新しいコミュニティを生み出す空間とデザイン

【最新 空間デザインについて学ぶためのおすすめ本 – コミュニティ、カフェ、人気ショップまで】も確認する

次世代の施設・空間づくりのアイデアが満載

近年、魅力的なコミュニティ形成によって人とをつなぐ個性的な施設が増えています。本書では、日本だけでなく世界のリノベーションの成功例、空間デザインの仕組みやそれに用いたグラフィックツールまでオールカラーで紹介していきます。時代を先取りし、現代の空間デザインの潮流がよくわかります。

パイ インターナショナル (編集)
出版社 : パイインターナショナル (2020/4/10)、出典:出版社HP

はじめに

多様な価値観との共生が求められる現在、廃校を活用した施設や託児所
カフェなど、人をつなぎコミュニティ形成を育むユニークな施設が増えています。 こうした施設の多くが、複数の機能を備えることで、異なる目的で訪れた人々に出会いをもたらしたり、異ジャンル同士の思わぬ交流により文化発展と発信の場を提供することに成功しています。

本書では、コミュニティを生み出す仕掛けに満ちた86施設のデザインや アイデアを「暮らす」、「体験する」、「遊ぶ」、「学ぶ」の4つのカテゴリに 分けて国内外から紹介します。 「暮らす」では、飲食店やコインランドリーなど、日常生活に寄り添うサービスを提供する施設を、「体験する」では、アートホテルや廃校を利用した 自然教室など、近年増加する体験型の宿泊施設をメインに、「遊ぶ」では、 アートや音楽など娯楽の提供をメインに据える文化・商業施設を紹介して います。「学ぶ」では、図書館やシェアオフィスなど、利用者の知的好奇心が刺激される施設をとり上げました。

また、それぞれの施設のイニシャルコストや資金調達の方法、開設に要した期間なども可能な限り記載しています。自分たちで「場」を持ってみたい、スモールビジネスを始めてみたい、という読者の方々にもお役に立てれば幸いです。

最後になりましたが、本書制作にあたり、ご多忙中な中、多大なご協力を 賜りました方々に、深く御礼を申し上げます。

パイ インターナショナル編集部

Contents

はじめに
Contentes
Interview TER BONUS TRACK
Editorial notes
Index

• Chaper 暮らす
KAKAMIGAHARA STAND
STYLE-B
ラシーヌファーム トゥー パーク
Spin Laundry Lounge
Chus
子ども映画食堂-りっぷキッチン永和町
Laundry Project
Bath Haus
OMOKEN PARK
& VILLAGE
サケウェアハウス
葉日
おむすびスタンド ANDON
山のテーブル
五味醤油 / KANENTE / Tane
Café&Living UCHIDA
大江町まちなか交流館 ATERA
三崎港蔵書室 本と毛
りくカフェ
喫茶ランドリー
LETTER
みちくさくらす
ナノグラフィカ
新浪体釋
conichi かわらぐち
CASACO
サウナの梅湯

Chapter.2 体験する
BnA Alter Museum
CITAN
Theater Zzz
HOTEL ANTEROOM KYOTO
AREA INN FUSHIMICHO FUKUYAMA CASTLE SIDE
マガザンキョウト
KAGANHOTEL -河岸ホテルー
ターンテーブル
HOUSEHOLD
真鶴出版2号店
MORIUMIUS
ユクサおおすみ海の学校
はたらくものづくり村
藤屋
gift_lab GARAGE/山ノ家
BAITAcinema

Chapter. 3 遊ぶ
COMMUNE
De Ceuvel
Folkehuset Absalon
Blueprint Cultural & Creaitve Park –
アメリカヤ
Hama House CASICA HAGISO
ヤマキウ南倉庫
TSURUMI こどもホスピス
ものかたり
出町座
まちのば、
東川町複合交流施設せんとぴゅあ
整個劇場
シンカイ ただのあそび場ゴジョーメ
競花村 Tiehua Music Village
KAGIYA ビル
THE BAYS
CRAFT BRIDGE
岐阜ホール
COMMON-SHIP橋通り

