
【第3章52ページ参照】
Question(6)必要な資料の集め方と読み方は?
まず、どんな資料が必要か、指導教員に質問することです。次に、図書館にある「パスファインダー」「OPAC」などの検索システムを活用して、課題に関連する重要語や参考文献をできるだけ多く集め、2つの視点を使い分けながら、資料を読んでいきます。
【第3章56ページ・第4章94ページ参照】

Question(7)資料から集めた情報の整理方法は?
集めた情報や、ひらめいたアイディアなどを整理する方法には、「思考マップ」「問いと答えのリスト」「情報カード」があります。この本では、この3つを合わせて「見取り図資料」と呼びます。これらの方法をうまく組み合わせて、情報を整理しましょう。
【第3章60ページ・第4章98ページ参照】

Question(8)レポートや論文の構成に決まりはあるの?
一般的なレポートや論文は、「序論」「本論」「結論」の3つの部分で構成されます。それに「書誌情報(タイトルや作成者名など)」と「参考文献一覧」を加えたものが、論文の5つの構成要素です。序論・本論・結論の展開のしかたについては、よく使われるパターンがありますので、前もって知っておくと役に立ちます。
【第1章26ページ・第3章74ページ参照】

Question(9)文章の書き方で気をつけることは?
1つの話題とその説明を1段落にまとめる、「パラグラフ形式」を心がけてください。論文の文章には正確性や客観性が求められますし、さまざまな日本語表記上のルールもあります。文章表現については、一度じっくりと勉強する時間をとるとよいでしょう。
【第3章84ページ・第6章132、134ページ・第7章参照】

Question(10)卒業論文はどのように進めるの?
卒業論文に関しては、進め方や書式に大学独自のルールがあります。また、学問分野によっても研究方法やデータの集め方が違います。この本では、レイアウトや論証・考察方法などについて、一般的な留意事項をとりあげました。
【第8章参照】

レポート・論文には10のステップがある

レポートや論文の作成手順を、大きく10に分けてみました。これを参考に、学問分野に合わせて自分なりのスタイルにアレンジしましょう。
Step①
課題の趣旨や作成条件を理解し、スケジュールを作る
【第3章52ページ参照】
Step②
基本資料を入手して、テーマに関する基礎知識を得る
【第3章56ページ参照】
Step③「見取り図資料」を作って、情報を整理する
【第3章60ページ参照】
Step④
「目標規定文」を作って、論証方法を考える
【第3章66ページ参照】
Step⑤
論証方法に合ったデータを集め、見せ方を考える
【第3章70ページ参照】
Step⑥
「目標規定文」を「項目アウトライン」に発展させる
【第3章72ページ参照】
Step⑦
「項目アウトライン」を「文アウトライン」に発展させる
【第3章76ページ参照】
Step⑧
「文アウトライン」を、「完成版アウトライン」にする
【第3章80ページ参照】
Step⑨
「完成版アウトライン」を文章にする
【第3章84ページ参照】
Step⑩
最終チェックをして、完成原稿に仕上げる
【第3章86ページ参照】

この本に出てくる本論文を説明する用語

この本で論文について説明するときに、よく出てくる用語のうち、基本的なものを簡単にまとめました。本文を読む前に意味をつかんでおきましょう。

表題◆論文のタイトルのこと。仮タイトルは「仮題」という。
テーマ(論点)●論文の問題提起となる、いちばん大きな「問い」。「本稿では、…について論じる」などの文で表現されることが多い。
トピック(話題)◆その分野での論じるべき重要な概念やジャンルを幅広く示す単語。法学分野の「裁判員制度」、環境分野の「地球温暖化」などが例。
キーワード(重要語)◆トピックに関連する重要な単語。「地球温暖化」がトピックなら、「ヒートアイランド現象」「ゲリラ豪雨」などがキーワード。
論証◆何かを証明したり、ある判断の真偽や確からしさを示したりするために、証拠となるデータや理論をあげて主張すること。
データ◆論証の根拠となる事実・数値・資料のこと。もっと具体的には、説明の際に使うグラフ類や文献からの引用などのこと。
見取り図資料◆基本資料を読んで集めた情報や、自分の問題意識を整理したもの。「思考マップ」「問いと答えのリスト」「情報カード」などがある。
思考マップ◆1枚の紙の中心にキーワードを、そのまわりに関心事や疑問点を書き、連想ゲームのように線で結びつけて図にしたもの。
目標規定文◆木下是雄氏が提唱したもので、「何をテーマとし、どのように考察・分析し、どのような結論を導くか」を表した短い文章。
項目アウトライン◆目標規定文を発展させ、論文の骨組みを簡条書きに表したもので、これをもとに章立てを作っていく。
文アウトライン◆項目アウトラインを発展させ、箇条書きの部分を一部文草化したもの。草立てやデータ類の置が、より具体的になっている。
完成版アウトライン◆立てや卓見出し、データの配置などを決定して、完成させたアウトライン。これを文章化して論文にする。
パラグラフ形式◆ある1つの話題とその説明を200字程度の段落にまとめた、1区切りの文章。話題を示す中心文をパラグラフの頭のほうに置く。

第1章 レポート・論文ってどんな文章?

レポート・論文とは、事実や理論に基づいて自分の意見を述べる文章で、「問題提起」「主張」「根拠の説明」「信頼できるデータ」という4つの要素が必要です。また、ブックレポートや学習レポート、学期末レポート、卒業論文など、さまざまなタイプがあります。レポートや論文の基本について、書く前にしっかり理解しておきましょう。
1「レポート・論文」と「作文」はこう違う!
2レポート・論文のさまざまなタイプ
3レポート・論文の5つの構成要素と基本レイアウト
4レポート・論文の作成には4つのメリットがある

1「レポート・論文」と「作文」はこう違う!
自分の意見を客観的に説明するのが「論文」
皆さんは、「論文」と聞くと、どのような文章を思い浮かべますか?同じような意味で、もう1つ、「レポート」ということばもありますね。論文やレポートは、「作文」と何が違うのでしょうか?
じつは、学問の分野や指導者によって、「論文」の定義には大きな違いがあります。そこで、どのような文章を「論文」というのか、この本での考え方を最初に説明しておきましょう。
「作文」は、自分自身の経験したことや感じたことを書く、出来事や感想が中心の文章です。日記やエッセイ、プログなども、作文の一種です。それに対して、「論文」は、事実や理論に基づいて、客観的根拠をあげながら、自分の意見を説明し、読み手を説得する文章です。
「論文」は、作文のように自分の思いを書きつづる文章ではありません。論文には、次にあげる3要素が必要です。それは、1これまでにまだ問われていない疑問点(問い)を示す「問題提起、2それに対する答えとしての明確な「主張」、3主張の正しさ・確からしさを示す「根拠の説明」、の3つです。
論文には「問題提起」「主張」「根拠の説明」がある
それでは、「論文」の定義をしっかりと理解するために、次ページの文章例を比較しながら、いっしょに考えてみましょう。A〜Dの4つの文章がありますが、そのなかで、「論文」といえる文章はどれでしょうか?

石井 一成 (著)
出版社 : ナツメ社 (2011/4/12)、出典:出版社HP

新版 論文の教室 レポートから卒論まで

大学生のバイブル

論理的に文章を書くためのノウハウを、主人公とともに時系列を辿りながら伝授していきます。また、論文の情報を収集するためのインターネットの活用法についても解説されています。よりよい論文を書けるようになるための文章指南書です。

戸田山 和久 (著)
出版社 : NHK出版 (2012/8/28)、出典:出版社HP

本文イラストカズモトトモミ
ポデザイン宮口瑚
校関大河原晶子

目次

はじめに
Ⅰキミは論文って何かを知っているか
第1章 論文の宿題が出ちゃった!
1-1ヘタ夫くん登場!
1-2とりあえずやるべきは辞書に投資することだ
1-3剽窃とは何か?それはなぜサイテーの行為であるのか

第2章 論文には「問いと主張と論証」が必要だ
2-1論文とはどんな文章か
2-2論文を書くときに絶対に忘れてほしくないこと

第3章 論文にはダンドリも必要だ
3-1論文を書くときに、豪快さんはチトまずい
3-2[ダンドリその1]課題の主旨をよく理解しよう
3-3[ダンドリその2]テーマの見取り図になるような資料を探して読む
3-4[ダンドリその3]問題をデッチあげるために基本資料をもう一度読む
3-5[ダンドリその4]問いをきちんと定式化してみる
3-6[ダンドリその5]問題に取り組むための調査を進める
3-7教員とハサミは使いよう

第4章 論文とは「型にはまった」文章である
4-1まずは模倣からアプローチすべし
4-2論文の構成要素は五つ
4–3アブストラクトとは論文の内容を要約したものである
4-4問題提起・主張・論証―本体では三つのことをやるべし
4-5型に従うことの意味

Ⅱ 論文の種を蒔こう
第5章 論文の種としてのアウトライン
5-1論文は構造化された文章である
5–2論文に構造を与えるためにアウトラインがある
5-3アウトラインは成長し変化する
5-4報告型の課題のためのアウトライン
5-5しかし、そもそもアウトラインをどうやって作るのか
5-6カテゴリーの階層構造

第6章 論証のテクニック
6-1論証って何だ?
6-2よい論証とダメ論証の違い
6-3妥当な論証形式の例
6-4ちょっと弱い論証形式の例①(帰納的論証)
6-5ちょっと弱い論証形式の例②(アブダクション・仮説演繹法・アナロジー)
6-6論証形式を論文に応用する方法

Ⅲ 論文を育てる
第7章「パラグラフ・ライティング」という考え方
7-1パラグラフと段落の違い
7-2パラグラフの内部構造
7-3ダメなパラグラフ
7-4パラグラフの分割
7-5アウトラインが成長してパラグラフになって、パラグラフが成長して

第8章 わかりやすい文章を書くために
8-1わかりやすけりゃいいのか?
8-2文章怪奇大事典
8-3語の選び方

第9章 最後の仕上げ
9-1注を付けるとカッコイイ
9-2引用の方法
9-3最高に面倒くさいのは参考文献
9-4内容がイマイチならせめて体裁だけでもキレイにしてね
9-5最後にもう一度だけ読んでよ

ここまでましになったヘタ夫の論文
練習問題の解答
巻末豪華五大付録
A論文提出直前のチェックリスト
B論文完成までのフローチャート
Cここだけのインサイダー情報:論文の評価基準
D「禁句集」―作文ヘタ夫くんの使いがちな表現トップテン+α
Eおすすめの図書など

あとがき
*本書掲載のURLは二〇一四年十一月現在のものです。

戸田山 和久 (著)
出版社 : NHK出版 (2012/8/28)、出典:出版社HP

はじめに

本書の独自性とねらい

世の中には数えきれないほどの「論文の書き方本」がある。そうした類書と本書の最も大きな違いはつぎの点にある。それは、これら無数の類書の中で、この本だけが私によって書かれたということだ。この違いは読者のみなさんにはどうでもいいことかもしれないが、私にとってはとても重要である。なぜなら、売れゆきが私の経済状態にかかわりをもつのは本書だけだから。

というわけで、私はなるべく多くの方々に読んでいただきたいと念じつつ本書を執筆した。もっとストレートに表現するならば、売らんかなの精神で書いた。……さて、本を売るにはどうしたらよいだろう。タイトルを『ハリー・ポッターと魔の論文指導』にして、腰巻きに「ワーナー・ブラザース映画化決定!」と印刷してもらえばよいのではないかという名案も浮かんだ。そうすれば、間違って買う人だけでも相当の数に及ぶのではないか。しかし、この計画はNHK出版の賛同を得ることができなかったので頓挫した。

第二のアイディアはマーケティングの正攻法だ。それは、ターゲットを圧倒的多数派に定めることに尽きる。ところで、圧倒的多数派とはどのような人たちか。それは、「論文が書けない人」だ。大学で教えていると、このことはつくづく実感する。こうして、本書のターゲットは絞られた。
ようするに、本書は、つぎのような人たちのためのものだ。「大学(高校でもいい)に入学したら、授業で論文の宿題が出ちゃった。それも四〇〇字詰めで一〇枚も。ツライナ~。書かないと単位を落としちゃうから、どうしても書かなくちゃ。でも、どうやって書いたらいいのかわからないよ。だって、これまで論文なんて書いたことないし、書き方を教わったこともないんだもん」という人。つまり、文章を書くことがとくに好きではなく、むしろ苦手な学生。つまり、いま本書を手にとっているキミだ。
キミの気持ちはよくわかる。私は大学で教えながら、科学哲学を研究している。「学者の端くれ」と言ってもいい。カッコよく言うと、フィロソファー=「知を愛する者」だ。でも、白状すると、私は論文を書くのが大嫌いだ。他人の本や論文を読んだり、議論をしたり、研究をしたり、人前で発表したりするのは本当に楽しい。この道を選んでよかったと心から思う。こんなふうに、研究することじたいは好きな私だけれども、さてその成果を論文にまとめましょうという段になると、途端に気分が暗くなる。なぜ、石油王やべルリン・フィル首席指揮者の道を選ばなかったのか悔やまれるほどだ。しかし、論文を書かないと学問の世界で生きていけないから、仕方なしに書く。つまり、知を愛しているだけじゃダメだよと言われるので、愛の燃えかすを活字にして暮らしているというわけだ。

とはいうものの、どんなにいやなことでも続けていれば少しは上達するのがふつうの人間だ。私じしん、風呂のカビ落としも、燃えないゴミの分別もだいぶうまくなった。というわけで、論文書きを日常業務の一つとしている不肖ワタクシが、初心者のキミたちに、偉そうに論文作成のノウハウを講釈しちゃおうというのがこの本だ。本書をまじめに読めば、論文が書けなくて立ち往生しているキミはなんとか論文が書けるところまでいく。なんとか書けて「C」の成績をもらえるキミは、もうちょっとましなものを書いて「B」か「A」をゲットできるようになる。……もし、そうならなかったら、評価しているキミのセンセイの頭がそうとういかれている恐れがあるので、そんな学校はすぐにやめてしまった方がいい。

読者のみなさんには本書を最後まで読み通してもらいたい。そのために私は、できるかぎり読みものとしても楽しい本になるように心がけた。これが、本書の第二の独自性と関係する。本書を書くために私は類書を片っ端から買って読んでみた。しかし、最後まで読み通せたものはまったくない。だってさうでせう。ひどくつまらないんですもの。唯一の例外が本書である。本書は私が最後まで読み通すことのできた唯一の「論文の書き方本」である。何度も読み通すことができたばかりか、書き通すことすらできてしまった。……ああ、書棚に戻さないで。これからまじめになるところですから。

本書が扱う「論文」の範囲

本書が対象にしている「論文」というのは、だいたいつぎのようなタイプの文章だ。

(1)大学(高校)の講義で、中間試験や期末試験の代わりに課される、自分でちょっと調べて考えて書いてねというような小論文。これはよく、「レポート」と呼ばれる。私が学生のころは、試験問題を作るのが面倒な教員(ということはほとんどすべての教員)は、「じゃ、単位ほしい人はレポート書いて。書けばOKだから」と言うのがふつうだった。でも、これは昔の大学の話。いまでは、レポートはきちんと採点・評価して、コメントをつけて返しましょう、というのが正しい大学教員のあり方になってきている。ということは、学生もそれなりのものを書かないとヤバクなってきたということだ。お互い、たいへんですなあ。

