【最新】行動分析学を学ぶためのおすすめ本 – 入門から応用まで

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行動分析学とは?生活でどう応用する?

人は日常的にあらゆる行動をしていますが、一つ一つの行動はなぜ行うのでしょうか。行動分析学は、このような人の行動を分析する心理学の一分野です。行動分析学を学ぶことで、自分自身を知るだけでなく、他人の行動を知ることにより、企業のマネジメントや教育、医療、子育てなど様々な分野に応用できます。そこで今回は、行動分析学について入門から応用まで学ぶことのできる本をご紹介します。

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出典:出版社HP

今日から使える行動心理学 (スッキリわかるシリーズ)

行動心理学の入門書

本書は、日常生活でよく見る行動について解説し、人間関係をスムーズにする方法やビジネスで成功するコツ、消費者行動など、日常の様々な場面について心理学の理論、実験を交えながら紹介しています。イラストや図解も多く、わかりやすい内容となっているため、行動心理学の入門書としておすすめです。

齊藤 勇 (著)
出版社 : ナツメ社 (2015/5/14)、出典:出版社HP

心理学がグンと身近になる 心理テスト

これまで気づかなかった、あなたの心が見えてきます。

1 意中の人をお茶に誘ったとき、あなたが選ぶ席は?
①カウンター席
②2人掛けテーブル
③4人掛けテーブル
④テラス席

2 大掃除中、棚の裏をのぞくと絡まった家電のコードが。あなたはどうする?
①ほどききる
②ほどこうとするがあきらめる
③放っておく
④新しいコードに替える

3 あなたの会社のオフィスが転居。転居先は15階建てビルの何階?
①地下1階
②7階
③15階

←解説はP7へ

4 山奥で遭難したあなた。夜、空腹になったあなたはどうする?
①もしもに備えて持っていた物を食べる
②木の実や植物を採って食べる
③魚を釣って食べる
④救助が来るまで動かない

5 あなたは夢の中で公園にいます。誰といっしょにいる?

6 友人とカラオケに来たあなた。いちばんはじめに何をする?
①トップバッターで好きな曲を歌う
②時間をかけて歌う曲を選ぶ
③友人にリクエストをする
④ドリンクやフードを注文する

←解説はP8

解説
1 あなたの度量の大きさがわかる
意中の人と座ったときの距離感から、あなたが何を受け入れにくいかがわかり、度量の大きさがうかがえます。
①カウンター席
雰囲気を重視するタイプ。気遣いができるが、その分相手にも見返りを求めてしまう。
②2人掛け
物事を明確にしたいため、秘密や隠しごとが嫌いなタイプ。反面、表に表れない心遣いには気づきにくい。
③4人掛け
個人的な話や、相手には関係のない話はしたくないタイプ。相手に拒絶と受け取られてしまうことも。
④テラス席
まずは自分が楽しむことを第一に考えるタイプ。周りの人への配慮が足りないこともあるので要注意。

←行動から本音を見抜くには…第1章へGO!

2 あなたの情の厚さがわかる
絡まったコードは人間関係のもつれを表します。もめ事にどう対処するかで、あなたの人情の厚さがわかります。
①ほどききる
絡まったコードをほどききるあなたは、解決するまでもめ事にきちんと対処する情に厚い人。
②ほどこうとするがあきらめる
もつれた関係を改善しようとする情の厚さはあるものの、あきらめも早いため、浅い関係になりがち。
③放っておく
もめ事が起こっても気にしないあなたは、他人への関心が薄いのかも。もう少し他人のことも気にかけると◎。
④新しいコードに替える
人間関係がもつれるとアッサリ縁を切ってしまうあなたは、ひとりで生きていける匹狼。

←行動から性格を知るには…第2章へGO!

3 あなたの出世願望がわかる会社のオフィスの位置の高さは、あなたの出世願望を表します。位置が高いほど出世願望が強い傾向にあります。
①地下1階
出る杭になりたくないタイプ。出世なんかせずに目立たないままでいたい。損な役回りになっていませんか?
②7階
出世はしたいが人の恨みは買いたくないお人好し。揉め事は少ないが、手柄を横取りされることには要注意。
③15階
出世願望が強く、出世のためならあらゆることを犠牲にしても仕方ないと考える。実績
が伴えば◎。

←仕事で出世するには…第3章へGO!

4 あなたの金銭感覚がわかる
出口のわからない山奥で空腹な状態は、欲しいものがあるのにお金がない状況を暗示しています。どう対処するかで、お金をどう工面するかがわかります。
①もしもに備えて持っていたものを食べる
いざというときのため、日頃から貯金している。ただし気が向いたときだけなので、小出しに使ってしまう。
②木の実や植物を採って食べる
必要なだけお金を手に入れるためにバイトをするなど、手っ取り早い方法をとるタイプ。
③魚を釣って食べる
あればあるだけ使ってしまう浪費家。欲しいものが高額の場合は、くじやギャンブルにかけることも。
④救助が来るまで動かない
物欲があまりないタイプ。たとえ欲しくても、お金がなければアッサリあきらめてしまう。

←消費者行動の心理を知るには…第4章へGO!

5 あなたの恋愛対象がわかる
夢の中に現れる公園は、愛を語り合う場所です。つまりいっしょにいる人物はあなたの恋愛対象。誰ともいっしょにいないなら、寂しさを抱え、欲求不満な状態を表しています。または恋愛や性的欲求の対象がいなくても平気なタイプかもしれません。

←恋を叶えるには…第5章へGO!

5 あなたの集団でのふるまいがわかる
カラオケで最初にとる行動は、協調性を表します。集団におけるあなたの行動がわかります。
①トップバッターで好きな曲を歌う
集団に必要なリーダータイプ。やや協調性が欠けるところもあるため、周りの意見も聞くようにすると◎。
②時間をかけて歌う曲を選ぶ
周囲を気にせずマイペースに行動するタイプ。周りが盛り上がる中、ひとりテンションが低いことも。
③友人にリクエストをする
協調性があり、空気を読んだ行動をとる。集団行動が得意だが、人に流されやすい傾向もある。
④ドリンクやフードを注文する
縁の下の力持ちタイプ。周りから好意や信頼を寄せられるが、自ら壁をつくりがち。自分も楽しむことが大事。

←集団行動の心理を知るには…第6章へGO!

齊藤 勇 (著)
出版社 : ナツメ社 (2015/5/14)、出典:出版社HP

はじめに

人間関係に悩んだとき、仕事で交渉がうまくいかなかったとき、好きな人の気持ちがわからないとき、「人の心が読めたらいいのに」と思ったことはありませんか?
そんなときに役立つのが、行動心理学です。人の様子や言動といった、見聞きできる行動から、その裏にある心理を明らかにします。例えば、「頭をかいている人は強いフラストレーションを感じている」「”なるほど”、が口癖の人は聞くよりも話したいと思っている」などといった具合にです。

心を見ることはできませんが、動作やしぐさ、表情などといった実際の行動は見ることができます。そこから本心を探ることができるのです。そのため、行動心理学の範囲は多岐にわたります。言い換えれば、それだけ皆さんの身の周りのさまざまな場面で役に立つということです。行動から自分や人の心理を理解できるようになれば、よりよい関係を築くことができますし、これを応用すれば、心を読み取るだけでなく、人を動かすこともできます。

本書では、難しいイメージのある心理学を、理論や実験を交えつつ、日常のテーマを中心にわかりやすく紹介しています。人づきあいや恋愛、ビジネス、買い物、集団行動など、さまざまな場面で役立てていただけたら幸いです。

齊藤勇

目次

プロローグ

マンガ 行動から心が読み取れる心理学!?
心理学がグンと身近になる 心理テスト
解説
はじめに

第1章 一目瞭然! 行動に表れる本音
マンガ どんな行動にもワケがある

ふとしたしぐさに表れやすい本音

電車では端の席に座ってひと安心
つま先は関心のあるほうに向く
エレベーターでは階数表示を見てしまう
触れればなぜか気持ちが落ちつく
「気をつけ」は従領の姿勢
威張りたくて腕を組んでいるわけではない

気持ちを隠し切れない表情
目の動きで興味のアリ・ナシがわかる
目線が右上か左上かで
考えていることが違う
つくり笑いかどうかは口元に注目

会話の中に折り込まれる人間性
声色はイメージをつくる大きな要素
大声で話す人は実は小心者かも
会話が早回しになったら嘘を見抜け
大げさなリアクションは
退屈のサイン
「みんなのおかげ」は
イメージアップが狙い
納得していなくても「なるほど」と言う
How to やってみよう!
自分を魅力的に見せるテクニック
初対面ではまず”見た目”に気を配ろう
「魅せたい自分」を意識的に演出する
好感を持たせる会話術をマスターしよう
「できる」と「ありがとう」を多めに言おう

COLUMN+
NLPを習得すればなりたい自分に近づける!

第2章 どんな人? 行動からわかる性格と心理
マンガ 癖や趣味からタイプがわかる

癖に隠れた人間性
髪を触るのは甘えん坊の証拠

「すみません」が口癖になっている人
遅刻魔はまじめな自己チュウ
ハンドルを握ると本当の姿が表れる

ファッションから読み取る人物像
古着で他人とは違う自分をアピール
バッグに詰め込む中身の量は不安の量
化粧をすると顔も心も外向的になる
ナース服を着れば人はやさしくなる

ハマりものに表れる深層心理
写真をアップしてリア充をアピール
手が届きそうだからアイドルにハマる
レアものといっしょに達成感と優越感も買う
プチ筋トレで自尊心を満足させる
皇居ランをする人はかっこいい?
クッションは幼い頃のぬいぐるみ代わり

How to 行動から自分を変えよう! ボジティブに過ごすテクニック
気分を変えたいなら服の色を変える
笑顔をつくるだけで心も楽しくなる
考え方1つで悪い面もよい面に変わる

COLLUMN+
空き時間があればスマホをいじるのは依存?

第3章 仕事で役立つ! デキる人間から学ぶ行動
マンガ ビジネスで成功するためには?

上司の心をつかむコミュニケーション
嫌いになるのは上司からか部下からか
アサーションは意見を伝える高度なワザ
「今どきの若者は」に話を合わせる若者は
上司の意見にうなずくだけで信頼される
上司への尊敬は第三者から伝えるほうが効果的

何を考えているのかわからない部下
隣の人にランチの誘いのメールを打つ
打ち合わせはすべて言い訳から入る
ノルマを達成しても喜ばない
指導しているのに熱意を感じてくれない

うまくつきあいたい同僚
同期とばかり自分を比較してしまう
「ひとりめし」から抜けられない
仕事上の貸し借りもコミュニケーション
無茶な納期は友情が生まれるチャンス

How to ビジネスを操ろう! 仕事で成功するテクニック
状況に合ったリーダーのタイプがある
賛成意見の人を正面に座らせる
優位に進めたい相談は食事をしながら
先手を打って有利に立とう
お願い事は段階を踏んで依頼する

なかなか抜け出せないスランプ
他者の評価が自分の評価になっている
「ダメな自分」しか見えてこない
ほめられるほど失敗しそうな気がする
可能性を捨てきれずに転職を繰り返す

COLUMN+
机の上の散らかりは頭のなかの散らかり

第4章 実は買わされている!?  消費者行動の心理

マンガ 心をくすぐる仕掛けがいっぱい

財布の紐が緩むとき
徹夜して並んででも新しいスマホが欲しい
購入するのは最初が最後に見たもの
心の葛藤から「本日のおすすめ」に逃げる

ブランド品を持つことで自分に箔つけしたい
流行は「差別化」
「おそろい」から生まれる

マーケティングを活かした「売る」仕掛け
コンビニは消費者を誘導する仕掛けの宝庫
男性の好きそうな商品のそばに美女を置く
価格設定で高級感やお得感をつくり出す
見られないからこそ見たくなる
「鶴の恩返し効果」

「欲しい」をかきたてる宣伝文句
「○○なあなた」と呼びかける広告
「続きはWebで」で惹きつけるテレビCM
購入を決めると
ほかの商品もおすすめする販売員

COLUMN+
ネット通販には心理学的な仕掛けが多い

第5章 恋をゲット! 行動で操れるあの人の心
マンガ 気になる人の気持ちが知りたい!

言動から読み解く脈アリのサイン
好きな人には目力でアプローチ
距離をつめれば心の距離も近くなる
女性は好意の分だけ食べられなくなる
男性は気になる人のそばで姿勢が傾く

2人の心が近づくしくみ
毎朝電車で会う人を好きになる理由
似た者カップルはうまくいく
ドキドキは恋心と勘違いしやすい

恋愛難民になってしまう理由
消極的な「草食系男子」と焦る「こじらせ女子」
「恋愛なんて必要ない」は恋愛したい裏返し
自分の気持ちが友情なのか愛情なのかわからない
3次元は怖いから2次元に逃避する
男性は元カノに連絡してしまう生きもの

How to アプローチしよう! 恋を手に入れるテクニック
タイミングを合わせて相手のしぐさのマネをする
相手にとって意外な一面をほめる
尽くすよりも尽くさせる
友だちからのおすすめがトドメのひと押し
告白は相手が落ち込んでいるときに

幸せな関係が長く続く2人
言葉を交わすほど満足度が上がる
遠距離こそ相手の現実の姿を見よう
適度な嫉妬は浮気を防ぐ
コーピングで上手にケンカする

家族になってからの心理学
恋愛は似た者同士がよい、夫婦は…?
する側もされる側も依存しているDV
手のかかる子ほど可愛がってしまうワケ
下の子の写真がほとんど
アルバムにない

COLUMN+
女性は軽く触れるだけで、満足だからキスフレOK

第6章 しくみがわかる! 行動からみた世の中
マンガ 集団に埋もれると人が変わる?

