基礎知識とビジネスチャンスにつなげた成功事例が丸わかり! SDGs見るだけノート

【最新 – SDGsを知る・学ぶおすすめ本 – ビジネスマン、学生にも最適!】も確認する

SDGsがビジュアルで理解できる

「見るだけノート」と言うだけあって、ビジュアルで頭にスッと入るようにできています。経営視点も入れてあり、基礎がしっかり盛り込まれています。イラストや図の使い方が上手く、かなりイメージがしやすくなっています。初学者の方が初めて触れるには最適の一冊です。

はじめに

SDGs先進国・日本を目指す

「SDGs」(エス・ディー・ジーズ)という言葉を新聞などで見ない日はなくなりました。
SDGsは、「サスティナブル・デベロップメント・ゴールズ」の略語で、「持続可能な開発目標」と訳されています。
「持続可能性」とは、「世のため、人のため、自分のため、そして子孫のため」というイメージです。この「子孫のため」という世代を超えた軸が入っていることが非常に重要です。
SDGsは、自主的取り組みが基本です。やれる人がやれるところからすぐにでも着手しようというルールです。そうしなければ、もはや地球規模の課題の対処に間に合わないという危機感が背景にあります。
このルールは怖いです。どんどん差がつくからです。「ぼーっと」していれば置いていかれます。日本が欧米に置いていかれる。日本の中でもSDGs仲間の埒外に置かれる—。
ルールが変わったのです。横並び思考から一刻も早く抜け出して、すぐにでも自社は何をすべきか、自分は何ができるかを、SDGsをヒントに考えなければいけません。今ならまだぎりぎり間に合うでしょう。
SDGsが2015年の9月に採択されてから、すでに4年以上経ちました。目標としている2030年まで、あと10年です。残念ながら、欧米に比べ日本は出遅れています。
SDGsは突き詰めると文明論ではないでしょうか。SDGsの取り組み方も国の文明によって異なると、つくづく思います。例えば、スウェーデンのグレタ・トゥーンベリさんへの反応などにもお国柄が表れます。ミレニアル世代とか、それより若いポストミレニアル世代のほうが、SDGsに高い関心を寄せる比率が非常に高いです。
日本には、和の精神や「三方良し」(自分良し・相手良し・世間良し)のような商習慣があり、SDGsを加速させるポテンシャルは極めて高いのです。
ところが、これが「くせ者」です。このため、「わざわざ外来のSDGsなどいらない」との議論になりやすいのです。ここが運命の分かれ目になります。
このような思い込みと横文字への苦手意識もあって、SDGsを「スルー」してしまうのです(筆者はこれを「SDGsスルー」と呼んでいます)。
三方良しはよいのですが、今のところ世界には通用しません。それは陰徳の美を良しとして、あえて自分から発信しないことが多かったためです。
そこで筆者は、「発信型三方良し」を提唱してきました。「三方良し」の「世間」の課題が、今はSDGsだと考えればよいのです。つまり「発信型三方良し」を「SDGs化」していけば世界に通用するのです。これが現代版「三方良し経営」です。
SDGsは、要約すれば、地球規模の課題を考え、「持続可能な未来の発展」について語るための世界の共通言語であり、世界に通用する「羅針盤」です。私は、農林水産省や外務省・環境省で勤務し、清涼飲料水メーカーの「伊藤園」では取締役などでSDGsに関わってきました。今は千葉商科大学・教授として、教壇に立っています。結果、「産官学」(産業・官界・大学)のすべてを経験し、この羅針盤の重要性がわかりました。
SDGsは、幅広く、経済・環境・社会の課題をカバーし、企業経営や地方創生に直結します。そして、2021年に延期になりましたが、東京オリンピック・パラリンピックは、SDGsで調達や運営のルールができています。続いて、2025年開催予定の日本国際博覧会、通称「大阪・関西万博」のテーマもSDGsです。ぜひオールジャパンで、目標達成を目指しましょう!
SDGsは、企業、自治体、団体のビジネスパーソンをはじめ、学生にも必須の「新常識」となりました。
本書、『SDGs見るだけノート』は、ビジュアルで頭にすっと入るようにできています。一方、SDGsについて、経営視点も入れて、必須の基礎はしっかり盛り込まれています。
すべての人にとっての、SDGsについての早わかりのための入門書として最適です。
本書が、これからSDGsを学ぼう、実践しようと考えている皆さんの一助になることを願っています。
千華商科大学・基盤教育機構・教授 SDGsコンサルタント
笹谷秀光

いま世界が直面している問題

世界には様々な問題や課題があり、それらを解決しないと人類や地球の繁栄は続きません。

もう3日も食べてない…
しかも飢餓人口の3分の2がサハラ以南アフリカと南アジア地域に集中している
→世界で約7億人(約10%)が極度の貧困の中で暮らしている
→世界で約8億人(約10%)以上が栄養不良に陥っている