(2)大学(高校)の演習・セミナーで、一年間のまとめとして、自分の行った調査や研究に基づいて書く、もうちょいハードな小論文。最近は、よせばいいのに、こういう論文を書かせて学年末に学生の論文集を発行するというような授業も流行している。

(3)大学に四年間在籍して勉強したことの総決算として書く、いわゆる卒論。……とはいうものの、これは建前のことが多い。たいていの学生は、四年の夏休み明けまで何もせず、秋風が吹くと急に焦りだす。

この三つに共通しているのは、問いに対して明確な答えを主張し、その主張を論証するための文章である、ということだ。つまり、論理的に書かなきゃいけない文章だ。文系の学生なら、きっとるまでは書かねばならないし、理系の学生も、四年間の大学生活のうちに、いまではまず確実に書くことになるはずだ。理系だからといって、実験レポートだけ書いていればいいというわけにはいかないのだねえ。これは、自分も途中まで理科系学生だった私が言うんだから間違いない。なんでそうなるのかと言うと、ちょっとした論文を書けることは、文系・理系を問わず、現代社会人の基本的な教養の一部であると考えられているからだ。つくづく現代はヘンテコな時代だと思う。ちょっと昔までは、だれもが字を書けることじたい信じられないことだったのに、「論理的に文章を書け」だなんて……。こんな世の中に生まれちゃったために、論文をスイスイ書けるかどうかは、キミたちが楽しい学園生活を送れるかどうか、それどころかヘタすると卒業後のキミたちのサバイバルにもかかわってしまう。……うう、なんだかだんだん脅迫じみてきたぞ。

というわけで、本書の対象は基本的には大学生とちょっと背伸びをした高校生だけれど、どういう因果か、何かを論じ人を論理的に説得する文章を書く羽目になった社会人の方や、入学試験や編入試験の受験生にも応用してもらえるようになっている。

本書の構成と利用法

本書は、三つのパートと付録からなっている。第1部では、論文とはどういう文章で、どういうことに気をつけるべきかを述べた。言ってみれば「理論篇」だ。「実践篇」の前半に当たる第1部では、論文の原型となるアウトラインをどのように作っていけばよいかを述べた。そして、第皿部ではそのアウトラインを発展させてそれなりの論文を仕上げるまでのプロセスについて解説した。付録には、論文を書くにあたって役に立ついろいろな情報を収めた。
本書の基本的な主張は、論文はアウトラインを膨らませて書くものだということと、論文の命は論証にあるということだ。このため、アウトラインの作り方と論証のやり方に多くのページをさくことにした。これも本書の特徴になっている。
三つのパートを貫いているのが、作文の苦手な大学新入生がなんとか読むに耐える学期末論文を仕上げるまでの感動的なストーリーだ。私もこのストーリーを書きながら、主人公とともに怒り、絶望し、泣き、叫び、笑った。読者のみなさんにも、このストーリーをたどり、練習問題を解くことを通じて、論文書きを疑似体験していただきたい。
小説の世界にも、このように主人公の成長を追体験するものがあって、「教養小説(ビルドゥングス・ロマン)」と呼ばれている。たとえば、ゲーテの『ヴィルヘルム・マイスター』などがその代表だ。本書の執筆を機に、私は「論文書き方界のゲーテ」と呼ばれることだろう。

戸田山 和久 (著)
出版社 : NHK出版 (2012/8/28)、出典:出版社HP

論文・レポートの基本

レポート・論文の書き方の入門書

大学生が避けて通れないレポートや卒論。そんな文章を書く上での構成の立て方が体系的に学べる1冊です。文章の基本構造、テーマ設定や論理的な文章展開、表現のコツなど、例文や課題を通してわかりやすく解説されています。

石黒 圭 (著)
出版社 : 日本実業出版社 (2012/2/23)、出典:出版社HP

論文・レポートの基本

はじめに 論文・レポートとは何か

レポートや論文で悩んでいる人に

大学は新入生にとって一見不親切なところに思えるかもしれません。ま 近は親切な大学も増えてきましたが,それでも,高校までとは異なり、 生が勉強の仕方を手取り足取り教えてくれるわけではありません。
大教室の講義では,毎週,担当の先生が 90 分間一方的に話しつづけます。そして,学期が終わるころになると,さも当たり前のように期末のレポートを書くように指示します。
しかし,レポートの書き方なんて中学でも高校でも教わったことはあり ません。新入生にとって、慣れない大教室の講義についていくだけでも大 変なのに、そのうえ、書いたこともないものをいきなり書けと言われてる。 どうしたらよいか,戸惑うばかりです。
また,見よう見まねで書きはじめたレポートがようやく板について来た 大学4年には、卒業を控えて卒業論文という大きな論文を書かなければな りません。人生において、そんなに長い文章を書くのは初めてです。しか し,卒業論文の書き方も、先生が丁寧に指導してくれる様子はありません。 このときもまた,どのように書いたらよいのかわからない手探り状態のなかで完成させていくことになるのです。 「さらに,大学を卒業したあとすぐに就職せず,そのうえの大学院に進学 するという選択肢も身近なものになっています。大学院に進学すると,研 究者の卵として学術雑誌に高い水準の論文を載せる必要が出てきます。し かし,そこでもまた,論文の書き方について十分な指導はなく、独力で書くことが期待されるのです。
「大学は、人から教わらなくても自力で解決することが求められるところ です。しかし、何の手がかりもなく解決できることには限界があります。 本書は,大学に入ってレポートの書き方がわからない新入生、卒業論文をまえに途方に暮れている大学4年生,論文の書き方の基本を確認し,そ の精度を高めたいと考えている大学院生を支援するために書かれた論文作法書です。

小論文とレポート・論文はどう違う?

大学に入学したての新入生が,レポートや論文をイメージする場合,参 考にするのは小論文でしょう。大学受験に小論文という科目があり,その 準備をした経験があるからです。なるほど,小論文・レポート・論文は, 示された問いに答え,その答えが正しいことを論証する文章であるという 点で共通しています。
しかし,大学における学びでは,小論文を参考にしすぎると危険な面が あることを強調しておきたいと思います。
たしかに,小論文が得意な人は文章が上手に書けることが多く,文章表 現力を高めるトレーニングとして小論文は役に立つことは事実です。とこ ろが,小論文には,見すごすことのできない弊害があるのです。
その弊害は,小論文が試験のために書かれる文章であるという点に由来 しています。小論文は時間制限と戦いながら試験場で書く文章です。その ため、その場で思いついた発想を自分なりの論理で組み立てて面白く書け ばよく、厳密な検証は要求されません。また,以前人から聞いた、あるい は本で読んだアイデアを,あたかも自分の考えであるかのように語ることも大目に見られがちです。
レポートや論文といった学術的な文章には、深く考えるというプロセス と詳しく調べるというプロセス,この二つのプロセスを経ることが必須で す。ところが,小論文にはその大切なプロセスのいずれも経ることが求められていないのです。これが、小論文の最大の弊害です。 レポートや論文を小論文と同一視してしまうと、レポートや論文も短時間で簡単に書けるものという錯覚に陥りがちです。しかし、レポート。 文は、深く考える,および詳しく調べるという手間のかかる面倒くさ ロセスを経て徐々に形を成していくものなのです。 ここで、小論文・レポート・論文の違いを整理しておきましょう。

表1 小論文・レポート・論文の違い

小論文は、就職活動のさいに大学生が書くこともありますが,大学受験 のために高校生のときに書くのがふつうです。
その目的は、文章表現力と論理構成力が一定の水準にあることを示して 試験に合格することです。問いは、問題という形で出題者から与えられます。時間制限があり、資料などを参考にできない環境での執筆ですので、 内容が面白ければ多少のウソは許容され,厳密な意味でのオリジナリティ, すなわち書き手自身が初めて考えたという独創性は求められません。
レポートは,大学院で書かされることもありますが,大学の講義や演習 で書くものが中心です。
その目的は,授業の内容がどのくらいわかっているかという理解を報告 することです。問いは、自分で立てることもありますが、「~について論 じなさい」という形で先生から指定されるほうがふつうです。学術的な又 章ですので、きちんと調べて書かなければならず,不正確な内容を盛りむことは認められていません。オリジナリティはあれば望ましいです! 高い独創性が求められることはありません。
論文は,学部では,卒業論文という形で書くこともありますが,本格的 に執筆するようになるのは大学院に入ってからです。
その目的は,学術的に価値のある発見を論理の積み重ねによって説得することです。問いは,指導教員から与えられることもありますが,自分で 選んで立てるのがふつうです。レポートと同様,学術的な文章ですので, きちんと調べて書かなければならず,また,ウソを排除しなければなりません。そして,どんなに小さくても,先行研究にない,学術的に価値のあるオリジナリティをそのなかに含んでいなければなりません。
こうして見ると,小論文よりレポートのほうがレベルが高く,レポート より論文のほうがレベルが高いことがわかります。つまり,小論文はレポートが書けるようになるための準備段階,レポートは論文が書けるように なるための準備段階なのです。
そう考えると,なぜ大学入試で小論文が課されるのか,なぜ大学の授業 でレポートが課されるのかが わかります。
大学は,現代においては高度職業人養成機関,すなわち, きわめて高い知識と技能を持った社会人を育てる機関としての面も持っていますが,本 質的には研究者養成機関,す なわち研究者の卵を育てる機 関です。
研究者は優れた論文を書く ことによって評価されますから,カリキュラムもまた優れた論文を書けるように整えられていそうに整えられているわけです。
大学教育におけるゴールは論文であり,論文の書き方のなかには学術的 な研究を遂行するのに必要なエッセンスがつまっています。
そこで,本書でも、最終目標を論文に定め,ここからさきは「論文・レ ポート」と併記することはせずに,「論文」とだけ書くようにします。 ちろん,本書ではレポートも対象にしていますから,必要におうじて「論 文」を「論文・レポート」と置き換えながら読むようにしてください。

本書の構成

本書は,論文の考え方を知る第1部,論文の表現をみがく第2部の二 つの部からなっています。
第1部は論文の構成面に注目します。 「論文は,第1章で説明するように「問う」→「調べる」→「選ぶ」→ 「確かめる」→「裏づける」→「まとめる」という構成をとる文章です。 これは論文の定石です。
しかし,囲碁の定石がそうであるように,手順だけ丸暗記しても実践に は使えず,なぜそうした手順になるのかという考え方を身につけることが 必要です。
「第1部では,論文の構成と,その背後にある考え方を学びます。
第2部は論文の表現面に注目します。 「問う」「調べる」「選ぶ」「確かめる」「裏づける「まとめる」といった 各パートの中身は、1文1文の積み重ねによって成り立っています。 した1文1文を、どうすればウソの少ない表現にできるかどうすればオリジナリティを明確にできるかについて,日本語の表現という角度から考 えます。
また,第2部には練習問題がついており,練習問題を解くなかで論文の 表現力がみがけるようになっています。
本書の内容を読み,読者のみなさんが論文を書くことに目覚め,「論文 を書くことが楽しい」と感じられるようになることを、心から願っています。

石黒 圭 (著)
出版社 : 日本実業出版社 (2012/2/23)、出典:出版社HP

CONTENTS

この1冊できちんと書ける! 論文・レポートの基本
はじめに論文・レポートとは何か
レポートや論文で悩んでいる人に
小論文とレポート・論文はどう違う?
本書の構成

第1部論文の構成
第0章 論文の構成の考え方
基本は序論・本論・結論
じつは6部構成
第2章問う一目的
問いを立てる
問いを1文で示す
問いを絞りこむ
問いの言葉を定義する
魅力的な問いは発見と探求心から
第3章調べる一先行研究
巨人の肩のうえに立つ。
先行研究を引用する意味
インターネットによる検索の活用法
Wikipedia は使える?使えない?
引用にはマナーがある。
文献のレベルは専門・入門・一般の三つ
本(著書)の3レベル
雑誌(学術誌)の3 レベル
辞典・事典の2レベル
第4章選ぶ一資料と方法
調査には量的調査と質的調査がある 量
的調査のポイント
質的調査のポイント
六つの調査方法
第5章 確かめる一結果と分析
結果を整理して伝わる論文に
結果を見やすくする工夫
第6章裏づける一考察
目に見えないメカニズムをあぶりだす
憶測を防ぐ方法
第7章まとめる一結論
結論は独立した要旨にする今後の課題は背伸びしない
第8章校正する一提出前の原稿チェック
校正の五つのチェック項目
論文のFAQ

第2部(論文の表現
第9章 論文の表現の考え方
ウソは減らせる。
ツッコミを入れる
オリジナリティが大切な理由
ウソが許されない理由
本書第2部の構成
第10章正確な言葉選び
第10章の構成
第1課 専門用語の考え方
専門用語と日常語の区別
専門用語の調べ方
専門用語選択の失敗
第2課 語の定義
定義が必要な語とは
論文における定義の実際
第3課 怖い変換ミス
タイプミスの原因
変換ミスの実際
第の口正確な表記
第11章の構成
第4課 漢字と仮名の書き分け
語種による書き分け
機能による書き分け
書き分けのバランス
第5課 読点の打ち方
読点を打つ基準
修飾・被修飾の関係が切れる効果
それぞれまとまって見える効果
第6課 記号の使い方
5種類の記号
かっこの使いすぎに注意
第12章論文専用の表現
第12章の構成
第7課 論文を構成する動詞
論文の構成と動詞
論文における六種の重要動詞
第8課 論文の文末表現
推量の文末表現
当為の文末表現
第9課 論文のオトナ語 * 119
オトナ語とは
論文のオトナ語の実際
第四章 論文の文体
第13章の構成
第10課 話し言葉と書き言葉
意外と難しい話し言葉との区別
なぜ話し言葉と書き言葉の区別が生じるのか
第11課 論文になじまない言葉
副詞に気をつける
オノマトペに気をつける
略語に気をつける
敬意を含む表現に気をつける
第12課 論文の軸となる名詞
論文のなかの名詞
名詞を使う長所と短所
第14章明晰な文
第14章の構成
第13課 複数の意味を持つ文
わかった瞬間にわからなくなる
誤解の要因
修飾・被修飾の関係
誤解の要因2連体修飾節の制限用法と非制限用法
誤解の要因3名詞の意味と相対性
誤解の要因のように〜ない」などの否定表現
第14課 読者を迷子にする文
ガーデンパス文を避けるには
予測しやすい文にするポイント
文の長さの調整
修飾先の遠近の調整
「は」と「が」の使い分け
第15課 あいまいさを含む文
言葉に潜むあいまいさ
あいまいさと品詞の関わり
第四章明晰な文章展開
第15章の構成
第16課 指示詞の使い方
文脈指示の「こ」と「そ」の違い
文をなめらかにする指示詞・省略・繰り返し・言い換え
第17課 接続詞の使い方
論文の5大接続詞
注目したい接続詞
接続詞の実際の使い方
第18課 予告と整理
先行オーガナイザーとは 要旨を述べる予告文
整理を担う序列表現
第16章書き手の責任
第16章の構成
第19課 主張する
主張と事実の境界線
主張を支える根拠の収集
第20課 引用する
引用の目的
出典を明示する
引用の範囲を明確にする
第21課 破綻を防ぐ
事実と主張をめぐるウソ
動機や感想に注意
練習の解答
参考文献
おわりに