Chapter4 学ぶ
絵と言葉のライブラリー ミッカ
みちのきち
静岡市こどもクリエイティブタウンま・あ・る
渋谷東しぜんの国こども園
BABAME BASE 五城目町地域活性化支援センター
Sodacco
BOOK LAB TOKYO
とんがりビル
リトルトーキョー
シェアアトリエ カンダマチノート
Hacoa VILLAGE TOKYO
G Innovation Hub YOKOHAMA
Kraftwerk Zürich
co-ba ebisu
三日市ラボ
SHIBAURA HOUSE
立川子ども未来センター
シモノロパーマネント
神山バレー・サテライトオフィスコンプレックス
WEEK 神山

interview

誰も見たことのない新しい下北沢へ 下北線路街の新スペース「BONUS TRACK」で 「余白のある生き方」を考える

2020年4月、小田急電鉄による下北沢開発プロジェクト「下北線路街」のエリア内に、 新しいスペース「BONUS TRACK(ボーナストラック)」がオープンした。 下北沢~代田にかけて広がる同スペースは、スモールビジネスや副業を始めてみたい人など、チャレンジする人を応援する場として、 レジデンスやお店、イベントスペースが一体となった、”現代版の商店街”となっている。 運営に携わるのは、ソーシャルデザインをテーマにしたWebサイト「greenz.jp」にも関わる、プロデューサー・小野裕之氏と、 下北沢の名物書店 「本屋B&B」などを手がけるブックコーディネーター・内沼晋太郎氏。 リアルな場所を持つことの新しい価値、下北沢の街づくりに込める思いについて、両名にお話を伺った。
写真:笠峰新志

チャレンジを応援し、新しいビジネスモデルを生む場に

小田急電鉄より、「小田急の線路跡に、二階が住居で一階が店舗の物件 を作る。そこを丸ごと借り上げて運営してくれないか」、「『現代版の商店街』 というテーマで何か作れないか」という話が小野氏に持ちかけられたことが きっかけでスタートした「BONUS TRACK」。Webマガジンの編集業に加え、ジュエリーブランドやおむすびスタンド(「ANDON」p.36)の運営など様々な肩書きを持つ小野氏だが、「さすがに自分一人ではやりきれない」という懸念があった。そこで、下北沢に書店「本屋B&B」を構え、「greenz.jp」の開設 当初から親交のある内沼氏に、共同運営という形で話を持ちかけたという。
小野:2006年から「greenz.jp」というソーシャルデザインを扱うWebサイトを営してきましたが、そこでメインとして取り上げている、「社会課題を解決し、社。 会にいいことをしながら稼ぐ」といった形態のお店が、日本ではまだまだ広がっていないことに課題感を持っていました。例えば海外だと、賞味期限切れの 食品だけを使った飲食店や、障がい者雇用を積極的に取り入れたカフェなど、 が日常的に存在しています。日本にも、体に優しい、自然に優しい、人に優しい実業を作りたい。そして最終的にはいろんな人が働ける場所を作りたい。 けれど、そういったソーシャルビジネスは、きっと長期的に見れば普通のお店よりファンが付きやすいお店になる可能性が高いのですが、様々な要素が絡み合うため、正直、運営には手間もコストもかかる。経験や体力もない小さなプレイヤーが、東京のど真ん中でソーシャルビジネスを始めることのハードルは高い んです。だから、そうした面白いお店がたくさん出店される環境を整えるため には、鉄道会社さんや不動産会社さんなどの大きなデベロッパーや自治体と連 携するからこそできる、エリア全体の価値向上を視野に入れた指針づくりや、それにともなう開発コストやメリハリある賃料の設定、開業のサポートといった街づくり的観点からアプローチする必要があると気づいたんです。

