水泳水中運動のカラクリとその指導 科学的エビデンスにもとづくティーチングメソッド (NextPublishing)

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科学的エビデンスに基づいた解説

競泳の技術解説だけでなく、水泳・水中運動の理論的背景や競技の指導方法まで扱っており、ボリューム満点の1冊です。理論と実践をマッチさせた解説が非常に分かりやすいです。初級者から上級者まであらゆるレベルが対象であり、スイマーだけでなく指導者にとっても有用な内容なので、水泳に関わる全ての方におすすめの1冊です。

はじめに

水泳は学習することで初めて泳げるようになる。つまり、必ず誰かに教えてもらわないと泳げないのである。この点、歩く、走ることとは違う。これらは、ある一定の年齢になれば、教わらなくても必ずできるようになる。
本書は、著者が40年近くにわたって主に教員養成大学で行った、体育・スポーツ科学専攻および小学校教材研究授業(体育が専門ではない学生対象)での指導実践と、それに関わる水泳水中運動の研究成果(動きのカラクリ)との2つを組み合わせて書き下ろした指導書でもあり、科学的エビデンス(Scientific Tips)でもある。特徴としては、おおよそ次の通りである。

1) 初心者から中上級者、指導者向けの技術解説書でもあり、指導書でもある。
2) 泳ぐ技術の説明と科学的エビデンス(Scientific Tips)とをドッキングさせている。
3) ステップ・バイ・ステップの積み上げ方式ドリルで、自由自在に楽しくスマートに泳ぐことを目指している。
4) ただ単に水面を平行に泳ぐのではなく、3次元的な動きの水泳水中運動を考える。
5) 水泳水中運動の幅広さ、楽しさ、おもしろさを学び、教えることをシェアする。

近年、水辺のアウトドアスポーツが盛んになり、Open water(プール以外の海、川、湖など)での活動が多様になってきている。スキンダイビング、スクーバダイビング、ボードセイリング、スタンドアップパドルサーフィン、カヌー、ボート、ヨット、サーフィンなどのスポーツや、海や川などでの魚釣り、磯遊びなどと、Water Front(水辺)での活動が意外と多いことに気づかされる。これらの活動を安全に、かつ楽しくやるためには、最低限のルールやマナーを守り、なおかつ、自己保全能力として「溺れないこと」や「ある一定の水泳水中保全能力: Aquatic readiness」を身につけることも大切である。プールで泳げることと同時に、水辺、水中、水上で自分の命は自分で守るためにも、本書が少しでも役に立てればと願って止まない。

2018年12月 筆者

目次

はじめに

第1章 泳ぐ前に知っておきたいこと
1-1 人はなぜ泳ぐのか?
1-2 Scientific Tips 1: 人はどのくらい速く泳げるか?(執筆:坂口結子)
1-3 水泳水中運動は幅広い
1-4 ほんとうに泳げるために
1-5 Scientific Tips 2:水中安全文化の構築
1-6 競泳指導と泳力指導との違いは?
1-7 バディシステム(相棒:安全確認と仲間作り)

第2章 水中への第1歩
2-1 水泳水中運動の楽しさ
2-2 Scientific Tips 3:人は浮くか? 沈むか?
2-3 Scientific Tips 4:浮き続けるためのテクニック
2-4 自分の命は自分で守る「サバイバルフローティング」

第3章 泳ぎへの第1歩「けのび」
3-1 けのびのスピードは世界新記録?
3-2 Scientific Tips 5:けのびの研究からわかること
3-3 3次元的な動きを楽しむシンクロもどき
3-4 エキサイティングボールゲーム:水球もどき

第4章 よりスマートに、より楽に泳ぐには
4-1 どの泳ぎの種目から学ぶか? 教えるか?
4-2 呼吸法が先か? 泳ぎ方が先か?
4-3 実際の指導現場では何をどの順番で教えているか?
4-4 楽に進むこと+すぐ呼吸ができること+すぐに泳げること
4-5 背浮きからエレメンタリーバックストロークへ
4-6 Scientific Tips 6:背泳ぎの動作発達
4-7 1時間で覚える背泳ぎのドリル
4-8 Scientific Tips 7:背泳ぎのターン

第5章 より速くよりスムーズに泳ぐ:スマートなクロール
5-1 進むことに重点を置いたクロール泳へ
5-2 Scientific Tips 8:クロールの動作発達
5-3 Scientific Tips 9:クロールのターン
5-4 1時間で覚えるクロールのドリル
5-5 Scientific Tips 10:危ないスタート・安全なスタート

第6章 リズムとタイミングのバタフライ
6-1 1時間で覚えるバタフライ
6-2 Scientific Tips 11:バタフライ泳法の登場(執筆:坂口結子)

第7章 平泳ぎ:手のかき足のけりのタイミングは?
7-1 平泳ぎの泳法の基本
7-2 Scientific Tips 12:平泳ぎの動作発達
7-3 1時間で覚える平泳ぎのドリル
7-4 Scientific Tips 13: 平泳ぎのターン

第8章 続けて長く上手に泳ぐ
8-1 水泳は何歳から始めるとよいか?
8-2 時間泳でシェイプアップ
8-3 Scientific Tips 14:時間泳と距離泳、何が違うか?
8-4 Scientific Tips 15:水泳運動はどれほどきついか?
8-5 Scientific Tips 16:泳ぐ速さを自分の感覚で調節できるか?

著者紹介