日本型ロジスティクス4.0-サービス多様化、物流費上昇、人手不足を一挙解決-

日本型ロジスティクス

全目次 - 日本型ロジスティクス4.0

はじめに

第1章 ロジスティクスの現状と課題
1 そもそもロジスティクスとは何を指すのか?
その進化の過程からみえるもの
2 喫緊の課題である人手不足
3 現場にはびこる属人化が障害となる
4 広がる物流格差が障壁になる
5 日本特有のロジスティクスを考える

第2章 ロジスティクス4.0とはいったい何なのか?
1 ロジスティクス4.0とは何か
2 AI・IoT、改革を実現する技術の発展
3 ロジスティクス4.0で実現される2つの標準化
4 ロジスティクス4.0で実現される省人化
5 ロジスティクスを取り巻く環境の変化
COLUMN 物流は真心を込めたサービスだ

第3章 現在=ロジスティクス3.Xの姿とは
1 ロジスティクス4.0に向けて歩み始めた企業
2 事例① 先進的なロジスティクスを構築するeコマース
3 事例② 物流のシェアリング実現に挑むプラットフォーマー
4 事例③ 自律する物流センターを目指す老舗マテハンメーカー
5 現状でのロジスティクス3.Xの実際
COLUMN 物流はモチベーションが大切だ

第4章 ロジスティクス4.0への取り組みと壁
1 ロジスティクス4.0に向けたアプローチ
2 現在の標準化の実態とロジスティクス4.0の標準化
3 標準化の実現に向けた課題と6つの取り組み
4 現場における省人化の実態
5 省人化の実現に向けた課題と3つの取り組み

第5章 ロジスティクス4.0の今後の展開
1 ロジスティクス4.0以降の世界と物流
2 ロジスティクス4.0の先で生まれるロジスティクスサービス
3 すべては日本型ロジスティクス4.0から
COLUMN 物流マンは現場感を忘れずに

引用・出典一覧
監修者略歴・著者略歴

 

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本書は、株式会社クニエでロジスティクスソリューションの責任者を務める前田賢二氏による監修で、同社のロジスティクスグループのメンバーらによって著されたものですが、少子高齢化による影響をまともに受けてしまっている物流の問題に警鐘を鳴らし、それを解決するための方法を提起することを目的としています。

㈱クニエ ロジスティクスグループ (著), 前田 賢二 (監修)
日刊工業新聞社 (2019/1/29)、出典:出版社HP

 

第1章では、調達先から生産拠点、生産拠点から消費地までを対象とした「マネジメント概念・技法」であるロジスティクスの現状と課題について述べられています。まず、現在のロジスティクスは生産・物流・販売の情報がオンラインで繋がり、各社が競い合って企業や消費者にとって利便性の高い環境を提供している第3世代に発展していることなどが述べられます。問題としては現代日本社会の人手不足、ある特定の作業が特定の人にしかできない状況である属人化の弊害、物流強者が物流インフラを握ることによって生じる物流格差などが挙げられ、最後の節では、「日本型ロジスティクス4.0」におけるAIやIoTといった最新技術の活用でこれらの課題を突破できる可能性について言及されます。

第2章では日本型ロジスティクス4.0が、非定型業務や突発業務に対応するために勘や経験を基に現場で様々な創意工夫を行なって進化を遂げてきたものであることがまず説明され、この利点を再認識した上でAI・IoTを活用することが日本の強みを活かす改革であると述べられます。本章ではロジスティクス4.0によって物流インフラと業務の標準化や、省人化が実現されること、また産業においても、物流サービス提供者のボーダーレス化や企業・業界の垣根を超えた物資資源の共有化が可能になるという変化が起こるという説明がされています。

第3章は、このロジスティクス4.0を目指している企業について紹介することで、ロジスティクス4.0に向かうロジスティクス3.Xの現代を見つめる内容になっています。本章ではその企業として、MonotaROやsouco、村田機械などの株式会社が挙げられており、いずれも様々な企業努力がうかがえますが、「AI・IoTを活用し省人化・標準化を実現するロジスティクス4.0」までにはまだ遠いということが述べられています。

