【最新】ランドスケープデザインについて学ぶためのおすすめ本 – ランドスケープデザインの歴史から実際の例まで

ランドスケープとは?何をどうやって学ぶ?

ランドスケープとは風景や景観という意味で、建築やデザインの分野では、都市における広場や公園などの公共空間のデザインを意味します。建築等に関わる人が、ランドスケープ・アーキテクチャやランドスケープデザインを学ぼうと思っても、何をどう勉強したらいいかわからないということも多いと思います。そこで今回は、ランドスケープについて、根本的な考え方や実際のデザイン例などを学べる本をご紹介します。

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出典:出版社HP

思考としてのランドスケープ 地上学への誘い ―歩くこと、見つけること、育てること

身近な風景を新しい視点で見直す

ランドスケープとは風景や景観を意味しますが、さらに広義には自然と人との関わりの態様とも考えられています。本書は、身近な風景や事象を、自然と人との関わりという視点から捉える、つまり「ランドスケープ的視点」から見直そうというテーマで書かれています。本書を読むと、普段何気なく通り過ぎている身近な風景を、今までと違った視点で見ることができます。

目次

はじめに

1 FAB-G
100均の工作者
ハイブリッド石積み
サル追い装置
FAB-Gのスキル

2 公園の夏
プレイヤーが見えるゲーム
ルールのレイヤー
地上の論理
公園の地割り
ローカルルールとしての例外条項

風景の写真 1

3 農耕の解像度
里山古墳
農耕の解像度
遺存地割の解像度

4 地形と移動
地形はどこにあるのか
地表の定義
見えない地形
地形を見るツール
移動すること、地図師になること

5 ベンチの攻撃
震災時帰宅支援マップ
都市の登山地図
生存への移動
街路からの都市
ベンチと向き合う

6 土木への接近
高速道路の表と裏
土木構造物の外側と内側
二つの異なる土木受容
団地に見る土木

風景の写真 2

7 終わらない庭仕事
制度としての植物「造園」
行為としての植物「園芸」
都市の自然「雑草」
「園芸」としての庭
日曜大工の規範
「縁側」としての庭

8 ランドスケープの思考
ランドスケープ・アーキテクチュア
造園
ランドスケープ
思考としてのランドスケープ

引用・参考文献

はじめに

本書の書名にある「地上学」というのは造語である。大学で造園学を専攻しランドスケープ設計の実務の現場に長くいた私が、大学で専任教員として研究・教育に携わることになった際に、研究室が主催するゼミのタイトルに地上学という語を入れた。いきなりまともに「造園」や「ランドスケープ」を称するのがいささかおこがましく思ったとともに、そうした既存の専門分野に限定せずに、広く造園/ランドスケープの方法を応用しながら都市や社会や環境と向き合う、そのような研究室を想像したときに思いついたのが地上学というものだった。地上学という「学問」はまだない。そこで、まだ見ない地上学へと研究を進めるという意味を込めて「地上学への研究」を研究室の看板として掲げた。

「地上」はランドスケープの「ランド」と重なっている。ランドスケープという言葉は文脈や立場によってさまざまな意味で語られるために、この語について丁寧に語ろうとするならば、注意深い但し書きを必要とする。「地上」はそうした議論からは逃れて自由である。とはいえ、私はここで風景や造園やランドスケープに代えて「地上」と言おうなどと主張したいのではない。あるいは、風景や造園やランドスケープなどの言葉を包括し統合するために「地上」をもちだしているわけでもない。ランドスケープを巡ってまた新しい言葉を掲げることでさらに話がややこしくなるのは本意ではなく、強い輪郭や体系を与えるよりはその裾野を広げたほうがよいと思っている。

「地上」とはどこか。地上は具体的で固有である。地上は私が歩くところであり、地図が描く対象であり、地図が描くものと私が見聞きするものを結びつける場所である。私は地上を歩きながらいろいろなものを見つけて拾い集め、持ち帰って育てている。

私は記事や本のタイトルに「地上」という言葉をよく使っている。2012年に本書と同じLIXIL出版より「現代建築家コンセプト・シリーズ」として出版された著書『ランドスケール・ブック』の副題には「地上へのまなざし」と入れた。かつて建築-都市の批評誌『10+1』(LIXIL出版)に連載していた論考のタイトルは「地上にて」だった。「地上にて」の連載は、いずれまとめて一冊の本にするという構想のもとに書かれていたものだったのだが、紙媒体としての『10+1』が終了するとともにその計画は中断していた。『10+1』の最終号である50号は2008年に発行されたので、ちょうどいまから10年前ということになる。10年という年月は長く、世界も私もずいぶん変化したが、むろん変わらないものもある。自宅の窓から見える国分寺崖線の木々はそれほど変わらないが、10年前に種から育てて裏庭に植えたオオモクゲンジがいまでは屋根を越える樹高となって、毎年黄色い花を咲かせてくれる。10年の歳月は頭上を覆うオオモクゲンジの枝葉や、成長した子どもたちや、いなくなってしまった猫や着られなくなったスーツで知る体型の変化となって、きわめて具体的にあらわれている。それらの瑣末で日常的で具体的なものごとが「10年間」という抽象的なカレンダーの記述と私をつないでいる。

