CFOの履歴書

【最新 – CFOについて学ぶためのおすすめ本 – キャリアを目指す基礎知識から実務まで】も確認する

CFOとは何者か

この本は、CFOの役割や必要なスキルについて書かれています。最近よく耳にするようになったCFOという仕事ですが、本書を読むことで、その仕事の内容について理解を深めることができます。後半では、CFOの経験がある方にインタビューし、CFOの魅力や選択肢としてどうか、などを知るきっかけになるでしょう。

大塚寿昭 (編集)
出版社 : 中央経済社 (2019/7/6)、出典:出版社HP

はじめに

「CFOの履歴書」というタイトルのとおり,本書には難しいファイナンス理論は書かれていません。純粋に理屈を知りたい人には不向きな本です。
本書は「CPOって何だろうという人」,「ファイナンス関係の業務をしている人」,「明確にCFOを目指している人」,「現在CFOをしているが自信が持てない人」の羅針盤になるべく執筆しています。

本書の前半では多種多様なステージにある企業の中でCFOにどのような役割が期待され,その役割を達成するためにどんなスキルが必要なのかをわかりやすく体系化しています。
また後半の部分はCFOの経験を持つ10名の生の声を聴いてもらいます。そこで語られる言葉から皆様はCFOへの道の多様性,さらなるCFOの魅力を知ることになるでしょう。
これまでCFOについて多くの書籍を目にしてきましたが,その本の中に登場するCFOは世界を代表する雲の上のスーパーCFOばかりです。しかし,本書に登場するCFOは皆様の身近にいていつでも声を掛けられる存在です。だからお手本になります。

また,本書に登場する10名は昔からある日本を代表する大企業のCEOではなく、ベンチャー企業からマザーズ上場,そして本則の東証一部に上り詰めた企業のCFOが大半です。
そして、現在もその会社で活躍している人もいれば,独立して社長業をしている人もいます。また大学教授をしている人もいます。さまざまなキャリアを歩んでいることに皆様も驚かれるでしょう。

組織はリーダー次第で成長もすれば衰退もします。私が以前勤めていた会社は、2002年に民事再生法の申立てを行い消滅しました。それから遡ること1990年前後,会社は何度か外貨建転換社債を発行して400億円を調達,その資金を本社用地購入,新規事業投資,流し,破綻時は逆に400億円の負債を抱えていました。

歴代の管理本部長はその時々において,トップにどのように意見し行動したのか、もし優れたCFOがその場にいたら結果は変わっていたのではないだろうか。
今回登場する10名のCFOの1人でも,その場に居合わせたら、違った結果になっていたかもしれません。

最近はトランプ政権のアメリカンファーストによる過度な保護主義と中国の貿易戦争、そして中国の海洋進出,軍事力増強,一帯一路戦略の経済的支探に隠れた自由,人権を無視する価値観の脅威,北朝鮮問題,イギリスのEU離脱の混乱等,世界はこれまでにない時代に突入しています。

「大きな変化の中でCFOにもファイナンシャルスキル等を高める努力以上に単なるマネージャー的な動きから、リーダーとして事業を創出するCFOが求められています。
また近年,ベンチャー企業の大型調達が目立つようになり,それに呼号してCFOのバックグラウンドも投資銀行出身の若手の採用が目立ってきています。この状態が継続するのか見通せませんが,経済環境の変化がCFOの役割に変化を与えているのは事実です。
そして、大きな環境変化のうねりは既存の経営管理の仕組みでは対応できもっと優れた経営管理体制が発明されるかもしれません。「しかし、現時点で最も優れた経営管理体制におけるCFOという職の魅この本を通して実感していただければ執筆者全員の喜びです。「私はこれまでCFOの肩書をもつ2,000人ほどの方々と出会いその人生をきました。

CFOの役割を理解していない人,肩書はCEOですが何をしていいのからない人,失敗して落ち込んだ人,会社の成功を自分の手柄だと勘違いしている人、一方で見事な成功を収めている人,会うたびにスキルも人間的魅力を増している人,そういう人たちが転職支援や相談を求めて弊社を訪れます。

私が本書を人間的魅力にあふれたCFOと一緒に書いた目的は,あなたの目の前にいる等身大のCFOがどのようにしてCFOになり,どのような悩みを抱えて日々悪戦苦闘しているのか,そして,その悩みや失敗から何を学んでいるのか、その現実を知ることで、CFO職の魅力やこれからCFOを目指す人に希望を、そして困難な局面を迎えているCFOに少しでも勇気を与えたいと願って「CFOの履歴書」を共同執筆(10名のCFO)しました。

したがいまして、本書を手に取って読んでいる読者の皆様のキャリア形成。スキルアップのヒントになるものと固く信じています。
本書は私と10名のCFOの共同執筆ですが,10名の方々は忙しい合間を縫って執筆してくれました。同時に本書執筆の目的に賛同して最後まで真摯にお付き合いしていただいた中央経済社の奥田真史氏にも感謝申し上げます。