カバーデザインの萩原弦一郎(デジカル)
カバー・本文イラストの坂木浩子
本文デザイン・DTPOムーブ(新田由起子、徳永裕史

石黒 圭 (著)
出版社 : 日本実業出版社 (2012/2/23)、出典:出版社HP

レポート・論文の書き方入門 第4版

テキスト批評で書き方を学ぶ

論文を書く初心者でもある大学生、また新社会人の方にもおすすめの1冊です。本書では、「テキスト批評」という方法を用いてある文章に対する読解や解釈の練習をし、レポート・論文作成力の向上を図ります。理解しやすい内容と構成になっています。

河野 哲也 (著)
出版社 : 慶應義塾大学出版会 (2018/7/13)、出典:出版社HP

目次

1章 大学での勉強とレポート・論文の書き方―はじめてレポートを書く人のために一
1.1. 本書の目的と特徴
1.1.1 本書の目的
1.1.2 本書の特徴
1.2. 大学の教育とレポート・論文の書き方
1.2.1 大学でのレポート・論文とは
1.2.2 「学-問」と創造的能力の育成
1.2.3 講義中の態度・質問
1.2.4 レポート・論文とは「学-問」である
1.3. レポート・論文の有用性
1.4. 本書の構成

2章 テキスト批評という練習法
2.1. テキスト批評とは何か?
2.2. なぜ本(テキスト)を読むのか?
2.3. テキスト批評の仕方
2.3.1 テキストについて
2.3.2 全体の構成
2.3.3 各構成部分の作り方
2.4. テキスト批評の効果

3章論文の要件と構成
3.1. 論文とは何か?
3.2. レポートとは何か?
3.3. レポートを書く際の注意
3.4. 論文の構成部分とその順序
3.5.各部分で何を書くか?
3.5.1 「目次」
3.5.2 「序論」
3.5.3 「本論」
3.5.4「結論」
3.5.5 「付録」
3.5.6 「文献表」
3.5.7 「索引」
3.5.8 「謝辞」、「まえがき」、「あとがき」
3.6. その他の構成方法

4章 テーマ・問題の設定、本文の組み立て方
4.1. テーマ・問題の設定
4.2. 本文の組み立て方

5章 注、引用、文献表のつけ方
5.1. 注のつけ方
5.1.1 「注」とは何か?
5.1.2 注の目的
5.1.3 注の種類
5.2. 注記号(番号)と注欄のつけ方
5.2.1 注記号(番号)のつけ方
5.2.2 注欄のつけ方
5.2.3 注のつけ方の注意
5.3. 引用の仕方
5.3.1 著作権と引用
5.3.2 引用の仕方
5.3.3 引用の際の注意
5.4. 注欄における引用出典の書き方
5.4.1 日本語での一般的な出典表記法
5.4.2引用出典の実例
5.4.3 同一出典の略記
5.4.4 欧文語の文献を引用した時の出典表記法
5.4.5 引用出典の実例
5.4.6 簡易な組込注のつけ方
5.5.文献表の作り方
5.5.1 作成上注意すべき点
5.5.2 日本語での細目表記順序
5.5.3 欧文文献の表記の仕方
5.6. 欧文略号・略記一覧

付録1 「見本レポート」
付録2 接続語・接続表現による文の論理的結合
付録3 インターネットの利用法
参考文献
あとがき

1章 大学での勉強とレポート・論文の書き方 一はじめてレポートを書く人のために一

1.1. 本書の目的と特徴

「この本は、大学ではじめてレポートを書こうと思っている」
1.1.1 本書の目的や、卒業論文に取り掛かろうとしている人のために、そもそも大学でのレポートや論文とは何か、どう書くのか、を初歩から 説明したものです。 とくに、大学の1・2年生の総合的教育の講義でレポートを 課された人や、通信教育のレポートを書こうと思っている人に は、ぜひ知っておいてほしい基礎的な事柄が述べられています。

1.1.2 本書の特徴
(1) 本書では、レポートや論文を書くときに踏まえなければ ならない基本的な要件と形式をもっとも重視しています。
皆さんは、大学に提出したご自分のレポートや論文が、「感 想文の域を出ていない」と評価されたことはないでしょうか。 あるいは、何をもってレポートや論文と言うのかご存じでしょ うか。日本の学生、とくにいわゆる文系の1・2年の学生は、 感想文・エッセイと呼ばれるものと、学術的な文章であるレポート論文の区別がついていない場合がまだ多いのです。
本書は、この区別をはっきりと示しながら、簡単なレポート から卒業論文レヴェルまでを念頭に置き、レポートや論文の構 成の仕方をハウ・ツー的にまとめてみました。本書で言う論文 とは、おもに実験や観測、統計的調査などを伴わない人文・社 会科学系の分野のものを想定していますが、そのほかの分野に おいても基本は変わることはありません。

(2) 第二に本書の特徴として、「テキスト批評」という、これまであまり紹介されていなかったレポート・論文の非常に有効な準備方法について詳しく説明してあります。
新入生がいきなり独創性のあるレポートを書くことなど、日 本の教育法では、ほとんど不可能です。そればかりか、卒業論 文を書かなくてはならない段になっても、多くの学生が入学時 からあまり進歩していないのが実情です。とくに、学生にとっての悩みの種は、テーマ設定とテーマに関する問題設定です。 卒業論文では、自分自身でテーマを設定しなければなりません が、テーマは、突然思いつくものではないからです。
そこで、本書が推薦する有効な練習方法がテキスト批評です。 「テキスト批評」とは、ある論文なり著作なりを読んで要約し、 そこから自分なりの問題を提起して、その議論を展開させる文 章です。批評(コメンタリー)を書くことは、その本の主張を 鵜呑みにするのでなく、検討し考えながら読む練習になります。 それと同時に、自分独自のテーマ(主題)で論文を書くための、 非常によい準備にもなります。重要な著作を読みながら、自分 のテーマや問題を形成していく過程を学ぶことができるからで す。
また、本書で養ってほしいのは、議論(argument)するの に必要な表現力です。「議論」とは、意見が不一致ないし対立 している場合にそれを一致させたり、表明された意見の真偽を 明らかにしようとするコミュニケーションのことです。レポー ト・論文は、議論から成り立っています。テキスト批評は、こ の、議論する能力を向上させます。

(3) 第三に、本書は、「レポート・論文の書き方」という授 業のテキストに使えるように考慮しました。アカデミックな表 現力の向上を目的とした授業を行っている大学は近年かなり増えてきていますが、まだ本当にその教育方法が確立して、
査方法が確立しているは
きみません。しかし表現力やコミュニケーション能力を養う、
とは、今の社会でますます重要になっています。
「レポート・論文の書き方」という授業があるならば 、 の順序どおり、まずテキスト批評から始めて、そのなかで生まれたテーマと問題について、レポートなり論文なりを書くという手順が学生にとってやりやすく、また、その後の論文作成のためにも効果的と思われます。

(4) 第四の本書の特徴は、注や参考文献表の作成方法についての具体例を多くのせて、実用的であることを心がけた点にあります。実際にレポート・論文を書いている時に手元において、 いつでも使えるように工夫しました。後述するように、大学で のレポート・論文だからといって、引用や参考文献の出典をおろそかにはできません。
注や参考文献表の作成は最初は煩瑣に感じますが、規則さえ覚えればそれほど苦ではなくなります。その点、マニュアルや 辞書のように本書を利用していただければよいと思います。

河野 哲也 (著)
出版社 : 慶應義塾大学出版会 (2018/7/13)、出典:出版社HP

コピペと言われないレポートの書き方教室: 3つのステップ

コピペではなく、情報を正しく「引用」する

レポート作成における最重要ポイントが絞られているので、論理的に文章を書く上での基礎が身に付きます。また、自分の書いたレポートの修正すべき点がどこなのかがすぐに分かるようになります。大学生だけでなく中高生にとっても有益となる1冊です。

山口裕之 (著)
出版社 : 新曜社 (2013/7/26)、出典:出版社HP

はじめに 「コピペ」の蔓延とその原因

この本の特徴とねらい

「この本を手に取ったみなさんは、大学の授業の課題で生まれて初めて「レポート」なるものを書くように言われて戸惑っている大学1年生の方でしょうか。あるいは、大学1年生に「コピペ・レポート」をやめるように指導したい大学教員かもしれません。最近は、中学校や高校でも総合学習の時間などにインターネットを使った調べ学習が行われていて、あるテーマについて自分で調べたことを発表する機会があるようです。そのためにネット情報の活用法を知りたい中高生も多いに違いありません。この本では、そうしたみなさんすべてに、「コピペと言われないレポート」を書くためにはどうすればよいかを説明したいと思います。もちろん、最終的な目標は優れたレポートを書けるようになることですが、それ以前に、コピペをしていたのでは「レポート」の範疇にさえ入りません。
これまでにも「レポートの書き方」と銘打った本がたくさん出版されています。しかし、それらの本の多くは、ネット時代以前に書かれたもので、「コピペ問題」に対応しようという問題意識が希薄なようです。また、レポートのみならず論文の書き方についても指南しようとしているために、少々高度なことまで盛り込まれており、かえって一番重要なポイントが何なのか、分かりにくくなっている本も多いのです。
そこでこの本では、「コピペ」と言われないためには具体的にどうすればよいのかを、最重要ポイントのみに絞って、大学生のみならず中学生、高校生にも読めるように、できるだけ簡単に説明します。「最重要ポイント」というのは要するに、大学教員がレポートを採点するときに、最低限度ここだけはちゃんとしてほしいと考える点です。
そして、レポートの書き方について、実際に何をどうすればよいのかが分かるように具体的に説明していきます。
たとえば、「レポートは感想文ではありません!論理的に書きなさい」などと言われても、具体的にどういうふうに書けばよいのか分かりませんよね。この本では、「あなたのレポートには〈カギかっこ>がありますか?」とか思う〉と書いてしまったら消して理由や根拠を考えましょう」など、多くの学生がレポートを書くときにやってしまいがちなことを具体的にどのように修正したらよいのか、注意点を挙げていきます。これなら、自分の書いたレポートの修正すべき個所がどこなのか、誰でもすぐに分かるはずです。
そうした基本的なレポートの書き方を練習することで、自分の意見を説得的に表現する方法という、学校で学ぶときにも、会社で仕事をするときにも、あるいは民主主義社会を生きていくうえでも、もっとも重要で貴重なスキルを身に付けていってもらうことが、この本のねらいです(「民主主義とレポート」については、この本の最後でまとめて説明します)。
この本の使い方としては、レポートを書く前に、まずざーっと全体を読んでください。読書力のある人なら1時間ちょっと、あまり本は読まないという人でも2,3時間もあれば読み終わるはずです。この本は3つのステップで構成されています。ステップごとに内容のまとめページを作り、さらに最後にレポートの書き方チェックリストとできばえチェックリストを付けてあります。全体を読んだらまとめのページに戻って、内容を覚えているか一度確認してみましょう。
実際にレポートを書くときには、「書き方チェックリスト」の流れに従って書き、できあがったら「できばえチェックリスト」で形式や内容が妥当かどうかチェックしてください。リストは要点だけですから、細かい点を確認したいときには本文の該当箇所に戻って読み直して確認してください。このようにすれば、誰でも無理なく「コピペと言われないレポート」が書けるはずです。

レポートと就職

「自分の意見を説得的に表現する方法」は会社で仕事をするうえでも重要、と書きました。経済同友会が2010年に行った「企業の採用と教育に関するアンケート」では、「新卒の採用選考の際、ビジネスの基本能力等として、特にどのような能力を重視していますか」という設問に対して、「論理的思考力」という回答が4位となっています(http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/ 101222a.pdf, 2012年9月25日アクセス)。
通常の企業が「論理学」を重視しているとはあまり考えられないので、ここでいう「論理的思考力」とは「自分の意見を説得的に表現する方法」に他ならないでしょう。
「なんだ、4位か」と思われるかもしれません。しかし、1位は「熱意・意欲」、2位は「行動力・実行力」、3位が「協調性」で、これらは性格的なものですから、身に付けようとしてもなかなか身に付くものではありません。それに対して「自分の意見を説得的に表現する方法」は一つの技術であり、練習することでその能力を高めていくことができます。この本では、その技術の基本を伝授します。

コピペとは何か

この本を手に取ってみられたということは、「コピペ」とは何か、すでによくご存知の読者も多いとは思いますが、念のため、簡単に説明しておきます。そのうえで、なぜそれがいけないことなのか、なぜそうしたことが蔓延するのか、ということについても触れたいと思います。理由が分かれば、対策はおのずと明らかになってくるでしょう。
まず、「コピペ」とは、「コピー&ペースト」の省略で、要するに「文章の切り貼り」ということです。具体的には、パソコンで電子ファイル(主にはインターネットのページ)の一部分をコピーして、自分の文書に貼り付ける行為を指しています。これがなぜレポートと関係あるのかというと、大学の授業などでレポートを宿題にすると、インターネットのページを切り貼りして作成したものを提出する学生が激増しているのです。
当人は、ちゃんと調べて書いたつもりなのかもしれませんが、ひどいものになるとウェブページの丸写しということもあります。ふつう大学教員は「テーマに関連する情報を調べたうえで、自分の意見を説得的に表現する」というスキルを練習してもらうためにレポートを宿題にするのですが、ウェブページ丸写しではカンニングと言われても仕方ないでしょう。
一つのウェブページを丸ごとコピペしてそのまま提出するような悪質なレポートはさすがにそれほど多くありません。大学や学部によってかなり違いはあるようですが、私の大学の場合では、100人のクラスで1人いるかどうかという程度です。しかし、いくつかのページの切り貼りのみで構成されたレポート、つまり「自分の意見」がほとんど書かれていないレポートはかなりたくさんあります。100人中で2~30人はそういうパターンです。中には、段落ごとに、あるいは文の途中から活字のフォント(字体)やサイズが違っていたりするものもあります。コピペしたのが丸わかりのレポートを前に、「せめて隠蔽工作をしようという頭ぐらい働かせてくれよ」などと思ってしまったりします。

「ホームページ」か「ウェブページ」か?