本書の多くは、その連載を含む、これまでにいろいろな場所や媒体で発表したテキストをもとにしているが、すべて大幅に書き直した。また、掲載されている写真は、特記のないものに関しては、私が撮影したものである。

「1 FAB-G」の一部は、慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の学術論文誌『KEIO SFC JOURNAL』に掲載された論文「ものづくりのモデルとしての生活風景」をもとに加筆修正した。「2 公園の夏」は、「10+1 Website」の特集「2017年の建築・都市を読むためのキーワード」に寄稿した文章がもとになっている。「3 農耕の解像度」は日本遺跡学会誌『遺跡学研究』に寄稿した論文と、『10+1』「地上にて」の「遷都1300年の0.25パーセント」がもとになった。
「5 ベンチの攻撃」「6 土木への接近」はそれぞれ、『10+1』「地上にて」の「安全への22キロ」「江東デルタ地帯のマジノ線」をもとにしている。
「7 終わらない庭仕事」は、2016年に日本生活学会研究大会で「郊外一戸建て住宅地の庭空間における共同体の生成」として行なった口頭発表をもとにしている。
「4 地形と移動」と「8 ランドスケープの思考」は書き下ろしたものだが、いずれもふだんから考えたり議論したりしている内容である。

ランドスケープが「使える思考ツール」であるという考えは以前から抱いていたものだが、とくに思考としてのランドスケープということについて深く考えるようになったのは、教員として大学に着任して以来である。いろいろな背景や興味をもった学生たちと一緒に、学生たちが持ち込んでくる思わぬ題材や対象に取り組むうちに、なんらかの提案をしたりつくったりすることに加えてランドスケープ的に地上を眺め歩き、了解したり説明したりすることも「ランスケープ」の有用な使い方であるとますます思うようになってきた。そんな観点から章の構成を見直し、ランドスケープの思考の使い方を示しながらいろいろな事例を挙げて論じた文章が並ぶようにした。

いつものことながら、書いたものを「本」にするにあたって直接的、間接的に多くの方のお世話になった。またその過程で、いかに私が多くの方に支えられ、学んでいるかをあらためて痛感することになった。名を挙げた謝辞はここにはとても書ききれないが、編集や出版の労を担ってくださったみなさん、ふだんから私を気にかけ多くのことを教えてくださっている職場の同僚のみなさん、試行錯誤の研究室に在籍して共に研究に携わってくれている学生たちに、心から感謝申し上げる。そして共に地上を歩いてくれている妻や子どもたちに。いつもながら妻には感謝してもしきれない。期せずしてきょうは20回目の結婚記念日である。

2018年5月30日 石川初

ランドスケープの夢

ランドスケープデザインを実例から学ぶ

本書は、ランドスケープ・アーキテクチャを勉強したいけど、どう勉強したらいいのかわからないという方におすすめの一冊です。世界各地の実在の場所を題材にしてデザインを学ぶことができる内容となっており、入門書として活用できます。

高野文彰/高野ランドスケープ・プランニング (著)
出版社 : 建築資料研究社 (2020/3/18)、出典:出版社HP

Introduction

地球は約38億年前、生命が誕生して以来、遺伝子とともに環境の歴史を刻んできた。 地球の中で生き物が存在している空間は、地表の海と空を含めた薄皮のような層で、人類もそのわずかな空間にもの生き物と共存している。私たちは、地球の歴史に比べれば、ほんの些細な存在が、地球から多くの恵みを享受し、長い繁栄の感史を築いてきた。その結果、地球に負担をかけ続け、生態系の破壊、気候変動など、様々な環境問題を引き起こした。私たちはこの事実を知識としてだけでなく、地球環境を守る取り組みとして推進していかなければならない。多種多様な生き物が暮らす、美しく豊かな地球の存続。これは人類にとって使命であり、夢である。夢を形にして育むために、100年後、1000年後、人類の未来を視野に入れ、生命の歩みを持続させよう。明るい地球の未来のために、子どもたちのために。

Earth has a history of genes and environments since the birth of life 3.8 billion years ago. The space occupied by organisms on Earth is a skin thin layer which includes the sky and the sea. Humans also share this small space with other living things. We are a very trivial creature in the history of Earth, but we received many gifts from Earth and prospered for a long time. As a result, we have given too much loads to Earth, and ignited many environmental problems, such as destructions of ecosystems and climate changes. We must face this fact as not only a knowledge but by promoting to protect the global environment. Continuation of beautiful and rich Earth with biodiversity is our mission and dream. To realize our dreams in shape, we must continue our footsteps of life with our future in perspective for the next 100 years and 1,000 years for a bright future of the earth and our children.

