上馬キリスト教会の世界一ゆるい聖書入門

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楽しく読める聖書入門

本書は、「ゆるくざっくりとキリスト教に親しんでもらう」ことをコンセプトに書かれています。実際、たくさん比喩を用いたゆるい口語体で書かれていて、クスッと笑える箇所もあります。スラスラと読めるので、読み物としてもおすすめの一冊です。

上馬キリスト教会 (著)
出版社 : 講談社 (2018/11/29)、出典:出版社HP

はじめに

この本のコンセプト ~ ゆるくざっくりとまいります ~

この本は「ゆるく、ざっくりと」キリスト教に「親しんでもらう」ことをコンセプトにした本です。キリスト教を「理解する」ためには他のもっとまじめな本を読んでいただく必要がございます。あらかじめご了承ください。今もしあなたが本屋さんでこの本を立ち読みしつつ、買おうかどうか迷っていらっしゃるなら、その点はくれぐれもご理解いただいたうえでレジに向かっていただければ幸いです。また、この本はキリスト教を「伝える」こともコンセプトにはしておりません。ですからもし今あなたが「この本を読んだら『勧誘』とか『伝道』とかされちゃうんじゃないか、いやもはや『洗脳』されちゃうんじゃないか」と危惧しておられるなら、その心配は一切ご無用です。むしろこの本を読んで「キリスト教って素晴らしいな!信じよう!」とか思う方がいらっしゃったら、私たち、全力で止めます。「早まるな! もう少し他の本を読んだり、ちゃんとした神父さんや牧師さんの話を聴いてからでも遅くないから!」と言います。

この本はノンクリスチャン(キリスト教徒ではない人たち)に向けて書いた本ですが、クリスチャンの方が読んでもそれなりには楽しめると思います。ただしこの本を書いている私たちは神父でも牧師でもない、ただの一信徒です。ですから「ここのところが神学的に……」とか「教義的にこの書き方はどーかと思う!」とか言われても知りません(断言)。「そんなんで信徒が増えると思うのか!」とか「それじゃ正しくキリスト教が伝わらない!」とか言われても知りません(さらに断言)。そういう方はもっとちゃんとした偉い先生方の書いた「神学書」とか「信仰書」とかを読んでください。「それは違うなー」と思う箇所があっても、「そういう説もあるのか」とか「そういう考え方の奴もいるのか」くらいに読み流していただければ幸いと思います。
この本では神様や信仰について、いくらか「ふざけて」書いている箇所が多々ありますが、それは決して神様や聖書をバカにしているわけではありません。それは苦い薬にシロップを入れて飲みやすくするようなことです。聖書や信仰についての話は、まじめにやってしまうと、非常にとっつきにくくなります。
ですから私たちはまず「とっつきやすい」を優先事項に掲げて、この本を書いています。故に「ふざけた描写」も多いですが、そのあたりはクリスチャンの方々も、諸先生方もどうか怒らずに受け流してくだされば幸いと思います。

お前ら誰だよ? ~上馬キリスト教会です~

どうして神父でも牧師でもない奴が、キリスト教についての本を書いてるんだよ? お前ら何者だ?
……という質問があるかもしれません。私たちは東京都世田谷区にある上馬キリスト教会という教会の信徒です。ただの信徒です。平信徒です。
2015年2月からTwitterというSNSで、キリスト教や聖書について140字で楽しく伝える、という活動を行い続けてきた結果、神様の恵みをいただいて、ありがたいことに現在では9万人を超えるフォロワーさんを得るに至りました。それをきっかけに「そのコンセプトで本を出してみませんか?」というお話をいただき、せっかく本にするのであれば、140字という制限を外して、もう少し自由に書かせていただければ、ということで書くことになったのがこの本です。
もともとの私たちの活動コンセプトが「笑いながら聖書に親しんでもらう」ですから、この本も当然、そのようなコンセプトになります。私たちがやりたいことは「宣教」でも「伝道」でもありません。強いて言うならば「そこのあなた、ちょっと一緒に聖書を楽しんでみない?」です。そのうえで、「上馬教会に行ってみたい」という方がいらっしゃれば、それは望外の喜びでありますし、もちろん心から歓迎致しますが、決して「うちの教会に人を呼ぶため」に書いているわけではないということはご理解くださいませ。