人から人へと伝わっていく集団の心理
集団になるとエスカレートするいじめ
人が道に倒れていても見て見ぬふりをする
人数が増えるほど能率が下がるワケ
派手なアピールで周りの同意を狙う
ネットは匿名だから攻撃性が増す

行動心理からみた近年の出来事
つらいときほど結婚したくなる
日本のチームが勝てば自分まで誇らしい
非常時には大統領の支持率が急上昇
迷惑行為を平気でする人

世論をつくり出すマスコミ
テレビで紹介されたものが翌日売り切れる
無党派層が投票する決め手は?
正しく情報が伝わらないと集団パニックに
新聞やテレビよりもSNSを鵜呑みにする

さくいん

参考文献

ミニコラム目次

「いつもの席」は指定席?
「図」と「地」は同時には見られない—だまし絵
嘘をつくと鼻がムズムズする?
バレないつくり笑いのコツ
電話の向こうに想いは届く?
人の目を意識してアップする
スポーツにも心理学がある
部屋と住人の評価は同じ?
批判が信頼関係を深めることも
人の認知は大雑把
ひとりが好きな人の心理って?
自分の評価がわかるエゴサーチ
日曜の夜は気分が落ち込む
割り込みを注意できるのは真後ろの人だけ?
メニューの選び方からわかる性格
中間の価格は選びやすい
人気タレントは大きく見える?
人の目が気になる高校生
パーソナル・スペースが侵害されるとどうする?
一目惚れは運命の出会い?
男女の友情は成り立つ?
占い師は人の内面を見抜く?
「しつけ」と合理化する親
自己実現をする「友だち親子」
キティ・ジェノヴェーゼ殺人事件!
壁の落書きが犯罪を招く?
自分の考えに沿う情報を選択している

齊藤 勇 (著)
出版社 : ナツメ社 (2015/5/14)、出典:出版社HP

使える行動分析学: じぶん実験のすすめ (ちくま新書)

じぶん実験で行動を変える

「〇〇をしたいのにできない」「△△を止めたいのに止められない」このようなことの原因を意志の弱さや能力の欠如のせいにはしないのが、行動分析学の特徴である。本書は、その原因を行動分析学の理論で推理し、自らの行動を変えながら突き止める「じぶん実験」によって新たな自分を発見し、悩みの解決につなげる方法が書かれている。

島宗 理 (著)
出版社 : 筑摩書房 (2014/4/7)、出典:出版社HP


使える行動分析学
自分実験のすすめ
島崇理

目次

まえがき

第一章
じぶん実験と自己理解――自分の行動の理由を知る
自己実験は発明の源/エビングハウス「記憶研究」の功績/自己実験に対する批判/素朴な自己実験/じぶん実験の目的/セルフコントロール、セルフマネジメントとの違い/他者理解と自己理解/便利な要約語/具体語の限界/思い込みや決めつけの失敗/素朴な実験による他者理解要約語の罠/循環論の罠/じぶん実験の「自己理解」とは

第二章
行動分析学と自己実現――自分の行動を変える
成功のカギは、決意の強さか才能か/りんごが木から落ちるのは力不足?死人テスト/行動の諸法則/行動随伴性を考えるためのABC分析/好子と嫌子/強化の随伴性と確立操作/弱化の随伴性/自己実現への道程/欠乏欲求と存在欲求の区別/行動は多重に制御されている/制御変数を知れば、選択肢の幅が広がる/確立操作と弁別刺激/後続事象による行動随伴性の分類/行動随伴性と「消去」「復帰」/意識や知識は必要条件ではない/言語刺激による行動制御/強化擬と弱化擬/「塵も積もれば山となる型」と「天災は忘れた頃にやってくる型」の随伴性/行動分析学についてよくある誤解

第三章
じぶん実験レポート――他人のじぶん実験に学ぶのじぶん実験の流れを読みとる/片付けられる女子になる/目指せ細マッチョ

第四章
じぶん実験の進め方%じぶん実験の進め方/標的行動の数え方/行動ではなくパフォーマンスとして標的を定義する/「遅刻」を解決する標的行動の探し方/行動変容の核心点を見つける/達成目標を見直す「なぜなぜ法」/測定方法の決め方/記録用紙の作成/測定は手間取らない方法を/目標値の設定とべースラインの測定/記録を視覚化する/傾向線を引いてデータを読む/測定誤差/随伴性ダイアグラムで原因を推定する/随伴性ダイアグラムを解釈する/原因推定と介入立案の早見表/早見表の読み方――行動が増えない理由/早見表の読み方――行動が減らない理由/ダイアグラムに早見表を当てはめる/介入の成功失敗を分けるカギ/随伴性を変える/社会的随伴性で介入計画の実行をサポートする/記録を視覚化し、評価する/因果関係を調べるには/再現と系統的再現/標的行動の妥当性を評価する/介入計画を改善する/じぶん実験からわかったことをまとめる

第五章
広い「じぶん実験」の適用範囲じぶん実験それぞれの物語/積年の癖を直す/改札をさっと抜ける/字を丁寧に書く、ネット中毒から脱却する/花嫁修業/試験勉強/二度寝を防ぐ、毎日、新聞を読む/スリーポイントシュートを練習する/読書少女、復活

あとがき
引用文献/参考文献/行動分析学の参考書
*M作
新井トレス研究所

島宗 理 (著)
出版社 : 筑摩書房 (2014/4/7)、出典:出版社HP

まえがき

現在、あなたはどの程度幸せですか。「とても幸せ」を一〇点、「とても不幸せ」を0点とすると、何点くらいになると思いますか。
これは内閣府が二〇〇九年から三年間実施した「国民生活選好度調査」の一項目です。読者の皆さまは、何点と回答するでしょう。ちなみに、二〇一一年度の平均値は六・四一でした。

OECD(経済協力開発機構)では、暮らしやすさの指標(Better Life Index)を作成し、加盟国を対象に調査を行い、一○点満点で点数化しています。指標は一一項目あり、それぞれいくつかのデータから算出されます。たとえば「教育」については、国民が教育を受ける年数の平均値、OECDが別途実施している学習到達度調査(PISA)における得点の平均値、高等学校を卒業した人の割合の三つのデータから計算されます。-一一の指標のうち、「生活の満足度」(Life Satisfaction)については、内閣府の調査と同様の質問に対する回答から得られたデータを集計しています。二〇一三年度の報告では、日本の平均値は六・○で、三六か国中二七位。上位三位はスイス(七・八)、ノルウェー(七・七)、ア3イスランド(七・六)です。-日本の「教育」はフィンランドに続いて二位ですし、「安全」では一位です。他の指標もそこそこのところに位置しているのに、幸せや生活の満足度について聞かれると、平均以下になるというのが興味深いです。もしかすると、日本人は幸せの自己申告ではとても謙虚なのかもしれません。

幸せって、何だっけ、何だっけ?うまい○○○のある家さ

明石家さんまさん出演で、一九八六年にヒットし、二〇〇九年にリバイバルしたキッコーマンのテレビコマーシャルです。○○○に入ることばを「ポン酢」と覚えているか、「しょうゆ」と覚えているかで年齢層がわかるそうです。単後、幸せを追い求めて頑張ってきた日本人ですが、高度経済成長も終わり、ふと気がつくと何が幸せなのか、何を追い求めて、たのかわからなくなる。そんな心の隙間をうまくつき、
オン酢や醤油で味付けした料理でほっとできる癖間があればそれで幸せなのかもと、心理台,溺れそうなところへ浮き輪を投げたような、上手な作りの作品です。

もっとも日本は八六年からバブル経済に突入するわけで、ポン酢で満足できるような状況ではなくなります。そしてこのCMがリバイバルする二〇〇九年の直前にはリーマンショックが起きていて、持ち直しそうだった景気が大幅に後退しました。経済と心理が錯綜する様子がわかります。

近年、幸福をテーマにした本がブームになっています。幸せとは何なのか、人はどのような条件で幸せと感じ、どのような条件で不幸せと感じるのかを明らかにする研究が、心理学や経済学、最近では脳科学においても、急速に進んでいます。住民の幸福度を測定し、その改善を目指して政策を実施しようとする国や地域も出てきています。

書店には自己啓発本のコーナーがあります。成功したい、人格を高めたい、人生をより充実させたいと願う人たちに、ひらめきや助言を提供する本が集められています。これまでこうした棚にあったのは著名人の自伝的な本や宗教関係の本、その他、あの手この手で「浮き輪」を投げる本がほとんどでした。これからもそうした本が本棚から消えることはないでしょう。けれど最近は、そうした本に交じって、心理学や経済学などの実証的な研究にもとづいて書かれた本も見られるようになってきました。自己啓発本に書かれていることをしている人は実際にはうまくいっていないことが多いといった研究成果が紹介されている本さえあります(リチャード・ワイズマン、木村博江訳『その科学が成功を決める』など)。

本書は自己啓発本ではありません。本書には幸せになる方法は書いてありませんし、本書を読んでも幸せにはなれません。本書が投げる浮き輪は、幸せになる方法の見つけ方です。何をもって幸せと感じるかは人それぞれです。心理学や経済学の研究からは、個人差があることと、どのくらいの人がどんなときにどのように感じるかがわかります。

たとえば、ボランティアや市民活動に参加することが幸せにつながる人がどのくらいいるか、参加することでどのくらい幸せ度が上がるのかは予測できます。ところが、こうした研究からは、私たち一人ひとりについてはわかりません。私の幸福度がボランティアに参加して上がるのかどうか、上がるとすればどのくらい上がるのかは、当然のことですが、私が実際にそうしてみないとわからないのです。

さらに重要なのは、幸福度の向上や維持にとって役に立つ活動は、ふつうに暮らしていると続けることが難しいことです。ボランティアに参加し続けること、家族や友人に親切にすること、将来に備えて貯金をすること、ピアノを習ったり、山歩きをするなど。

本当に「やりたい」と思っていることは、何かと先送りしてしまいがちなのが忙しい毎日に追われる現代人。何が自分の幸せにつながるかがわかったとしても、それをやり続けることの難しさから、結局は幸福度の停滞や低下につながってしまうのです。本書では、幸せになる方法を見つける「じぶん実験」をご紹介します。実験の方法や解釈については、行動分析学の考え方を用います。

行動分析学は心理学の一つで、目の前の行動をそのまま対象とし、行動を変える変数を実験によって探る方法論をもっています。他の多くの心理学とは異なり、何かができないときに、その原因を意志の弱さや能力のせいにはしないところに特徴があります。

私は大学で行動分析学を教えています。これまでに、一〇年以上、学部生や大学院生、ときには社会人を対象に、行動分析学を学びながら、課題としてじぶん実験をする授業をやってきました。こうして積み重ねられた実験レポートの数は数百にもなります。
授業の課題としての実験は、研究として行うものではありませんから、記録や手続きの信頼性は限定されます。それでも、これだけの数になると、自分の行動を対象に行う実験がどうすればうまくいくか、どんなときに失敗するかがわかってきます。

本書を読んで、興味をもっていただければ、ぜひご自分の幸せ探しに、じぶん実験をお試し下さい。
第一章と第二章は行動分析学の考え方やじぶん実験の説明です。第四章では、じぶん実験のやり方を解説しました。第三章と第五章は、わかりやすいように受講生を登場人物とした物語形式で、授業やじぶん。実験がどのように展開するのかを解説しました。物語はすべて、掲載に同意してくれた受講生のレポートにもとづいています(ただし、プライバシー保護のため、登場人物の名前や所属などはすべて架空のものとしてあります)。
とにかく「じぶん実験」をやってみたいという読者は、第三章以降を先に読んでしまうというのも手かもしれません。

島宗 理 (著)
出版社 : 筑摩書房 (2014/4/7)、出典:出版社HP

リーダーのための行動分析学入門

働く人全てにおすすめの1冊

グローバリゼーションが進み、新しいリーダーシップが求められる現代。本書では、「人がなぜそのように行動するのか」について法則を見つけて探求する行動分析学の手法を用いて、組織のリーダーが人を動かす際のポイントがわかりやすく解説されている。組織管理者だけでなく、部下が思い通りに動かなくて悩んでいる上司の方にもうってつけの一冊である。

島宗 理 (著)
出版社 : 日本実業出版社 (2015/9/17)、出典:出版社HP

まえがき

グローバリゼーションの時代に新しいリーダーシップが求められています。
自分たちとは異なる慣習や価値を持つ文化に生きる人々と一緒に働き、その文化に適した製品やサービスを提供し、満足してもらうためのリーダーシップです。

わかりやすいのは国内企業の海外展開でしょう。日本では評判も良く、売れている商品が、そのままでは通用しないこともありますし、日本ではあたりまえになっている働き方や経営手法、部下のマネジメントの仕方が受け入れられないこともあります。

そんなとき、現地のスタッフや彼らの文化をいくら責めても成功にはつながりません。日本から派遣しているスタッフを責めてみても同じことです。必要なのは、違いを理解し、受け入れ、その上でその違いを逆手にとって活かしていくフレームワークです。

フレームワークとは基本となる考え方のことです。本書では、人の行動を理解するフレームワークとして行動分析学という心理学を採用しています。

行動分析学は「人がなぜそのように行動するのか」ということについて、その人がそのように行動する原因を、その人の行動を変えながら見つけようと探求する科学です。「人を動かす心理学」と言ってもいいでしょう。
とはいえ、本書は科学としての行動分析学を学んでいただくための教科書ではありません。行動分析学という科学をフレームワークとして作り上げたリーダーシップについて学んでいただく、実践のための本です。

部下が思い通りに動かなくて悩んでいる上司の方には、なぜ部下の人たちがそのように行動しないのか理解し、どうすれば行動するようになるのか、具体的な解決策を考えられるように!
職場で多様性を尊重し、イノベーションを生みだそうとし経営者の方には、業績向上につながる優れた仕事をしていくための方法論を!
本書では、わが国の企業が現在進行形で取り組んでいる様々な課題に対する処方箋をポジティブな行動マネジメントとしてまとめました。

ポジティブな行動マネジメントは行動分析学の研究にもとづいていますが、研究だけの絵空事ではありません。
本書では、ポジティブな行動マネジメントを武器に、世界のトップ企業を支援しているCLG(Continuous Learning Group)というコンサルティング会社*1のノウハウや事例もご紹介します。

CLGは、米国(ピッツバーグ)に本社をおき、Fortune100*2に入るグローバル企業にもコンサルテーションを提供している会社です。エネルギー、鉄道や航空、金融、医療・製薬、食品、小売など、幅広い業種の500以上の顧客企業に対し、1993年の創業から今日まで、ポジティブな行動マネジメントを用いて成功をもたらしています。経営者や管理職、社員の行動を変えることで、収益をもたらすコンサルテーションです。