高野文彰/高野ランドスケープ・プランニング (著)
出版社 : 建築資料研究社 (2020/3/18)、出典:出版社HP

ランドスケープの夢 Dream of Landscape | 目次 Contents

Introduction
Prologue:ランドスケープの夢
森が育む自然観
風土が培う文明の基層としての森林/森と対話し、森の多様な価値を磨く

01 千年の森の夢に抱かれるDream of Forest
001 未来へ遺す、未来に引き継ぐ:十勝千年の森
Leave and hand down something to the future. : Tokachi Millennium Forest
十勝千年の森との出会い/林床に眠る理士種子の開花/千年という視点で人類と地球の未来を考える
北の庭園文化を創造する北海道ガーデン
Forest Garden/Earth Garden/Meadow Garden/Farm Garden/Art Line
恋するランドスケープ
インタビュー:林光繁会長・林克彦社長に聞く

02 夢は世界へ向けてDream towards the World
砂漠の民の暮らしの知恵にデザインの原点を見る/砂漠の民は賓客を砂漠でもてなす 森の民日本人は…
アフリカの薬草文化を根幹とする植物園の再生:ウガンダ植物園再生計画
熱帯雨林に生命の驚異を観る
002 マレーシアの都市と自然の融合:シャーアラム中央公園
Merging of a city and nature of Malaysia : Shah Alam Central Park
都市の緑の骨格はジャングルの木で/Look East Policy アジアに学べ/Western Lake Zone/Town Center/Central Tower
003 新行政首都の熱帯の楽園:プトラジャヤ植物園
Tropical paradise of the new federal administrative capital : Putrajaya Botanic Garden
マレーシアその後
004 台湾の風土に根差した公園:宜蘭県立羅東運動公園
Rooted in livelihood and climate of Taiwan : Luodong Sports Park
宜蘭県立羅東運動公園4つの基本方針/高砂族に捧ぐ
地域を緑のネットワークで結ぶ:翡翠のネックレス構想
005 生態教育・環境創造:冬山河森林公園
Ecosystem recovery, environmental creation : Donshan River Ecopark
006 沖縄の自然、歴史、文化をイメージ:国営沖縄海洋博覧会記念公園ワラビグスク
Image of history, culture, and nature of Okinawa : Ocean Expo Memorial Park
欧米主導のランドスケープからアジア諸国、躍進の時代へ

03 遊びは子どもたちの夢Dream for Children
007 非日常的な遊びの空間体験:国営昭和記念公園こどもの森
Experience of an unordinary play space : Showa Memorial Park
ドラゴンの山/霧の森/呉の海/虹のハンモック/自由で創造的な遊び場
008 環境要素をテーマにした小国:静岡県富士山こどもの国
Small world with the concept of environmental elements : Mt.Fuji Children’s World
溶岩長城/草原の国/水の国/誰もが体験できる多様な挑戦レベル/冒険心の創造ステージ
009 生き物の巣がテーマの遊び場:国営滝野スズラン丘陵公園
Playground with animal nests as theme : Takino National Goverment Park
5つの環境段階/生き物の巣は不思議/あり塚の塔/虹の巣ドーム/空中島の巣/ありのトンボ 010 もう一度子どもに戻れたら:宮ノ丘幼稚園
I wish I could be a kid again : Miyano Oka Forest Kindergarten
森・水辺・草原、自然に溶け込む幼稚園/感性を育む/野生、健康を育む/知る喜びを知る/人とのつながりを育む/魅力的な遊び場を創る11の視点

04 デザインは誰のために?Dream of People
people’s Park
世田谷冒険遊び場
港北ニュータウン
011 参加のプロセスとデザイン:気仙沼安波山みなとのみえる丘公園
Process and design of participation : Anba Mountain Harbour View Park
気仙沼安波山計画/大地の勢いを読み取る/遠洋に想いを馳せる山頂広場
012 ソフト主体の手づくりによる公園:丹後海と星の見える丘公園
Hand made park focused on software : Tango Eco-Future Park
013 市民参加の複合的手法の展開:旭山記念公園
Complex method of community participation in practice : Asahiyama Memorial Park

