【最新】日本建築を学ぶおすすめ本 – 特徴、歴史、構造も知る!

日本建築を学ぼう

日本の建築は、伝統の継承、東西文化の融合、省エネルギー、環境保護の点で高く評価されていますが、日本の建築の特徴は何だと聞かれるとわかりにくいのも現状です。そこで今回は日本建築を学べる書籍おすすめリストを紹介します。

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出典:出版社HP

日本建築入門 (ちくま新書)

日本的なデザインがわかる

いろんな観点から10章立てで「日本的なるもの」を巡る建築史がまとめられていて、チョイスにも筆者の味が出ていて、味のある一冊となっています。充実した内容となっておりますので、興味のある方は手にとってみて間違いないと思います。

五十嵐 太郎 (著)
出版社: 筑摩書房 (2016/4/5)、出典:出版社HP

目次

序論―なぜ建築と日本が結びつくのか

第1章 オリンピック
1 世界に発信せよ!
「オリンピック大會」を東京へ/富士山麓のオリンピック村/外国人が泊まる宿―国策ホテル/紀元二六〇〇年の国家事業
2 戦時下日本の夢想
日本から世界へ―歴史の転換点/迷走する会場計画
3 悲願・国際社会への復帰
プロデューサーとしての岸田日出刃/師匠から丹下健三へのバトンタッチ
4 競技場の「伝統的」部分
屋根の建築が表現するもの/日本らしさと象徴性

第2章 万博
1 大阪万博・奇跡の風景
丹下健三の屋根/外部からの視線・内部からの批判/地域性と屋根/丹下のモダンな屋根/土着の反逆
2 エキゾチック・ジャパンの系譜
前川國男の日本館/内外の反響/戦前の日本館/提灯の起源―外国人にわかりやすいデザイン 3 モダニズムが模索したもう一つの日本
センセーショナルな世界デビュー―坂倉準三/日本の雑音から離れて―傑作誕生/ 「日本館設計者」の栄光と責務/日本館が世界を結びつける
4 ベタでない日本らしさ
環境性能の表現/デザインの重要度低下/ヴェネツィア・ビエンナーレの日本館/帝冠様式とは異なる感性/ 建築展は何を展示してきたのか/プレスの期待と日本的現実

第3章 屋根
1 様式のキメラ「帝冠様式」 ハエと男の合体、あるいは融合/下田菊太郎の「帝冠併合式」/介入する異国のまなざし
2 ポストモダンによる再評価と批判 帝冠様式とは何か/ファシズムと連携した建築様式?/屋根と宗教建築/屋根の脱政治的再評価/石井和紘のポストモダン

第4章 メタボリズム
l 発見された日本的空間すき間・ひだ・奥・グレー
日本的な意匠をちりばめる/黒川紀章と共生の思想/仏教に影響された空間論/重層する境界と奥の思想

2 「出雲大社・伊勢神宮」論―日本が初めて世界と並んだ瞬間
二元論による日本回帰/出雲大社と出会う新しい形態/メタボリズムと日本型住宅/川添登という仕掛人/伝 統とアヴァンギャルドをつなぐ

第5章 民衆
1 伝統論争
新建築と古建築/海外におけるジャポニカ・ブーム/日本的なものへの疑義/地についた国民的デザイン
2 縄文的なるもの―「民衆」の発見
なぜ日本ブームなのか/戦後における「民衆」の登場/白井晟一と縄文的なるもの/兵の施主は民衆

第6章 岡本太郎
1 近代への一撃硬直した伝統論を解体する
縄文土器の発見/美術と建築のつながり/日本の地方と民衆
2 ベラボーな建築
マミフラワー会館という怪獣/建築を内側から食い破る/見てはならない土俗的な怪物/国民的な記憶に刻まれた塔

第7章 原爆
1 原爆モニュメントと「民衆の願い」
秋田の大きな屋根/民族の表象を超えた「伝統拡大」へ/二つの原爆モニュメント/原爆堂と民衆
2 「混在併存」の思想
丹下健三とは異なる道を歩んだ同級生/二つの海外旅行が変えた世界観/混在併存の建築/歴史意匠論の意義
第8章 戦争
1 「国民」の様式―建築におけるナショナリズム
国民から人民の建築へ/一九四七年のもうひとつの著作/戦時下の国家と建築について/前川國男の闘い
2 戦時下の建築論
新国立競技場問題と戦時下の日本/日本国民建築様式の問題/空間論の系譜に連なる問題提起/戦時下の日本
建築論の限界

第9章 皇居・宮殿
1 新しい宮殿
京都迎賓館のハイテク和風/昭和の宮殿再建計画/新宮殿の建築をどうするか/宮殿問題と建築家の職能
2 明治の国家事業―宮殿造営と赤坂離宮
明治のプロジェクトX/迷走した明治宮殿/外国人設計者と国家プロジェクト/洋風建築をめざした赤坂離宮

第10章 国会議事堂
1 国のかたちを表象する建築
世界の中の国会議事堂/日本の国会議事堂/どのような政治空間なのか/日本的なものをめぐる議論
2 国会議事堂はいかに語られたのか 建築界の今後を背負うプロジェクト/美術界から見た国会議事堂/不満に終わったコンペ結果

あとがき

五十嵐 太郎 (著)
出版社: 筑摩書房 (2016/4/5)、出典:出版社HP

序論―なぜ建築と日本が結びつくのか

近代と伝統

伝統的なもの、あるいは日本らしさが語られるとき、しばしば近代以前の状況が参照されるのはなぜか。それは現代とは違い、昔は地域や国境を超えて、文化や技術が簡単に、そして自由に行き交うことができなかったからだ。
したがって、それぞれの場所では必然的に、気候や環境に対応しながら、木や石など、どのような自然素材を入手できるかという条件に従い、人々の慣習も踏まえて、固有の建築がつくられていた。それが近代以降に伝統と呼ばれるようになったものである。

おそらく、外部を知らない、すなわち異国との比較がなければ、当事者は自らの建築を伝統的なものだと強く思わなかったはずだ。国家という意識も希薄だったに違いない。つまり、国際的に同じ建築をつくろうというモダニズムの運動が起きたことで、逆説的に場所性が発見される。

近代建築は、アメリカにおいて「インターナショナル・スタイル」という風にも命名されたように、鉄とガラスとコンクリートという同じ素材と構造に基づく、共通のデザインによって世界を覆うことを志向していた。
しかし、そう簡単に世界は同じにならなかった。言うまでもなく、各地域には、暑い寒い、雨がよく降る、降らない、湿度がある、乾燥しているといった様々な気象の条件が異なり、生活慣習も違うから、同じデザインを導入しても組齬が生じる。近代においてはまだ十分な空調設備も整っていなかったし、省エネが求められる時代に、エアコンをつければすべて解決というわけにもいかないだろう。また日本では、どれだけ近代化しても、室内において靴をぬぐ習慣は根強く、住居のみならず、小学校のような公共施設や一部の飲食店でも同様である。ここまで残れば、将来変わることはないだろう。

世界を均質化しようとするモダニズムを批判的に乗り越えようとする試みは、一九六〇年代から目立つようになった。建築の世界では、こうした運動を総称してポストモダンと呼ぶ。その手がかりのひとつとなったのが、地域性や歴史性、すなわち伝統である。日本の建築界でも、近代に議論された最も重要なテーマだった。

もっとも、一九六〇年代を待たずとも、日本は近代を受容した早い時期から、この問題に直面していた。ヨーロッパでは、長い期間にわたって、古典主義やゴシックなど、石や煉瓦による組積造の様式建築を発達させていたが、この伝統と対決し、否定することによってモダニズムが勃興した。

一方、日本では江戸時代の鎖国を解いた後、明治時代の文明開化を迎えると、まず西洋の様式建築を導入する。大学ではアカデミックな教育を行う一方、大工は見よう見まねで新しい意匠を模倣し、後者は擬洋風と呼ばれた。そしてある程度、吸収したところで、海の向こうで近代建築が登場し、今度はモダニズムを輸入することになった。すなわち、日本にとって様式建築とモダニズムは対立するものではない。いずれも舶来のデザインだった。伝統との断絶のポイントが違う。
様式建築もモダニズムも、日本における木造の伝統建築とは異なる材料から生まれたものである。だが、西洋の列強と対等の姿を顕示しようとした日本は、積極的にこれらを模倣することに努めた。その過程において、日本とは何かというアイデンティティの問題にぶちあたる。一生懸命に西洋をモデルに追いつこうとして、ふと立ち止まったときに疑問が生じる。お雇い外国人の雇用や海外留学によって、工学的な技術は吸収することはできたが、建築は純粋なテクノロジーの産物ではない。誰もが即物的なただの箱で満足するなら簡単だが、デザインはときとして文化を表現し、象徴的な意味を担う。そのとき西洋の技術体系を移植しながら、デザインも同じで良いのかが問われる。われわれの生活は、ギリシアの一地方やパリの周辺で誕生した建築の様式と関係ないからだ。

そもそも明治時代に建築学科を創設したとき、西洋建築史は教育のプログラムに入っていたが、日本建築史はまだ学問として確立していなかった。ルネサンスやゴシックなどの様式は、過去のものではなく、そのまま設計に活用できるデザインのネタだった。当時、イギリスを訪れた辰野金吾が、日本建築の歴史を質問され、返答に困ったという有名なエピソードがある。その後、伊東忠太らの研究が嚆矢となって、日本建築史の体系的な調査に着手するようになった。

