【最新】大和言葉について学ぶためのおすすめ本 – 思いやりと品格のある言葉遣い

大和言葉の使い方は?ことばを変えるどうなる?

大和言葉は、日本で生まれた日本古来の言葉を意味します。主に和歌や平安時代に使われた言葉ですが、あたたかく柔らかみのある印象があります。自身の気持ちを表現あるいは品のある会話をする上で適している言葉使いでもあります。そんな日々の生活を豊かにできる大和言葉を学ぶためにおすすめの本をご紹介します。

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出典:出版社HP

さりげなく思いやりが伝わる大和言葉 常識として知っておきたい美しい日本語

人間関係をなめらかにする

言葉は、それを使ってきた人の歴史を背負っています。大和言葉のセンスを磨くことは簡単ではありませんが、身につければ必ず人生は豊かになります。“常に新しい言葉を学ぼうとする人は積極的な人生を歩むことができる“と謳う著者による、大人の学び直しのための1冊です。

幻冬舍
さりげなく思いやりが伝わる大和言葉
常識として知っておきたい美しい日本語
上野 誠

はじめに

大和言葉を大切にする
言葉というものは、それを使ってきた人の歴史を背負っているものです。一つは、言葉を使う個人の生活の歴史を背負っています。二十五歳の私と五十歳の私では、生活も経験も違うはずなのです。もう一つは、自分が生まれる前に日本語を使っていた人々の生活の歴史を背負っています。
言葉は、常に歴史的存在なのです。ときに外国の文化に学んで、私たちの祖先は外国の言葉を取り入れてきました。だから、日本語を「大和言葉」と「外来語」の二つに分けることもできます。

▷大和言葉
…もともとあった日本語
▷外来語
…中国から来た言葉
…ポルトガルから来た言葉
…ドイツから来た言葉
…フランスから来た言葉
…英米から来た言葉

私はよく学生に言います。「紙切れをポルトガル語では『カルタ」、ドイツ語では「カルテ」、英語では「カード」という。しかし、ポルトガルから来たカード遊びで遊んだ人々は、その紙切れを『カルタ」と呼び、ドイツで医学を学んだ人々は診療記録紙を『カルテ』と呼んだわけだよね。私たちはみごとにこれらの言葉を使い分けているではありませんか?」。私たちは、外国の言葉を学ぶだけでなく、日本語の中に定着させようと努力してきました。

カルタで遊ぶ
カルテに記す
カードを取る

こんなふうに、助詞と動詞を使って、日本語の中に取り入れてきたのです。だから、何がなんでも、日本人なら大和言葉を使わなくてはいけないというのは、言葉というものの性質をよく知らない人の言い分です。
ではなぜ、今、私は、大和言葉の本を書こうとしているのでしょうか?
それは、大和言葉のセンスをみがくことが、現代においては、たいそう難しいからです。そこで、なるべく大和言葉のもっている微妙な言い回し(ニュアンス)をうまく使いこなせるように、センスをみがくことができるようになれたらよいなぁ、と思いつつ、本書を企画しました。
だからといって、外来語を排除するようなことはしません。大和言葉と外来語とを区別することは大切かもしれませんが、区別したからといって、言葉の使い方がうまくなるなどとは思わないからです。言葉は、そんなに単純なものではありません。大切なことは、区別することや言い換えをすることではないのです。
こんな話をしましょう。
この三日間に食べた物を箇条書きにしてみてください。おそらく、和食も、中華料理も、西洋料理もあるでしょう。その和食も、みそとしょうゆは中国伝来です。カレーを食べた人がいるかもしれませんが、日本のカレーは日本にしかありません。日本のカレーは、イギリスの海軍で百五十年前に作られていたカレー風味のシチューを、ご飯にかけて食べているのですから。それを、イギリスに留学した日本の海軍軍人が日本で広めたのです。あえていえば、カレーシチューかけご飯。はたしてこれらは、何料理でしょうか?また、日本の中華料理は、中国の中華料理とは違います。和食になった中華料理です。
つまり、私たちの祖先は、外来のものを自分たちのものに作り替えて、自分たちの生活を豊かにしてきたのです。語源を知ることもときには大切ですが、私たちは、すでに大和言葉に取り入れられた外来語を使って、生活しているのです。

日本文化のすばらしさ
日本文化のすばらしさは、新しいものを作り出す点にはありません。新しいものをどんどんと取り入れて、自分のものにして使いこなす点にあるのです。私たちの先輩は、「怠業」という漢語を取り入れて、日本語にして使いました。

怠業する。
漢語に「する」をつけて日本語の動詞にしてしまったのです。「怠業する」とは、さぼることですね。この「さぼる」は、フランス語のsabotageから来ています。こちらも「する」をつけて作られた日本語の動詞です。ドイツ語のアルバイトしかり。
こう考えてゆくと、大和言葉かどうかということにこだわっても、得るものは少ないように思います。
取り入れて、自分のものにして、使いこなす。ここに日本語、日本文化のすばらしさもあるのです。だとしたら、目指すべきことは、一つしかありません。
それぞれの状況に合った言葉を選んで、うまく使いこなせるように、常々心がけておく。センスをみがく。今日の外出には、何を着てゆこうかという気持ちで。
しかも、失敗を恐れず、怯まずにです。一人ひとりが、言葉の肌触りのようなものを、自分でつかんでセンスをみがいてゆくしかありません。私は、そういう言葉の肌触りをつかむ作業のサポートをしたいのです。
最後に、私が考えた迷言を。

常に新しい言葉を学ぼうとする人は、積極的な人生を歩むことができる!

目次

◆はじめに

第一章 感謝の気持ちをさりげなく伝える
◆ちょうだいする◆もったいない◆お招き◆おいでいただく◆一入◆胸のつかえ◆ほめちぎる◆ねぎらう◆お骨折り◆この上もない◆いたみいる◆重ね重ね◆かねがね◆足を向ける

第二章 場をなごませるひと言を使いこなす
◆にぎにぎしく◆打ち上げ◆上を下への◆てんやわんや◆厄落とし◆合いの手を入れる◆おっつけ◆ほどよい◆のっけから◆ほどほどに◆頃合いをみる◆宴たけなわではございますが◆おひらき◆風ぶれ◆なみいる◆手締め◆手を打つ◆左うちわ◆末広がり◆場違い

第三章 やわらかな物言いで人づきあいを円滑に
◆ごめんください◆おかまいなく◆ようこそ◆ごぶさた◆よもやま話◆よろしく◆お見知りおき◆遠回し◆やんわり◆向こう三軒両隣◆言わずと知れた◆あからさま◆ぞんざい◆物言い◆言いかねる◆角が立つ◆受け流す◆いさめる◆とりなす◆言葉を飾る◆含むところ/含みをもたせる◆用立てる◆水臭い◆ややもすれば◆いまひとつ◆目に余る◆ことほどさように◆いささか◆しかるべき筋

第四章 心の機微を伝える言葉がある
◆うららか◆なごむ◆虫が好く/虫が好かない◆気の置けない◆くよくよ◆もの悲しい◆思いのたけ◆ときめき◆うろたえる◆かえすがえす◆胸にせまる◆せつない◆腑に落ちる◆脚をなでおろす◆やるせない◆泣きの涙◆目頭が熱くなる◆鼻白む◆目をむく◆ぎくしゃく◆うっとうしい◆こともあろうに◆息をのむ◆いきりたつ◆上の空

