配色スタイル ハンドブック

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配色の実用的サンプルを手元に

こちらの本ではイメージ毎の配色サンプルが割合のグラフ形式で連立されています。また、配色の割合を提示してくれているため、テキスタイルやグラフィックの面積に合わせてカラーを用いることが出来、非常に実用的です。サンプルもたっぷり掲載されている為、イメージがしやすくなっています。

ローレン・ウェイジャー(編著) (その他), 和田 美樹 (翻訳)
出版社 : ビー・エヌ・エヌ新社 (2018/1/30)、出典:出版社HP

Contents

色彩:感情、イメージ、象徴

NATURAL ナチュラル
CURIOSITY 好奇心
DREAMY ドリーミー
MAGICAL マジカル
FRESH フレッシュ
SOLITUDE 孤独
ROMANTIC ロマンチック
MYSTERIOUS ミステリアス
RETRO レトロ
TRANQUILITY 静けさ
PLAYFUL わんぱく
DELICATE 繊細
TRENDY トレンディ
NOSTALGIA ノスタルジア
LUSH 蒼々

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色彩:感情、イメージ、象徴

色彩は、私たちを取り巻くすべての物体がもつ特性だ。古代から色彩は、象徴的、儀式的意味合いをもっている。また芸術家たちは、作品を鑑賞する者の感情に働きかける手段として色彩を使ってきた。色彩の特性と意味合いは、何世紀にもわたる歴史のなかで複雑さを増し、より豊かになった。
色彩が作品にもたらす価値は、広告などの分野で応用されている。広告では色彩は、商品に対する消費者の願望や反応を呼び起こすための非常に有効な手段と考えられている。清涼飲料水セブンアップの缶のデザインの黄色を15%増やしたら、消費者がより強くレモンの風味を感じるようになった、という研究結果も出ている。

色彩論の起源

色彩が人の心に及ぼす微妙な影響は、心理学で深く研究されている。17世紀の終わりにゲーテとシラーが色彩論の研究過程でつくり上げた“気質のサイクル表”を使って、心理学者たちは色彩による複雑な性格診断をした。たとえば、色相環で黄色から赤にいたる暖色系の色は、野心の強い熱血漢の気質を表し、政治的指導者、英雄、冒険家が向いているとされた。黄色からシアンまでの一帯に属する緑系統には、先のことを考えず娯楽を好む気質が当てはめられ、愛人、詩人、芸術家を象徴する色とされた。シアンから紫にいたる青系統には、優柔不断で臆病なゆえに公正な気質が当てはめられ、歴史家、演説家、教授などへの適性があるとされた。そして紫から赤にかかる色には、利己的で孤独癖がある頑固な気質が当てはめられ、哲学者、学者、権威者に向いているとされた。
これは、現在でいうところの色彩心理学の始まりだ。やがて、色彩心理学は、さまざまな芸術分野や心理学の学派に取り入れられながら、どんどん複雑になっていく。ゲーテとシラーの色彩論は、科学的見地による研究ではないが、美術においてはウィリアム・ターナーやカンディンスキーが強力な支持者となり、さらにはデザイン、建築、そしてもちろんファッションなど、色彩が重要な要素となる幅広い芸術分野において決定的な影響をもたらした。

変化し続けるアート

アイルランドの偉大な劇作家オスカー・ワイルドは、「ファッションは、見るに堪えないほど醜いもの。それゆえに、6か月ごとに変える必要があるのだ」と言った。彼の残した数々の名言は真理を突き、時代を経ても色あせないウィットが効いている。しかし、本書を手にしている読者は、彼のこの洞察には賛成しかねるのではないだろうか。また、オスカー・ワイルド自身がファッションに凝っていたことや、トレンドセッターであったこともご存じかもしれない。とはいえ、この言葉には一定の真実が含まれている。ファッションは、確かに常に変化し続けるアートであり、シーズンごとに変わるというだけでなく、その時々の社会的・文化的実情とともに変わっていく。立ち止まってその変化のスピードの商業的あるいは投機的側面を分析しなくとも、デザイナーがコレクションでつくり出そうとするパターンや、スタイル、世界観には、シーズンごとに、新しい形やボリューム感だけでなく、新しい色彩、配色の傾向が出現する。そのなかでも、他の要素を差し置いて、真っ先に変わるのがカラーパレットなのだ。
ファッションデザイナーにとって、色を理解し、熟知し、使いこなすことは、自己表現を認識してもらうために必要不可欠な一歩だ。それは、特定の色使いが、たとえば奔放さ、平静、神秘性、卓越性など、どんなものを醸し出すのかを習得することを意味する。ミッソーニや、イヴ・サンローラン、エミリオ・プッチ、クリスチャン・ラクロワ、ヴァレンティノといった偉大なデザイナーたちは、色彩の力と、その多大なる心理効果を誰よりもよく知っている。ファッション・クリエイターが大成功するか否かは、個性的でオリジナリティに富んだ世界観を構築しつつ、コレクションのたびに根本的な変化を取り入れる、あるいはつくり出すことにかかっているのだ。ココ・シャネルが言ったように「ファッションは廃れるが、スタイルは残る」のである。