技術の面においても一筋縄ではいかない。日本が地震国であるからだ。一八九一年に濃尾地震が発生し、煉瓦造の建築が壊滅的な被害を受けた。つまり、西洋の構造形式は、地震がまったく起きないような場所には向いているかもしれないが、日本ではうまくいかない。そこから必要に迫られて、日本では耐震の研究が飛躍的に進化していく。

新建築圏を創造せんがために

ここで日本において、自覚的な意識をもった最初の近代建築の運動をみてみたい。一九二〇年、東京大学を卒業した堀口捨己、山田守らが、分離派建築会を結成した。彼らの以下の宣言文が有名である。「我々は起つ。過去建築圏より分離し、総ての建築をして真に意義あらしめる新建築圏を創造せんがために」

後に、このメンバーが中心になって一九三二年に刊行された分厚いアンソロジー本が「建築様式論叢』(六文館)だった。日本的なものをめぐって熱い議論がなされている。巻頭と巻末を飾るのは、いずれも編者をつとめた堀口の論文であり、「茶室の思想的背景と其構成」と「現代建築に表れたる日本趣味について」だった。彼は一九二〇年代に遊学の途中でギリシアに赴き、パルテノン神殿と対峙したとき、学校で習ったものとは根本的に異なる実在感に打ちのめされ、アジアに生まれた自分が簡単に模倣できるようなものではないと後に告白している。

堀口は、こうした強烈な古典主義の体験を経て、日本的なものに回帰し、建築家として活動するかたわら、桂離宮など、日本の数寄屋や茶室の研究に向かう。明治の初頭には忘れかけられていた法隆寺は、日本最初の建築史家である伊東忠太が論じたことによって、当時、すでに重要な古建築だと認識されていた。伊東はシルクロードでつながるギリシアの柱の膨らみとの類似を指摘したように、建築のチャンピオンであるパルテノン神殿と法隆寺をアクロバティックに接続させた。かくして仏教建築の系譜は、モニュメンタルなデザインとみなされ、日本的なものを表現する公共や国立の施設において、しばしば参照されるようになった。

しかし、堀口は違う回路を探求している。今でこそ、数寄屋や茶室は、当たり前のように日本の重要な伝統建築だと認識されているが、彼は早い段階から建築家の眼を通して、その価値に気づいていた。彼によれば、茶室は単純な工作物だが、「これを造形的な美の方向から見るとき極めて高い程度に発達した美しさの完成を見る事が出来る」。また非対称な茶室はパルテノンとは異なる特性をもち、その影響によって「我国の一般住宅が徒な記念性と無意味な装飾から免れている」という。堀口は巻頭の論文を、機能と美を同時に考慮している茶室は、「今後の住宅建築にも大きい示唆を與へる」と結ぶ。また吉田五十八も、一九二五年のヨーロッパ旅行を契機に日本に目を向け、近代における新興数寄屋の確立にとりくんだ。

何を日本建築のモデルにするのか

伝統論が語られるとき、何を日本建築のモデルにするのかは大きな軸となる。法隆寺=パルテノンなのか、茶室なのか。あるいは、伊勢神宮を代表とする日本固有の神社建築なのか、大陸から輸入され装飾的な要素が多い寺院建築なのか。
ブルーノ・タウトが論じたように、桂離宮=天皇の系譜なのか、日光東照宮=将軍の系譜なのか。

これらはしばしば二項対立の構図によって議論される。しかも、ときとして政治的なイデオロギーがつきまとう。神仏分離令や天皇制といった社会背景は、デザインの価値判断にも影響を与えるだろう。実際、建築の専門家から靖国神社の神門のすっきりしたデザインをモダニズムと結びつけながら、日本建築の真髄を表現していると、熱狂的に賞賛する言説が登場した。むろん、これが本当に秀逸な建築なら良いのだが、戦後はまったく評価されず、ほとんど無視されている。筆者も特筆すべき作品だとは思えない。ゆえに、同じ建築に対して、これほど評価が変わるのかと驚かされる。

なるほど、現在のわれわれの見方にも、バイアスがかかっているという批判が想定される。当然、それも疑うべきだ。もう一度、靖国の神門が高く評価される時代を迎えるかもしれない。したがって、伝統論については自明のこととせず、少なくとも絶えず自己批判しながら建築の思考を継続すべきだろう。

近年、「江戸しぐさ」のように、歴史学的に実証できない、ありもしない伝統が話題になり、現場の教育にまで影響を及ぼそうとしている。ここでも現代から投射されたイデオロギーが、理想的な過去が存在していたかのように錯覚させる。歴史の改竄だ。

いずれにしろ、時代や状況によって、モノの評価は変わることが起こりうる。井上章一はその著作において、桂離宮や法隆寺をめぐる言説の変遷を通じて、いかに専門家であろうとも、時代の枠組から影響を受けていることを示していた。逆に言えば、評価の言説を検証していくことによって、時代の精神史も浮かびあがる。

五十嵐 太郎 (著)
出版社: 筑摩書房 (2016/4/5)、出典:出版社HP

日本の建築家解剖図鑑

建築の歴史がよくわかる

人物毎に丁寧にまとめられていて、タイトル通り建築家の「図鑑」といった構成となっています。図鑑ですので、最初から読む必要はなく、気になった人物から読んでいくこともできます。建築家を知るきっかけにもなりますし、参考書としても便利な一冊です。

二村 悟 (著)
出版社: エクスナレッジ (2020/1/22)、出典:出版社HP

はじめに

多様な側面をもつ日本の近現代建築

建築を学びはじめたばかりの大学2年生のとき、藤森照信先生の『日本の近代建築 上・下』(岩波書店)という本との出会いを機に、私は日本の近代建築の魅力に引き込まれていきました。古書店で入手した『スーパーガイド建築探偵術入門』(文藝春秋)を片手に、近代建築を求めて街中を歩きまわったのをよく覚えています。

私が感じる近現代建築の魅力の一つには用途の多様さがあります。近世までの住宅、民家、社寺、城郭、茶室などに加えて、公共施設、宿泊施設、オフィス、産業施設、交通施設、土木施設など、それぞれの用途に応じて価値や評価の視点が異なる点が、とても興味深いです。また、それまでの伝統的な建築に対して、洋風のデザインや技術が導入されたこと、建築家という存在が確立されたこと、大工の創意工夫や施主の感性が反映されたデザインなど、研究の視点や方法論が豊富な分野でもあります。

身近な歴史的建築物は体験可能な地域の歴史

現在、私は、愛媛県伊方町で近世の組頭家住宅の系譜に連なる「旧佐々木家住宅」の地域における積極的な活用提案を工学院大学の学生とともに進めています。不変的な風景の一部として、空間を体験できる歴史的建築物は、地域の歴史を後世に受け継いでいくうえで不可欠な存在です。このような活動を通じて感じるのは、「日本の建築って面白い」「歴史的建築物についてもっと知りたい」という建築への熱い思いが、歴史的建築物の保存や活用においてとても大切だということです。学生時代の私が『日本の近代建築 上・下』や『スーパーガイド建築探偵術入門』で近代建築の魅力を知ったように、本書を読んで、少しでも多くの方が、身近な日本の近現代建築に興味を感じてもらえれば幸いです。

令和元年2月
二村 悟

本書の構成

本書は、日本の建築家とその代表的な作品をイラストを用いて図解した近現代の日本建築の入門書です。建築家が活躍した時代に応じて、1章「明治」、2章「大正」、3章「昭和戦前」、4章「昭和戦後」と、4つの章に分けました。

「日本で建築教育を受けている」
「現存する、または見学可能な建築を手掛けている」
「出身や所属大学、作品所在地の偏りを可能な限りなくす」

という3つ条件を基本に選定しており、清家清、広瀬鎌二、池辺陽、増沢洵などの、現代の著名な住宅作家は紹介されていません。ただし、平成8年(1996年)に発足した「国登録有形文化財制度」に基づき、築後3年を経て登録有形文化財の対象となっている建築を建てた現代建築家については、これからの保存を考えるうえで注目してほしいという思いから紹介しています。

二村 悟 (著)
出版社: エクスナレッジ (2020/1/22)、出典:出版社HP

目次

1明治
12 辰野金吾
14 片山東熊
16 曾彌達歲
18 山口半六
20 久留正道
22 妻木頼黄
24 宮内省内匠寮
26 横河民輔
28 伊東忠太一
30 長野宇平治
32 木下益治郎
34 遠藤於免
36 野口孫市
38 鈴木植次
40武田五一
42 佐野利器
44 佐藤功一
46 大江新太郎
48 中村與資平
50 岡田信一郎
52 本野精吾
54 内田祥三
56 渡迈節
58 長谷部鋭吉
60 内藤多仲
62 安井武雄
64 中村順平
66 木子七郎
68 渡辺仁
70 德永庸

2 大正
74 中村鎮
76 遠藤新
78 高橋貞太郎
80 田上義也
82 岩元禄
84 山口文象
86 村野藤吾
88 吉田鉄郎
90 今井兼次
92 山田守
94 堀口捨己
96 森田慶一
98 吉田五十八
100 大岡實