キリスト教ってなに? ~長くなるのでざっくり書きます~

キリスト教ってなに?聖書ってなに? と、まじめに問うて、まじめに答えようとすると、恐らくうんとまじめな本を何百冊と読んでも最終的な答えは出ないでしょう。ですからここではざっくりと答えることにしますが、キリスト教とは「父なる神と、イエス様と、聖霊とを、自分たちの神として生きる教え」です。「父なる神ってなに? イエス様って誰?聖霊ってなに?」となると、もう非常に話がややこしくなるので、それを知りたい方はもっと難しい本を読んでください。そのあたりは上馬教会の牧師である渡辺俊彦先生の『神学生活入門』という本を読むと分かりやすく……といってもかなり難しくて分かりにくいですが……書いてあります。
聖書ってなに? と問われたら、この本での答えは「クリスチャンが人生の指針とすべき歴史書」です。「聖書って物語じゃないの? 歴史書なの?」とか問われると、これまたこの本のコンセプトから外れた、ひどく難しい話になりますから、ここでは割愛します。これまた、知りたい方はもっと難しい本を読んでください。そのあたりは上馬教会の牧師である渡辺俊彦先生の『神学生活入門』という本を……(あんまり他の出版社さんの本を宣伝すると怒られるのでこのへんでやめておきます)。

クリスチャンってどんな奴らだ? ~普通の一般市民です~

2000年前に生きたイエス=キリストという人物を神として崇め、日々祈り、聖書を読んで生きている「クリスチャン」という人種は、この日本にも1.1%(『宗教年鑑』平成四年度版)います。そしてそのクリスチャンたちは、仏教徒さんたちや、神道の八百万の神を信じている皆さん、無宗教の皆さん、その他の宗教を信じている皆さんと同じように、学校に行ったり会社に行ったり、ご飯を食べたりお風呂に入ったり、電車に乗ったり買い物をしたり、と、ごく普通に一般市民として日々の生活を送っています。違うところといえば、せいぜい「日曜日に教会に通う」ことくらいのものです。

クリスチャンは決して他の皆さんにとって「遠い存在」ではないんです。私たちの言いたいことは、「信じなさい」でも「聖書に従いなさい」でもありません。「教会に遊びに来てみて!」です。日本ではお寺や神社に行く機会はたくさんあって、お坊さんや神主さんはそれだけ親しみのある方々なんでしょうけれど、日本人の多くの方は滅多に教会は訪れませんし、神父や牧師とふれあうこともありません。結婚式で教会を訪れても、多くの場合、残念ながらそこにいる牧師さんや神父さんは「偽物」です。ちょっとそのへん、クリスチャンは「寂しいなー」と思っているんです。「もっと気軽に遊びに来てくれたらいいのに」と思っているんです。お寺や神社に行っても「君もうちの檀家(氏子)になりませんか!」なんて勧誘されることはありませんよね。教会だって同じことですから、もっと気軽に遊びに来てもらっていいんです。

と、いうわけで ~はじめにのおわりに~

……と、少々「はじめに」が長くなってしまいましたが、そろそろ「はじめに」をおわりにしたいと思います。この本で一番長い文章は恐らくこの「はじめに」だと思います。あとはだいたい500~800字を一記事として電車の中やトイレの中といった「スキマ時間」に気軽に読めるくらいの長さになっています。ほんと、気軽に楽しく読んでいただければ嬉しく思います。読む順番は、一応なんとなくは、最初から最後に向けて順番に読んでもらうと分かりやすく項目を配置しているつもりですが、それほど一生懸命に並べたわけでもありませんから、適当に「お! おもしろそうだな!」と思ったところから順不同に読んでいただいても大丈夫かと思います。
そんなわけで以後、しばらくの時間、よろしくお願い致します。

上馬キリスト教会 (著)
出版社 : 講談社 (2018/11/29)、出典:出版社HP

目次

はじめに

「聖書」をほんとうにざっくり紹介します
旧約聖書をざっくり概観
新約聖書をざっくり概観

PART1 キリスト教Q&A
そもそも教会ってなに?
クリスチャンじゃなくても礼拝に行っていいの?
天動説を信じているんでしょ?
教会ってどんなご利益があるの?
聖書って「神話」とか「物語」の類いでしょ?
進化論を否定しているんでしょ?
イースターってどんな日?
よくある質問に大ざっぱに答えます。