CLG創業者の一人である、Leslie Braksik博士と私は大学院の同級生で、共に行動分析学を学んだ仲間です。CLGが日本のある企業にコンサルテーションを提供したときに、彼女の著書*3の翻訳監修をお手伝いしたこともありました。
そのご縁もあり、今回、本書の執筆にあたっては、彼女の本で紹介されている事例を引用したり、CLGが商標登録している用語を使用させていただく許可をいただきました。
さらに現在、CLG Japanオフィスに駐在している現役コンサルタントのDanielle Geissler博士にもインタビューを重ねさせていただき、ポジティブな行動マネジメントについて、可能な限りのリアルな情報をお届けしています。

コンサルテーションの契約には守秘義務がつきものです。ですから、実際、何をどのように進めるかについての詳細は、語りたくても語れないことが多いのですが、今回は、ぎりぎりの線まで踏み込んで情報提供していただきました。
この場を借りて、お二人には感謝の意を表します。

海外展開をもくろむ企業はもちろんのこと、国内にて事業を営んでいる企業についても、程度の違いはあれ、異文化も対応したマネジメントが必要とされます。
様々な個性を持ち合わせたメンバーをまとめてチームの力を最大限発揮しようとするときには、それぞれの個性が異文化になります。
ゆとり世代のように、ある年齢層の部下が異質な文化を持つこともあります。女性の社会進出、経営への参画に伴い、女性の上司に年上の男性部下ということも珍しくなくなっていきます。海外から招聘された外国人経営者の元で働く日本人社員も増えていくことでしょう。これらは、今後、間違いなく進んでいくトレンドです。わが国では、これまで他国に比べると、「みんな同じ」が重視されていました。平均からの逸脱は、個性として尊重されるより、出る杭として打たれることが多かったのが事実です。我慢しなければならないことも多いけれど、全体としてはうまくいっていました。

この価値観が大きく変わろうとしています。
「みんな同じ」という価値観が「違ってていい」、さらには「違っている方がいい」にまで変わってくるのが、多様性(ダイバーシティ)を尊重する流れです。グローバリゼーションと同様、ダイバーシティも後戻りすることはない世界の潮流だと私は考えています。

このような転換期だからこそ、人はなぜそのように行動するのかを理解し、どうすれば望むように行動してもらえるのかを考えるためのフレームワークがいっそう重要になるのです。この一点で、本書が日本再生に僅かながらでも貢献できれば幸いです。

なお、本書でご紹介する下記の用語は商標登録されています。転載など、使用にあたっては事前にCLGから許諾を受けて下さい*4。
CLG®︎コンサルティングサービス
IMPACTモデル
MAKE-IT®モデル
E-TIP Analysis
Performance-Based Leadership®
DCOM®
Discretionary Performance

*1
Continuous Learning Group(https://www.clg.com)

*2
米国最大の経済誌『Fortune』が毎年発表している企業ランキングです。

*3
Wilk Braksick, L.(2007).Unlock behavior, unleash profits: Developing leadership behavior that drives profit ability in your organization. McGraw-Hill, New York: NY.

*4
お問い合わせはpermissions@clg.comまで。

島宗 理 (著)
出版社 : 日本実業出版社 (2015/9/17)、出典:出版社HP

目次

まえがき

第1章
企業は行動なり
1-1 行動なくして業績なし
行動公式 V=B
1-2 リーダーの行動が原動力
行動公式 V=BL×BF
コラム リーダーシップのリスクと可能性
1-3 リーダーシップの落とし穴
個人攻撃の罠
1-4 ポジティブな行動マネジメント
V+=Bを満たす行動を見つける
コラム 成果と行動を区別する
1-5 180度の視点変換
心理学の罠
演習 理想の上司の行動を課題分析する
コラム 行動とは死人にできないことすべて
1-6 成果を生む行動を絞り込む
行動の罠

第2章
業績をつくる行動公式
2-1 行動は随伴性で変わる
行動公式 V=A×B×C
2-2 随伴性なくして、行動なし
継続の幻想
2-3 知られざる強化の力
自主性の源泉
コラム 自主性の罠?
2-4 科学の使い方(1) 行動の原因推定
2-5 科学の使い方(2) 仮説検証と改善

第3章
リーダーシップを原動力に
3-1 業績にインパクトを
標的行動の焦点化
演習 営業マネージャーの行動を焦点化する
演習 営業会議の行動を焦点化する
演習 経費削減につながる行動を焦点化する
コラム NORMSで標的行動をチェックする
3-2 期待をわかりやすく伝える
先行事象の明確化
演習 焦点化した標的行動を部下に伝える
ケースファイル#01 意外に難しい焦点化
3-3 標的行動を強化する
後続事象の有効化
コラム グローバリゼーションとローカリゼーション
3-4 失敗は成功のチャンス
E-TIPで大逆転
演習 行動のなぜを考えるABC分析接客編
演習 行動のなぜを考えるABC分析プレゼン編
ケースファイル#02経営戦術と直結する焦点化
3-5 行動をカイゼンする仕組み
革新エンジン
ケースファイル#03パートタイマーにもリーダーシップを
ケースファイル#04小さな成功から大きな成果へ

第4章
リーダーシップを育てる仕組み
4-1 リーダーを育てる
行動公式V(BF)=A×BL×C
コラム「1:4の法則」とオオカミ少年
コラム リーダーシップとマネジメントとビジョナリー
4-2 ダブルPBL
研修の罠から脱却する
4-3 CLGのコンサルテーション
大規模介入による全社的な取組み
ケースファイル#05大規模な行動介入のための4ステップ
ケースファイル#06 M&Aの要になるのも、やはり行動

Question & Answer
第5章
よくある疑問や誤解
Q 部下を叱ってはいけないのですか?
Q 褒めすぎたら部下がつけあがりませんか?
Q 感情は無視するのでしょうか?
Q 自主性を重んじると仕事が遅くなりませんか?
Q やってみたいのに、まわりの理解が得られません。
Q やってみたのに、行動が変わりません。
Q 標的行動が決められないときの焦点化は?
Q 欧米型のマネジメントが日本の会社になじむのでしょうか?
コラム 見かけにまどわされず、本質を見抜こう
Q 行動分析学を知らない立派なリーダーもたくさんいますよね?
コラム マニュアルで自発性を高める仕組み

あとがき
INDEX

島宗 理 (著)
出版社 : 日本実業出版社 (2015/9/17)、出典:出版社HP

行動分析学入門 ―ヒトの行動の思いがけない理由 (集英社新書)

行動分析学の基本がよくわかる

行動分析学は、ヒト及び動物の行動の原因を心ではなく外部の環境に求め、「行動随伴性」という概念によって明らかにしていく、心理学の一体系である。本書は、そんな行動分析学の基礎から応用までを、過去の研究や実際の事例を用いながら詳細に解説してくれている。行動分析学への初めの一歩には最適な一冊である。

杉山 尚子 (著)
出版社 : 集英社 (2005/9/16)、出典:出版社HP

行動分析学入門
ヒトの行動の思いがけない理由
杉山尚子
集英社新書

まえがき

私がかつて二夏を過ごした米国ウェスタン・ミシガン大学の心理学者、アラン・ポーリングは、『A Primer of Human Behavioral Pharmacology ヒトの行動薬理学入門』という本の冒頭で、「Drugs and sex are two topics about which most people have strong opinions and weak understanding.(薬物とセックスというのは、多くの人々が独自の見解を強くもちながら、実態についてはろくに理解していない2大テーマである)」と述べている。薬物とセックスだけでなく、「こころ」についても同じことがいえるのではないだろうか。

多くの動物種の中で、人間だけが自分と他者の心について関心を寄せてきた。それは心の研究をする心理学者だけに限ったことではない。日常生活の至るところで、私たちは自分はもとより、他者の心についても語っている。心理という言葉は、心理学の専門家だけが振りかざす言葉ではなく、「心理戦」「女性の心理」、はては「優先席の心理」という具合に、日常用語として定着しているといってよい。

とりわけ、「21世紀は心の時代」という言葉に代表されるように、現代では、20世紀の物質文明からの転換の必要性を多くの人が認識している。また、昨今の社会状況下で発生する、犯罪や児童虐待といったさまざまな痛ましい出来事に対して、人々は強い関心を寄せ、心の復権の重要性を唱えている。専門家のみならず、あらゆる人々が心について解釈と説明を試みてきた。

しかし、本書の第1章でも述べるように、心理学という分野は一枚岩ではない。人それぞれ心についての見解があって、しかも強く自己主張するのは、何も一般の人々に限った話ではなく、アカデミックな心理学の世界でも同じであり、心に対する考え方は多様なのである。

そのような状況の中で、本書は、1930年代に米国の小田学者B・F・スキナー(1904-1990)が創始した、行動析学と呼ばれる心理学について、できるだけわかりやすく述べたものである。行動分析学とは、文字通り行動を分析する科学である。行動を分析することがなぜ心理学になるのだろうか。その謎解きは本文を読んでいただくとして、人間の「こころ」を考える際に、心理学という言葉から連想される、これまでの常識的な見方とはだいぶ異なる視点を提供していきたいと思っている。」「新書判である以上、紙幅の制約があり、行動分析学が過去70余年にわたって蓄積してきた知見を、ここですべて披露することはとうていできない。したがって、本書が狙ったのは、行動分析学が人間の問題を扱う時の核となる考え方を伝えることである。

本書によって、読者の皆様が人間の問題を考える際にこれまでと違った新しい視点を獲得し、それを面白いと思ってくだされば幸いである。

杉山 尚子 (著)
出版社 : 集英社 (2005/9/16)、出典:出版社HP

目次

まえがき

第1章
心理学をめぐる誤解
-心とこころ
心理学にはいろいろある
行動分析学は行動の原因を解明する
行動の科学は成り立つのか
行動分析学は行動の問題を解決する
心理学の研究対象
3つのレベル
行動分析学が受け入れる説明
行動分析学的行動観
行動分析とは行動の実験的分析である
行動の原因をどう考えるか
行動にはられたラベルと医学モデル
操作不能の原因
行動分析学が考える行動の原因
行動とは何か
行動とは死人にはできない活動のこと
行動には見えないが行動といえるもの
行動の種類(レスポンデント行動)
オペラント行動
オペラント行動の法則
行動随伴性
個人攻撃の罠

第2章
行動の原理
好子出現の強化
嫌子消失の強化
嫌子出現の弱化
好子消失の弱化
行動は無意識のうちに強化/弱化されるともある
消去と復帰
消去
復帰
先行刺激による行動の制御
スキナー箱
般化

第3章
行動をどのように変えるか
新年の誓いはなぜ破られるか?
知識こそが行動の源なのか?
具体的な指示を出す一行動的翻訳一
技能に問題がある場合の対処法
シェイピング
チェイニング
随伴性を変える
60秒ルール
抹殺法
新しい随伴性を加える
代替行動という考え方
消去
弱化と消去
行動を増やすには

第4章
スキナーの思想と実験的行動分析
スキナーの哲学
はじめはネズミ、そしてハトへ
系統的再現
実験室における人間の行動
嘘は強化できる
強化スケジュール
消去抵抗
バースト
部分強化
なぜ実験か?
偶然を排除するには
単一被験体法という考え方
節約の原理

第5章
言語行動
人間の特徴は、言語の使用である
スキナーの『言語行動』
言語は行動である
言語はなぜ行動なのか
言語共同体とは何か
話し手と聞き手の随伴性
言語行動の種類
マンド
タクト
聞き手は話し手の言語行動を強化する?
イントラバーバル
エコーイック
文字が関与する言語行動
言語を随伴性で見るということ
行動の形式と機能美
言語行動としての非言語行動
言語獲得
指さしと言語
私的出来事のタクト

あとがき
引用・参考文献

杉山 尚子 (著)
出版社 : 集英社 (2005/9/16)、出典:出版社HP

行動分析学マネジメント-人と組織を変える方法論

成長し続ける組織を生み出す方法論

本書には、合併したばかりの会社を主人公が行動分析学を使って変えていくというケースストーリーとその解説が、著者が組織・人事コンサルタントとして経験してきたことをベースに書かれている。また、行動分析学のみならず組織活性化の指標や人事制度の再改革など、組織経営の重要コンセプトにも触れているため、組織管理者にはもってこいの一冊となっている。

舞田 竜宣 (著), 杉山 尚子 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2008/12/17)、出典:出版社HP

まえがき

人の行動は、変えられる。組織の文化も、変えることができる。そのための科学的・体系的な方法論を、わかりやすく伝えたい。これが、本書の執筆理由です。
「人は変われる」ということに、異論を唱えたくなる方もおられると思います。「三つ子の魂、百までというではないか」と。その通り。ここで私たち著者が主張するのは、人の性格や人格を変えるということではありません。人の「行動」を変えるということなのです(なので、紛らわしい表現を避けるため、以降、本書では「人を変える」という言い方ではなく、「人の行動を変える」という言い方をします)。

そもそも人は、普段の生活においても、さまざまな異なる面を持ちながら生きています。たとえば会社と家庭では別人のようだとか、趣味の世界に入ると仕事では見たこともないようないきいきした活躍をするとか。こういったことは、ごくありふれた日常茶飯事でしょう。けれどそれは、会社と家庭とで別の人格に切り替わっているわけではありません。趣味に取り組むときと仕事に取り組むときとで、人格が分裂しているわけでもありません。私たちは、いつでも同一の人間です。ただ、行動が異なるのです。

同じ人間が、時と場合でまったく異なる振る舞いをする。真逆なことをすることすらある。なぜ、そういうことが起きるのか。その理由と原理を科学的につかむことができれば、今度は意識的に自他の行動を望ましい方向へと制御することもできる。これが行動理論の考え方です。

この本には、合併したばかりの会社を、主人公が行動分析学を使って変えていくケース・ストーリーが描かれています。この会社は架空ですが、そこで繰り広げられるエピソードは、著者が組織・人事コンサルタントとしてさまざまな会社で経験した実話がベースとなっています。

各ケースの後には解説がついており、ここで行動分析学の理論を説明しています。また、この本は組織管理者向けに書いたため、行動分析学だけではなく、エンゲージメントという組織活性化の指標や、人事制度の再改革といった、組織経営の重要コンセプトについても触れています。