「インターネット上に公開されているページのことをすべて「ホームページ」と呼ぶこともありますが、正確には「ホームページ」とは、複数のページで構成されているウェブサイトの表紙にあたるページのことです。スタートページやトップページと呼ばれることもあります。以下、この本ではインターネット上のページのことを「ウェブページ」(あるいは単に「ページ」)と呼びます。

コピペ判定ソフト

コピペ・レポートの蔓延という事態を受けて、主に大学教員向けに「コピペ判定ソフト」が実用化されています。そうしたソフトは、学生の提出したレポート本文のどの部分が「コピペ」なのか、色を変えて表示してくれたり、「コピペ率」を算定してくれたり、レポート同士の類似性(つまり友だちのレポートをコピペした学生がいないか)を示してくれたりします(コピペ判定ソフトの機能については、以下のサイトを参考にしました。株式会社アンク「コピペルナー V2), http://www.ank.co.jp/works/products/copypelna/Client/index. html, 2012年9月24日アクセス)。
はっきり言って、まともな大学教員であれば、コピペのレポートかどうかは読めば一目でわかります。コピペのレポートは、語り口や言葉づかいが、学生が書いたレポートにしては不自然なのです。そのため、単にコピペを見破るだけならばこうしたソフトは不要ともいえるのですが、いざ採点しようとするときには、証拠がないと0点は付けにくい、あるいは自分でネットを検索して証拠をつかむのは手間、ということで利用されているのかもしれません。

盗作(ないし剽窃)と引用の違い

「完全コピペ」や「コピペのパッチワーク」であれば大幅減点はやむを得ないし、その証拠をつかむためにはコピペ判定ソフトも役に立つのでしょう。しかし実は、一番多いのは、どこかで得た情報の単なる要約に過ぎないレポートです。これが大変に多い、というより、提出されるレポートのほとんどはこれ、といっても過言ではありません。
たとえば、以前に「常識を疑え!」というテーマの講義で課した「ハイブリッドカーは環境に良いか」という課題に対する、ある学生さんのレポートの書き出しは、以下のようなものでした。
ハイブリッド車とは、異なる二つ以上の動力源・エネルギー源を持つ自動車のことで、通常のエンジン車よりも燃費がいいといわれている。
種を明かせば、この文章はウィキペディアの項目「ハイブリッドカー」の要約です。
巧みになされた要約は、それ自身、創造的な思考活動ではないのか、というふうに考える方もおられるかもしれません。また、完全なコピペではないので、単純に「0点」を付けることには抵抗を覚える大学教員もおられるかもしれません。
というわけで、実際に大学でレポートの採点をするときには、「単なる要約レポート」については「まあ60点(通常、大学で「単位」が認められる最低得点)を付けておこうか」ということになることが多いかと思います。
「完全コピペ」はともかく、なぜ単なる要約でもいけない(合格スレスレの点数しかもらえない)のでしょうか。一言で言うと、情報源を明記せずに要約したり、そのまま写したりするのは「盗作」(より正確だが難しい言葉でいうと「剽窃」)になるのです。ところが、先ほどの例文に、ウィキペディアによると、ハイブリッド車とは、異なる二つ以上の動力源・エネルギー源を持つ自動車のことで、通常のエンジン車よりも燃費がいいといわれている。
というふうに、冒頭に「ウィキペディアによると」という一文を付けただけで、「盗作」が「引用」に変わるのです(もちろん、さすがにこれだけでは不十分なので、具体的にどういうふうにすればよいかは後で説明します)。
専門の学者が他人の論文を盗作したり、作家が他人の作品を盗作したりしたことが発覚すれば、彼らの社会的地位が失われるほどの重大問題になります。学者や作家の仕事は、オリジナリティのある作品(論文や小説など)を制作することです。優れた作品を制作する能力のある学者や作家は高い評価を得ます。他人の作品を盗作することは、単なる「盗み」ではありません。自分の価値を本来の価値以上に見せかけて人をだまし、それによって不当な利益を得るという詐欺行為なのです。
専門の学者や作家でない学生の場合でも、コピペでレポートを作るということは、もともと自分が書いたのではない文章を、あたかも自分が書いたかのように装って教員に提出し、よい成績をもらおうとする行為ですから、同様の詐欺行為になります。要するに、カンニングだということです。
他方、「引用」は、合法的に他人の論文や作品を参照する行為で、学者も作家も日常的に行っていることです。とくに学者の場合、引用することは非常に重要です。多くの学生さんは学問研究について、「白衣を着たちょっと変わった人が研究室にこもって一人でやっているもの」といったイメージを持っているかもしれませんが、実は学問研究とは集団的な作業です。ある学者の学説を、他の学者が批判的に検討し、より優れた学説に鍛え上げていくことによって科学は進歩します。ですので、自分の論文に、他の学者の研究成果を引用し、それを検討することは、論文作成において必要不可欠です。ふつうの学会では、引用文献のない論文は、「論文」として認めてもらえません。
レポートの場合も同様です。レポートでは、テーマに関連する情報を調べ、それを批判的に検討することで、自分の意見を主張することが求められています。引用文献がなく、「自分の思い」だけを書いたものは感想文であって「レポート」ではありません。
このように、盗作と引用には大きな違いがあります。そしてこの大きな違いは、たった一つ、情報源を明記するか否かにあるのです。

山口裕之 (著)
出版社 : 新曜社 (2013/7/26)、出典:出版社HP

コピペと著作権法

コピペはもちろん、情報源を示さない要約もまた、重大な「犯罪行為」です。日本の著作権法では、第三十二条で、「公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない」とされています。
条文に「公正な慣行」とありますが、これは具体的には以下の3つです。
1)主従関係:引用文が、作品全体の一部分(従属的な部分)にとどまっていること。レポートの半分が引用文といったものや、レポート全体が引用文のパッチワークといったものは認められません。
2)明瞭区分性:引用文をカギかっこでくくるなどして、それが引用であることをはっきり示すこと。
3)出所表示:どこから引用したのか、出典を明示すること。
主従関係・明瞭区分性・出所表示という3つの言葉をしっかり頭に入れておいてください。この本は、こうした「公正な慣行」を学べるように構成しています。これに合致しないものは違法になりますので注意してください。
「要約はどうなんだ?」と思われるかもしれません。著作権法の第二十七条では、「著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する」とされています。要するに、他人の作品を勝手に要約して、あたかも自分の作品であるかのように発表してはいけないということです。コピペ・レポートだけでなく、「単なる要約レポート」も違法なのです。
もちろん、引用したい文章が長すぎるときなどには、それを要約したうえで、先の「公正な慣行」に合致する形で利用することは問題ありません。

学生は、なぜコピペしてしまうのか

なぜ多くの学生がコピペをしてしまうのでしょうか?「最近の大学生はモラルが低下している」というようなことを言う人もいますが、私はまったくそう思いません。少なくとも、私が勤めている大学の学生さんたちの多くは(「全員」とは言いませんが)、あえて悪事を働こうなどとは夢にも思わないような、素直でまじめな人たちです。どうも彼らには、自分たちの提出したレポートには「課題についてちゃんと調べてきた答え」が書いてあると思っているふしがあります。「コピペだから0点!」と宣告すると、何が悪かったのか分からずにびっくり仰天する人もいます。
最近の情報化社会、インターネットの発達を背景に、多くの小、中学校や高校で「調べ学習」が行われているようです。学生からの話を総合すると、そうした「調べ学習」は、「単に調べてきたことをそのまま発表して終わり」という形で行われることが多いようなのです。そこで彼らは、与えられた課題についてどこからか「正解」を探してきてそのまま報告すれば褒められる、と学習してしまっている。つまり、調査した文献や資料を「引用」することと、「丸写しすること」の違いが教育されていないのです。異論のある小中高校の先生方もおられるとは思いますが、残念ながら大多数の大学生が悪事だと思わずにコピペをしてしまっているというのが実態です。
「コピペ・レポート」の蔓延に対して、私の大学を含めて多くの「大学では1年生の最初の時期に「大学入門講座」などの時間を取り、その中で「コピペはいけません」と指導しています。しかし、時間が不十分なこともあってか、調べてきた情報をどのように扱えば「コピペ」でなくれっきとした「引用」になるのか、といった具体的なところはなかなか教育されていないのが実情かと思います。そして、授業でいきなりレポートが宿題に出され、「ちゃんと調べたこと」を丸写しして出してしまう、ということになるようです。

ウィキペディアは使ってはいけない?

「コピペ問題」が広がる中、「ウィキペディアは使ってはいけない」ということは繰り返し指導されており、学生の間によく浸透しているようです。そこで彼らは、言いつけをきちんと守ってウィキペディアを使わない代わりに、「Yahoo知恵袋」や、誰が書いたのかも分からないブログなど、もっと信用のならない記述をコピペしてくれたりします。使ってはいけない理由をきちんと伝えることが大切だと痛感します。
この本は、「コピペ」と言われないために守るべき形式上のルールを伝授することを主要な目的としていますが、そのときに、なぜそうするのか、理由も説明します。理由が理解できていれば、どうすればよいか迷ったときに、おのずと答えが見つかるものです。信用できるウェブページと信用できないページの判定法については、のちほど、いくつかのポイントを示しますので活用してください。

「コピペ!」と言われないための基本ルール

「コピペ」と言われないレポートを書くためには、以下で述べるとても簡単なルールを守ればよいのです。基本は、先に述べたように、情報源を明記せずに単に要約したり、そのまま写したりするのは「コピペ」だということです。
この本では、「コピペと言われないレポートの書き方」の基本的なルールを、7つのポイント、3つのステップに分けて説明していきます。あらかじめ列挙しておくと、

ステップ1 「コピペ」と言われない書き方・基礎編
ポイント1:情報源は引用と出典で明示する
ステップ2 「コピペ」をしようと思わなくなるための方法
ポイント2:複数の情報源を確認する
ポイント3:反対意見・反対の事例を常に探す
ポイント1:「論じるべきこと」を見つける
ステップ3 「引用」を活用した文章の構成
ポイント5:「思う」は禁句
ポイント6:接続詞を入れる
ポイント7:具体的な結論を出す

「コピペと言われない書き方って、これだけ?」と思われるかもしれません。しかし、ルールを聞くのは簡単ですが、実際にそれができるようになるにはかなりな練習が必要です。私が授業などでいつも言うことなのですが、「野球のルールをいくら聞いても、練習しなければホームランは打てない」のです。
ルールを知らなければそもそも野球はできませんが、ルールを知っているだけでも無理ですよね。筋トレをやって、素振りをして、実際に球を打ってみて、といった地道な練習を重ねて初めてまともな試合ができるようになるのです。
レポートもまったく同じです。書き方のルールを知らなければレポートは書けませんが、まともなレポートが書けるようになるには「地道な練習を重ねることが必要です。そうした基本練習は、卒業論文など、もっと本格的な論文を書くときにも役に立つことでしょう。

コピペ以前の基本

ここまでコピペを中心に説明してきましたが、ここでコピペ以前の「レポートを書くときの基本」について簡単に説明しておきます。
まず、レポートはパソコンのワープロソフトで作成しましょう。パソコンのスキルは身につけておいて損はありません。普段から練習を兼ねてパソコンを使いましょう。採点する立場から言うと、必ずしも字のうまい学生ばかりとは限りませんので、手書きの原稿を読み続けるのはけっこう疲れるのです。
また、携帯電話のメールでレポートを作成してそのまま送信する学生もいます。最近の多機能携帯電話(いわゆる「スマホ」)の画面はずいぶん大きいとはいえ、パソコンと比べればずっと小さいです。小さい画面では多くの文章が表示できませんから、推敲することが困難です。推敲しないで書き流された文章など、高い評価を与えられるはずがありません。というわけで、携帯電話でレポートを作成するのはやめましょう。
さて、パソコンで作成した原稿を保存するとき、ファイル名は、とくに教員からの指示がない限り、「授業科目名+自分の名前」としておくのがよいでしょう。たとえば、「哲学概論」という授業のレポートの場合には、「哲学概論レポート(山口裕之)」としましょう。
ただし、教員によってはあえて「縦書き原稿用紙に手書きで」などと指示する人がいます。そうした場合には指示に従ってください。私の知人の大学教員にも、「パソコンで作成させると、ウェブページを読みもしないでコピペするから、せめて一度は読ませる」という目的で手書きを指定する人がおられます。
紙は、A4の用紙に横書きが基本です。1行の文字数や1ページあたりの行数、文字のフォントやサイズなどは、初期設定のままでよいです(Microsoft社のWordでは、1行40文字×36行で、文字は游明朝の10.5ポイントが初期設定になっています)。これも、とくに指示がある場合にはそれに従ってください。
ときどき、レポート全体に区切れがなく1段落という学生さんがいるのですが、文章は、ひとまとまりの内容ごとに段落に区切りましょう。最低限度、「起承転結」で分けたとしても4段落ぐらいにはなるはずです。「言うまでもないことですが、段落の最初は1文字下げることを忘れずに。小学生のときに「原稿用紙の使い方」は学ぶはずですが、ワープロで作成すると横書きになるためか、段落の頭を1文字下げなかったり、あるいは段落と段落の間になぜか空白の行をはさんだりする学生さんがちらほら見受けられます。
文末は、「だ・である」(常体)に統一しましょう。レポートや論文など学問的な文章では「です・ます」調はふつうは使いません。
ときどき、友だちにメールを書くかのような文体でレポートを書く人がいるのですが、きちんとした「書き言葉」で書くようにしてください。なお、この本では、「!」や「?」などの記号も使っていますが、レポートや論文で使ってはいけません。(^^;などのいわゆる顔文字や(笑)などの記号も使ってはいけません。
分量については、指示された量の8割以上は書くようにしましょう。とくに指示がなければA4の用紙で2~3枚ぐらいが妥当だと思います(400字詰原稿用紙でおよそ7~10枚程度の分量です)。A4に半分以下しか書いていなければ、私なら落第させます。
なお、A4で2~3枚のレポートであっても、ページ番号を振りましょう。Wordの初期設定ではページ番号はついていませんので、「挿入」タブをクリックして、その中にある「ページ番号」ボタンをクリックすれば、ページ番号を振ることができます。詳しくは、自分の使っているワープロソフトの使用説明書を見てください。万一、わからなかったら、手書きでもよいから付けておきましょう。
立派な表紙を付けてくれる学生さんもいるのですが、A4に2~3枚の分量であれば表紙は付けなくてもよいでしょう。これももちろん、「表紙をつけよ」という指示があればそれに従ってください。
あと、言うまでもないことかもしれませんが、レポートの冒頭(ないし表紙)には、授業の科目名、レポートのタイトル、自分の名前、所属(学部・学科)、学生番号を忘れずに書いてください。レポートのタイトルについては、文字サイズを大きめにしましょう。14ポイントぐらいが妥当かと思います。提出するときには、紙を束ねて左上をホッチキスで止めてください。ただし、文学系の授業などで縦書きを指定された場合には右側を止めてください。横書きは左側、縦書きは右側を綴じるのがルールです。なお、クリップは外れるので避けましょう。
レポートの体裁については、この本の最後にサンプルを示しますので参考にしてください。

「はじめに」のまとめ

前置きが長くなってしまったかもしれませんが、「コピペ」がなぜいけないのか、理解できましたか?ここまでの要点をまとめておきましょう。
・「コピペ」や「単なる要約」はカンニングである。
・情報源を示すことで「盗作」でなく「引用」になる。
・レポートの目的は、「自分の意見を説得的に表現する方法」を学ぶことである。
・「よいレポート」を書くためには、練習を重ねることが必要である。