知覚体験

洋服ほど気軽に変えられはしないが、インテリアデザインのためのテキスタイルデザインやカラーパレットは、感情的・身体的・知覚的な体験を刺激する組み合わせを目指す。
たとえば、スペインの画家、ホアキン・ソローリャ(1863-1923)の「ジャヴェアでの水浴」(fig.1)を例に取ってみよう。見る者は、この絵画の明度と、水の動きを描き出すための色使い、そして陽の光の強さに引き込まれる。水が岩をやさしく打つ音が聞こえてきそうだ。この絵は、夏を想わせるだけでなく、気温の高さや、水の冷たさを肌に感じさせる。色使いを細かく見てみると、寒色と暖色がうまく使い分けられているのがわかる。

fig.1

黄色、緑、紺色が主調色で、それに比べ、紫、オーカー、赤の占める割合は比較的少ない。絵の中央部分では、白と淡黄色の筆触で、水面にきらめく真昼の太陽を表現している。光に魅了されていたソローリャは、19~20世紀のルミニズムの巨匠の1人だ。既知の色彩体系のグループ分けや順序立てのなかには、見る者の知覚的または感情的反応を引き出すための無限の可能性がある。何を伝えたいかで、その組み合わせを考えるのだ。

文化的体験

もちろん、ファッションにおいても何においても、ある色のもつ意味は本当に人それぞれだという事実は無視できない。その違いは、その人のアイデンティティが形成された文化的慣習にもよる。西洋でもアジアでも、緑は、希望や、若さ、多産、不死を象徴する。イスラム文化圏では、強さ、運、名声、多産を意味する。一方、アフリカ諸国では、緑は政治的腐敗の色であり、南米諸国においては、森林の危険や死と結びつけられている。このような、さまざまな意味づけがすべての色に存在する。

色相環

では、各カラーファミリーがもつ根本的な意味を見ていき、それらをどう活用すべきか考
えよう。

・暖色
暖色は、色相環で赤から黄色にいたるオレンジ系列全体で、一般的に活気、熱、ポジティブな刺激を表現し、暑い季節の日中をイメージさせる色だ。赤と黄色は原色で、その2つが混ざったオレンジは二次色である。つまり、赤と黄色を混ぜた色はすべて暖色ということになる。寒色はひとつもない(これに対し、青と黄色を混ぜた緑は寒色である)。暖色が喚起させるイメージには、太陽や、それにまつわるすべてのもの(夕暮れ、日の出など)、火、夏などがある。また、情熱、興奮、活気といった感情も表す。

赤:
赤は、色のなかで最も温かい色。愛から悪魔までさまざまな事柄に結びつけられる。危険、権力、名声(映画関連の重要イベントのレッドカーペットなど)も連想させる。中国では、赤は繁栄の色で、幸運を呼ぶとされ、伝統的な花嫁衣裳も赤だ。真紅のデザインは人目を引く力がとても強い。1970年代にオジー・クラークがデザインしたゴージャスなドレスや、「ヴァレンティノ・レッド」として知られるヴァレンティノの特徴的なドレスを誰が忘れられるだろう?だが、他の色と組み合わさると、強烈すぎたり、ともすれば下品な印象さえ与えかねない。したがって、概して一流デザイナーは、単色で使うか、小さな面積に使うかに限っている。しかし、赤は、色調の変化に非常に富んでいる。濃い色調はよりエレガント、淡い色調はより活き活きと元気な印象を与える。

オレンジ:
二次色であるオレンジは、温かく、刺激的で、渋い色調のものは、大地を連想させる。また、黒や黄色と組み合わせると、秋のイメージになる。性質は赤と似ているが、赤ほど強烈ではなく、マイルドでありながら、赤と同等に際立つ。