ケースの主人公は、HRビジネスパートナーという役職に就いています。この役割について書きたいと思ったことも、本書の執筆動機の一つです。HRビジネスパートナーとは、分類すれば人事の仕事に入ります。ですが、伝統的な人事とは大きく異なる役割を期待されます。

過去の人事というのは、組織に「治」をもたらす存在でした。みんなが会社で安定的に安心して日々を暮らせるようにする。それが人事の主たる使命でした。ところが、時代は変わり、今や人事は会社の「変革」を司る存在となっています。M&A、リストラ、グローバル化といった激変の中、社員を上手にマネージすることが、人事の重要な使命となっているのです。
しかし、従来型の人事で、それをするのはとても難しい。そこで新しく設けられたのが、HRビジネスパートナーという役職です。今日では、変革を得意とする世界の先進企業には、たいていこのビジネスパートナーがいます。変革を「痛く、苦しい」ものではなく、いかに「楽で、楽しい」ものにするかが、彼ら・彼女らの腕の見せ所です。

日本人は「変革には痛みが伴う」と平然と言い、それを我慢することを人に要求してきました。けれど、痛いものは、本当は誰もやりたくないのです。日本の変革が、内実としてはなかなか進まないのも、実はこうした人間心理を軽視した進め方に原因の一端があるのではないでしょうか。

ともあれ、人の行動を変え、組織を変革するのは、実際にはとてつもなく大変なことです。自分一人で頑張っても、できることには限りがあるかもしれません。また、組織は大物なので、簡単には動きません。気力と知力と体力のすべてをかけても、はがゆいほどゆっくりとしか変わらないこともあるでしょう。しかしそれでも、人や組織の行動が変わった暁というのは感動的です。それまでの苦労が報われたと感じます。一人でも多くの人々に、この感動を味わってもらいたい。本書には、そんな願いも込められています。

この本を書くにあたり、もう一人の著者である杉山先生が主宰する「パフォーマンス・マネジメント研究会」(略称PM研)からも多大な示唆をいただきました。さまざまな会社のビジネスパーソンや大学院生などが、「人と組織の行動は変えられる」という信念のもと、理論と実践を重ねながら技を磨きあう。舞田にとっては、楽しくためになる道場のようなものでした。この場をお借りして、研究会の皆さんに感謝の意を表したいと思います。
また、この本は、たくさんの方々の温かいご支援のおかげで世に出すことができました。改めて謝意を表させていただきます。

それから、私を長い間いつも支えてくれて、常に一歩前に踏み出す勇気を与えてくれる妻、白根。ほんとうに、ありがとう。

二〇〇八年秋
舞田意宣

舞田 竜宣 (著), 杉山 尚子 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2008/12/17)、出典:出版社HP

目次

序章
今こそ組織・人材マネジメントに「行動の科学」を
行動分析学とは何か
行動上の問題の原因は何なのか
行動の真の原因は行動の直後にある

第1章
褒めてやらねば、人は動かず――好子による強化と弱化
ケース
ポジティブな反応がポジティブな集団を作る
あの会議で何が起こったのか
行動の原理に基づいたテクニック

第2章
鬼の上司が会社を伸ばす?嫌子による強化と弱化
ケース
上司の何気ない言動が部下の士気を落としている
問題の捉え方:標的行動の定義
随伴性ダイアグラムの書き方
嫌子消失の強化
四つの基本随伴性
嫌子による行動の制御の危険
それでも人は嫌子を使う

第3章
ネガティブ社員はこう扱え―消去
ケース
皮肉屋の本音に迫れ
人にレッテルを貼るな
「皮肉を言う行動」の随伴性
消去の手続き
バースト
消去と弱化
消去は行動の変動性を高める

第4章
活発な職場を取り戻す――復帰
ケース
職場の風土は上司が作る
笑顔と感謝を練習せよ
なぜ職場が不活発になるのか
トリアージ
復帰と自発的回復
学習性の無気カ

第5章
上手な褒め方、無意味な褒め方――強化スケジュール
ケース
強化につながる正しい褒め方
手ごたえのある職場
強化スケジュール
消去抵抗
部下を褒める行動は誰が強化するのか

第6章
「頑張れ」というだけでは業績は上がらない――課題分析
ケース
ターゲット行動を絞り込め
課題分析とは何か
行動の科学とその実践・行動と所産
パフォーマンス・マネジメント

第7章
ハイパフォーマンス集団の作り方――シェイピング
ケース
短期間で強い営業組織を作る
高度な行動を早く形成する
シェイピングの手順
シェイピングは「甘やかし」ではない
シェイピングの秘訣

第8章
「勝ち味」を覚えさせよ―チェイニング
ケース
自信を持たせる仕事のさせ方
「10年かけて一人前」では間に合わない
チェイニングとは
チームワークの重要性
新しい行動を身につける五つの手法

第9章
裏表のない組織を作る―刺激弁別
ケース
「人見知り」はなぜ起きる?
先行刺激による行動の制御
相手によって態度を変える理由
裏表のある性格
行動のABC分析
行動を制御する随伴性は一つではない

第10章
お互いの悪い癖を直す――プロンプト、代替行動
ケース
ゲーム感覚で楽しく克服
適切なタイミングで行動を起こす方法
プロンプトのタイプ
フェイディング
癖を直すさまざまな技法

第11章
表彰制度はこう変えよ―好子の種類
ケース
全員参加で選び選ばれる
組織行動のマネジメントシステム
生得性好子と習得性好子
トークン
表彰制度の心理学

第12章
フィードバックで新人を育てる――フィードバック
ケース
正しい「仕事の教え方」
教え方を教える
行動分析学的フィードバック
行動的翻訳と課題分析の重要性

第13章
マンネリが組織を不活性化する――確立操作
ケース
好子の遮断で喉を乾かせ
好子や嫌子のカは刻々と変わる
いろいろな確立操作
ビジネス場面における確立操作

第14章
過去の自分と決別する―自己強化と抹殺法
ケース
仕事中のパチスロがやめられない
仕事をさぼるのは行動の原理から見て不思議ではない
行動の自己管理
強化のための好子
抹殺法

第15章
「苦手な顧客」の克服法|レスポンデント条件づけ
ケース
苦手意識と「パブロフの犬」
パブロフの条件づけ
ワトソンの実験恐怖症
苦手意識のメカニズム
レスポンデント消去と系統的脱感作
恐怖反応だけではない

第16章
コンプライアンスを高める――ルール支配行動、トークン
ケース
ミスを隠す組織からミスの発見を評価する組織へ
なぜ規則が守られないのか
ルール支配行動
よりよいコンプライアンスのためのさまざまなルール
組織文化のマネジメント

終章
伸び続ける会社を作る
行動分析学で会社は成長する

あとがき
参考文献

舞田 竜宣 (著), 杉山 尚子 (著)
出版社 : 日本経済新聞出版 (2008/12/17)、出典:出版社HP

言語と行動の心理学―行動分析学をまなぶ

「言語」と「行動」を学ぶ心理学入門書

「言葉の定義とは?」本書は、行動分析学、機能的文脈主義、関係フレーム理論、ACT(Acceptance & Commitment Therapy)を学ぶことで、この難題について考えていく。日常の出来事や、不安症・うつ病のカウンセリングの具体的な場面にも触れながら、言葉について学ぶことができる一冊となっている。

谷 晋二 (編集)
出版社 : 金剛出版 (2020/4/3)、出典:出版社HP

まえがき

言語について関心をもち学びたいと思っている人は、学生に限らず大きな壁にぶつかるだろう。あまりにも多くの図書や文献があり,どこから手をつけてよいかわからなくなることもある。あなたが学びたいと思っていることは、言語獲得の問題なのか、言語機能に関連する脳の問題なのか,それとも論理的な思考の問題なのだろうか。それが明確になってくると、読むべき本や調べるべき文献が見えてくるだろう。

それでもなお,言語の問題を考えることは、簡単ではない。なぜなら,本を読み文献を調べるということ自体に言語を使っているので、混乱することは避けられないからである。言語について調べようとするなら、言語を手に取ってじっくり観察することが最初に行う行動となる。自分のかけているメガネについて調べるために,眼鏡を外して手に取った瞬間,何も見えなくなってしまうのなら,大きく混乱するだろう。そこで言語という巨大なジャングルを探検するために,言語を使いこなすというユニークなやり方が可能かもしれない。本書が紹介しているのは,そのような方法を使った言語行動の分析である。

本書は「行動分析学と関係フレーム理論(RFT)に基づいた言語の分析」に関する入門書である。入門書の役割は,より高度で洗練された研究図書へ読者を道案内することにある。さらに関係フレーム理論からの言語の分析に興味をもった読者には,次のような本がある。

ニコラストールネク[山本淳一=監修](2013)関係フレーム理論(RFT)を学ぶ――言語行動理論・ACT入門,星和書店,
Kevin L.P., Schoendorff, B., Webster, M., & Olaz, F.O. (2016) The Essential
Guide to the ACT Matrix : A Step-by-Step Approach to Using the ACT Matrix Model in Clinical Practice. Context Press.
Villatte, M., Villatte, J.L., & Hayes, S.C. (2015) Mastering the Clinical Conversation : Language as Intervention. The Guilford Press.
McHugh, L., Stewart, I., Almada, P., & Hayes, S.C. (2019) A Contextual
Behavioral Guide to the Self: Theory & Practice. Context Press.

このうち3冊は,日本語に翻訳されていないが関係フレーム理論とACTの研究者にとっては心躍る内容に満ち溢れている本である。
また本書は、次のような問いをもっている人には最適な入り口となるだろう。

・行動分析学と関係フレーム理論はどのように関連しているのか?
・言語行動(Verbal Behavior)をどのように定義するのか?
・ルールは人間の行動にどのように影響するのか?
・言語行動における一貫性(coherence)とは何か?
・関係フレーム理論とアクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)はどのように関連しているのか?
・ACT Matrixとはどんな方法なのか?
・関係フレーム理論の基礎研究はACTをどのように支えているのが
・言語と(言語的)自己概念はどのように関連しているのか?

本書は臨床的な問題から基礎的な問題までを関連づけて学習できるように構成している。第1章は臨床的な技法を取り上げている。第1章紹介しているACT Matrixは日本で初めて取り上げられるACTの実践方法のひとつであるが、世界のACTコミュニティのなかではとてもポピュラーなものである。第2章ではACTの基礎理論である関係フレーム理論について紹介している。スキナーの言語行動の分析から関係フレーム理論への発展について整理し、関係づけ反応と一貫性の問題を紹介している。そして関係付け反応が言語的な自己概念を生み出すプロセスについても紹介している。また,関係フレーム理論の哲学的背景である文脈的行動主義について平易に説明し,関係フレーム理論の基礎的な実験研究でたびたび用いられるIRAPやFASTについて解説を加えた。第3章は,RFTの基礎研究とACTの実践研究を橋渡しする章である。第4章と第5章では,ACTを用いた心理臨床,心理教育,キャリア教育に焦点を当てた。

いずれの章も執筆者は、入門書としてわかりやすく書きながらも、正確さを失わないように注意を払いながら書いている。本書を足がかりに,言語と認知の行動的な科学である文脈的行動科学(CBS)の世界を訪れてほしい。

2020年2月16日
立命館大学
谷 晋二

谷 晋二 (編集)
出版社 : 金剛出版 (2020/4/3)、出典:出版社HP

目次

まえがき

第1章 言語と行動の機能分析
ACT Matrixを使った行動のセルフマネジメント
ACT Matrix
ACTのセラピスト-クライアント関係
あなたの大切な人・大切な事柄
困難な出来事で身動きが取れなくなっているとき
行動の機能分析——随伴性をトラックする
創造的絶望
文献
コラム①[研究者紹介]ベンジャミン・ショーエンドルフ(Benjamin Schoendorff)
②ハピネストラップ
③価値のワーク
④釣り針エクササイズ
⑤創造的絶望

第2章 関係フレーム理論
スキナーの言語行動の定義
言語共同体
言語行動の種類
スキナーの分析の優れた点
ルールとルール支配行動
参考図書
コラム⑥「この部屋暑いね」
⑦ルールに従うこと/従わないこと
関係フレーム理論
スキナーの定義からの発展
関係反応と一貫性(Coherence)
影響源に敏感になるために
アナロジー
参考図書
コラム⑧「数字はいくつ」「考えないようにする」エクササイズ
言語的自己概念
自己概念
行動分析学,RFT,自己概念
3つの機能的に異なる言語的自己
柔軟な自己
柔軟な自己の発達を支援する
参考図書
コラム⑨[研究者紹介]マシュー・ヴィレット(Matthew Villette)
文脈的行動科学
⑩[研究者紹介]イアン・スチュアート(Ian Stewart)
関係反応を測定する――IRAPとFAST
IRAPの成り立ちについて
IRAPの基本構造
IRAPのデータ処理
IRAP得点の解釈
IRAPを用いた研究
FASTの成り立ちについて
FASTの構造
FASTのデータ処理と解釈
まとめ
コラム⑪[研究者紹介]ナンニ・プレスティ(NanniPresti)
⑫知能と関係フレーム理論
文献

第3章 アクセプタンス&コミットメント・セラピーと関係フレーム理論
アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)
ACTとは何か?
心理的柔軟性モデル
オープンな(open)スタイル
従事した(engaged)スタイル
集中した(centered)スタイル
再びACTとは何か?
コラム⑬モデルを使うことのメリットとデメリット
関係フレーム理論とACT
心理的柔軟性モデルを関係フレーム理論(RFT)から考える
オープンなスタイルをRFTから考える
従事したスタイルをRFTから考える
集中したスタイルをRFTから考える
RFTとACT
参考図書
コラム⑭[研究者紹介]リサ・コイン(Lisa Coyne)
文献

第4章 ACTを用いた心理療法と心理教育プログラム
抑うつとACT
抑うつ
ACTにおけるうつ病の概念化のポイント
うつ病に対するACTの実際
ACT経過の概要
うつ病に対するACT適用の留意点
不安とACT
不安症
ACTにおける不安症の概念化
不安症に対するACTの実際
ACT経過の概要
不安症に対するACT適用の留意点
行動活性化療法/動機づけ面接
参考図書
ACTを用いた心理教育プログラム(ACT Training)
障害のある子どもの家族へのACT
支援者のためのACT
看護師のバーンアウトとACT
教師のバーンアウトとACT
ACTの効果研究
先延ばし
健康な食習慣
コラム⑮[研究者紹介]ジョバンニ・ミセリ(Giovanni Miselli)
文献

