話し下手のための雑談力

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チームの雑談力を向上させる方法

業務プロセス&オフィスコミュニケーション改善士である本書の著者は、雑談がある職場とない職場では、生産性に大きな差があると言います。雑談が上手くなるには、トークの達人やお笑い芸人になる必要も無理やりキャラを作る必要もありません。本書では、スキルが低くても雑談が生まれるような職場での仕掛けや仕組みづくりのポイントを紹介します。

沢渡 あまね (著)
出版社 : 幻冬舎 (2018/4/19)、出典:出版社HP

はじめに
話し下手でも大丈夫! 雑談は仕掛け8割、スキル2割

いま、雑談が見直されてきています。
書店の棚を見回してみると、「雑談」をタイトルに冠した本がずらり。
雑談は人と人との関係性をよくし、相手との距離を縮め、人間関係を円滑にします。デジタルデバイスが進化し、個で過ごす時間が増え、ともすれば人間関係が希薄になりがちな時代。そんな今だからこそ、リアルな対話、雑談を通じた対話が重要視されてきたと言えるでしょう。

ところで、雑談というと、友達同士、家族同士などプライベートな場面でのおしゃべりを想定しがち。もちろんオフの場のくだけた会話は人生を豊かにする上で大切にしたいもの。しかし、職場における雑談もそれ以上に大事です。

私は業務プロセス&オフィスコミュニケーション改善士として、およそ70以上の日本の職場を見てきました。雑談がある職場とない職場では、雰囲気はもちろん、メンバー同士の協力体制、ひいては生産性にも大きな差があります。

雑談は、職場の課題のソリューションです。
あるIT企業の情報システム部門のエピソードを一つ。
普段雑談をしているシステム運用チーム。トラブル発生時の結束がとにかく強く、仕事が早い!
メンバー同士、何が得意で、どんなことをしているかを知っているものだから、リーダーに細かく指示されなくても「私、これやります!」と自分の持ち場を自ずと意識して迅速に作業する。テキパキと対応を終えて、火消し完了!お疲れ様でした!
なにもないときはのんびり和気藹々としているのに、トラブル時は妙に強い。日ごろの雑談あっての賜物です。

雑談を積極的に取り入れる企業も増えてきました。
大手航空会社のANAは、職場での雑談を推奨しているといいます。人間関係を円滑にするのみならず、安全やサービス向上のためのちょっとした気づきを伝え合い、提言をしやすくする。風通しのよい組織風土を醸成しています。
空の安全を守る航空会社の現場。ちょっとしたヒューマンエラーが、大きな事故につながります。雑談を通じて、スタッフ同士、何でも言い合える関係を築いていれば、ミスも打ち明けやすいし「助けて」も言いやすい。また、体調不良など相手の異変にも気づきやすくなります。

このように、雑談はチームの連携と生産性を高めます。
とりわけ管理職やチームリーダーの立場にある人は自ら雑談力を高め、雑談が生まれる環境をつくる必要があります。雑談が生まれる職場づくり。いまや、リーダーの大事な仕事のうちの一つといっても過言ではないでしょう。

一方、現場のリーダーからはこんな本音も聞こえてきます。

「残業減らせ。でも成果は出せ。その上、雑談力も高めろと!? 冗談も休み休み言ってくれ……」
「部下の仕事を邪魔するようで、気が引ける……」
「雑談しろ……って言われても、トークが苦手で続かない……」
「職場でわざわざ雑談? 正直、めんどくさい」
「そもそも出張や会議が多くて、オフィスにいないしな…」
「芸人のような面白い話をしろってこと? ネタがないし、自分オモロクないし、重たい……」
「自分から話しかけるキャラじゃないし…」

そもそも雑談が苦手。また、「働き方改革」ムードが広がるなか、雑談に時間を割くことに抵抗感を覚える人もいるようです。
大丈夫です。

・トークの達人になる必要はありません
・お笑い芸人を見習う必要もありません
・無理やりキャラをつくって、あなたから話しかけなくても大丈夫
・話しベタのあなたのキャラ、そのままで結構