リアルな店舗を持つ意義を発信したい

内沼:最初はさすがに、自分にできるだろうかと思ったのですが、いろいろ考えるうちに、自分がやるべきことと街づくりとの関係性を強く感じるようになりました。 僕は「本屋B&B」の経営に加えて、さまざまな本のある場所のプロデュースや、 書店経営に関心のある人に向けて本を書いたり講座をやったりしてきました。 世界最大のEC企業であるAmazonが本からスタートしているように、本というのはインターネットでの販売に最も適している商品のひとつです。その分、本を売るリアルな書店は、早くから苦境にさらされてきました。だから、書店の未来に ついて考えると、リアルな場の存在価値という話を避けて通れないんです。
いま、本のある場所をつくろうというとき、本が単体で存在することはほとんどありません。必ず「カフェを併設しよう『イベントを開催しよう」「商品の メッセージを伝えよう」といったほかの取り組みとセットになる。そのたびに「飲食店経営とは?」「イベント運営とは?」「広告とは?」と、他の業種について 知る必要が出てきます。それらすべてを内包するのが街ですよね。人がいて、 店があって、街がある。人が暮らしたり働いたりする場所に、これからも本のあるリアルな場所を維持していくためには、本のことだけでなく、人と店と街のこと について幅広く考えなければいけないんだ、と気づいたんです。

売って試して改善できる売り場

小野:今の時代は、お店というものが、生活に必要なものを売ったり買ったり する場所ということから、様々な情報や価値観、ライフスタイル、出会いに触れる場所という体験的な価値提供の場に変わってきていると感じます。一方で、お店を運営することの負担自体は全然変わっていない。大手企業と違い、小さなプレイヤーたちが単純に「体験型の店」というのを打ち出して、「お店では商品を買ってくれなくても、ネット販売などどこかで取り戻すので大丈 夫です」ということをやると、経営的には継続することができません。だから 「BONUS TRACK」は、「売って試せるコワーキングスペース」も用意します。 例えば、ものづくりをしている中で生まれる、「実際に手にとって体験してもらいたい」という思いを実験的に試すことが可能です。使いながら売りながら、 その場でフィードバックをもらって改善していけるんです。テナント同士でも、 お互いのマネタイズ方法や売り場の工夫を間近で目にすることができる。こう したお店や売り場を再定義する要素、試せることが価値になるような設計を、 「BONUS TRACK」の中には作りたいと思っています。

コピー&ペーストではない「リアルな場」が生む価値

内沼:先にお話しした本の流通や、あるいはグローバルなチェーン店が実現し たような「同じものをどこでも手に入れられる」ことの価値は、相対的に下がっているといえます。ひとつの成功事例のコピー&ペーストでは、マネタイズがし にくくなっている。これからは、個人の強いこだわりとか、必然性が一見わかりにくい掛け合わせとか、そういうものの魅力を芯に据えつつ、少しずつピボットしながら同時にスケールメリットを出していくという、難しいチャレンジをしていかなければならなくなっています。それと同時に、自分がやりたいと思い込んでいることや過去の成功体験にとらわれ過ぎて、本来やりたかったことからズレていくようなことがないようにチューニングもしたい。そのために必要なのは、小さなトライ&エラーができる場所です。「BONUS TRACK」はそういう線場所にしたい。それは個人店の多い下北沢という脅が、もともと持っていた本能でもあるんですよね。先人たちがしてきた文化をリスペクトしつつ「全然違うものができたね」と言ってもらえるような、現代的な取り組みに思っています。

「本気」の副業が、全体のパフォーマンスを向上させる
小野:本気の副業みたいなものこそが、全体を変えていく力を持っているんじゃないかと思うんです。本業と副業、メインとサブ、というような言い方はやめていきたいですよね。どっちとも思い入れがあるんだったら、どっちも大事です。僕だって何個か会社を経営していますが、全部で一つだと思っています。本業と副業が分断されていると捉えると、副業によって本業のパフォーラ ンスが落ちるという感覚になる。でもそうじゃなくて、実際は自分のできるであ が試せると、自分のポテンシャルが成長していく。そうすると、社会全体として は個人が発揮できる才能の総和は増えていくはず。例えば仕事を80と200 割合に分割してみることによって、収入やパフォーマンスが120になったりすることもある。本業に費やす労力や時間を減らすリスクを恐れるのではなくまずは始めてみたらいいと思います。「BONUS TRACK」ではそんな働き方に対 する余白を提案できればいいなと思っています。

