笑えて、泣けて、するする頭に入る 超現代語訳 幕末物語

【最新 – 幕末・維新を学ぶおすすめ本】も確認する

幕末の歴史書なのに、最高のエンターテインメント!

今をときめく俳優やアイドルが、あれやこれやと尊王攘夷という流れに巻き込まれていく様子が現代風に描かれていて、あっという間にスルスルと頭に入ってきます。かつての偉人達が、こんなふうに未来を想い描きながら生きていたのかと思うと正直泣けてくるほど。歴史が得意でない人にも絶対にお勧めしたい、最も簡単な幕末解説書です。歴史ってこんなに面白かったの?!と叫びたくなります。

房野 史典 (著)
幻冬舎 (2018/8/23)、出典:出版社HP

はじめに

幕末は、現在の日本とそっくりです。これについて説明する前に、もう一つ言わせていただきます。中身がわかると、幕末ほどおもしろい時代はありません。1行目については、「こう書いたら食いついてもらえると思ってない?」と言われそうですが、嘘じゃありません。時代の転換期ってことで、共通点がたくさんあるんです。それは本書の中身を通じて、チラホラとお伝えしていきます。では、3行目について。その名の通り、江戸幕府の末期を指して《幕末》って呼びます。この時代、すっごく魅力的なんですが……その分、ちょいとややこしい。以前、書かせてもらった戦国時代なんかは(『超現代語訳 戦国時代』という本を出してます。宣伝です)、おおざっぱに言うと、「攻めるぞー」「勝ったー。土地もらえたー」「負けた~」これだけです(これだけじゃないです)。
ところが幕末になると、武士だけの話じゃなくなり、朝廷、や外国って存在がねっとり絡みついてくる上、政治要素もてんこ盛り。
もう、ぐちゃぐちゃです。でも、ぐちゃぐちゃだからこそ、おもしろい。そして、この本は、ややこしい幕末からおもしろさを抽出するためにあります。それでは、本編の事柄をよりよく理解していただくため、ここで幕末の流れをメチャクチャ雑に、全部書いときます。「じゃあ、『はじめに』読めば、本編読まなくても幕末のことわかるじゃん」と思われた方……はい、大体わかります。ただ、ここでわかるのは大きな流れだけ。細部のおもしろさは、まだ体感できません(してくれても一向に構いません)。
では、幕末の流れ、まいります。今から約160年前のお話。当時の日本は、《江戸時代》と呼ばれるちょんまげ全盛期(もう終わりかけ)。
「安定の徳川将軍だな」って感じで長く続いた江戸時代でしたが、《黒船》でやって来たアメリカの「貿易しよっか?」という脅迫のせいで、平和な世の中は終わりを告げます。
今まで欧米とのお付き合いがゼロだった幕府(政府だよ)は、テンパりにテンパりを重ね、外国の言われるがままに、国を開いて条約を結んじゃいます。
これに怒ったのが、開国反対派のみなさん。
「開国なんてしたら外国に侵略されるわ!」とブチギレ、「もう幕府ダメだから、朝廷(天皇のいる組織)推してこうぜ!」ってな流れをつくっていくんです。
その行動にイラッとした幕府は、井伊直弼っていうおじさんをリーダーにして、開国に反対する連中をボッコボコ。生徒をたくさん抱えた、吉田松陰さんて先生のことも容赦なくボコボコです。
ただ、井伊直弼さんがカウンターパンチくらって、《桜田門外の変》という事件で暗殺さ れちゃうから、幕府の権力は下がる一方。会津藩(福島県)に追い出されちゃいます。
わずかに京都に残った長州勢の悪巧みも、《池田屋事件》で新選組に打ち砕かれます。
ブチギレた長州は、京都に舞い戻って幕府や会津にリベンジをはかりますが、西郷隆盛率いる薩摩の活躍で、返り討ちに。長州はこのタイミングで、地元が外国にもボコボコにされ、「よく生きてるね」ってくらい、虫の息確定です。
幕府にとったら今こそチャンス! 調子に乗った幕府は「トドメを刺すぞ!」と長州に攻め込みますが、ここで立ち上がったのが土佐(高知県)の坂本龍馬。
龍馬は、薩摩と長州が仲直りして日本を引っ張っていかなきゃダメだと考えて、西郷隆盛と桂小五郎を引き合わせ、《薩長同盟》てのを組ませるんです。
この同盟と、そして長州のヒーロー高杉晋作の活躍のおかげで、長州に幕府の戦 いでは、長州が奇跡の大勝利。
そのときの将軍徳川慶喜くんは「もう幕府やってけません」となり、《大政奉還》てやつで、政治する権利”を手放します。
しかし薩長は、「そんなもんじゃ許さないよ」と、《王政復古の大号令》ってのを発動し、幕府自体をぶっ壊すというダメ押しをかまします。
すると、「まだまだ許さないよ」という薩摩&長州(新政府)と、「お前ら強引すぎるだろ!」と怒る幕府関係者(旧幕府)の間で、《戊辰戦争》てのがスタート。
そこで、欧米との貿易を始めると、経済が潤い……ません。むしろ慣れない欧米とのカラみで経済はズタボロになり、やっぱり幕府の権力は下がる一方です。
危機的状況を打破するため、幕府が考えた作戦は「朝廷との合体(協力)」。
これも、全然うまくいきません。
どんどん弱体化する幕府と入れ替わるように、グイグイ力を持ち始めたのが長州藩(山口県)と薩摩藩(鹿児島県)です。その勢いはヤバすぎて、それぞれが単体でイギリスなんかの外国と戦争しちゃうほど。特に長州の勢いは止まらず、京都で政治を操るまでになるんですが、目立ちすぎて薩摩と
江戸の町は、旧幕府の勝海舟さんが西郷さんを説得してかろうじて守りましたが、各地の戦闘は、とんでもなく激しいものになります。
会津の松平容保や、新選組の土方歳三が、旧幕府軍として最後まで抵抗しましたが、戦いは新政府の勝利に終わりました。そしてここから《明治》の世の中がスタートします。
とまぁこんな感じ。
今お届けした流れの中には、一つ一つの、結果”がありますが、本編では、その結果に至るまでの、経緯を噛み砕いてご紹介しています。幕末のおもしろさはまさにそこです。
最後まで読み終えてもよくわからなかった場合は、あれです、ネットで調べてください。 ですので、最初にお伝えしたいのは、「インターネットは便利」ということです。