第5章 ACTと働くということ
働くことの機能
キャリア教育
コラム⑯サバティカル
エントリーシートを活用する
文献

あとがき
索引

谷 晋二 (編集)
出版社 : 金剛出版 (2020/4/3)、出典:出版社HP

メリットの法則 行動分析学・実践編 (集英社新書)

行動分析の実践書

行動コーチングアカデミー代表である奥田健次氏による、行動分析学の実践例が豊富に書かれた一冊。不登校や暴力、不安症などの問題行動を、行動分析学をどのように用いて改善したのかについての具体的な方法とその解説が詳細に述べられている。

奥田 健次 (著)
出版社 : 集英社 (2012/11/16)、出典:出版社HP

メリットの法則
分析学実践編
奥田健次

まえがき

以前、出演したテレビ番組で、「人間は、その行動をした直後にメリットが生じると、またその行動をするようになるのだ」というテーマから、数ある心理学領域の中でもひときわユニークな「行動分析学」を紹介した。番組ディレクターらは、視聴者にわかりやすく「メリットの法則」という番組用の造語を用いて、行動分析学の専門用語を使わずに番組を構成してくれた。そのおかげもあって、深夜帯であるにもかかわらず大変な高視聴率であったという。スタッフによれば、番組中にツイッターやら2ちゃんねるなどのメディアでもかなりの反響があったそうである。しかし、確かに視聴者にはわかりやすい「メリットの法則」なのであるが、一方では番組企画段階での予想通り、誤解を招いたところもある。そもそも、「メリット」という言葉は、「(目先の利益」という印象を抱かせるようであり、「人間は自己利益のために行動している」と考えたくない人にとって、受け入れがたいものなのかもしれない。もしくは、人間は動物と違うので「報酬」がなくても行動することがあるという信念を持つ人も多い。そうした感覚はおよそ真っ当なものである。人間には、確かに人間以外の動物異なる特徴がある。

ただ、物事を印象や感覚だけでとらえることはよろしくない。「人間は、ネズミやハトなどの動物などと全然違う」と言われる方にお聞きしたい。「そうです、全然違いますね。では、人間にもネズミやハトと共通するところがあるとすれば、それはいったいどんな部分ですか?できるだけたくさんの事実を挙げて下さい」。このように問われると、どのように答えるのだろうか。行動分析学には、多くの実験研究から膨大な知見が集積されていて、そのおかげで、逆に人間が人間以外の動物とどのような点で違うのかという知見についてもまた、数多くの事実を明らかにしてきた。

そして、行動分析学が明らかにした行動の法則は、それが人間社会における諸問題の改善に応用され、大いに貢献していることもまた事実である。集英社新書の杉山尚子氏のベストセラー『行動分析学入門―トの行動の思いがけない理由』において、その行動分「析学の基礎から応用までが十分に概説されている。本書では、行動分析学の基本を押さえつつ、日常生活上の諸問題から臨床事例を多めに解説していく。もう少しやわらかく言えば、周囲の人や自分自身の「よくある行動」に着目して行動の原理に追っていくので、本書を読み終わってから杉山尚子氏の『行動分析学入門』を読まれると、きっと頭の中で整理できるようになるだろう。

第1章の冒頭、頻発する発作で悩む親子への介入事例を取り上げるのだが、こうした生理的・病理的な問題にすら、行重分析学がどのように貢献できるのかをご覧いただき、人の行動の裏に隠された法則を紹介したい。それによって、「人間は製品がなくても行動することがある」と考えている人が見落としていることにもお気づきいただけるだろう。

本書では、数多くの日常例や症例などを取り上げた。人間が目先のメリットで動く場合も、そうでなさそうな場合も、いずれも感覚ではなく、事実として行動分新学に対する理解を深めていただければと願っている。特に、本書は行動分析学の諸原理だけで強迫性障害などの精神疾害のメカニズムを解説した初めての解説書でもある。全国各、世界各国を飛びって数多くの高床活動をしてきた中で、思い出に残っている事例から、行動の法則を浮き彫りにしたい。

奥田 健次 (著)
出版社 : 集英社 (2012/11/16)、出典:出版社HP

目次

まえがき

第1章
その行動をするのはなぜ?
実用的な心理学
奇声をあげるアキラくん
奇声をあげたら、お母さんと離れ離れに
通常学級に入学したアキラくん
陥りがちな「循環論」の罠
原因を「行動随伴性」で考える
身近な例で考える行動分析学
すぐに弱音を吐くタカシさん
「甘えているから」では、問題は解決しない」

第2章
行動に影響を与えるメカニズム
(基本形)
原因と結果を「真逆」に考える
「症状」と「行動」は異なる
行動とは何か?
「試験勉強」「破壊行為」は具体的でない
行動の前に原因がある「レスポンス行動」
行動を強める「強化」の原理(基本形)
「好子」出現の強化
「嫌子」消失の強化
行動を弱める弱化の原理(基本形)
嫌子出現の弱化
好子消失の弱化
四つの行動原理で、あらゆる行動を説明する

第3章
行動がエスカレートしたり、叱られても直らないのはなぜ?
行動の直後に何が起こったのかに注目せよ
なぜダイエットが難しいのか
行動が消えてしまうメカニズム
(消去の原理)恋に破れて、行動が消去される
とても大切な消去の原理
社会生活に重大な変化を及ぼす
「強化スケジュール」
強すぎる消去抵抗、消去バースト消去の連続に耐える。
叱られてもやめられないのはなぜ?
(回復の原理)失敗はこうして繰り返す
「アメとムチ」という発想を捨てよう
「ムチ」の副作用

第4章
行動に影響を与えるメカニズム
(応用形)
日常の行動はもっと複雑
人間の行動をより深く理解するために
行動を強める強化の原理(応用形)
嫌子出現「阻止」の強化
嫌な思いをしないために
好子消失「阻止」の強化
持ち物が増えると悩みが増える
行動を弱める弱化の原理(応用形)
嫌子消失「阻止」の弱化
好子出現「阻止」の弱化
「じっとしている」は死人にもできる
阻止の随伴性に伴うリスク
強迫性障害を形成するメカニズム
不安を引き起こす刺激を与え続ける
刺激を自動的にシャットアウトする
阻止の強化による強迫性障害
エクスポージャーを行動分析学でとらえ直す
不安を減らそうとしてはいけない

第5章
行動は見た目よりも機能が大事
行動の機能は四つしかない
物や活動が得られる
注目が得られる
逃避・回避できる
感覚が得られる
同じ行動のように見えるが同じ
行動ではない、という落とし穴
機能の重複
家庭での問題から(不登校の連鎖、そして回復へ)
不登校三きょうだい
不登校を支える行動随伴性
学校に行かない兄は「かわいそう」
“こころの中身”は不毛な議論
ウソを簡単に見抜く方法
学校を休むと家で遊べる(物や活動)
母親と一緒にいられる(注目)
学校に嫌なことがある(逃避・回避)
機能が複合している場合、シフトしていく場合
てんびんの法則
家庭で過ごす理由
おのずと学校に行く確率を高める方法
奇声をあげる男の子
嘔吐を繰り返す女の子
リストカットがやめられない女子学生

第6章
日常のありふれた行動も
トークンエコノミー法
トークンエコノミー法とは何か
店がポイントカードを作る理由
視覚的な達成感
トークンエコノミー法は「さじ加減」が決め手
手応えのある仕事
トークンエコノミー法のバリエーション
不登校と「そもそも」論
「ワクワク感」を大事にしよう
ポイントを減点するレスポンスコスト
FTスケジュール
ニューヨークでのこと
「わんこそば」式
強度行動障害者の施設にて
その日のうちに表れる明確な効果
迷信が形成されるメカニズム
迷信行動とエクスポージャー
“任意の努力”を目指して
「したいからやる」行動随伴性を

あとがき
主要参考文献

奥田 健次 (著)
出版社 : 集英社 (2012/11/16)、出典:出版社HP

プログラム学習で学ぶ行動分析学ワークブック

初学者に最適なテキスト

本書は行動分析学の教科書である。各項にはエクササイズとプログラム学習というコーナーが設けられ、行動分析学の基本概念や専門用語を無理なく理解できるようになっている。特にプログラム学習は行動分析学の理論を活用した学習方法の一つであるため、行動分析学そのものを行動分析学の知識を生かして学ぶことができる。

吉野智富美 (著), 吉野俊彦 (著)
出版社 : 学苑社 (2016/9/19)、出典:出版社HP

はじめに

本書は、行動分析学のテキスト(教科書)です。大学などで行動分析学を学ぶ際に、本書を併せて読んでいただくことで、行動分析学への理解がより深まることを願って書かれています。したがって、本書は、第1の読者として行動分析学を初めて学ぶ学生のみなさんを想定しています。

本書は、行動分析学を学ぶみなさんに学習していただきたい基本的かつ重要な内容を盛り込んでいます。執筆するにあたって、筆者らは2016年現在、日本で行動分析学の講座を開講している主な大学のシラバス(講義計画)を参照し、どの講座にもほぼ共通して取り上げられている基本的かつ重要なトピックスを洗い出しました。そしてそれらを学習しやすい順に構成した上で執筆しました。大学や大学院で行動分析学の講座を履修している学生のみなさんが、講義の予習や復習として本書を利用することで、さらに行動分析学への理解を深めていただけたらと思っています。

行動分析学は心理学の中でも学習心理学という領域に分類される学問です。行動分析学は、「私たちそれぞれが、なぜある行動をするのか」「なぜある行動をしないのか」「ある行動は続くのに、別の行動はなぜ長続きしないのか」「同じような状況に置かれても、なぜ個人によってやっていることが異なるのか」といったさまざまな「行動のなぜ?」を科学的に理解し説明する学問です。そして、日常や臨床などの場面に実際に適用するための行動の原理をもった学問でもあります。

そうした行動の原理を探るために、行動分析学は徹底的行動主義という哲学の上に、実験的行動分析学、理論行動分析学、応用行動分析学という3つの柱を立てています。つまり、さまざまな人がしている行動を共通した原理によって説明し、その原理を教育、福祉、医療、産業、スポーツ指導などさまざまな場面で適用して役立てようとする科学なのです。

そこで本書は、第2の読者として、親や教師、保育士、医師、看護師、保健師、言語聴覚士、心理士など子どもを育てたり、子育て支援をしたりする立場にある人、医療や福祉領域で誰かを支援する立場にある人、企業などで個人や集団の行動をマネジメントした。りさまざまな課題を解決したりしていく立場にある人も想定しています。

責任のある立場で誰かを支援したり指導したりする場合には、科学的な立場から理論や背景を理解し、共通言語をもって説明し、情報を共有していく責任があります。その一方で、行動分析学の原理を十分理解することなく、技法だけが適用されかねないという危惧を抱いています。「効果的であるから」とすぐに現場に取り入れられることで、マニュアル化されたテクニックとして行動分析学を使う、対症療法的な小手先の技術となってしまわないかということです。筆者らが臨床現場で出会ってきた事例の中には、「発達障害児はほめて育てればよい」「部下もほめて教育したらよい」、逆に「ほめると子どもはダメになる」「子どもの問題行動は無視すればよい」「恐怖症の治療にはエクスポージャーがよいいといった、いわば「○○という症状には△△療法」という医学モデルとして行動分析学を扱っているような例があります。「どうしてそういった対応をしたのですか?」と尋ねても「その症状にはそれが効果的といわれているから」といった回答しか得られないときもあります。それで効果があればまずはよいのかもしれませんが、効果がなかったり、より事態が悪化してしまったりする場合には、それでは済まされないのです。

このように、技法だけが一人歩きしないように、「なぜその対応をするのか?」に科学的な視点から説明できるようになるためには、基礎的な領域を含めた学習が必要となってきます。さまざまな現場にいながら行動分析学を学び、そこで応用していこうとしているみなさんが、具体的なイメージをもって基礎から行動分析学を学んでいけるように、本書では日常にある身近な例を多用しながら解説をおこなっています。

それに加えて本書では、みなさんの自発的で積極的な学習行動を促していくために、次頁で解説するようなエクササイズとプログラム学習を適宜設けています。特にプログラム学習は行動分析学の理論を活かした1つの学習(勉強)方法です。行動分析学そのものを、まさに行動分析学の知識を用いて学んでいこうというわけです。

本書は行動分析学を1から学んでいけるよう、基礎的な領域の学習からスタートし、それらが私たちの日常でどのように応用されているのかまでを解説しています。したがって、ページの最初から順に学習していくことをおすすめします。

筆者らは行動分析学に関する教育や臨床活動をおこなっています。行動分析学さえあれば他には何も必要ないとは決して考えていません。一方で、行動分析学がさまざまな領域に適切に広まっていったなら、今よりもよりよい他者理解や生産的な問題解決がおこなわれていくと予測しています。私たち一人ひとりが、行動分析学の知識をもって、家庭、学校、大学、職場などで出会うそれぞれの問題に向かい合い、それらを理解し、解決へと進めていくことができたらなら、今よりもよりよい社会になるだろうと期待しています。

吉野智富美

吉野智富美 (著), 吉野俊彦 (著)
出版社 : 学苑社 (2016/9/19)、出典:出版社HP

本書の目的と使い方

本書では、次の2つを大きな目標として掲げています。

本書の到達目標
①行動分析学の基本概念や専門用語を理解し説明できる。
②自分や他者の行動を行動分析学を用いて説明できる。

これらの目標を達成していくために、本書では行動分析学の学習にあたって、適宜エクササイズとプログラム学習(programmedinstruction)のコーナーを設けています。
エクササイズのコーナーでは、行動分析学を学習するみなさんが、私たちの行動のさまざまな側面について自由に考え、学習したことをもとにして新たな見方で行動を説明することを目的にしています。このコーナーでは、みなさんが自分のことばで自由に思考したり説明したりすることを重視していますので、1つだけの正解というものは用意していません。
エクササイズのコーナーでは、たとえば次のような設問を設けて、みなさんの自由な思考を促し、ご自身のことばで自由に説明をしてもらいます。

エクササイズ
近くで小さな子どもが泣いています。それを見ているあなたは、その子どもがどうして泣いているのか、どのように説明しますか?どのような理由で、なぜ泣いているのかについて、あなたならどのようなことばを使って説明しますか?