PART2 聖書名シーン
ダビデとゴリアテ ~ Giant Killing ~
ライオンの穴の中のダニエル ~本当は怖い聖書~
大魚に飲まれるヨナ ~ヨナさんは反抗期~
東方三博士の礼拝 ~カメラ目線のボッティチェリ~
カナの婚礼
サロメ ~The King of 不気味~
キリストの変容
最後の晩餐
ゲツセマネの夜
磔刑図 ~聖書のクライマックス~

PART3 教会用語辞典
アーメン ~教会用語のエースで4番!~
兄弟・姉妹 ~ Hey, Brother! ~
砕かれる~なかなか素直になれないの~
サタンの妨害だ! ~嫌なことはみんな悪魔のせい~
シャローム ~教会用語四天王~
聖餐式~血と肉を喰らう儀式?~
洗礼(バプテスマ) ~「○○の洗礼」はちょっと……~
つまずく~誰だって「嫌になる」ことはあります~
ハレルヤ〜大きな声で元気よく!~
奉仕 ~ボランティアとは違います~
ホサナ ~「ハレルヤ!」との熾烈なポジション争い~
導き ~みちびきぃ〜〜!!~
恵み~苦しくったって、恵みだから平気なの~

PART4 使徒列伝
ペテロ ~ドジでおっちょこちょいな使徒のリーダー~
大ヤコブ ~大声大会なら任せとけ イエス様の側近~
ヨハネ ~使徒一番のナルシスト。弟キャラのビジュアル系~
アンデレ ~ザ・優等生。イエス一行の受付係~
イスカリオテのユダ ~裏切り者の代名詞は、意外と常識人?~
ピリポ ~癒やし系使徒は「ドラゴンクエスト」の初代勇者?~
バルトロマイ(ナタナエル) ~グロテスク使徒大会優勝候補筆頭~
マタイ ~元悪徳税務官の嫌われ者~
トマス ~疑いのトマス、イエス様の傷口に指を突っ込む?~
小ヤコブ ~地味だけど実はイエス様のそっくりさん~
タダイ ~風評被害の典型例。「忘れられた聖人」~
熱心党員シモン ~現代で言えば過激派活動家~
マッテヤ ~追加加入の新メンバー~
パウロ ~有史以来最強の手紙魔~

PART5 聖書のよくある誤解、カン違い
「3」が不吉なのは聖書由来?
「キリスト」は名字ではない。
「禁断の実」はリンゴじゃなかった?
クリスマスはイエス様の誕生日ではない?
神様は越えられない試練も与えます。
偶像礼拝は「像」を拝むことではない。
星座はギリシア神話由来だから聖書には出てこない?
右頬を叩かれたら左頬も……の本当の意味は?
マリアはダビデの子孫ではない?

PART6 聖人たちの意外な一面
イエス様はイケメンではなかったし、痩せてもいなかった?
実は酒乱だったノア
それなりに平和な余生を過ごしたカイン~世界初の殺人事件のその後~
意外と荒くれ者だったモーセ
ハゲをからかわれてブチ切れたエリシャ
偏食家だったバプテスマのヨハネ
マザコンだったヤコブ
卵の白身が嫌いなヨブ
お腹の空いたイエス様は怖い

PART7 日本の日常に潜む聖書
豚に真珠
聖書にもある「三本の矢の教え」
地鎮祭
目からウロコ
福神漬けは偶像礼拝?
大岡裁きの元祖はソロモン

おわりに

上馬キリスト教会 (著)
出版社 : 講談社 (2018/11/29)、出典:出版社HP

「聖書」をほんとうにざっくり紹介します

旧約聖書をざっくり概観

ここでは、まず聖書をざっくりと概観しておこうと思います。そのほうがこの先を楽しみやすくなりますから。ただし、ほんとにざっくりですから、これを読んだからといって合コンで「俺、聖書に詳しいんだぜ」とか言ってはいけません。ではまず、旧約聖書から始めましょう。