第五章 繊細で微妙な「今」をありありと表す
◆今しがた◆そこはかとなく◆たゆたう◆ほのか◆ゆゆしき◆えてして◆よもや◆さんざめく◆暮れなずむ◆あながち◆あまつさえ◆あたかも◆いたわしい◆いじらしい◆こよなく◆うってつけ◆あまねく◆にわか◆しめやかに◆おもむろに◆したり頭◆なまじ◆けたたましい

第六章 控えめな態度に、譲る気持ちを込めて
◆身に余る/身にすぎる◆さしでがましい◆つつしむ◆あやかる◆いたわる◆案ずる◆手向ける◆草深い◆花をもたせる◆付け焼き刃◆ひたむき◆頭が下がる◆恐れ入る◆ありあわせ◆ささやか◆つましい◆あつかましい◆口はばったい◆恥じらう

第七章 少し意識するだけで品性が保たれる
◆よそいき◆おめかし◆ふるまい◆たしなみ◆はしたない◆ものごし◆たたずまい◆匂い立つ◆しなやか◆妙なる◆ふぜい◆人となり◆がさつ◆あられもない◆あけすけ◆みっともない◆さもしい◆しゃしゃりでる◆奥ゆかしい◆召す/お召し物◆身ぎれい◆苦み走る◆気立て◆やんごとない◆ならわし◆しきたり

第八章 職場では立場や関わりを大切にしたい
◆そつがない◆心配り/気配り◆気働き◆打てばひびく◆顔を立てる◆あたらずさわらず◆筋が立たない◆懐に飛び込む◆筋がいい◆さじを投げる◆いそしむ◆さすが◆たしなめる◆生え抜き◆下にもおかぬ◆様になる◆押し出し◆道を譲る

第九章 食事をよりおいしく、楽しむために
◆まろやか◆舌鼓◆いただきます◆ごちそうさま◆煮炊き◆仕出し◆折敷◆お口よごし◆おみおつけ◆箸やすめ◆おもたせ◆お茶請け◆口ざみしい◆黒文字◆食べつける/飲みつける◆くだを巻く◆くゆらせる◆雪の上げ下げ

第十章 義理と人情を立ててじょうずに断る
◆あいにく◆せっかくですが◆白紙に戻す◆仕切り直す◆よんどころない事情◆事と次第によっては◆いかんともしがたい◆心ならずも◆体よく◆手だて◆手を尽くす◆ままならず◆気が咎める◆袂を分かつ◆むげに◆けじめをつける◆見込み違い◆いずれ

第十一章 奥行きのある人生も大和言葉から
◆来し方行く末◆身の振り方◆浮き沈み浮かぶ瀬◆明け暮れ◆朝な夕な◆うつろう◆(人間が)練れる◆(酸いも甘いも)かみわける◆渡りに舟◆ちまた◆虫の知らせ◆いまわの際◆極楽とんぼ◆なりわい◆行きがかり◆まがりなりにも◆趣◆永久
◆追い書き
◆さくいん
装幀 石川直美(カメガイデザインオフィス)
イラスト 石橋富士子
DTP 美創
編集協力 オフィス201

第一章 感謝の気持ちをさりげなく伝える

覚えておきたい 美しい大和言葉 (だいわ文庫)

品格を身につける

日本の風土と暮らしから生まれた大和言葉には、奥ゆかしさや独特のやわらかさがあります。そんな日本の言葉を上手に使いこなすことで、自身の言葉遣いの格を上げることができます。心に色彩と潤いを与えてくれるような大和言葉が満載です。

日本の言葉研究所 (著)
出版社 : 大和書房 (2016/1/9)、出典:出版社HP

表紙デザイン 三木俊一(文京図案室)
本作品を電子書籍版に収録するにあたり、一部の漢字が簡略体で表記されている場合があります。
この本は縦書きでレイアウトされています。
また、ご覧になる機種により、表示の差が認められることがあります。

はじめに

大和言葉は、日本の風土と日本人の暮らしが言霊となったもの
現在、私たちが慣れ親しんでいる日本語は、大和言葉、漢語、外来語と大きく三つに分けられます。このうち、古来日本に伝えられてきたのが大和言葉です。ある意味では純粋な日本語といえるでしょう。
大和言葉は美しく、優雅で、洒落た言葉の宝庫です。語感や響きを目と耳で楽しめます。さらに、肌感覚で意味や内容が理解でき、思いも伝わりやすいという美点があります。これは、千年以上にわたる日本人のDNAが込められているからです。日々の暮らしを振り返ると、私たちの使っている言葉はごく限られたものです。ボキャブラリーがやせているといわれますが、それで事足りてしまうのです。
生きていくうえで不便がなければいいのですが、それだけではさびしいような気もします。せっかく古人が残してくれた珠玉の言葉の数々を味わい、活用してはいかがでしょうか。
よい言葉は、心に彩りと潤いを与えてくれます。さらに実際に使ってみると、豊かな世界が見えてきます。本書では、みなさんにそんな提案をしたいと思います。

「楽しめる、味わえる」、そんな大和言葉を集めました
近年は大和言葉というと、丁寧な言葉づかいや、よそ行きの会話フレーズとして注目されることが多いようです。他人とのコミュニケーションや仕事に役立てるなど、実用的な面で興味が広がっています。たしかにそうした側面もあるのですが、できれば純粋に言葉の持つ魅力を味わい、「いいなあ」と思ったものを実際に口に出してみる。そんな自由なところから、大和言葉との付き合いをはじめてみてはいかがでしょうか。
そこで本書では実用性を少し横に置いて、「聞いたことはあるけれど使い方がわからない」「あまり見かけないが、きれいな響きや語感をもっている」「知らない言葉だけれど、現代語に変換するときれいな言葉になる」など、普段はあまりお目にかからない大和言葉を中心に紹介しています。使える、使えないではなく、心に留まるもの、琴線に触れるもの、そんな基準でみなさんも大和言葉に出合ってください。

本書で紹介している、大和言葉の一例を以下に示します。
美しい言葉
しなやか→嫋やか
花が咲く→笑む
火葬される(死ぬ)→雲となる
心の中で恋しく思うこと→心恋
恋人を待つ夕方→待つ宵

見て、聞いて、すぐに意味がわかる言葉
美人→見目佳し
耳元でささやく→耳擦り、耳打つ
メモ帳→留め帳
まっしぐら→面も振らず
皮肉→当て言、ねすり言
好意を寄せる→心寄す
ふっくら丸い→明らか

ユニークな言葉
飲み友達→削り友達
駆け落ち→走り夫婦

題ある言葉
稲→秋田実
水玉→水鞠
手紙、便り→雁の使ひ
雪→天花

語感や響きからイメージをふくらませ、言葉で遊んでみる
本書の上手な使い方、楽しみ方は、その語感、響き、字面をまず堪能することです。そしてお気に入りがあれば、日常の会話やメール、手紙の中にそっと忍ばせてみましょう。文法として正しいかどうかよりも、ひとつのフレーズとして活用し、楽しんでください。遊び心でいいのです。相手に意味が伝わるかどうかは重要ではありません。しかし、言葉のもつパワーが、思いを同じくする人には不思議と伝わるものです。
そうして大和言葉に少しでも興味がもてたら、さらに未知なる言葉を探し求めてください。そこには新しい発見と、知の喜びが待っています。ひとりでも多くの方に、本書がそんなきっかけを与えられれば幸いです。