房野 史典 (著)
幻冬舎 (2018/8/23)、出典:出版社HP

目次

はじめに

エピソード0
敷かれたレールの上を歩いてたらブッ壊れ始めたんです
幕末とは「江戸時代の末期」のこと。
この国の世の中の感じ、まず最初に知っておいて!

第一章
長い鎖国が解かれ、日本が開かれるとき

エピソード1
漆黒が来た!え、なに?「オトモダチニナリマショ」って言ってる!
みんな知ってる「黒船来航」。コレで日本は、「鎖国」をやめました!

エピソード2
映画ヒットして聖地巡礼してんのかってくらい来る
外国と貿易をするための条約を、日本、どんどん結んじゃう!

エピソード3
エモい先生とアドバンス大名
幕末のカリスマ天才、吉田松陰の登場。
そして、西郷どんが慕う“島津テクノロジー斉彬”サマのご活躍。

エピソード4
剣を取るか、ペンを取るか。そんなことより私たちの王子様はどっち?
朝廷と幕府が、バッチバチ。跡継ぎ問題で、大奥もバッチバチ。
後ろで糸引いてるのが、恐怖の大王・井伊直弼。

エピソード5
降りそそぐ罰の終わりには、愛しき人へのメッセージ
西郷隆盛の自殺未遂。吉田松陰は死刑――。
新しい時代のために、ヒーローたちは何に命を捧げたのか?
一方、“大獄マシーン”は暴走する!

第二章 混乱、混迷、ぐっちゃぐちゃ

エピソード6
海と雪のサムライ
《桜田門外の変》で、悪名高き井伊直弼、暗殺――。井伊亡きあとの幕府に変化が!

エピソード7
第7話「オレたちが?合体?」~忍び寄るエコノミッククライシス〜!
日本の経済が一気にボロボロに……。一方で、公武合体がぐいぐい進む。

エピソード8
スレ違い、カン違い、ウソ、ケンカ。コメディでもラブストーリーでも100点
いよいよ明らかになる,ある“ウワサ”。そして、寺田屋事件に生麦事件。
時代はますます血なまぐさく……。

エピソード9
血にけぶる町。集う剣士。青い戦争がありました
京都では剣客集団《新選組》が登場、不穏な空気は爆発寸前。
薩摩では、イギリスとの戦争によって、時代が大きく変わる!そして長州では….?

エピソード10
「御用改めするね」と君が言うキッカケになったから 8月18日はイケダ記念日
かの有名な《池田屋事件》で血が流れる。ついに、音を立てて古い時代が壊れていく!

エピソード11
正真正銘、世界中が敵だぜ!
京都での《禁門の変》に、外国からの下関砲撃事件。
孤立を深める長州のため、高杉晋作ガンバル!

第三章 新たな時代の足音が聞こえる

エピソード12
武勇伝あるある「1対○○人」を大人になってやってみた
高杉晋作vs長州藩政府。晋作は、なんでこんな無謀ができたのか?

エピソード13
勇者と魔王が手を組んだ
見せ場中の見せ場! 坂本龍馬は、薩長同盟成立の裏で、何をどう動かしていたのか?

エピソード14
巨大な権力、下から頼むか?横から倒すか?
「薩摩・長州vs幕府」の構図がクッキリ。薩長が「徳川ぶっ潰そう」としてるから、
土佐の龍馬さん、平和な革命を画策。

エピソード15
翼は折られ、もがれ、引き千切られる
こうして幕府は滅び、新政府がスタート。このごっちゃごちゃをわかりやすくするよ!

エピソード16
戦争 前編
勝海舟と西郷隆盛の男気によって「江戸城の無血開城」という奇跡が!
しかし、戦争は、もう誰にも止められない-。

エピソード17
戦争 後編
涙も涸れる、悲劇に次ぐ悲劇……。
こんな時代が、わずか150年ほど前にあったとは。

おわりに
[参考文献]

ブックデザイン
水戸部功
イラスト
曽根 愛

房野 史典 (著)
幻冬舎 (2018/8/23)、出典:出版社HP