黄色:
黄色は、最も明るい原色だ。太陽や光を連想させる一方、嘘や危険を表す場合もある。文化によって意味合いが最も大きく変わる色のひとつだ。インドでは、黄色は商人の色、エジプトでは喪の色、そして日本では勇気の色である。パステルイエローは、ニュートラルで、デリケートで、落ち着く色だが、ゴールドイエローは、富の象徴となる。一般に、黄色は人目を引きつける。単色デザインではもちろんのこと、濃い色調と組み合わせても目立つ。

・寒色
夜、自然、水などを連想させることが多いこの色彩グループには、緑、青、紫が含まれる。見る者をくつろがせ、穏やかな気持ちにさせる色だ。実際より遠くに見える視覚効果をもつ。一般に寒さを感じさせる色だが、淡めの色調の場合は、その逆の効果をもち得る。南の島の透き通った海を想わせるターコイズブルー、黄色に近い緑、赤の性質をもち合わせた紫などを想像してみてほしい。このように考えると、寒色のほうが、暖色よりも、用途が広いと言える。

緑:
二次色である緑は、先ほども触れたとおり、さまざまな事柄を象徴する。希望や活力、生命を意味する一方、羨望や嫉妬、未熟を表す。青は気持ちが休まる色だが、青に黄色が加わった縁も、そうした性質をもち合わせる。深い緑は、閑静で裕福、淡い緑は、エネルギッシュで活動的なイメージを醸す。

青:
原色である青は、濃い色調の場合は、安定性や保守性を連想させ(青は多くの制服や政党の色に採用されている)、淡い色調は、ポジティブな印象を与えるが、ほぼすべての青に共通するのは、平和とスピリチュアリティを表現している点だ。

紫:
紫は、赤と青が混ざった二次色だ(青が多いほど冷たい印象で、赤が多いほど温かく親しみ深い印象になる)。高貴な色だが、興味深いことに、スピリチュアルなことやクリエイティブなことにも関連している。眺めていると現実を忘れたくなる作用がどの色よりも強い。ファッションにおいては、濃い紫は高級感や重みを、モーブやラベンダーはやさしさや静かなロマンを醸し出す効果がある。

・ニュートラルカラー
ニュートラルカラーは、ファッションやデザインでは、背景や、隣り合う有彩色の間に使われることが多い。

黒:
黒は、ポジティブなイメージ(エレガンス、力、不朽)も、ネガティブなイメージ(喪、死、悪、オカルト)も、すでによく知られているが、なぜこれほどに魅力的な色なのかを理解しておくことが重要だ。黒は、隣に配置された色を引き立たせる。その色が暖色ならより温かく、寒色ならより冷たく見えるのだ。黒はまた、ごく保守的なものから、ごく大胆でアバンギャルドなものまで、あらゆるスタイルにマッチする。そして、シルエットのトレースや、タイポグラフィや機能的要素の基本色でもある。黒は、流行り廃りがなく、いつの世も神秘的で洗練されたイメージを醸し出す。イヴ・サンローランのモンドリアンルックに、幾何学模様を分割する黒の線(fig.2)がなかったらどうか想像してみてほしい。

白:
白は黒の反対色でありながら、隣接するどんな色も明るく見せ、エレガントで、シンプルで、ミニマルデザインには欠かせない味方だ。白は、インド、日本、中国では喪の色として葬儀で使われることが多い。この世に生を受けたときと同じように去る、という仏教の考えや、自然との同化を表す色なのだ。西洋では、白は、純粋で清潔なすべての物事に結びつけられているため、ウエディングドレスや、医療従事者の服装となっている。白は、明るくさわやかな色だ。何にでも合うため、季節も問わない。熱を反射する白い服は、特に暑い夏に人気だ。

グレー:
白や黒と違って、グレーには、幅広い明暗がある。したがって、白黒を使い明暗をつけるとき、淡いグレーは白の代わりとして、濃いグレーは黒の代わりとして使える。どんより曇ったイメージをもつグレーだが、フォーマルな印象を与える色でもある。また一方で、馴染みやすさや包容力を持ち合わせており、インテリア空間においては家具やテキスタイルの色を引き立ててくれ、空間づくりに最適な色でもある。こうした性質は、ファッションにおいては色調の選び方次第で、どんな体形にも、年齢にも、肌の色にも適合するというメリットになる。