★「コピペ」以前の基本
・ワープロでA4の用紙に横書き。
・ひとまとまりの内容ごとに段落に区切る。
・段落の頭は1文字下げる。
・「だ・である」調の書き言葉で書く。
・分量は2~3枚程度で表紙は不要。
・ページの下にページ番号を振る。
・科目名、レポートのタイトル、自分の名前と所属と学生番号を忘れずに書く。
・紙の左上をホッチキス止めして提出する。
※教員からの指示があればそちらを優先。

目次

はじめに――「コピペ」の蔓延とその原因
この本の特徴とねらい
レポートと就職
コピペとは何か
「ホームページ」か「ウェブページ」か?
コピペ判定ソフト
盗作(ないし剽窃)と引用の違い
コピペと著作権法
学生は、なぜコピペしてしまうのか
ウィキペディアは使ってはいけない?
「コピペ!」と言われないための基本ルール
コピペ以前の基本
「はじめに」のまとめ

ステップ1「コピペ」と言われない書き方・基礎編
ポイント1:情報源は引用と出典で明示する
基本中の基本
引用が長くなる場合
文献を要約するには
「 」と()と。の関係
ウィキペディアについて
情報源(出典)の書き方について:ウェブページの場合
ウェブページにタイトルがない場合
「注」によって出典を示す場合
Wordの「脚注機能」を活用しよう
「参考文献一覧」によって出典を示す場合
なぜ出典を書くことが必要なのか
「いわれている」は魔法の言葉
「いわれている」と書いてもよい場合
「コピペ」と言われない書き方・基礎編のまとめ
ステップ2 「コピペ」をしようと思わなくなるための方法
ポイント2:複数の情報源を確認する
情報源の信頼性の判定
ネット情報は「きっかけ」として利用する
情報のありそうな場所
情報源(出典)の書き方について:文献の場合
ハイブリッドカーの虚実
本は買った方がよい
二重カギかっことイタリック体
Word の「引用文献機能」を活用しよう
論文を検索しよう
引用する理由
「トンデモ論文」の判定法
ポイント3:反対意見・反対の事例を常に探す
ポイント1:「論じるべきこと」を見つける
タイトルを付ける
「コピペ」をしようと思わなくなるための方法・まとめ
ステップ3 「引用」を活用した文章の構成
(ポイント5:「思う」は禁句)
「思い」と「意見」の違い
ポイント6:接続詞を入れる
「だから」に気をつけろ!
ポイント1:具体的な結論を出す
「引用」を活用した文章の構成・まとめ
◆“コピペと言われない書き方”の総まとめ
◆電子メールでレポートを提出する
◆チェック項目一覧
書き方チェックリスト
できばえチェックリスト
◆付録:この本で紹介したお役立ちサイト一覧
おわりに――民主主義とレポート

山口裕之 (著)
出版社 : 新曜社 (2013/7/26)、出典:出版社HP

学生による学生のためのダメレポート脱出法 (アカデミック・スキルズ)

“ダメな”レポートからの脱出

実際に寄せられた学生からの質問をもとに、レポート・論文執筆において注意すべきポイントが解説されています。また、ノートの取り方や課題提出までのスケジューリングなど大学生に必要な学習ポイントがまとめてあります。全ての大学生必携の1冊です。

慶應義塾大学日吉キャンパス学習相談員 (著), 慶應義塾大学教養研究センター (監修)
出版社 : 慶應義塾大学出版会 (2014/10/21)、出典:出版社HP

刊行にあたって

晴れて大学生となったみなさん。いろいろなことをこれから思う存分 楽しむぞと、わくわくしていることでしょう。新しい友人、サークル活 動、ボランティア、バイトにスポーツ……夢はどんどんふくらみますね。 この本は、楽しく大学生活を送るためにまっ先に手に取る本です。
これは、大学を楽しもうと思っている人のために、現役大学生と大学 院生たちが工夫をこらして書き上げた本です。本当に大学生活を満喫し ようと思ったら、勉強を避けて通ることはできません。とは言え、大学 4年間は机に向かってばかりで過ごすわけにもいかない時期です。なぜ なら、この時期はみなさんが一生をどう過すかじっくり考え決断するために、いろいろなことにチャレンジしなければならない時だからです。マ ルチタスクでいろんなことをこなしていかなければ、あっと言う間に過ぎてしまいます。授業の勉強も、ほかのことと折合いをつけながら取り 組んでいかなければなりません。この本はそのやり方をアドバイスして います。そして、勉強を他のいろいろなことと結びつけて、みなさんの 一生を豊かにするために役立つものにしていこうと提案しています。
でもみなさん、大学の勉強を楽しむにはコツが必要です。この本には、 その方法がつまっています。著者の現役大学生、大学院生たちが、みなさんと同じように大学での勉強の仕方で戸惑い悩み、先生から教わった り、先輩からアドバイスを受けたり、友だちとともに試行錯誤を繰り返 したりしながら、身につけ編み出した方法を惜しむことなく伝授してく れます。世にレポート本はたくさんありますが、それとは一味も二味も 違った学生ならではの知恵が満載されています。
どうぞみなさん、この本を読み、楽しんで勉強をするすべを身につけ、 大学生活を意義あるものとし、そうして実り多い人生の基礎を作ってく ださい。
ということでした。また、そうした悩みはレポートの書き方本を読むだけではなかなか解決できない、ということも実感できました。学生のぶつかりがちな悩みに対して、学生目線でアドバイスする。こうした視点 の本は今までなかったのではないかと思います。
18日
大学生には時間があると言われますが、実際にはそんなに暇でもあり ません。日々の学業だけでなく、サークルやアルバイト、資格試験の勉 強、インターンシップなどなど、やりたいこと、やらなければいけない こと、やった方がいいことはたくさんあります。そんな学生にとって、全ての科目・全てのレポートに十分な時間と労力を割くことは、現実的に は難しいことが多いでしょう。実際、必修科目や語学の試験準備に追われてレポートにはほとんど時間が取れない、という相談もありました。 「ここまでできれば理想的なんだけれど、そうは言っても時間が……」となるわけです。
1本のレポートにたっぷりと時間をかけた場合、他の科目の課題や試 験勉強がいい加減になってしまうこともあり得ます。サークル活動やア ルバイトとの並行も難しくなります。従来のレポートの書き方の本は、 この点についての目配りが少なかったように思います。
大学は学問の場であるというのはもっともです。しかし、そうは言っても、大学生として打ち込むサークル活動やアルバイトにも、やはり大 事な意味があるはずです。学生は欲張りであっていいはずです。サーク ル活動も社会経験もあきらめずに、学業でも一定の成果を残す。これは 実現可能です。本書には従来のレポート本には書かれていないような工 夫も盛り込まれています。私たちはこれを正攻法の工夫だと思っています。
大学に入ったばかりの学生にとって、多くの科目で課されるレポート 課題は大きな壁として立ちはだかります。レポートを書くためには、講 義を丁寧に聞き取るだけでなく、自分で問題を設定し、自分なりの問題 解決に取り組んでいかなければなりません。これは大変な作業です。しかし、それこそ大学での学びでしょうし、そこで身につけた力こそ、社 会に出たときに求められるものでしょう。
第1部では、基本的なレポートの書き方を説明しています。悩みごと に内容を分けていますので、どこから読んでも構いません。ここから、レ ポートの基本を学び取っていってください。
第2部では、基本的なレポートの書き方を踏まえて、もう少し実践的 な点について説明を行っています。失敗例を示しながら説明しています ので、自分の書いたレポートやノート、自分の立てたスケジュールと比べて検討してみてください。きっと役に立つはずです。

慶應義塾大学日吉キャンパス学習相談員 (著), 慶應義塾大学教養研究センター (監修)
出版社 : 慶應義塾大学出版会 (2014/10/21)、出典:出版社HP

Contents

刊行にあたって
はじめに
第1部 基礎編
第1章 レポートってそもそも何?何をすればいいの?
(1) レポートの大原則
(2) レポートの型
(3) レポートは読者とのコミュニケーション手段
第2章 提出まで時間がない! 最低限やるべきことは?
(1) 脱・ダメレポートのための最低ライン
(2) 課題の条件を満たす
(3) 課題別の対処法
(4) 効率よく時間を使うために
第3章 参考文献って何? どう使うの? どう書くの?
(1) 参考文献は何のためのもの?
(2) 参考文献一覧の書き方
(3) 参考文献のその他の使い方
第4章 他人の考え(引用)だらけ! どうしたらいい?
(1)なぜ引用だらけになってしまうのか
(2) 問いを立てるために
第5章 「自由に論ぜよ」って言われても、
一体どうすればいいの?
(1) テーマを設定するには
(2) テーマを設定する時の注意点
(3) テーマ設定の例
第6章 資料がうまく見つからない!
これって探し方が悪いの?
(1) 資料を探すためのキーワードがわからない?
(2) テーマや資料を限定しすぎ?
(3) どうしても見つからない
(4) その他の検索テクニック
第2部 発展編
第1章 ノートの取り方・活用の仕方
(1)「脱・板書丸写し」の心構え
(2) ノートテイキングのコツ
(3) ノートの例
(4) ノートをフル活用しよう―問いとの連関
第2章 スケジューリングの方法
(1) スケジューリングの失敗例
(2) レポートに取り組むためのスケジュール管理
(3) スケジュール例
(4) レポートの手順のポイント
(5) レポートを効率よく進めるコツ
第3章 ダメレポートを改稿する
(1) 事例1
(2) 事例2
第4章 書評レポートの書き方
(1) 書評レポートってどんなもの?
(2) 書評レポートの構成
(3) 書評レポートの失敗例
(4) 書評レポートの取り組み方
第5章 プレゼンテーションへの応用
(1) プレゼンの心構え
(2) プレゼン準備の手順
(3) スライドの悪い例、改善例
(4) プレゼンならではのポイント
(5) こんなプレゼンはダメ!
おわりに

慶應義塾大学日吉キャンパス学習相談員 (著), 慶應義塾大学教養研究センター (監修)
出版社 : 慶應義塾大学出版会 (2014/10/21)、出典:出版社HP

レポート・論文の書き方 上級

論文作成のルールがよくわかる

資料の集め方から論点の絞り方まで、論文作成におけるルールが詳解されています。参考文献の引用・注の書き方やその実例はもちろん、インターネットで得た資料の引用方法など、他に類をみない充実度となっています。

桜井 雅夫 (著)
慶應義塾大学出版会 (2003/10/9)、出典:出版社HP

まえがき

この本は、主として文系の大学と大学院の学生を対象に、論文やレポート を書く際に必要最低限の約束ごとをマニュアルふうに整理したものである。 また、これから海外の大学や大学院に進もうという学生にもマニュアルとして使えるように配慮をしている。
この本の基になったのは、私が本務校(慶應義塾大学、当時)でこれまで 学生たちに頒布してきた簡単な手引である。今回、その内容を全面的に充実 させて公刊することにしたものである。巻末にリストした類書の内容とはで きるだけ重複しないよう、随所に特色を持たせている。 「正直のところ、私自身は決して論文書きの名手でもないし、名文家でもない。素敵な論文を書く法という類いの本は巻末にリストしたので、それを参 考にしていただきたい。
このマニュアルを書いた主な理由は次の2点である。第1は、執筆のさい の約束ごとを無視した論文を何とかしたいということである。いまの学生は、 大学院生を含め、パソコンやワープロを使って一見立派なものを作る才能を 持っている。しかし、論文執筆のルールが守れるとは限らないのである。
第2は、論文の指導とはべつに、文献の引用の仕方の訓練をしたいという ことである。じつは、この本の主な目的はこの第2の点にある。指導教授が 必ずしも論文のスタイルや引用のルールを知っているとは限らない。学生が ルールを知らないのは、教師が教えないからである。
この本では文献の引用方法などについて細かいルールを紹介している。も っとも、私自身が自分の著書や論文の中でそのルールを完全に守っているわけではない。出版社が独自の基準で手を入れる場合もある。かりにルールを 守ったつもりでも、印刷の段階で各頁、各行のレイアウトの都合や校正漏れ でルールが壊れるときもある。
というわけで、この本はあくまでもひとつの手がかりとして利用していた だくものと考えている。
さいごに、この本の刊行について相談に乗ってくださった態 版会の坂上弘社長、同営業部の小林敏さん、またたくさんの細かい指示を聞き入れてくださった同編集部の村山夏子さんに心から感謝の意を表したい。
平成10年9月
櫻井雅夫

改訂版によせて
初版は学生から研究者にいたるまで大勢の方々から支持を得た。さらに多 数の大学と大学院で教材ないし参考書に指定され、著者としては大きな責任 を背負い込むことになった。このため、増刷の折に多少の加筆を行なってき たが、今回は全体を見直すこととした。まず旧版の第1部(論文執筆の基礎) を縮小してこれを類書に任せ、次に第2部(論文の体裁)を拡充することと した。とくに第2部では、1アメリカの代表的な論文作成マニュアルの内容 を初版のとき以上に紹介し、2インターネット、CD-ROMおよびディスケッ トの収録資料情報を使用した場合の引用方法等について説明し、最後に3詳 細な記述サンプル集を収録した。
索引は収録していないが、詳細な目次でそれに代えたつもりである。
平成15年8月
櫻井雅夫

