今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由

ソーシャルメディアは危ない?便利さの裏にある危険性とは

現代においてソーシャルメディアは人々にとって不可欠なものであり、生活の一部ともいえます。しかし、そのソーシャルメディアに我々は飼いならされているのかもしれないという警鐘を鳴らしている「今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由」を読んで、ソーシャルメディアについて見つめ直していきます。

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自由を取り戻す

誰もがその利便性を認め、数多くの人が利用しているソーシャルメディア。しかし、ある一定の層からはその危険性を指摘されています。今回はその危険性を指摘する科学者の一人、ジャロン・ラニアー氏が著者である「今すぐソーシャルメディアのアカウントを削除すべき10の理由」からソーシャルメディアの知られざる危険を読み解いていきます。

本書の著者は、コンピューター科学者でVRの父とも名高いジャロンラニアー氏です。カリフォルニア大学の客員教授を務め、創業した企業が初めてVRを商業化するなど世界的な実業家兼科学者です。

本書は10の章で構成されており、ソーシャルメディアのアカウントを削除すべき理由とその解説を一つずつ丁寧にされています。

1つ目の理由は「ソーシャルメディアは自由意志を奪うから」です。ここでは人々の行動や思考が四六時中計測され、統計を取られ、好みのものを勧めてくることの危険を指摘しています。この手法は人を自在に操ることができてしまい、しかもそのことに気づきもしないという恐ろしいことに繋がり得ないと筆者は語っています。

2つ目の理由は「ソーシャルメディアをやめることが現代の狂気に侵されないための最適な方法だから」です。現代では数々のネットやデバイスに関する危険を訴える記事がありますが、その全てが顧客に狙いを定めたビジネスモデルによって主導されていることが問題なのだと筆者は言っています。また、ビジネスモデルは人の否定的感情を増大させやすいとも指摘しています。

3つ目は「ソーシャルメディアはあなたを最低の人間にするから」です。筆者はBehaviors of Users Modified, and Made into an Empire for Rent 通称BUMMERを危険視しています。これはユーザーの行動修正を売り物として使用料をとって一大企業帝国を築くシステムという意味で、多くの場合、人々を依存患者のようにしてしまうという。

4つ目は「ソーシャルメディアは真実を歪めるから」です。ネット上にはある程度のフェイクパーソンと呼ばれる偽物がいて、その偽物たちの評価や影響が利用者を偽物に変えてしまっているのだという。

5つ目は「あなたの言葉を無意味なものにするから」です。言葉を発信できる反面、その言葉がどのように解釈理解されるか知ることができないのが危険だと言います。

6つ目は「共感力を弱めるから」です。あなたが何を考えているかわからなくさせ、またあなたも誰かの考えを理解できなくさせるのだそうです。ビジネスモデルが個を対象にし続けた結果、他人の考えを理解し得ないものと認識してしまうようになったと筆者は語っています。

7つ目は「あなたを不幸にするから」です。負の感情の投稿ほど人気になる傾向を指摘しています。また、ソーシャルメディアで広がったとされているものの、人は以前より孤立感を感じるようになったという調査についても言及しています。

8つ目は「あなたを経済的に不安定にするから」です。現在のソーシャルメディアのビジネスモデルでは人々は永遠に搾取される側で居続けることになります。現在無料で利用できているソーシャルメディアも有料としてある程度利用者にもバックのあるシステムを筆者は提案しています。

9つ目は「政治を歪めるから」です。民主的な世界を獲得してきた現代ですが、最近はソーシャルメディアを利用して民族主義を煽って権力を握ったリーダーが世界に多くいます。オンラインの影響で世界は再び民主主義を失ってしまうのではないかと筆者は懸念しています。

最後は「あなたを機械にしたがっているから」です。AIはますます人間から人間性を奪っていきます。機械によって支配されている我々は機械に成り下がりつつあるのです。しかし、AI開発は止まりません。ですから人々はソーシャルメディアを捨てるべきなのです。

このように現在世界中のあらゆる人が利用しているソーシャルメディアならびにネットに関する筆者による危惧が書き連ねてあります。ネット上に息苦しさを感じている人にとっては、その仕組みがわかる書籍になっていると感じます。

ジャロン・ラニアー (著), 大沢 章子 (翻訳)
出版社: 亜紀書房 (2019/4/25)、出典:amazon.co.jp