また、

・雑談のための時間をわざわざ設けて、仕事の手を止めさせる必要もありません
・あなたがその場にいなくたって、雑談をする方法はあります

雑談は仕掛け8割、スキル2割。

すなわち、あなたやチームメンバーのトークスキルやキャラクターを変える必要はありません。わざわざ雑談の場を設ける必要もナシ。いつもの打ち合わせのやり方を少し変えてみる、言い回しを工夫してみる。ちょこっと景色を変えてみる。こういった工夫で雑談は自然と生まれます。

本書では主に管理職やチームリーダーの方に向けて、スキルが低くても雑談が生まれるような、職場の仕掛けづくり、仕組みづくりのポイントをお伝えします。実際に日本の職場で行われている、実例をもとに解説します。あなたの職場のメンバーの性格、組織風土に応じて使えそうなものをピックアップして試してください。もちろん現場の社員(含む派遣社員さん、外注さん)の方にも役立てて頂けると思います。

職場の雑談には、次のような効用があります(詳しくは、本文で説明します)。

雑談の効用
・職場の雰囲気がよくなる
・問題解決が早くなる
・チームの学習スピードが上がる
・生産性が上がる
・ハラスメントを事前に防止する

もし、あなたの職場がこの裏返しの状態でモヤモヤしていたら。すなわち、「職場の雰囲気が悪くモチベーションが低い」「問題解決に時間がかかる」「学習しない」「生産性が低い」「ハラスメントのリスクがある」状態であるならば。是非、この機会にチームの雑談力の向上に取り組んでみてください。

「働き方改革」が騒がれる今だからこそ、限られた時間で有意義に仕事をしたい今だからこそ、雑談を活用しましょう。あなたの職場の停滞ムードに風穴を開けるチャンスです。
人のスキルや性格に依存しない、さりげない雑談が生まれる職場づくり。「らしさ」あふれる職場づくり。一歩ずつ始めましょう!

有間ダム(埼玉県)のほとりにて 沢渡あまね

沢渡 あまね (著)
出版社 : 幻冬舎 (2018/4/19)、出典:出版社HP

目次

◆はじめに 話し下手でも大丈夫! 雑談は仕掛け8割スキル2割

第1章 そもそも雑談とは何か
01 雑談には大きく4つある
1 仕事に関するよもやま話。ちょっとした脱線
2 時事ネタ、ニュース
3 自分自身のプライベートな話
4 他愛のない世間話
02 リーダー層から雑談を仕掛けたほうがいいのはナゼ?
1 心理的安全性が担保される
2 ホンネが言いやすくなる
3 生産性が上がる
4 問題解決のスピードが上がる
5 ハラスメントを予防できる
03 即効性とじわじわ、どちらも大事
◆COLUMN1 雑談のある職場は強い! Eyes, JAPAN

第2章 雑談が生まれやすい職場とは?
01 ポイントは3つ!
1 接点の種類を増やす
2 接触頻度を増やす
3 ネタの数を増やす
02 たまたまと必然、どちらも大切
◆ Add column 01 雑談はなぜ生産性を上げるのか
◆ Add column 02 尊重し合える環境は、つくれる!
◆COLUMN 2 雑談のある職場は強い! スパイスファクトリー

第3章 雑談を仕掛ける工夫、あれこれ
01 話しかけられやすい空気感をかもし出す
02 話しすぎない。聞き手に回る
03 「ちなみに」「個人的には」が適度な会話を促進する
04 相談モードで話しかけてみる
05 その場にあるモノをネタにする
06 小ネタとなる道具を用意する
07 たまには差し入れの1つもしてみる
08 なによりリーダーは積極的に自己開示を!
◆COLUMN3 雑談のある職場は強い! オトバンク

第4章 雑談が生まれやすい環境づくり、あれこれ
01 オフィスの仕掛け編
02 職場の活動編
03 個人編
◆COLUMN4 雑談のある職場は強い! 田辺三菱製薬

第5章 雑談の仕掛け事例、集めてみた
◆おわりに

装丁 井上新八
カバー・本文イラスト 森下えみこ
本文デザイン トモエキコウ(荒井雅美)

沢渡 あまね (著)
出版社 : 幻冬舎 (2018/4/19)、出典:出版社HP