日本の言葉研究所 (著)
出版社 : 大和書房 (2016/1/9)、出典:出版社HP

もくじ

第一章 時・季節の言葉
大和言葉―現代語
天つ日―「太陽」
朝まだき―「夜明け」
彼は誰れ時ー「夕方」「夕暮れ」
小夜―「夜」
明くる今日―「明日」
弥日異に―「日ごとに」
日並み―「日」
三五月―「満月」「名月」「旧暦十五日の月」
月―「月」
月籠りー「月末」
大暮れ―「年末」
星の林―「多くの涙」
雨隠れ―「雨宿り」
しめじめー「雨がしとしと降る様子」
朝明の風―「朝の風」
追ひ風―「風」
移ろふ―「色(が)褪せる」
思ひの色―「緋色」
年頃―「長い時」「長い年月」
念―「一瞬」「短い時間」
行き合ひ―「聞の変わり目」
ささらぐー「水がさらさらと音をたてて流れる」
早乙女―「田植えをする女性」
秋の鏡草ー「朝顔」
旧り行く―「老いていく」
遠人―「長生きの人」
限り―「死ぬこと」
雲となる―「火葬される」
添ふ―「結婚する」
走り夫婦ー「駆け落ち」
熱る―「熱くなる」
慌しー「忙しい」
明け暮れー「いつも」
息の緒―「命」
川雉子―「蛙」
蚊遣り火―「蚊取り線香」
古へ―「過去」
青嵐(晴嵐)―「霞」
勢ふ―「栄える」
咲きすさぶー「咲き乱れる」
向かふー「進む」
空音―「空耳」
只中―「代表」
地む―「疲れる」
差し合ふ―「出会う」
巧み―「手際がよい」
轟くー「鳴り響く」
身翻る―「妊娠する」
手児―「乳幼児」
肖る―「似る」
落ち髪―「抜け毛」
長路―「遥かな道」
天花―「雪」
心の塵―「煩悩」
面も振らずー「まっしぐら」
今ー「まもなく」
固め―「約束」
行き方―「行方」
名残ー「余韻」
後世―「あの世」

第二章 装いの言葉
大和言葉―現代語
見目佳し―「美人」
装ひ―「服装」
出で立ち―「姿」「装い」
映る(写る)―「似合う」
生身―「肉体」
始末―「節約」「倹約」
繕ふー「す」「手入れをする」
仕立つー「衣服をち縫う」「仕立てる」「着物をつくる」
婆娑羅―「派手」
窶す―「変装する」
心劣りー「見劣りする」
身を成す―「身支度をする」
水鞠―「水玉」
映え映えしー「見栄えがする」「輝いて見える」
立ち装ふー「美しく装う」
色ふ―「着飾る」

第三章 味わいの言葉
大和言葉―現代語
執り行ふ―「一杯やる」
酌むー「お茶やお酒を印んで飲む」
削り友達―「酒飲みの友達」
ずぶずぶ(づぶづぶ)ー「酔いつれた様」
振る舞ひ―「(ご)馳走」
尽くす―「すべてを出す」
所狭しー「いっぱい」「あたりに満ちている」
煌めく―「歓待する」
心行く―「足りる」「満足する」
旨し―「楽しい」
持て成す―「振りをする」
当たる―「なす」
身になる―「栄養になる」
五臓六腑―「内職」
労くー「病む」「病気になる」
労るー「治療する」
切る―「尽きる」
打つー「耕す」
秋田実―「稲」
屯食―「握り飯」
肉置きー「肉付き」
春告魚―「飲食する」
円らか―「ふっくらしている」
師(かれひ)ー「弁当」
被け物ー「ご褒美」
可惜し(借し)ー「もったいない」
我酒―「やけ酒」

第四章 住まい・暮らしの言葉
大和言葉―現代語
終の住処―「死後に落ち着く所」
営み出だす―「つくる」「つくり上げる」
漫ろ歩き―「散歩」
笑むー「(花が)咲く」
忘れ花ー「季節に遅れて咲く花」
道も狭に―「道いっぱいに」
夥しー「(建物などが)立派」
取り置く―「片付ける」
課と―「きちんと」
朝夕事―「暮らし」
耳を借る―「耳元でささやく」
初立つ―「立つ」
浮き世を立つ―「生計を立てる」
健の使ひ―「便り」「手紙」
形―「担保」
付き付きしー「調和している」
出で立ち―「立ち」
道中ー「旅の途中」
道行き―「道中(旅の途中)」
玉水―「清水」
勤しむ―「勤める」
湯浴み―「入浴」
無徳―「みすぼらしいこと」
便無し―「不便」
雪隠(せっちん)ー「トイレ」「便所」
方ー「方向」「方角」
紙幣を担ぐ―「迷目を気にする」
留め帳ー「メモ帳」
潤ふー「暮らしが楽になる」
流離ふー「流浪する」
仕付けー「礼儀作法」
手習ひー「練習」
奢り費やす―「浪費する」
車返しー「危険な所」「難所」

日本の言葉研究所 (著)
出版社 : 大和書房 (2016/1/9)、出典:出版社HP

心に響く! 美しい「日本の言葉」2200

1つ1つの言葉を味わう

幅広いジャンルから多様な言葉が2200厳選されています。普段何気なく使っている表現から、あまり使わない専門用語や言い回しまでカバーしています。大和言葉を学ぶ中で、日本の季節や文化、伝統についての理解も深まります。

西東社編集部 (編集)
出版社 : 西東社 (2015/12/2)、出典:出版社HP

※本電子書籍は同じ書名の出版物を底本とし電子書籍化したものです。
※本文に記載されている内容は、印刷出版当時の情報に基づき作成されたものです。
※印刷出版を電子書籍化するにあたり、電子書籍としては不要な情報を含んでいる場合があります。
※印刷出版とは異なる表記・表現の場合があります。
http://www.seitosha.co.jp/

心に響く!美しい「日本の言葉」2200
西東社編集部編

はじめに

言葉は時代とともに変わってきました。
日々の暮らしや文化、仕事や学問、さまざまな行事には歴史の詰まったしきたりや言葉が使われています。日本の言葉を集めてみると、日本人が言葉のあちこちに、細やかな心配りをしてきたことがわかります。伝統文化を背負った言葉は、味わい深く、心を和ませてくれます。
この本を手にしている皆さんは、日本人だけではないかもしれません。日本の文化や言葉に興味をもつ、そうした人たちも含め、これからの日本語をつくっていくのは皆さんです。あなたが今日使った言葉が、明日の日本語を豊かにするのです。
本書で取り上げた言葉はすべて、日本という国の長い歴史の中で練り上げられてきた言葉ばかりです。それらの言葉には、その時々の日本の心が込められています。それは、喜びだったり、怒りだったり、哀しみだったり、楽しみだったり…。つまりは、日本で生きている人びとの生き様がこめられた言葉でもあります。
とても広い世界からできるだけ多様な言葉を選んでみました。多分、ふだん何気なく使っている言葉の出自の多様さに驚かれることでしょう。それらの一つひとつの言葉を味わってみてください。日本人は、言葉を磨き上げることの達人だということに気づかれることでしょう。
日本の言葉の美しさを誇りに思ってくだされば、幸いです。

西東社編集部

西東社編集部 (編集)
出版社 : 西東社 (2015/12/2)、出典:出版社HP

もくじ

本書の見方
Part1 連綿と紡がれる心に響く美しい日本語の表現
1【やまとことば】心がなごむ和の表現
①時②程度③修飾語④動作⑤名称⑥体の部位⑦女房詞⑧枕詞
特集 ひらがな・カタカナの成り立ち
2気配り上手の表現
①もてなし②訪問③喜び・感謝④ほめる・注意をする⑤上手に断る⑥ビジネスで
3日常会話でよく使う言葉
①あいさつ②感謝・呼びかけ③敬語
4【擬音語・擬態語】表現豊かなオノマトペ
①音②状態③名称④方言
5【方言】地域性豊かなお国自慢の言葉
①あいさつ②心に響く言葉
日本の言葉クイズ①