3 昭和[戰前] 104 前川國男
106 谷口吉郎
108 明石信道
110 白井晟一
112 坂倉準三
114 浦迈鎮太郎
116 松村正恒
118 丹下健三
120 增田友也
123 吉阪隆正
124 芦原義信

4 昭和[戰後] 128 大谷幸夫
130 大高正人
132 菊竹清訓
134 光吉健次
136 日建設計工務
136 内井昭歲
140 黒川紀章
142 東孝光

column
72 外国人建築家
102 建築設計標準仕樣
126 大工亡擬洋風建築
144 インテリアデザイナー

資料
146 年表
156 建物リスト
152 参考文献
156 あとがき
159 著者プロフィール

イラスト 七條初江
ブックデザイン 細山田デザイン事務所 (米倉英弘)
DTP 天龍社
印刷 シナノ書籍印刷

二村 悟 (著)
出版社: エクスナレッジ (2020/1/22)、出典:出版社HP

増補新装 カラー版日本建築様式史

日本の建築美を感じられる1冊

1999年初版の増補新装版で、解説文、構成、写真等当初の流れを確実に引き継いでいます。
様式について写真付きで説明がとても細かく、比較検討ができます。日本建築の歴史を知りたい人にぜひお勧めしたい一冊です。

太田博太郎 (著, 監修, 監修), 藤井恵介 (著, 監修, 監修), 宮本長二郎 (著), 上野勝久 (著), 丸山茂 (著), 松崎照明 (著), 平山育男 (著), 後藤治 (著), 藤田盟児 (著), 光井渉 (著), 大野敏 (著), 中谷礼仁 (著), 松隈洋 (著)
出版社: 美術出版社; 増補新装版 (2010/3/24)、出典:出版社HP

目次

はじめに

1章
縄文・弥生・古墳時代 先史時代の建築
住まいの黎明期<旧石器時代>
定住集落の出現<縄文時代草創期〜早期>
巨大建築の発生<縄文時代前期〜晚期>
環濠集落と高床倉庫<弥生時代>
豪族居館と家形埴輪<古墳時代>

2章 古代Ⅰ
飛鳥・奈良・平安時代 寺院・神社
飛鳥・奈良時代の寺院建築
平安時代の寺院建築
飛鳥・奈良・平安時代の神社建築
懸造の誕生
伊勢神宮の式年造営

3章 古代Ⅱ
飛鳥・奈良・平安時代 宮殿・住宅
飛鳥・奈良時代の宮殿と住宅
平安時代の宮殿
平安時代の住宅
平安時代の庭—『作庭記』に見る石立の原理

4章 中世Ⅰ
鎌倉・南北朝・室町時代 寺院・神社
中国からの新様式1:大仏様
鎌倉時代における南都の建築様式
中国からの新様式2:禅宗様
寺社建築のデザインをかえるもの
地方の発展と寺社建築のデザイン
大勧進重源
長床

5章 中世II
鎌倉・南北朝・室町時代 住宅
鎌倉時代の上層邸宅
南北朝・室町時代の上層邸宅
中世の庶民住居一民家の発達
寝殿造から書院等への様式変化
会所の座敷飾り
禅の庭

6章 近世Ⅰ
桃山・江戸時代 城郭・寺院・神社
城郭建築
寺社建築Ⅰ〈16~17世紀〉
寺社建築Ⅱ〈18~19世紀〉
絵様—渦と苦楽

7章 近世Ⅱ
桃山・江戸時代 住宅
概要
支配者層の住宅
茶室と数寄屋風書院造
庶民住宅—民家
江戸の町割

8章 近代
明治・大正・昭和前期 ひながた主義との格闘
はじめに
日本近世・「ひながた」主義からの西洋建築の理解
外国人建築家・折衷主義からの日本理解
日本人建築家による西洋建築理解の展開
近代主義建築の様式的位置づけ
近代数寄屋における「ひながた」主義の乗り越え
螺旋塔と近世のアヴァンギャルドたち

9章 現代
昭和後期・平成 モダニズムの時代からポスト・モダンの時代へ
モダニズム建築とは何か
モダニズムの時代I
モダニズムの時代II
ポスト・モダンの時代
近代建築の保存と再生
阪神・淡路大震災は何をもたらしたか
DOCOMOMOの設立とモダニズム建築再評価の動き
都市再生特別措置法による都市景観の激変

日本建築様式史年表
巻末資料
古代寺院の伽藍配置図
寺院建築様式図と各部の名称
神社建築様式図と各部の名称
住居建築変遷図
建築用語解説
掲載図版データ
図版提供・協力
主要参考文献
索引一遺跡・建造物・人物名
執筆者紹介・奥付

凡例
1 本文中の図版番号は《》で囲んだ
2 本文中の付加的な西暦年・時代区分は〈〉を用いた
3 本文中の人物の生没年は()で囲んだ
4 本文図版が建造物写真でなく図面・復元模型・絵画資料等の場合,それらの図版に関するデータは,巻末の掲載図版データページの当該項目欄に記載した

はじめに

日本建築史の研究は伊東忠太によって始められた。伊東は明治25年〈1892〉,帝国大学の工科大学造家学科を卒業して大学院に進み,日本建築史の研究に取り組んだ。当時,有職故実の一部として住宅史の研究はあったものの,社寺も含む建築の歴史としての研究はなかった。法隆寺が最も古い寺院建築の一つであることは知られていたが現存するその建物が創立当初のものであるかどうかは,全く明らかにされていなかった。しかし伊東は法隆寺の建築様式が他の寺のものと全く異なること,たとえば雲斗・雲肘木のように,他では見られないものであることに着目し,これが現存する最も古いものである可能性があると考え,その研究に着手した。その成果が伊東の『法隆寺建築論』(明治31年<1898>)で,日本最初の本格的な建築史の研究であった。

明治28年に帝国大学を卒業した関野貞は,翌年末から奈良県嘱託(後に技師)として奈良の古建築の保存に携わることとなった。そのとき,建物の建設年代を明らこと,修理において建立時の姿を推定することが,肝要なこととして考えられた。それが分からなければ,事業計画を立てることもできなかった。日本建築様式史の研究は,このような実務上の必要から,急遽進められることになったのである。関野は就任後,わずか半年で,奈良県の古建築80棟を挙げ,その造立年代を記した報告書を県に提出している。

関野のあと,天沼俊一が奈良県技師となり,研究・修理を進め,日本建築様式中はー応整えられた。昭和2年〈1927〉に発行された天沼俊一『日本建築史要』がその成果であり,唯一の通史として広く普及した。

戦後,昭和22年,太田博太郎の『日本建築史序説』が刊行され,3回の改訂増補を経て現在も読み継がれている。建築の様式と構造の発展,機能の変化,工匠の活動という視点から,大きく日本建築史を見通したものであった。

本書の企画は,建築の様式を中心のテーマとして,日本建築史を記述することである。『日本建築史序説』刊行以後,戦後50年の間に蓄積された多くの成果を盛り込むことになった。また,日本建築史というと,原始・古代から江戸時代の終わりまでを取り扱うのが通例であるが,本書では近代・現代も含め,全体の通史とした。読者のご批評を俟つところである。

監修者=太田博太郎+藤井恵介

太田博太郎 (著, 監修, 監修), 藤井恵介 (著, 監修, 監修), 宮本長二郎 (著), 上野勝久 (著), 丸山茂 (著), 松崎照明 (著), 平山育男 (著), 後藤治 (著), 藤田盟児 (著), 光井渉 (著), 大野敏 (著), 中谷礼仁 (著), 松隈洋 (著)
出版社: 美術出版社; 増補新装版 (2010/3/24)、出典:出版社HP

日本の伝統木造建築―その空間と構法

写真と図で理解する日本の建築

本書は、「社と堂」、「楼・閣・塔」、「農家と町屋」の3部構成になっています。どの章でも実際の建築物の写真と、構造を図に起こしたものが掲載されているので、目で見て理解しやすい構成になっています。

光井 渉 (著)
出版社: 市ヶ谷出版社 (2016/8/1)、出典:出版社HP

まえがき

本書は、日本建築の形状や空間を「建築構法」の観点から読み解いたものである。

市ヶ谷出版社では、「伝統建築」をテーマとした書籍を2009年からシリーズとして出版している。その一冊目となった内田祥哉『日本の伝統建築の構法』は、日本の伝統的な木造建築が極めて長寿命であることに注目し、補修を繰り返すことで社会環境や生活スタイルの変化に対応できる柔軟性を高く評価している。この柔軟性はこれまであまり指摘されていなかったものである。しかし、日本の伝統建築を、失われつつある存在として捉えるのではなく、現在でも有用な存在と捉え直していこうとした場合には、重要な視点といえよう。戦後長く続いたスクラップアンドビルドの時代にあっては、建築の寿命は短くても何ら問題はなかったが、こうした建築の在り方は確実に変化している。建築の寿命を延ばすこと、そして古い建築であっても、破棄するのではなく保存しながら現代的な資産として活用していくことが求められている。伝統建築シリーズの二冊目となった鈴木博之『保存原論』は、伝統建築を保存する際に考えられ、実践されてきたことをまとめたものである。伝統建築は保存の対象となるばかりではない。日本という場所に根ざした、良質な建築を目指すうえで規範ともなりうるであろう。