05 北の大地に夢を馳せるDream for Hokkaido
東京を出よう。北海道へ/音更町字万年チンネル小学校/チンネル、万年、高倉。3つの集落 十勝の宇宙誌
014 環境育成型の公園づくり:十勝エコロジーパーク
Environment rearing type park making : Tokachi Ecology Park
水の浸入を許容し自然の営みと共存する/ダイナミックデザインプロセス
015 生態系を育む緑のオフィス:高橋建設
Green office to nurture ecosystem : Takahashi Construction Company Office
人の営みと自然環境の融合/環境基盤の育成/自然現象がつくるランドスケープ/時間とともに変化するランドスケープ
ワークキャンプ:冬
ワークキャンプ:夏
根室フットパス
016 農、食、生命をつなぐ教育ファーム:伊藤牧場
Educational Farm that connects agriculture, food, and lives : Ito farm
017 生命あるものをすべて慈しむ牧場:共働学舎新得農場
Farm that cherishes all living things : Kyodo-gakusha
馬と生きる

06 庭への誘いDream of Garden
018 日本庭園を文化として提案:アルベール・カーン日本庭園
Proposal of Japanese garden culture : Jardin Japonais Du Jardins Albert- Kahn
多様な関係性の世界観へ/アルペール・カーンの哲学の実践
019 ブナ帯の基層文化と自然観:国営みちのく杜の湖畔公園
Base layer culture of Japanese beech tree zone and a view of nature : Michinoku Lakewood National Gavement Park
巨石群を訪ねて/原寸主義/巨石を配する/象徴主義/地域主義/現場主義
020 水の流れ、ときの移ろいの庭:ショーモン国際ガーデンフェスティバル
Garden of flow of water and passing time: International Garden Festival Chaumont
ガーデンアイランド北海道
北海道ガーデンショー2012 十勝千年の森
北海道ガーデンショー2015 大雪
021 まちなかのオアシス・リゾート:あさひかわ北彩都ガーデン
Oasis Resort in downtown : Asahikawa Kitasaito Garden
地の魂が天に昇り、天の恵みが地に降り立つ:阿寒・イオマプの庭

Epilogue:ランドスケープに恋して
鼎談:ランドスケープは螺旋運動の物語
樋口裕康×高野文彰×金清典広

Appendix:付録
髙野ランドスケーププランニング年譜/講演会リスト/受賞リスト
夢の玉手箱47のメッセージ:ランドスケープ色葉(いろは)歌
世界から十勝へ、十勝から世界へ

高野文彰/高野ランドスケープ・プランニング (著)
出版社 : 建築資料研究社 (2020/3/18)、出典:出版社HP

Prologue

ランドスケープの夢

文明の発展だけを目指すのではなく、より幸せな生き方を求めて、多くの人たちがランドスケープに命の灯を輝かせてきた。ランドスケープデザインは人々の「夢」を実現するためにある。土地の歴史を、生き物主体の環境を尊び、心安らぐ美しい風景と文化をつなぐ多様で生命的な世界である。この本は、多くの人たちと夢を実現するダイナミックなプロセスと感動をまとめたものである。

Many people strived their lives not for the development of the civilization but for their happiness and better ways of life.
Landscape design gives shapes to people’s “dreams” by connecting beautiful and soothing scenery and the culture of a place, its history and ecosystem. It is a world of diversity of lives.
This book compiles processes and emotions in realizing dreams shared by many people.

森が育む自然観

「森羅万象」という言葉に示されるように、「森」には「宇宙」につながる現象の根源が存在する。ブナ帯の落葉広葉樹林は、春に雪解けとともに命が芽生え、夏に茂り、秋に実を結び、冬に白銀の世界となる。四季の変化は動植物の多様な自然生態系を維持し、その中で培われた「輪廻」の世界観は、日本の基層文化を成す縄文、アイヌへと引き継がれ、日本人の哲学に大きな影響を与えた。

Our view of nature was nurtured by forest. In the “forest”, the origin of phenomena leading to the “universe” exists.
Deciduous broad leaved forest in the Japanese beech tree zone sprouts buds in spring after the snow melts, grows in summer, bear acorns in fall, and turns to silver white in winter.
Changing seasons sustain ecosystem of the wildlife, rich in biodiversity.
Our view of the world nurtured by natural cycles of the forest reflects “reincarnation”. It stays in Japan’s fundamental culture of Jomon, then inherited by Ainu people, and greatly influences philosophy of Japanese.