桜井 雅夫 (著)
慶應義塾大学出版会 (2003/10/9)、出典:出版社HP

目次

まえがき
第1部 論文執筆の基礎
I 執筆前の心がまえ
II 論文の性格
1 論文とは
2 レポート
3 論じることと説明すること
4 論文の目的
5 論文の特質
(1) 論文のネガティブリスト
(2) 論文の論理性
(3) 権威典籍
6 論文の表現
II 論文作成の準備
1 論文の形態
2 論文の性格
V執筆の手順
1 問題の発掘
2 分析手法の選択
(1) 演繹的手法
i問題の発掘
ii 分析枠組み・理論枠組みの構築または仮説の設定
iii 分析
iv結論
(2) 帰納的手法
i諸問題の発掘
ii 当該諸問題の分析
iii 当該分析結果からの帰納
iv 結論
(3) 「起承転結」について
3 構成
V 資料の収集
1 図書館・メディアセンターの利用の仕方
2 資料の量と質
(1)量
(2)質
3 資料操作の手順
(1) 既存の文献を収集する
iブック・フォームの文献目録・索引
iiコンピュータによる検索
iiiその他
ivカード化のすすめ
(2) 資料を分析する
(3)分析結果を蓄積する
(4)蓄積したものから検索する
4 実態調査
VI 文献引用の仕方
1 カタロギング・ルール
2 カタログ
(1) カード・フォーム・カタログ
(2) ブック・フォーム・カタログ
3 文献引用・参考文献リストアップの仕方
(1) 日本語文献
i図書
ii論文
iii新聞記事
iv 邦訳書
(2) 外国語文献
VI 注の位置
Ⅷ 最低限必要な専門語
(1) 「同書」、“Ibid.”
(2) 「前掲書」、“op. cit”
(3) 頁づけ
(4) 出版年
(5) 頻繁に使用する英語、ラテン語の略語
X イタリック体とアンダーライン
1 一般的な基準
2 文献標記の基準
X 手書きか、パソコン、ワープロか
XI誤字・脱字・変換ミス・校正洩れ
Ⅻ 印刷・製本
第2部 論文の体裁
I はじめに
III 論文の構成
1前文
2本文
3 本文中の図表
4 参考事項(後文)
III 論文の見出し番号
Ⅳ 略語
V引用文献の標記方式
1 カタロギングとの違い
2 引用方式 1 – 括弧方式
(1)括弧方式の引用例
i 単著の場合
ii 共著の場合
ii べつの著者が翻訳した著書の場合
iv 同一著者の多数文献
v 著者不明(出版年も不明)の場合
vi 著者に相当する団体などの標記
vii 著者に相当する編者または編纂者がいる場合
viii 著作集の場合
ix 総合のタイトルと編者による多数巻の中で個々のタイトルを持つ巻の場合
x 総合のタイトルと1人の著者による多数巻の中で個々のタイトルを持つ巻の場合
xiシリーズ(双書)の中の著書の場合
xii 編者がいるシリーズ(双書)の中の著書の場合
xiii ペーパーバック・シリーズの場合
xiv 復刻版の場合
xv 英語以外の図書に英語を補足する場合
xvi 和書に英語を補足する場合
xvii べつの著者の著作の一部分の場合
xvii 1人の著者の著作の一部分の場合
xix 書簡・インタビューの場合
xx 学術雑誌の場合
xxi 新聞記事の場合
xxi (日米) 政府刊行物の場合
xxi インターネットを使用した場合
xxiv CD-ROM、ディスケット等を使用した場合
(2) 番号を利用する方法
(3)巻末引用文献リスト作成の約束ごと
i 単著の場合
ii 共著の場合
iii べつの著者が翻訳した著書の場合
iv 同一著者の多数文献
v 著者不明(出版年も不明)の場合
vi 著者に相当する団体などの標記
vii 著者に相当する編者または編纂者がいる場合
viii 著作集の場合
ix 総合のタイトルと編者による多数巻の中で個々のタイトルを持つ巻の場合
x 総合のタイトルと1人の著者による多数巻の中で
個々のタイトルを持つ巻の場合
xi シリーズ(双書)の中の著書の場合
xii 編者がいるシリーズ(双書)の中の著書の場合
xiii ペーパーバック・シリーズの場合
xiv 復刻版の場合
xx 英語以外の図書に英語を補足する場合
xvi 和書に英語を補足する場合
xvii べつの著者の著作の一部分の場合
xvili 1人の著者の著作の一部分の場合
xix 書簡・インタビューの場合
xx 学術雑誌・総合雑誌の論文・記事の場合
xxi 新聞記事の場合
xxii (日米)政府刊行物の場合
(4) インターネットで入手した資料の場合
(5) CD-ROM、ディスケット等を使用した場合
3 引用方式2-脚注、巻末注/後注/尾注
(1)全般
i 脚注の利点
ii 本文における注の番号の位置
iii 注の位置
iv 注のなかの略語使用、省略
(2) 図書から引用する場合の約束ごと
i全般
ii 著者名
iii タイトル
iv 版表示
v 編者名、訳者名、編纂者名
vi まえがき、はしがき、序文などの執筆者名
vii 出版事項(出版情報)
vili頁づけと巻数
(3) 図書からの引用例
i 単著の場合
ii 共著の場合
iii 双書 (叢書、シリーズ)の場合
iv 編者がいるシリーズ(双書)の中の著書の場合
v ペーパーバック・シリーズの場合
vi多数巻の文献の場合
vii 著者に相当する編者または編纂者がいる場合
viii 著者に相当する団体などの標記
ix 著者不明(出版年も不明)の場合
x べつの著者が翻訳した著書の場合
xi 著作集の場合 xii 復刻版の場合
xiii 英語以外の図書に英語を補足する場合
xiv 和書に英語を補足する場合
xv べつの著者の著作の一部分の場合
xvi 1人の著者の著作の一部分の場合
(4) 学術雑誌・総合雑誌の論文を引用する場合の約束ごとと引用例
(5) 学位論文その他の場合
(6) 雑誌記事、新聞記事などの場合
(7) 政府刊行物の場合
(8) 法律関係資料の場合
i 日本の場合
ii アメリカの場合
(9) 二次資料からの引用
(10) インターネットで入手した資料の場合
(11) CD-ROM、ディスケット等で入手した資料の場合
(12)2回目以降の引用
(13)相互参照
(14) 脚注方式の場合の巻末引用文献リスト標記例
i 単著の場合
ii 共著の場合
iii 著者不明(出版年も不明)の場合
iv 著者に相当する団体などの標記
v 著者に相当する編者または編纂者がいる場合
vi べつの著者が翻訳した著書の場合
vii 著作集の場合
viii 総合のタイトルと編者による多数巻の中で個々の
タイトルを持つ巻の場合
ix 総合のタイトルと1人の著者による多数巻の中で個々のタイトルを持つ巻の場合
x シリーズ(双書)の中の著書の場合
xi 編者がいるシリーズ(双書)の中の著書の場合
xii ペーパーバック・シリーズの場合
xiii 復刻版の場合
xiv 英語以外の図書に英語を補足する場合
xv 和書に英語を補足する場合
xviべつの著者の著作の一部分の場合
xvii 1人の著者の著作の一部分の場合
xviii 学術雑誌の場合
xix 新聞記事の場合
xx (日米)政府刊行物の場合
xxi インターネットで入手した資料の場合
xxii CD-ROM、ディスケットで入手した資料の場合
VI 文献目録(ビブリオグラフィー)の作り方
1 文献目録とは
2 ビブの形態と文献の分類
3ビブの記述と注の記述の違い
(1) 基本的な違い
(2) ビブの基本フォーム
(3) ビブ作成上の留意点
4 著者名の排列)
5 同一著者の文献を列挙する場合
VI記述サンプル集
1図書
(1)単著
(2) 2人の共著
(3) 3人の共著
(4) 4人以上の共著
(5) 著者不明(出版年も不明)
(6)著者に相当する団体など
(7) 著者に相当する編者または編纂者
(8) べつの著者が翻訳した著書
(9)著作集の著書
(10) 総合のタイトルと編者による多数巻のなかで個々のタイトルをもつ巻
(11) 総合のタイトルと1人の著者による多数巻のなかで個々のタイトルをもつ巻
(12) シリーズ(双書)のなかの著書
(13)編者がいるシリーズ(双書)のなかの著書
(14)ペーパーバック・シリーズ
(15) タイトルのなかのタイトル
(16)復刻版
(17)著者名のある序文つきの図書
(18)英語以外の図書に英語を補足するもの
(19)和書に英語を補足するもの
(20)べつの著者の著作の一部分
(21) 1人の著者の著作の一部分
(22) 会議提出ペーパー(公刊)
(23)年鑑・年報
2 学術雑誌・専門誌
3 百科事典の項目
(1)署名入りの項目
(2) 無署名の項目
4 新聞記事
5 書評
6 書簡・インタビュー(非刊行)
7 学位論文
8 議会・政府刊行物
9 国際機関刊行物
10 インターネット、CD-ROMで入手した資料

主要文献リスト
資料 資料1 論文の体裁
(1)横書きの場合
日本語の場合
1慶應義塾大学文学部の例
2慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科の例
3慶應義塾大学法学部の例
i東京大学法学部教員による論文の例
ii英語の場合
1シカゴ・マニュアルの例
2MLAハンドブックの例
3括弧方式の例
4脚注方式の例
(2)縦書きの場合
慶應義塾大学大学院法学研究科の例
1学位請求論文作成について
2『法学政治学論究』について
i慶應義塾大学法学部「法学研究』の特定論文の例
i慶應義塾大学文学部の例
iv早稲田大学出版部編『卒論・ゼミ論の書き方』の例
資料2 ユネスコ雑誌名略語リスト(抜粋)
資料3 コロンビア、ハーバード、ペンシルバニア、エール大学共通「ブルーブック』雑誌略語リスト(抜粋)
資料4 ユネスコ『国際文献目録 – 政治学』(抜粋)
資料5 『経済学文献季報』(抜粋)

桜井 雅夫 (著)
慶應義塾大学出版会 (2003/10/9)、出典:出版社HP

思考を鍛えるレポート論文作成法 [第3版]

本物の書く力、考える力が身に付く

文章を論理的・批判的に読む力が身に付きます。文献の調べ方や読み方、フォーマットに沿った書き方はもちろん、正しい引用方法や引用の必要性まで解説されています。また、資料の選び方など、“調べる力”の充実が図られています。

井下 千以子 (著)
慶應義塾大学出版会 (2019/2/6)、出典:出版社HP

はじめに

本書の目的は、レポート・論文の基本的な書き方をマスターできるよ う、考えるプロセスを支援することにあります。よりよいレポート・論 文を作成するためには書くことと考えることの往復運動が大切です。
レポートを書くのは初めてという人は、最初は「大変そう、難しそう」 と感じるかもしれません。でも、大丈夫です! ポイントをつかみ、 ルールを理解すれば、誰でも書けるようになります。 なお、本書は、次のような読者を対象としています。
●レポートを書くのは初めてという高校生、大学生
●卒業論文や修士論文を書こうとしている大学生、大学院生
●通信教育やビジネス・スクールで学んでいる社会人学生
●職場で論理的説明が求められるビジネス・パーソン
●看護・医療・介護・福祉に従事する現職者
さらに、次のような要望を持つ読者に向けて、どこをどう読んだらよ いのか、効果的な活用法を提案しています。
●初めてレポートを書くのでどうすればよいかわからない
●提出日が迫っていて焦っている
●書き方を体系的に勉強したいと思っている
●コピペでない、引用の正しい方法を学びたい
●事実と判断を峻別し、根拠に基づく伝わる文章を書きたい
自分の考えを自分の言葉で表現できたとき、レポートや論文をまだ足りないと思いながらも書き終えたときには、達成感だけでなく、自分が 少し前に踏み出せたような喜びも感じることができます。
自分の考えを明確に伝える力は、大学だけでなく、仕事の場において も、とても重要です。本書が、みなさんの思考を鍛えていくための一助 となることを心から願っています。

井下 千以子 (著)
慶應義塾大学出版会 (2019/2/6)、出典:出版社HP

Contents

はじめに
本書の使い方
第1章 レポート・論文を書く前に
1 レポートとは何か、論文とは何か
2 まずは段取り、ゴールまで見通す
3 書くことで思考が深まる
4 よりよく書くためのメタ認知
第2章 説得力のあるレポート・論文を書くために
1 思考を論理的に組み立てる
2 問いを立て、証拠を示す
3 批判的に検討する
4 読む力を鍛える3ステップ
ステップ1情報を効率的に点検する「概略的読み」
ステップ2 論理の組み立て方を理解する 「構造的読み」
ステップ3 議論を組み立てる「批判的読み」
5引用を的確に示す
第3章 レポートを書く
1 レポートの型を見極める
2 レポートのイメージをつかむ
3 レポート作成の5ステップ
ステップ1 論点を見出す
ステップ2 調べる:流動性で速報性のある情報を収集する
ステップ3 組み立てる
ステップ4 執筆する
ステップ5 点検する
第4章 論文を書く
1 論文を書く前の心構え
2 卒業論文、修士論文に取り組む意味
3 論文の型と研究方法
4 論文作成の5ステップ
ステップ1 テーマを決める
ステップ2 調べる:体系的で信憑性のある情報を収集する
ステップ3 組み立てる
ステップ4 執筆する
ステップ5点検する
5 調査や実験を実施する際の「研究倫理」について
第5章 レポート・論文の作法を学ぶ
1 題名のつけ方
2 定義の仕方
3 引用の示し方、文献リストの書き方
4 パラグラフの書き方
5 事実と意見を区別する一記録物・報告書でも重要
6 わかりやすい文章を書くために
第6章 プレゼンテーションを成功させる
1 プレゼンテーションのポイント
2 パワーポイントの作成
3 レジュメの作成
付録1 論証型レポートの見本レポート
2 文献研究による仮説論証型論文の見本レポート
3 実証研究による仮説検証型論文の見本レポート
4 自己点検評価シート、ルーブリックについて
5 参考となる文献の紹介
6 図表一覧
索引
あとがき

本書の使い方

本書の特徴
レポート・論文作成を通して、本物の 「書く力」「考える力」をつけることが、 この本、1冊でできます。
●フォーマットには、思考の道筋が埋め込まれています
●何を、どう検索したらよいか、引用したらよいかがわかります
●見本レポート・論文を参考に、自力で書くことができます
●索引を活用し、〈辞書〉のように使えば、論理的な思考法を身につけ、本格的なレポートや論文を書くことができます
●図解や自己点検評価シートを使うと、ポイントが素早く理解できます
●携帯やスマホなど身近な話題を用いてわかりやすく解説しています

執筆する前の準備
レポートや論文は、パソコンに向かっていきなり書き出せるものでは ありません。初めて書くという人や提出日が迫っている人は、まず、本 書で提案しているフォーマット (pp.68~69、87、95) を使って、自分 の頭の中に、思考の道筋を作ることからはじめてみましょう。時間に余 裕のある人は、何本か論文を調べ、ざっと目を通してみてください。定 型的な表現があることがわかります。そうすると、自分で文脈に合わせて表現を選んで使えるようになります。
作成に取りかかる前に、次の2つのことを必ずやってみましょう。

型を見極める:自分が書こうとしているレポート・ 論文は、どの型か、図解(pp.40~41、79~80)を 使って見極めてください。

イメージをつかむ:見本レポート・論文 (pp.134~ 152)を見てイメージをつかんでください。「なるほ ど、こう書くのか」「文字数はこれくらいか」など、 分量の目安、題名や見出し、引用の仕方、論理を示す接続表現に注目してください

レポート・論文作成の5ステップ
次の5つのステップを行きつ戻りつ、書くことと考えることの往復 運動を繰り返しながら、よりよいレポート・論文をめざしましょう。
ステップ1 テーマを決める論点を見出す
・素朴な疑問を大切に、資料を徹底して調べ、 テーマが決定するまで、広げては絞り込む往復 運動を繰り返す
・レポート課題で、テーマが提示されている場合 は、テーマに関するキーワードを使って、思考 を整理し、論点を絞り込み、下調べに入る

ステップ2 調べる
下調べ:テーマに関する概略的知識を得ることを目的とし、検索エンジンや事典などで調べる
文献検索:図書館で蔵書検索(OPAC)やデータベースによる検索(図5、表5: p.50~51)を行い、資料を収集する
文献入手:資料を読み込み、芋づる式検索などにより、さらに情報を収集する

ステップ3 組み立てる
・論点を定め構造を組み立てるため、主題文を書く
・問いを立てる、アウトラインを作成する
・仮の題名をつける。

ステップ4 執筆する
・初心者:フォーマットを用い、見本レポート・論文を参考に執筆する
・経験者:アウトラインをもとに執筆する
・キーワードとの整合性を考え、題名を決定する

ステップ5 点検する
・自分で:自己点検評価シート(ルーブリック、付録5:pp.153~161)でチェックする
・授業で:見開きシートを A3用紙に拡大コピーし、ペアやグループで点検し、互いに 学びあう