伝統建築シリーズに連なる隈研吾『場所原論』や今里隆『次世代に活きる日本建築』は、伝統建築の上に姿を見せる新たな日本らしい建築の姿を示すものとなっている。これからののなり方を考えていく上でも、日本の伝統建築の姿を理解しておくことは必須なのです。

ここで、一日に日本の伝統建築といっても、そこには長い時間の中で育まれた様々な形式があることに気付く。それは、本堂・本殿・塔・農家・町家といったもので、日本列島で育った者ならば、特別な教育を受けていなくても、自然に区別することができる。本書では、構法、特に柱や梁を組み合わせて作る架構に注目して、こうした様々な形式の内部空間や外観形状が、具体的にどのような考え方で、どのような技術を用いて作られているかを検討していく。

また本書の内容は、愛知県建築士会が文化庁の補助事業として実施してきた実施してきた「あいちヘリテージマネージャー養成講座」における講義にも共連している。ヘリテージマージャーという職種は、我々の周囲に存在している膨大な数の歴史的な建築を、文化的な価値を損なわないで現代の資産として活用するための専門的な技量を身につけた建築家である。ヘリテージマネージャーを目指す建築家にとって、本書が役立つものとなることを願っている。

以上のように、本書の内容は日本建築の仕組みを語るものであるから、建築を学ぶ学生や建築に興味のある一般の方々が対象である。そして、最も念頭に置いている読者は、設計ないしは施工の実務に携わっている方々である。

本書が多くの方々の目にとまり、日本の伝統木造建築を再認識していただくことにつながるものとなれば幸いである。

2016年6月 光井 渉

光井 渉 (著)
出版社: 市ヶ谷出版社 (2016/8/1)、出典:出版社HP

目次

序 構法からみた日本建築の空間

第I章 社と堂
I-1 社の建築
社の意味
棟持柱を用いた構法
梁と束を用いた構法
屋根の延長とその意味
コラム 檜皮とこけら

I-2 モヤーヒサシの堂
堂の構法
モヤの空間
基壇
ヒサシの追加
モヤーヒサシの空間と屋根
モヤーヒサシの展開
コラム瓦と組物

I-3 和様の堂
構法と空間の日本化
改造による変化
隠される構造
軸組と小屋組
床と天井の構法
建具の構法
住宅建築の構法
和様の建築
コラム懸造

Ⅰ-4 大仏様と禅宗様の堂
東大寺の再建
浄土寺浄土堂の特徴
大仏様のその後
禅宗様の内部空間
身舎の拡張
大虹梁と大瓶束
柱の省略と移動
禅宗様の展開
コラム 窓と扉

I-5 中世の堂
本堂
正堂と礼堂
本堂の誕生
外陣の拡張
柱の省略
小屋組の変化
内部空間の演出
奥行規模の拡張
モヤーヒサシの崩壊

I-6 近世の堂
近世の展開
立ち登せ柱
縁側の拡張
小屋組の強化
近世的構法の自由度
自由度を活用した造形
複雑な屋根の形状
近世住宅建築の構法

I-7 その他の堂
様々な形態
柱が林立する空間
求心的な空間
權現造
複数棟の結合と屋根形状
榮螺堂
コラム 茅葺の堂

第II章 楼・閣・塔
II-1 鐘楼・鼓楼
鐘楼と鼓楼
積上の構法
積上時の逓減
袴腰を持つ楼
通柱を用いた楼
コラム 音響効果

Ⅱ-2 楼門・二重門
重層の門
楼門
立ち登せ柱を用いる楼門
二重門
立ち登せ柱を用いる二重門
コラム 楼拝殿

Ⅱ-3 楼閣・天閣
高層化の系譜
室町時代の楼閣
楼閣の複雑化
天守閣の性格、
小型の天守閣
天守閣の完成

Ⅱ-4 層塔
塔の起源
層塔の初型
組物の発達
平安時代の変化
層塔の和様化
中世・近世の構法
コラム 石造の塔

II-5 その他の塔
塔の類型
裳階の利用
層数の多い層塔
八角形の層塔
多宝塔の発生
多宝塔の構法
大塔の形式
コラム 層数の変更

第II章 農家と町家
III-1農家建築の原型
農家建築と先史の建築
棟持柱の残存
非木構造
垂木構造の小屋組
首構造
モヤ材と追首
コラム 農家建築の間取り

Ⅲ-2 上屋と下屋
奥行規模と梁材
上屋と下屋
千年家の構法
四方下屋
独立柱の除去
桁行方向の梁の利用
チョウナ梁の利用
農家建築の梁組
コラム もう一つの農家建築

II-3 農家建築の空間
独立柱除去の進展
構造体のブロック化
室内空間の高さの操作
見せる構造
小屋組の活用
合掌造
コラム 大黒柱

II-4町家建築の原型
町家建築の2つの系譜
京町家型
在郷町家型
2つの系譜の合流
コラム 町家建築の間取り

III-5町家建築の高層化
都市密度の向上
簡便な2階
登り梁の使用
総二階と指物
屋根形態の操作
3階建ての町家
コラム 指物

Ⅲ-6 町家建築の空間
町家建築の大型化
突出部による拡張
複雑な構成による拡張
内部空間の演出
土蔵の構法
コラム 町家建築の建具

図版出典
索引
ヘリテージマネージャー資料

光井 渉 (著)
出版社: 市ヶ谷出版社 (2016/8/1)、出典:出版社HP

序 構法からみた日本建築の空間

■伝統木造建築の再評価

日本列島の長い歴史の中で育まれてきた伝統建築を見直し、積極的に活用しようとする動きが全国で高まっている。東京都内でも、下町を中心にその数は急増し、人気を博している(図1)。

しかし、少し時間を遡ると状況は全く異なっていた。戦後の日本社会では、効率性と機能性を追求するあまり、一時期は伝統木造建築という存在自体が否定されていた。そうした風潮にあって、守られていたのは「国宝」や「重要文化財」などの文化財建造物だけ、という状況が長く続いていたのである。

この状況は、1970年代以降に少しづつ変化していった。高度成長が終焉を迎えると、歴史や伝統あるいは地域性などを再評価する機運が高まり、1975年には地方独自の視点で文化遺産を選出する「地方指定文化財」や、集落・町並を保存する「伝統的建造物群保存地区」制度が創設された。そして、「文化財登録制度」(1996年)・「景観法」(2004年)・「歴史まちづくり法」(2008年)などの後押しもあって、文化財に代表される伝統建築を、現代に伝えられた資産として活用し、町づくりや景観保全の核として捉えようとする動きが広まったのである。

この結果、文化財として保存の対象となっている伝統建築などは急増し、2016年時点でその総数は27000棟を越えている。こうした文化財の指定数増加に伴って、保存対象の性格も変化している。大正・昭和期の住宅や店舗などが、活用を前提として文化財に指定されるようになっているのである(図2)。すなわち現代は、少し前の普通さが再評価される時代となったといえよう。

さらに、失われてしまった建築を再現し、新たな町のシンボルとする試みも、近年盛んになっている。同様の試みは戦前から行われていたが、多くは鉄筋コンクリート構造で外観のみを再現するものであった。現在では伝統構法を用いて、内部空間も再現するものへと変化している(図3)。

伝統建築の総数は減少しているが、それに反比例するかのように、かえって本物だけが持つ魅力はその輝きを増しているのである。
それでは、伝統建築を楽しむためには、どうすればよいのだろうか。風景の一部として眺めるだけでも、建築の中で時間を過ごすだけでも一向に構わない。しかし、伝統建築にはどのようなタイプがあるのか、特徴的な外観や内部空間と構法とはどのような関係があるのか、について少しばかりの知識があれば、より深く建築を味わうことができる。こうした知識は、伝統木造建築の活用に携わる建築関係者にとっては、必須のものとなろう。
これから本書では、日本の伝統木造建築の主要なタイプ毎に、その形状や内部空間と構法との相関関係を検討していく。そこで、最初に本書の構成に沿って、各章の内容を簡単に見ていくことにしよう。

■寺院と神社の建築

第1章「社と堂」では、神社や寺院の中核建築を扱っている。特に寺院建築である堂は、宗教儀式の場となるもので、千年以上の長い歴史の中で多様に展開している。
まず、奈良時代までに建設された「モヤヒサシ」の堂は、中国大陸で発達した建築構法を採用したもので、瓦葺の重厚な屋根と土壁に囲まれた閉鎖的な外観となり、一つの大空間となる内部には、石積の基壇や屋根を支える構造材がそのまま露出している(図4)。

これを基本にしつつ、日本の気候や環境に適合させたものが「和様」の堂である。屋根材は檜皮などの植物性材料が主流で、板床と天井に挟まれたフラットな内部空間が開放的な建具を通じて屋外と繋がる点に特徴がある(図5)。一方、平安時代末期に東大寺再建のために開発された構法を用いるのが「大仏様」で、ダイナミックな構造体に特徴がある。そして、大仏様よりも少し後に出現した「禅宗様」の堂は、柱を省略し高さを強調する内部空間と精密な細部に特徴がある(図6)。
中世の「本堂」は、和様をベースにしながら、大仏様や禅宗の構法を部分的に用いるもので、奥行の長い外形に大型の屋根を乗せ、内部空間を前後左右に細かく分割し、室内高や細部意匠を変化させている(図7)。そして、江戸時代の堂は、急勾配の大屋根と、複雑な間取りに対応する柱配置に特徴がある(図8)。