旧約聖書はその名の通り「旧い契約の書」です。聖書とはざっくり言えば「神様と人間との契約の書」なんです。つまり契約書です。旧約聖書はイエス様がこの世に現れる以前の、人間と神様との契約について記されています。と言っても決して「第1条 この契約は甲と乙の…」といわゆる契約書のように書かれているのではなく、歴史物語や詩、ことわざなど様々な形式で書かれています。旧約聖書は「創世記」から「マラキ書」まで。39巻の書で構成されています。
はじめの「創世記」では神様が天と地を創造し、最初の人間であるアダムとイブが創られ、アダムとイブが禁断の実を食べて神様から怒られ……というところから始まって、有名なノアの方舟の大洪水の話や、「信仰の祖」と呼ばれるアブラハム、その息子イサク、さらにその息子ヤコブ、さらにさらにその息子ヨセフの生涯が記されています。アブラハムは「100歳で子どもが生まれた人」、イサクは「井戸を掘った人」、ヤコブは「神様と相撲をとった人」、ヨセフは「エジプトの総理大臣みたいな偉い人になった人」と、ええまぁこんな感じに覚えておけば大丈夫です。

「創世記」が終わって、「出エジプト記」に入ると、かの有名なモーセさんが登場します。映画『十戒』で有名な、海をパッカーンと割ったおじさんです。なんのために海を割ったかというと、追ってくるエジプト兵からイスラエル人たちを逃がすためです。海水浴ではしゃいだ勢いで割ったわけではありません。出エジプト記というのはその名の通り、イスラエル人がエジプトを脱出する話で、主人公のモーセさんはその指導者だったということです。出エジプト記が終わっても「レビ記」「民数記」「申命記」と、この出エジプトの旅についての書が続きますが、退屈なので飛ばしていいです。
その後はしばらく歴史書が続きます。怪力サムソンや、落ち穂拾いのルツ、ダビデ王、ソロモン王などが出てきます。このへんの名前だけ覚えておけばとりあえずOKです。
これらの歴史書の後で、注目すべき書は「ヨブ記」です。このヨブさんほど神様に痛めつけられた人はいません。神様から一見「理不尽」に思えるほど酷い目に遭わされて、そこからどうやってヨブさんが立ち直ったかが書いてある書で、非常に解釈が難しく、クリスチャンの間でもよく争になる書ですから、初めて聖書を読む場合は後回しにしてもよいと思います。この書にあんまりハマると人生について悩んでしまったりしますから注意が必要です。

神を讃える詩集である「詩篇」、ことわざ集の「箴言」、ラブソングを集めた「雅歌」を経て、最後は預言者たちについて書かれた書が続きます。「予言者」ではありません。「預言者」です。先のことを予知する人たちではなく、神様の言葉を「預」かって人々に話す人たちのことです。神様はこの預言者たちを通して人々に語りかけたので、彼らの言葉それ自体が「神様との契約」ということになります。預言者もたくさんいますが、ここではイザヤ、エリヤ、エリシャ、エレミヤ、ダニエル、ヨナくらいの名前をなんとなく覚えてくださればそれでいいです。中でもイザヤはイエス=キリストの降臨を告げる人ですから最も重要な預言者だと言えます。イザヤーイエス、このラインが旧約聖書と新約聖書をつなぐ一番太いパイプだと言えます。もちろん他の箇所でもパイプはたくさんあるのですけれど。
以上! ものすごくざっくりした旧約聖書の概観でした!
「いくらなんでもざっくりしすぎだろ!」いいんです。だってあんまり長いと僕が書くのも大変ですし、皆さんだって読むの大変でしょ? ね、だから最初に言ったじゃないですか。これを読んだからって合コンで「俺、聖書詳しいんだぜ」なんて言えませんよって。