効果的な活用法

井下 千以子 (著)
慶應義塾大学出版会 (2019/2/6)、出典:出版社HP

最新版 大学生のためのレポート・論文術 (講談社現代新書)

入門一歩前の基本がわかる

レポート作成における正しい知識が身に付きます。レポート・論文作成で欠かせない「ネット検索」における上手な活用法についても書いてあります。また、誰にも訊けないような内容も丁寧に解説されているため、初心者向きの1冊です。

小笠原 喜康 (著)
出版社 : 講談社 (2018/10/17) 、出典:出版社HP

はじめに

本書は、『大学生のためのレポート・論文術』の最新版である。『初版』から一六年、『新版』からも九年近くがたった。『初版』から『新版』への時期は、インターネットの普及が進んで、ネット検索が開発・発展し始めたころであった。それからこの間、そのネット検索の方法が改善され、ある程度定まってきた。

そこでこの『最新版』では、その検索方法を中心に書きなおすことにした。他に、いわゆる電子本、それもKindle版の普及は、引用表記を難しくしたので、それも新たに書きくわえた。また、全体を見直して修正を細かにくわえた。『初版』・『新版』にひきつづき、みなさんのレポート・論文執筆の一助にしていただければと願う。

最近、学士力とかジェネリック・スキルというコトバがいわれるようになってきた。これまでも、いろいろな「力」のコトバがいわれてきたので、一時のはやりかもしれない。もっとも、このコトバには具体的な中身がなく、意味不明である。「~力」などというのには、注意した方がいい。おおむね、私たち一人ひとりの生き方のためというよりも、経済界や国家からの、押しつけ人間像だからである。

とはいうものの、近年の人工知能(AI)の急速な進歩は、人びとの能力観に変化をもたらしつつあるようにみえる。なにかよくわからないが、人間という自分がAIに追いこされ、ゴミ箱に棄てられてしまうのではないか、という漠然とした恐れを人びとは抱いている。

こうした時代、ある種いい古されたコトバではあるものの、あらためて「考える力」が求められている。このネットとAIの時代、知識はキーをたたけば、たちどころに引きだせる。だから、知識よりも考える力だというわけである。もちろんこれも、「~力」というのだから、かなり怪しいところがある。とはいえこの時代、たしかに細かい知識の記憶量の価値は、相対的に下がっている。

では、この時代どういう知識や力が求められるのか。だが、知識と「~力」とは、別々のものでも、知識から考える力へ、といったものでもないことには注意しなくてはならない。知識も「~力」もじつは一緒で、共に世界への自分のかかわり方の別名にすぎない。そこに、自分の世界、自分のかかわりがなくては、どんな知識もどんな力も、スマホの画面を流れていく一時の根無し草にすぎなくなる。

では、自分の世界、自分のかかわりである、知識や「~力」をつけるにはどうしたらいいのか。ここで注目されるようになってきたのが、あたりまえといえばあたりまえであるが、論文を書く力である。論文を書くには、必要な情報を検索して、問題点を絞りこみ、筋道をたてて表現しなくてはならない。こうした、探求力、構想力、論理力、表現力を総合的に身につけられるのが論文を書く作業である。

こういうとすぐに、論理的思考や文章の本を読もうとする人がいる。だがそうした本をいくら読んでも、筋道だった文章が書けるようにはならない。なぜなら論理は、自分がつくるものだからである。必要なのは、自分の文章と格闘することである。そしてその格闘のために、より細かなところに気をくばることである。人間は、頭の中で考えずに、外の紙などに書いて、それをみつめて考えるようになったので、より複雑なことができるようになった。つまり、人間にとって大切なのは、頭の外で考えることなのである。

本書は、こうした考えから、最初に論文の形式をのべてある。それも、あたりまえの、いってみれば、些末な、くだらないとみえることから始めてある。これは、『初版』から変わらない、筆者の基本スタイルである。初学者にとっては、こうしたことが一番助けになるからである。そして、なにより基本ルールをきちんと守ることが、クリティカル(鋭敏)な論文につながるからである。

最近は、形式的なパラグラフ・ライティングを最初に書くことを勧める論もある。だが、最初からそのようなものを書けるなら、なにも苦労はしない。文章において、パラグラフを意識するのは重要である。だが現実の論文作成は、もっと泥臭く、もっと逡巡し、もっと後悔的である。簡単ではない。自分との闘いである。

厳しいことを最初にいうのは良くないかもしれない。しかしそうした、泥臭さや逡巡や後悔が、論文の出来不出来より重要である。その苦しさの中で、自身があらわれてくるからである。結果ではない、過程である。論文は、近代の中で分断され商品化された個をとりもどす、ポストモダンの自分物語りである。どうかあなたの論文の中に、あなた自身をみつけてもらいたい。

二〇一八年アジサイのころ
筆者

小笠原 喜康 (著)
出版社 : 講談社 (2018/10/17) 、出典:出版社HP

目次

はじめに

1.レポート・論文のあたりまえの基本
1.1.レポート・論文の共通の書式とレイアウト
【ヒント1 Wordの頭を悪くする】
1.2.書き方の基本ルール
【ヒント2 アタマそろえの方法】
《1章 書式と表記法のまとめ》

2.レポート・論文の基本ルール
2.1.引用文の表記法
2.2.注釈・引用・参考の本文中の表記法
《コラム1 コピペは悪いことか?》
2.3.注釈・引用文献・参考文献の文末一括表記法
2.3.1.従来型の一括表記のきまり
(1)従来型の【注釈】のきまり
(2)従来型の【引用・参考文献】一覧のきまり
2.3.2.近年型の表記のきまり
(1)近年型の【注釈】のきまり
(2)近年型の【引用・参考文献】一覧のきまり
【ヒント3 英文の間延びを防ぐ方法】
2.3.3.Kindle本の引用表記
2.3.4.その他の資料
(1)インターネット資料の表記
(2)新聞記事の表記
《2章 引用・注釈などのまとめ》
《2章 注釈と文献一覧の表記法のまとめ》

3.文献・資料の集め方(テーマを絞る)
3.1.下調べの三つの方法
3.1.1.統合型辞書での下調べ
(1)Yahoo!辞書
(2)Weblio辞書
2. Wikipediaでの下調べ
3.1.3.Webでの下調べ
(1)Web検索の基本
(2)ドメイン検索
3.2.文献検索の三つの方法
3.2.1.Googleで.pdf検索
3.2.2.CiNiiなどのデータベース検索
3.2.3.その他のWeb検索
(1)研究機関のHP上の文書検索
(2)個人のHP上の文書検索
3.3.文献入手の方法
3.3.1.大学等の研究機関の図書館の所蔵情報確認
(1)論文の場合的
(2)図書の場合
3.3.2.公共図書館の所蔵情報確認
【ヒント4「やみくも・イモヅル・ねらいうち」文献資料収集】
3.4.さまざまな情報を探す方法
3.4.1.新聞情報
3.4.2.統計情報
3.4.3.情報への統合インデックス
3.4.4.さまざまな分野の役立ちサイト

4.レポート作成の基本
4.1.レポートの種類による基本構成
4.1.1.現地調査報告型レポートの形式
4.1.2.実践研究報告型レポートの形式
4.1.3.アンケート調査報告型レポートの形式
4.1.4.文献調査報告型レポートの形式
4.1.5.テーマ論証型レポートの形式
4.2.レポート提出時の注意点
4.2.1.通常提出の場合
4.2.2.メールによる提出のときの注意点
【ヒント5 図表を入れてわかりやすく】
4.3.パワーポイントを使ったプレゼンの基礎
4.3.1.パワポ・レイアウトの四つの基本
(1)ジャンプ率
(2)図版率
(3)グリッド拘束率
(4)版面率
4.3.2.パワポ「べからず」集
(1)パワポの画面は小さい
(2)アニメーションに凝らない
(3)書体をいろいろ使わない。

5.卒業論文の執筆
5.1.スケジュールをたてる
【ヒント6 資料は汚して読む】
【ヒント7 スマホでメモ・ノート】
【ヒント8 人の頭を借りる】
【ヒント9 執筆まっただ中のコツ――付箋を使う】
【ヒント10 “超重要”USBを捨ててクラウドを使おう】
《コラム2 論文と赤ちゃん》
5.2.卒業論文の構造
5.2.1.文献研究論文の基本構造
5.2.2.文献研究論文構造を詳しくみると
(1)序章の構成
【ヒント11 読む価値のある文献の見分け方】
(2)第1章~終章・資料・文献の構成
《コラム3 論文は人のふんどしで相撲をとるようなもの》
5.2.3.調査・実験研究論文と短い研究論文の基本構成
(1)調査・実験研究論文の基本構成
(2)短い研究論文の構成
5.3.論文の題名を決める
5.4.論文を整える=「瀬戸テク」
5.4.1.基本書式テク
(1)章題名書式
(2)節題名と項題名の書式
(3)図表の表記
(4)注釈・参考資料の表記
(5)引用・参考文献の表記法と文献リスト
5.4.2.論述テク
5.5.校正記号の使い方

6.わかってもらえるレポート・論文を書くために
6.1.文章のわかりやすさをつくる唯一の原則
6.2.その他の効果的なテクニック
6.3.わかってもらえるレポート・論文の三つの条件
6.3.1.自分のコトバで語る努力をしている
《コラム4 自分の考えを創る》
6.3.2.先人を少しでも乗り越える努力をしている。
《コラム5 ダメ論文アラカルト》
6.3.3.読む人を説得する努力をしている
6.4.論文不正の種類
《コラム6 論理的な文章を書いてはならない》

おわりに

小笠原 喜康 (著)
出版社 : 講談社 (2018/10/17) 、出典:出版社HP

大学1年生のための 伝わるレポートの書き方

調べる・考える・書いて伝えるの3本柱を意識

大学では、論理的な文章を書けることが当たり前のスキルとして求められます。しかし、最初から完璧なレポートを書ける人はほとんどいません。本書は、「調べる・考える・書いて伝える」の3つの段階にわけてレポートを楽しんで書くコツが解説されています。初心者向けのレポート作成入門書です。

都筑 学 (著)
出版社 : 有斐閣 (2016/4/18) 、出典:出版社HP

まえがき

大学生にレポートはつきものだ。一度もレポートを書かずに卒業する学生は,まずいないだろう。

私も,学生時代に何本かのレポートを書いた。当時は,手書きするしかなかった。大学にコピー機もなかったので,手元には残っていない。どんなレポートを書いたかも覚えていない。

「学生時代に,レポートの書き方を教わったという記憶もない。図書館で本や資料を借りたりして,自己流に書いたりしたのだろう。そうやって,何とか仕上げていたのだと思う。

今は,授業で,レポートの書き方を教える大学も珍しくない。学生にとっては,大変よい時代になったものだ。

インターネットで検索すると,「レポートの書き方」の本は,百数十冊も出てくる。大学生全般を対象にしたものもある。特定の学問分野の学生向けのものもある。そうした本を読みながら,レポートを書く学生も大勢いることだろう。

本書は,そうした類書の一員に新たに加わるものである。目次を見てもらうとわかるように,3部構成になっている。第1部は,調べる。第2部は,考える。第3部は,書いて伝える,である。順々にたどれば,レポートは完成。もしそうであれば,こんな楽なことはない。レポートは,三段跳びではない。ホップ・ステップ・ジャンプとは行かないのである。調べる,考える,書いて伝える,の3つの段階。それらを行きつ戻りつ,進むことになる。そんなふうにして,レポートの中身が充実したものになっていくのだ。

レポートを書く動機はさまざまだと思う。どうせ書くならば,嫌々ではなく,楽しく書きたい。そんなふうに行きたいものだ。本書には,そういう気持ちが込められている。

本書が対象としているのは,初めてレポートを書こうとしている人だ。課題を出されたものの,どこからどんなふうに取り組めばよいか見当もつかない。そんなふうに思っている人には,是非読んでもらいたい。各章の最後には,ポイントがまとめられている。それに目を通してから本文を読んでもらうと,理解が深まると思う。

レポートを書いたことがあるが,どうも不満である。そんなふうに感じている人にも,本書を薦めたい。3つの段階のどこかに不十分さがあるようだ。自分なりに,何となく感じている人は,気になるところから読んでもらえればいい。自分なりに納得がいく箇所があれば,参考にしてもらいたい。

書くという行為は,自分との対話である。伝えたいという自分の意図を自覚する。それを書き言葉として表現していく。どうやったら,周囲の人にわかってもらえるか。どうしたら,興味深く読んでもらえるか。そういうことを自問自答しながらレポートを書いていく。それが,とても大事なことなのである。そういうプロセスを経て,書くという行為は上達していく。

話し言葉は,録音しなければ,その場で消えていく。書き言葉は,文字として残っていく。「文は人なり」と言われる。どういう文章を書くかは,その人自身を表すのだ。

文章を書くということは,一生ついて回るものである。大学生活で培った書く力は,卒業後も大いに役に立つ。本書を参考にして,楽しみながらレポートを書いてもらいたい。それを通じて,書く力を身につけてほしい。本書を通じて,書くことの楽しさを感じる学生が増えていく。それは私にとって,何よりの喜びである。

○著者紹介

都筑 学(つづき まなぶ)
1951年 東京都生まれ
1975年 東京教育大学教育学部卒業
1977年 東京教育大学大学院教育学研究科修士課程修了
1981年 筑波大学大学院心理学研究科博士課程単位取得退学
1997年 博士(教育学)中央大学
現職 中央大学文学部教授
専門 発達心理学,青少年の時間的展望の発達
主要著作
『高校生の進路選択と時間的展望——縦断的調査にもとづく検討』(ナカニシヤ出版,2014年)
『今を生きる若者の人間的成長』(中央大学出版部, 2011年)
『中学校から高校への学校移行と時間的展望———縦断的調査にもとづく検討』(ナカニシヤ出版,2009年)
『小学校から中学校への学校移行と時間的展望――縦断的調査にもとづく検討』(ナカニシヤ出版,2008年)
『大学生の進路選択と時間的展望——縦断的調査にもとづく検討』(ナカニシヤ出版,2007年)
『心理学論文の書き方――おいしい論文のレシピ』(有斐閣,2006年)
『あたたかな気持ちのあるところ――いま,希望について』(PHP研究「所,2006年)
『希望の心理学』(ミネルヴァ書房,2004年)
『大学生の時間的展望――構造モデルの心理学的検討』(中央大学出版部 1999年)

目次

まえがき

序章 レポートを楽しんで書くコツ
なぜレポート・レジュメを書くのか 課題の意味を捉え直す 読み手を想像して書く レポートを書くということ

第1部 調べるInput

第1章 知的好奇心をもつ
疑問を大切にする 何事にも興味関心をもつ 学問分野にとらわれず貪欲に学ぶ セレンディピティ 耳学問 メモを取る

第2章 批判的なまなざしを養う
真理とは何か 常識を疑う ウラを取る 審美眼を鍛える 批判的思考 相対化してみる

第3章 徹底的に調べる
調べることの大切さ 調べまくる・集めまくる 情報を取捨選択する インプットなくしてアウトプットなし 丈夫な野菜づくりは土づくりから始まる ネット検索を活用する