Part2 思わず人に話したくなる驚きの語源
1不思議な語感をもつ言葉
2生き物の名前が入る言葉
3人物に関する表現
4状態・行為に関する表現
5身近にあるモノの名称
6【外来語一語源はあの国にあった!
特集国際語になった日本語
7【地名】歴史を語る土地の名称
①東京②大阪③京都④難読地名⑤耳に残る地名
特集 意外な意味をもつ日本の社名
日本の言葉クイズ②

Part3 季節を味わい自然を楽しむ暦・歳時記
1季節の風物詩
①春3~5月②夏6~8月③秋9~11月④冬12~2月
2自然の中の美しい言葉
①雲②雨③雪④風⑤月⑥星⑦植物の和名
3旧暦の基準となった月の満ち欠け
4季節の特徴を表す二十四節気と雑節
5一年の大きな節目となる五節句
6旧暦で用いられた和風月名
7日本の四季を表現する季語
8干支に登場する動物名とその由来
9十二支と暦年・時刻・方位の関係
日本の言葉クイズ③

Part4 真心を伝える優雅なたしなみ和の作法
1【和食】伝統的な和食の形式
①本膳料理②精進料理③懐石料理④会席料理
2和室で会食するときの作法
3審の格と箸使いのマナー
4【行事食】日本の四季を彩る料理
特集 地域色豊かな全国の雑煮
5【着物】知っておきたい着物の基礎知識
①部分名称②着物の種類③帯④着物・帯の生地⑤小物
6飛鳥時代から受け継がれてきた和装の髪型
7着物に由来する言葉
8冠婚葬祭に関する言葉とマナー
日本の言葉クイズ④

Part5 伝統の食材と調理法で味わう日本食
1世界が注目する日本の料理
2意外や日本生まれの洋食
3【名物料理】各県お国自慢の味
4【駅弁】全国・各駅の名物自慢
5【伝統野菜】地域の食文化を築いてきた日本野菜
①京野菜②江戸野菜③日本各地
6日本のだし・調味料・香辛料
7【日本茶】よく飲まれるお茶の種類と製法
8お茶に由来する言葉
9【日本酒】日本酒を楽しむためのキーワード
10【焼酎】焼酎を楽しむためのキーワード
11お酒に由来する言葉
日本の言葉クイズ⑤

Part6 和の風情を伝え暮らしを彩る伝統文化
1【建築】家屋を構成する部位と設備
2【家具・建具】暮らしを彩るインテリア
3【道具】暮らしを快適にする道具類
①日用品②和紙製品
4建築に由来する言葉
5【日常着】着心地・動きやすさ抜群の家着
特集 日本のさまざまな単位と物の数え方
6【伝統工芸】地域の風土に根づいた工芸品
7【伝統色】「延喜式」に見る貴族文化の色
8【伝統色】町人文化から生まれた江戸時代の流行色
9【伝統色】現代にも息づく和の色
10【文様】森羅万象を形にした伝統柄
11【祭り】地域の産業や風土から生まれた伝統行事
日本の言葉クイズ⑥

Part7 風雅を楽しみ心をきわめる武道・芸道
1【能楽・文楽・歌舞伎】鑑賞のキーワード
2能楽・文楽・歌舞伎に由来する言葉
3【雅楽・邦楽】鑑賞のキーワード
4雅楽・邦楽に由来する言葉
5【武道】武道に関する基本用語
6武道に由来する言葉
7茶の湯に由来する言葉|
特集 芸道から生まれた言葉
8【落語】鑑賞のキーワード
9【江戸言葉】落語にも登場する江戸町人の言葉
10囲碁・将棋に由来する言葉
特集 遊びから生まれた言葉
日本の言葉クイズ⑦

Part8 自然の万物や人びとの心に宿る日本の神々
1【神道】自然に宿る八百万の神
2【神道】さまざまな神社の呼称編
3【神道】知っておきたい神社の言葉
4神道に由来する言葉
特集 日本の神々と世界の神々のつながり
5【仏教】仏の階層と仏像の種類
6【仏教】寺院建築と仏教用語
7仏教に由来する言葉
①仕事・日常②人物・状況③四字熟語・ことわざ
8【七福神】福をもたらしてくれる神様
特集 福を呼ぶ工芸品
9【妖怪】不可思議な現象をもたらす妖
①山や水にすむ②人のまわりに潜む③物語の主役
日本の言葉クイズ⑧

Part9 武士の魂が宿り武家文化が香る歴史遺産
1【城】城郭を構成する建築編
2武士・戦に由来する言葉編
3【日本刀】武士の魂とされた日本刀の種類
4【日本刀】歴史に残る名刀
5日本刀に由来する言葉
6【忍者】武家に仕えた戦国のスバイ
日本の言葉クイズ⑨

Part10 ユーモアたっぷり!音と文字で楽しむ言葉遊び
1【ことわざ】生活に根ざした古くからの言い伝え
①美学②人情③生活の知恵④教え
特集 どれだけ言えるか早口言葉
2【洒落】語呂合わせを楽しむむだ口
3【洒落】江戸の庶民が使った隠語
①職業編②庶民編
※人名・語源等については、異説のあるものもありますが、最も一般的と思われるものを掲載しています。

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Part1 連綿と紡がれる心に響く美しい日本語の表現

西東社編集部 (編集)
出版社 : 西東社 (2015/12/2)、出典:出版社HP

日々の会話が華やぐ大和言葉

日本の美しい言葉

日常生活において、織りなす言葉の表現によって印象はかなり変わります。本書では、日常でも使えるような美しい大和言葉が紹介されています。日々の会話の格をアップさせたいという方におすすめの1冊です。

大島 資生 (監修), 山下 景子
出版社 : 笠倉出版社 (2015/5/26)、出典:出版社HP

はじめに

私たちは日々の生活を送るうえで、多くの言葉を聞き、話し、使っています。それらの言葉は、漢語、外来語、そして大和言葉―大雑把にこの三つに分けることができます。
実のところ大和言葉にはしっかりとした定義はなく、はるか古来からこの国に伝わる言語という以外に言いようがありません。
しかしながら、大和言葉は今も確かに受け継がれています。この言葉を作ったのは、私たちのご先祖様。
人と人の関係を通じ、移ろう四季や自然の中で生み出された言葉の数々は、便利な生活の中で何かを忘れた私たちの心に深く沁み入ります。
辞典、手紙の書き方、古典、オノマトペ…。この本には、大和言葉の魅力があますところなく詰まっています。
日々の生活に、そして会話に華やぎを添える素敵な大和言葉、今日からぜひあなたも使ってみませんか?

