いまさら聞けない ビットコインとブロックチェーン

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ビットコインの基礎がわかる

本書は、ビットコインについて解説している本です。ビットコインの何が画期的で、どのような性質を持っているのか、どのような仕組みなのか、といった基本的な内容が多くなっています。ブロックチェーンの説明は大まかなもので、ビットコインにまつわる内容が多いと思います。

大塚 雄介 (著)
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017/3/24)、出典:出版社HP

はじめに

ビットコイン・ブームが起きています。
本書執筆時点(2017年2月)のビットコインの時価総額は169億ドル。1ドル=110円で計算すると、1兆8590万円になります。驚くべきはその伸び率で、1年前の57億ドルのおよそ3倍にまで膨らんでいます。2年前は30億ドルですから、この1年で急成長したことがわかります(図1)。

また、ビットコインのユーザー数も拡大の一途をたどっています。2017年2月時点のユーザー数は世界で1186万人。1年前は580万人ですから、およそ2倍。2年前は290万人なので、倍々ゲームで増えてきているわけです(図2)。

世界中から熱い視線が注がれているビットコインですが、はたしてそれがどんなものなのか、よくわからないという人が多いのが現状ではないでしょうか。ビットコインは仮想通貨(バーチャル・カレンシー)といわれますが、バーチャルなだけに手に取って触ることができないため、それがどんなものか、意外と知られていないようです。
これからくわしく説明しますが、ビットコインは、ブロックチェーンという新技術によって生まれた「仮想通貨」であり、電子データで表される「デジタル通貨」であり、高度な暗号セキュリティに守られた「暗号通貨」であり、特定の国に属さない「国際通貨」であり、分散型ネットワークに支えられた「民主的な通貨」でもあるという、きわめて複雑な特徴を持っています。
でも、使い方はごく簡単。スマートフォンに専用アプリをインストールして、必要事項を入力。本人確認書類を送って承認されれば、すぐにはじめることができます(使い方はAページ参照)。そして、実際に使ってみれば、直感的に「ああ、こういうことか」とわかるはずです。

本書は、デジタル時代に新しく生まれたビットコインと、それを支えるブロックチェーン、さらに大きなフィンテック(ファイナンシャルテクノロジーの略)の広がりについて、みなさんに身近に感じてもらうことを目的に書かれています。そのため、三つの円の内側(ビットコイン)から外側(フィンテック)へと、順番に解説していきます(図3)。

PART1では、ビットコインとはいったい何なのか、を丁寧に説明します。円やドルとどう違うのか。クレジットカードや電子マネー、ポイントカードとはどう違うのか。どこで手に入れて、何のために使うのか。みなさんの素朴な疑問に一から答えます。
PART2では、ビットコインの仕組みを掘り下げます。なぜ実体のないバーチャルなお金に価値があるのか。ブロックチェーンやマイニング、ハッシュ関数など、ビットコインのことを調べると必ず出てくるキーワードについて、理解を深めていただきます。
PART3では、ビットコインの安全性とルールについてまとめます。新しい技術には不安がつきものです。デジタルデータなだけに、コピーされたり、改ざんされたり、盗まれたりする心配はないのか。マネーロンダリング(資金洗浄)など不正に利用される心配はないのか。技術的な説明と、ルールづくりの状況をあわせて紹介します。
PART4では、ビットコイン以外の仮想通貨を紹介します。ブロックチェーンという画期的な技術によって、さまざまな仮想通貨が登場しています。その中から代表的なものをいくつか取り上げます。
そして、最後のPART5では、フィンテックというより大きな枠組みで見たときに、どんなサービスがあるのかを紹介します。ブロックチェーン以外の技術をベースにした、スタートアップが牽引する新しい金融サービスの中で、既存の金融機関はどんな役割を果たすのか。そうしたことも述べてみたいと思います。

本書を読み終えた頃には、みなさんはきっと、ビットコインやブロックチェーン、フィンテックについて、誰かに語れるだけの知識を身につけているはずです。
テクノロジーによって、世の中はどんどん便利になります。本書をきっかけに、ひとりでも多くのみなさんが、実際に仮想通貨を使ってみたり、各種サービスを利用したりして、その効果を実感してほしいと願っています。

2017年2月
大塚 雄介

大塚 雄介 (著)
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017/3/24)、出典:出版社HP

CONTENTS

はじめに

プロローグ
今日からはじめるビットコイン入門

PART1 ビットコインって何なの?
ビットコインは現金とどう違うの?
ビットコインはクレジットカードとどう違うの?
ビットコインは電子マネーとどう違うの?
ビットコインはポイントやゲーム内通貨とどう違うの?
ビットコインはどうやって手に入れるの?
ビットコインを使うメリットは?①投資対象として
ビットコイン価格はどうやって決まるの?
ビットコインを使うメリットは?②送金手段として
海外送金ってどんなときに必要なの?
ビットコインで買い物ができるって本当なの?

PART2 ビットコインの仕組みはどうなっているの?
バーチャルなお金にどうして価値が生じるの?
ビットコインは誰がつくっているの?
ビットコインの最初の取引は?
ブロックチェーンってどんな技術?
マイニングって具体的に何をしているの?
ビットコインには終わりがある?
ビットコインに死角はないの?