第2部 考える―Construct

第4章 コンセプトを明確にする
頭の中を整理してみる 伝えたいことを明確化する 概念の定義を大切にする セールスポイント タイトルに明示する 自分の頭で考える

第5章 柱立てをつくる
話の筋立てを考える プロットをつくる プロットをつくったら寝かしておく プロットと材料を見比べる 具体例を入れる プラニング

第6章 論理の一貫性を大事にする
全体と部分の関係性を意識する 論理的なつながりが大切 原因と結果——要因・影響 先行研究を頼りにする 論理の飛躍に気をつける レビュー論文

第3部書いて伝える Output

第7章 厚みのある文章を書く
丁寧に説明する 自分で内容をわかっているか確認してみる 分厚く書く 縦横を意識して書く——時間軸と空間軸 情報を集めて書く 推敲しながら書く

第8章 科学の世界の文章作法を知る
人の文章を盗まない 引用と無断借用 自分の感情を挟まない 明晰な説明を心がける 一文 一義を心がける 一段落に一つのことを書く

第9章 効果的に伝える・見せる
ワープロに騙されない 図表を効果的に使う 写真やイラスト 体裁を工夫する 構成を考え る アウトライン機能を利用する

終章 書くことの楽しさを身につける.
自分でテーマを見つけて書いてみよう 書き終えるまでのスケジュールを立ててみる 書いたレポートをブ ラッシュアップさせよう レポートを書く頭をつくろう

あとがき
索引
(イラスト:ひのあゆみ)

都筑 学 (著)
出版社 : 有斐閣 (2016/4/18) 、出典:出版社HP

序章 レポートを楽しんで書くコツ

大学教師になって,30年以上になる。これまでたくさんのレポートを読んできた。レジュメの発表も数多く聞いてきた。そのなかには,面白いものも,つまらないものもあった。いいものも,悪いものもあった。
なかには,どこかの本に書いてあることを,そのまま引き写してきたようなレポートもある。どんなに立派なことが書いてあっても,それはダメなレポートだ。他人の意見をまとめるのは勉強になるかもしれないが,それだけではレポートにはならない。他人の意見と自分の意見を区別する。それがレポートでは大事になる。自分なりの考えがちょっとでも書いてある。そんなレポートは,読みながら興味を惹かれる。伝えたいという思いが溢れているものもある。そういうレポートは,読んでいて楽しいものだ。
4年間の大学時代には,いくつものレポートを書くことになるだろう。同じ時間をかけるのなら,自分でも「やった」と思えるようなものにしてもらいたい。そういうレポートを仕上げてもらいたいものだ。レポートを書くたびに工夫を加える。そうやって,上達していくものだ。大学教師としての私は,そんなふうに思っている。
大学教師生活のなかで,文章を書くときの要領も,それなりにつかめてきた。レポート作成には,これが正解というものはない。それでも,ポイントを知っておけば,役に立つはずだ。本書では,その極意をできるかぎりやさしく,誰にでもわかるように伝えてみたいと思う。世の中には,ハウツー本やマニュアル本が溢れている。本書はマニュアル本ではない。いくつかのコツが書かれているだけだ。全部を真似する必要はない。気に入ったところがあれば,ちょっと使ってみてほしい。それでレポートを書くのが楽しくなればそれに越したことはない。

なぜレポート・レジュメを書くのか

イギリスの登山家ジョージ・マロリーは,3度エベレスト登頂に挑んだ。残念ながら,3度目の登頂で遭難してしまった。彼は,生前,「なぜ,あなたはエベレストに登りたいのか」と問われたことがあった。そのとき,「そこに山があるから」と答えたそうだ。マロリーが3度もエベレスト登頂に挑んだのはなぜだろうか。きっと登頂という行為のなかに何らかの楽しみを見出したからだろう。だから死を恐れずに,彼は山頂を目指したのだと思う。75年後に遺体で発見された彼には,それをもはや語ることはできなかったが。
ここで,あなたに問いを出してみよう。「なぜ,あなたはレポートを書くのか」。その問いに対して,あなたはどんなふうに答えるだろうか。
「誰にでもすぐ思い浮かぶ答えがある。それは,「先生が課題としてレポートを出したから」というものだ。授業の一環として出されたものだったら,誤りとはいえない答えだろう。でも,これは形式的な答えであって,内容的な答えにはなっていない。
みなさんは,レポート・レジュメという山に登ろうとする。山までとはいかない,丘かもしれない。それでも,みなさんにとっては大きな課題といえるだろう。みなさんが,その山を登るのはなぜなのか,あらためてそれを問い直すところから始めてみよう。
それでは,もう一度,先ほどの質問を繰り返すことにする。「なぜ,あなたはレポート書くのか」。
それに対して,「単位がほしいから」と答える人もいるかもしれない。これは実に正直な答えだ。大学生にとって,授業の単位は重要な意味をもつ。1単位でも不足していたら卒業できない。レポートを出さなかったら,どうなるだろうか。1年間休まずに出ていた授業の単位がもらえないことになるかもしれない。だったら,どんな内容でもいいから,レポートを出そうと思う。それも一案かもしれない。「時間があまりないから,ネット検索して,とにかくコピペしてレポートを出してしまえ」。そんなふうに思ったとしたら,要注意。どこからか,教育的指導の笛が「ピーッ」と鳴りますよ。危ない,危ない。
それでは,「なぜ,あなたはレポートを書くのか」。さらにもう一度,質問を繰り返してみよう。
レポートを書くことは,どういう意味があるのだろうか。その課題を出した先生と真っ正面から向き合う。そこからレポートを書く作業は始まることになる。先生が何を求めているのか考えてみる。その問いの意味を深く考えてみることが,まず最初に大事なことなのだ。そうしたことについて深く考えずに,とにかく書き始めたりする。そうすると,後で収拾がつかなくなったりするものだ。何事も最初が肝心。
みなさんのなかには,文章を書くことが好きだという人がいるかもしれない。文章を書くのは苦手という人もいるかもしれない。小学校から高校まで,学校ではさまざまな課題が出されてきたと思う。たとえば,読書感想文や修学旅行に行った報告など,いろいろな,とを書く機会があっただろう。そうした文章とレポートやレジュメは,どこがどう違うのだろうか。それについてちょっと考えてみた
読書感想文は,本を読んだ後で自分が感じたことを書けば,それでよい。一方,課題図書が出されて,レポートの提出が求められたときはどうだろうか。たとえば,「日本経済の状況について論ぜよ」とか,「エミリー・ブロンテの生き方について,あなたの考えを述べなさい」という課題だったとしよう。「日本経済は厳しい」とか「ブロンテの生き方はすごい」というような個人的な意見を書いてもダメだ。課題図書に関係する本を少なくとも2,3冊,できれば10冊ぐらいは読んでほしいものだ。もちろん本にかぎらず,論文でもいい。レポートを書く前には,そんな準備が求められるのである。

課題の意味を捉え直す

レポートの課題には,定型的なものがある。「~について論ぜよ」とか,「~について述べよ」というものが多い。では,「論じる」とか「述べる」というのは,どういうことなのだろうか。あまりにも自明のような気がして,わかってしまったように感じるかもしれない。しかし生半可にわかったつもりになっているだけでは,物事はうまく進まない。そんなときには,その言葉について,まず辞書で引いてみるのがよい。

「論じる」の「論」には,こんな意味がある(デジタル大辞泉)。
① 物事の筋道を述べること。また,その述べたもの。意見。
② 意見をたたかわすこと。議論。論議。
③ インドの仏教学者が著した協議の綱要集。論書。また,狭義の注釈などをした文献。論蔵。
④ 漢文の文体の一。自分の意見を述べる文。

こんなふうに辞書を引くと,「論」には四つの意味があることがわかる。その中から,レポートに関係しそうなところを抜き出して考えてみると,次のようになりそうだ。

レポートとは,自分の意見を筋道立てて述べるものである。
レポートとは,自分の意見と他人の意見との異同を示すことである。

課題図書を出されたら,それだけではなく,それ以外の本も読んでほしいと書いた。それは,多様な視点から,考えてみることが大事だということを意味しているのだ。一つの本だけ読んでいたら,一つの視点しか得られない。複数の本を読めば,賛成の意見も反対の意見も書かれている可能性がある。そうしたいろいろな意見が書かれている本を探して読んでみる。そうしたこともまた重要なことなのである。
そうした読書は,本の書き手との対話でもある。何を言いたいのか,何が主題なのか。それを考えながら,本を読み進めていくのだ。「自分はこう思うけど,筆者は違った意見だ」。「筆者の意見は,なるほど納得できるものだ」。そんなふうに考えながら,読み進めていくと,理解も深まっていく。それが書き手との対話ということである。
そうした営みは,出されたレポートの課題の意味について,自分の生活とつなげて考えてみることにも通じる。「日本の経済状況」や「エミリー・ブロンテ」と自分との接点は何か。どこかに関係性がありそうだと考えてみるのだ。接点は,必ず何かあるはずだ。
「日本の経済状況」は,人々の日々の暮らしと関連している。たとえば,あなたがコンビニでアルバイトをしているとする。そうしたら,「近頃売れ行きの良い商品は何か」と考えてみる。それだけで,「日本の経済状況」はぐんと身近なものになる。
「エミリー・ブロンテ」についても,同じことが言える。彼女が「書いた小説が映画化されているものを観る。そのことで,あなたの心に強く響くものを見出すことができるかもしれない。
こんなふうにちょっとした工夫をしてみる。そこから,自分との接点を見つけることができたとする。そうなれば,レポート課題は,単なる授業の課題ではなくなる。レポート課題は,自分にとって必然性をもったテーマになるのだ。レポートを書くのも容易になるし,リアリティも増すことになる。書いていて,楽しいレポートになるに違いない。

読み手を想像して書く

レポートは,自分の意見を筋道立てて書いていくものだと述べた。ただ単に,「すごい」とか「素晴らしい」と書いただけではダメだ。ただの感想文になってしまう。自分の思いをあれこれ述べただけで「はダメなのだ。自分の意見と本に書かれている意見を区別することも大事だ。事実と考察を区別することも大事なことなのである。
「誰々は,こう述べた。他の誰々は,こう述べた。私は,こう考える」。こういうことを書き連ねても,面白いレポートにはならない。そういうレポートは,自分が勉強したことを,整理しただけに留まってしまう。ただの読書メモか,備忘録である。
そこで考えなければならないことがある。それは,そのレポートの読者は誰なのかということだ。もちろん,その答えは,レポートを出した教員である。その読み手が,どんなふうにレポートを読んでくれるのか,想像したことがあるだろうか。誤字脱字が多ければ,「なんだ,このレポートはきちんとしていない」と思わせるかもしれない。今どきはパソコンを使ったレポートが主流だ。美しい手書きのレポートなら,強い印象を与えるかもしれない。書き殴ったような手書きのレポートなら,読む気が失せるかもしれない。
自分が精一杯勉強したことを書くときに,それを読んでいる先生の顔を思い浮かべてみる。そうしながら,レポートの文章を書き進めていくのだ。レポートを書きながら,その途中で考えてみる。「別の表現のほうが伝わるだろうか」。「ここはわかりにくいかな」。そういったことを自問自答してみるのである。ニコニコした先生の顔が思い浮かべば○,しかめっ面だったら×。そんなふうにしてレポートを書いていく。そうすれば,よりリアルな伝わりやすい文章になっていくものだ。
レポートは論理的な筋道だったものでないといけない。客観的で学問的な知識に裏づけられたものでないといけない。それはそうなのだが,他方で,無味乾燥なものでもいけない。他の誰が書いても同じようなレポートになってしまう。それだったら,あなたが書く意味がない。レポートの背後に,書き手の伝えたい熱い思いが垣間見られるレポートは,読んでいてワクワクするものだ。学問的な文章の作法に則りながら,自分の思いを伝えること。それがレポートを書くうえで大切なことなのだ。そのためにも,レポートの読みを意識して書くことが求められるのである。

レポートを書くということ

ここまで読んできたあなた。レポートの書き方のポイントが少しはわかっただろうか。まだよくわからないと思っているあなた。心配することはない。本題はこれから始まるのだから。「習うより慣れろ」という諺があるが,闇雲に練習してもダメだ。自分勝手の無手勝流では,いつまで経っても上達しない。レポートも同じである。
何事も最初が肝心。文章を書くときにも,それは当てはまる。レポートを書くには,それぞれのステップでコツのようなものがある。それがわからないままにレポートを書いてもうまくは進まない。本書は,もっと水準の高いレポートを書いてみたいと思う人に向けて書いたものだ。そういう気持ちをもった人の手助けとなるようなことをまとめてみた。
レポートを書くには,三つの段階がある。第1は,調べる段階。材料がなければ料理ができないように,レポートを書くにも素材が必要だ。それを得るためには,図書館に行って本を借りたり,新聞を読んだり,雑誌に目を通したりする必要がある。今どきだったら,パソコンやスマホを使って,ネット検索をするという手もある。とにかく頭の中に,レポートの素材を蓄える作業から始めるのだ。それがある程度できたら,次の段階に進んでいくことになる。
第2は,調べたことにもとづいて考える段階。考えるときにも,いろいろな工夫が必要だ。手帳や紙にメモしていくと,自分が何を考えているかを可視化することができる。自分でも確認できるのだ。私は,ちょっと長い文章を書くときには,必ず手書きのメモを最初に作るようにしている。そのメモをもとに,さらにメモを新たに作り直すこともある。何度かやっているうちに,自分の考えがまとまっておおよその構成ができてくる。今どきは,パソコンを使って,こうした作業をやることもできるだろう。考えが整理できたら,次の段階に進んでいくことになる。
第3は,考えたことを実際に書く段階。私の学生・院生生活を過ごした1970年代にはパソコンもワープロもなかった。レポートや卒業論文・修士論文は,すべて手書きだった。今どきは,小説家でもパソコンで執筆する時代だ。学生もパソコンのワープロ・ソフトを使って,レポートを書いている。第2段階までに考えたことにもとづいて,パソコン画面を前に,キーボードを打つ作業となる。
それぞれの段階において,ポイントになることがある。それらを第1章から第9章までにまとめてある。実際に,レポートやレジュメを作成するときの参考にしてもらえればと思う。では,ホップ,ステップ,ジャンプと進めていこう。

CHECK POINT
1 「なぜ,あなたはレポートを書くのか」について考えてみよう。
2 書き始める前に,課題を出した先生が何を求めているのか,その問いの意味を深く考えてみよう。
3 読書感想文は本を読んだ後で自分が感じたことを書けばよい。レポートは,それとは異なり,自分の意見を筋道立てて述べるものである。
4 レポートのための読書は,書き手との対話である。自分の意見との違い,自分との接点を見つけてみよう。
5 レポートの読者は誰なのかを意識して,自分の考えを伝えよう。
6 レポートを書く作業には,三つの段階がある。①調べる段階,②調べたことにもとづいて考える段階,③考えたことを実際に書く段階。

都筑 学 (著)
出版社 : 有斐閣 (2016/4/18) 、出典:出版社HP