IPOは野村にきいてみよう。

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はじめに

本書は、未上場企業の経営者や、これから起業したいと考えている方々に、IPO(Initial Public Offering=株式上場)に関する基礎知識や、将来のIPOに向けての心構えなどについてお伝えするために企画したものです。

わたしたち野村證券が主幹事証券会社としてこれまでに数多くの企業のIPOをお手伝いしてきた経験に基づき、どうすればIPOを実現し、企業をさらなる成長へと導けるのか、わかりやすく解説します。国内の新規上場会社数は、リーマンショックの起きた2008年に、前年の121社から49社に急減し、その後4年間は、年間20〜30社前後とさらに大きく落ち込みました。しかし、2013年に始まったアベノミクスによる株式市況と景気の回復や、革新的なテクノロジー、斬新なビジネスモデルを有する新興企業などのIPOニーズの高まりとともに、ここ数年は増加傾向にあります。

わたしたちは、日本のIPO市場を盛り上げて、日本経済そのものをもっと元気にしたいと考え、IPOの支援に全力で取り組んでまいりました。
その想いから、リーマンショックの影響で他の証券会社がIPO支援部門を大幅に縮小した2009年以降も、証券業界のリーディング・カンパニーとしてIPO分野へのコミットメントを弱めることなく、全社的な支援サービスを継続的に提供してきました。

その結果、2010年には国内のIPOにおける主幹事シェアは73%に達しました。2017年までの直近10年間でも、本則市場(東証一部・二部)に上場を果たした企業の約半分の主幹事を務め、時価総額30億円未満の比較的小規模なIPO案件でも3割近いトップシェアを獲得しています。

「野村證券は、小さな会社は相手にしないのではないか?」と言われることもありますが、決してそんなことはありません。どんな会社であっても、経営者が会社の成長を強く求め、その手段としてIPOを目指されるのなら、わたしたちはその実現に向けて精一杯ご支援させていただいています。

本書には、わたしたちがこれまでにご支援し、IPOを実現された企業の事例を数多く紹介させていただきました。社員わずか3名で創業し、IPOによって急成長を遂げたGunosyなど、スタートアップ企業(創業後間もないベンチャー企業)の成功事例も含まれていますので、「これから会社を立ち上げ、ゆくゆくは上場を目指したい」とお考えのアントレプレナー予備軍の方々にも、参考にしていただければ幸いです。

このほかにも、IPOを実現したさまざまな業種の経営者や実務担当の方々にインタビューを行ない、「なぜ、IPOを目指したのか?」「どのような成果が得られたのか?」「IPO後に感じたメリットやデメリットは何か?」「準備の過程において、どのような点に苦労したのか?」といったことについて、忌憚なく語っていただきました。読者の皆さまには、ぜひご自身に当てはめながら、IPOの目的や意義を考えていただくとともに、IPOにまつわる疑問や不安を払拭していただければと思います。

また、本書では、IPOの準備から実現に至るまでの具体的な実務の流れについてもわかりやすく紹介しています。準備の各ステップにおいて、主幹事証券会社や監査法人といった外部パートナーといかに連携すれば、スケジュールどおりに準備が進行し、上場できるのかといったことがよくおわかりいただけると思います。この実務に関する章(第2章)では、わたしたちが上場準備をどのようにお手伝いしているのかについても紹介しています。

野村證券には、IPOのアドバイザリー業務を専門的に行なう公開引受部のほかに、IPOを検討・準備しているお客さまとの直接の窓口となる本社・支店の担当部署、主幹事証券会社としての審査を行なう引受審査部、新規公開株の株価決定(プライシング)や投資家への株式の配分(アロケーション)を行なうシンジケート部など、IPO支援に携わる数多くの部署があります。この他に、未上場企業のリサーチを専門に行なうグループ会社(野村リサーチ・アンド・アドバイザリー株式会社)もあります。それぞれの部署が高度な専門性を発揮しながら緊密に連携し合うことで、IPOを支援しています。

