決定版! 高い声で歌える本 (高音拡張のためのトレーニングCD付き)

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正しく高音を出すためのバイブル

前半部は理論についてまとめられています。声が出るメカニズムや声がひっくりかえる転換点についてなど、とても丁寧に説明で理論を理解することができます。後半は、理論に基づいたトレーニングで、根拠に基づいたトレーニングが出来ます。トレーニングの為だけでなく、読み物としても面白い本です。

高田 三郎 (著)
出版社: リットーミュージック; A5版 (2015/9/25)、出典:出版社HP

はじめに

皆さん、私の本にご興味を持って頂き、ありがとうございます。
本書『決定版! 高い声で歌える本 高音拡張のためのトレーニング CD付き』は、2002年に初版が発行された『高い声で歌える本』と 2008年に初版が発行された『高い声で歌えるデイリー・トレーニング・ブック』を1つに合体させた豪華な本です。デザインも新たに、要所をギュッと凝縮した本書を皆さんにお届けできるのが嬉しくてたまりません。
早いもので『高い声で歌える本』を発表してから13年の歳月が流れました。当時はヴォイストレーニングの教則本など数えるほどしかありませんでしたし、私の知る限りでは感覚的な発声指導がそのまま本になったようなものがほとんどであったと記憶しています。そんな中、科学的に発声理論を紹介した本というのは珍しかったのか、『高い声で歌える本』は一大ブームとなり、テレビ局や雑誌からの取材も多く受けるほどの反響を頂きました。
さらに、同書はその後、韓国でも翻訳され、現在でも韓国で一大センセーションを巻き起こしているそうです。遠く韓国から私のレッスンを受けに来た有名ヴォイス・トレーナー、ホーサン氏と一流プロデューサーでサックス・プレーヤーのチェン氏から「韓国のプロ・ヴォイストレーナーは全員が高田先生の『高い声で歌える本』韓国版をバイブルとして持っているのですよ」と教えてくれたことには感激しました。

学生時代からプロ・ヴォーカリストを目指していた私は、多くの有名な先生に指導を受ける幸運に恵まれました。大学を卒業してアルバイトに明け暮れながらバンド活動をしていた時代も、浜田省吾さんのサポート・ヴォーカルに抜擢されプロの道を歩むようになってからも、熱意ある先生たちの指導を受けながら勉強を続けました。
どの先生にも素晴らしいものを教えて頂いたので、なんの不満もありませんでした。ただ、各先生の教える内容がそれぞれでは微妙に違ったり、時には相反している内容もあったりしたので不思議に思うことがありました。いつしか、それぞれが正しいはずの各先生 の指導法を1つに集約できるような発声理論、指導メソッドはないものか?と考えるようになりました。

例えるなら物理学者にとって夢の課題である、“重力”“電磁気力” “強い力”“弱い力”というそれぞれは完成されている個別の理論を、 さらに1つの理論で説明できる大統一理論”の構築のように。ヴォイス・トレーニングでも統一的な理論、メソッドを確立することはできないだろうかという気持ちが日に日に強くなっていきました。
そこで、以前から音楽業界筋から噂を聞いていた全米ナンバー・ ワン・ヴォイス・トレーナーと言われるセス・リッグス氏の門を叩くことを決意したのです。氏はスティーヴィー・ワンダー、マイケル・ジャクソンなど、教え子を数え上げたらきりがないヴォーカル・コーチのレジェンドです。幸運にもハリウッドにある彼のスタジオで直接レッスンを受けることができ、科学的な検証に基づいた発声理論、特に高音発声のメソッドを学ぶことができたのです。また異例の短期間で日本人として初めてのセス氏の協会公式トレーナー資格を取得しました(2000年、2001年と連続して取得しましたが、現在は更新していないので元公式トレーナーということになります)。さらにアメリカで大量に買い込んできた理論書を読破し、独自の仮説も含めて皆さんにお伝えしたのが『高い声で歌える本』でした。

そして、さらに多くの学術書を読破し、自分で試した結果をCD 付きトレーニング・ブックとしてその6年後に出版したのが『高い声で歌えるデイリー・トレーニング・ブック』です。前者の理論部分を、後者でさらに発展させていますが、改訂にあたりそれぞれをあえて書き直すことはしませんでした。今回初めて『高い声で歌える本』を手にして頂く方にも、私の発声研究の変遷をわかるようにしておきたかったからです。
“高い声が出せる”ということは、発声全体が良い状態であるということです。そのことが、この本を読んで頂くとわかると思います。本書が皆さんの歌唱人生を少しでも豊かにできることを願っております。