■多層の建築

続く第2章では、「塔」・「楼」・「閣」と呼ばれる多層の建築を扱っている。
堂の建築は、内部空間の充実に主眼が置かれており、外観は基本的には平屋で、似通ったものとなっている。一方、多層の建築ではシンボル性が重要視され、個性的な外観を創り出すための構法が発達している。
多層建築の中でも、寺院や神社の境内に立地するものは、音を遠くまで響かせるための「鐘楼」や「鼓楼」、境内の出入口に聳え建つ「楼門」や「二重門」(図9)、仏陀の遺骨を安置したことに起源を発する「層塔」などがある(図10)。
これとは別に、権力者の居館などとして建設された多層建築も存在している。この類型には、庭園との関係が強い「楼閣」の他に(図11)、「城郭」があるが、中でも「天守閣」は日本における多層建築の到達点である(図12)。

■民衆の住宅

最後の第3章で扱うのは、江戸時代に発達した民衆の住宅である。
権力が関与した寺社建築や城郭には、その時代の最高の材料と技術が集約されている。一方農家や町家では、材料と技術の双方で制約が大きく、構法の独自性が高い。まず「農家」の建築は、包み込むような大型の茅葺屋根と土壁を多用した外観に特徴があり(図13)、2本の斜材がもたれ掛かり合う「収首組」や、柱を省略するための「梁組」を内部空間に露出する点に特徴がある(図14)。農家建築は乏しい材料を駆使して作られており、内部空間と構法の関連性を読み取く楽しみを提供してくれる。「もうひとつの「町家」は、都市型の住宅建築である。狭い間口と長い奥行という敷地外形に対応するため、奥に向かう細い土間と一列に並ぶ居室部から構成されている(図15)。そして、大型の町家では2階建の構法が発達し、農家と同様に豪壮な梁組を見せるものも出現している(図16)。

■構法の展開

以上、日本の伝統木造建築について概説してきたが、ここまでに掲載してきた写真を一見しただけでも、大きく異なるタイプがいくつも存在していることに気付くだろう。
日本では、なぜ建築はこのような多様な展開をみせたのであろうか。その背景には様々な要因が想定できる。時代や地域に応じて安定的に入手可能な木材には制約があり、構法は常にその問題に対応している。また、地震や台風といった自然災害への対応、あるいは生産性の向上も常に課題となっている。さらに、建築の使用方法やデザインの指向性といった文化的な要素も、変化をもたらす原動力である。
こうした数多の課題に対して常に最適な解答を求めていった結果、日本建築は長い時間をかけて、多様なバリエーションを生み出していったのである。この多様な形式を生み出した構法は、具体的にどのような課題に対応したものなのか、また結果として生み出され
た建築の外観形状や内部空間はどのようなものであったのか、その相互関係についてこれから本文で詳細に検討していこう。
なお、本書は文化財建造物の修理事業に伴う知見やそこで作成された図面に全面的に依拠している。まず最初に、これまで文化財の修理に携わってきた多くの技術者に感謝しておきたい。

図1〜図16

光井 渉 (著)
出版社: 市ヶ谷出版社 (2016/8/1)、出典:出版社HP

建築の日本展 その遺伝子のもたらすもの

「建築の日本展」の展覧会カタログ

9つのセッションに分かれていて、縄文の住居から現代建築まで100のプロジェクトを、資料や模型など、約400点の展示資料・作品で紹介しています。過去から現代までの日本建築に興味がある方におすすめの一冊です。

森美術館 (著)
出版社: 建築資料研究社 (2018/9/15)、出典:出版社HP

ごあいさつ

このほど森美術館は「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」を開催する運びとなりました。現在、日本の現代建築は多くの国で実現し、世界中で高く評価され、建築の発展に、これまでなかったほどの大きな影響を与えています。
このような活況の淵源は一体どこにあったのでしょうか。
この展覧会では、日本の古代・古典建築の特徴を分析し、その遺伝子がどのように国際的に広がっていったのか、その鍵を握った人たちは誰だったのか、そして今もなおその遺伝子が、世界にさらに広がりつつあるのだとすれば、そこにはどのようなメカニズムが働いているのか、といった視点で日本 建築の大きな流れを解き明かそうとする極めて野心的な試みです。展示は9つのセクションから構成され、縄文の住居から現代建築まで100のプロジェクトを、資料や精巧な大型模型、原寸大の茶室の再現、体験型のインスタレーションなどを含むおよそ400点の展示資料・作品で紹介しています。
これらの9つの物語は、あくまでも仮説です。しかし西欧近代を基本的なモデルとしてその超克を試みた日本が、独自の目標を構築すべき時に来ているのだとすれば、本展の仮説を世に問い、そこから、さらに未来へ向かう 新たな視野と議論が生じてくることを期待することも間違ってはいないのではないかと確信する次第です。
日本は今、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、再びその文化と創造性を世界に問うべき時にあります。日本建築の過去と現在を語 ることで、日本という国の新たなアイデンティティの構築に貢献することができれば幸甚です。
最後になりますが、貴重な資料・作品をお貸し出しくださいました関係者、学術機関、企業、および本展の実現にご支援・ご協力を賜りました企業や個人の方々、また監修の責務を果たしていただきました藤森照信氏、共同企画者としてご尽力賜りました倉方俊輔氏、ケン・タダシ・オオシマ氏に束 心より感謝申し上げます。

森美術館 館長 南條史生

Foreword

Mori Art Museum is pleased to present the exhibition, “Japan in Architecture: Genealogies of Its Transformation.” Contemporary Japanese architecture is today acclaimed around the world. Examples are built in many countries, and its influence on global architecture is unprecedented.
But where did such a situation originate?
This exhibition examines the characteristics of ancient and classical Japanese architecture and makes a highly ambitious attempt to elucidate the major currents of the nation’s architecture from the perspectives of how its genealogies have spread internationally, the pioneering figures in this process, and the mechanisms behind the continued expansion of these genealogies today. Across nine thematic sections, the exhibition introduces 100 projects, ranging from Jomon period homes to the contemporary, through approximately 400 exhibits, including materials, full-sized models, documents, and interactive installations.
These nine stories are ultimately hypothetical ones. However, if the time has come for Japan, having followed the model of Western modernity and then attempted to overcome it, now to construct its own original goals, I am confident that presenting these hypotheses will lead to new discussions and visions for the future.
As we look ahead to the Olympic and Paralympic Games to be held in Tokyo in 2020, the time is ripe for once again posing questions to the world about this culture and creativity. By exploring the past and present of Japanese architecture, it is my hope that we can contribute to constructing a new identity for the nation of Japan.
In closing, I would like to express my deep gratitude to all the related parties, academic institutions, and corporations that loaned us their valuable materials as well as to the many corporations and individuals, including the curatorial advisor Fujimori Terunobu and co-curators Kurakata Shunsuke and Ken Tadashi Oshima, whose generous support and cooperation helped realize this exhibition.

Nanjo Fumio
Director, Mori Art Museum

謝辞
Acknowledgments

本展開催および本書刊行にあたり、多大なご協力を賜りました下記の諸機関,関係者の方々に深甚なる感謝の意を表します。(敬称略)
We would like to express our sincere gratitude to all the following institutions and individuals for their generous assistance and contributions for the realization of this exhibition and publication (Honorifics omitted)

後援 In Association with

一般社団法人日本建築学会
公益社団法人日本建築家協会
アルカジア東京大会 2018
一般社団法人日本建築構造技術者協会
一般社団法人日本デザイン学会

Architectural Institute of Japan
The Japan Institute of Architects
ARCASIA ACA18 Tokyo
Japan Structural Consultants Association
Japanese Society for the Science of Design

協賛 Corporate Sponsors
株式会社大林組
清水建設株式会社
株式会社竹中工務店
鹿島建設株式会社
大成建設株式会社
株式会社日本設計
合同会社日本MGMリゾーツ
大光電機株式会社
IHI運搬機械株式会社
株式会社きんでん
三建設備工業株式会社
アマノ株式会社
千代田ビル管財株式会社
フジテック株式会社
株式会社入江三宅設計事務所
株式会社関電工
株式会社建築設備設計研究所
株式会社久米設計
株式会社九電工
株式会社日建設計
日本ピーマック株式会社
株式会社乃村工藝社
パナソニック株式会社
三機工業株式会社
高砂熱学工業株式会社
株式会社山下設計
横浜ビル建材株式会社
株式会社駒井ハルテック
新菱冷熱工業株式会社
AGCグラスプロダクツ株式会社

OBAYASHI CORPORATION
SHIMIZU CORPORATION
TAKENAKA CORPORATION
KAJIMA CORPORATION
TAISEI CORPORATION
NIHON SEKKEL INC
MGM Resorts Japan LLC
DAIKO ELECTRIC CO., LTD
IHI Transport Machinery Co, Ltd
KINDEN CORPORATION
SANKEN SETSUBI KOGYO CO., LTD.
Amano Corporation
CHIYODA BLDG, KANZAI CO., LTD.
FUJITEC CO., LTD
IRIE MIYAKE ARCHITECTS & ENGINEERS
KANDENKO CO., LTD.
Kenchiku Setsubi Sekkei Kenkyusho
KUME SEKKEI CO., LTD.
KYUDENKO CORPORATION
NIKKEN SEKKEI LTD
NIPPON PMAC CO., Ltd
NOMURA CO., Ltd
Panasonic Corporation Eco Solutions company
SANKI ENGINEERING CO., LTD.
Takasago Thermal Engineering Co., Ltd.
YAMASHITA SEKKEI INC.
Yokohama Bilukenzai Co., Ltd
KOMAIHALTEC Inc.
SHINRYO CORPORATION
AGC Glass Products Co., Ltd.

