一生つかえる速読力が3週間で身につく本 − 速読は練習で誰でもできるように

著者は日本速読・記憶法セミナーの速読のインストラクターである安藤一郎氏。わかりやすいレッスンに定評がある。本書は9章で構成されており、「速読とはどういうことか」から「速読の効果」「速読のトレーニング法」まで紹介されています。

速読は努力の賜物

 「速読のコツ」を聞かれる方は、速読は特殊な読み方をしていて、その読み方さえ知っていれば劇的に読書スピードが上げると思われているのかもしれませんが、残念ながらそんな特別な技術は存在しません。(中略) 速読も、トレーニングをしっかり行えば、ほとんどの方が今よりもっと速いスピードで本を読むことができるようになります。

速読は特別なことだと思っていた。特殊な読み方を持っていて、限られた人間しかそれはできないのではないかと。そんなことはないらしい。コツはあるらしいのだが、練習次第で速く読めて、しかも理解もしっかりできるのだそうだ。

速読をする前に、まず自分の読みを知ることが必要。スピード、内容の理解度、流れ重視か詳細重視か、口元は動いていないかなどを客観的に確認する。このことは速読していく中で、どこが悪いのかを考えるときに役立ちます。

速読トレーニング

・1週目:速読目をつくる
・2週目:スピードに慣れる
・3週目:スピードと理解のバランスをとる

毎日1時間〜1時間半を目安にやっていくらしい。結構大変そう。

人の目は一直線に文章を読んでいるわけではなく、複数の文字をカタマリとして捉えて、点々と読んでいる。自身の読むときを思い浮かべるとにそうなっている気がするのではないでしょうか。読むのが速い人と遅い人の違いはこのカタマリの大きさの違いです。3文字しか一気に認識できない人と10文字も一気に認識できる人では差がでます。このように一目で広い範囲を認識できるようにすることが必要なのだとい言います。難しそうだが練習すればできるようになるらしいです。

「速さ」と「理解力」と「記憶力」

ただ速いだけでは使える速読とは言えません。しっかり理解して尚且つ速いというのが理想です。書かれた状況についてしっかりとイメージしながら読むことで理解しやすくなります。そして読んでも覚えていなければ意味がありません。覚えていても思い出せなければ意味がありません。こうした部分もトレーニングで鍛える必要があります。

多少わからなくても気にしないという気持ちも大切とのことです。通常の4〜5倍で読もうとしているからわからなくて当たり前です。しかしそのペースを保って読んでいくと段々と分かるようになるらしいです。

読んだ後は確認作業をすることで、自分の読めていないところも確認できて上達するとのこともあり、これはどんな勉強にも通じていることではないでしょうか。復習は成長する上では欠かせないことなのだろう。こうしたトレーニングを繰り返すうちに速くなっていきます

トレーニング法がたくさん載っているので飽きずにやれそうです。最初の頃のトレーニングは1セット1分と短いので、スキマ時間に頑張れます。トレーニングする際に気をつけることとして、①力を抜く、②教材との距離は通常の読書と同じくらい、③あたまは動かさないようにすること。この3つを気をつけないと変な癖がついてしまい、普通の本で読むときにやりにくくなってしまうとのことです。

随所で「初めは難しいけどできるようになる」「あきらめないことが大切」のように励ましてくれます。巻末には説明がわからなかった所やうまくいかなかった所などについて質問もメールで受け付けてくれている(現在も受け付けているかは不明)。著者の優しさをすごく感じる一冊です。読んでいくと「なんかできそう」となぜか思えてしまい、毎日の時間をある程度練習に費やされる方にオススメです。

安藤 一郎 (著)
出版社: 明日香出版社 (2012/10/29)、出典:amazon.co.jp