大島 資生 (監修), 山下 景子
出版社 : 笠倉出版社 (2015/5/26)、出典:出版社HP

日本の大和言葉を美しく話す―こころが通じる和の表現

大和言葉の魅力

日本では、漢語と外来語、そして大和言葉の3つが使われています。日本人自身が育んできた知的で優雅な余韻を残す大和言葉を使うことで、品のある言葉遣いを身につけることが期待できます。

高橋 こうじ (著)
出版社 : 東邦出版; 第3版 (2014/11/20)、出典:出版社HP

はじめに

うさぎ追いし彼の山 こぶな釣りし彼の川
夢はいまもめぐりて 忘れがたきふるさと

唱歌「ふるさと」(高野辰之作詞、岡野貞一作曲)は、日本人の心に染みます。その理由の一つは、歌詞のすべてが大和言葉であることです。
大和言葉とは、太古の昔に私たちの先祖が創り出した日本固有の言葉。また、その伝統の上に生まれた言葉です。「山」「服」「夢」「ふるさと」、みんな大和言葉です。
日本語の単語は三種類あり、残る二つは漢語と外来語です。漢語は中国語から取り入れた言葉で、「山地」「河川」など。つまり、漢字の読みで言えば、音読みで発音されるのが漢語。訓読みが大和言葉です。外来語は中国以外から来た言葉で、多くはカタカナ表記です。たとえば、この文章の表題は「はじめに」ですが、「はじめる」は大和言葉で、同じ意味の漢語は「開始」、外来語は「スタート」。私たちはこんなふうに三種類の日本語を日常的に使っています。
大和言葉が日本人の心に染みるのは、日本の風土の中で生まれた言葉だからです。たとえば、「地面が盛り上がったところ」は、先祖たちにとって「や」「ま」という二つの音で表すのが一番しっくり来るもの。だから「やま」になりました。つまり、大和言葉はその一音一音が先祖たちの感性の投影なのです。もちろん漢語や外来語も大切な言葉ですが、たとえば漢語の「故郷」を考えても、私たちはその単語を一つのユニットとして認知し、意味を理解するのに対し、大和言葉の「ふるさと」は「ふ」「る」「さ」「と」の一音一音が心に響きます。冒頭に挙げた歌詞の最後を「こきょう」にしてみると、その違いがよくわかりますね。
大和言葉には、このように「心に染みる」特性があります。ところが最近は、造語能力に富む漢語や一見おしゃれな外来語に押されて、長く愛され、用いられてきた美しい大和言葉があまり使われない、という現象が生まれています。これは本当にもったいない話。大和言葉をもっと知ってもらい、日ごろの会話やスピーチ、手紙やメールなどに生かしてもらおう、ということで生まれたのが本書です。
この本を通して、あなたの会話や文章が多くの美しい大和言葉に彩られ、より充実したものになることを願っています。

高橋こうじ

高橋 こうじ (著)
出版社 : 東邦出版; 第3版 (2014/11/20)、出典:出版社HP

もくじ

はじめに

語らい
このうえなく/いたく/こよなくお買い被りを/おからかいを/お戯れはもうそれぐらいで/恐れ入ります楽しゅうございました/嬉しゅうございます

もてなし
ようこそ運びくださいました、お待ちしていました/お上がりください/ごゆるりとお心置きなく/お口に合いますかどうか/ほんのお口汚しですがどうぞお付き合いください/お言葉を賜る/今宵/言祝ぐ

手紙
日ましに春めくこのごろ/夏も早たけなわ/秋まさにたけなわ/此処彼処に春の兆しが覗くこのごろ〇〇様には/ひとかたならいお世話に/日ごろは何かと/お心にかけていただく/お引き立ていただく幾重にもお願い申し上げます/おみとりください/御身体をお厭いください/くれぐれも御身おいたわりください

言挙げ
いみじくも/まさしく/つまるところ/いやがうえにもむべなるかな/あまつさえ/いささか/たまさかに惜しむらくは/なかんずく/よしんば/言わずもがな

言伝
しばしお待ちを/概ね/あらましは次の通りです/続けざまですみません遅ればせながら/いましがた/思いのほか/鑑みて私事ですが/お手すきのときに/ゆるがせにしません/心待ちにしています

コラム①大和言葉の響きを楽しむ


心を寄せる人/思い初める/馴れ初め/憎からず思う相思い/片恋/片恋づま/したもい契りを結ぶ/逢瀬/心移り/焦がれ泣き

交じらい
誼を結ぶ/とっつきが悪い/しっくりいかない/心安い間柄相合いにする/お催合いで/手を携える/心を同じくする敷居が高い/とりなす/とりもつ/折り合う

装い
目もあや/着映えがする/垢抜けている/こざっぱりお召し替え/誂え/出来合い/さら口紅を差す/眉根/眉尻/おめかし

住まい
門口で/上がり口/引き戸/扉湯船/厨/厠床をとる/寝間

味わい
下ごしらえ/腕によりをかける/若炊き/とろ火上置き/木の芽/はじかみ/煮凝り足が強い/くどくない/得も言われぬおいしさ/余さずいただく

眺め
名にし負う/海辺/凪ぐ/舫う山あいの里/山の端/杣山/峰々きざはし/甍の波/迫り持ち/入り合いの鐘

学び
そらんじる/綴る/下読み/おさらい戦場/旗揚げ/旗色/殿/勲離形/かさ/いびつ

遊び
振り出し/のるかそるか/お手合わせを願います/読みを誤る。筋がいい/玄人裸足/手だれ/ほんの手慰みで触りを一節/節回し/聞かせる/声色

そぞろ歩き
足の赴くままに/道すがら/橋涼み辻/袋小路/葛折り/道標しもたや/盛り場/人だかり/人いきれ

あめつち
日和/雲足が早い/霧が立ちこめる/篠突く雨月が冴える/上り月/鼓星/星月夜黄金/酸/出で湯

コラム②言霊の幸わう国

生きもの
生きとし生けるもの/象/兎馬/幽/かわひらこ和毛/いがむ/ついばむ/もぬけときわぎ/ひこばえ/たわわに実る/うてな


人となり/かたぎ/持ち前/たち打てば響く/目から鼻へ抜ける/ものがたい/竹を割ったようなあこぎ/さかしら/つむじまがり

思い
目頭が熱くなる/胸に迫る/ほだされる/身につまされる捲まず弛まず/思いを馳せる/思い合わせる/徒や疎かにしない憤りを覚える/省みる/結ばれる/胸を撫でおろす

つとめ
全うする/生業/携わる/取り交わす白羽の矢が立つ/荷が勝つ/そつなくこなす/お手の物。書き入れ時/手間暇かける/骨休め/較替え


片時も/ひととき/瞬く間に/追い追い朝な夕な/夜もすがら/常日頃/たそがれ来し方行く末/行く行くは/来たる〇〇年も/幾久しく


御霊/手向ける/みまかる/お弔いお社/垂/さえの神/いしぶみ虫の知らせ/あやかし/奇しきゆかり/幸先

参考文献
索引

語らい
何かについて語るとき、辞書では同じ意味であっても、言葉選びによってニュアンスは随分と変わるものです。奥行きのある表現を身につけましょう。

「一番好きなものを和紙で作ってごらん」。こんな課題を出されて、色とりどりの和紙と真剣に格闘する幼稚園児たちを見たことがあります。忘れられないのは、それを順に披露するときの顔です。ある子は飼っている犬を、ある子はテレビの戦隊ヒーローを、ある子はオムライスを掌に乗せ、どの子も恥ずかしさに声をうわずらせながら、でも、どこか幸せそうに、友達に見せていました。
なぜ恥ずかしいか。それは、心の内にある大事なものを人目にさらすことだから。なぜ幸せか。そうすることで、自分以外の人がそれに触れて、愛したり、大切にしてくれたりする可能性が開かれるからです。
それは、まさに「語らい」の場でした。
語らう、すなわち、会話の場で自分の思いを口にするとは、そういうことです。自分の内側にある大事なものをわかってもらうために、言葉という素材を使ってそれを形にし、相手の前に差し出すこと…。だから、いい「語らい」は、美しい言葉を見つけることから始まるのです。

高橋 こうじ (著)
出版社 : 東邦出版; 第3版 (2014/11/20)、出典:出版社HP

美しい「大和言葉」の言いまわし: さりげなく、折り目正しく「こころ」を伝える (知的生きかた文庫)