一方のプログラム学習のコーナーでは、行動分析学がもっている概念や専門用語を、できるだけ効率よく無理なく学習していけるように、みなさんの学習をサポートする目的で設けています。ドリル形式のコーナーで、問題を読み、答えを書き、解答をすぐにチェックするという方法を採用しています。
プログラム学習とは、これから学習をしていく行動分析学の創始者であるアメリカの心理学者スキナー(BurrhusFredericSkinner,1904-1990)が考案した学習(勉強)方法です。新しい知識や学問を身につける際、その学習を効果的に進めていくために行動分析学の見地を活かした点に特徴があります。
プログラム学習では、学習すべき目標を決め、それを習得するまでのステップを細かく設定し、スモールステップで無理のない順に学習を促していきます。プログラム学習は、次の3つのステップから構成されています(図1)。①学び手である読者のみなさんはこれから学ぶ内容の解説や説明文を読む→②続いてそれに関する問題や課題が呈示されていますから、それらに答える→③すぐにその場で自身の解答をチェックする。
学習する内容をスモールステップで呈示すること、学び手の積極的な反応を促すこと、自分自身の解答をすぐにチェックすること、学習するみなさんが自身のペースで学習することを基本原則としています(Skinner,1958)。

①学習内容の解説・説明文を読む
②問題や課題を読んで解答する
③すぐにその場で解答をチェックする

ここで、プログラム学習が具体的にどのようなものなのかを体験してみましょう。

いかがでしょうか。プログラム学習とはどのようなものかを体験することができましたか?問題が難しかったり、間違えてしまったりした場合は、最初に答えを見ながら問題を何回か読み、続いて答えの部分を紙などで隠して、問題を読み、解答するという手順を繰り返してください。このようなエクササイズとプログラム学習のコーナーを活用しながら、スモールステップで行動分析学を学んでいきましょう。本書ではみなさんが日常的に具体的に行動分析学を学べるよう、できるだけわかりやすい表現で日常的な例をたくさん盛り込みながら解説をおこなっています。ただし、行動分析学では共通言語としてみなさんと共有したいキーワードがいくつも登場します。日常ではあまり使わない用語だったり、普段使っている意味とは少し違う意味で登場したりします。最初は馴染みのない聞き慣れないキーワードかもしれませんが、繰り返し読み、自らも説明し、日常の中で使っていくうちに次第に覚えていくものですから、ぜひ学習を続けてください。ノートを用意して何度も何度も繰り返し学習をしてくださったら、きっと今とはまた違った世の中やものごとが見えてくるかもしれません。そして、その新しいものごとの見方は、今よりもみなさんの生活を楽しく豊かにしてくれるでしょう。それでは、行動分析学の学習を始めましょう。

吉野智富美 (著), 吉野俊彦 (著)
出版社 : 学苑社 (2016/9/19)、出典:出版社HP

目次

はじめに
本書の目的と使い方

1人の行動のなぜ?
人の行動の「日常的」な理解の仕方
「なぜ泣いているの?」「どうして勉強が続かないの?」にどう答えますか?
トートロジー(同義反復)という落とし穴
人の行動の「科学的」な理解の仕方――行動分析学
トートロジーの落とし穴から抜け出そう
最初に覚えるキーワード学習と行動

2レスポンデント行動
馴化と脱馴化、鋭敏化
熱いものに手が触れたら?無条件刺激と無条件反応
パヴロフ型条件づけ(レスポンデント条件づけ、古典的条件づけ)
パヴロフ型条件づけ①―興奮性条件づけ
パヴロフ型条件づけ②一抑制性条件づけ
刺激般化と般化勾配、分化
特殊な条件づけ(味覚嫌悪学習)と準備性

3オペラント行動
オペラントの定義
「そうするのはなぜ?」「その行動が続いているのはなぜ?」一強化の原理
「それをしないのはなぜ?」「その行動が続かないのはなぜ?」一弱化の原
私たちの行動を左右するもの好子(正の強化子)・嫌子(負の強化子)
さまざまな好子・嫌子
「普通は好きでしょ?嫌いでしょ?」は意味をもたない
お手伝いをするのはお小遣いのため?それとも……..?
一付加的強化随伴性と行動内在的強化随伴性
大好きなケーキも毎日だとうんざり?真夏の炭酸飲料は最高!一確立操作
オペラント条件づけの4つの基本パターン
反応強化子随伴性と随伴性ダイアグラム
よくある間違い
もはやその行動には意味がない!?――消去の原理
これまでやっていたことをしなくなる理由
ボールペンのインクが突然出なくなったら?―消去誘発性行動変動
消去された行動が再び生じる一自発的回復
消去と反対の原理——復帰
どちらも行動が弱まるけれど?――弱化と消去の違い
時や場所をわきまえて行動するのはなぜ?――刺激性制御
街で友人によく似た人を見かけたら?―一般化
「あらかじめ○○しておこう」「予防策を張っておこう」阻止の随伴性
行動の直後には何も変化がないけれど
許可の随伴性と阻止の随伴性
阻止の随伴性の4つのパターン
回避条件づけと回避行動
行動の強化や消去に影響を与える条件——強化スケジュール
強化スケジュールと消去抵抗の関係
言語行動
ルール支配行動と随伴性形成行動

4生活への応用――応用行動分析学
私たちの生活をよりよくするために
困った状況ってどんな状況?しなくて困る、し過ぎて困る
行動の未学習・未定着の場合どうするの?行動形成
ステップ1:目標行動を具体的に決める
ステップ2:行動に結果を伴わせる好子出現による強化と嫌子消失による強化
ステップ3:好子を探る――「十人十色」「蓼食う虫も好き好き」をお忘れなく
ステップ4:まだ獲得していない行動を形成するシェイピングと漸次接近法
ステップ5:複雑な行動を単純な単位に分ける課題分析とスモールステップ化
ステップ6:単純な行動をつなげていく―行動連鎖
ステップ7:行動が起こりやすくなるような事前の手助けをする
行動の誤学習の場合どうするの?困った行動を減らす
ステップ1:その行動が生じる理由を知る――機能分析(機能的行動アセスメント)
ステップ2:予防策を取る、前もって状況を変えておく
ステップ3:ダブルの対応で効果アップ一望ましい行動の分化強化+困った行動の消去
ステップ4:できるだけ使うことを避けたい方法——弱化
行動分析学の日常行動への適用

あとがき
文献
索引

吉野智富美 (著), 吉野俊彦 (著)
出版社 : 学苑社 (2016/9/19)、出典:出版社HP

保護者と先生のための応用行動分析入門ハンドブック―子どもの行動を「ありのまま観る」ために

子供の行動の心理がよくわかる

本書は、「指示に従わない」「パニックを起こす」などの子供の行動をありのままに観察し、なぜそのような行動をとるのかについての仮説を立て、改善方法を実践する過程の中で理解していくという、行動分析学による保護者と教師のためのガイドブックである。本書を通して、子供の行動だけでなく自身の行動も外的環境に影響を受けていることを知り、お互いのためにより良い行動をする意識を持つことができる。

三田地 真実 (著), 岡村 章司 (著), 井上 雅彦 (監修)
出版社 : 金剛出版 (2019/5/30)、出典:出版社HP

監修のことば

「指示に従わない」、「パニックを起こす」など子どもの行動をどのように理解し,対応するかということについての悩みは、保護者も教師も共通しています。私たちはその行動について,「ストレスがあるから」,「反抗期/思春期だから」,「発達障害だから」などさまざまな理由を探そうとします。

しかし、行動の原因を内的なストレス,発達,障害特性というものに求めることで一応の納得は得られても、多くの場合それらの原因が直接的に問題の解決に繋がるわけではありません。それらは一般的な対処法を指南してくれるだけなのです。

本書は、そうした一般的な対処法についてのガイドブックではなく、一人ひとりの個別的な行動に対して、ありのままに観察し,仮説を立て、実践していくプロセスの中で理解していくという、行動分析学による保護者と教師のためのガイドブックです。

行動を機能でみるという技によって、見えてくるものは、大人が「問題行動」と考えているものの多くが,子どもにとってはコミュニケーションであったり、遊びだったりするということです。その中で私たちは「子どもがなぜそのような行動を取らざるを得なかったか」という環境に目を向けていくことになるでしょう。一般的な療育や教育にのらないのは、その子どものせいではなく,またその行動が問題なわけでもなく、その療育・教育環境が子どもにあっていないということこそが問題になるのです。

本書を通して考えていただきたいのは、読者自身の行動もまた自身の環境によって影響を受けているということです。大人の社会が常に正しく、適切に子どもを導けるとは限りません。私たち自身の行動もまた、ありのままに観察し,機能を分析していくことで、すべての人が生活しやすい社会環境に近づいていけるのだと思います。

平成31年4月22日
井上雅彦

三田地 真実 (著), 岡村 章司 (著), 井上 雅彦 (監修)
出版社 : 金剛出版 (2019/5/30)、出典:出版社HP

はじめに

~「ありのままに観る」ことの本当の意味~
「子どものありのままを認めましょう」
「子どもの気持ちに寄り添って」
こういうフレーズは子育てに疲れている親御さんや,自分の指導に悩んでいる教師の心をぐっとつかんで離さないようです。

これらは諸刃の剣で,ややもすると「何もしないで様子をみておく」という大人側の積極的な関わりをストップしてしまう,さらにはどのようにしたら問題を解決していけるかについての「具体的な手立て」を考えること自体を止めてしまうというリスクがあります。

しかし、この本で一番お伝えしたいこともまた,「ありのまま子どもの“行動”を観る」ということに尽きるのです。「そんな簡単なこと?」そう思われるかもしれません。しかし,私たち大人の多くは「ありのままに現象を観る」訓練をほとんど受けてきていません。そのために自分の目の前でどのようなことが起きているのかということを客観的に起きている事実を飛び越して「解釈だらけ」の見方で語ってしまいがちなのです。

たとえば,以下のイラストを見て瞬時にどう思われるでしょうか?

「だらしない」
「授業をサボっている」
「授業をきちんと聞いていない」
「親のしつけがなってない」など

これらはいずれも「解釈だらけ」の主観が入った表現です。

「え?そうなの?」と思われた方は、本書の13ページ以降に詳しい解説がありますので、覧ください。

この子の行動を「そのまま」,つまり「ありのまま」表現すれば,「姿勢が崩れている」というだけで、授業をサボっているとか,だらしないというのは、見ている側の解釈に過ぎないのです。

さらに付け加えれば,ありのままに、つまり自分勝手な主観を入れず,客観的にその子どもの行動を観ることができれば,それだけでもかなりの部分,適切な指導に結び付けられることが、きます。(この具体的な事例については、14~21ページで紹介しています)

逆に解釈だらけの見方をしていると、真の解決策から遠のくばかりか、その子の悪い面ばかりが強調されて大人側の解釈でその子のマイナスイメージが膨らんでいく可能性があります。そのために,指導のヒントはその子が適切に行動できている場面に実はたくさん秘められているということに気づけなくなってしまうという残念なループに陥りがちです。
本書を読み進めて実際にわが子,あるいは担当の児童生徒さんを「ありのままに観る」ことを繰り返していただくうちに、親御さん,そして先生方がその子の気になる面ではなく、むしろ「きちんと行動できている場面」「良いところ」にこそ目が向けられるようになり,そういう良い面を「ありのままに観てさらに伸ばしていける」ようになること、実はそれがこの本の最終的なゴールです。

本当の意味での「ありのままにその子の行動を観る」「その子に寄り添った指導ができる」
ようになるために、一つずつステップを進めていきましょう。

平成31年4月30日
三田地 真実

この本の使い方

この本を手に取ってくださった皆様は、おそらく親御さんのお立場で,あるいは先生のお立場で、目の前のわが子あるいは児童生徒さんの問題行動・気になる行動を「応用行動分析学(Applied Behavior Analysis,略してABA)」を使って、何とかしたいと思われている方でしょう(本書では、問題行動・気になる行動・困っている行動などはこの後「気になる行動」として表記します)。

いますぐに気になる行動を何とかしたいという方は,第1部にお進みください。
まずは行動の原理をしっかり学んでから、気になる行動に向き合いたいという方は第2部へお進みください。
指導の実際をまず知りたいという方は,第3部をご参照ください。

第1部と第2部はどちらから読んでいただいても,ゴールには辿り着けるようになっていますが,皆様の興味関心の強い章から読み進めていただいた方が皆様にとってよりこの本が役立つ=「機能」すると思います。第3部は実際の指導のプロセスを辿れるようになっていますので、家庭で,あるいは学校現場でのリアルな進め方が知りたい方はそちらから読まれることをお勧めします。

また本書で紹介している事例や記録用紙は、できるだけ①親御さんの立場での理解を進めるものと,②教員の立場での理解を進めるものとの両方をできるだけ並列しています。これについてもご自身のお立場に合った事例・記録用紙をまずじっくりと見ていただき,次に別の立場のものを見ていただくと、理解がさらに深まると思います。

最後になぜ、親御さんの立場と先生方の立場の両方でこの本が書かれているのか、少し考えてみていただければと思います。
その答えは、「おわりに」に記したいと思います。

三田地 真実 (著), 岡村 章司 (著), 井上 雅彦 (監修)
出版社 : 金剛出版 (2019/5/30)、出典:出版社HP

目次

監修のことば
はじめに~「ありのままに観る」ことの本当の意味~
この本の使い方

第1部 子どもの「気になる行動」に対処するための指導ステップ
ステップ1ありのまま上手への道
ステップ2理由づけ上手への道
ステップ3観察上手への道〜ターゲット行動の記録を取る~
ステップ4ほめ上手への道~強化の原理を使おう!~
ステップ5工夫上手への道~適切な行動をうまく引き出すのがコツ!~
ステップ6ふり返り上手への道~うまくいかなかったときも大丈夫!~
ステップ7自分観察上手への道