高野文彰/高野ランドスケープ・プランニング (著)
出版社 : 建築資料研究社 (2020/3/18)、出典:出版社HP

LANDSCAPE DESIGN No.129 グリーンインフラとランドスケープ 2019年 12月号 (LANDSCAPE DESIGN ランドスケープデザイン)

人工的な自然について考える

本書は、自然と共存する各地の施設を紹介しています。都市にある緑はほとんどが人工的なものですが、本書を読み、現代のグリーンインフラのあり方について考えることができます。

LANDSCAPE DESIGN
No.129 2019年12月号 [目次]

SPECIAL ISSUE
グリーンインフラとランドスケープ

虎渓用水広場(多治見駅北広場)
ランドスケープデザイン/オンサイト計画設計事務所

雨水だけで生物が生息できる都市型ビオトープ
設計・施工/東急建設(株)

人口・経済縮小時代のランドスケープ
イタリア・トリノの経験から
構成/トリノ工科大学・東京大学UNI-NUAプロジェクトチーム
文/飯田晶子,山崎嵩拓,松尾薫,村山顕人,クラウディア・カッサテッラ

LANDSCAPE WORKS
早稲田大学37号館 早稲田アリーナ [東京都新宿区] 総合監理/早稲田大学キャンパス企画部
設計/山下設計,清水建設,プレイスメディア

日立製作所中央研究所 協創の森プロジェクト[東京都国分寺市] 設計(株)大林組一級建築士事務所,日立建設設計+日立製作所研究開発グループ,イトーキ,サワダライティングデザイン&アナリシス

湘南公園墓地・茅ヶ崎第二霊園[神奈川県茅ヶ崎市] 設計/(有)グランツ

REGULAR [コラム] 河川の上に社会を創る—「地政学」に代る「河政学」的風土改装案
網本義弘(発想工学研究所主宰,九州産業大学名誉教授)

ランドスケープをメモる➓
フィールドサーベイ3(温泉)
間野賢二

連載 ランドスケープアーキテクトのための日本庭園講座
[第5回]津田永忠と後楽園
企画・文/戸田芳樹
資料・文/野村勘治

新しい屋内緑化デザインを探る②
屋内緑化事例を巡って
●鹿島KIビルのアトリウム
Reviewer/藤田茂,槇島みどり
●鹿島建設KIビルの屋上で赤坂農園がスタート

連載 森林美学とランドスケープ
H・フォン・ザーリッシュの森林美学を読み解く
[第4回]近代ランドスケープと森林美学――「庭と森林」誌をめぐる人々
伊藤太一(筑波大学)

庭園都市江戸・東京4
文/椎名和美((公財)東京都公園協会)

日比谷公園——緑と水の市民カレッジ

MORE
追悼 ロナルド・マシュー・ハーマン氏を偲ぶ
カリフォルニアモダニズム2世代目・ロン達が 1世代モダニスト達(トーマス・チャーチ、ガレット・エクボ、ローレンス・ハルプリン) から何を学んだか?
都田徹((株)景観設計・東京, FASLA, FILAU)

壁面緑化を取り巻く現状
NPO法人屋上開発研究会 壁面緑化分科会

公園をもっと面白くする! ——「新プレイポートワンダー」全国パークキャラバン!
(株)コトブキ

Information/Products/Books
バックナンバー
次号予告/広告索引

ランドスケープデザイン
No.129 2019年12月発行

編集・発行人
丸茂 喬

[『ランドスケープデザイン」編集部スタッフ] 編集長
小林哲也

編集・デザイン
丸茂弘之
中村桂祐

営業・広告企画
中村桂祐

販売促進・海外事業
一ノ瀬健介

[協力スタッフ] デザイン
村上和(目次)

ロゴタイプデザイン
春口浩一郎

印刷・製本
(株)ティグ

取次店
トーハン、日販、大阪屋栗田

発行所
(株)マルモ出版
〒150-0036 東京都渋谷区南平台町4-8 南平台アジアマンション708
TEL 03-349657046
FAX 03-3496-7387
E-mail design@marumo-p.co.jp
HP: http://www.marumo-p.co.jp
twitter: http://twitter.com/marumo_p
ISSN 1341-4747
(株)マルモ出版 本誌標載の記事、写真、図版などの雑務および複写を禁じます。

表紙写真
編集部

LANDSCAPE DESIGN
No.129 December issue, 2019 [CONTENTS]

SPECIAL
ISSUE LANDSCAPE DESIGN with GREEN INFRASTRUCTURE

KOKEIYOUSUI SQUARE (Tajimi Station North Square)
Landscape design by studio on site
Biotope where organism can inhabit rainwater only Urban Biotope
Design & Construction by TOKYU CONSTRUCTION CO., LTD.