内沼:「BONUS TRACK」という施設名にも、そうした意味を込めています。 CDの最後に付けられる「ボーナストラック」は、そのアルバムの世界観には入 らないけれど、ミュージシャンとしては思い入れのある曲だったり、実験的な取り組みやライブの音源だったりすることが多いですよね。まさしく限られた時 間、CDの録音時間の余白に、そういう少し外れた、けれど大事なものが入っている。そこはクオリティが問われない、なんでもありの場所では決してありません。余白だからこそ本気でやりたい、そういうそれぞれの実践ができる場所 になるといいなと思います。

PROFILE

小野裕之(おの・ひろゆき)(写真:左)
下北沢のまちづくり会社「散歩社」共同代表 「「greenz.jp」ビジネス アドバイザー / ジュエリーブランド「SIRI SIRI」共同代表 / 「おむすび スタンドANDON」共同代表 / 「株式会社sonraku」社外取締役 / 「発酵デザインラボ株式会社」取締役CFO
1984年岡山県生まれ。中央大学総合政策学部卒業。ソーシャルデザイン をテーマにしたウェブマガジン「greenz.jp」を運営するNPO法人グリーンズの経営を6年務めた後、同法人のソーシャルデザインやまちづくりに関わる事業 開発・再生のプロデュース機能をO&G合同会社として分社化、代表に就任。

内沼晋太郎(うちぬま・しんたろう)(写真:右)
下北沢のまちづくり会社「散歩社」共同代表 「本屋B&B」共同経営者 / 「NUMABOOKS」代表/「株式会社バリューブックス)社外取締役
1980年山形県生まれ。一橋大学商学部商学科卒業。NUMABOOKS代表。 ブック・コーディネーター。2012年、ビールが飲めて毎日イベントを開催する 新刊書店「本屋B&B」を東京・下北沢に、博報堂ケトルと協業でオープン。 ほか、株式会社バリューブックス社外取締役、「八戸ブックセンター」ディレク ターなど、本にかかわる様々な仕事に従事。著書に「これからの本屋読本1 (NHK出版)、『本の未来を探す旅 台北(共著・朝日出版社)など。


「下北線路街」では他にも、小田急線「東北沢駅」~「世田谷代田駅」の線路跡地に、下北沢らしい遊び心に溢れた多 多様な施設を新設。「下北線路街空き地(写真)では、人々の「やってみたい」や自由な発想の楽しい仕掛けでい坂
スペース、キッチンカー、イベントスペースなどのレンタルスペースを提供している。さらには、地域密着型 の複合施設、学生寮、保育園や宿泊施設など下北沢に集う老若男女が広く活用できる様々な施設を企画。それ まち全体で連動することで、年齢、性別、文化や国籍の垣根を超えたコミュニティの形成を活性化させている。
下北線路街 空き地


A. 地域
B, 施設の概要
C. 施設名と施設の主な機能
D. URL E.施設の住所
F. 施設のロゴ
Gスタッフクレジット

H. 開設に要した期間/資金/資金調達の方法
I. 地域コミュニティ
J.施設名
K、施設の機能
L. 利用客層

CL:クライアント
CD:クリエイティブ・ディレクター
AD:アート・ディレクター
D:デザイナー
I:イラストレーター
CW:コピーライター
P:フォトグラファー
Pr:プロデューサー
D: ディレクター
PL:プランナー
DF:デザイン会社
AO:設計会社
SB: 作品提供者(社)

その他の制作者呼神は省略せずに掲載しております。

※上記外の家をお芽は、運営に巻載しております、あるにされていますまる。高品などの携は、2029年4月時点での情報です。
※本職にきれていまキャンペーン、プロモーションは鉄に終了しているものもごさいますので、ご了承ください。

パイ インターナショナル (編集)
出版社 : パイインターナショナル (2020/4/10)、出典:出版社HP