史上最強図解 これならわかる!ベイズ統計学

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ベイズ統計学の入門書

本書は、一般的にとっつきにくいとされるベイズ検定を、初めて学ぶ方が理解できるように一から解説しています。図が多く、視覚的に理解できるようになっています。マンガで説明されている部分もあるため、とりあえず概要を掴みたい方でも入りやすい構成となっています。

涌井 良幸 (著), 涌井 貞美 (著)
出版社 : ナツメ社 (2012/2/21)、出典:出版社HP

はじめに

近年、データ解析や統計学の世界で、「ベイズ確率論」や「ベイズ統計学」などと、ベイズの名を冠した言葉が頻繁に用いられています。更には、経済学や心理学、人工知能等、幅広い分野で、「ベイズ」という言葉をよく耳にするようになりました。

さて、このベイズの名を冠した理論とはどんな理論なのでしょうか。これは18世紀のイギリス人牧師トーマス・ベイズによって発見された数学の定理「ベイズの定理」を出発点とした確率・統計論です。200年以上前に発見された定理がいま脚光を浴び、活用され始めたのです。

ベイズ理論はデータによって「もとの確率」がどう変化するかを与える理論です。もとの確率を様々に読み替えることで幅広い分野で活用されます。例えば、「もとの確率」を「信念」と読み替えれば、入手したデータがその「信念」にどう影響したかの分析を可能にします。この性質から、経済学や心理学では人間の行動分析に応用されます。

また、データがもとの確率を変化させることを「原因と結果」と捉えることができます。すると、ベイズ理論はデータから原因を探る理論として利用できます。ペイズ理論が算出した確率が「原因の確率」と呼ばれる所以ですが、この性質は生産管理やシステムトラブルの分析など、複雑な確率現象の分析に応用されます。

さて、ベイズ理論では、データを得る前の「もとの確率」の設定に裁量が入ります。そこに常識や経験を取り入れられるのです。これまでの確率・統計論では、このような人間味のあるデータ分析は困難でした。この性質から、ベイズ理論は人工知能等にも応用されています。
このように近年人気を集めるベイズ理論ですが、これまでの統計論に親しんだ人には、敷居が高い理論です。発想が異なるからです。また、学ぶにしても入門から記述された文献はわずかなのが現状です。

そこで、本書は初めてベイズ理論に触れる人を対象に、一からベイズ理論を解説しました。できるだけ数学や統計用語を用いず、イラストと日本語の解説でベイズ理論のエッセンスを紹介します。ベイズ理論は、ある意味で単純で、発想さえ理解されれば応用は容易です。本書はその最初の部分に焦点を当て、解説します。

本書がベイズ理論の発展に少しでも貢献できることを希望します。最後になりましたが、本書を作成するに際しましてナツメ出版企画(株)の伊藤雄三氏に御指導を仰ぎました。この場をお借りして感謝の意を表させて頂きます。

2012年 早春 著者

涌井 良幸 (著), 涌井 貞美 (著)
出版社 : ナツメ社 (2012/2/21)、出典:出版社HP

CONTENTS

第1章 ベイズ理論の考え方
§1 1つの公式から始まるベイズ理論
§2 21世紀に入って花開いたベイズ理論
§3 ベイズ理論の考え方
§4 ベイズ理論の計算法のしくみ
§5 従来の統計学とベイズ統計学

第2章 ベイズ理論のための確率入門
§1 ベイズ理論のための確率の基本
§2 ベイズ理論の出発点となる条件付き確率
§3 条件付き確率の公式化
§4 確率の乗法定理
§5 事象の独立
§6 確率変数と確率分布
§7 平均値と分散
2章のまとめ

第3章 ベイズの定理の基本
§1 ベイズ理論の出発点となる「ベイズの定理」
§2 ベイズの定理の使い方を確認
§3 ベイズの定理に味付けを加えた「ペイズの基本公式」
§4 ベイズ理論をイメージさせる図の表現法
§5 応用の主役となる「ベイズの展開公式」
§6 「ベイズの展開公式」の意味をホテルのアナロジーで理解
§7 例題を用いた「ベイズの展開公式」導出
§8 ベイズの展開公式を使ってみよう(I)〜天気予報
§9 ベイズの展開公式を使ってみよう(II)〜壺と玉の問題
§10 ベイズの展開公式を使ってみよう(II)〜理由不十分の原則
§11 ベイズの展開公式を使ってみよう(IV)〜ベイズ更新
§12 「ベイズ更新」による逐次合理性
3章のまとめ

第4章 ベイズ理論の応用
§1 事前確率のパワーを体感する
§2 迷惑メールを簡単に判別するナイーブベイズフィルター
§3 確率分布をベイズ推定
§4 MAP推定を利用したベイズ推定法
§5 損失表が与えられたときのベイズ意思決定
§6 ベイジアンネットワーク入門
§7 ベイジアンネットワークの計算
4章のまとめ

第5章 ベイズ統計学のための準備
§1 確率変数と確率分布は統計モデルの柱
§2 ベイズ理論で多用される有名な確率分布(I)〜一様分布
§3 ベイズ理論で多用される有名な確率分布(II)〜ベルヌーイ分布
§4 ベイズ理論で多用される有名な確率分布(Ⅲ)〜正規分布
§5 ベイズ理論で多用される有名な確率分布(IV)〜ベータ分布
§6 確率分布の母数
5章のまとめ

第6章 ベイズ統計学入門
§1 ベイズ統計学のための基本知識のまとめ
§2 ベイズ統計学における母数の扱い
§3 連続的な値を取る母数のためのベイズ統計学
§4 ベイズ統計学の基本公式の意味と使い方
§5 ベイズ統計学の有名な問題(I)〜データがベルヌーイ分布に従うとき
§6 ベイズ統計学の有名な問題(II)〜データが正規分布に従うとき
6章のまとめ

付録A 規格化の条件
付録B 最尤推定法
用語解説
索引

涌井 良幸 (著), 涌井 貞美 (著)
出版社 : ナツメ社 (2012/2/21)、出典:出版社HP

利用上の注意

●掲載の資料は仮想のものです。
●厳密性よりも分かりやすさを目標としているので、できるだけ日常的な言葉で解説をしています。
●ベイズ統計学では微分積分が多用されますが、本書はその知識を仮定しません。ただし、表記上、微分・積分の記号を含む式が示されている箇所があります。不得手な読者は軽く読み流してください。
●見やすさを優先しているため、数値の扱いにおいて、有効桁等多少の不具合がありますが御容赦ください。
●本書でいうExcelは、マイクロソフト社の表計算ソフトウェアExcelのことです。また、グラフ等もそのExcelで作成しています。
●コインやサイコロで確率現象を説明する箇所がありますが、注記のない限り、これらは理想的に作られているものとします。また、抽出操作は当然無作為であることを前提としています。

涌井 良幸 (著), 涌井 貞美 (著)
出版社 : ナツメ社 (2012/2/21)、出典:出版社HP