第4章ではロジスティクス4.0のあるべき姿や、この実現に立ちはだかる壁や課題を明らかにし、打開に向けて企業がすべきことについて述べられます。まず、ロジスティクス4.0における標準化によって、AIによる精度の高い需要予測が可能になることや、この標準化により倉庫ではトレーサビリティーの向上、属人化の解消、シェアリングによる資産の有効活用が実現できるということが述べられます。そしてこの標準化の実現に向けた課題や取り組みとしては、その他にも情報通信テクノロジーの活用や物流情報のIT化、人材の確保などが挙げられます。

次に、作業人員の不足や高齢化といった問題を解決する省人化について述べられますが、かつては人の経験や勘、介在を要していた作業も、スマートロジスティクスの実現により、AIや自動運転、ドローンなどが取って代わるとあります。この省人化の実現に向けた課題と取り組みとして、自動化機器の導入や輸送の自動化、AIやIoTに向けての設備投資などが挙げられますが、いずれもリスクが想定されるものであるため、自社の業務や状況についてしっかりと理解した上で取り組む必要があります。

第5章では、ロジスティクス4.0以降、数十年後の将来における世の中に、どのような技術やサービスが望まれるのかを、「経済」「エネルギー」「気候」「人口」「技術」の観点で想定するという内容になっています。まず「経済」の観点では、日本はGDP下降に伴って、大衆的ではなく個人のニーズに合わせた商品やサービスの需要が高まるとされ、「エネルギー」においては、エネルギー不足とその削減から、生産拠点や物流拠点が消費者に近いところに分散化されるという予想が述べられています。

「気候」の観点では、温暖化による異常気象や、それに伴う物流の需要変動の正確な予測が必要不可欠となり、「人口」においては、人口が激増する地域では物流インフラも集中する一方で、人口が減少する日本のような国では、物流ニーズは量よりも質に変わるため、物流キャパシティやサービスの一部が不要になると予想されています。「技術」の観点では、加速的に進む技術革新に伴って、より高度なエネルギー効率が求められるだろうと述べられています。本章では他にも、次に実現化されていくであろうロジスティクスサービスについての紹介もなされています。

本書は、物流企業のサービス・コスト・品質の観点で最も良い状態を目指すのに重要な日本特化のロジスティクスを目指すために何が必要であるかを詳細に述べており、また、データからの今後の予測にも説得力があるため、物流における現在から今後の見通しや指針を立てるのに、非常に参考になる内容であると言えます。

㈱クニエ ロジスティクスグループ (著), 前田 賢二 (監修)
日刊工業新聞社 (2019/1/29)、出典:出版社HP

はじめに

第1章 ロジスティクスの現状と課題
1 そもそもロジスティクスとは何を指すのか?
その進化の過程からみえるもの
2 喫緊の課題である人手不足
3 現場にはびこる属人化が障害となる
4 広がる物流格差が障壁になる
5 日本特有のロジスティクスを考える

第2章 ロジスティクス4.0とはいったい何なのか?
1 ロジスティクス4.0とは何か
2 AI・IoT、改革を実現する技術の発展
3 ロジスティクス4.0で実現される2つの標準化
4 ロジスティクス4.0で実現される省人化
5 ロジスティクスを取り巻く環境の変化
COLUMN 物流は真心を込めたサービスだ

第3章 現在=ロジスティクス3.Xの姿とは
1 ロジスティクス4.0に向けて歩み始めた企業
2 事例① 先進的なロジスティクスを構築するeコマース
3 事例② 物流のシェアリング実現に挑むプラットフォーマー
4 事例③ 自律する物流センターを目指す老舗マテハンメーカー
5 現状でのロジスティクス3.Xの実際
COLUMN 物流はモチベーションが大切だ

第4章 ロジスティクス4.0への取り組みと壁
1 ロジスティクス4.0に向けたアプローチ
2 現在の標準化の実態とロジスティクス4.0の標準化
3 標準化の実現に向けた課題と6つの取り組み
4 現場における省人化の実態
5 省人化の実現に向けた課題と3つの取り組み

第5章 ロジスティクス4.0の今後の展開
1 ロジスティクス4.0以降の世界と物流
2 ロジスティクス4.0の先で生まれるロジスティクスサービス
3 すべては日本型ロジスティクス4.0から
COLUMN 物流マンは現場感を忘れずに

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