Roles of landscape planning in the post-industrial shrinking city:
Reflections from Turin, Italy
Text by Akiko lida, Takahiro Yamazaki, Kaoru Matsuo, Akito Murayama, Claudia Cassatella (Politecnico di Torino/ The University of Tokyo UNI-NUA Project Team)

LANDSCAPE WORKS
WASEDA University Building 37 Waseda Arena
YAMASHITA SEKKEI, SHIMIZU CORPORATION, PLACEMEDIA

Hitachi, Ltd., Central Research Laboratory Kyoso-no-Mori
OBAYASHI CORPORATION

Shonan Park Cemetery, Chigasaki Second Cemetery
GRANTS Inc.

REGULAR
[Column] Create a Society above the River surface
——To the “Riverpolitics” Land Renovation plan instead of “Geopolitics”
Yoshihiro Amimoto (ldea Engineering Laboratory Leader, Honorary Professor of Kyushu Sangyo University)

Record the landscape➓
Field Survey-3 (Hot springs)
MANO Kenji

Japanese garden lecture for landscape architects ⑤
Eichu Tsuda & Kourakuen
Lecture by Yoshiki Toda & Kanji Nomura

Investigate design of new indoor green ②
Over an indoor green example
• Atrium of KAJIMA KI building
Review by Shigeru Fujita and Midori Makishima
• AKASAKA NOUEN starts on the roof of KAJIMA KI Building

[Series) Forest Aesthetics and Landscape vol. 4
Deciphering Heinrich von Salisch’s Forstästhetik (Forest Aesthetics)
Landscape Architecture and Forest Esthetics
——The Roles of Contributors to “Garden and Forest”
Masami Shiba

Garden City EDO TOKYO 4
Text by Kazumi Shiina (Tokyo Metropolitan Park Association)

Hibiya Park: College of Green and Water for Citizens

MORE
[Memorial article] In honor of Ronald Matthew Herman
What the Second Generations of California Modernism, Ron Herman,
have learned from the First Generation Modernists
(Thomas Church, Garrett Eckbo, Lawrence Halprin)?
Toru Miyakoda (Keikan Sekkei Tokyo Co., Ltd. FASLA FULAU)

Key Point of Green Wall
NPO Sky Front Forum

Make the park more interesting!
kotobuki corporation

Information / Products / Books
back issue
notice / index of advertisement

LANDSCAPE DESIGN No. 129 December, 2019

editing publisher
Takashi Marumo

[LANDSCAPE DESIGN editorial staff] chief editor
Tetsuya Kobayashi

editor & design
Hiroyuki Marumo
Keisuke Nakamura

sales
Keisuke Nakamura

sales promotion & international affairs
Kensuke Ichinose

[cooperative staff] design
Kazu Murakami (contents)

logo design
Koichiro Haruguchi

printing
DIG INC.

agency
TOHAN, NIPPAN, OSAKAYAKURITA

publishing office
Marumo Publishing Co., Ltd
Nanpeidai Asia Mansions 708, 4-8. Nanpeita Shibuyaku, Tokyo, 150 0036
phone: +81 (0)3 3496 7046
FAX: +81 (0)3 3496 7387
E-mail: design@marumo-p.co.jp
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twitter: http://twitter.com/marumo_p
ISSN 1341-4747
©️Marumo Publishing Co., Ltd

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Editorial desk

特集
グリーンインフラ とランドスケープ

LANDSCAPE DESIGN with GREEN INFRASTRUCTURE

都市には意外と緑が多く、身近で自然の魅力を感じられたり気分転換ができたりとその悪意を受ける人も多い。だが一歩引いて観てみると、多くは大地に蓋をし、その上につくられた極めて人工的な自然であることに気づく。土木や造園技術に支えられてはいるものの、今の自然の猛威を目の当たりにすると、大地に根ざしていない自然の危うさを感じずにはいられない。
世界から災害大国と揶揄されることも多い日本だが、一方で自然の豊かさには羨望の目が向けられる。そして日本人はその恵みを享受しながら暮らしてきた。里山では森のもたらす恩恵を授かり、川からは水を引いて田畑に入れ、また生活用水として利用するなど、現代版グリーンインフラと言ってもいい生活を営んできた。
その先人たちの知恵と努力の賜物であるグリーンインフラの多くは、今暗渠の下で戦っている。その暗渠を外し、先人たちが自然をいかにして利用していたかを見直し、現代に相応しいグリーンインフラとは何かと自らに問うてみることも一考の価値があると考える。

テキスト ランドスケープデザインの歴史

ランドスケープデザインの歴史を学ぶ

本書は、ランドスケープデザインの近代史の教科書です。19世紀から2000年代に至るまでの、ランドスケープデザインに関する欧米諸国の歴史や日本の状況について学ぶことができます。