fig.2

茶色:
茶色は、実は暖色系に属するのだが、さまざまな色合いの茶色があって、たとえば緑に近いものは、緑の性質を多くもち合わせる。茶色は、オーガニックな色と見なされることが多く、土や木、石を想わせる。信頼、安全、永続的な価値を表す一方、おもしろみがなく、追従的な印象も与える。グレーと同様、さまざまなものと合わせやすく、万能だ。茶色は、黄色に近いもの、緑や赤、グレーに近いものと、バラエティに富み、さまざまな印象を醸し出す。クリーム色のように薄いものは穏やかさを、キャラメルやテラコッタは温かみを感じさせる。
当然ながら、さまざまな色には無限の組み合わせとニュアンスが存在する。毎年、トレンドセッターやデザイナーらが、ファッションやグラフィックデザイン、テキスタイル、インテリアデザインの流行の基盤となる魅力的なカラーパレットを提案し、個々のデザイナーは、独自のスタイルにそれらを取り入れる。独自の色使いを見いだすには、色彩の基礎に関する深い知識をもって、冒険と試行錯誤を繰り返す必要がある。そのうえで、究極的にルールを捨てることができるようになるのだ。

ローレン・ウェイジャー(編著) (その他), 和田 美樹 (翻訳)
出版社 : ビー・エヌ・エヌ新社 (2018/1/30)、出典:出版社HP

アイザック・ニュートンの光のスペクトル

イギリスの数学者・物理学者・天文学者、ニュートンは、重力の法則を発見しただけでなく、色彩が物体に固有の性質ではなく、光が織り成すものだと説いた。1666年に行った実験では、太陽光を通すプリズム装置をつくり、白色光がプリズムで屈折すると、赤、オレンジ、黄、緑、青、藍、紫に分かれることを発見した。このような現象が起こるのは、各色は波長の長さによって屈折率がそれぞれ違うためだ。ニュートンはさらに、分光した光を再合成して白色光に戻す実験にも成功した。色の混ぜ方には、加法混色と減法混色という2種類がある。

加法混色
加法混色とは、可視スペクトルのすべての色光を同じ強さで重ね合わせると白色光になる、という原理に基づいた方法。赤・緑・青の光源をさまざまな割合で混合する加法混色で、さまざまな色を表現し、私たちはそのおかげで色を見、再現することができている。

減法混色
減法混色は、顔料を混ぜ合わせることで色を得る方法。顔料(色)を混ぜると明度が減少し元の色より暗くなる。
減法混色の三原色は、上で述べた加法混色の三原色を吸収する補色だ。減法混色の原色(シアン、マゼンタ、イエロー、すなわち加法混色の補色)は、ある色の波長が吸収されて得られる。白色光が物体や表面に当たると、その表面の顔料が白色光のうち「真の」色以外のすべての波長を吸収し、「真の」色のみ反射する、つまり目で知覚される。
たとえば、ゴルフコースの芝生が緑に見えるのは、芝が緑以外の波長をすべて吸収し、緑の波長だけが反射されて人間の目に知覚されているからだ。減法混色は、反射された色だから、白色光を必要とする。暗くなると、芝生は緑に見えない。白は、すべての色の波長が反射されたときに見える色ということだ。

加法混色
覚えておくべき以下の前提がある。
加法混色の三原色:赤(R)・緑(G)・青(B)

2つの原色を同量ずつ混ぜ合わせると、以下のような二次色ができる。
加法混色の各原色にはそれぞれの補色、すなわちその色を重ねれば白になるという色がある。
赤の補色:シアン
緑の補色:マゼンタ
青の補色:イエロー
加法混色の三原色を同じ割合で重ね合わせると白、つまり白色の光になる。白色光は加法混色の三原色すべてを含む。赤+縁+青=白。加法混色は、RGBカラーモデルとも呼ばれる。本書では、すべての色をRGB値とCMYK値で表示している。CMYKとは減法混色に基づく色の表示方法のことである。

減法混色
減法混色の要点は以下のとおり。
減法混色の三原色:シアン(C)・マゼンタ(M)・イエロー(Y)
2つの原色を同量ずつ混ぜ合わせると、以下のような二次色ができる。
減法混色の三原色を混ぜ合わせると、無彩色の黒になる。
減法混色の各原色の補色は、反対色とも言える。その色を加えれば黒になるという色だ。
シアンの補色:赤
マゼンタの補色:緑
イエローの補色:青

