国家試験受験のためのよくわかる会社法(第7版)

【最新 – 会社法の概要を学ぶためのおすすめ本 – 入門から最新の改正法まで】も確認する

会社法の幹を理解する

本書は、具体的設例を通して制度の内容を徹底的にわかりやすく解説しています。行政書士試験、司法書士試験、公認会計士試験等の受験者を対象としており、各講の末尾には各種試験の過去問や練習問題が収録されているため、力試しをしながら読み進めることができます。

神余 博史 (著)
自由国民社 (2019/9/20)、出典:出版社HP

はしがき

平成18年5月より施行された会社法には,1000条近くに及ぶ膨大な条文があり,しかも細かな手続的事項が網の目のごとく規定されています。当然のことながら,これらの条文の内容を正確に理解し,試験で使える知識として定着させるためには,多大な労力と努力を必要とします。そのためもあってか,会社法が試験科目の1つとされている行政書士試験司法書士試験,公認会計士試験等の合格を目指されている方々のなかでも,「自分は会社法が得意だ」という自信を持たれている方は少ないように見受けられます。しかし,圧倒的なボリュームを持つ会社法も,その制度の内容を骨太に理解し,そこに細かな事項を枝葉として位置づけていけば,案外スムーズに学習を進めることも可能です。

本書では,味気ない条文内容の羅列を避け,具体的設例を通して制度の内容を徹底的にわかりやすく解説するとともに,アップツーデートなトピックスも随所に取り入れ,初学者や独学者の方でも興味を持って会社法の学習に取り組むことができるよう配慮してあります。試験合格のための王道は,興味を持って,真正面から試験勉強に取り組むことではないでしょうか。断片的な知識や受験テクニックにばかり目を奪われていては,結局,試験に合格できるだけの「底力」は身につきません。必要かつ十分な内容を持った解説書をていねいに読み込んで理解を深め,多数の過去問に当たって知識を研ぎ澄ませる,というオーソドックスな学習を積み重ねることが合格通知を手にする最も有効な方法といえるでしょう。

本書は,民法,憲法,行政法に続く「よくわかるシリーズ」の第4作目として執筆したものです。本書の今回の改訂に当たっては,平成29年度民法改正および平成30年度商法改正と重なり,これらの改正に即した形で関連する記述を書き改めるとともに,よりスムーズな理解を得られるよう,設立と株式の記述の順序を入れ替える等の工夫を施しました。これによって,従前よりもさらに読み易く改善できたものと考えています。

手前味噌になりますが,本シリーズが多数の読者の好評を得ることができたのは,「難解な法律科目を具体的設例を通して徹底的にわかりやすく解説する」というコンセプトが支持された結果と考えています。本シリーズが,今後も司法書士試験や行政書士試験をはじめとする各種国家試験合格のためのよきナビゲーターとしての役割を果たしていくことを願ってやみません。

令和元年8月
神余博史

本書の特色

① 各頁の記述を2段組にし,本文では,会社法・商法を理解するための「幹」となる部分をていねいに解説し,多少細かい事項であっても本文を理解するのに有益な事項,必須の法律用語などは右の段に記述してあります。まず,「幹」をしっかり把握したうえで,関連する知識を習得してください。

② 会社法・商法全体を効率的に理解できるよう,会社法・商法の体系的な配列にこだわらず,記述を最も適切と思われる位置に配置しました。これによって,論点相互の関係を関連づけて理解でき,効率的な学習が可能になるでしょう。

③ 各講の末尾に,行政書士試験,司法書士試験,公認会計士試験に出題された過去問および練習問題を収録してあります。単元終了ごとに力試しをしてみてください。間違えた問題は,解説および本文の記述に戻って確認しましょう。その反復継続により実力は必ず向上します。