協力 Support
シャンパーニュ ポメリー
コーニングインターナショナル株式会社
株式会社ハロー
前田建設工業株式会社
ものつくり大学
野口直人建築設計事務所
おだわら名工舎
住友電気工業株式会社
株式会社テオ
株式会社山長商店

Champagne Pommery
Coming International K K. (Japan)
helo inc.
Maeda Corporation
Institute of Technologists
noguchinaoto architect’s
Odawara Meikou-sha
Sumitomo Electric Industries, Ltd.
Theo Inc.
YAMACHO Co., Ltd

所蔵家・機関 Lendor’s

朝倉不動產株式会社
芦原太郎建築事務所
熱海市教育委員会
アトリエ・ワン
安藤忠雄建築研究所
出雲大社
小山工業高等專門学校
香川県
香川県文化会館
香川県立ミュージアム
鹿島建設株式会社
金沢工業大学建築アーカイヴス研究所
金沢工業大学ライブラリーセンター
金沢市
株式会社青木淳建築計画事務所
株式会社アダチ版画研究所
株式会社アマナ
株式会社アマナサルト
株式会社石上純也建築設計事務所
一般財団法人聽竹居俱楽部
一般財団法人日本建築学会
株式会社伊東豊雄建築設計事務所
MOA美術館
株式会社環境デザイン研究所
株式会社北川原温建築都市研究所
株式会社Kプロビジョン
株式会社三角屋
株式会社新建築社
株式会社新素材研究所
株式会社妹島和世建築設計事務所
株式会社竹中工務店
株式会社谷口建築設計研究所
株式会社たねや
株式会社帝国ホテル
株式会社內藤廣建築設計事務所
株式会社ナカサアンドパートナーズ
株式会社成瀬・猪熊建築設計事務所
株式会社日経BP
株式会社日建設計
株式会社乃村工藝社
株式会社ホテルオークラ東京
株式会社羽深隆雄・枡工設計事務所
株式会社坂茂建築設計
株式会社マガジンハウス カーサブルータス編集部
株式会社槇総合計画事務所
株式会社山崎健太郎デザインワークショップ
株式会社山田守建築事務所
株式会社吉村靖孝建築設計事務所
株式会社ライゾマティクス
株式会社レーモンド設計事務所
株式会社ロイヤルホテル
京都工芸繊維大学 美術工芸資料館
京都市美術館
京都大学大学院工学研究科建築学專攻
京都大学文学研究科図書館
宮内庁書陵部
隈研吾建築都市設計事務所
華嚴宗大本山東大寺
ゲッティ イメージズ ジャパン
公益財団法人大倉文化財団
公益財団法人小田原文化財団
公益財団法人佐川美術館
公益財団法人竹中大工道具館
公益財団法人特別史跡旧閑谷学校顕彰保存会
公益財団法人土門拳記念館
公益財団法人日光社寺文化財保存会
公益財団法人福岡文化財団
公益社団法人日本写真家協会
公益財団法人日本武道館
公益財団法人福武財団
公益財団法人横浜市ふるさと歷史財団
横浜開港資料館
工学院大学図書館
高知県立美術館
国際教養大学
国立研究開発法人産業技術総合研究所東北センター
国立歴史民俗博物館
SANAA
三分一博志建築設計事務所
島根県立古代出雲歷史博物館
清水建設株式会社
聖徳宗総本山法隆寺
少林山達磨寺
象設計集団
大成建設株式会社
大徳寺孤蓬庵
東武タワースカイツリー株式会社
高崎市美術館
多田美波研究所
茅野市尖石耀文考古館
中央工学校
中国新聞社
東京藝術大学
東京国立博物館
東京大学総合研究博物館
東北大学大学院工学研究科都市建築学専攻
凸版印刷株式会社
日光東照宮
西況立衛建築設計事務所
日本大学理工学部建築学科建築史研究室
博物館明治村
久松真一記念館
福岡市博物館
福島県立会津若松市立一覧小学校
藤本壮介建築設計事務所
文化庁国立近現代建築資料館
星野リゾート トマム
ホンマタカシ写真事務所
武蔵野美術大学美術館・図書館
MURANO design
明治大学
本居宣長記念館
八尾市立歴史民俗資料館
山形県立博物館
UID一級建築士事務所
雪の里情報館
吉村順三記念ギャラリー

Adjaye Associates
ALTELIER TSUYOSHI TANE ARCHITECTS
DAAS
John Pawson Limited
RCR Arquitectes
The Museum of Modern Art, New York
University of California Santa Barbara

阿野太一
池浩三
石山修武
石渡朋
市川靖史
岩崎和雄
上田宏
内田道子
太田拓実
大橋正典
岡啓輔
小川重雄
小倉以索
勝原基貴
加藤道夫
金子俊男
北嶋俊治
神代真砂実
腰原幹雄
後藤克典
来田猛
鈴木久雄
田中英行
塚本二朗
富井雄太郎
西川公明
畠山崇
畠山直哉
平井広行
平尾寬
平山治郎
藤塚光政
二川由夫
堀啓二
本多晃子
水谷晃啓
八束はじめ
山田新治郎

Iwan Baan
Christian Merihiot
Grant Mudford
Arnaud Rodriguez
Jens Weber

ご協力・ご意くださった方々(機関・個人)
Institutions and individuals who have provided assistance and advice:

伊勢神宮
厳島神社
一般社団法人クールジャパンアワード協議会
裏千家今日庵
大分市
大分市美術館
表千家不審菴
株式会社黒川紀章建築都市設計事務所
式会社桜製作所
株式会社修護
株式会社丹下都市建築設計
株式会社 Misa Shin & Co
株式会社六角屋
建築倉庫ミュージアム
公益財団法人日本住宅総合センター
国土交通省
住電商事株式会社
中部大学
鶴岡市教育委員会
鶴亀工房
TOTOギャラリー・間
長崎県立大学
西村孝一法律事務所
長谷ビルディンググループ
平等院鳳凰堂
フジワラテッペイアーキテクツラボ
妙喜庵

五十嵐太郎
伊豆井秀一
磯達雄
磯崎新
今井雅之
岩岡竜夫
大沼靖
小渕祐介
金田充弘
北村幸雄
榊原健祐
榊原由紀子
鈴木光
角奈緒子
スミス睦子
大官司勝弘
谷川公朗
坪井良平
手塚雄二
中川武
中谷弘志
永井壯茂
長門佐季
西松秀記
橋口薰
原研哉
藤田伊織
堀越英嗣
宮沢洋
山口俊浩
八幡俊昭
横内啓
渡部泰山

本書は、公益財団法人日本住宅総合センター事業「住宅等の構法等の変遷に関する歴史的研究」の助成により出版されました。
This catalogue is published in part by an assistance from the Housing Research and Advancement Foundation of Japan’s project: Historical Study on the Transition of Construction Methods of Houses and Other Buildings.

森美術館 (著)
出版社: 建築資料研究社 (2018/9/15)、出典:出版社HP

目次

ごあいさつ
謝辞
プロジェクト一覧

日本、世界、伝統、モダン 藤森照信
未来が発見される建築の日本 倉方俊輔
世界の日本建築 ケン・タダシ・オオシマ
建築展の可能性—「建築の日本展:その遺伝子のもたらすもの」における企画と制作過程からの考察 前田尚武
多数の過去認識と建築・庭園—近代の「ZEN」と中世の禅をめぐって 野村俊一

01 可能性としての木造
なぜ、みんな格子が好きなのか? 木内俊彦
02 超越する美学
超越する美 大井隆弘
03 安らかなる屋根
屋根をめぐる日本史 海野 聡
04 建築としての工芸 128
建築の工芸性は、マーブルのように漂う 本橋仁
05 連なる空間
「空間」の成り立ち 岸佑
06 開かれた折衷
国の自画像 市川紘司
07 集まって生きる形
日本的コミュニティとデザイン&リサーチ・プロジェクト 石博督和
08 発見された日本
旅人のまなざし—日本を「発見」した展覧会 山崎泰寛
09 共生する自然
建築の自然 徳山拓一