カラー・コントラスト

ファッションでは、布の異なる寸法や質感でコントラストをつけることができる。しかし、色のコントラストをつける場合は、異なる系列に属する色同士を組み合わせる。カラー・コントラストは、印刷物やデザインにおいて不可欠な要素だ。使用色の性質を強調したり、調和する色の組み合わせよりも強力な視覚効果をつくり上げたりするときに使う。つまり、コントラストは視覚的なインパクトを出し、その部分に人目を引きつける役割を果たすのだ。無秩序な印象や落ち着かない印象にしないようにコントラストを使うには、各色の性質を知り、試行錯誤を重ねて量や割合を調整できるようにならなければならない。色の寒暖でコントラストをつける場合は、色相環で反対側に位置する色を補色と考えてよい。しかし、明暗でコントラストをつけるならば、最も強力なのは、黒と白の並びだ。白黒は、伝説的なシャネル(fig.3)の人気のコンビネーションで、過去100年にわたり常に新しくつくり替えられ、更新されてきた(fig.4)。

fig.3

fig.4

明暗のコントラストは、隣接する色同士の相対的な明るさ、または暗さの差で生まれる。
この種のコントラストは白黒に限らず、淡い色と濃い色を使えば、同じ色相内の色の組み合わせであっても可能だ(fig.5)。

fig.5

以下(fig.6)は、淡い緑と、それに比べて濃い青のコントラストだ。双方とも寒色だが、緑に占める黄色の割合が大きいので、暖色の性質が与えられている。暖色に近い緑と寒色の青の組み合わせであるほか、深みのある紺系統との組み合わせでもある。

fig.6

つまりこれは、反対色同士のコントラストというよりも、むしろ明暗のコントラストと言うべきだろう。また、黒と、淡い、あるいは彩度の高い色の組み合わせも、強力で目立つコントラストを生む。漆黒とコーラルレッドのコントラストは目立つが、面積の割合を調整することで、さらに強調される(fig.7)。
黒の背景色に淡い色が載っている印刷物や柄の場合、淡い色は、構図に占める面積が小さくても、とても浮き立って見える(fig.8)。

fig.7、fig.8

色の親和性
明るさが同レベルの異なる色同士でコントラストをつける場合は、色の親和性を調整する。色同士が近いほど、性質が強調され、それらを分け隔てる境界線の意味が薄くなる(fig.9)。さらには、量や、動き、深みが加わる効果がある。
さらに、色のバランスという考え方を用いて色を操作する。色のバランスは、共通点を持つ原色、二次色、三次色を使い、彩度が同等の色、あるいは彩度が異なる色を2色以上組み合わせることで得られる(fig.10)。

fig.9,10

アート全般、そしてもちろんファッションでも言えることだが、ひとつのデザインにおいて、複数の色相にコントラストをつけることが可能だ。
以下(fig.11)では、クロード・モネが1枚の絵に、寒色系の色彩と暖色系の色彩を、大胆なコントラストをつけずに調和的、段階的に並べているのがわかる。
色彩の組み合わせの無限の可能性を探っていくと、調和というものの神秘を理解する手助けになる。秘訣は観察にかかっているのだ。
周囲を観察したり、アートや自然、写真を鑑賞したりして、それらをカラーパレットに変換するという習慣をつけると、自分独自の色使いを見いだすことにつながり、作品に自分の表現したいものを表現できるようになる。本書は、色彩を使いこなすことで、1枚の画像に驚くほど多様な色彩効果をもたせ得ること、そして、その画像にある色があらゆる感情を表現し得ることを、非常に易しく、かつ洗練されたかたちで教えている。目で見たものを色彩に落とし込み、自分の伝えたい気分や雰囲気を自在に表現する方法を学んでほしい。それによって、見事な色彩の魔術を身につけることができるだろう。

fig.11

Image Credits
Opening image: Lauren Wager.
fig.1: The Bath, Javea, Joaquin Sorolla (1905), Courtesy of The Metropolitan Museum, New York.
fig.3: Courtesy of Chanel.
fig.4: Courtesy of Pertegaz (pre-collection SS 2017; photo by Luis Andrés Prada).
Model: Barbara Tous (Elite Model Management Spain)
fig.9: Vintage Lilly Pulitzer fabric, Sweet Corn.
fig.11: Houses of Parliament, Sunset, Claude Monet (1903-04), courtesy of the National Gallery of Art, Washington.
Closing image: Lauren Wager.

ローレン・ウェイジャー(編著) (その他), 和田 美樹 (翻訳)
出版社 : ビー・エヌ・エヌ新社 (2018/1/30)、出典:出版社HP