2015年8月18日(大安)
高田三郎

映像を併用し、発声に対する理解をもっと深めよう!!
『高い声で歌えるDVD』でヴァーチャル・レッスンを体感

高田 三郎 (著)
出版社: リットーミュージック; A5版 (2015/9/25)、出典:出版社HP

CONTENTS

Chapter1 高い声が出したい
高い声が出したい….
すぐ喉をつぶす日本人アーティスト
喉をつぶしまくった僕のアマチュア時代
海外のアーティストは声が高い?
練習の嫌いな日本人
日本は発声指導後進国?
新たな発声理論を求めてアメリカ、ロサンゼルス
セス・リッグス氏との出会い
実は海外には高域発声のメソッドがあった
いきなりセス氏の日本人初の認定トレーナーに
研究の成果を皆でシェアしたい

Chapter2 間違ったメソッドに苦しむ生徒たち
間違った練習方法へのこだわりは捨てよう
間違ったメソッドによる地獄に苦しむ生徒たち
フラット地獄
声がれ地獄
ヴォイストレーナー放浪地獄

Chapter3 混沌とする発声理論と指導の現状
混乱する声質と声区
マライア・キャリー、MISIAの超高音域
共鳴中心の指導が間違っているわけ
誤った共鳴指導を続ける人たち
混迷する呼吸指導法
ヴォイストレーナーに御用心?

Chapter4 科学的発声を知るための最新兵器たち
発声の仕組みを明らかにする技術
オシロスコープによる波形分析
筋電計
振動計
X線撮影
ファイバースコープによる声帯のストロボ高速撮影
スペクトル・アナライザー
コンピュータによる音声、歌唱解析、歌唱指導
ホログラフィーによる振動分析

Chapter5 科学的発声メカニズム
この章について
音 (sound)とは?
声 (voice) とは?
歌 (singing voice) とは?
発売システム (system)
呼吸法 (breathing)
喉頭 (larynx)
声帯 (vocal cords)
高さ (pitch)
強さ (intensity)
共鳴 (resonance)
アンザッツ、プレーシング、音をおく、とは何か?
フレデリック・フースラー教授

Chapter6 ヴォイスの分類と声区
ヘッド・ヴォイスとは何ですか?
クオリティ・オブ・ヴォイス
声区(resister)

Chapter7 高域発声メカニズムの全容
まず結論
声帯振動パターンの変化
声帯振動部が前に移動していくわけ
高田仮説:声帯振動部の削減過程においての仮説
ヴォイス・ミックス
サウンドビーム理論

Chapter8 発声理論はここまで進んでいた!
ここからさらなる新知識をお届けします
正しいヴォイス・トレーニング?
呼吸はボイルの法則でOK!
声帯振動はベルヌーイに聞け
発声の謎を解明する最新兵器
声道フィルター
母音とフォルマント調整
声門下共鳴とTAの最大活動
声帯削減と高田仮説
高田仮説のその後

Chapter9 デイリートレーニング
エクササイズを始める前に
ウォーミングアップ
スティーヴィーヘッド
喉の解放
マメミモムーブ
ラララとロロロロ
リップロールとタングトリル
リラックススタッカート
モウモウトレーニング
母音のトレーニング

Chapter10 基礎トレーニング
ブレストレーニング
メジャースケール練習(2度)
メジャースケール練習(3度)
ナインノーツ
マイナースケール練習
シャープ音
半音階の練習
メジャーアルペジオ
マイナーアルペジオ

Chapter11 高音域開発トレーニング
ヴォーカルフライ
跳躍するヴォーカルフライ
圧力調整 (リップロール)
圧力調整 (タングトリル)
オクターヴ半のリップロール
オクターヴ半のタングトリル
CTトレーニング
下行によるCTトレーニング
TAトレーニング
ぎりぎりチェストのTAトレーニング
10度音域のTAトレーニング
TA-CTトレーニング=ミドル・ヴォイス
声帯削減の基礎トレーニング
ポルタメントで声帯削減.
音階練習による声帯削減
フォルマントコーディネーション (F2)
フォルマントコーディネーション (F1)
フォルマントコーディネーション (F1+F2)
フォルマントコーディネーション (仕上げ)
ハイトーン最終トレーニング
デス声トレーニング


Chapter 1~7は「高い声で歌える本」(2002年)からの抜粋です。同書に収録されていた“高音域開発トレーニング”は本書Chapter 9以降と重複する内容があるため割愛しています。

Chapter 8~11は「高い声で歌えるデイリー・トレーニング・ブック」(2008年)からの抜粋です。“君はもっともっと上手くなれる”“ヴォーカリストのための譜面攻略法”“高い声が 出た人の声”は割愛しました。

高田 三郎 (著)
出版社: リットーミュージック; A5版 (2015/9/25)、出典:出版社HP