展示資料・作品リスト
ブックガイド 塚本二朗 編・解説
執筆者プロフィール

年表:早稲田大学 小岩正樹建築史研究室 監修

プロジェクト一覧

HouseMaker | 吉村靖孝
パワー・オブ・スケール | 齋藤精一 + ライゾマティクス・アーキテクチャー
香川県庁舎 | 丹下健三
家具のモダニズム

01 可能性としての木造
平等院鳳凰堂の組物
木組
ミラノ国際博覧会2015日本館 木組インフィニティ| 北川原 温
国際教養大学図書館 | 仙田 満
大工秘伝書
会津さざえ堂(旧正宗寺三匝堂)
東照宮 五重塔
東京スカイツリー | 日建設計
嚴島神社 大鳥居
ホテル東光園 | 菊竹清訓
古代出雲大社本殿
ティンバライズ200 | 東京大学生産技術研究所 腰原幹雄研究室 + ティンバライズ
東大寺南大門
空中都市 渋谷計画 | 磯崎 新
梼原 木橋ミュージアム | 隈 研吾

02超越する美学
伊勢神宮正殿
鈴木大拙館 | 谷口吉生
孤篷庵 忘筌
アトリエ・ビスクドール | 前田圭介
佐川美術館 樂吉左衞門館 | 樂吉左衛門(設計創案)、竹中工務店

03 安らかなる屋根
家屋文鏡
家形埴輪
「日本の民家』 | 伊藤ていじ、二川幸夫
直島ホール | 三分一博志
洛中洛外図
佳水園 | 村野藤吾
京都の集合住宅 | 妹島和世
荘銀タクト鶴岡(鶴岡市文化会館) | SANAA
東京オリンピック国立屋内総合競技場 | 丹下健三
牧野富太郎記念館|内藤廣
日本武道館 | 山田 守

04 建築としての工芸
日生劇場 | 村野藤吾
ロイヤルホテル メインラウンジ | 吉田五十八
日本万国博覧会 東芝IHI館 | 黒川紀章
ハノーバー国際博覧会 日本館 | 坂茂
ルイ・ヴィトン松屋銀座 | 青木 淳
ブルーノ・タウトの工芸
旧日向家熱海別邸地下室 | ブルーノ・タウト
湧雲の望楼 | 羽深隆雄
待庵 | 伝 千利休
幻魔からアンモナイト美術館へ | 石山修武
蟻鱒鳶ル|岡啓輔

05 連なる空間
『過去の構成』と『現代の構成』 | 岸田日出刃
石元泰博と桂離宮
桂離宮
House N | 藤本壮介
東京国立博物館 法隆寺宝物館 | 谷口吉生
寝殿造
モデュールと木割
住居(丹下健三自邸) | 丹下健三
フクマスベース/福増幼稚園新館 | 吉村靖孝
HouseMaker | 吉村靖孝
パワー・オブ・スケール | 斎藤精一 + ライゾマティクス・アーキテクチャー
香川県庁舎 | 丹下健三
家具のモダニズム

06 開かれた折衷
伊東忠太と日本建築
祇園閣 | 伊東忠太
第一国立銀行(三井組ハウス) | 清水喜助
宮城県会議事堂 | 久米耕造、植田 登
大礼記念京都美術館 | 前田健二郎
駒沢オリンピック公園総合運動場 体育館 管制塔 | 芦原義信
静岡県富士山世界遺産センター | 坂茂

07 集まって生きる形
旧閑谷学校
旧農林省積雪地方農村経済調査所
積雪地方農村経済調査所庁舎と雪国試験農家 | 今 和次郎
52間の縁側 | 山崎健太郎
恋する豚研究所 | アトリエ・ワン
栗源第一薪炭供給所(1K) | アトリエ・ワン.
神代雄一郎のデザイン・サーヴェイ
LT城西 | 猪熊純、成瀬友梨
ヒルサイドテラス | 槇 文彦

08 発見された日本
シカゴ万国博覧会 日本館 鳳凰殿 | 久留正道
帝国ホテル旧本館(ライト館) | フランク・ロイド・ライト
フランク・ロイド・ライトと浮世絵
シンドラー自邸(キングス・ロード・ハウス) | ルドルフ・シンドラー
笄町の自邸・事務所と旧井上房一郎邸 | アントニン・レーモンド | 井上房一郎
赤星四郎週末別荘 | アントニン・レーモンド
『アーキテクチュア・オブ・ジャパン」 | アーサー・ドレクスラー
日本家屋展 松風荘 | 吉村順三
ポカンティコヒルの家(ロックフェラー邸) | 吉村順三
ポーソン自邸 | ジョン・ポーソン
ダーティー・ハウス | デイヴィッド・アジャイ
レス・コルズ・パベヨーンズ | RCR アルキテクタス
ルーヴル・ランス | SANAA
台中国家歌劇院 | 伊東豊雄

09 共生する自然
名護市庁舎 | 象設計集団 + アトリエ・モビル
聴竹居(旧藤井厚二邸) | 藤井厚二
後山山荘 | 藤井厚二 (原設計)、前田圭介
芝棟
ラ コリーナ近江八幡 草屋根 | 藤森照信
竪穴住居の復元研究
豊島美術館 | 西沢立衛
AHouse for Oiso | 田根 剛
House & Restaurant | 石上純也
投入堂
小田原文化財団 江之浦測候所 | 杉本博司+榊田倫之
宮島弥山展望台 | 三分一博志
厳島神社
水の教会 | 安藤忠雄

Contents

Foreword
Acknowledgments
List of Projects in the Exhibition

Essay 1  Japan, World, Tradition, Modern Fujimori Terunobu
Essay 2  The Japan of a Prophetic Architecture Kurakata Shunsuke
Essay 3  Architectures of Japan Ken Tadashi Oshima
Essay 4 Possibilities of Architectural Exhibitions:
Considerations for Their Planning and Development Maeda Naotake

Insight Multiple Interpretations of the Past in Regard to Architecture and Gardens
Exploring Modern Zen and the Zen of the Middle Ages Nomura Shunichi

01 Possibilities of Wood
Why Are People So Fond of Louvers? Kiuchi Toshihiko
02 Transcendent Aesthetics
Transcendent Beauty Ohi Takahiro
03 Roofs of Tranquility
The Roof in Japanese Architectural History Unno Satoshi
04 Crafts as Architecture
The Marbling of the Art of Architecture Motohashi Jin
05 Linked Spaces
The Origins of Space Kishi Yu
06 Hybrid Architecture
The Country’s Self-Image Ichikawa Koji
07 Forms for Living Together
Design and Research of Japanese-Style Communities Ishigure Masakazu
08 Japan Discovered
Viewpoint of Travelers; the Exhibitions that have “Discovered” Japan Yamasaki Yasuhiro
09 Living with Nature
Views of Nature as Expressed in Architecture Tokuyama Hirokazu

List of Documents and Works
Book Guide compiled by Tsukamoto Jiro
Profiles of Contributors

Chronology (compiled by Kolwa Masaki Laboratory, Department of Architecture, Waseda University
Project data

List of Projects in the Exhibition

01 Possibilities of Wood
Kumimono of Byodo-in Ho-o-do (eave-supporting bracketing complex of Byodo-in Phoenix Hall)
Kigumi
KIGUMI INFINITY, Japan Pavilion, Expo Milano 2015 | Kitagawara Atsushi
Akita International University Library | Senda Mitsuru
Secret Books of Carpentry Techniques
Aizu Sazaedo (former Shoso-ji Sansodo)
Toshogu Goju-no-to (five-story pagoda)
Tokyo Skytree | NIKKEN SEKKEL
Itsukushima Shrine Otorii
Hotel Tokoen | Kikutake Kiyonori
The Main Hall of the Ancient Izumo Shrine
Timberize 200 | KOSHIHARA Lab. IIS, the University of Tokyo and team Timberize
Todai-ji Nandai-mon (the Great Southern Gate of Todai-ji)
City in the Air: Shibuya Project | Isozaki Arata
Yusuhara Wooden Bridge Museum | Kuma Kengo

02 Transcendent Aesthetics
Ise Jingu Sho-den (the Ise Grand Shrine Central Hall)
D.T. Suzuki Museum | Taniguchi Yoshio
Koho an Bosen
Atelier-Bisque Doll | Maeda Keisuke
Sagawa Art Museum Raku Kichizaemon Building | Raku
Kichizaemon (design direction) / Takenaka Corporation

03 Roots of Tranquility
Kaoku Monkyo (mirror with four buildings)
legata Haniwa (terracotta clay house figures)
Japanese Folk Houses | Ito Teiji / Futagawa Yukio
NAOSHIMA HALL | Sambuichi Hiroshi
Rakuchurakugai-zu (painted scenes in and around Kyoto)
Kasuien | Murano Togo
Kyoto Apartments (NISHINOYAMA HOUSE) | Sejima Kazuyo
SHOGIN TACT TSURUOKA (Tsuruoka Cultural Hall) | SANAA
National Gymnasium for the Tokyo Olympic Games | Tange Kenzo
Makino Museum of Plants and People | Naito Hiroshi
Nippon Budokan | Yamada Mamoru

04 Crafts as Architecture
Nissay Theatre | Murano Togo
Main Lounge, Royal Hotel / Yoshida Isoya
Toshiba IHI Pavilion, Expo ’70 Osaka Kurokawa Kisho
Japan Pavilion Expo 2000, Hannover / Ban Shigeru
LOUIS VUITTON MATSUYA GINZA | Aoki Jun
Bruno Taut’s Crafts
Basement of the former Villa Hyuga, Atami Bruno Taut
Wakigumo no Boro | Habuka Takao
Tal-an | Attributed to Sen no Rikyu
From Gen-an to the Ammonite Museum Ishiyama Osamu
Arimasuton Buiding | Oka Keisuke