2019年6月
大塚寿昭

大塚寿昭 (編集)
出版社 : 中央経済社 (2019/7/6)、出典:出版社HP

CONTENTS—CFOの履歴書—

はじめに

第1章 CFOになるために最低限知っておきたい基礎知識
1 CFOの誕生―激動の30年に何が起こったのか一
・バブル崩壊と金融機関の破綻
・投資ファンドの誕生
・日本型経営システムの限界と投資家重視への転換
・CFOの誕生とこの30年の出来事

2 経営システムの変化一執行役員制度の導入
・日本型経営システム
・アメリカ型経営システム
・CEO,COO,CFOの関係性
CFOの一言:CEOとの関係性について

3 CFOとは何なのかーその役割について
・CFOとは
・CFOの管掌部門
・CFOの管掌部門の業務内容
・CFOの役割
CFOの一言:CFOの役割について
・ROEについて

4 CFOのスキル一広い責任領域のスキルをどう身につけるのか
・ハードスキルとソフトスキル
・ハードスキル
①経理スキル
②財務スキル
③経営企画スキル
④人事スキル
・ソフトスキル
①リーダーシップ,マネジメント力,コミュニケーションカ
②英語力
・マネジメントとリーダーシップの違いについて

5 CFOへのステップ一具体的な事例を交えて
・多様化するCFOへのステップ
・具体的なキャリアプラン
①まずは財務部門へ
②次は経理部門へ
③ベンチャー企業で経理スキルを
④経営計画スキルのためにコンサルティング会社へ
⑤ベンチャーCFOへ挑戦
⑥バイアウトファンドの投資先CFO
・キャリアプランの一例

6 CFOの成長ステージ別スキルセット
・ベンチャーCFOのスキルセット
①月次決算に始まる年次決算の早期化と精度の向上
②予算制度の構築や管理会計の充実
③投資家を納得させる事業計画書の作成と資金調達
④採用業務,労務管理、人事制度,総務業務
⑤社長との関係構築
CFOの一言:CFOに必要なスキル
・大企業CFOのスキルセット
①IR
②リスク管理
③ガバナンス(グローバル)体制の再構築
④フリー・キャッシュ・フローの最大化
・外資系企業CFOのスキルセット
①年度予算の必達
②業績管理
③CEOのビジネスパートナー
・中堅(成長)企業CFOのスキルセット
①組織の再構築
②成長戦略の構築と実行
③IR
・成長ステージ別CFOのハードスキルとソフトスキル

7 ベンチャー企業とは
・すべての企業の始まりはベンチャー
・ベンチャー企業の分類
・起業家発ベンチャー
・会社発ベンチャー
・大学発ベンチャー
・ベンチャー企業の分類,具体的社名
・大学発ベンチャー企業の大学別累計起業数
・巨額な資金調達をしたベンチャー企業とCFOの役割

8 ベンチャーキャピタルについて
・ベンチャーキャピタルの分類
・VCの投資基準
・VCからの出資のメリットやデメリット
①メリット
②デメリット

9 バイアウトファンドについて
・バイアウトファンドの役割
・バイアウトファンドの取引別分類
①LBO
②MBO,MBI
③EBO,MEBO
④ホワイトナイト投資
⑤リキャピタリゼーション
・バイアウトファンドのタイプ別分類
①カーブアウト(子会社・事業部門売却)
②企業再生
③事業承継
④資本再構築
⑤公開企業の非公開化
・主なバイアウトファンド一覧
・バイアウトファンドがイメージしているCFOの要件
・バイアウトファンドが求めた具体的なスキル要件
・タイプ別に必要とされる要件

10 CFOの報酬
・役員報酬の動向
・CFOのステージ別報酬

11 CFOへの挑戦
・各執筆者の入社時の成長ステージ
・CFOの一言:CFOとは

12 キャリアプランを報酬グラフから見ると

第2章 10人のCFOの履歴書
・石橋善一郎氏/元日本トイザらス株式会社代表取締役副社長兼CFO
・太田博之氏/株式会社イントラスト取締役執行役員
・大矢俊樹氏/グリー株式会社取締役上級執行役員コーポレート統括
・佐々木義孝氏/元株式会社ショーケース・ティービー取締役CFO
・鈴木裕之氏/株式会社ミサワ取締役管理本部長
・薛仁興氏(元GMOアドパートナーズ株式会社専務取締役経営管理本部長
・藤田利之氏/株式会社レアジョブ取締役副社長
・安川徳昭氏/元株式会社ヒト・コミュニケーションズ取締役管理本部長
・吉田知史氏/株式会社ジオコード専務取締役CFO
・渡邊淳氏(元株式会社エラン取締役CFO

参考文献
あとがき

大塚寿昭 (編集)
出版社 : 中央経済社 (2019/7/6)、出典:出版社HP