第2部 応用行動分析学(ABA)の基礎の基礎
~機能に基づくモノの見方に慣れよう!~
1.日常的な直観に頼った,行動の理由づけ~循環論に陥りやすい~
2.科学的に行動を観るために~ABCのフレームで行動をありのままに観る~
3.行動はその直後に起きている事象によって、続いて起こったり起こらなくなったりする〜基本の原理~
4.行動が増えたり,維持したりする原理~強化の原理~
5.行動が減る原理~弱化の原理~
6.強化されていた行動が強化されなくなったとき〜消去の原理~
7.先行事象「A」の役割~インストラクションは「A」~
8.応用行動分析学(ABA)の真髄〜機能に基づくモノの見方~

第3部 ABAの原理をもとにした指導の実際~リアル追体験してみよう!~
1.実際の指導場面から
2.具体的なケース集
3.ケースを通してわかること~1つ1つを丁寧に~

巻末付録
おわりに

コラム
なぜ具体的な行動にするのか?「触れるのは具体的な行動だけ」
関西弁ネイティブだった私が今や東京弁話者に?!
生き延びるために首が伸びたのか,首が伸びたから生き延びたのか
「記憶」に頼るな、「記録」に頼れ!~記録を取らないと行動のパターンはわからない!~
趣味とは何か?「強化の原理」で考えると
用語がバラバラ(その1)
先生は先行事象を調整するプロ?!
「刺激」か「事象」か,はたまた「条件」か?~用語がバラバラ(その2)~
どっちが楽?~目の前にあるお菓子の誘惑~
工夫上手は「舞台設営のプロ」
黙ってみたら動き出した!
ペアトレにも「マインドフルネス」
なぜ人は行動の理由を行動の「前に起きた事象」に求めるのでしょう?
法律は「正の弱化」の原理の明文化
ポジティブ行動支援(PBS)の考え方
ハウツーからの脱却
ファシリテーションとは?!
自分の行動にも適用できる

三田地 真実 (著), 岡村 章司 (著), 井上 雅彦 (監修)
出版社 : 金剛出版 (2019/5/30)、出典:出版社HP

はじめての応用行動分析 日本語版

応用行動分析学の教科書

本書は、応用行動分析の基本的な考え方や分析を行うにあたっての目標作成の仕方、データ収集とグラフ化の仕方、実験結果の処理方法などが詳細に書かれた、応用行動分析学のテキストである。内容が専門的・正確に書かれているのと同時に、具体例を交えながらわかりやすく書かれているので、教える側にも学生にも適した一冊となっている。

ポール・A. アルバート (著), アン・C. トルートマン (著), Paul A. Alberto (原著), Anne C. Troutman (原著), 佐久間 徹 (翻訳), 谷 晋二 (翻訳), 大野 裕史 (翻訳)
出版社 : 二瓶社; 第2版 (2004/5/1)、出典:出版社HP

Applied Behavior Analysis for Teachers : Fifth Edition by Paul A. Alberto
Anne C. Troutman
Copyright © 1999 Prentice-Hall, Inc.
Japanese translation rights arranged with Prentice-Hall, Inc.
through Japan UNI Agency. Inc. Tokyo

目次

はじめに

第1章 応用行動分析の基本的な考え方
説明の有用性とは?
生理学的説明
発達的説明
認知的説明
行動的説明
行動主義の歴史
要約
討議のテーマ

第2章 応用行動分析を適応するに当たっての責務
応用行動分析に対する高い関心
応用行動分析の適用倫理
説明責任
理論と実践
要約
議論のテーマ

第3章 行動目標の作成
行動目標の定義と目的
教育目標
行動目標の書式
行動目標の範囲
行動目標と個別教育プログラム(IEP)
要約
議論のテーマ

第4章 データの収集とグラフ化
データ収集法の論理
方法の選択
逸話的レポート
行動的産物記録法
観察記録法
持続時間記録法および潜時記録法
信頼性1
議論のテーマ
要約

第5章 データのグラフ化
単純な折れ線グラフ
要約
討論のテーマ

第6章 一事例の実験デザイン
変数と関数関係
実験デザインの基本カテゴリー
ABデザイン
反転デザイン
基準変更デザイン
マルチ・ベースライン・デザイン
操作交代デザイン
チェインジング・コンディション・デザイン
一事例の実験デザインの評価
要約
討論のテーマ

第7章 行動の生起頻度を増大させる随伴操作
正の強化
効果的な強化子の選択
負の強化
自然な強化
要約
討論のテーマ

第8章 不適切な行動を減少させる結果操作
問題行動を減少させる方法
レベルI:分化強化の応用
レベルⅡ:消去

レベルⅢ:好ましい刺激の除去
レベルⅣ:嫌悪刺激の呈示
要約
議論のテーマ

第9章 分化強化:刺激制御とシェイピング
刺激制御を形成するための分化強化
複雑な行動を教える
シェイピングのための分化強化
要約
議論のテーマ

第10章 機能査定と機能分析
他の方略の必要性
第1段階:機能査定
第2ステージ:機能分析手続き
要約
議論のテーマ

第11章 行動変容を般化させるために
般化
要約
議論のポイント

第12章 行動自己管理の指導
当たり前の経験
行動管理の指導準備
重度の障害のある人の自己管理
中度の障害のある人の自己管理
要約
論議のポイント

第13章 教室での実践
刺激制御
教室での実践
要約
論議ポイント

付録:専門的諸団体による嫌悪的な行動介入を避けるための決議
アメリカ精神遅滞市民の会による行動支援に関する意見声明(1995年10月)
例外児のための評議会による身体的介入に関する方針(1993年4月)
アメリカ精神遅滞学会による嫌悪手続きに関する方針(1990年1月20日)
重度障害を持つ人々の連盟による不要な介入の中止についての決議(1986年11月5日)
全米学校心理士連盟による体罰についての決議(1986年4月19日)

参考文献
索引
用語解説
訳者あとがき
日本語第2版訳者あとがき
訳者紹介

装幀・森本良成

ポール・A. アルバート (著), アン・C. トルートマン (著), Paul A. Alberto (原著), Anne C. Troutman (原著), 佐久間 徹 (翻訳), 谷 晋二 (翻訳), 大野 裕史 (翻訳)
出版社 : 二瓶社; 第2版 (2004/5/1)、出典:出版社HP

はじめに

応用行動分析を学生に教えるために、専門的で、系統的な、読みやすいテキストブックが必要だったというのがApplied Behavior Analysis for Teachersの第1版を書こうと考えた動機でした。学生たちに応用行動分析の概念を理解してもらうだけでなく、教室や他の場面でその概念を応用する方法を知ってもらいたいと思っています。応用行動分析は成果を上げることができます。学業的なスキルや適応的なスキル、適切な社会的行動を教えるためにこの原理を使うことができます。応用行動分析は生徒を先生の統制下におくための計略の寄せ集めではなく、ひとつの統合的なマネジメントシステムです。

この本は教育者が出合ういろいろな問題の解決策を単にひとつずつ提供しているハウツーものの本ではありません。すべての出来事にハウツーを示すことは不可能です。子どもや大人の人と一緒に勉強したり働いたりすることを大変楽しいものにしていくことは、すべての人が一人ひとり違っていて、ひとつの手続きですべての人に効果的のある方法はないという認識から始まります。問題をうまく解決するために、自分自身のオリジナルなレシピを応用行動分析の原理を使って作れるようになって欲しいと思っています。応用行動分析の原理をうまく使いこなすためには、頭のやわらかい人の熱心で積極的な参加が必要です。現在のところ、応用行動分析はもっとも強力な指導システムですから、適切で倫理的な使い方を学んで欲しいと望んでいます。
応用行動分析を教える人は、テキストが専門的に正確に書かれているかに関心があります。この本はその期待に沿えると思います。同時に、学生が読んで楽しめるような例もたくさん盛り込んで活気のある本にしようと試みました。この本の中で紹介している具体例は、いろいろなレベルの子どもや大人の問題を扱っています。上手な先生とそうでない先生についても触れています。この本の中の例の多くは、私たちがそうであって欲しいと期待している教師や、将来学生たちにそうなって欲しいと望んでいる教師の例、つまり過ちから学ぶ良き教師の例です。

第5版を書くにあたって、同僚やこの本を読んだ学生の手紙から多くの示唆を得ました。しかし、私たちは憤った動物愛護活動家から手紙をもらうことになっても、第11章で紹介したネズミ捕りの例を十分に忘れないでおくべきものと考えています。データを集め、それをグラフ化することについての長く、専門的な章は2つ以上の章に分け、機能的分析の章を加え、応用行動分析の手続きを他者に教えることに関する章を割愛しました。
最後に、この本では指導者が彼らの学生に講義や他の本を読ませながら、行動変容の実習を割り当てられるようにしてあります。このテキストでは標的行動を明確にすることから始まって、実験デザインを選択し、結果操作、先行刺激の操作、行動変化の般化を計画するまで順々に進めています。学生に引き続く勉強でしっかりとした基礎となると思われる教授方法の基礎知識を紹介しようと試みたつもりです。
この本に関して、読者の皆様からの意見を心待ちにしています。この本を書くにあたって私たちはとても楽しく仕事をしました。読者の皆様にも同じくらい楽しみながら読み進んでいただけることを期待します。

謝辞

Applied Behavior Analysis for Teachersの第5版を出版するに当たり、一緒に仕事をしていれた出版社プレンティスホールのすべての専門家はもちろんのこと、手助けをしてくれての人に感謝します。とりわけ私たちの担当編集者であり、これまで出会った中で最も喜んで忍耐強くコーチしてくれたギアナ・マーセラに感謝します。また、テキストを読み直し、いろいろな示唆をくださった人たち、カーセージ大学(WI)のロジャー・バス、モアヘッド州立大学のポール・ビアー、ハウストン大学のゲイ・グッドマン、ペンシルバニア州立大学のカシー・ラールにも感謝します。前回同様、タイブをし、索引や引用文献の編集や校正をしてくれたナンシー・ワイルダーにお礼を申し上げます。

ポール・A. アルバート (著), アン・C. トルートマン (著), Paul A. Alberto (原著), Anne C. Troutman (原著), 佐久間 徹 (翻訳), 谷 晋二 (翻訳), 大野 裕史 (翻訳)
出版社 : 二瓶社; 第2版 (2004/5/1)、出典:出版社HP

行動分析学入門

わかりやすい事例で解説

本書は、わかりやすい事例を交えながら行動分析学について解説した一冊です。入門とタイトルにある通り入門者も読むことができますが、専門的な内容が入っていたりボリュームもあるため、行動分析学をある程度学習された方や別の初学者向けの入門書を読んだ方におすすめです。

杉山 尚子 (著), 島宗理 (著), 佐藤方哉 (著), リチャード・W. マロット (著), アリア・E・マロット (著)
出版社 : 産業図書 (1998/3/30)、出典:出版社HP

行動分析学入門
杉山尚子 島宗理

読者の皆さまへ

十数年前のことだった。5月末、私は、国際行動分析学会(ABA)に出席するために、ミシガン州のディアボーンのホテルに滞在していた。すると、事務局長のシャロン・マイヤーズが、私のところにやって来て、こう言うのだ。サトウマサヤ(佐藤方哉)という日本人が、私に会いたがっていると言う。日本人?誰だって?何て名前だって?サトウマサヤ?知らないな。シャロンが言うには、その男は私の著書や論文を読んで、私に会いたがっているのだそうだ。

へえー、驚いたな。でも名誉なことじゃないか。私の書いたものなんか読む人がいるのか、しかも日本人で。
そういうわけで、私はその男に会ってみようと思った。私はアメリカ人だ。だから、もちろん、約束の時間に遅れたことは言うまでもない。それもひどく遅れたので、その男はとっくに寝てしまっていた。それでも私が部屋を訪ねると、起き上がって私を迎えてくれた。部屋には、その男だけでなく、日本から来た他の研究者や学生たちも集まっていた。私はそこに30分ほどいたが、お互い無口だから、ほとんどろくに話もせず、気まずい思いで顔を見合せるだけだった。次の日の夜に、恒例のバンケットが開かれた。我々は待ち合せて一緒のテーブルに着くことにした。この時ようやく、二言三言、言葉を交わした。その時初めてわかったことだが、サトウは、ABAが国際組織になった1979年から、毎年、年次大会に参加していたのだった。いつも他の日本人や学生を引きつれて。しかし、私は、これまでそんなことに少しも気がつかなかった。私だけではない。他のアメリカ人だってそうだろう。ある年などは、会期中に日本酒のパーティまで開いている。でも参加者はほとんどいなかったようだ。それでもサトゥは、仲間や学生をつれて、めげずに毎年ABAに参加していた。

翌年、サトウは、いつものように仲間や学生を引きつれてABAにやってきた。しかし、この年▽トゥの傍らにいた。この年もまた、我々はバンケットで同じテーブルに着いた。そして、1年前と同じように、二言三言、言葉を交わした。

それから1年後、私宛てに1枚の写真が送られてきた。驚いたことに、何と、サトウと例の女子学生とが、日本の伝統的な格式ある正装で臨んだ結婚式の写真ではないか。彼女が、スギヤマナオコ(杉山尚子)である。「何年かたって、マリアと私は、マサヤの招きに応じて日本を訪問する機会を得た。そして、滞在中に、いつものように二言三言、言葉を交わした。日本に着いた最初の日に、ハンサムで、熱意のある1人の男子学生を紹介された。この男は、サトウセンセイに指導を受けている慶應の修士課程の学生で、マリアと私の最新の共著論文を読んだのだという。そして、我がウェスタンミシガン大学(WMU)の博士課程に進み、私の指導を受けたいのだという。翌年、その若者はWMUにやって来て、3年間で応用行動分析の学位を取得した。私がそれまで指導したうちでも優秀で、最高の行動分析学的思考を身につけた学生の1人であり、今では、最も優秀で、最高の行動分析学的思考を身につけた仲間の1人となった。この青年がシマムネサトル(島宗理)で1994年になると、ナオコは、私がWMUで夏学期に行なう行動分析学の4週間のセミ日本各地の大学院生を送り込むプロジェクトに着手して、マサヤと共にカラマズーに。もちろん、2人は、それまで通り、ABAにも仲間や学生を誘って参加していた。そしてと私は、いつものように、二言三言、言葉を交わした。