PART3 ビットコインの安全性や法整備はどうなっているの?
ビットコインがコピーや改ざんされる心配はないの?
ビットコインが盗まれる心配はないの?
送金中に誰かに抜き取られる心配はないの?
マネーロンダリングに利用される心配はないの?
ビットコインの法整備、会計ルール、消費税の扱いは?

PART4 仮想通貨とブロックチェーンはどこまで広がるの?
仮想通貨にはどんな種類があるの?
ナンバー2の仮想通貨「イーサリアム」の特徴は?
イーサリアムの分裂騒動って何なの?
オンライン賭け市場の専用チップ「オーガー」って?

PART5 フィンテックが実現する未来とは?
フィンテックっていったい何なの?
次にどんなサービスが登場するかは予測できる?
フィンテックにはどんな種類があるの?
銀行間送金サービスの三つ巴の戦いとは?

大塚 雄介 (著)
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017/3/24)、出典:出版社HP

今日からはじめるビットコイン入門

ビットコインの使い方はとても簡単。現金を「入金する」「出金する」、ビットコインを「売る」「買う」、ビットコインを「送る」「受け取る」の6つの操作がわかれば、いますぐはじめることができます!

2017年は、ビットコイン関係者の歓喜と悲鳴とともに幕を開けました。
2016年の後半はだいたい「1BTC(ビットコインの単位です)=6万円台」で落ち着いていたビットコイン相場(ビットコインと円の交換レート)が、1月あたりからジリジリと上がりはじめ、2016年末に一時12万円台に達します。
年が明けてからもその勢いはとまらず、1月5日にはついに15万円を突破して大騒ぎになりますが、その日の夜から突然急落し、日付が変わる頃には一時11万円を割り込むところまで落ち込みます(ちなみに、ビットコインの取引は24時間365日可能です。クリスマスや年末年始も休みはありません)。
ビットコイン価格が急落したのは、相場に大きな影響を持つ中国で資本規制が強化され情報が流れたからですが、1月6日の明け方には早くも持ち直し、昼頃までには13万円台まで回復して、その後10万円前後で落ち着きました。まるでジェットコースターのような値動きです(図4)。

これだけ価格変動が激しいのは、ビットコインに対する「期待」と「不安」が高まっている証拠です。そして、これだけボラティリティ(変動幅の比率)が高いということは、投資対象としては、リスクはそれなりにあるものの、その分、魅力も大きいということになります。あらゆる投資の基本は、安く買って高く売ることだからです。
このように、仮想通貨のビットコインはいまやブームの様相を呈しています。
これから、ビットコインはどんなものか、どんなときに使えるのか、くわしく解説していきますが、お金の価値は、使ってみてはじめて実感できるものです。
ごく簡単な手続きだけではじめることができるので、とにかく試しに使ってみたいという人のために、PART1に入る前に「ビットコインの使い方」をひと通り紹介します(もちろん、PART1以降を先に読んで、ビットコインを買うメリットやリスクをきちんと理解してからはじめられてもかまいません)。
ビットコインを入手する方法はいくつかありますが、いちばん手っ取り早いのは、ビットコインのアプリを手に入れ、ビットコインを扱っている取引所から「買う」ことです。
現在、日本でビットコインを扱っている主な取引所を次ページの図5にまとめました。この中から好きなところを選んで取引をはじめることができます。

ウェブサイトやアプリのインターフェイスは常に更新されるので、ここでは操作画面を記載せず、操作方法の概略だけを説明しますが、私たちが運営している「コインチェック」のウェブサイト(https://coincheck.com/)やアプリ画面を見ながら次の説明を読んでいただくと、わかりやすいと思います。

写真入り身分証明書と、証明書と一緒に写った本人写真の提出が必要

ビットコインの取引を行うには、本人確認書類の提出が必要です(マネーロンダリングなどの不正利用を防ぐためです)。
はじめてコインチェックのウェブサイトにアクセスすると、メールアドレスの登録が求められます。スマホの人は、iPhoneのApp StoreやGoogle Play からコインチェックのアプリをインストールしてください。メアドを登録すると、折り返し確認メールが届くので、それをクリックして本人確認画面にアクセスします。
フェイスブックのアカウントを持っている人は、フェイスブックで登録することができますが、実際に取引をはじめるには、本人確認書類の提出が必要です。
本人確認画面では、住所・氏名・生年月日など、必要事項を入力のうえ、運転免許証やパスポートなど、本人写真入りの身分証明書の画像(免許証の場合は、住所変更の有無を確認するため裏面の画像も)と、提出された身分証と本人が一緒に写っている写真(写真入りの面を表に向けた免許証やパスポートを手に持った自撮り写真)を画面上の指示に従ってアップロードします。スマホの場合は、その場で自撮りして、それらの写真を送ることができます。
登録後しばらくすると、「本人確認終了」のメールが届きます。さらに数日後、住所確認のための書類が簡易書留で登録住所に送られてきます。それを受け取り、登録住所違いないことが確認できたら、登録完了です。
これでビットコインの取引をはじめることができます。