「野村證券は、他社に比べて審査が厳しい」という評判を耳にすることもあります。しか
し、わたしたちはお客さまが確実にIPOを実現し、その後も上場会社として投資家と向
き合っていただくために必要なアドバイスや審査をさせていただいております。
実際、わたしたちの支援によってIPOを果たされたお客さまからは、「野村證券が豊富な経験と高い専門性に基づいて適切なアドバイスをしてくれたおかげで、証券取引所の審査がスムーズに進んだ」といった評価をいただくことも多いようです。

準備が不十分ですと、証券取引所による審査に時間がかかり、上場予定が数年先延ばしになってしまうこともあります。その結果、上場を前提として描いていた成長戦略に大きな狂いが生じてしまうことも考えられます。

わたしたちは、お客さまがスムーズにIPOを実現し、目的にかなった最大限の成果が得られるように全力でお手伝いすることを心がけています。ぜひ、本書をご一読いただき、IPOに関する理解を深めていただくだけでなく、わたしたちがIPO支援に取り組む真摯な姿勢についてもご理解いただけますと幸いです。

野村證券 公開引受部 (著)
出版社: ダイヤモンド社; 1版 (2018/1/17)、出典:出版社HP

目次 – IPOは野村にきいてみよう。

IPOは野村にきいてみよう。
はじめに
目次
第1章 なぜ経営者は株式上場を目指すのか?
最新のIPO事情
IPOを実現したベンチャー企業の経営者たちが明かす成長のための「覚悟」と「決断」
どんな会社にもチャンスはある
マンションの1室から始まったGunosyの躍進
自由な意思決定と引き換えに成長への道を切り拓いたTKP
経営者たちのIPOへの想い
IPOすることの意義と上場企業になることの責任とは?
そもそもIPOとは何か?
上場企業が負うべき責務とは?
それでもIPOを目指す理由
復活の兆しが見えはじめた日本のIPO市場
世界金融危機で急減も、ここ数年は着実に増加
IPOの盛り上がらない日本経済に未来はない

第2章 IPOまでのスケジュールとやるべきこと
IPO実現に欠かせないのは壮大な事業計画よりも、経営者の「覚悟」と「誠実さ」
埋もれた原石が輝くダイヤに変わる
証券会社はどんな視点でIPO候補企業を探しているのか?
経営者の「覚悟」と「誠実さ」が実現可能性を高める
上場までには、どれくらいの年数を要するのか?
キックオフミーティングからファイナンスまでIPO準備の7つのステップ
ステップ①キックオフミーティング
ステップ②基礎資料を提出する
ステップ③事前準備が始まる
ステップ④証券会社による審査
ステップ⑤上場申請
ステップ⑥証券取引所審査
ステップ⑦ファイナンス手続き
そして、ついに株式上場へ
いいパートナー選びが「はじめの一歩」
IPOの成否は主幹事証券会社によって決まる
取材・文ダイヤモンド社書籍編集部
そもそも主幹事証券会社とは何か?
毎年30社近くのIPOに携わる野村の強みとは?
野村はスタートアップ企業の支援にも力を入れている
未上場企業専門のリサーチ部隊 野村R&A
「野村の審査は厳しすぎる」は本当か?
リーディング・カンパニーならではの頼もしいファイナンス力
IPOを実現した企業に聞く、「野村を選んだ理由」

第3章 ケーススタディ
経験してみてわかったIPO
いまだから明かせるIPOに至るまでのさまざまな苦悩
主幹事を最終決定するまでに多くの証券会社を転々
脱!オーナー経営、公私混同をいかに解消するか?
土砂降りのなかで出待ち、時には社長を説得する度胸と野村イズム
予算どおりの結果を出し続けることの難しさ
毎日3〜5件の投資家を訪問、汗と涙のロードショー
IPOによって実感した未上場企業と上場企業の大きな違い
社会的信用力が向上した結果、事業展開や事業提携が加速
知名度が上がり、多様な人材が獲得できるようになった
社員の士気が向上、家族からも感謝の声が
上場に向けてビジネスモデルを見直し、長期的な成長への道を拓く

野村證券 公開引受部 (著)
出版社: ダイヤモンド社; 1版 (2018/1/17)、出典:出版社HP