思いやりが込められた大和言葉

遠い昔、文字のなかった日本人が話していた生粋の日本語、それが「大和言葉」です。大和言葉には奥ゆかしさがあり、余韻が心に染みるという特徴があります。大和言葉を学び日常会話や文章に取り入れることで、今までとは違った雰囲気を彩ることができます。

三笠書房
美しい「大和言葉」の言いまわし
日本の「言葉」倶楽部

この本は縦書きでレイアウトされています。
また、ご覧になる機種により、表示の差が認められることがあります。

はじめに

言葉は生きていて時代とともに変化する、といわれます。
とくに最近の日本では、情報化社会が進んだせいか、消えゆく言葉が増えているようです。本来、日本語は豊かで美しい言語なのですが、外国にルーツをもつ外来語や漢語に押され、存在感を失いつつあるのです。
こういう時代にこそ見直していただきたいのが、「大和言葉」です。
わたしたちの遠い祖先が、美しい風土のなかで生み出した日本独自の言葉。その特徴は、品よく、優しい点にあります。実際に声に出してみると、味わい深さが感じられることでしょう。
本書は、数ある大和言葉のなかから日常生活でつかえるものを場面ごとに選び、由来や意味、つかい方などを解説しています。たったひと言で、場の雰囲気やつかう人の印象を好転させられる大和言葉。その魅力を再発見し、日常生活で活用していただければ幸いです。

目次

はじめに
第一章 おもてなしの大和言葉
お運び 来訪者が費やした体力や時間にも感謝する
お足元 悪天候でも来てくれた人への思いやり
ごゆるり 「ゆっくり」と「ゆったり」の合わせ技
おみ足 「お足」では少し違う意味になる場合も
心置きなく 遠慮がちな訪問客に効果が大きい
婚しゅう 目上の人に嬉しい気持ちを伝えるのにぴったり
腕によりをかける 腕前をよく見せようと張り切る
お口汚し 手間はかかっていないが自信作?
置き 和の雰囲気を壊さないために
箸休め 小皿や小鉢の小料理のこと
お粗末さま 「どういたしまして」よりも、畏まった表現
お召し替え 親切さと言葉の妙でイメージアップ
お持たせ お客さまからのお土産をすぐ出すときに
お暇 自宅に招いてくれた相手を悲しませないために
おすそ分け 楽しみを分けてあげれば絆が深まる
印ばかりのもの 「つまらないもの」はもう”つまらない”?
ご笑納ください 贈り物にひと言添えるなら、これ!
心待ち 待ち遠しさ、ワクワク感を伝えられる
お相伴 目上の人に食事の誘いを受けたときのひと言
卒爾 突然、何かを行なう際につかう
よしなに 「よろしく」よりも丁寧で強い
恐れ入る 感謝だけでなく謙虚さも伝えられる
お骨折り 苦労を厭わず力を尽くしてくれた人への感謝
こらむ①日本語の種類~「大和言葉」

第二章 相手を称える大和言葉
手だれ 優れた腕前の持ち主のこと
玄人はだし プロが裸足で逃げ出すほど上手な人
このうえない 「最高の」よりさらに高い素晴らしさ
得も言われぬ 「得も言わず」と間違わないように!
水際立つ 際立った働きをした人に
打てば響く 頭の回転の速さを示す最高の称賛
舌鼓を打つ おいしいものを食べたときに鳴らす音
まろやか グルメ番組で定番のひと言
うがつ 「うがちすぎ」ないように注意!
大人しい 静かにしているという意味のほかにも…
いたいけ 心が痛いほど愛らしい
たおやか 姿や動作、態度が上品でしなやかなさま
胸に迫る 思いが胸いっぱいに溢れたときに
ろうたけた 積み重ねられた洗練の優美さ
見目麗しい 顔立ちの整った正統派美人を評して
あっぱれ 意外にも「あはれ」が語源だった
しおらしい 塩を狙う女性が由来
目端が利く 「目鼻が利く」との混同に注意
緑の黒髪 黒髪を「みどり」と表現するわけは?
ほんの手慰み 褒め言葉を嫌味にならないように返す
こらむ②日本語の種類~「漢語」

第三章 相手をたしなめる大和言葉
しどけない 服装や髪の乱れをたしなめるときに
うだつが上がらない 日本家屋の建築用語が語源
すべからく 「すべて」の高級な表現ではない
たかをくくる 物事を甘く見るとたいへんな目にあう
何をか言わんや 相手を突き放すだけではいけない
おいそれ 「おい」は「はい」、「それ」は「それっ!」
沽券にかかわる 体面、面目、人の値打ちを表す
易きにつく 手っとり早く楽なほうを選ばせない
惜しむらくは 称賛のあとにマイナス点を指摘する
つまびらか 威圧感を感じさせずに襟を正させる
のべつまくなし ひっきりなしの状態を意味する
にべもない 愛想のないことをひと言で
目くじらを立てる 海のクジラとは無関係!
あけすけ 正直なことはよいことですが…
ほだされる 断ちがたい絆に束縛された状態を意味する
そぞろ 何かに気をとられて集中できないようす
あたら 価値あるものの消失を残念に思う気持ち
おざなり 「なおざり」と違って、「おざなり」は少しはする
こらむ③日本語の種類~「外来語」

第四章 気持ちを伝える大和言葉
首ったけ 「どれくらい好き?」の返事にぴったり
そこはかとなく 「なんとなく」では納得できない?
憎からず思う 遠回しに「好き」の気持ちを伝える
おもはゆい 「かわゆい」と語源は同じ
あばたもえくぼ なんでもよく見える魔法?
思いのほか 想定外の事態が起こり驚いている気持ち
荷が勝つ 「無理です」と言わずに上手に断わる
決まりが悪い かっこ悪い、恥ずかしいを格調高く…
やるせない 晴らせない気持ちをひと言で表す言葉
目頭が熱くなる 目上の人に「ウルウルした」は失礼
胸をなでおろす 心に抱いていた不安や心配を消し去る
相好をくずす 顔をくしゃくしゃにして笑うさま
たゆたう 揺れ動く心の動きを優しく伝える
敷居が高い 不義理をしているために行きにくい
有頂天 最高に嬉しい気持ちを端的に表現する
ひとかたならぬ お礼の言葉をより心のこもったものに
いたく 感動の気持ちを格調高く表現
あまつさえ 不幸の連鎖に見舞われたときに…
よしんば 「もし」よりも数段強い仮定を想定する
こらむ④ 日本独自の文字「平仮名」の誕生

第五章 仕事でつかう大和言葉
なりわい たんなる仕事とは少し違う
お見知り置き 今後も関係が続くことを期待して…
お手すき 上司は暇にしているかどうか?
塩梅 仕事の進み具合を尋ねるのに便利
襟を正す 衣服や姿勢を整え、それまでの気持ちも改める
しのぎを削る 日本刀で斬り合うような接戦のこと
伸るか反るか イチかバチかやってみようというときに
下駄を預ける 自分ではどうにもならないときに…
はっぱをかける 木の葉ではなくダイナマイト
やぶさかでない じつは積極的な意志表明をする言葉
おこがましい 非難の気持ちと謙虚な姿勢を表現できる
水を向ける 「水」は会話の呼び水のこと
ゆるがせにしない おろそかにしない、頼もしい表現
いささか 少しぼかして言いたいときに最適
有り体に申しますと 「正直に…」より畏まる
憚りながら 目上の人に意見するときの前置き言葉などに
言わずもがな 「もがな」は願望を表す
むべなるかな 納得・感心したときに用いる古風な言葉
いたみいる 「恐れ入ります」よりも強い感謝を伝える
いみじくも 平安時代の女流文学でつかわれた形容詞が由来
たなごころ 「手の心」が変化した優しい雰囲気
ゆくゆくは 謙虚にやる気をアピールできる便利な言葉
ままならぬ 思いどおりにならないことを表す
とどのつまり アシカの仲間のトドではない!
骨休め 労働の資本である身体を「骨」で表現する
はなむけ 旅立つ人に贈る言葉や物
こらむ⑤ 日本人の季節感~「二十四節気」

