面白くて眠れなくなる地学 (「面白くて眠れなくなる」シリーズ)

【最新 – 地学を学ぶためのおすすめ本 – 中学から大学の教養科目レベルまで】も確認する

ダイナミックな地学の話

地学に格別な関心が無くても読み物として面白いし、入門するきっかけとしても興味の原点となり得るような本です。足下の地球の内部、地球の表面、地表を覆う大気、はるかな宇宙。そこには地震、台風などの自然災害、毎日の天気など身近な内容のほか、科学者たちの大発見にともなう栄光と挫折の歴史も含まれています。

左巻 健男 (著, 編集)
出版社 : PHP研究所 (2012/12/13)、出典:出版社HP

はじめに

ぼくがこの本を書いたのにはわけがあります。

地学は面白い!!

ズバリ、このことを読者のみなさんにわかってもらいたかったからです。ぼくは、自然科学のなかで物理、化学、生物、地学のどれも同じくらい面白いと思っています。自然のすがたを探究して明らかにした人々の悲喜こもごも、その歴史、見出された概念や法則は、どれも面白みにあふれています。「ぼくの専門は、小学校・中学校・高校初級の理科教育であり、もともと中学校・高等学校の理科教師をしていました。そのときのモットーが、「家族で夕食をとるときに、その日の授業の話題で盛り上がるような楽しい授業をしよう」ということでした。

理科の授業を通して、生徒たちが、知って得をした、知って感動した、知って心がゆたかになった、考えてわくわくした……という気持ちをもってくれるといいなと思っていました。自然科学のなかでも、地学はとても幅広い内容をもつ学問です。足下の地球の内部、地球の表面、地表を覆う大気、はるかな宇宙。そこには、地震、火山、台風、豪雨などの自然災害、毎日の天気など、身近な内容も含まれています。

そんな地学ですが、残念ながら高校で学ぶ人は少ないのが現状です。一般の人々の地学についての知識は、中学校の理科レベルにとどまっているといっても過言ではないでしょう。
この本は、そんな人に向けて、地学にまつわるとっておきの内容をまとめました。地学に対して「つまらない」「地味」といった印象をもっている人にこそ、ぜひとも、ドラマチックでダイナミックな地学の魅力をお伝えしたいと思います。

例えば、カバーにあるクイズは、地球の自転速度が次第に遅くなっていることから生じる現象です。約四十六億年前、宇宙空間に広がるガスや塵が回転しながら集まり、太陽ができました。その後、太陽を中心に回転する岩石のかたまりである微惑星が衝突をくり返し、合体しながら地球が誕生します。

誕生したころの地球は、自転で一回転する時間、つまり一日は五時間くらいだったと考えられています。それが現在では二十四時間になっていますから、長い時間をかけて地球の自転速度は遅くなっているということです。今後も次第に遅くなると考えられていることから、一日の時間がもっと長くなると予測されているのです。

地学は、スケールの大きい学問です。これまでにも、先人たちが不思議いっぱい、ドラマいっぱいの世界の扉を一つひとつ開いてきました。わかってきたこともたくさんありますが、まだまだわからないこともたくさん残されています。

自然科学の驚きと喜びを大勢の人と共有できるよう、ぼくは感動する理科、心をゆたかにする理科を目指して、さらに研究していきたいと思っています。

左巻健男

左巻 健男 (著, 編集)
出版社 : PHP研究所 (2012/12/13)、出典:出版社HP

目次

はじめに

Part1
ダイナミックな地球のはなし
アトランティス伝説の真実
世界はもともと一つだった?
アイスランドは地質学的宝庫
世界一高い山はエベレストではない
ヒマラヤ山脈はまだ高くなる?
日本の火山は何タイプ?
火山を愛した郵便局長
化石になるのも楽じゃない
地球は大きな磁石なの?
地球の磁極は逆転している?
大量絶滅はどうして起こったか?
スノーボールアース仮説の衝撃

Part2
知ると楽しい気象のはなし
お風呂の水を抜くと渦はどっち巻き?
台風はなぜ八月と九月に多い?
夕焼けがきれいなら明日は晴れる?
ジェット気流が運んだ秘密兵器。
山の頂上でお菓子の袋がふくらむ理由
高いところが寒いのはなぜ?
夏にひょうが降るふしぎ
冬、新幹線が関ヶ原付近で徐行するわけ

Part3
やっぱりふしぎな宇宙のはなし
地球が宇宙の中心だった?ガリレオが望遠鏡で見た宇宙
宇宙の誕生と元素の合成
地球と金星の運命を分けたもの
月は地球のきょうだいだった?
流れ星を確実に見る秘訣
太陽は永遠に燃え続けるの?
地球に住めなくなったら、どこに移住する?

おわりに
参考文

本文デザイン&イラスト:宇田川由美子

左巻 健男 (著, 編集)
出版社 : PHP研究所 (2012/12/13)、出典:出版社HP