紛争で故郷が破壊された…
紛争や内戦、テロ、暴動など様々な問題が難民を生み出しています
→世界には7000万人以上もの難民がいる

学校で勉強がしたい…
世界の6~14歳の子どもたちのうち、5人に1人が学校に通えていません
→世界には電力を利用できない人が約8億4000万人いる
→世界では約7億8000万人(約10%)が安全な水を確保できていない
→約7億5000万人(約10%)の人々(成人)は文字の読み書きができない

出典:数値等は国際連合広報センター「SDGS報告2019」、国際連合難民高等弁務官事務所(UNHCR)報告書「グローバル・トレンズ」を基本にした。以下の本文では、これ以外の各種資料も適宜援用する。

世界人口は、約77億人
※2019年時点

日本の技術力を生かそう…
5Gなどの通信技術、医療技術などが期待されている
→複雑な課題解決には、企業の本業力をつかった創造性とイノベーションが必要だ

日本
→経済・環境・社会の面で深くつながっており、世界の課題は日本の課題でもある

防災のために何をすれば…
日本でも洪水や豪雨、高潮などへの対策が喫緊の課題になっています。
→地球温暖化が原因で世界で自然災害の発生頻度が増加し続けている。


→今のまま2050年まで海洋汚染が続けば、海には生物よりゴミのほうが多くなるといわれている

病院さえあれば…
そのうち約半数は、生後1カ月未満の新生児です
→世界では年間約540万人もの子どもたちが5歳未満で命を落としている

いま企業がSDGsに取り組むメリット

大企業か中小企業かを問わず、SDGsに取り組むことは企業に様々なメリットをもたらします

ビジネスチャンスの獲得
SDGsの達成により、2030年までに世界で年間12兆ドルの経済価値が生まれると予測されており、将来的にはSDGsに関わる巨大なビジネスチャンスが期待できます。
12兆ドルということは…日本円で約1300兆円!
※1ドル=約108円で換算

資金調達が有利に
環境、社会、企業統治に配慮する企業を重視して行なわれるESG投資(▶︎P.82)の対象となることにより、資金調達のうえで有利になります。
地球環境のためにもSDGsに取り組んでいない会社には投資せん!

コミュニケーション・ツール
SDGsは全世界共通の枠組みであることから、社会的課題に取り組む企業を、他企業や自治体、NPO団体などの組織と結び付けるきっかけとなります。また、国内外の組織と認識を共有し、相互理解をはかるためのツールとしても有効です。
SDGsがきっかけで新しい分野の仕事もゲットできそうだ
SDGs共通認識となって取引先とのパートナーシップも強まった

生存戦略として有効
今後は、SDCSへの対応がビジネスにおける取引条件となる可能性もあります。その際、SDGsへの取り組みは持続可能な経営を行なうための生存戦略となります。
ブーン。僕らの未来のためにもSDGsは必要だなぁ

新規事業の創出
SDGsに取り組むことで、新たな事業領域や取引先、事業パートナーなどを獲得する機会が増え、今までになかったイノベーションを生む可能性も広がります。
なんだか最近、この街はきれいになったかも
SDGsを軸に考えたらこれまでになかったアイデアが生まれたぞ

人材不足の解消
人間らしい職場環境をつくることで離職率が減り、企業イメージの向上によって「この会社で働いてみたい」という人も増えます。
将来は隣の会社で働きたいなあ
ご苦労さまですいつもありがとう
この会社で社会貢献できる仕事を続けよう

企業への信用度の向上
SDGsへの取り組みを通して、多くのステークホルダーに「この会社は信用できる」という印象を与えることができます。
環境保護のためにもあの会社の製品を購入することにしよう

地域での信頼獲得
事業や雇用の創出、地域課題の解決や防災協力などで社会や地域に本業で貢献することが、地域での信頼獲得にもつながります。
今後、SDGsに取り組んでいない企業は、取り組むことで得られるチャンスや利益を逃してしまう可能性も

Contents

はじめに

いま世界が直面している問題

いま企業がSDGsに取り組むメリット

Chapter1 そもそも「SDGs」って何?
01 そもそもSDGsって何?
SDGs、17の目標(ゴール)
02 なぜ、SDGSができたの?
MDGsとの違い
03 SDGsが達成できなかったら世界はどうなる?
持続可能な発展
04 SDGs達成のために、どうすればいい?
個人の意識改革
05 SDGsが理解しやすくなる5つの「P」
5つの「P」
06 232のグローバル指標
グローバル指標
07 世界の国々のSDGs達成状況
SDGs達成度ランキング
08日本のSDGs達成度は「世界15位」
グローバル・ジェンダー・ギャップ報告書