新約聖書をざっくり概観

さぁ引き続いて、今度は新約聖書をざっくりと概観しましょう。旧約と同じくらい、ものすごくざっくりいきますからそのつもりで。これを読んだからといって就職の面接で「聖書を学びました」なんて言ったらダメですからね!
新約聖書はその名の通り「新しい契約書」です。旧約聖書の契約はかなり厳しいもので、人間には守りきれませんでした。契約を守れない人間は神様に裁かれなくてはいけません。しかしそれは可哀想だっていうことで、神の子であるイエス=キリストがこの世に降りてきて、新しい契約を私たちと締結してくださいました。その契約が記してあるのがこの新約聖書です。新約聖書は「マタイの福音書」から「ヨハネの黙示録」までク巻で構成されています。
新約聖書のはじめは、アブラハムにイサクが生まれ、イサクにヤコブが生まれ……と、恐ろしく退屈な系図が語られます。これ、旧約聖書に精通した人が読むと「前回までのあらすじ」の役割を果たすらしいですが、精通していない人にとってはただの退屈な系図ですから飛ばしてしまってOKです。とにかく、アブラハムやダビデの子孫としてイエス様が生まれたのだ、ということだけ押さえておけば大丈夫です。
新約聖書の最初の書は「福音書」と呼ばれ「マタイ」「マルコ」「ルカ」「ヨハネ」と4つありますが、どれもイエス様の生涯を記したものです。4人の記者が四者四様の視点でイエス様の言動を書き記すことで、立体的なイエス様が「見えてくる構造になっています。

そこに描かれているイエス様の生涯をざっくり書きます。まず生まれます。皆さんクリスマスでおなじみの、馬小屋で生まれて三人の博士がやってきて……のあれです。大エヨセフの子として育ち、8歳の時に旅立ち、水をワインに変えるところから始まって、パンと魚を増やしたり、病人を治したり、死人をよみがえらせたり…とたくさんの奇跡を起こし、「山上の説教(垂訓)」をはじめとするたくさんの教えを残し、そしたら当時の偉い人たちに「あいつ生意気!」と目をつけられて、逮捕されて、テキトーな裁判にかけられて「死刑!」ということになって、十字架につけられて死んでしまいました。
と、普通の人だとここまでで「イエスの生涯完」となるのですが、クリスチャンにとってはこの後のことが最も大切なことです。十字架で死んでしまったイエス様が、3日目によみがえった「復活」のできごとです。一般の人だと「死人が生き返るわけねーベ」と信じないのですが、クリスチャンは基本的にこの「復活」を歴史的事実として信じています。そしてこの「復活」がキリスト教の根幹をなしています。旧約・新約を通して聖書で一番大切なところはどこ? と聞かれたら「復活!」と答えるのが一番正しい答えだと思います。そのくらい大切なところです。でもいきなり信じろと言っても無理ですから、ノンクリスチャンの皆さんは「クリスチャンはイエスの復活を信じている」ということだけ覚えておいてくださればそれでいいと思います。

福音書が終わると、主人公はイエス様からペテロやパウロなどの使徒たちにうつります。使徒というのは簡単に言えばイエス様の直弟子で、イエス様の命をうけて教会の成立に実際に奔走した人たちのことです。「使徒の働き」には使徒たちの活躍が描かれていますし、そのあとに続く「○○への手紙」シリーズは、彼らが各地の信徒に向けて書いた手紙が記録されています。説教臭い面もありますが、クリスチャンが実際の生活で気をつけるべきことの多くはこのシリーズの中に書いてあります。
最後は「ヨハネの黙示録」という書で終わります。聖書って旧約も新約も、過去の出来事を記してあるのですが、黙示録だけは例外で、未来のことが記してあります。世界の終わりのことが書いてあるんです。「ハルマゲドン」とかそういった、ちょっと怖い未来のことです。この書は、暗示的な記述が多くて非常に解釈が難しいんです。神父さんや牧師さんたちだって「これは難しい……」と頭を抱えてしまうような書ですから、私たちのような一信徒ではとても解説できません。ですからこの本ではあまり触れないことにします。「聖書の最後には、世界の終わりについて記した書がある」と、これだけ覚えておいていただければよいかと思います。

以上! ものすごくざっくりした新約聖書の概観でした!
「○○のエピソードが抜けてるじゃないか!」「○○について、もっと詳しく書かなきゃ概観とは言えない!」「こんなんじゃ、就職の面接で『聖書を学びました』って言えないよ!」 などなど、いろんな苦情はあるでしょうが……
うるさーい!
「はじめに」にも書いたじゃないですか、この本はそういう本だって。
この本、買って読み始めて、そろそろがっかりし始めている人がいるんじゃないかと、ちょっと心配ですが、全部はとても無理としても、いくつかのエピソードはちゃんとそれなりにこれから先のコーナーで扱いますからもう少し辛抱してくださいね。

上馬キリスト教会 (著)
出版社 : 講談社 (2018/11/29)、出典:出版社HP