武田史朗(編著) (著), 山崎亮(編著) (著), 長濱伸貴(編著) (著), 霜田亮祐 (著), 村上暁信 (著), & 32 その他
出版社 : 学芸出版社 (2010/10/30) 、出典:出版社HP

はじめに

「さて、何から書き始めようか」と考えながらセントラルパークのベンチに座った。この本の最初のページを書くにあたって、ニューヨークのセントラルパークでゆっくり時間を過ごしてみたいと思ったのだ。隣のベンチでは黒人の老女が編み物をしている。目の前をジョギングする人たちが通り過ぎ、背後の茂みからはリスが走り回る音が聞こえる。そこへ白人の男性と小さな女の子が近寄ってきた。父親と娘がセントラルパークへ遊びに来ているのだろう。老女が女の子に声をかけると、すぐに3人の会話が始まった。

セントラルパークがつくられたのは今から約160年前。ランドスケープアーキテクトという職能が生まれたのもほぼ同じ時期だ。設計者のオルムステッドがその第1号を名乗り、以来160年に渡って世界各地で様々な風景がつくられてきた。オルムステッドが都市空間に込めた想いは3つある。「参加」と「芸術」と「環境」だ。人種差別に関する記事を書くジャーナリストだったオルムステッドは、あらゆる人の社会参加を願っていた。人種や性別や年齢に関係なく、ゆっくりと時間を過ごすことのできる公共空間をつくること。この視点はその後、様々な住民参加運動へと展開していく。「参加」の視点である。そして、こうした公共空間は美しい空間でなければならない。「芸術」の視点である。風景絵画のように美しい公共空間をつくること。この視点はその後、モダニズムなど設計における新しい美学の探求へと展開していく。最後は「環境」の視点である。過密化する都市内にきれいな空気を吸うことのできる良好な環境を生み出すこと。また、拡大する都市の成長を緑地で制御すること。これらの視点はその後、国立公園連動やナショナルトラストなどの環境保全運動へと引き継がれていく。

重心をどこに置くにせよ、現在ではこの3つの視点はランドスケープデザインにとって欠かせないものとなっている。オルムステッドが蒔いた種は着実に育っているといえよう。

この本は、その種が具体的にどう育ってきたのかをまとめたものである。ランドスケープデザインが、建築やアートや科学とどのように関わり、どう変化してきたのか。特にこれまであまり国内で紹介されてこなかったヨーロッパではどんな試みがなされてきたのか。これからランドスケープデザインや環境デザインを学ぼうとしている人にはぜひとも知っておいてもらいたい内容だが、すでに実務に携わっている人にとっても本書が「この分野が160年間どんなことに取り組んできたのか」を見直すきっかけになれば幸いである。また、建築、土木、都市計画などハード面の設計に携わる人たちはもちろん、まちづくり、コミュニティデザイン、環境保全活動などのソフト面にかかわる人たちにも本書の内容を知ってもらい、風景をめぐるハードとソフトの新たな協働プロジェクトが生まれることになれば望外の幸せである。

本書は概ね10年毎に章が区切ってある。各章の最初には当時の時代背景がまとめられ、続いてランドスケープデザインのトピックが述べられている。あくまで10年毎を基準にしつつも、関係性を読み取りながら前後の年代の出来事も入れ込むようにした。また、章の間にはコラムが挟まれており、各時代で特筆すべきトピックや日本におけるランドスケープデザインの展開が解説されている。本書における記述は、編著者による文献などの理解や歴史的背景の解釈に拠っている部分が大きい。過不足などについては読者の方々から専門的なご指摘やご批判をいただき、ランドスケープデザインの歴史に関する理解を相互に深めたいと考えている。

この本をつくるにあたっては多くの人に協力してもらった。編者からの依頼で本文やコラムを執筆していただいた方々には、巻末に名前を挙げて感謝したい。なかでも、コラム執筆だけでなく全体を通して内容を確認していただいた宮城俊作さんには特に感謝したい。また、本書の編集を担当してくれた井口夏実さんにも同様の感謝を示したい。

隣のベンチで会話していた女の子が走り出し、白人の父親は黒人の老女に軽く挨拶すると女の子を追いかけて去っていった。老女はしばらく彼らを目で追った後、ゆっくりと視線を落として再び編み物を始めた。人種も性別も年齢も関係なく、誰もが気持ちのいい時間を過ごすことのできる美しい公共空間。木々の葉が黄色に色づき始めたセントラルパークで、160年を経た今もなお人々に必要とされている公共空間が存在することに改めて感心した。ニューヨークは秋である。

2010年10月
編者一同

武田史朗(編著) (著), 山崎亮(編著) (著), 長濱伸貴(編著) (著), 霜田亮祐 (著), 村上暁信 (著), & 32 その他
出版社 : 学芸出版社 (2010/10/30) 、出典:出版社HP