第六章 スピーチ・手紙につかえる大和言葉
お力添え 目上の人に助力を願う
ご自愛ください 相手に対するいたわりの気持ちを表す
身に余る 褒められたら謙遜する、それが礼儀
ひとしお 染料に染まる糸のように風情が伝わる
気の置けない ほんとうに仲のよい間柄であることを示す
幾久しく 「末長く」よりも新味のある言葉
あやかる よい影響を受けて、よいほうに変化すること
ふつつか 本心でそう思っているわけではない
宴もたけなわ なぜ安会のピークで、あえて述べる?
ひとえに 感謝の意を心から表現するひと言
倦まず弛まず 中弛みを防ぐのに効果的
心ならずも 不本意にそうなってしまったことを暗に伝える
よんどころない やむにやまれぬ事情を暗に示す。
尾籠な話 ばかげた話をする前には断わりのひと言を
ことほぐ その場に幸福を招く言葉
来し方行く末 人生が進んでいくイメージを示す言葉
なかんずく なかでもとくに、と強調する効果がある
徒や疎かに 大事にします、という決意表明
こらむ⑥ 日本人の季節感~「七十二候」

第七章 スピーチ・手紙につかえる大和言葉
竹を割ったような 竹の割れ方、伸び方にたとえる
まめまめしい 「忠実忠実しい」と書いて「まめまめしい」
奥ゆかしい 控えめな態度で従順なこと、ではない
心ばえがよい 相手を気づかえる人のこと
甲斐甲斐しい 他人のためにひたむきに努力しているさま
ひたむき 全神経を集中して何かに取り組むようす
物堅い しっかりして律儀な性格を表す
やんごとない ただの貴いよりもはるかに高い尊敬を表す
いなせ 日本橋の魚河岸の男の番に由来する
したたか 本来はプラスの意味だが、いまは負のイメージも
けなげ 一途な気持ちが根底にあることが条件
生一本 「き」と「なま」、読み方ひとつで意味が変わる
極楽とんぼ 芸人コンビの名前ではなく…
かまとと 「ぶりっこ」をさらに古風に表現すると…
あこぎ 三重県にある実際の海岸での故事による
猪口才 日本酒を飲む小さなお猪口に由来する言葉
こらむ⑦ 新しい大和言葉

第八章 季節・時間を表す大和言葉
日和 とんだ勘違いから生まれた優しい言葉
うららか うっすらぼんやりしたようすではない
花冷え 桜の時期だけしかつかえない期間限定の言葉
東風 春の訪れを告げる東からのやや荒い風
陽炎 ゆらゆらと揺れて消えるはかないもの
草いきれ 草の匂いが強くても春や秋にはつかえない
しののめ 古代の住居の「篠の目」が語源
暮れなずむ 暮れそうで暮れないようすを表す
たそがれ 誰だかわからないくらいの薄暗い時間帯
逢魔がとき 一日のうちで最も大きな災いにあう時間帯
夕映え 夕日の光を受けて周囲が美しく見える
夜の帷 闇があたりを静かに包み込むようす
朝な夕な 万葉の時代から親しまれてきた情緒的な言葉
ひねもす 「一日中」をより情緒的に伝える
とこしえ 永遠に変わることがないようす
たまゆら 宝石が触れ合うほんの一瞬のこと
主な参考文献
本文イラスト/小春あや
本文デザイン・DTP/伊藤知広

美しい「日本語」の言いまわし: 粋で優雅で角も立たない!「伝える技術」 (知的生きかた文庫)

伝えるための言葉を学ぶ

『美しい「大和言葉」の言いまわし』に続く第2弾です。世界でも有数の「豊かな表現力」をもつ言葉だと言われる日本語の多くの言い換えや言い回しを知ることで、表現の幅が広がります。テーマごとに、豊富な用例とともに多くの表現が紹介されています。

日本の「言葉」倶楽部 (著)
出版社 : 三笠書房 (2016/11/24)、出典:出版社HP

三笠書房
美しい「日本語」の言いまわし
日本の「言葉」俱楽部

この本は縦書きでレイアウトされています。
また、ご覧になる機種により、表示の差が認められることがあります。

はじめに

日本語は世界でも有数の、「豊かな表現力」を有する言語のひとつといわれています。でも最近は、「若い人がつかう日本語の語彙が減ってきている」などという意見をよく耳にするようになりました。時代とともに変化する言葉の消長を嘆いても詮ないことかもしれませんが、長年受け継がれてきた日本の言葉が、自分たちの代で「”死語”になってしまうのは、やはり寂しいものです。
この豊かで美しい日本語を残すには、まず、その魅力を知ることが肝心でしょう。たとえば、次のような言い換えができるのが日本語の豊かさなのです。
感動する→「琴線に触れる」、怒る→「気色ばむ」、雪が降りそう→「雪催い」、泣く→「袖を絞る」、浮気心→「花心」、威勢がいい→「勇み肌」、たいへん→「頗る付き」
――いかがでしょう。日本語の美しさと妙味が感じられませんか?
本書は、これからも残したい、実際につかってみたいと思えるような美しい日本語を、テーマごとに用例とともに紹介しています。本書をお読みいただいたのちに、しみじみと「日本語っていいなぁ……」と、思っていただければ幸いです。

日本の「言葉」倶楽部 (著)
出版社 : 三笠書房 (2016/11/24)、出典:出版社HP

目次

はじめに
第1章 想いを表す言葉
花心 陽気な心だけでなく、浮気心も意味する
心化粧 化粧は顔だけにするものではない?
人心地がつく やっと通常どおりに振る舞うことができる
岡惚れ 一方的に傍らからひそかに好きになること
秋風が立つ 相手を怒らせず傷つけず、愛の終わりを告げる
後ろ髪を引かれる 後頭部の髪を引っ張られると前に進めない
ほぞを噛む 過去の失敗を嘆き、後悔するときにつかう
軸を絞る 涙で濡れた袖を絞るほどの大号泣
気色ぽむ はっきりと顔や態度に出た怒りの感情
愁眉を開く 眉は人の感情に正直?
柳眉を逆立てる “美人の怒り”に限定した表現
今昔の感 時の流れの速さに思いを馳せる…
そこはかとなく 「其処は彼と」ない、よくわからない感情
うら悲しい 「うら」は表面に出ない心を意味する
御の字 遊廓で生まれた「ありがたい」を意味する言葉
希う 「願う」よりもさらに強く望むこと
心安い 心が”安っぽい”人のことではない
慈しむ さまざまな愛情のニュアンスを表現する
なしのつぶて かつては恋人に小石を投げてアピールしていた?
刹那的 「アリとキリギリス」のキリギリス?
こらむ① 勘違いしがちな言葉「奇特な人」

第2章 人間関係に関する言葉
竹馬の友 幼なじみは、こう呼ぼう。ただし男限定
ねんごろ 本来は念入りで心がこもっていること
わりない仲 筋道や道理を超越した男女の仲
お膝送り 「少し詰めてください」でもいいのですが…
お愛想 客が言っては、おかしなことに?
いとま 訪問先からスマートに去ることができる
空茶 茶碗のなかが空っぽなわけではない
いただき立ち ご馳走になったあと、すぐに帰るときに
手合わせ 自分より上の実力者に対局などを申し込む
お師匠さん 先生やコーチよりも敬意や人間味が…
たまさか 「たまたま」よりも優雅で美しい
慈無く ツツガムシでやさしい気づかいを示す?
こらむ② 勘違いしがちな言葉「青田買い」と「青田刈り」