05 Linked Spaces
Composition of the Past and Composition of the Present | Kishida Hideto
Ishimoto Yasuhiro and Katsura Imperial Villa
Katsura Imperial Villa
House N | Fujimoto Sosuke
The Gallery of Horyu-ji Treasures, Tokyo National Museum | Taniguchi Yoshio
Shinden-zukuri
Module and Kiwari
A House (Tange Kenzo House) | Tange Kenzo
Fukumasu Base / Fukumasu Kindergarten Annex | Yoshimura Yasutaka
HouseMaker | Yoshimura Yasutaka
Power of Scale | Saito Seiichi + Rhizomatiks Architecture
Kagawa Prefectural Government Office Tange Kenzo
Modernist Furniture in Japan

06 Hybrid Architecture
Ito Chuta and Japanese Architecture
Gion-kaku Ito Chuta
The First National Bank (The House of Mitsui) | Shimizu Kisuke
Miyagi Prefectural Parliament Building | Kume Kozo / Ueda Minoru
Kyoto Enthronement Memorial Museum of Art Maeda Kenjiro
Gymnasium and Control Tower, Komazawa Olympic Park | Ashihara Yoshinobu
Mt. Fuji World Heritage Centre, Shizuoka / Ban Shigeru

07 Forms for Living Together
Former Shizutani School
Research Institute of Agrarian Economy in Snowbound Districts, the Former Ministry of Agriculture and Forestry
Research Institute of Agrarian Economy in Snowbound
Districts Office Building and Snowbound Districts Experimental Farmhouse | Kon Wajiro
Longhouse with Engawa Yamazaki Kentaro
Koisuru-Buta Laboratory | Atelier Bow-Wow
Kurimoto Daiichi Firewood Supply Station (1K) | Atelier Bow Wow
Kojiro Yuichiro’s Design Survey | Meiji University Kojiro Yuichiro Laboratory
Design Survey in the Seto Inland Sea Area
LT Josai Inokuma Jun/Naruse Yuri
Hillside Terrace | Maki Fumihiko

08 Japan Discovered
The Ho-o-Den, World’s Columbian Exposition Japanese Pavilion Kuru Masamichi
Frank Lloyd Wright’s Imperial Hotel | Frank Lloyd Wright
Frank Lloyd Wright and Japanese Ukiyo-e Prints
Schindler House (Kings Road House) / Rudolph M. Schindler
Kogai-cho House and Studio | Antonin Raymond
The Former Inoue Fusaichiro House Antonin Raymond (Original design)/Inoue Fusaichiro
Akaboshi Shiro’s Weekend Cottage Antonin Raymond
The Architecture of Japan Arthur Drexler
Shofu-so, Japanese Exhibition House / Yoshimura Junzo
Residence in Pocantico Hills (Rockefeller House) / Yoshimura Junzo
Pawson House | John Pawson
Dirty House David Adjaye
Les Cols Pavellons RCR Arquitectes
Louvre-Lens / SANAA
The National Taichung Theater | Ito Toyo

09 Living with Nature
Nago City Government Office | Atelier ZO + Atelier Mobile
Chochikukyo Fujii Koji
Villa Ushiroyama Fujii Koji (original design) / Maeda Keisuke
Shibamune
Kusayane, La Collina Omihachiman Fujimori Terunobu
Restoration Study of Jomon Dwelling
Teshima Art Museum | Nishizawa Ryue
A House for Oiso / Tane Tsuyoshi
House & Restaurant | Ishigami Junya
Nageire-do
Enoura Observatory, Odawara Art Foundation | Sugimoto Hiroshi + Sakakida Tomoyuki
Miyajima Misen Observatory | Sambuichi Hiroshi
Itsukushima Shrine
Church on the Water | Ando Tadao

森美術館 (著)
出版社: 建築資料研究社 (2018/9/15)、出典:出版社HP

藤森照信×山口晃 日本建築集中講義

建築の魅力が詰まった1冊

対談に加え、漫画、写真、イラストが彩り添え、各章最後にはご両名へのアンケートと盛り沢山の構成となっています。難しそうな建築のお話を柔らかく面白く語ってくれてい流ので、楽しく読むことができます。

藤森 照信 (著), 山口 晃 (著)
版社: 淡交社 (2013/7/24)、出典:出版社HP

目次

第一回 法隆寺
第二回 日吉大社
第三回 旧岩崎家住宅
第四回 投入堂
第五回 徳竹居
第六回 待庵
第七回 修学院離宮
第八回 旧閑谷学校
第九回 箱木千年家
第十回 角谷
第十一回 松本城
第十二回 三渓園

補講 西本願寺

休み時間
① 山口画伯の見たかった建築 二笑亭奇譚
② はじめての藤森邸 タンポポハウス探訪

あとがき
藤森照信
山口晃

藤森 照信 (著), 山口 晃 (著)
版社: 淡交社 (2013/7/24)、出典:出版社HP

日本の建築家はなぜ世界で愛されるのか (PHP新書)

日本人建築家の活躍を活写

この本を読むことで、日本人建築家が世界中で活躍し、愛される理由を知ることができます。また、新国立競技場の設計などに日本古来の木造建築の良さのリサイクルが世界的に見直されていることがよくわかります。

五十嵐 太郎 (著)
出版社: PHP研究所 (2017/5/15)、出典:出版社HP

目次

序章 世界で高く評価されている日本の建築家
台湾における日本建築ブーム
世界における日本人建築家
プリンカー賞の連続受賞
日本を世界につないだ丹下健三
日本における建築家の系譜
建築のオリンピンクで活羅する日本人たち
日本イヤーとなった二〇一〇年のピエンナーレ
大災害をどのように受けとめるか
谷口吉生によるMoMA増改築
SAZAAによるルーブル・ラス
坂茂によるポンピドーセンターメス
本書の構成について

第一部 西洋と肩を並べた世代
第一章 アメリカで学んだモダニズム
一九二〇/三〇年代生まれの建築家(槇文堂/谷口吉生)
アメリカと世界旅行
建築家槇文彦のデビュー
飛躍する海外でのプロジェクト
谷口吉生
オーセンティンクなモダニズム

第二章 メタボリズムを世界に売り出した黒川紀章
若手時代の海外経験
西洋のなかに東洋さを見出す
「道空間」の冒険
一九七〇年代のメタボリスト
建築評論家の蜜月
「共生」を輸出する
円環の継承

第三章 磯崎新の建築マフィア
メディアのなかの機崎新
右手にホライン・左手にクック
ゴッドファーザーとの邂逅
「ヴィジョンズ オブジャパン」展
建築文化の輸出入を一手に引き受ける
ヴェネツィア・ビエンナーレへの関与
海外での実作デビューはアメリカから
造形面での新展開
よみがえるアンビルト
黒川紀章の弔い合戦
建築マフィアの夢想

付章1 アメリカにおける日本建築の受容
島国開国
万博
移民の建築
日本建築の評価
シンドラーハウス
第二次日本ブームの到来
ケース・スタディ・ハウス
アメリカで活動する日本人,吉村順三
日本建築を受容したアメリカ

第二部 海外に影響を与える世代
第四章 野武士、世界を駆ける
一九四〇年代生まれの建築家(安藤忠雄/伊東豊雄/山本理頓/高松伸)
対照的な二人の建築家
サバイバルレース
海外からの評価
野武士、欧米建築界の洗礼を浴びる
「消費の海=チケットカウンタ」説
進化するパビリオン
ガラスの魅せ方
他国の歴史と
いかに向き合うか
自然に対するアプローチ
挑戦をやめないこと
住宅作品も大人気
二つの大劇場
社会派を貫く山本理顕
海外で大構想の実現を果たした高松伸

第五章 グローバリズムの波に乗ったスターアーキテクト
一九五〇年代生まれの建築家(SANAA/坂 茂/農研吾/青木亭)
妹島和世という街整
SAZAAの始まりと新たなる地平
坂茂
新たなる構造体の挑戦
隈研吾
ガンディングされる建築家たち

付章2 アジアの植民地で活動した建築家
支配のためのビルディング・タイプ
満州国のデザイン
モダニストによる都市計画
現在:保存と再利用

第三部 国内外を意識しない世代
第六章 展覧会と教育から世界に進出する
一九六〇年代生まれの建築家(アトリエ・ワン/阿部仁史)
都市リサーチによる海外デビュー
アート作品から非施設型空間へ
東北の親分
世界的な教育者へ
ハリケーン・カトリーナから東日本大模災へ

第七章 海外に活路を見出すロストジェネレーション
一九七〇年代生まれの建築家(藤本壮介/石上純也/迫慶一郎/田根剛)
遅れてきた野武士
前衛のサラブレッド
新天地のパイオア
グローバルなユニット派

付章3 グローバル展開する大手設計組織とゼネコン
ゼネコンの戦前
戦後の誓い成長
産油国およびシンガポールの発展
世界をつなぐ
中近東および台湾における活動
日建設計の歩み
グローバル展開の本格化

後書き

巻末リスト 日本人建築家による世界各地の建築物

企画 真壁智治
編集 今井章博
装幀者 芦澤泰偉+兒崎雅淑

五十嵐 太郎 (著)
出版社: PHP研究所 (2017/5/15)、出典:出版社HP