昨年のABAの年次大会で、ある日本人の行動分析家が、「行動分析学を国際的に普及させとして顕彰された。そして、本年、その行動分析家はABAの会長に就任する。ABAの24年にもる歴史上初めて誕生した、アメリカ人以外の会長である。その行動分析家とは、言うまでもなく、サトウマサヤだ。そして、常に彼の傍らに寄り添っていた、かつての女子学生は、いまやARAの国際拡大委員会で副委員長の要職にある。
1988年に、マリアと私が日本を訪れた時、当時2人で執筆中だった、Elementary Principles of Behavior(EPB)の第2版(初版は、故Don Whaleyと私とで執筆した)の原稿をマサヤとナオコに献呈した。その際、我々は、出過ぎた申し出だとは思いつつ、この本の日本語版を書いてはどうかと打診してみたのである。すると2人は、まさに自分たちの方こそそれをお願いしてみようかと考えていたところだと、快諾してくれたではないか。

そして、日本語版は、EPBの単なる翻訳ではなく翻案にしたい、日本人読者のために新しい本として書き直したいというのが、2人の希望だった。EPBは、初版の時から、教科書というより小説のようなスタイルで書いていた。登場人物を名字ではなく名前で呼び、スラングを交えた会話題の表現を多用している。このスタイルは、高校生から大学院生に至るまで、学生たちからの評判はとても良かったが、日本語版の作成に際しては障害になる。だからこそ、マサヤとナオコは、翻訳ではなく翻案を思い立ったのだろう。日本の文化にあった日本人の登場人物や実例を新たに創作し、日本文化にあった言い回しやユーモアを盛り込み、さらには、EPBの記述を最新の分析に従って新しくし、補足し、修正したものを作ろうとしているようだった。

その上で、マサヤとナオコは、執筆陣にサトルを加えた。これは素晴らしい思いつきだった。サトルは私の下でEPBを勉強し、WMUの学部生に対して、EPBを使ったコースで教壇に立ったこともある。サトルはEPBに書かれた、アメリカ文化と米語会話表現のニュアンス、そしてもちろん、行動分析学のすべてを完璧に理解していたからである。EPBの改訂のために、有益な示唆を常に、重要な論点を指摘し続けてくれている。くれたほどである。事実、サトルとナオコは、今行なわれているEPB第4版の執筆に際しても、こうして生まれた本書は、したがって、単なるFPBの翻訳ではなく、異文化間のコミュニケションにおける1つの実験だと言ってよい。その実験に、マリアと私も参画できたことは、本当港に思う。特に、日本は、行動分析学の研究の量においてこそ本家アメリカに次ぐものの、 研究の質においては本家と肩を並べるまでの国だからである。

1998年1月19日
アメリカ合衆国ミシガン州カラマズーにて
Richard W. Malott

杉山 尚子 (著), 島宗理 (著), 佐藤方哉 (著), リチャード・W. マロット (著), アリア・E・マロット (著)
出版社 : 産業図書 (1998/3/30)、出典:出版社HP

目次

読者の皆さまへ
第1章
好子
第2章
好子出現による強化
第3章
嫌子消失による強化
第4章
嫌子出現による弱化
第5章
好子消失による弱化
第6章
消去と復帰
第7章
分化強化と分化弱化
第8章
シェイピング
第9章
強化スケジュール
第10章
生得性好子と生得性嫌子
第11章
特殊な確立操作
第12章
習得性好子と習得性嫌子
第13章
刺激弁別
第14章
刺激般化と概念形成
第15章
模倣
第16章
阻止による強化
第17章
阻止による弱化
第18章
並立随伴性
第19章
刺激反応連鎖と反応率随伴性
第20章
レスポンデント条件づけ
第21章
言語行動
第22章
強化モドキ
第23章
ルール支配行動の理論
第24章
ペイ・フォー・パフォーマンス
第25章
道徳と法による行動の制御
第26章
行動の維持
第27章
行動の転移
第28章
研究法
索引
あとがき

杉山 尚子 (著), 島宗理 (著), 佐藤方哉 (著), リチャード・W. マロット (著), アリア・E・マロット (著)
出版社 : 産業図書 (1998/3/30)、出典:出版社HP

応用行動分析学―ヒューマンサービスを改善する行動科学 (ワードマップ)

ヒューマンサービスのための心理学

教育、福祉、医療、看護など、人に関わり、人々の行動変容を担う職業はヒューマンサービスと呼ばれる。本書では、より効果的な行動変容を導くための知識と技能が、実際の事例を紹介しながら解説されている。本書を通して、ヒューマンサービスと関連させながら応用行動分析学を学ぶことで、自身のヒューマンサービスの改善につなげることができる。

まえがき

教育や福祉、医療や看護など、人に関わる仕事を総称して、「対人援助職」や「ヒューマンサービス」と呼ぶことがある。元々は社会的に弱い立場にある人を支援する、どちらかといえば公的な職業や職務を示す概念だったが、今では公/民の区別なく、対象も拡大されて使われている。

本書ではヒューマンサービスを人の行動変容を担う仕事や役割と定義する[1]。学校の教員も、スポーツクラブのインストラクターも、企業研修の講師も、人に何かを教えて、できないことをできるようにすることが務めであるからその仕事はヒューマンサービスである。心理カウンセリングや育児相談によってクライアントや親の不安を減らしたり、患者が医師から処方された薬を正しく服薬したり、リハビリに励むように支援することが仕事ならこれらもヒューマンサービスである。工事現場で事故を防ぐために作業員や歩行者に指示をするのもヒューマンサービスだし、新装開店したデパートにやってくる客を増やす仕事もヒューマンサービスである。
ヒューマンサービスの対象は目の前にいる人の行動である。ものづくりの仕事には物の性質に関する知識や加工のための技術が必要なように、ヒューマンサービスの仕事には行動に関する知識や行動変容のための技術が必須となる。[2]だが、残念なことに、こうした専門性を系統立てて習得する機会は限られている。その結果、ヒューマンサービスを担う多くの人が、難しい課題に手探りの状態で、試行錯誤しながら取り組んでいるのが現状だ。

物と人との大きな違いは振る舞いの誤差にある。条件さえ整えれば、鉄は鉄、水は水らしく、ほぼ予測どおりに反応してくれる。個体差は小さい。ところが、人は条件をできるだけ揃えても、例えば田中さんと鈴木さんが同じように振る舞うとは限らない。個人差が大きく、予測が難しく、仕事の成否が偶然に影響されやすくなる。このため、ヒューマンサービスの現場では、たまたまうまくいったことによる思い込みも生まれやすく、[3]あるいは、「結局は人それぞれ」と、継続的な業務改善をあきらめてしまいやすくもなる。

応用行動分析学はこのような課題を乗り越えるために役に立つ長所をもつ心理学である(図0-1)。人や動物の行動の振る舞いに関する実証された理論[4]、効果が確認された行動変容のための様々な技法[5]、目の前にいる人の行動を変えながら技法を開発し、効果検証を進めるための研究法[6]を兼ね備える。さらに、研究に基づいた組織的な実践を推進するのに必要な技法のプログラム化やスタッフマネジメントの方法論、サースの受け手の価値観を反映させる仕組みも蓄積されている[7]。

自閉症や知的障害がある子どもや成人への指導や支援に関する研究と実践で大きな成果をあげてきたことで、教育や福祉に関わっている専門家の間では「知る人ぞ知る心理学」となった。日本語で読める文献も増えた[8]。ただ、逆にそのイメージが強すぎて、発達障害児のための指導法であると勘違いされることもある。シェイピングや行動連鎖化といった技法も、ロバースの早期集中行動訓練のようなプログラムも、応用行動分析学の研究成果の一例であり、学問体系そのものではないことは、図0-1からもわかっていただけるだろう。-
応用行動分析学を基盤として「対人援助学」という新しい学際領域を拓いた望月昭[9]がかつてそう称したように、応用行動分析学は業務用心理学である。数多くの「○○理論」や「口口現象」があふれている一般的な心理学に比べると地味で単純に見えるかもしれないが、仕事に役立つ底力は群を抜いている。と、少なくとも私はそう信じている。

科学的根拠をもとにサービスを提供することが重視されるようになってきている現在[10]、ヒューマンサービスの担い手には、経験や勘だけではなく、なぜそのように仕事をするのかを論理的に説明し、実績をもとに自らの仕事の質を上げていくことが期待されている。

応用行動分析学の研究法はヒューマンサービスの実践現場にそのまま適用可能である。直面している問題を目の前にいる人や動物の具体的な行動として定義し、測定し、分析し、行動変容の手続きを立案して実行し、その成果をもとに改善を重ねられる(図0-2)。成功体験を積み重ねやすくなり、仕事のやりがいも生まれる。まさにヒューマンサービスのための心理学であるのだ。

本書では、これまでに出版された応用行動分析学に関する図書ではほとんど取り上げられることがなかった研究や実践について紹介することと、可能な限り多様な職種や業種に携わる読者に興味をもっていただけるような例を使って解説すること、技法や研究の具体例より、研究法を、初学者にとってもわかりやすく伝えることを心がけた。巻末の索引では、専門用語について、できるだけ英和両方の表記を記載した。日本語で異なる表記をされることがある用語についてもそれがわかるように併記した[11]。
読者の皆さまが応用行動分析学に興味をもってくださり、ヒューマンサービスの様々な領域でサービスの担い手も受け手も満足できる改善の輪が回り始めることが私の願いである。

[1]「対人援助」や「対人サービス」などの類義語のなかで最も守備範囲が広そうな「ヒューマンサービス」を選んだ。「通常、サービスとは対価が伴う活動に限定されるが、本書ではこの制限解除する。子育てに直接対価が支払われることは少ないが、子どもの躾には行動変容が必須であるから、この意味でヒューマンサービスである。行動変容する対象も人に限定しない。たとえば、家庭夫の行動変容によって飼い主の生活の質が改善されるのであれば、これもヒューマンサービスに含める。
[2]使いやすさや意匠、ブランドの魅力などの要因が関連してくると、ものづくりにもヒューマンサービスの要素が含まれることになる。
[3]過去の成功体験からこれで「うまくいくはず」といった過度の一一般化が生じると、それでうまくいかなければ対象に問題があると思いはじめ、個人攻撃の罠に陥りやすくなる。
[4]第Ⅱ部「行動の譜法則」を参照。
[5]項目35「行動変容の諸技法」を参照。
[6]第Ⅱ部「応用行動分析学の研究法」を参照。
[7]行動倫理や社会的妥当性の概念(項目3「応用行動分析学の進め方」を参照)。
[8]項目2「応用行動分析学のそれからと今」を参照。
[9]望月ら(2013)
[10]項目3「科学的な根拠に基づいた実践」を参照。
[11]本書を執筆している時点で、日本行動分析学会が専門用語の表記法について整理を進めており、数年後には統一される可能性もある。

応用行動分析学—目次

まえがき

第Ⅰ部 応用行動分析学の誕生と発展
1 応用行動分析学のはじまり
実験室から街へ出た若き心理学者たち
2 応用行動分析学のそれからと今
社会問題を解決する行動科学としての発展
3 科学的な根拠に基づいた実践
ヒューマンサービスにおけるEBP
4 応用行動分析学の進め方
問題を解決しながら科学する
5 応用行動分析学の七大原則
エビデンスに基づいたヒューマンサービス実践の礎

第Ⅱ部 応用行動分析学の研究法
6 行動の測度
誰のどのような行動をどうやって測定するのか
7 インターバル記録法とタイムサンプリング法
数えにくい行動を客観的に数量化する
8 行動観察の信頼性
質的研究を客観的に行うために
9 記録用紙
データの信頼性を確認するアナログ的工夫
10 シングルケースデザイン法
事例研究で因果関係を同定する
11 目視分析
ローデータを最大限に活用する
12 AB法
侮れない基本のき
13 ABA法(反転法)
シンプルにわかりやすく効果検証
14 多層ベースライン法
時差で再現、複数の参加者にも対応可
15 条件交替法
将来有望、意外な伏兵
16 基準変化法
スモールステップ法との相性抜群
17 シングルケースデザイン法の評価基準
エビデンスを伝えるための数量化と標準化

第Ⅲ部 行動の諸法則
18 行動随伴性と機能分析
人はなぜそのように行動するのか
19 行動の定義
死人にできないことすべて
20 刺激の定義
反応に影響することすべて
21 先行事象としての刺激作用
行動を引き起こす、行動を抑える
22 後続事象としての刺激作用
行動を増やす、行動を減らす
23 オペラント条件づけ
行動を自発している原因はここにあり
24 レスポンデント条件づけ
行動が誘発されている原因はここにあり
25 確立操作
三項随伴性から四項随伴性へ
26 生得性確立操作
系統発生的な動機づけ要因
27 習得性確立操作
個体発生的な動機づけ要因
28 強化スケジュール
温故知新。ゲームやウェブで大活躍
29 選択行動と対応法則
ノーベル賞で出ています
30 遅延割引とセルフコントロール
「自制心」か、我慢する技能か
31 言語行動論
ことばも行動
32 言語行動の機能的分類と多重制御
ことばはみかけによらず
33 刺激等価性と関係フレーム理論
関係に制御される行動
34 ルール支配行動
人を人たらしめている行動
35 行動変容の諸技法
職人的な技を誰にでもできる技術へ

第Ⅳ部 科学的根拠に基づいた実践プログラム
36 「不安だから行動しない」から「不安でも行動する」へ
マイナス思考も受け入れて行動(act)にコミット
37 チンパンジー、宇宙へ
NASAで活躍した行動分析家
38 命を救うネズミたち
実験室から戦場へ
39 殺処分ゼロを目指して
人と動物との幸せな暮らしを支援する
40 学校に風を吹かせる
ポジティブな行動支援をスクールワイドで
41 ストップ!万引き
行動は観察しなくても変えられる
42 しごきも根性も、もういらない
行動的コーチングで技をみがく
43 ママケアで乳がんを早期発見する
医療における行動変容プログラム
44 職場の安全を確保する
安全行動マネジメントで事故を減らす

あとがき
事項索引
引用文献
引用URL一覽

■装幀=加藤光太郎