第3章 人や物の状態を表す言葉
綺羅星のごとく 「きらぼし」という星があるわけではない
小股の切れ上がった 颯爽と歩く脚の長い女性を見かけたら…
身ぎれい 身なりだけでなく”生き方“全般が清潔
堂に入る プロ級という褒め言葉もいいけれど…
いでたち 「出で立つ」目的と行き先に合わせて装う
勇み肌 「町火消」に代表される江戸っ子の理想像
垢抜ける 「垢抜ける」か、「灰汁抜ける」か?
楚々とした 気品があって清潔感の漂う女性
あだっぽい 熟女ならではの色っぽさ
いずれ菖蒲か杜若 どちらかを選ぶのが難しいときにつかえる
はんなり 派手でなく地味でもない、ちょうどいい華やかさ
かんばせ 「花のかんばせ」という表現で知られる
解語の花 世界三大美女のひとり、楊貴妃のこと
春秋に富む 戦乱の世には過去よりも未来が重視された?
しじま 静寂や沈黙を表す言葉
長閑 暖かい春の日差しでのんびりした雰囲気に
生成り 黄色い色?いえ、未加工の天然の色合いのこと
鈴なり 神社の巫女さんが持つ楽器に由来する
つくねん なんとなく、じっとしているようす
乙 「お疲れさま」の略語ではない!
苦み走った 「イケメン」が安っぽいと感じている人へ
目から鼻へ抜ける 素早く的確に判断する頭のよさを表す
てんてこ舞い 遊びが忙しくても「てんてこ舞い」?
有卦に入る やることなすことうまくいく、うらやましい状態
うたかた はかなく消えても、また変幻自在に現れる
こらむ③ 勘違いしがちな言葉「さわり」

第4章 行為を表す言葉
嗜む 趣味や酒を楽しんでいることを少し気取って
紫煙をくゆらせる たばこが男性の嗜みだった時代の言葉
まどろむ 目がとろとろして少しだけ眠ること
現を抜かす 他人から言われることが多い言葉
管を巻く いったい何の管のことか?
お茶を濁す その場しのぎの弁解や言い訳はほどほどに
付け焼刃 鍛錬した刀と鍛錬しなかった刀の違い
ひそみにならう 物笑いの種から模範へと変化
琴線に触れる 人の心は琴の弦のよう?
諳んじる 「暗記する」を“デキる”イメージに!
稽古する 現代的なレッスンには似合わない?
おめかし 胸が高鳴る「特別な」オシャレ?
紅を差す かって口紅は「差す」ものだった
逢引する おおっぴらにデートできない時代の「密会」
袖にする 冷淡に異性をふること
一目置く 目上の人にはつかわないので注意
薫陶を受ける 人徳によってよい影響を与えられること
居住まいを正す たんに座っている姿勢を正すだけ?
因果を含める 事情を説明して納得させ、あきらめさせる
禊ぐ 最近の政治家が乱用する言葉の意味は?
耳朵に残る 言葉や音が心にジーンと響いたときにつかう
縷々述べる 事細かに説明すること
こらむ④ 勘違いしがちな言葉「つとに」

第5章 性格・性質を表す言葉
凛 厳しい寒さに由来する言葉
匂い立つ 溢れ出す美しさを上品に伝える言葉
身持ちがよい 異性関係がしっかりしている人のこと
きっぷがいい テキパキとした威勢のよさを表す言葉
おてんば 「お転婆」と書いても若い女性限定
居丈高 座高が高い人のことではない
圭角がある 丸いはずの玉に角がある?
悩気深い 嫉妬深い人のことを指す言葉
如才ない 褒め言葉なのか、嫌味なのか?
けれん味 「けれん味」は、”ない”ほうが褒め言葉?
なよやか 「なよなよ」に似ているがネガティブではない
野暮 融通が利かないという意味だが…
麒麟児 「神童」を中国風の言葉で表現すると?
白河夜船 “よく眠る知ったかぶり”とは?
こらむ⑤ 勘違いしがちな言葉「じくじたる思い」

第6章 程度を表す言葉
おしなべて 決して「すべて」ではない
いかばかり 弔辞での慰めや励ましによくつかわれる
醍醐味 最上の味とされるパター状の食品が由来
極め付き 歌舞伎の重要な役を最も上手に演じる役者
けんもほろろ 雄の鳴き声に由来する言葉
芳しくない 出来のよくない状態を遠まわしに伝えたいときに
杳として はっきりわからないさまを強調する
頗る付き 「超おいしい」を平安貴族はこう言っていた?
おもむろに ゆっくりな動作を非難せずに表現する
かりそめ ほんの一瞬のときを表す切ない言葉
こらむ⑥ 勘違いしがちな言葉「たわわ」

第7章 かしこまった場でつかう言葉
誼を結ぶ 目上の人に敬意と親しみを込めて
弥栄を祈る 「ますますの発展をお祈りします」の代わりに
錦上花を添える 美しいものに美しいものが重なったときに
お目もじする 宮中女の「女房詞」を仕事でつかう
僭越ながら 差し出がましいことをして申し訳ありません
お身体をおいといください 去り際に、優しい印象を残す
薄紙を剥ぐように 少しずつ着実に快方に向かっているようす
おみそれしました 予想もしていなかった能力を褒める言葉
馴れ初め 誰しも気になる?二人のきっかけ
不徳のいたすところ 反省+謝罪の気持ちを示す
粛々と 政治家や組織のトップがよくつかう言葉
気は心と思って 気持ちが入っていることを確実に伝えたい
それは重畳 「たいへんけっこう」を侍言葉で
不調法 お偉いさんに飲めないお酒を勧められたら…
芳紀 その女性が何歳なのか、しっかり確認して
水菓子 水ようかんやゼリーのことではない!
こらむ⑦ 勘違いしがちな言葉「おっとり刀」

第8章 情景を表す言葉
花冷え 春先の「寒の戻り」をより風流に
花筏 筏のように川を流れる桜の花びら
風薫る 青々とした草木を渡って吹く南風の匂い
青き踏む 春の野に出て青草を踏んで遊ぶこととは?
五月雨 田の神への敬意を示す風流な言葉
万緑 美しさと力強さを合わせもった言葉
蝉時雨 蝉の鳴き声にイライラしている人へ!
篠突く雨 豪雨を風流な表現にすると……
車軸を流す 車輪の心棒のように大きく太い雨のこと
山装(粧)う 四季のうちでいちばん美しい山の姿
雪催い いまにも雪が降りだしそうな空模様
風花 風に舞う花びらではなく、雪を表す言葉
なごり雪 懐メロのタイトルにもなった雪とは?
遣らずの雨 帰ろうとする相手を引き止めるひと言
狐の嫁入り 狐と通り雨にどんな関係がある?
雨催い いまにも雨が降りそうなときに
小欄雨 粒子のように細かい雨のこと
月の雫 いにしえ人のセンスが光る美しい言葉
仄日 「夕日」とは違った印象の太陽?
有明の月 明け方の空に残る、優しくて風流な月
埋み火 灰の中でも燃え続ける炭火のような熱い心
残り香 立ち去った人の香りがその人を偲ばせる
主な参考文献
本文イラストー小春あや

第1章
想いを表す言葉

日本の「言葉」倶楽部 (著)
出版社 : 三笠書房 (2016/11/24)、出典:出版社HP