主な操作は6つだけ

コインチェックのウェブサイト(またはアプリ)にログインすると、「ウォレット」画面が現れます。ウォレットはビットコインを入れておく「あなた専用の銀行口座」のようなものです。
いくつかメニューが並んでいますが、これらは大きく6つの操作に分けることができます。「①入金する」と「②出金する」、「③コインを買う」と「④コインを売る」、「⑤コインを送る」と「⑥コインを受け取る」をセットで考えると、わかりやすいはずです。

①入金する
現金の出し入れに関するメニューです。先に円やドルなどの現金を取引所の指定口座に預けておいて、その金額の範囲内でビットコインを買うことができます(預けた金額を証拠金としてレバレッジ取引することもできます)。
入金のしかたは、①銀行振込で入金する、②コンビニで入金する、③提携金融機関から最大1億円までクイック入金する(24時間365日対応)、の三つです。それぞれメニュー画面の指示に従って入金してください。

②出金する
現金の出し入れに関するメニューです。ビットコインを売った代金を受け取りたいときは、あなたの銀行口座を登録します。取引所に預けている円やドルのうち、現金で引き出したい金額を指定すれば、その金額があなたの銀行口座に振り込まれます。

③コインを買う
ビットコインの売買に関するメニューです。円やドルを支払ってビットコインを受け取ることを「ビットコインを買う」といい、ビットコインを支払って円やドルを受け取ることを「ビットコインを売る」といいます。
「コインを買う」で、買いたいビットコインの額を入力すると、必要な日本円が自動的に表示されます。たとえば、「1BTC=10万円」のときに「0・1BTC」と入力すれば「1万円」、「0・01BTC」と入力すれば「1000円」と表示されるので、その金額でよければ「購入する」をクリックします。これでビットコインの購入が完了です。
ウォレットで残高を確認すると、あなたが買った「ビットコイン」が「日本円」と置いていることがわかります。
「コインを買う」のオプションとして、「クレジットカードで買う」方法もあります。現金を入金してからビットコインを買うのではなく、クレジットカードで直接買うわけです。

④コインを売る
ビットコインの売買に関するメニューです。あなたが買ったビットコインは、あなたのパソコンやスマホにダウンロードされるのではなく、コインチェックのサーバーに置いてあります。将来の値上げに備えてそのままずっと持っていてもいいですし、現金化したくなったら売ることもできます。
「コインを売る」画面で、売りたいビットコインの額を入力すると、売却代金の日本円が自動的に表示されるので、その金額でよければ「売却する」をクリックします。これでビットコインの売却が完了です。
ウォレットで残高を確認すると、あなたが売った「ビットコイン」が「日本円」に置き換わっていることがわかります。売却代金はそのままプールしておいてもいいですし、現金化したければ、②の「出金する」メニューに進んでください。

⑤コインを送る
ビットコインの送金と支払いに関するメニューです。自分が持っているビットコインを誰かに送ったり、お店で支払ったりするときは、「コインを送る」のメニューを開きます。つまり、送金も支払いも操作としては同じで、たとえばXさんに0・1BTC送りたいとは、Xさんから送り先のアドレスを教えてもらって、そのアドレス宛に0・1BTCを送るだけです。
ビットコインを送るには、送る相手が指定したビットコインアドレス宛に送る方法と、相手のメールアドレス宛に送る方法があります。ビットコインアドレスというのは、たとえば「1AavpCP7jHKFYXb7NP9p5naflFQ1SZ7Zxw」のような、27~34ケタのランダムな文字列です。ビットコイン専用のメールアドレスのようなものだと考えてください。普通のメールアドレスと違うのは、送るたびに毎回別々のアドレスが発行されるところです。
ビットコインアドレスはQRコードで読み込むことができます。お店やオンラインショップで支払うときも、お店が発行するQRコードをスマホで読み込めば、いちいちビットコインアドレスを入力しなくてもいいので便利です。

⑥コインを受け取る
自分からビットコインを送るだけでなく、誰かが送ってくれたビットコインを受け取ることもできます。何かを売った代金としてビットコインを受け取ったり、銀行振込などの代わりに送ってもらったビットコインを受け取ったりするシーンが考えられます。
「コインを受け取る」のメニューを開くと、入金用のビットコインアドレスが表示されるので、それを送ってくれる相手に知らせます。QRコードも自動で取得できるので、それを相手に教えれば、アドレスを入力する手間が省けます。
ビットコインを送ったり受け取ったりしたら、ウォレットで残高を確認しておきましょう。

ビットコインの使い方の説明は以上です。「仮想通貨」と聞くとむずかしい感じがするかもしれませんが、実際に使ってもらえば、ビックリするほど簡単だとわかってもらえるはずです。

ここまでの説明をまとめたのが、前ページの図6です。お金の移動とビットコインの移動を分けて考えると、理解しやすいかもしれません。
さっと概要をつかんでいただいたところで、次からはいよいよ中身の説明に入ります。ビットコインとはいったい何なのでしょうか。

大塚 雄介 (著)
出版社 : ディスカヴァー・トゥエンティワン (2017/3/24)、出典:出版社HP