神余 博史 (著)
自由国民社 (2019/9/20)、出典:出版社HP

目次

第1章 会社法の基礎
1 会社法とはどんな法律?
1 会社とは?
(1)会社は法人である (2)会社は社団である (3)会社は営利を目的とする

2 会社に対する法規制

3 会社の種類
(1)株式会社 (2)合名会社 (3)合資会社 (4)合同会社

4 商号
(1)商号単一の原則 (2)商号選定の自由とその制限 (3)商号の登記 (4)商号の譲渡 (5)名板貸人の責任

5 商業登記
(1)意義 (2)商業登記の効力

第2章 株式会社の基本的仕組みと株式および株主
2 株式会社の基本的な仕組み
1 株式と株主の有限責任
(1)株式 (2)株主の間接有限責任

2 所有と経営の分離

3 株式と株主の権利
1 株式

2 株主
(1)株主の権利 (2)株主の平等取扱い

3 株式の内容と種類
(1)株式全部の内容についての特別の定め (2)種類株式

4 株式の譲渡と株主名簿・株式担保・自己株式等
1 株式の譲渡
(1)意義 (2)株式譲渡自由の原則 (3)株式譲渡の制限 (4)株式譲渡の方法とその対抗要件

2 株主名簿
(1)意義 (2)株主名簿の名義書換 (3)基準日

3 株式担保
(1)意義 (2)株式の質入れ

4 自己の株式の取得
(1)意義 (2)自己の株式の取得が許容される場合 (3)株主との合意による取得 (4)自己株式の消却・処分

5 株式の併合・分割・無償割当
(1)株式の併合 (2)株式の分割 (3)株式無償割当

6 単元株式
(1)意義 (2)単元株制度の導入 (3)単元未満株主の保護

5 株式会社の資金調達―募集株式の発行・社債等
1 株式会社の外部資金調達手段―自己資本と他人資本

2 募集株式の発行等
(1)募集事項の決定 (2)募集株式の申込み・割当・引受 (3)出資の履行 (4)出資にかかる責任 (5)違法な募集株式の発行に対する救済

3 新株予約権
(1)意義 (2)新株予約権の発行手続 (3)新株予約権の行使 (4)違法な新株予約権の発行に対する救済

4 社債
(1)株式と社債の差異 (2)社債の発行 (3)社債権者の権利 (4)社債管理者 (5)社債権者集会

第3章 株式会社の機関
6 株式会社の機関設置の枠組み
1 株式会社の機関の意義

2 株式会社の機関の種類と機関の設計
(1)株式会社の機関の種類 (2)株式会社の機関設計の基本的枠組み (3)会社の類型別の機関設計

7 株主総会
1 株主総会の意義と権限

2 株主総会の招集
(1)株主総会の種類と招集時期 (2)招集の決定 (3)招集通知

3 株主総会の議事と議題・議案
(1)株主総会の議事 (2)株主総会の議題・議案 (3)株主提案権

4 株主の議決権
(1)議決権の意義―一株一議決権の原則とその例外 (2)議決権の行使方法

5 株主総会の決議
(1)普通決議 (2)特別決議 (3)特殊決議

6 株主総会決議の瑕疵
(1)決議取消しの訴え (2)決議無効確認の訴え (3)決議不存在確認の訴え

8 取締役・取締役会および代表取締役,使用人
1 株式会社の業務執行機関

2 取締役
(1)取締役の資格とその選任・員数・任期 (2)取締役の終任 (3)取締役の解任 (4)取締役の地位と権限 (5)取締役の義務

3 指名委員会等設置会社でない会社の取締役会
(1)意義 (2)取締役会の権限 (3)取締役会の運営

4 代表取締役
(1)意義 (2)代表取締役の選定および終任 (3)代表取締役の権限 (4)表見代表取締役

5 会計参与
(1)意義と権限 (2)会計参与の資格・選任

6 使用人
(1)意義 (2)役員と使用人の法律上の地位の差異 (3)支配人 (4)ある種類または特定の事項の委任を受けた使用人 (5)物品の販売等を目的とする店舗の使用人

9 株式会社の監査機関と役員等の責任
1 監査機関の意義

2 監査役
(1)意義 (2)監査役の資格・選任・任期 (3)監査役の終任 (4)監査役の職務と権限

3 監査役会
(1)意義 (2)監査役会の構成と職務 (3)監査役会の招集・決議・議事録

4 会計監査人
(1)意義 (2)会計監査人の選任・解任・任期 (3)会計監査人の権限

5 役員等の責任
(1)任務解散に基づく会社に対する損害賠償責任 (2)株主代表訴訟―株主による責任追及等の訴え (3)任務解念に基づく第三者に対する損害賠償責任

10 指名委員会等設置会社・監査等委員会設置会社
1 指名委員会等設置会社の仕組み

2 指名委員会等設置会社の取締役および取締役会
(1)取締役 (2)取締役会

3 委員会
(1)委員の選定・解職 (2)各委員会の職務と権限 (3)委員会の運営

4 執行役
(1)地位と権限 (2)資格・選任・任期・解任 (3)執行役の義務と責任

5 代表執行役
(1)意義 (2)選任・解任 (3)権限 (4)表見代表執行役

6 監査等委員会設置会社
(1)意義 (2)監査等委員会

第4章 株式会社の計算・剰余金の配当
11 株式会社の計算・剰余金の配当
1 株式会社の計算
(1)会計帳簿 (2)計算書類

2 資本金と準備金
(1)意義 (2)資本金および準備金

3 剰余金
(1)意義 (2)剰余金の配当

第5章 株式会社の設立・組織再編
12 株式会社の設立
1 設立の意義

2 株式会社設立の第一歩
(1)発起人による定款作成と公証人の認証 (2)定款の記載事項

3 発起設立と募集設立
(1)発起設立の手続 (2)募集設立の手続

4 設立に関する責任
(1)会社が成立した場合の責任 (2)会社不成立の場合の責任

5 設立無効と会社の不存在
(1)株式会社の設立無効 (2)会社の不存在

13 組織再編・解散および清算
1 組織変更
(1)意義 (2)手続

2 合併
(1)意義 (2)手続

3 会社分割
(1)意義 (2)手続

4 株式交換および株式移転
(1)意義 (2)手続

5 解散および清算
(1)意義 (2)解散事由 (3)清算

第6章 持分会社・特例有限会社
14 持分会社・特例有限会社
1 持分会社の設立
(1)定款の作成 (2)出資 (3)成立

2 社員の地位
(1)社員の責任 (2)社員の加入と退社 (3)持分の譲渡 (4)利益配当

3 業務執行社員の権限および義務と責任
(1)業務執行および会社代表 (2)業務執行社員の義務と責任

4 特例有限会社
(1)意義 (2)特例有限会社に関する主な規制

第7章 商人と商行為
15 商人と商行為

1 商法の適用範囲
(1)商人―固有の商人と擬制商人 (2)商行為

2 民法と商法の関係
(1)商行為の代理(商事代理) (2)商行為による契約の成立 (3)債務の履行場所 (4)多数当事者の債権関係 (5)報酬請求権 (6)流質契約 (7)商人間の留置権(商事留置権)

3 さまざまな商行為
(1)商事売買―商人間の売買の特則 (2)仲立営業 (3)問屋営業 (4)運送営業 (5)場屋営業

用語索引

神余 博史 (著)
自由国民社 (2019/9/20)、出典:出版社HP