Column No.01—–エシカル消費とSDGs
Chapter 01 ———用語解説

Chapter2 最初に押さえておきたいSDGSの17目標
01 目標1
貧困をなくそう
国際貧困ライン、多次元貧困指数、相対的貧困
02 目標2
飢餓をゼロに
飢餓、栄養改善、持続可能な農業
03 目標3
すべての人に健康と福祉を
世界的感染症、医療格差、交通事故死
04 目標4
質の高い教育をみんなに
持続可能な開発のための教育、学べる環境を整える

05 目標5
ジェンダー平等を実現しよう
グローバル・ジェンダー・ギャップ指数、女性活躍
06 目標6
安全な水とトイレを世界中に
安全な水、トイレの整備、治山治水
07 目標7
エネルギーをみんなにそしてクリーンに
化石燃料、クリーンエネルギー
08 目標8
働きがいも経済成長も
働き方改革、ディーセント・ワーク、児童労働
09 目標9
産業と技術革新の基盤をつくろう
技術革新、レジリエントなインフラ
10 目標10
人や国の不平等をなくそう
格差是正、グローバル・タックス
11 目標11
住み続けられるまちづくりを
スラム化、地方創生、スマートシティ
12 目標12
つくる責任つかう責任
食品ロス、エコロジカル・フットプリント
13 目標13
気候変動に具体的な対策を
地球温暖化
14 目標14
海の豊かさを守ろう
廃プラスチック、海のエコラベル、海洋温暖化
15 目標15
陸の豊かさも守ろう
生物多様性、砂漠化
16 目標16
平和と公正をすべての人に
コンプライアンス、情報セキュリティ
17 目標17
パートナーシップで目標を達成しよう
グローバル・パートナーシップ、官民協働

Column No.02 —-利益至上主義の弊害とサプライチェーンの問題点
Chapter 02 ——–用語解説

Chapter3 企業とSDGsの関係
01 企業がSDGsに取り組むメリットは?
環境問題、社会問題
02 SDGsの経済効果
ビジネスと持続可能な開発委員会
03 ステークホルダーとSDGs
ステークホルダー、認証ラベル
04 企業の社会的責任とは?
TBL、CSR、CSV
05 SDGsがもたらすビジネスチャンス
経済価値の創出
06 ESG投資って何?
ESG投資、責任投資原則(PRI)
07 ESG投資の7つの手法
ネガティブ・スクリーニング

Column No.03—-ESG投資が変える地球の未来
Chapter 03 ——-用語解説

Chapter4 「SDGsビジネス」のつくり方
01 SDGsコンパスって何?
国連グローバル・コンパクト、SDGコンパス
02 SDGsコンパス ステップ1 SDGsを理解する
ビジネスモデル
03 SDGsコンバス ステップ2 優先課題を決定する
バリューチェーン、ロジックモデル
04 SDGsコンバス ステップ3 目標を設定する
KPI、コミットメント
05 SDGsコンパス ステップ4経営へ統合する
リーダーシップ
06 SDGsコンパス ステップ5 報告とコミュニケーションを行なう
4つのC
07 PDCAサイクルでSDGsを考える
PDCAサイクル
08 SDGsを企業戦略に落とし込むには?
ロジックモデル
09 パックキャスティングで考えよう
フォアキャスティング、バックキャスティング
10 トップコミットメントが重要
トップコミットメント
11 持続可能なサプライチェーンとは?
サプライチェーン
12 バリューチェーンからのアプローチ
バリューチェーン・マッピング、バリューチェーン
13 SDGs推進のためには連携も大切
他者との連携
14 非上場企業にSDGsは関係ない?
SDGsに取り組むメリット
Column No.04——SDGsウォッシュの落とし穴
Chapter 04 ——用語解説

Chapter 5 「自治体SDGs」が私たちの生活を変える
01 地方自治体と持続可能なまちづくり
地方自治体
02 SDGs未来都市」とは?
SDGs未来都市、自治体SDGsモデル事業
03「産官学金労言」が協働で地域活性化
まち・ひと・しごと創生法
04 国際的なイベントとSDGs
オリンピック・パラリンピック、大阪・関西万博

Column No.05——「持続可能性に配慮した調達コード」とは?
Chapter 05 ——–用語解説

Chapter6 SDGs国内外の先進事例に学ぼう
01 【海外企業】ユニリーバー
02 【日本企業】日本フードエコロジーセンター
03 【海外企業】BASF(脱化石燃料)
04 【日本企業】日本リユースシステム(古着deワクチン)
05 【海外企業】ネスレ
06 【日本企業】イオン九州・味の素 九州事業所など
07 【海外企業】インテル
08 【地方自治体】北海道下川町
09 【地方自治体】鹿児島県大崎町
10 【その他】魚町商店街振興組合

Column No.06——地方創生ビジネスと「SDGs未来都市」

SDGs(持続可能な開発目標)
17の目標と169のターゲット

巻末付録「ナマケモノにもできるアクションガイド」とは?

掲載用語索引

おわりに