目次

はじめに/モダンランドスケープデザイン史略年表

Ⅰ 1850-1939 : 民主主義と工業化の時代

第1章 1850-1899 近代ランドスケープデザインの幕開け
0 時代背景
1 イギリスの公園の誕生
2 都市施設としての公園
3 都市の骨格としての公園
4 自然公園運動
column オルムステッドがめざした社会改革
column ピクチャレスク――世界のコントロールという命題を巡って

第2章 1900-1919 理想都市の風景
0 時代背景
1 コミュニティの都市
2 美しい都市
3 ナショナルトラスト
column 田園都市レッチワース誕生前夜――ハワードの夢と実践
column 庭園から共用庭園、そして都市公園へ――イギリスのスクエアーの場合

第3章 1920-1929 車社会と抽象芸術
0 時代背景
1 パークウェイと郊外開発
2 キュビスムの庭
column アヴァン・ギャルドの台頭――20世紀のアートシーン
column ミースの空間構成と庭園のモダニズム

第4章1930-1939 モダニズム
0 時代背景
1 ランドスケープのモダニズム
2 自然主義とモダニズムの対話―アメリカ―
3 国家社会主義とモダニズム―ヨーロッパ―
column 建築・都市計画のモダニズム概観る

日本 1850-1939
概観① :公共空間を対象とする職能集団の誕生
美しい国土づくりの実践者、本多静六
関東大震災が生んだ52の小公園

Ⅱ 1940-1979 : 都市生活と環境の対峙

第5章 1940-1949 生活空間の機能と造形
0 時代背景
1 カリフォルニアの変革―アメリカ―
2 CIAM 都市計画とコラボレーション―オランダ―
3 幾何学と自然主義―北欧―
4 地域主義的モダニズム―中南米―
column アメリカ・モダンランドスケープの父、トーマス・チャーチ
column ベルギーのジャン・カニール・クラス

第6章 1950-1959 モダンデザインの生産
0 時代背景
1 モダンランドスケープの展開―アメリカ―
2 CIAM 都市計画の光と影―オランダ―
3 グッド・デザインの探求―スイス―
column 拝啓 ヒデオ・ササキ様
column 水平面への寵愛――カルロ・スカルパの庭

第7章 1960-1969 都市空間への挑戦
0 時代背景
1 組織設計事務所の確立―アメリカ―
2 自然とモダニズム―アメリカ―
3 コミュニティとモダニズム―アメリカ―
4 園芸から都市空間へ―フランス―
5 土木景観のリアリズム―オランダ―
columnローレンス・ハルプリンの仕事
column環境分析とプランニング手法の進化

第8章1970-1979 ポストモダンと環境への眼差し
0 時代背景
1 建築の屋外への展開
2 体験者のためのデザイン
3 環境主義のランドスケープ―アメリカ―
4 自然主義から工学主義へ―ドイツ―
5 ヴェルサイユの教育と職能の確立―フランス―
column アースワークが生み出す空間体験
column ベトナムベテランズ・メモリアル――都市に対峙する寡黙な壁

日本 1940-1979
概観②: ランドスケープデザインの確立をめざして
「庭は人」である
「辺境」日本におけるニュータウン開発

Ⅲ 1980-2009: 風景の再構築に向けて

第9章 1980-1989 ミニマリスムと現象の美学
0 時代背景
1 ラ・ヴィレット公園国際設計競技
2 ローカルなポストモダニズム
3 アートとデザインの境界線
4 アートとしてのランドスケープデザイン
5 現象の美学
column ピーター・ウォーカーとミニマリスムの美学
column 1980年代のウォーターフロント開発

第10章 1990-1999 ランドスケープアーバニズム
0 時代背景
1 ヨーロッパの新しい波
2 エコロジーとデザイン
3 ランドスケープアーバニズムへ
column ペンシルバニア大学ランドスケープアーキテクチャー学科の伝統と進化
column 参加のデザイン

第11章 2000-2009 環境、都市、人
0 時代背景
1 環境とランドスケープ
2 都市とランドスケープ
3 人とランドスケープ
column 「次の自然」のデザインリテラシー

日本 1980-2009
概観③: ランドスケープデザインの社会化
日本のエコロジカル・ランドスケープ計画
市民参加型パークマネジメントの変遷

図版出典・参考文献
ランドスケープデザイン重要人物事典
索引

武田史朗(編著) (著), 山崎亮(編著) (著), 長濱伸貴(編著) (著), 霜田亮祐 (著), 村上暁信 (著), & 32 その他
出版社 : 学芸出版社 (2010/10/30) 、出典:出版社HP